Mission Driven Brand

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ブランディングの戦略家が【ブランド戦略の全て】を解説するブログ

ブランドロイヤリティとは|ブランディングの評価指標と向上手法|事例有

ブランドロイヤリティとは|8つのロイヤルティ向上手法と評価指標

このページに辿り着いたあなたなら「ブランドロイヤリティとは何か?」あるいは「ブランディングの評価指標」に関心があることだろう。

このブログ「Mission Driven Brand」は、外資系コンサルティングと広告代理店のキャリアを持つ筆者が、ブランディングやマーケティングの「できない、わからない」を解決するブログだ。

ブランドは経営にとって重要な資産であり、業績をも左右する。そんな「ブランド資産」の中でも最も重要とされるのが「ブランドロイヤリティ」だ。

ブランド論の大家であるD.A.アーカーも、ブランドロイヤリティは「ブランドエクイティ要素の中でも特別なもの」として位置づけている。


ブランドロイヤリティは、すべてのブランド価値の中核をなす。

ブランド構築の目標の一つは、セグメントごとのロイヤリティの大きさと密度を強化していくことだ。

-D.A.アーカー

今回は、ブランディングの成否を決定づける「ブランドロイヤリティについて解説する。その内容は以下の通りだ。

  • ブランドロイヤリティとは何か?
  • ブランドロイヤリティとリピート率は何が違うのか?
  • ブランドロイヤリティと顧客満足度は何が違うのか?
  • ブランドロイヤリティの2つの評価指標とは?
  • ブランドロイヤリティを高める8つの手法とは?

もしこの解説を最後までお読みになれば「ブランドロイヤリティとは何か?」について、一通り理解できるはずだ。

ブランド戦略を学びたい方へ。このブログから書籍化した「ブランディングの教科書」。

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まずは冒頭に、僭越ながら拙著を紹介させていただこう。

「ブランディング」は捉えどころがなく、なかなか一歩を踏み出せない。あなたはこのような状況に陥ってはいないだろうか?

本書の執筆陣は、ある時は広告代理店のストラテジックプランナーとして、ある時は、外資系コンサルティングファームのコンサルタントとして、クライアントの実務担当者が悪戦苦闘する姿を見てきた。

「ブランディング」は、その本質を理解しないまま実行に移そうとすると、的を射ない小手先の手法を延々と繰り出すことになりがちだ。結果、やみくもに予算を消化したまま、成果が出ない事態に陥ってしまう…。

そのような事態を1件でも減らしたい。そう考えたのが本書を執筆した理由だ。

ブランディングの本は、どれも「ブランドのらしさ」「ブランドの世界観」など「ふわっと」した話になりがちだ。そして「ふわっ」とした話になればなるほど抽象的かつ曖昧な概念論になってしまい、企業組織の中で通すことが難しくなる。

本書は、外資系コンサルティングファームと広告会社で培った「生の知見」をふんだんに盛り込みつつ、つい「抽象論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

本書のタイトルは「ブランディングの教科書-ブランド戦略の理論と実践」だ。

「理論」が理解できなければ、ブランディングを体系化できず、ビジネスに再現性を生むことができない。そして「実践」が理解できなければ、ビジネスに成果をもたらすことができない。

本書は、ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」として、ブランド戦略の再現性と成果を目指した書籍だ。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー1位を獲得し、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

  • クッキー規制によりデジタルマーケティングでCTRやCVRが頭打ち。CPAは下がるどころか、少しずつ上昇傾向ですらある。
  • 矢継ぎ早に新商品を繰り出してもすぐに競合に追い付かれ、差別化ができない。商品開発サイクルは更に早まり、自転車操業状態になっている。
  • 「自社にはブランディングが必要だ」と理解はしているが、概念が抽象的過ぎて、どう周囲を巻き込んでいいかがわからない。

もし、あなたがこれらに当てはまるなら、ぜひAmazonのページで本書の目次をチェックしていただきたい。つい感覚論になりがちな「ブランディング」に対して、

  • なぜ、そうなのか?
  • どう、ビジネスに役立つのか?
  • 何をすればいいのか?
  • 具体的な日本のブランドの事例は?

を徹底して解説しているので、あなたのお役に立てるはずだ。

kindle Unlimitedを契約されている方は無償で手に入れることができるので、気軽に手に取っていただきたい。

ブランドロイヤリティとは?ブランドロイヤリティの意味とは

ブランドロイヤリティとは

まずは「ブランドロイヤリティの定義・意味」について確認しよう。K_birdが定義するブランドロイヤリティとは下記の通りだ。

ブランドロイヤリティとは何か

ブランドに対して感じる「愛着の度合い」

あなたのブランドの顧客は「新規の顧客」と「リピート顧客」の2つに分かれるはずだ。そして一般的に、新規の顧客を獲得するためには先行投資が必要となる。

そしてその先行投資は、リピート後の顧客からの収益によって回収する、という構図になっているはずだ。

しかしここで想像してみて欲しい。

もし仮に、リピート顧客があなたのブランドに対してブランドロイヤリティ(=愛着)を感じていなければ、あなたのブランドは常に競合ブランドへの流出リスクに晒された状態となる。

そして現実に競合ブランドへの流出が起きれば、あなたのブランドは収益が上がらないどころか、先行投資を回収できず赤字に陥ることになる。

一方で、ブランドロイヤリティの向上は、事業収益を底上げする。

ある研究結果によれば、ブランドロイヤリティが5%向上すると顧客1人当たりの生涯価値が95%高まると言われている。さらに顧客はブランドロイヤリティが高いブランドに対して最大25%の価格プレミアムを支払う、という研究結果もある。

また、コスト面で見ても、2%のブランドロイヤリティ向上が10%のコスト削減につながるという研究結果もある。

その他、ブランドロイヤリティがあなたの企業にもたらすメリットは多岐にわたる。詳しくは下記の関連記事を参照頂きたい。ブランド戦略がもたらす様々なメリットを事例を交えて解説しているので、より理解が深まるはずだ。

冒頭で触れた通り「ブランドロイヤリティ(=ブランドに対する愛着の度合い)」は他のブランドエクイティ要素である「ブランド認知」や「知覚品質」あるいは「ブランド連想」とは大きく異なる。

なぜなら、ブランドの「売上」や「利益」「コスト」などの財務指標に直結していく概念だからだ。にも関わらず「ブランドロイヤリティ」は他の指標と比べて混同されがちな概念でもある。

以降ではブランドロイヤリティの代替指標として使われがちな「リピート率」及び「顧客満足度」と比較することで「ブランドロイヤリティ」の輪郭を浮き彫りにしていこう。

ブランドロイヤリティとリピート率の違い

あなたは「ブランドロイヤリティ」と「リピート率」の違いを明確に説明できるだろうか?

近年、デジタルマーケティングが浸透し、これまでと比べて顧客データや購買履歴データを入手しやすくなっている。そしてその結果ありがちな事例が、データだけを見て「ブランドロイヤリティを高めること=リピート率を高めること」と捉えてしまう誤解だ。

確かにブランドロイヤリティが高まれば、リピート率は高まる。しかしリピート率が高いからと言ってブランドロイヤリティが高いことにはならない。

それどころか、時に「リピート率」をブランドロイヤリティの代替指標に用いたために、ブランド戦略のミスリードを引き起こしてしまう可能性すら有り得る。

なぜなら、一括りに「リピート率が高い顧客」といっても、その内訳には3種類の顧客が存在するからだ。

  • このブランド「が」いいと感じてリピート購入している顧客
  • このブランド「で」いいと感じてリピート購入している顧客
  • 仕方なくリピート購入している顧客

以下、一つずつ解説しよう。

このブランド「が」いいと感じてリピート購入している顧客

「このブランド“が”いい」と感じてリピート購入してくれる顧客は、あなたの狙い通り「ブランドロイヤリティ」が形成され、その結果としてリピート購入をしてくれる顧客だ。つまりブランドに対して感情移入がなされ、愛着が伴っている状態といえる。

このような状態の場合「リピート購入」に対して「ブランドへの愛着感情」という心理的な裏付けがあるため、簡単には競合ブランドにスイッチしない。ブランドロイヤリティを伴った顧客は、長期的に収益をもたらしてくれる大切な顧客だ。

このブランド「で」いいと感じてリピート購入している顧客

「このブランド“で”いい」と感じてリピート購入している顧客は、単なる慣性であなたのブランドを購入している。

k_birdの経験では「価格」を競争力にしているブランドや「流通支配力」「営業力」のみを強みとしているブランドに多く見られる傾向だ。

ブランドに対して「価格の安さ」や「入手利便性」を越えて「心理的な愛着感情」までに至っていないために、明確な理由がないままに「なんとなく」でリピート購入されている状態だ。

そして賢明なあなたなら、ここまでお読みになって「ブランドロイヤリティ=リピート率」と捉えてしまうことが、どれだけ危険なことかお気づきになったのではないだろうか?

「このブランド“で”いい」という消極的な理由でリピート購入している顧客は、あなたのブランドに愛着があるわけでもなければ、好きで選んでいるわけでもない。単なる習慣や慣性、あるいは「近くにあって手に入りやすいから」購入し続けているにすぎない。

そしてもし「リピート購入」しているあなたの顧客の大半が上記のような顧客だったとしたらいかがだろうか?

残念ながら「リピート率」は行動指標であるために「顧客の気持ち(=ブランドロイヤリティ)」を反映しない。結果、あなたのブランドの顧客基盤は「高いリピート率」とは裏腹に「ブランドスイッチ」という「見えないリスク」に晒され続けていることになる。

仕組み上、仕方なくリピート購入している顧客

あなたは「契約はネットで簡単にできたのに、解約となると手続きが面倒なので解約していない」という状況に陥ったことはないだろうか?

「囲い込み」という言葉に象徴されるように「ブランドロイヤリティ=リピート率」と捉えてしまうと、企業側は「いかに顧客を仕組みで囲い込むか?」という目線になりがちだ。

しかしブランディングにおいて重要なのは「どう顧客を囲い込むか」という企業目線ではなく「どう顧客から囲い込んでもらえるか」という顧客目線だ。

仕組みで縛れば見かけ上「リピート率」は高まるが、肝心の「ブランドロイヤリティ」は下がることになる。

ブランドロイヤリティと顧客満足度の違い

続いて、こちらもよく混同されがちな「ブランドロイヤリティ」と「顧客満足度」の違いを解説しよう。

顧客満足度を測る際、よく使われるのが「顧客満足度アンケート」だ。これまで解説してきた「リピート率」とは異なり「顧客の心理」を裏付けにしていることから「リピート率」と比べて「ブランドロイヤリティ」を反映している指標のように思える。

しかし気を付けたいのは「顧客満足度」は「企業側の認識」と「顧客側の認識」で大きく異なる場合がある点だ。

「満足度」とは、言葉尻をそのまま解釈すれば「満ち足りた度合い」となる。そしてk_birdの長年のリサーチ経験からも、この定義は極めて的を射ていると確信している。

しかし、この「満ち足りた度合い」こそが「企業側の認識」と「顧客側の認識」の乖離を生んでしまう。

顧客満足度アンケートの多くは「あなたは我が社の製品・サービスに満足しましたか?」という質問後に「満足した」「やや満足した」「どちらともいえない」「あまり満足していない」「満足していない」の5段階で評価してもらうことが多い。

そして「満足した」「やや満足した」の2つを足したものを「トップ2ボックス」と呼び、これを持って「顧客満足度」の指標とする。

しかしこの考え方には2つの誤解がある。以下、解説しよう。

「やや満足した」=「普通だけど物足りない」

これは当たり前のことだが、本当に満足した人なら「やや満足した」ではなく「満足した」にチェックを入れるはずだ。

そこをあえて「”やや”満足した」という「1段階下」にチェックを入れた顧客は、至らない何かがあったことになる。

k_birdの場合、顧客満足度調査をする際には「満足」~「満足していない」までの5段階評価をした後に「そのような評価をした理由をお書きください」という主旨の自由回答欄を設けることにしている。

これまでの経験上「やや満足した」をチェックした人の自由回答を読んでみると、多いコメントは「まあ、そこそこです」といった主旨のコメントだ。さらに「ただし1点だけ挙げるとすれば…」などとネガティブなコメントが続くことも多い。

つまり「やや満足」は、ストレートに行ってしまえば「まあまあ満足だけど、少し物足りない」という状態であり、この状態を持って「ブランドロイヤリティ」と言えない。

「満足した」=「特に不満がない」

上記と同様に「満足した」をチェックした人の自由回答を抜き出して読んでみると多いコメントは「想定通り」といった主旨のコメントだ。

これは考えてみれば当たり前のことであり、お金を払って手に入れたモノやサービスが普通に機能すれば、顧客は当面の用は足りているのだから「満足した」という回答をする。

ここから言えるのは、顧客が言う「満足した」とは「特に不満がなく、期待通り」のことであり、必ずしも「ブランドに対する愛着の度合いが高まった」ことを意味しないということだ。

顧客は、機能や性能・スペックなどの実利が期待通りであり、特に不満がなければ「満足」と答える。しかしブランドロイヤリティとは実利を越えた「感情移入の度合い」であることから「顧客満足度が高まった」からと言って、必ずしも「ブランドロイヤリティが高まった」ことにはならないことに注意が必要だ。

ブランドロイヤリティの評価指標

それでは、ブランドロイヤリティを適切に測る指標とは、いったいどのような指標だろうか?より適切にブランドロイヤリティを評価する指標とは、以下の3条件を満たす指標だ。

  • 顧客の「愛着度合い」という「心理」を反映した指標
  • 財務成果との相関が高い指標
  • 測定可能な指標

残念ながら、どの業種・業態にも当てはまる「絶対確実なブランドロイヤリティ指標」は存在しない。しかし実務上よく使われる指標は存在するので紹介しよう。

ブランドロイヤリティの評価指標-1:DWB

DWBとは「Definitely Would Buy」の略で、外資系パッケージグッズメーカーでよく使われている指標だ。

生活者に対して「とても買ってみたい」「買ってみたい」「どちらでもない」「あまり買いたくない」「買いたくない」の5段階で聴き、トップボックスの「とても買ってみたい」の割合をブランドロイヤリティと見なす。

このDWBは商品開発時にもよく使われ、そのスコアは、初年度トライアル率あるいは1年購入経験値に近づくといわれている。

ブランドロイヤリティの評価指標-2: NPS

NPSとは「Net Promoter Score」の略で、そのブランドに対する顧客の「推奨意向」を測る指標だ。このNPSは、様々な指標の中でも最もブランドロイヤリティと相関が高いことが明らかされており、近年注目を浴びている指標だ。

NPSはすでに様々なところで解説されているので簡単な解説にとどめながら、実務上の留意点を解説しよう。

まずは、NPSの測定方法についてだ。NPSの測定手順は以下の通りとなる。

  • 「あなたは友人や同僚に、(ブランドやサービスの名前)をどの程度薦めたいと思いますか?」という質問をする。
  • 選択肢には0(薦めない)~10(薦める)までの11段階を用意し、どこにあたるかを答えてもらう
  • その結果、10~9と答えた集団を推奨者(Promoter)、8~7を中立者(Passive)、6~0を批判者(Detractor)の3つに分類する。
  • 「推奨者」-「批判者」の割合の差を算出しNPS指標とする。

そして、他のロイヤリティ指標と比べてNPSが優れているとされる背景は、以下の3点だ。

  • 指標がシンプルであるため、様々なタッチポイントで管理がしやすい。
  • 収益との相関性が高い。
  • 「友人や同僚に薦めたいか?」と聞くことで、回答心理として「他人に推奨する際の責任」が加味されるため、回答の真実味が深まる。

しかし一方でNPSには実務上の留意点も存在する。その留意点とは以下の2点となる。

  • 日本人は謙虚な国民性からか回答が中心に集中しやすい。その結果「推奨者」-「批判者」の割合の差を算出した際にマイナスのスコアになりやすい。
  • NPSの回答者に自由回答を記入してもらうと「そもそも私は商品を人に薦めたりしません」という人が一定数存在し、その人は「0」をつけやすい。

繰り返しになるが、どの業種・業態にも当てはまる「絶対確実なブランドロイヤリティ指標」は存在しない。

よってNPSに関しても収益との相関を見ながら、選択肢の尺度(11段階)や「推奨者」「中立者」「批判者」の定義をカスタマイズする必要があるだろう。

ブランドロイヤリティ調査の評価指標-2: NPS

ブランドロイヤリティを向上させる8つの手法

続いてはブランドロイヤリティを向上させる8つの手法を紹介しよう。

ブランドロイヤリティ向上手法-1:ブランド提供価値の向上

一つ目はもちろん、ブランディングによるブランド提供価値の向上だ。

ブランドに対する感情移入を形創ることができれば、顧客はブランドに対して愛着や思い入れを感じるようになり、指名買いを続けるロイヤル顧客になってくれやすい。

ブランド提供価値については以下の解説をご覧いただきたい。より理解が深まるはずだ。

ブランドロイヤリティ向上手法-2:ブランドアフィニティ(親近感)の向上

個人的な話で恐縮だが、k_birdはかなり頻繁にスターバックスの銀座マロニエ通り店に通っている。店員さんにも顔を覚えてもらっているほどだ。

ご存じの通り、スターバックスの店員さんはフレンドリーさで知られており「いつもありがとうございます!」などと気軽に声を掛けてもらえると「常連」と認められた気がして嬉しい気持ちになる。

また、接客対応が必要な業態に限らず「自分との距離が近い感じ(=ブランドアフィニティ)」の向上は、他人事だったブランドを自分事化にしていく役割を果たすため、ブランドロイヤリティは向上する。

ブランドロイヤリティ向上手法-3:ユーザーエデュケーション

あなたは、iPhoneユーザーだろうか?それともAndroidユーザーだろうか?

k_birdはAndroidユーザーだが、Androidの使い勝手に慣れてくると、iPhoneを手にしたとき、非常に使い辛く感じる。おそらく、逆もしかりではないだろうか?

人は、モノやサービスを使えば使うほど「慣れ」が生じ、他のブランドにスイッチしにくくなる。いわゆる「スイッチングコストが上がる」という現象だ。

その結果、あなたのブランドを使い続けてもらいやすくなる。このような状況を意図的に創るためには「様々な用途を提案する」「丁寧に使い方を教える」など、エデュケーションアプローチが有効だ。

ブランドロイヤリティ向上手法-4:ユーザーコミュニティ

コミュニティの形成もブランドロイヤリティの向上に有効だ。

ブランドのファンコミュニティを形創ると、そのコミュニティに参加した顧客同士が同類意識を持ちやすい。そして同類意識を持つファン同志のコミュニケーションが始まると、ブランドの背景や歴史、使い方など、ブランドに対する知識の共有が活発化する。その結果、ブランドロイヤリティが強化される。

さらに、ブランドロイヤリティが高い顧客はエバンジェリスト(=伝道師化)として、まだそのブランドに関心を持たない人たちに対して、ブランドの良さを広めてくれることも多い。

近年のソーシャルメディアの普及により、過去と比べファンコミュニティの導入ハードルが下がっている。その結果、ソーシャル拡散による推奨効果も得やすくなっているのだ。

ブランドロイヤリティ向上手法-5:シリーズ化

雑誌や新聞では、その時々の特集やニュースに加え、連載記事が掲載されているのはあなたもご存じのはずだ。

この「連載」という手法は「続きが気になる」「続きが読みたい」という気持ちを引き出すことを通して既存顧客との接触頻度を保ち、ブランドロイヤリティの向上を促すことを意図している事例だ。

また、あるパンのメーカーが「春のパン祭り」と称して、何十年もの間、様々な白いお皿をプレゼントするキャンペーンを展開しているのも「シリーズ化」を通してコレクション意識を掻き立て、ブランドロイヤリティの維持・向上を意図した事例だ。

心理学に「単純接触効果」という理論がある。人間は単純に接触頻度が多いだけで、それらのものを好きになりやすいとする理論だ。

あなたのブランドは、商品やノベルティ、あるいは情報やコンテンツを通して、シリーズ化できる要素はないだろうか?

ぜひ、探してみて欲しい。

ブランドロイヤリティ向上手法-6:利便性の向上

このブログを読んでいるあなたなら、amazonの利用経験は、一度や二度ではないはずだ。近くの本屋に行けば当日に手に入る本でさえAmazonで注文した、という経験もあるはずだ。

Amazonは検索を通して瞬時に探している本を見つけてくれる。更にレコメンド機能を通して自分の興味がありそうな本をおすすめしてくれるのも便利が機能だ。

このように、利便性はブランドロイヤリティの向上に寄与する。

ついマーケティングとなると商品やサービスの機能や品質面に目が向きがちだが、一度「利便性」についても深く考えてみよう。ブランドロイヤリティを向上させるヒントが見つかるはずだ。

ブランドロイヤリティ向上手法-7:ゲーミフィケーション

このブログをご覧のあなたなら、既にスマートウォッチは購入済かもしれない。

スマートウォッチは腕時計とITが融合したウェアラブル端末だが、スマートウォッチのユーザーは、搭載されている歩数計などをうまく活用して健康管理をしている人も多い。

一方で、スマートウォッチの歩数計はクラウドと連携しており「友達と歩数を競える」「歩数を積み重ねることで日本全国を制覇できる」など、ゲーミフィケーションを取り入れたサービスを展開している。

ゲーミフィケーションの本質は、ブランドにまつわるストーリーを構築し、そこに顧客を巻き込むことでブランドへの参加意識と感情移入を創ることにある。

近年、ストーリーテリングの重要性が叫ばれていることからもわかる通り、ストーリーと感情移入の相性は抜群だ。あなたのブランドも、オウンドメディアやキャンペーンなどを通してゲーミフィケーションを取り入れる余地はないだろうか?

ブランドロイヤリティ向上手法-8:ロイヤリティプログラム

最も伝統的な手法と言えるのがポイント制の導入だ。

使い古された手法に思えるが、一方で顧客にとってはメリットがわかりやすい手法であるため、未だに根強い人気がある。

しかし最も良くないのは「気が付いたらポイントが貯まっていた」という状態を創り出してしまうことだ。これでは単なる「放置と値引き」になってしまう。

ポイント制を有効に機能させるコツは、常に目標達成ポイントと顧客の持ちポイントの差がわかるような状態を創り上げておくことだ。

ブランドロイヤリティを高める好循環サイクル

ブランドロイヤリティは、一度高めることができれば好循環をもたらし、長期的に高い利益を生み出す。その「好循環」とは以下の図の通りだ。

ブランドロイヤリティを高める好循環サイクル

ブランドロイヤリティを高める好循環-1:ブランドロイヤリティの向上

冒頭でも解説した通り、ブランドロイヤリティとは「ブランドに対して感じる愛着の度合い」のことだ。そしてブランドロイヤリティを向上させる上での基本は、こちらもすでに解説した通り、ブランド提供価値の明確化となる。

ブランドロイヤリティを高める好循環-2:販売数量の拡大

ブランドロイヤリティが向上していけば、あなたのブランドには販売数量拡大のメリットが生じる。

なぜならブランドロイヤリティが向上し、ブランドに対する愛着が強まれば強まるほど、その顧客がブランドを周囲に推奨してくれるメリットが生じる。いわゆる「クチコミによる推奨効果」だ。

近年のソーシャルメディアやレビューサイトの普及によって、以前と比べてクチコミの影響範囲ははるかに広くなっている。ブランドの知名度が高まり、愛着感情を持ってくれる顧客が増えれば、クチコミ推奨による販売機会も広がるはずだ。

ブランドロイヤリティを高める好循環-3:価格プレミアムの向上

ブランドロイヤリティが高まり、ブランドに対する愛着度合いが強まれば強まるほど、ブランドは顧客から見て「特別なブランド」に育っていく。結果「ほかには替えられないブランド」となり、例え類似商品より多少高くても選ばれやすくなる。

さらにブランドへの愛着度合いが高まれば、顧客はそもそも類似商品と比べることすらしなくなる。いわば比較をせずに「指名買い」をしてくれる状況だ。その結果、価格競争に巻き込まれず、高い商品価格を維持しやすくなるメリットが生じる。

ブランドロイヤリティを高める好循環-4:顧客獲得コストの低下

新たな顧客を獲得するためには、多くの広告宣伝費がかかるのは、あなたもご存じの通りだ。

ここでぜひ、あなたのブランドが多くの生活者から愛着を持たれ「指名買い」されている状態を思い浮かべてみて欲しい。

「多くの生活者に指名買いされている状態」ということは、つまり「広告宣伝を見たり聞いたりしなくても、向こうから指名で買っていただけている状態」と同じだ。

つまり「これまでは多大な広告宣伝費を使わないと買ってもらえなかった」状態から「例え広告宣伝をしていなくても、指名で買っていただけてる生活者が多数いる状態」になるため、同じ売り上げを上げるにも、広告宣伝費は必要最小限で済むようになる。

ブランドロイヤリティを高める好循環-5:顧客維持コストの低下

「顧客維持」は、あなたのビジネスにとって致命的に重要な要素だ。しかしブランドロイヤリティは「顧客維持」にも大きなメリットをもたらす。

ブランドロイヤリティの向上によって、顧客の愛着度合いが強まれば強まるほど、顧客から見て「思い入れが強いブランド」に育っていく。

そして価格プレミアムと同様に「愛着感情」が強くなればなるほど、競合商品に対する「浮気」が起きにくくなるため、追加コストをかけなくても「リピート率」を高く維持できるようになる。

ブランドロイヤリティを高める好循環-6:利益の向上

ブランドロイヤリティが向上すれば、販売面では「販売数量の拡大」「価格プレミアムの向上」というメリットが生じる。

一方でコスト面では「顧客獲得コストの低下」「顧客維持コストの低下」というメリットが生じる。

結果、ブランドロイヤリティを向上させることによって、ブランド利益は飛躍的に拡大する。

ブランドロイヤリティを高める好循環-7:ブランディング投資の拡大

ブランド利益が拡大すれば、あなたは更なるブランディング投資を加速させることができるようになる。その結果、ブランド力においてライバルブランドを引き離し、あなたのブランドは長期的に利益を生み続けるようになる。

このブログから書籍化した本4冊

ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」

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冒頭でも紹介したが、再度ここでも紹介させていただこう。

本書は、筆者の専門である「ブランディング」について解説した書籍だ。

ブランディングは、ややもすれば「デザインの話」「広告の話」「世界観の話」など、掴みどころのない抽象論に陥りがちだ。

しかしブランディングは「ブランド戦略」という言葉があるように、企業の成否を大きく左右する戦略のひとつだ。そして投資が伴う以上、一定の合理性と説明責任が求められる。決して、売上や利益から逃げてはならないのだ。

本書は、つい「感覚論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

「論理」が理解できなければ、ブランディングを体系的に理解することできず、再現性を生むことができない。

そして「直感的な腹落ち感」がなければ、ブランディングを実務に落とせず、成果をもたらすことができない。

本書は、広告代理店&外資系コンサルティングファームで培った「生の知見」と「体系的な解説」を通して、ブランディングの理論を実践へとつなげて解説している。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー1位を獲得し、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

もし本書を手にとって頂ければ、ブランディングの専門用語はもちろん、実践の手順や実務の勘所が、一通り学べるはずだ。

kindle Unlimitedを契約されている方は無償で手に入れることができるので、気軽に手に取っていただきたい。

シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説

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あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。

なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。

しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考のメリットは説くものの、肝心の「仮説思考のマスターの仕方」になると、

  • 「センスが必要」
  • 「経験の積み重ねが物を言う」

など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせているものが多い。

一方で、本書は「仮説思考に必要な推論の手順」を、豊富な事例とともに解説している。よって、その手順通りに推論を重ねれば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。

おかげさまで本書は5版を重ね「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただいた。NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、中国や台湾、香港でも出版が決定している。

さらにAmazonレビューでも、

  • 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
  • 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
  • 「一生もののスキルになるのは間違いない」

など有難い言葉を頂戴しており、5刷を重ねている。

もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。

ロジカルシンキングでは学べない「視点力」と「法則力」を身につける※無料のオーディオブック特典付

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人は誰しも「視点」を通してしか物事を考えることができない。別の言い方をすれば、「何を考えるか?」は視点が支配してしまうともいえる。

 人の思考は必ず、

  1. 視点:まずは何らかの「視点」を置き
  2. 法則:その「視点」を元に「ああなれば→こうなるだろう」という「法則性」に当てはめ
  3. 結論:結論を出す

というステップを辿る。

つまり、どんなにロジカルシンキングに長けていても、論理の前提となる「視点を置き方」を間違えれば結論は間違ったものになる。

また、どんなに適切な視点を置いたとしても「ああなれば→こうなるだろう」という「法則」のストックがなければ、再現性の高い仮説を導き出すことはできない。

本書はビジネス書から「隠れた視点」と「隠れた法則」を発見し、思考の質とスピードを上げていく方法を解説した書籍だ。

もしあなたが自由自在に「視点」を操ることができるようになれば、物事の多様な側面に気づき、次々と「別の選択肢」「別の可能性」を生み出すことができるようになる。

さらに、数多くの「法則」をストックしていけば、様々な現象に「法則」を当てはめることで「的を射た」仮説を瞬時に導き出すことが可能になるはずだ。

おかげさまで、本書はThe21やNIKKEI STYLE、STUDY HACKERなど多くのメディアで取り上げていただいた。Amazonレビューでも、

  • これまでの読書術の常識を次々と塗り替えている目からウロコの本
  • 読書を通して、視点力や仮説思考、抽象化スキルが身に付く良書
  • まさに「モノの見方を変える方程式」

など、ありがたい言葉を頂戴している。

数多くの視点を持っている人は、たとえ同じ状況を見ていても「気づくこと」や「気づきの量」が格段に違う。

数多くの法則を持っている人は「ああなれば→こうなりやすい」という「法則」に当てはめて考えることで、精度の高い未来を予測している。

もしあなたが「ロジカルシンキング本」では学べない「視点力」や「法則力」を身につけたいなら、ぜひ本書で紹介する読書法を実践して欲しい。

※無料のオーディオブック特典付

8ジャンル57個の仕事術で「実践力」を身につける

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どのようなビジネスも、実践が伴わなければ成果は出ない。しかし、いざ「実践力」を身につけようとしても、その分野は、

  1. 時間管理術
  2. 段取り術
  3. コミュニケーション術
  4. 資料作成術
  5. 会議術
  6. 学び術
  7. 思考術
  8. 発想術

など多分野に渡り、最低8冊分の読書時間と書籍代がかかってしまうのが難点だ。

しかし、本書「超効率ハック」は、8つの分野の仕事術の「重要ポイントだけ」を抜き出し、ギュッと1冊に凝縮した書籍だ。

さらに、本書は「訓練や習慣化が必要な作業テクニック」ではなく「行動を変えるための頭の使い方」の解説に力を入れているため「頭のスイッチを切り替える」だけですぐに実践できるのも特色だ。

おかげさまで、本書を題材にしたSchooのオンライン授業では「思考法ジャンル」で人気ランキング1位を頂いた(139講座中)。また、lifehackerやOggiなど数多くのメディアで取り上げていただき、Kindleでは「オペレーションズ部門」でベストセラー1位を獲得している。

Amazonレビューでも、

  • 「思考と行動の質を上げるヒントが盛りだくさん」
  • 「読んでみると、頑張りどころを間違えてたことに気付かされる」
  • 「仕事が速い人はこれをやってたんだな、ということがよくわかった」

など、ありがたい言葉を頂戴しており嬉しい限りだ。

もしあなたが「短時間で網羅的に仕事術を学びたい」「根本から仕事の生産性を高めたい」と感じているのなら、ぜひ手に取ってみて欲しい。

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終わりに

今後も、折に触れて「ロジカルで、かつ、直感的にわかる解説」を続けていくつもりだ。 

しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。

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