Mission Driven Brand

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ブランディングの戦略家が【ブランド戦略の全て】を解説するブログ

ブランディングとは?10個のメリットと21の戦略手法|全手順

ブランディングとは|ブランディング手法|強いブランドを創る21のブランド戦略手法と手順

この記事に辿り着いたあなたなら「ブランディングとは何か?」あるいは「ブランディングのメリットや戦略手法」に関心があることだろう。

このブログ「Mission Driven Brand」は、外資系コンサルティングと広告代理店のキャリアを持つ現役実務家が、ブランディングやマーケティングの「できない、わからない」を解決するブログだ。

ブランディングとは、そのブランドならではの独自の役割を築き「できるだけ多くの人に」「できるだけ強い」感情移入を促す取り組みを指す。

ブランディングは極めて曖昧な概念であることから、多様な解釈が存在する。そして、あなたのチームメンバーが個別に解釈をしてしまえば、ブランディングは一貫性を失い、散発的になり「砂漠に水を巻いて何も残らなかった」という状態に陥りがちだ。

もしあなたが、

  • 自転車操業的な運用型広告から脱却し、ブランディングを通して「真の競争力」を身につけたい
  • マス広告に大きく投資する前に「ブランディングの方針」を定めておきたい
  • ブランディングを「感性」や「雰囲気」で終わらせず、明確なロジックで周囲を巻き込めるようになりたい

と考えているのなら、ぜひこの記事を最後までお読みいただきたい。ブランディングの現役実務家が完全解説していこう。その内容は以下の通りだ。

  • ブランディングとは?実務に落とせる定義とは?
  • ブランディングの3つの種類とは?
  • ブランディングの重要性を直感的に理解するには?
  • ブランディングがもたらす10個のビジネスメリットとは?
  • ブランディングの戦略手法と具体的な手順とは?
  • ブランディングの3つの成功事例

ブランディングは「感性」や「雰囲気」で語り出すと、必ず失敗する。ぜひこの記事をお読みになって「ブランディングの方法論」をマスターして欲しい。

また、この記事の最後には、記事内で紹介した図版のスライド資料を用意しているので、ぜひ活用頂きたい。

このブログから書籍化したブランディングの本「ブランディングの教科書」

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本論に入る前に、僭越ながら拙著を紹介させていただこう。

「ブランディング」は捉えどころがなく、なかなか一歩を踏み出せない。あなたはこのような状況に陥ってはいないだろうか?

本書の執筆陣は、ある時は広告代理店のストラテジックプランナーとして、ある時は、外資系コンサルティングファームのコンサルタントとして、クライアントの実務担当者が悪戦苦闘する姿を見てきた。

「ブランディング」は、その本質を理解しないまま実行に移そうとすると、的を射ない小手先の手法を延々と繰り出すことになりがちだ。結果、やみくもに予算を消化したまま、成果が出ない事態に陥ってしまう…。

そのような事態を1件でも減らしたい。そう考えたのが本書を執筆した理由だ。

ブランディングの本は、どれも「ブランドのらしさ」「ブランドの世界観」など「ふわっと」した話になりがちだ。そして「ふわっ」とした話になればなるほど抽象的かつ曖昧な概念論になってしまい、企業組織の中で通すことが難しくなる。

本書は、外資系コンサルティングファームと広告会社で培った「生の知見」をふんだんに盛り込みつつ、つい「抽象論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

本書のタイトルは「ブランディングの教科書-ブランド戦略の理論と実践」だ。

「理論」が理解できなければ、ブランディングを体系化できず、ビジネスに再現性を生むことができない。そして「実践」が理解できなければ、ビジネスに成果をもたらすことができない。

本書は、ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」として、ブランド戦略の再現性と成果を目指した書籍だ。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー1位を獲得し、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

  • クッキー規制によりデジタルマーケティングでCTRやCVRが頭打ち。CPAは下がるどころか、少しずつ上昇傾向ですらある。
  • 矢継ぎ早に新商品を繰り出してもすぐに競合に追い付かれ、差別化ができない。商品開発サイクルは更に早まり、自転車操業状態になっている。
  • 「自社にはブランディングが必要だ」と理解はしているが、概念が抽象的過ぎて、どう周囲を巻き込んでいいかがわからない。

もし、あなたがこれらに当てはまるなら、ぜひAmazonのページで本書の目次をチェックしていただきたい。つい感覚論になりがちな「ブランディング」に対して、

  • なぜ、そうなのか?
  • どう、ビジネスに役立つのか?
  • 何をすればいいのか?

を徹底して解説しているので、あなたのお役に立てるはずだ。

kindle Unlimitedを契約されている方は無償で手に入れることができるので、気軽に手に取っていただきたい。

ブランディングとは何か?

ブランディングとは?

まずは「ブランド」の定義を確認しておこう。AMA(アメリカマーケティング協会)のブランドの定義は以下の通りだ。

ブランドとは?アメリカマーケティング協会の意味

個別の売り手もしくは売り手集団の商品やサービスを識別させ、競合他社の商品やサービスから差別化するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはそれらを組み合わせたもの。

AMA(アメリカマーケティング協会)

さて、あなたはこの「ブランドの定義」を読んでどう感じただろうか?率直に言って「理解しずらい、小難しい定義だな」と感じたのではないだろうか?

上記の文章はアメリカマーケティング協会の「公式定義」という性格から「より正確な単語を、より誤解のないように」という意図はわかる。しかしそれが逆に「ブランドとは何か?」をわかりずらいものにしている。

「ブランド」には、様々な定義が存在することは事実だ。

もしあなたが学者なら「ブランドの厳密な定義」は重要な関心ごとかもしれないが、このブログの読者は実務家のはずだ。

よって、このブログの筆者であるk_birdは「実務に直結しやすく」「組織全体で立脚点を共有しやすい」ことを重視して「ブランド」を以下のように定義している。

ブランドとは

ブランドとは「生活者から見て独自の役割を持ち」
「生活者の感情移入が伴ったモノやサービス」のこと。

だとすれば「ブランディング」の定義は以下の通りとなる。

ブランディングとは?
  • ブランディングとは、そのブランドならではの独自の役割を築き「できるだけ多くの人に」「できるだけ強い」感情移入を促す取り組みを指す。
  • その成果は「指名買い」によるロングセラーブランドだ。

どのような製品・サービスも、独自の役割を築き、感情移入を促す取り組みを続けることができれば、長く愛されるブランドに変わる。

このことは「製品」「商品」「ブランド」の違いを理解すれば、より明確になる。

製品とは?

「製品」とは、工場の倉庫にある出荷待ちのものを指す。

製品開発者が開発し、工場担当者が生産する。倉庫担当者が倉庫棚に整理し、出荷待ちの状態となる。しかしこの時点で生活者の関与はなく、企業側主導で事が進められる。

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商品とは?

「商品」とは、店頭に並んだ販売待ちのものを指す。

商品開発担当者がロゴやパッケージデザインを開発し、価格設定もなされている。そして営業担当者が「どうバイヤーと交渉し、棚に並べてもらうか?」を考え、知恵を搾る。そしてその努力が結実すれば、無事店頭に並ぶことになる。

しかし、店頭の商品棚には様々な競合商品がひしめきあっている。

そしてたまたま偶然その棚を通りがかった生活者が、たまたま偶然あなたの商品を目にし、たまたま偶然その時のニーズにマッチすれば、買い物かごに放り込む。

「商品」の状態のままでは、数々の「たまたま偶然」をくぐり抜けた上での「衝動買い」に頼らざるを得ない状況だ。

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ブランドとは?

「ブランド」とは、生活者1人1人の心の中(=認識の内側)にある。

「ブランド」とは

ブランドとは、生活者から見た独自の役割を築き、
生活者の感情移入が伴ったモノやサービスのこと。

ここでぜひ、強いブランド力を持つと評判のブランドを思い起こしてみて欲しい。

  • アップル、グーグル、ディズニー、スターバックス、コカ・コーラ…。

どのブランドも独自の役割を築き、単なる「モノ」や「サービス」を越えて、生活者からの感情移入が伴っていないだろうか?

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このブログの筆者であるk_birdは、広告代理店と外資コンサル時代を合わせて、延べ300回以上のマーケティングリサーチ経験を有している。

その経験からしても、独自の役割を築き、感情移入が伴っているブランドとそうでないブランドでは、指名購入意向率が5倍以上違う例はザラにある。一方で、逆の例は1件も見たことがない。

マーケティング担当者は、優秀な人であればあるほど、一日中「マーケティング」について熟考を重ねていく。

  • 「どうすれば、このブランドは売れるのか?」
  • 「どうすれば、このサービスは競合より優位に立てるのか?」

そして、熟考を重ねれば重ねるほど「素人感覚」から離れ「企業都合」「モノ起点」「どう売るか?」という発想に陥ってしまう。これが多くの組織で起きているマーケティングの実態だ。

しかし、一方の「生活者」の視点に立つとどうだろうか?

そのマーケティング担当者とは裏腹に、生活者はそのブランドについて、1日1分も考えていない。

なぜなら、生活者の興味は「今よりも理想的なライフスタイルを実現すること」であり、ブランドは、彼ら彼女らにとってはその生活を実現するための「名脇役の一つ」でしかないからだ。

生活者はそれぞれ多様なライフスタイルや価値観を持っている。そしてそのコンテキストに対する理解を伴わない限り、生活者の心の中にブランドを位置づけ、感情移入を勝ち取ることはできない。つまり、ブランディングは成功しないのだ。

そして、どのようなモノやサービスも感情移入が伴った時、初めてその人にとっての「ブランド」に変わる。

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ブランディングとマーケティングの違いとは?

ここで、よく混同しやすいブランディングとマーケティングの違いについても触れておこう。

ブランディングは、大きくわけて3つの考え方が存在する。

  • ブランド戦略:
    独自性と感情移入を創るために、ブランドの「在り方」や「見せ方」を決める取り組み。欧米の企業では、マーケティングの上位概念として位置付けられる
  • ブランドマーケティング:
    ブランドの在り方(=ブランド戦略)に基づいて、購入と感情移入を形創っていく取り組み。STP戦略・マーケティングミックスなど。
  • ブランドマネジメント:
    ブランドの「在り方」や「見せ方」の一貫性を保つために、ブランドを適切に管理していく取り組み。戦略や組織・デザイン・知的財産管理など。

上記の図をご覧になれば「ブランディング」という大きな概念の下に「ブランド戦略」「ブランドマーケティング」「ブランドマネジメント」が位置付けられていることがわかる。

逆を言えばこれら3つの総称こそが「ブランディング」であることがご理解いただけるだろう。

ブランディングの3つの種類とは?

「ブランディングとは何か?」が理解できたら、続いては「ブランディングの3つの種類」について解説しよう。

ブランディングの現場では様々な「●●ブランディング」が飛び交うが、本質的には次の3つを覚えておけばOKだ。

商品ブランディングと企業ブランディング

「何を」ブランディングするのか?を基準に分類すると、ブランディングは「商品ブランディング」と「企業ブランディング」の2種類が存在する。

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商品ブランディングとは、その名の通り商品単位でブランディングを展開することを指す。

一般的には「ターゲット=商品の見込み客」であり、マーケティング領域でのブランディングであることから、別名ブランドマーケティングとも呼ばれる。

日本では「ブランディング」といえば「広告宣伝」という手法論に矮小化されがちだが、欧米ではブランディングはマーケティングの上位概念の戦略として位置付けられている。欧米企業がブランディングに長けており、マーケティングを「ブランドマーケティング」と呼ぶのはこのためだ。

一方で企業ブランディングとは、個々の商品ではなく、企業単位でブランディングを展開することを指す。企業ブランディングの対象は「社会」「従業員」「取引先」「株主・投資家」など「全ステークホルダー」となるのが一般的だ。

近年の企業ブランディングの例では、松下電器がパナソニックへ、 富士重工がスバルへと企業名を変更し、企業ブランディングを展開したのは記憶に新しいところだ。

アウターブランディングとインナーブランディング

「誰に向けて」ブランディングするのか?を基準に分類すると、ブランディングは「アウターブランディング」と「インナーブランディング」の2種類に分けることができる。

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アウターブランディングとは、消費者や顧客など自社の「外側」にいる人達に対してブランディングを展開することを指す。

一方でインナーブランディングとは、別名「インターナルブランディング」とも呼ばれ「従業員」を中心に、自社の「内側」にいる人たちに対してブランディングを展開することだ。

インナーブランディングの目的は、従業員に対してブランドのミッション(社会的使命)やブランドビジョン(在りたい姿)あるいはブランドバリュー(価値観・マインドセット)を一人ひとりに理解してもらい、自分ごととして日々の業務を実践してもらうことだ。

スターバックスや東京ディズニーリゾートの例を見ればわかるように、人を介してサービスを提供するサービス業では、接客スタッフ1人ひとりの接客態度や接客品質がブランドの評価に直結していく。

また、近年「ブランド体験」や「カスタマージャーニー」の重要性が叫ばれて久しいが、部門を越えて一貫したブランド体験やカスタマージャーニーを実現していく上でも、インナーブランディングはとりわけ重要な取り組みとなる。

BtoCブランディングとBtoBブランディング

「誰が」ブランディングするのか?を基準に分類すると、ブランディングは「BtoCブランディング」と「BtoBブランディング」の2種類が存在する。

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消費財を提供しているBtoC企業がブランディングすることを「BtoCブランディング」と呼ぶ一方で、ビジネス財を提供しているBtoB企業がブランディングを展開することを「BtoBブランディング」と呼ぶ。

グローバルなBtoB企業では、ブランディングに力を入れている企業は多い。例を挙げれば、IBM/GE/インテル/シスコシステムズ/オラクル/SAP/JPモルガン/アクセンチュア/アドビシステムズ/キャタピラーなど、数え上げればきりがない。

これらのBtoB企業は、世界のブランド価値ランキングの常連企業だ。そして高い収益性を実現していることからも分かる通り、ブランディングはBtoB企業にとっても大きな競争力となる。

ブランディングの重要性を直感的に理解する

ブランディングの3つの種類が理解できたら、続いては「ブランディングは、なぜ重要なのか?」について解説しよう。ことブランディングといえば

  • そのブランド「らしさ」
  • ブランドの「世界観」

など「ふわっと」した感覚論に陥りがちだ。そして「ふわっ」とした話になればなるほど、本来の目的である「ビジネス成果」の話がおざなりになる。

しかし、ブランディングは投資を伴うビジネス活動だ。

そうである以上「らしさ」や「世界観」などの「ふわっとした抽象論」に逃げてはならず「ブランディングはなぜ重要で、どうビジネス成果につながるのか?」について理解しておく必要がある。そうでなければ「ブランディング」は再現性のあるビジネス活動にはなりえないからだ。

「ブランディング」を正しく理解するには「概念」と「実体」という2つの考え方が極めて重要になる。ここでは話をわかりやすくするために、例を使って解説しよう。

今、あなたの目の前に「紙でできたコップ」があったとしよう。

これを「概念」と「実体」でわけると、以下の通りとなる。

あなたは、今ご覧になった画像を「紙コップ(水を飲むためのもの)」という概念で認識したはずだ。しかし、その実体を正確に表すと「紙でできた円柱形の立体物」だ。まずはこれを踏まえた上で、次の画像をご覧いただきたい。

この画像を、同じように「概念」と「実体」にわけると、以下の通りとなる。

鋭いあなたならお気づきかもしれないが、この2つの画像の「実体」は「紙でできた円柱形の立体物」であり、全く同じだ。変わったのは「水を飲むためのもの」なのか?それとも「花を生けるためのもの」なのか?という「概念」のほうだ。

さらに続いて、以下の画像をご覧いただきたい。

この画像を、同じように「概念」と「実体」にわけると、以下の通りとなる

ここに、重要なポイントがある。

例え「実体」は変わらなくても「概念」が変わってしまえば「コップ」が「花瓶」に変わり、そして「インテリア雑貨」変わる。つまり、物事の「在り方」を決めているのは「実体」ではなく「概念」であることがわかるはずだ。

これらを踏まえた上で、次は以下の画像をご覧いただこう。

「実体」の側に、

  • レディース
  • メンズ
  • 服飾雑貨
  • 収納・家具
  • 文具…

などが並んでいるが「概念=在り方」がわからないために、独自性は感じられず、なんの感情移入は伴わないはずだ。すると当然「指名で購入しよう」という気持ちは起こりようがない。しかし、以下の画像を見るといかがだろうか?

  • 「無印良品の」レディース
  • 「無印良品の」メンズ
  • 「無印良品の」服飾雑貨
  • 「無印良品の」収納・家具
  • 「無印良品の」文具…

あなたもご存じの通り、無印良品とは「シンプルで無駄のない生き方」を価値観に掲げたブランドだ。そして「シンプルで無駄のない生き方」が無印良品の独自性であり、かつ多くの人からの共鳴感情が伴っていれば、例えボールペン一つでも、指名で購入されることになる。

なぜなら「独自性がある」ということは「他に代えられない」ということであり「共鳴感情が伴っている」ということは「良し悪しや高い安いなどの理屈を越えて、好き」ということだからだ。

多くの日本の企業は、残念ながら「概念」の重要性を理解せず、機能や性能あるいは仕様上の特徴など「実体」のみで戦っているのが現状だ。

しかし重要なことなので繰り返すが「ブランド」は「実体」ではなく「概念」に宿る。

そして、拙速にブランド認知やブランドイメージに飛びつくことなく「どのような概念(=在り方)を掲げれば、独自性が築け、かつ感情移入を創れるのか?」を考え、実行することが「ブランディング」だ。

ブランディングがもたらす10個のメリットとは?

ブランディングがあくまでビジネス活動である以上「ふわっと」で終わらせずに、投資を越えるビジネスメリットを実現しなければならない。

よって、続いてはブランディングがもたらす10個のビジネスメリットについて理解を深めていこう。

ブランディングのメリット-1:知名度向上と販売拡大のメリット

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当たり前のことだが、生活者は「知らないものを欲しがる」ことはできない。

逆を言えば、知名度が上がり知っている人が増えていけば、欲しがる人も比例的に増えることになる。結果、販売数量も比例的に拡大していく。

さらに、多くの生活者は同じジャンルの「無名のブランド」と「有名なブランド」を比べた場合、有名なブランドの方を選ぶ傾向にある。なぜなら、生活者はモノを購入する際に「有名なブランドだから間違いないだろう」という安心感を得たがるからだ。

社会心理学者のR・ザイアンスによれば、人々は見知らぬ「記号」であっても、何回も繰り返し見せられるとその記号に対して好意を持つようになるという。つまり人間は知らないものより知っているもののほうに、強い理由もなく好意を抱く傾向を持っているのだ。

知名度向上によりブランドに感情移入を起こすことができれば、あなたのブランドは他社ブランドよりはるかに選ばれやすくなる。

あるミネラルウォーターの事例では、単にブランドが認知されるだけでなく「役に立つブランド」と認識されると積極購入意向率は16%上がり「気持ちや感情面で満足できるブランド」と認識されると21%上がる。

さらに「自尊心を満たしてくれるブランド」と認識されると、積極購入意向率は24%上がることがわかっている。

ミネラルウォーターは、その中身は単なる「水」であり、機能的な差別性はほとんど持たない。しかし「感情移入の度合い」で積極購入意向はこれだけ大きく変わる。

さらには、ブランドに対するポジティブな感情移入が強まれば強まるほど、その顧客が周囲に推奨してくれるメリットが生じる。いわゆる「クチコミによる推奨効果」だ。

近年のソーシャルメディアやレビューサイトの普及によって、以前と比べてクチコミの影響範囲ははるかに広くなっている。

ブランドの知名度が高まり、愛着感情を持ってくれる顧客が増えれば、クチコミ推奨による販売機会も広がるはずだ。

ブランディングのメリット-2:価格プレミアムのメリット

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一般に、ビジネスの売上高は「販売数量×販売単価」で決まる。しかし、近年の市場成熟化と競争激化で「販売単価」が下落するプレッシャーは年々高まっている。

このような状況の中でも、適切にブランディングを実行に移せれば、高い単価を維持できる。その理由を解説しよう。

ブランドは、感情移入の度合いが強まれば強まるほど、生活者から見て「思い入れが強い特別なブランド」に育っていく。結果「ほかには替えられないブランド」となり、多少類似ブランドより価格が高くても選ばれやすくなる。

先ほどのミネラルウォーターの事例では、単にブランドが認知されるだけでなく「役に立つブランド」と認識されると価格プレミアムは9%上がり「気持ちや感情面で満足できるブランド」と認識されると22%上がる。

さらに「自尊心を満たしてくれるブランド」と認識されると、価格プレミアムは30%上がることがわかっている。

その上、さらに感情移入の度合いが強まれば、生活者はそもそも類似ブランドと比べることすらしなくなる。「シャネラー(CHANEL)」や「MUJIラー(無印良品)」などが典型で、いわば比較検討をせずに「指名買い」をしてくれる状態だ。その結果、価格競争に巻き込まれず、高い商品価格を維持しやすくなる。

これが、ブランディングでよく語られる「価格プレミアム」のメカニズムだ。

高い価格を維持できるということは、財務的には利益率を高く維持できることにつながり、好業績の大きな要因となる。

ブランディングのメリット-3:リピート率向上のメリット

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「リピート率の高さ」は、あなたのビジネスにとって致命的に重要だ。

あなたが携わっているブランドの顧客構成を分解すると「新規顧客+既存顧客」にわけることができるはずだ。

そしてあなたのブランドの収益構造は、新規顧客獲得のために大きな投資を行い、リピート顧客からもたらされる利益によって投資を回収していく構図になっている。

もし既存顧客のリピート率が低ければ、新規顧客獲得コストが回収できなくなり、あなたのビジネスはじり貧に陥っていく。それぐらい「リピート率の向上」はビジネスの成否を左右する重要なファクターだ。

一方で、あなたのブランドには数多くのライバルブランドが存在する。そしてそれらのライバルブランドは、虎視眈々とあなたの顧客を狙っている。

もし、ライバルブランドの戦略が優れていれば優良顧客の流出が起き、あなたのブランドのリピート率は低下していく。競争が激しい現状においては、これは大きなリスクだ。

しかし、ブランディングは「リピート率の向上」に大きなメリットをもたらす。

「価格プレミアム」でも触れたが、ブランドは、感情移入の度合いが強まれば強まるほど、生活者から見て「思い入れが強いブランド」に育っていく。そして「愛着感情」が強くなればなるほど、競合ブランドに対する「浮気」が起きにくくなるため「リピート率」を高く維持できるようになる。

一般に、リピート顧客にかかるコストは、新規顧客にかかるコストの1/5で済むと言われる

ブランディングによる感情移入で高いリピート率が維持できれば、新規顧客獲得コストの回収可能性が高まるだけでなく、ビジネスの収益性向上にも大きく貢献するようになるはずだ。

ブランディングのメリット-4:ビジネス機会を拡大するメリット

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ブランド戦略の一つに「ブランド拡張」という考え方がある。

「ブランド拡張」とは、シンプルに言えば「築き上げたブランドの知名度や魅力をうまく活用しながら、新しい市場を開拓する戦略」を指す。

例えばアップルの例で解説しよう。

アップルのことは、当然あなたはご存知のことだろう。もともとはパソコンのブランドであり、多くの日本人の思い入れや愛着、感情移入を勝ち取ってきたブランドだ。

そしてブランディングの観点から言えば、アップルはブランド拡張を成功させてきたブランドでもある。

  • MacBook Air:パソコン市場
  • iPhone:スマホ市場
  • iPad:タブレット市場
  • AirPods:イヤホン市場
  • iWATCH:スマートウォッチ市場

など、アップルというブランドの知名度や魅力をうまく利用して、PC市場とは異なる市場を次々に開拓してきた。

アップルの成功事例を見てもわかる通り、いったんブランドを確立すると、生活者はそのブランドに大きな期待を抱くようになる。そしてその期待をうまく利用することで、新しい市場の開拓を有利に進めることができるようになる。

これが、ブランディングによる「ビジネス機会拡大」のメリットだ。

ブランディングのメリット-5:アライアンス機会の拡大のメリット

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ブランディングにより知名度が上がり感情移入の度合いが強まるのは、何も生活者に限った話ではない。ブランディングがうまく機能すれば、多くの企業もあなたのブランドに注目することになる。

例えばユニクロを例にとると、ユニクロの大ヒット商品である「ヒートテック」が、東レとの共同開発で生まれた商品であることは有名な話だ。

しかし想像してみてほしい。なぜ東レは数あるアパレル企業の中からユニクロを選んだのだろうか?

もし、ユニクロが未だ知名度もブランド力もない山口県のアパレル企業だったとしたら、果たして東レとの共同開発や、ヒートテックの大ヒットは実現しただろうか?

ブランディングが成功すれば、生活者以外にも多くのステークホルダーを惹きつける。
すると惹きつけられた企業からの協業の機会が増え、更なる成長のための戦略オプションも広がるはずだ。

ブランディングのメリット-6:仕入れコストを削減するメリット

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ブランディングの実務の現場では、販売面のメリットのみに焦点が当てられ、コスト面のメリットはあまり語られることはない。

しかし、ビジネスは売上からコストを差し引いて初めて利益になる以上「ブランディングによるコスト削減」のメリットも理解しておきたいところだ。

ブランディングがうまくいくと、ブランドの知名度が高まり販売数量は増えていく。

そして販売数量が増えれば、当然原材料の仕入れ数量も増えることになるため、以前と比べて仕入れ業者に対する価格交渉力は大きく高まっていく。

さらに、あなたのブランドが社会的に評判のブランドへと飛躍した場合、今度は「採算ラインぎりぎりの仕入れ値でもいいから、ぜひあなたの会社と取引をしたい」という取引先が現れ始める。

なぜなら、その取引先から見れば、社会で評判のあなたのブランドと取引をすることは、自社の社会的な信用を高め、技術や品質が認められた大きな実績となるからだ。

そしてその実績を引っ提げて他の様々な企業にアプローチできるようになるため、例えあなたとの取引が採算ぎりぎりであっても、その取引先にとっては次のビジネスに向けた投資となるわけだ。

これは、あなたの会社からみれば、破格の低コストで原材料を仕入れることが可能になることを意味する。

上記2つの理由から、ブランディングは「仕入れ面」でのコスト削減にも大きなメリットをもたらす。

ブランディングのメリット-7:広告宣伝コストを削減するメリット

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広告宣伝費はコストだろうか?それとも投資だろうか?

あなたが瞬間風速的に売り上げを伸ばしたいと思えば、その広告宣伝費はコストとなる。しかし一瞬大きく売り上げは伸びるだろうが、その効果は一時的なものとなり、後には何も残らない。いわば広告宣伝費を「消費して終わる」こととなる。

しかし長期的にブランドを構築したいと思えば、広告宣伝費は投資という性格を帯びる。ブランドに対して感情移入し、永続的に指名買いしてもらえる顧客を増やすことが目的となるからだ。

ここでぜひ、あなたのブランドの知名度が高まり、社会的に定着し、多くの生活者から「指名買い」されている状態を思い浮かべてみて欲しい。

「指名買いされている状態」とは、言い方を変えれば「広告宣伝を見たり聞いたりしなくても、向こうから指名で買っていただけている状態」と同じだ。

つまり「これまでは多大な広告宣伝費を使わないと買ってもらえなかった」状態から「例え広告宣伝をしていなくても、指名で買っていただけてる状態」になるため、同じ売り上げを上げるにも、広告宣伝費は必要最小限で済むようになる。

これが、ブランディングによる「広告宣伝費の削減」の効果だ。

もし、あなたがインターネット広告の運用経験がおありなら、売上に比例して広告宣伝費がかかってくる「税金状態」のつらさは、よくおわかりのはずだ。

もちろん、広告宣伝費を「売上を上げるためのコスト」とみなした「一発芸」を否定するものではないが、より戦略的かつ長期的にブランドの競争力を築き上げたいのであれば「広告宣伝費=投資」という視点が必要だ。

ブランディングのメリット-8:人材採用のメリット

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ブランディングにより知名度や感情移入の度合いが高まれば、人材採用にも好影響をもたらす。

新卒の就職活動を見てもわかる通り、学生は知名度の高い企業を就職候補に選びやすい。毎年インターネットを賑わす「就職したい企業ランキング」も、上位にランキングされるのは知名度の高い企業ばかりだ。

また、近年の就職活動は、いわゆる「就活サイト」への登録が半ば常識となっているが、学生は知名度の高い企業を検索して探そうとするため、やはり知名度の高い企業が有利となる。

先ほど、ブランディングの目的は「指名買い」であると解説したが、新卒マーケットでもまた、ブランディングは知名度の向上を通して「学生からの指名買い」を増やす有力な手段となる。

さらに「ブランドに対する感情移入」もまた、人材採用面で大きなメリットを与える。むしろ、ブランドの競争力強化という観点ではこちらの方が重要だ。

例えば「スターバックス」や「東京ディズニーリゾート」を思い浮かべてほしい。どちらも、強い感情移入が伴ったブランドの成功例だ。

この2つのブランドの「人材面」での共通点は、双方ともに正社員ではないアルバイトスタッフが極めて優秀であり「そのブランドらしさ」を体現した働きを自発的にすることだ。

スターバックスや東京ディズニーリゾートで働くアルバイトスタッフは、そもそもそのブランドの信者であることが多い。そして、信者であるがゆえに「そのブランドらしさ」を誰よりも深く理解している。

その結果、たとえマニュアルでは対応できない局面でも、自発的に「そのブランドらしいふるまい」をし、顧客を喜ばすことができるのだ。

さらに、そのブランドが好きでアルバイトに応募し働いているため、アルバイトスタッフであるにもかかわらずブランドに対する帰属心や貢献意欲が高く「そのブランドの役に立ちたい」というモチベーションが高い。

結果、企業の外側からの「見栄え」だけでなく、内側からもブランドを強くしていく「組織文化」が形成され、その組織文化が「そのブランドらしい」個性的な商品やサービスを生み出していく。

これは何も、スターバックスや東京ディズニーリゾートなどの接客業のみに当てはまる事例ではない。例えば「リクルート」や「マッキンゼー」なども典型例だ。

特に「人」が競争力のカギとなるサービス業の場合、ブランディングによる人材獲得効果の向上は、極めて大きなメリットになる。

ブランディングのメリット-9:働く誇りの向上メリット

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ブランディングは「働く誇りの向上」にもメリットをもたらす。

広告代理店という職業柄、ブランディングの一貫として知名度向上を目的としたTVCMの仕事をさせていただくことがある。初めてTVCMを行うクライアントの場合、TVCMは決して安い投資ではないため、社員の皆さんは一様に期待と不安が入り交じった表情をされることが多い。

しかしTVCMのオンエア後、その状況は一変する。皆さん一様に誇らしい顔つきに変わるのだ。

もちろんブランディングの成果が出て「知名度が高まった」ことに対する誇らしさはあるだろう。しかし現場の実感値として最も多いのは、自分の家族や関係者からの反響に対する誇らしさだ。

  • 娘さんから「お父さんの会社のCM見たよ。いいね」とLINEがきた。
  • 田舎のご両親が、わざわざ流れたCMを録画してくれていた。
  • 営業担当者が、取引先の方からCMを誉められた。

数値には現れにくいことだが、なかなかバカにできない。こういった1つ1つの出来事が社員の皆さんの誇りに変わる瞬間を何度も目にしてきた。

誰だって、自分達が「このブランドは、世の中をより良く変えるはずだ」と信じて、苦労に苦労を重ねて作ったブランドが世の中に知られるようになり、多くの人から愛着を持たれ、成長していく姿を見るのは誇らしいものだ。

そしてそれらの誇りが、いつか自分の会社や、職務に対する誇りへと変わる。

一般に、企業の経営資源は「ヒト」「モノ」「カネ」と言われるが「モノ」を生産するのも、販売を通して「カネ」に変えるのも、その真ん中で使いこなすのは「ヒト」だ。

そして、企業の経営資源のうち「ヒト」だけが喜怒哀楽の感情を持つ。

ここまで読んで鋭いあなたならお気づきだろうが、ブランディングは時に感情移入を通して「モノ」や「カネ」以上の価値を「社員」から引き出すのだ。

ブランディングのメリット-10:資金調達コストを削減するメリット

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ブランディングのメリットの最後は、資金調達コストの削減メリットだ。

多くのマーケティング担当者にとって「ブランディング」と「資金調達コストの削減」とは結び付きにくいかもしれない。よって、まずは簡単な例を挙げて解説しよう。

今ここに、1羽のニワトリがいたとする。普通のニワトリとの違いは、1か月に1個「金の卵」を生み続けることだ。

さて、あなたは資金を提供する投資家としてこのニワトリに投資する場合、いくらの投資なら妥当だと考えるだろうか?

一般的なファイナンス理論における答えはこうだ。

このニワトリが1年生きると想定した場合、このニワトリは合計12個の金の卵を生み出すことになる。金の卵が1個10万円の価値があるとすれば、このニワトリは120万円(1個10万円×12か月)の経済的価値を生み出すことになる。

だとすれば、あなたはこのニワトリを120万円未満の金額で投資をすることが妥当だという結論になるはずだ。

しかしニワトリは生き物だ。残念ながら半年後に死んでしまうかもしれない。当然、そのリスクは、あなたの投資金額から割り引いて考えなければならない。

さて、上記のデフォルメされた事例を

  • ニワトリ=あなたのブランド
  • 金の卵=あなたのブランドが生み出す利益
  • 半年後に死んでしまうリスク=あなたのブランドが抱えるリスク

に置き換えて考えてみよう。資金提供者が投資を検討する際の重要なファクターは、

  • あなたのブランドは、今後どれだけ利益(=金の卵)を生み出すのか?
  • そうならないリスク(=例えば2年経たずにニワトリが死んでしまうリスク)はどれくらいあるのか?

の2点に集約されることに気付くはずだ。

ここでブランディングの話に戻すと、これまで解説してきたように強いブランドは弱いブランドと比べて「知名度の向上」「価格プレミアム」「リピート率の向上」などを通して、多くの利益(=金の卵)を生み出す。

そして「ブランドに対する感情移入」「指名買い顧客の増加」などを通して顧客流出のリスクを減らすことができるため、資金提供者から見たリスク(=2年経たずに死んでしまうリスク)」を低減させる。

結果、金融機関や投資家から見れば、強いブランドを持った企業は「確実な利益が見込め」「リスクは低い」つまり「資金を提供しやすい企業」という評価になる。

翻って企業の立場から見れば、ブランディングは「資金調達コストの削減効果につながる」というメリットをもたらすのだ。

ブランディングの21の戦略手法と手順とは?

ブランディングがもたらすビジネスメリットについて理解できたら、続いては「強いブランドを作るための標準的な6ステップと21の戦略手法」について解説しよう。全手順は、下記の図の通りだ。

ブランディングの戦略手法【ステップ1】:ブランディングの立脚点を揃える

ブランディング戦略手法【手順1】ブランディングの意味を組織で共有する

ブランディングを推進していくにあたって、まず重要となるのが「ブランディングとは何か?」を組織内で共有することだ。なぜなら、ブランディングは極めて抽象的な概念であるため、人によって多様な解釈が存在するからだ。

例えあなた自身が「ブランディングとは何か?」を理解していたとしても、それを周囲にロジカルに説明できなければ1人1人の解釈はずれ、繰り出すブランディング施策は散発的になる。その結果、ブランド力の向上もおぼつかなくなる。

筆者はこれまで、外資系コンサルと広告代理店で様々な企業のブランディングを支援してきたが、失敗例として最も多く出くわすのが、チームメンバー間の解釈の違いによる、ブランディングの一貫性の乱れだ。

もしあなたが真剣にブランディングに取り組もうとするなら、まずすべきは組織の立脚点を揃えることだ。

以下の解説記事では、実務家とって「直感的で」「わかりやすい」ブランディングの意味を解説している。もしあなたがブランディングを展開するに当たり、組織の立脚点を揃えたいなら、一通りご覧いただきたい。

ブランディング戦略手法【手順2】ブランディングのメリットを組織で共有する

ブランドは、決して組織の器を越えることはない。

例え「ブランディングとは何か?」に対して組織の立脚点が揃ったとしても、ブランディングによってもたらされる「組織横断的なメリット」が充分に理解されなければ、それぞれのチームメンバーは個別の事情で一貫性のないブランディング施策を繰り出してしまうことにもなりかねない。

その結果、ブランディング活動は迷走し、繰り出される施策は散発的になり、あなたののブランドはコモディティ化のリスクにさらされたままとなってしまうだろう。

以下の解説をお読みになれば、あなたは胸を張って「なぜブランディングが必要なのか?」あるいは「ブランディングは、自社にどのような競争力をもたらすのか?」をロジカルに説明できるようになる。

もしあなたが、ブランディングを「チームの組織能力」にしていきたいなら、ぜひ下記の解説をお読みいただきたい。

ブランディング戦略手法【手順3】ブランディングとマーケティングの違いを理解する

あなたはどこかで「獲得系の施策」「広告を"当てる"」などの言葉を耳にしたことはないだろうか?

多くの企業のマーケティングは「ターゲット=標的」と捉え「広告を当て」収益に変えるという「企業都合でしか見れない罠」に陥ってしまっている。

しかし、生活者は「標的」でもなければ「広告を当てる対象」でもない。優れたブランディングを展開したいなら、視点は「生活者中心」に置かれなければならない。

以下の記事では、多くの企業が陥りがちな「企業中心のマーケティング」と「ブランディング」の7つの違いを対比しながら解説している。

あなたの企業は、知らず知らずのうちに「企業中心のマーケティング」に陥っていないだろうか?もし少しでも心当たりがあるなら、下記の記事で点検してもらいたい。

ブランディングの戦略手法【ステップ2】:環境変化を味方につける

ブランディング戦略手法【手順4】ブランドを取り巻く「世の中の流れ」を分析する

現状と向き合わないブランディングはあり得ない。

ブランドを取り巻くマクロ環境の変化を把握する上でまず必要となるのが、世の中の流れを把握するPEST分析だ。

PEST分析は、ブランディングの命運を左右する「最重要な」分析と言っても過言ではない。なぜならPEST分析は「一企業単体の努力ではコントロールできない世の中の変化」を扱うからだ。

「一企業単体の努力ではコントロールできない」ということは、PEST分析で分析した数々の示唆は「前提」として考え「どう味方につけるか?」「どの変化を市場機会として捉えるか?」という視点で考えなければならないことを意味する。

以下の記事では「世の中の変化」を分析するフレームワークである「PEST分析」の方法と手順について、例を交えながら解説している。

また、無料でダウンロードできる「PDFテンプレート」も配布している。もしあなたが「世の中の変化」を味方につけたいなら、ぜひ参考にしてほしい。

ブランディング戦略手法【手順5】ブランドを取り巻く業界構造を分析する

PEST分析で「世の中の変化」を分析したら、次に必要なのは「業界の構造」に対する分析だ。

あなたがマーケティング担当者なら、利益を獲得する上で「何がボトルネックになっており、どの阻害要因を取り除けば成果に近づくのか?」について把握しておきたいはずだ。

そこで必要となるのがファイブフォース分析だ。

ファイブフォース分析は、業界に影響を与える5つの競争要因から、その業界の力学(=利益の上げやすさの度合い)を分析するためのフレームワークだ。

どんなに強いニーズがあり、どんなに魅力的なブランドを携えたとしても、そもそも利益が出にくい「何らかの力学」が業界全体に働いているとしたら、ブランディングの成功は保証されない。

以下の記事では「ファイブフォース分析のやり方と分析手順」を解説している。もちろん、PDFテンプレートのダウンロード付きだ。

ブランディング戦略手法【手順6】ブランドを取り巻く3Cを分析する

ファイブフォース分析で「業界構造」を分析したら、次に必要なのは「市場環境」に対する分析である「3C分析」だ。

PEST分析やファイブフォース分析を通して「新たな市場機会」を見出すことができれば、3C分析の一つである「市場の定義(=Customer)」が変わる。そして「市場の定義」が変われば「競合の定義(Competitor)」も変わり「競合の定義」が変われば「競合に対する自社の強みの定義(Company)」も変わる。

このように「3C分析」はPEST分析やファイブフォース分析をインプットにして使うことで「マーケティング活動のそもそもの前提」すら変えてしまうパワフルな分析手法だ。

以下の記事では「3C分析」に必要不可欠な視点と分析手順を解説している。ご興味があれば御覧いただきたい。こちらも、PDFテンプレート付きだ。

ブランディングの戦略手法【ステップ3】:ブランド戦略を策定する

ブランディング戦略手法【手順7】ブランドの提供価値を設定する

あなたがマーケティング担当者なら、ブランド力の向上は「悲願」のはずだ。

ブランド力の向上とは、ブランドへの感情移入によってもたらされる「指名買いされる力」を向上させていくことだ。

そして当たり前のことだが「ブランド力の向上」は、顧客に価値を提供できて初めて実現する。その価値とは、大きくわけると以下の4つだ。

  • ブランドの「実利」が提供する価値
  • ブランドの「感性」が提供する価値
  • ブランドの「情緒」が提供する価値
  • ブランドの「価値観」が提供する価値

「ブランドの提供価値」とは「ブランドが提供できる喜び・嬉しさ」のことであり、ブランド提供価値が大きければ大きいほど、ビジネスの成果も大きくなる。

以下の記事では、ブランド力の向上に必須となる4つの提供価値に対して詳細に解説している。

以下の記事を「チェックリスト」としてお読みいただければ、あなたのブランディング活動のヒントが見つかるはずだ。

ブランディング戦略手法【手順8】ブランドアイデンティティを構築する

  • 「正しいマーケティングを愚直に続けていれば、ブランドは自然に形作られていくものだ」

そんな誤解は多いが、ブランディングに長けた欧米の企業はそう考えない。

なぜなら欧米の企業では「ブランド戦略」はマーケティングの上位に位置付けられ、マーケティング活動そのものを規定するための「上位戦略」とされているからだ。

そして、ブランディングの中核に位置づけられるのが「ブランドアイデンティティ」と呼ばれる考え方だ。ブランドアイデンティティは様々な定義がなされているが、このブログの筆者であるk_birdなりに定義すると下記の通りとなる。

 

「ブランドアイデンティティ」とは、生活者とブランドの両方が望む「社会やライフスタイルの未来像」に向けて、そのブランドが守るべき一貫した姿勢のことを指す。

 

SDGs、ESG投資、パーパス経営、マーケティング3.0/4.0など、今やブランドは「市場」だけでなく「社会」にも位置づけ、社会を味方につけることが求められる時代だ。

もし、あなたのブランドが適切にブランドアイデンティティを設定できれば、あなたのブランドは社会で果たすべき役割を持ち、生活者からの共鳴感情を引き出すことが可能になる。

更にブランドがどのように社会や生活を変え、優れた顧客体験を生み出すかについて、一貫したストーリーを語れるようになる。

以下の記事では「これからの時代にふさわしいブランドアイデンティティの在り方」を徹底解説している。

さらにはスターバックスを例に「力強いブランドアイデンティティの作り方」も解説しているので、ブランディングの参考にしていただきたい。

ブランディング戦略手法【手順9】ブランドのパーソナリティ(個性)を設定する

優れたブランドには、際立った個性が存在する。

  • ディズニー、スターバックス、ハーレーダビッドソン、コカ・コーラ…。

ブランドパーソナリティは 、強いブランドを築き上げていく上で必要不可欠な要素だ。

ブランドパーソナリティとは「そのブランド独自の個性」のことを指す。

製品機能が横並びになってしまった現在、ブランドの個性を際立たせ、感情移入を作っていく「ブランドパーソナリティ」は極めて重要性だ。そしてブランドパーソナリティを明確に設定できれば、ぶれずに一貫性を持ったブランディングが展開できるようになる。

以下の記事では、様々な事例を交えながら「なぜブランドパーソナリティが必要なのか?」「どうすれば強いブランドパーソナリティが創れるのか?」について解説している。

  • 「製品の差別化が難しくなった」

もしあなたがそう感じているのなら、次の打ち手につながるヒントが得られるはずだ。

ブランディング戦略手法【手順10】ブランドの知覚品質を設定する

ブランディングを成功に導く上で、製品の品質が重要であることに、あなたも異論はないはずだ。

しかし「品質さえ良ければ、自然と製品は売れていくはず」と考えるなら、あなたは「企業目線」に陥ってしまっている。なぜなら「品質の高さ」を決めるのは、あなたではなく生活者だからだ。

もしあなたがブランディングを成功に導きたいなら「生活者が認識している品質」にも目を向けなければならない。そして「生活者が認識している品質」のことを、ブランディングの世界では「知覚品質」と呼ぶ。

例えあなたのブランドの品質が高かったとしても、生活者がそう認識していなければ「生活者にとっての事実」とはならない。そして生活者は自分が認識していることだけを基準に購入判断をするのだから、例え「事実としての品質」が高くても、知覚品質が低ければあなたのブランドは購入されない。

物理的な品質を高めるのは製品開発担当者の仕事だが「知覚品質」を高めるのはマーケティング担当者であるあなたの仕事だ。

もしあなたがこれまで「生活者側が認識している品質」に目配りができていなかったのなら、これを機会に「知覚品質創り」にチャレンジしよう。

以下の解説をお読みになれば「どうすれば、ブランドの知覚品質が向上するのか?」というブランディングの疑問に対して、答えが見つかるはずだ。

ブランディング戦略手法【手順11】ブランド連想を設定する

あなたは「トヨタ」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか?

「トヨタ=人の名字のこと」

あなたは「そんなバカな…」と思うかもしれないが、文字通り解釈すると上記の答えは正解となる。しかしあなたは「トヨタ=人の名字」とは思わなかったはずだ。

なぜこのようなことが起きるのか?その答えは「ブランド連想」にある。

「ブランド連想」とは、生活者がブランドについて「認識」したり「解釈」したりする一連の連想のことを指す。ぜひ、強いブランドを思い浮かべてみてほしい。

コカ・コーラ、スターバックス、ポカリスエット、ディズニーランドなど、強いブランドは強いブランド連想を作り出しているはずだ。

もし生活者があなたのブランドに対して何の連想も思い浮かばなければ、ブランドに感情移入することはなく、価値を感じることもない。つまり、いつまでも指名買いにつながらない。

ブランド連想に関しては、以下の記事で例を交えながら解説している。もしあなたのブランドが「販促頼み」に陥っているのなら必読の記事だ。

ブランディング戦略手法【手順12】ビジュアルアイデンティティを設定する

人間は外界から受け取る様々な感覚情報のうち、視覚による情報が80%以上を占めるといわれる。

人間にとって視覚は最大の入力装置であることから、ブランドを視覚的に表現する「ビジュアルアイデンティティ」は、ブランディングの成否を分ける鍵となる。

多くの生活者は、あなたのブランドを初めて目にする際に「デザイン」に触れる。そしてデザインはすぐさま「直感的な好き嫌い」に直結するため、トライアル購入につなげる上で非常に重要な要素だ。

もし、あなたのブランドに「ビジュアルアイデンティティ」のガイドラインが存在しないのなら、ぜひ、これを機に導入を検討しよう。

以下の記事では「ビジュアルアイデンティティ」や「ビジュアルアイデンティティの効果」について、例を交えて解説している。ぜひブランディングの参考にしていただきたい。

ブランディング戦略手法【手順13】ブランドロイヤリティ指標を設定する

ブランドロイヤリティとは、生活者がブランドに対して感じる「愛着の度合い」のことを指す。

あなたのブランドを含め、どのようなブランドも「新規顧客の獲得に投資し、リピート顧客からの利益によって投資を回収する」という収益構造になっているはずだ。

仮にあなたのブランドのブランドロイヤリティが低ければ、常に競合ブランドへのブランドスイッチリスクに晒された状態となる。そして「リピート顧客からの利益で投資を回収する」という収益構造が崩れ落ちるリスクすらはらむ。

ここまでお読みいただければ、ブランドロイヤリティの向上こそが、ブランディングの最終目標であることがおわかりいただけるはずだ。

以下の記事では、「ブランドロイヤリティの測定にふさわしい指標」について詳しく解説している。また、合わせて「ブランドロイヤリティを向上させるための8つの手法」についても解説している。

もしあなたが「ブランドロイヤリティ」について詳しく理解したいなら、参照して欲しい。

ブランディングの戦略手法【ステップ4】:ブランドマーケティング戦略を策定する

ブランディング戦略手法【手順14】市場&消費者をセグメンテーションする

目標となるブランドロイヤリティ指標が設定できたら、いよいよブランドマーケティングの策定に移ろう。まず初めに必要となるのがセグメンテーションだ。

セグメンテーションは「STP戦略」を策定する際の初めに行う作業であり、その後の「ターゲティング」や「ポジショニング」を策定する上での「立脚点」となる、極めて重要なステップだ。

もし「立脚点」が間違っていれば、ターゲット設定はずれてしまい、ポジショニングはあらぬ方向を向き、STP戦略は機能しないどころか「大失敗」のリスクすらはらむ。

以下の記事では「3種類あるセグメンテーション」について豊富な成功事例を交えながら解説している。

もし、あなたが単に「セグメンテーション=消費者を分類すること」と安易に捉えているなら、ぜひ目を通してほしい。

ブランディング戦略手法【手順15】ターゲティングを行う

ブランディングにおいて「ターゲティング」が重要であることは、説明するまでもないはずだ。もし「ターゲティング」を間違えれば、いわば「的外れ」という言葉に象徴されるように、ブランディングの投資は無駄に終わる。

しかし、多くの企業は「ターゲティング」が苦手だ。

なぜならターゲティングとは、限りある資源を誰に集中させるかの意思決定であり「その他のターゲットは捨てる」という「捨てる意思決定」を伴うからだ。

以下の記事では「なぜ、ターゲットを絞るべきなのか?」「どうターゲットを選ぶべきか?」について、誰でもわかるように論理的に解説している。

もしあなたが下記の記事をご覧になって「ターゲットを絞るべき理由」や「ターゲットの選び方」を理解できれば、他部門やマネジメント層の横やりにめげることなく「なぜターゲットを絞るのか?」を論理立てて説明できるようになる。

そうすれば、ブランディングはより焦点が絞られ、実効性が高いものになっていくはずだ。

ブランディング戦略手法【手順16】ペルソナ設定を行う

STP戦略のセオリーに従えば「セグメンテーション」「ターゲティング」の次に来るステップは「ポジショニング」だ。しかしk_birdは「セグメンテーション」「ターゲティング」の後に「ペルソナを設定する」ことを強くお勧めする。

多くのブランディングの現場を見てきた実感からすると、ほとんどの企業で「20代女性」などのターゲットは設定されている。しかし同じ「20代女性」でもチームメンバーがそれぞれ異なる「ターゲット像」をイメージしている例も少なくない。

リアルな生活者を頭に浮かべてストーリーを構築することは、ブランディングをきれいごとで終わらせず、現実に向き合う最初の一歩だ。

以下の記事では「ブランディングを成功に導く」ために必須のペルソナ項目とペルソナ設定手法を、例を交えながら解説している。ぜひご参照頂きたい。

ブランディング戦略手法【手順17】消費者インサイトを見出す

ペルソナを設定したら、次はペルソナの「インサイト」を導き出すステップだ。

市場が成熟化して久しいと言われる現在、多くのマーケティング担当者に求められるのは「新しいニーズを創造するす」市場創造型のブランディングだ。

そのためには、顕在化したニーズを後追いするだけでなく、生活者本人すら自覚していない欲求や思考を深く洞察し、新たな市場を創り出すスキルが求められる。

「消費者インサイト」とは、生活者自身が気付いていない「動機に結び付く新たな視点」の事を指す。一般には「生活者の無意識の本音を発見すること」とされるが、本来は「発見する」という受動的なものではなく、マーケティング担当者自身が洞察し、見抜くべきものだ。

もしあなたが「インサイト=発見するもの」と誤解していたのなら、ぜひ一読して欲しい。巷に流布する「消費者インサイト」にはない視点をふんだんに取り入れているため、あなたにとって「目からウロコ」のはずだ。

ブランディング戦略手法【手順18】ブランドのポジショニングを設定する

消費者インサイト導き出したら、続いては「ポジショニング」を設定するステップだ。

ポジショニングとは「生活者から見て、そのブランドしか果たしえない独自の役割」を設定し、その認識を築き上げていく取り組みを指す。

もしあなたのブランドが「生活者の日々の生活の中で独自の役割を持つ」ことができれば、ブランドは生活者の日常に組み込まれ、日常生活を送る上で手放せない存在となる。

にもかかわらず、実務の現場では「ポジショニング=差別化」と曲解されているケースも多い。そして「ポジショニング」を「差別化」と曲解すると、本来の目的とは裏腹に、価格競争に巻き込まれてしまうことになる。

以下の記事では、その理由について徹底解説している。また、強いポジショニングを設定する方法についても豊富な例を交えて解説しているので、ぜひ一読をお勧めする。

ブランディングの戦略手法【ステップ5】:ブランディングの実行戦略を策定する

ブランディング戦略手法【手順19】マーケティングミックスを策定する

「マーケティングミックス」と言えば、多くのマーケティング担当者が思い浮かべるのは「マーケティングの4P」だろう。

しかし実務では「教科書上のきれいごと」では事が進まず、最も大きな壁となりやすいのが「4P」だ。

一般に、STP戦略はマーケティング部門が主導して進むことが多い。しかしマーケティングミックスに局面が移ると、多くの部門が関与し始めることになる。その結果、あなたは「考え方が異なる他部門を率いる」というリーダーシップが求められるようになる。

以下の記事では、多くの人を巻き込む必要がある「マーケティングミックス」について「商品戦略」「価格戦略」「流通戦略」「プロモーション戦略」に分けて徹底解説している。

更に「マーケティングの4P」だけでなく「サービスマーケティングの7P」「マーケティングの4C」についても、例を交えながら勘所を解説している。

最後までお読みになれば、あなたは「マーケティングミックスとは何か?」「マーケティングミックスで押さえておくべき勘所は?」などを理解し、周囲を巻き込むことができるはずだ。

ブランディング戦略手法【手順20】ブランドエクスペリエンスをデザインする

あなたがマーケティング担当者なら「ブランド体験」や「カスタマージャーニー」という言葉はどこかで耳にしたことがあるはずだ。しかし「なぜこれからはブランド体験やカスタマージャーニーが重要なのか?」について、あなたは社内に説明できるだろうか?

「ブランド体験」や「カスタマージャーニー」はこれまでの「マーケティングの4P」とは異なり、大きな発想転換が必要となる。

また、優れた「ブランド体験」や「カスタマージャーニー」を実現するには多くの関連部門を巻き込む必要があるため「なぜ、これからはブランド体験やカスタマージャーニーが必要なのか?」という質問に対して「ロジカルに納得させるレベルの」説明力が必要となる。

下記の記事では、優れた「ブランド体験」や「カスタマージャーニー」を形創る上で必要な視点とフレームワークについて解説している。最後までお読みになれば、あなたは「ブランド体験とは何か?」「カスタマージャーニーを形創る上で押さえておくべき勘所は?」などが理解できるはずだ。

ブランディングの戦略手法【ステップ6】:ブランドマネジメントを行う

ブランディング戦略手法【手順21】ブランドマネジメントを行う

ビジネスの世界は「戦略2割・実行8割」と言われる。

これはブランド戦略も同様であり、単に「ブランド戦略を策定した」だけでは、ゴールではなくスタートにすぎない。

ブランディングを成果に結びつけるためには「優れたブランド戦略」が必要なのはもちろんだが「ブランド戦略を実現させる優れたブランドマネジメント」も求められる。

しかし「ブランドマネジメント」は極めて抽象度が高い概念であるため、明確な定義が存在しない。そのため「何を」「どうする」ことなのか、明確なイメージが湧きにくいのが難点だ。

人は、イメージできないことは実行できない。ブランドマネジメントとは「何を」「どうする」ことなのかという共通認識が持てなければ、ブランドマネジメントはワークしない。

下記の記事では、ブランドマネジメントとは「何を」「どうする」ことなのかについて解説している。ぜひ、ご覧いただければ幸いだ。

ブランディングの成功事例

ここまでお読みいただいたあなたなら、すでにブランディングについて、多くの学びを得ているはずだ。それらを念頭にブランディングの事例を読み進めていただければ、ブランディングに対するあなたの理解は、グッと深まるはずだ。

商品ブランディングの事例:ニベアの商品ブランディング事例

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 ニベアのブランディング事例から学べるのは「ブランドアイデンティティ」や「ビジュアルアイデンティティ」の重要性だ。

ニベアは、ドイツで1911年に発売されたスキンケアクリームのリーディングブランドだ。現在は世界187カ国で発売されている。

日本法人であるニベア花王は、ニベアの発売元である「バイヤスドルフ・ホールディング・ジャパン」と花王が合弁で設立した会社だ。スキンケアクリームを中心に、日焼け止め、リップクリーム、デオドラント剤などを発売している。

ニベアブランドの成功要因は、強い「ブランドアイデンティティ」と「ビジュアルアイデンティティ」そしてそこから生まれる強い「ブランド連想」だ。

ニベアのブランドアイデンティティとは「肌がふれあう。ただそれだけで、人は人をあたためることができる。まもることができる。一生の素肌に。」と謳われているように「肌同士が触れ合うような、深い愛情を守り続ける」ことだ。

また、ビジュアルアイデンティティ面では、ブランドのシンボルカラーであるミッドナイトブルーを一貫させている。

さらに、ブランド連想面では、ニベアとは「信頼」や「愛情」あるいは「やさしさ」というブランド連想で一貫しており、時代は変わっても、多くの人々が幼い頃に母親の愛情と共に出会うブランドだ。

これらが「母の深い愛情に守られていた」という記憶や経験と相まって、時代を越えたニベアブランドのブランド価値となり感情移入を創っている。

さらにニベアは、ブランドマネジメント花王の元会長をうならせた有名な逸話がある。

花王の元会長が、提携先のバイヤドルフ社の会長にパーティで会ったとき、花王の会長は「あなたは誰のために働いているのですか?」と問い掛けたという。

ニベアの会長は「ニベアというブランドを守り、 育てていくために働いているのだ」という回答をしたといわれるが、その後、同じ質問をニベアの海外部長にもしたところ、全く同じ返事が返ってきて驚いたという。

花王はブランドマーケティングに長けた企業とされるが、その取り組みのきっかけとなったのがニベアだ。

このように「ブランドのために働いている」 という哲学は、ニベアのみならず他の欧米企業のブランドには少なからず存在する。

サービスブランディングの事例:東京ディズニーランドのサービスブランディング事例

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東京ディズニーランドは、アメリカのディズニー本社のライセンスを受けて、日本の株式会社オリエンタルランドが1983年より運営をしているテーマパークだ。あまり知られていないことだが、米国に次いで海外進出第一号だったという。

「東京ディズニーランドといえば、夢と魔法の国」。その認識に、あなたも異論はないはずだ。東京ディズニーランドは現実から離れた異空間であり、日常から離れた物語の場所だ。

東京ディズニーランドには、日本一の絶叫コースターもなければ、日本一の観覧車もない。しかしこれだけ多くの人が引き込まれるには、技術的に優れたアトラクションではなく、物語の力があるからだ。そこに物語があるからこそ印象に残り、引き込まれ、ブランドへの感情移入が促される。

さらに、東京ディズニーランドには、そのブランド力を物語る有名な逸話がある。

ある日、来場客がカストーディアルキャスト(掃除スタッフ)に「何を拾っているのですか?」と尋ねた際に、そのスタッフが「星のかけらを集めています」と答えたとされる逸話だ。

実はディズニーランドには「聞かれたらこう答えよう」といったマニュアルは存在しない。k_birdも試しに尋ねてみたことがあるが、全員が揃って決まった返答をすることはない。清掃キャスト一人一人が自分で考えたオリジナルだ。

東京ディズニーランドといえば「厳格なブランド管理」が語られがちだが、真の競争力は優秀な人材だ。パークで働いている9割のキャストは準社員(アルバイト)だと言われるが、上記の逸話の通りアルバイトスタッフが極めて優秀であり「そのブランドらしさ」を体現した働きを自発的にすることが強い競争力となっている。

東京ディズニーランドで働くアルバイトスタッフは、そもそも「ディズニーブランド」のファンであることが多い。そして、ファンであるがゆえに「そのディズニーらしさ」を誰よりも深く理解している。その結果、たとえマニュアルがない局面でも、自発的に「そのディズニーらしいふるまい」をし、顧客を喜ばすことができるのだ。

さらに、ディズニーが好きでアルバイトに応募し働いているため、アルバイトスタッフであるにもかかわらずパークに対する帰属心や貢献意欲が高く「ディズニーランドの役に立ちたい」というモチベーションが高い。

その結果、東京ディズニーランドの外側からの「見栄え」だけでなく、内側からもブランドを強くしていく「組織文化」が形成され、その組織文化が「そのブランドらしい」個性的なサービスや接客を生み出していく。

それを裏付けるかのように、ディズニーランドの創始者であるウォルト・ディズニーは以下のように語っている。


世界中でもっともすばらしい場所を夢見て、創造することはできる。設計し、建設することもできるだろう。しかしその夢を実現するには人々の力が必要だ。

-ウォルト・ディズニー

 

東京ディズニーランドは「物語による感情移入」を武器に、ブランドの外側(顧客)と内側(アルバイトスタッフ)の双方から競争力を築き上げていったサービスブランディング事例の代表格と言えるだろう。

BtoBブランディングの事例:ドルビーラボラトリーズのBtoBブランディング事例

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もしあなたが映画好きなら、上記のロゴは頻繁に目にしたことがあるはずだ。しかしあなたはドルビーラボラトリーズの「広告」をご覧になったことがあるだろうか?

ドルビーラボラトリーズは、映画、テレビ、記録メディアその他の音響記録・再生技術に関わる研究、開発を行う米国の企業だ。同社は装置製造だけでなく、開発した技術を他社に積極的にライセンスすることで収入を得るビジネスモデルを採用している。

ドルビーラボラトリーズは1968年、自社の技術をライセンス供与することを決めている。当時提供していたのは音楽録音時のノイズを低減する「ノイズリダクション技術」であり、急速に拡大していた音楽産業・映画産業において最も注目されていた技術だ。

ドルビーラボラトリーズは、自社のノイズリダクション技術をブランド化することを目指し、技術特許のライセンス、商標、ノウハウに関する権利、回路販売数に基づいたロイヤリティプログラムを創り上げている。

更に、ドルビーラボラトリーズは自社が定めた商標を表示した製品については、ノイズリダクション技術の品質を保証しただけでなく、商標の入ったすべての製品の品質イメージを高く維持させる取り組みを行った。

その結果、ドルビーラボラトリーズは多額の広告費を使わずにロゴマークを認知させ、今ではセットメーカー製品、ゲームソフト、テレビ作品、映画作品などの幅広い分野で「高音質性を保証するシンボル」として認知されている。いわばBtoBtoCのブランディング事例だ。

このブログから書籍化した本4冊

ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」

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冒頭でも紹介させていただいたが、再度こちらでも紹介させていただこう。

ブランディングは、ややもすれば「デザインの話」「広告の話」「世界観の話」など、掴みどころのない抽象論に陥りがちだ。

しかしブランディングは「ブランド戦略」という言葉があるように、企業の成否を大きく左右する戦略のひとつだ。そして投資が伴う以上、一定の合理性と説明責任が求められる。決して、売上や利益から逃げてはならないのだ。

本書は、つい「感覚論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

「論理」が理解できなければ、ブランディングを体系的に理解することできず、再現性を生むことができない。

そして「直感的な腹落ち感」がなければ、ブランディングを実務に落とせず、成果をもたらすことができない。

本書は、広告代理店&外資系コンサルティングファームで培った「生の知見」と「体系的な解説」を通して、ブランディングの理論を実践へとつなげて解説している。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー1位を獲得し、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

もし本書を手にとって頂ければ、ブランディングの専門用語はもちろん、実践の手順や実務の勘所が、一通り学べるはずだ。

kindle Unlimitedを契約されている方は無償で手に入れることができるので、気軽に手に取っていただきたい。

シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説

あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。

なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。

しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考のメリットは説くものの、肝心の「仮説思考のマスターの仕方」になると、

  • 「センスが必要」
  • 「経験の積み重ねが物を言う」

など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせているものが多い。

一方で本書は「仮説思考に必要な推論の手順」を、豊富な事例とともに解説している。よって、その手順通りに推論を重ねれば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。

おかげさまで本書は6版を重ね「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただいた。NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、中国や台湾、香港でも出版が決定している。

さらにAmazonレビューでも、

  • 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
  • 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
  • 「一生もののスキルになるのは間違いない」

など有難い言葉を頂戴しており、5刷を重ねている。

もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。

ロジカルシンキングでは学べない「視点力」と「法則力」を身につける※無料のオーディオブック特典付

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例え同じ本を読んだとしても、そこから得られる「学びの量」は、人によって何倍も変わる。そして、人は学びを通してしか成長できない以上、その差はやがて、あなたの職業人生すら大きく変えてしまうことになる。

同じ本を読んでいるはずなのに、人によって「得られる学びの量」が何倍も変わってしまう。この差は、いったい何から生まれるのだろうか?

それは、1冊の本から「知識」を得ようとするか「知識の"運用能力"」を得ようとするかの差だ。

多くの読書術の本は「多読」「速読」など「いかに効率的に知識を得るか?」をテーマにしている。しかし、どんなに効率的に知識を得たとしても、ただそれだけでは「知識の暗記」止まりになる。得られる学びはごくわずかだ。

一方で、読書を通して「知識の"運用能力"」を身につけることができれば「たった1つの知識」を複数の分野に応用し、何倍もの成果を生み出すことが可能になる。

本書「読書の方程式」は、ビジネス書を通して「どう知識の"運用能力"を身につけるか?」を解説した書籍だ。そのポイントは、ビジネス書から学び取る「視点」「法則」そして「抽象化」にある。

おかげさまで、本書は日経やThe21、STUDY HACKERなど多くのメディアに取り上げていただき、発売3か月で海外の翻訳出版も決定した。Amazonレビューでも、

  • 「こんな風に自分を成長させる読み方があったのか!」
  • 「読書術の本では、これまでで最も良い本」
  • 「読書の概念が変わった」

など、ありがたい言葉を頂戴している。

もしあなたが「知識の"運用能力"」を身につけ、1つの事実から得られる「学びの量」を何倍にもしたいなら、ぜひ本書で紹介する読書法を実践して欲しい。

※無料のオーディオブック特典付

8ジャンル57個の仕事術で「実践力」を身につける

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どのようなビジネスも、実践が伴わなければ成果は出ない。しかし、いざ「実践力」を身につけようとしても、その分野は、

  1. 時間管理術
  2. 段取り術
  3. コミュニケーション術
  4. 資料作成術
  5. 会議術
  6. 学び術
  7. 思考術
  8. 発想術

など多分野に渡り、最低8冊分の読書時間と書籍代がかかってしまうのが難点だ。

しかし、本書「超効率ハック」は、8つの分野の仕事術の「重要ポイントだけ」を抜き出し、ギュッと1冊に凝縮した書籍だ。

さらに、本書は「訓練や習慣化が必要な作業テクニック」ではなく「行動を変えるための頭の使い方」の解説に力を入れているため「頭のスイッチを切り替える」だけですぐに実践できるのも特色だ。

おかげさまで、本書を題材にしたSchooのオンライン授業では「思考法ジャンル」で人気ランキング1位を頂いた(139講座中)。また、lifehackerやOggiなど数多くのメディアで取り上げていただき、Kindleでは「オペレーションズ部門」でベストセラー1位を獲得している。

Amazonレビューでも、

  • 「思考と行動の質を上げるヒントが盛りだくさん」
  • 「読んでみると、頑張りどころを間違えてたことに気付かされる」
  • 「仕事が速い人はこれをやってたんだな、ということがよくわかった」

など、ありがたい言葉を頂戴しており嬉しい限りだ。

もしあなたが「短時間で網羅的に仕事術を学びたい」「根本から仕事の生産性を高めたい」と感じているのなら、ぜひ手に取ってみて欲しい。

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終わりに

今後も、折に触れて「ロジカルで、かつ、直感的にわかる解説」を続けていくつもりだ。 

しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。

それでも、このブログに主旨に共感し、何かしらのヒントを得たいと思ってもらえるなら、ぜひこのブログに読者登録Twitterfacebook登録をしてほしい。

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