この記事に辿り着いたあなたなら「コンセプトとは何か?」に関心があることだろう。あるいは「コンセプトの例」や「コンセプトの作り方」をお探しだろうか?
このブログ「Mission Driven Brand」は、外資系コンサルティングと広告代理店のキャリアを持つ筆者が、ブランディングやマーケティングの「できない、わからない」を解決するブログだ。
こと「コンセプト」と言えば、
- コンセプトワーク
- コンセプトメイキング
- コンセプト設計
- コンセプトデザイン
など、抽象的でわかりずらい専門用語が居並ぶ。また「コンセプト」を扱う分野に関しても、
- 商品コンセプト
- 企画コンセプト
- サービスコンセプト
- ブランドコンセプト
- 事業コンセプト
- 店舗コンセプト
- デザインコンセプト…
など多岐に渡るため、いまいち捉えどころがないのが難点だ。
巷では、
- コンセプトとは、企画をする上での方向性のことである
- コンセプトとは、全体の元となる基本的な考え方・根本的な思想のことである
- コンセプトとは、世界観のことである…
などと解説されているが、どの解説も極めて抽象的であり、これだけでは「コンセプトとは何か?」について腹落ちした理解はできそうにない。
よって、今回はビジネスで頻繁に使われる「コンセプト」の意味について、例を交えながらわかりやすく解説する。目指すのは、
- 様々な分野に応用可能で
- 例を交えてわかりやすく
- 実務に直結する
コンセプトの解説だ。加えて「コンセプトとテーマの違い」や「優れたコンセプトの作り方」についても解説する。
もしあなたがこの記事を最後までお読みになれば「コンセプトの意味がわかる」だけでなく「優れたコンセプトの作り方」まで理解できるはずだ。ぜひ、コンセプトワークの参考にしていただきたい。
また、この記事の最後には、記事内で紹介した図版のスライド資料を用意しているので、ぜひ復習時に活用頂きたい。
★ブランド戦略を学びたい方へ。このブログから書籍化した「ブランディングの教科書」
まずは冒頭に、僭越ながら拙著を紹介させていただこう。
本書は、筆者の専門である「ブランディング」について解説した書籍だ。
本書の執筆陣は、ある時は広告代理店のストラテジックプランナーとして、ある時は、外資系コンサルティングファームのコンサルタントとして、クライアントの実務担当者が悪戦苦闘する姿を見てきた。
「ブランディング」は、その本質を理解しないまま実行に移そうとすると、的を射ない小手先の手法を延々と繰り出すことになりがちだ。結果、やみくもに予算を消化したまま、成果が出ない事態に陥ってしまう…。
そのような事態を1件でも減らしたい。そう考えたのが本書を執筆した理由だ。
ブランディングの本は、どれも「ブランドのらしさ」「ブランドの世界観」など、コンセプトと同様に「ふわっと」した話になりがちだ。そして「ふわっ」とした話になればなるほど抽象的かつ曖昧な概念論になってしまい、組織の中で通すことが難しくなる。
本書は、外資系コンサルティングファームと広告会社で培った「生の知見」をふんだんに盛り込みつつ、つい「抽象論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。
本書のタイトルは「ブランディングの教科書-ブランド戦略の理論と実践」だ。
「理論」が理解できなければ、ブランディングを体系化できず、ビジネスに再現性を生むことができない。そして「実践」が理解できなければ、ビジネスに成果をもたらすことができない。
本書は、ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」として、ブランド戦略の再現性と成果を目指している。
おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー入りを果たし、Amazonレビューでも、
- 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
- 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
- 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」
など、ありがたい言葉を頂いている。
- クッキー規制によりデジタルマーケティングでCTRやCVRが頭打ち。CPAは下がるどころか、少しずつ上昇傾向ですらある。
- 矢継ぎ早に新商品を繰り出してもすぐに競合に追い付かれ、差別化ができない。商品開発サイクルは更に早まり、自転車操業状態になっている。
- 「自社にはブランディングが必要だ」と理解はしているが、概念が抽象的過ぎて、どう周囲を巻き込んでいいかがわからない。
もし、あなたがこれらに当てはまるなら、ぜひAmazonのページで本書の目次をチェックしていただきたい。つい感覚論になりがちな「ブランディング」に対して、
- なぜ、そうなのか?
- どう、ビジネスに役立つのか?
- 何をすればいいのか?
を徹底して解説しているので、あなたのお役に立てるはずだ。
- ★ブランド戦略を学びたい方へ。このブログから書籍化した「ブランディングの教科書」
- コンセプトとは?コンセプトの意味を定義する
- コンセプトの例
- コンセプトとテーマの違い
- コンセプトの重要性
- コンセプトの作り方:コンセプトワークの手順
- コンセプトの書き方と事例
- コンセプトの決め方
- コンセプトの本|おすすめ書籍3冊
- このブログから書籍化した本4冊
- その他の解説記事とおすすめ書籍
- コンセプトとは|コンセプトの例とコンセプトの作り方の手順|スライド資料
コンセプトとは?コンセプトの意味を定義する
コンセプトとは?-1:辞書によるコンセプトの定義とは?
まずはコンセプトの辞書的な定義を確認しておこう。デジタル大辞泉(小学館)によると、コンセプトの意味は次のように定義されている。
- 概念。観念。
- 創造された作品や商品の全体につらぬかれた、骨格となる発想や観点。
しかし、これを読んだだけでは「実務に使える」とは思えないのが率直な感想だ。
コンセプトの語源は「Con-」という強調の接頭語に、ラテン語の「capere(ぐっと捕まえる)」を加えたものだと言われる。この語源からも、コンセプトとは「物事の根本を捉えた考え」であることがご理解いただけるだろう。
もしあなたが「コンセプトの教科書的な定義を知りたい」なら上記で必要十分だが、このブログをお読みのあなたは実務家のはずだ。そして実務家である以上はもっと「実務に直結する」「わかりやすい」コンセプトの定義が必要だ。
コンセプトとは-2:コンセプトの実務的な意味
「コンセプト」を、より直感的でわかりやすくするために、例を交えて解説していこう。もし仮に、あなたの目の前に「犬」が存在していたとしよう。
この文章をお読みになって、あなたは「この犬はどういう犬なのか?」がイメージできただろうか?「犬」には様々な犬が存在するが、上記の文章だけでは「この犬の在り方」は掴みきれないはずだ。
それでは、以下の文章はいかがだろうか?
先ほどの文章と比べて「小さい」という「概念」が加わることによって「この犬の在り方」は多少明確になったはずだ。
さらに、以下の文章だとどうだろう?
先ほどに加えて、更に「ルネッサンス時代から愛されている犬種の」という「概念」が加わったことにより「この犬の在り方」は、かなり明確になったはずだ。
この例のように「実体」は「概念」を加えることで「どのようなものか」を明確にしていくことができる。別の言い方をすれば「在り方」とは、今目の前にある「実体」に対して「概念」を加えた状態だ。
これらを踏まえてコンセプトを実務的な形で定義すると、以下の通りとなる。
- 「実体と概念の組み合わせ」で、物事の「在り方」を決めたもの。
これを、先ほどの「犬」の例に当てはめてみると以下の通りだ。
- 【概念】ルネッサンスの時代から愛されている犬種の
- 【概念】小さい
- 【実体】犬
- 【コンセプト】ルネッサンスの時代から愛されている犬種の、小さな犬
この例を見れば、コンセプトとは「実体と概念の組み合わせ」で「物事の在り方を決めたもの」であることがおわかりいただけたはずだ。
コンセプトの例
この「実体と概念の組み合わせ」を様々なビジネスに応用すると、コンセプトの例は下記のようなものになる。
コンセプトの例-1:デザインコンセプトの例
コンセプトの例-2:企画コンセプトの例
コンセプトの例-3:事業コンセプトの例
コンセプトの例-4:店舗コンセプトの例
コンセプトとテーマの違い
コンセプトの類語としてよく混同されがちな言葉に「テーマ」がある。
ここでは類語としてよく混同されがちな「コンセプトとテーマの違い」についても解説しておこう。「テーマ」は、実務上は以下の2つの文脈で使われることが多い。
コンセプトとテーマの違い-1:テーマとは「概要」「内容」のこと
例えば会議を始める際に「今日の会議のテーマはプロジェクトの進捗についてです」などの言葉を見聞きしたことがあるだろう。
この場合「テーマ」とは「概要」あるいは「主な内容」という意味合いで使われており「物事の在り方」である「コンセプト」とは明確に異なる。
コンセプトとテーマの違い-2:テーマとは「演出上の方針」のこと
あなたは、何らかのイベントの際に「本日のレセプションのテーマは“旅”です」などの言葉を見聞きしたことがあるはずだ。あるいはデザインを検討する際に「このデザインのテーマは“自然”です」などの言葉もよく使われる。
この場合「テーマ」は「演出上の方針」という意味合いで使われており、コンセプトとは明確に異なる。なぜなら「演出」はコンセプトを表現する上での一部分を切り取ったものでしかなく、物事の「在り方」そのものを決定づけるわけではないからだ。
コンセプトの重要性
ここまでお読みになって「コンセプトとは何か?」が理解できたら、続いては「コンセプトの重要性」について、商品コンセプトを例に解説していこう。
コンセプトの重要性-1:コンセプトワークが商品全体に影響を及ぼす
商品開発をする上で一番最初に行われるのがコンセプトワークだ。コンセプトワークのステップでは、
- こんなものがあれば社会に役立つ
- こんなものがあれば売れるはず
など「こんなもの」という「在り方」を決めることになる。
そして次のステップが「こんなもの(=商品の在り方)」を実現するために、どのような「モノの働き」が必要かを決める。これが「機能設計」だ。「仕様」と言ってもいいだろう。
更に機能設計を終えたら、それらの機能を「どんな姿・形で実現していくか?」という「意匠・デザイン設計」のステップが続くことになる。
ここまでお読みになって鋭いあなたならお気づきと思うが、商品開発の立脚点は「商品の在り方」を決定づける「コンセプトワーク」だ。なぜなら、コンセプトとは「概念と実体で在り方を決めること」なのだから「在り方」が変わればその後の「モノの働き(=機能)」や「形(=意匠・デザイン)」の設計も変わりうるからだ。
こうしてみると、コンセプトワークは良くも悪くも「機能設計」や「意匠・デザイン設計」にまで影響を及ぼす、極めて重要なタスクであることがお分かりいただけるはずだ。
コンセプトの重要性-2:コンセプトワークが生活者にとっての価値を生み出す
今、あなたの傍らには、スマートフォンがあるはずだ。しかし、仮にスマートフォンを見たことがないアフリカの原住民がスマートフォンを手に取ったら、その原住民はどう感じるだろうか?
あなたにとっては片時も手放せないスマートフォンだが、アフリカの原住民にとっては狩りにも農作にも使えない、単なる「黒い板状の固形物」でしかない。しばらくは興味を持つだろうが、いずれ手に取るのをやめて放置されることになる。
なぜこのようなことが起こるかといえば、アフリカの原住民が認識しているのは「黒い板状の固形物」という「実体」のみであり、
- インターネットで情報が取れる
- 遠隔でコミュニケーションが取れる
- 写真が撮れる
などの「概念」を理解していないからだ。
あらゆる物事は「実体」と「概念」を切り離して考えることができる。そして単なる「実体」だったものに「これまでにない概念」を吹き込むことができれば、そこに新しい価値が生まれる。
「製品という実体」は企業側が創り上げた事実だ。そして1つしかない。しかし「概念」は生活者側の認識であり、無限に存在する。そして生活者側に無限に存在する「概念」のうち、どの部分を切り取って「実体」である製品と結び付け価値を生み出すか?がコンセプトワークの勘所となる。
コンセプトの作り方:コンセプトワークの手順
コンセプトの重要性が理解できたら、ここからは「コンセプトの作り方と手順」について例を交えて解説していこう。コンセプトを作るには、大きく分けて以下の3つの手順が必要となる。
- 実体から概念を抜き出す「抽象化」
- 概念を多角的に捉え直す「切り口化」
- コンセプトを的確に表現する「文章化」
以下、例を交えながらわかりやすく解説していこう。
コンセプトの作り方-1:実体から概念を抜き出す「抽象化」
抽象化とは、目の前の具体的な「実体」を手掛かりにしながらも、それに囚われることなく本質的な要素を見抜き、形のない概念に抜き出していくことを指す。
例えば、以下の画像をご覧いただきたい。
これは実体だけを見れば、単なる「紙」にすぎない。あなたはこの紙に対して「コンセプトを作れ」といわれたら、しばらく考え込むことになるはずだ。なぜなら「実体としての紙」は紙でしかなく「在り方を決めろ」といわれても「紙です」としか答えようがないからだ。
しかし「紙という実体」に囚われずに抽象化し「形のない概念」を抜き出せば「紙=文字や絵を描き込むもの」となる。
コンセプトの作り方-2:概念を多角的に捉え直す「切り口化」
「実体」は一つだが、そこから抽象化して抜き出した「概念」は一つとは限らない。例えば「紙」という実体も、そこから概念を抜き出すと、多数の切り口が存在することに気が付けるはずだ。
- 実体=紙
- 実体から抜き出した概念1:文字や絵を描き込むもの
- 実体から抜き出した概念2:何かを包むもの
- 実体から抜き出した概念3:折るもの
- 実体から抜き出した概念4:拭くもの
- 実体から抜き出した概念5:敷くもの
- 実体から抜き出した概念6:貼るもの
- 実体から抜き出した概念7:・・・
このように「紙」という「実体」は一つだが、一つの実体からは多様な「概念」を抜き出すことができる。その際に必要なのが「どのような切り口で概念を抜き出すか?」という「切り口化」だ。
ここまでお読みになって鋭いあなたならお気づきだと思うが、この「切り口」とは「概念を捉える視点」のことであり、どれだけ多くの視点を持てるかが、コンセプトの優劣を決定づけるといっても過言でない。
コンセプトの作り方-3:コンセプトを的確に表現する「文章化」
先ほど解説したように「コンセプト」とは「実体+概念の組み合わせで、物事の在り方を決めたもの」だ。そして鋭いあなたならお気づきだと思うが、コンセプトを構成する「実体」は、日本語の品詞に当てはめると「名詞」に相当する。また「概念」に当てはまるのは「形容詞(句)」だ。
- 実体=名詞で表す
- 概念=形容詞(句)で表す
例えば、先ほどの「犬」の例の場合は以下の図の通りとなる。
「コンセプトの作り方」となると掴みどころがなく難しく考えがちだが、要は
- 「実体」にどんな「概念」を加えるか?
であり、その多くは、
- 「商品・サービス(=という名詞)」にどんな「形容詞(句)」を加えるか?
とイコールであることが理解できるはずだ。
「コンセプト」といえば、つい気の利いた文章で演出を施した「コピーワーク」と混同しがちだが、コンセプトの本質は「どのような切り口で概念を抜き出すか?」であり「文章の演出」ではない。
例えどんなにコンセプトを「気の利いた文章」で演出したとしても、概念の切り口が同じなら「似たようなコンセプト」でしかない。
重要なので繰り返すが、コンセプトとは「実体+概念」の組み合わせで、物事の「在り方」を決めたものであり、その優劣を決めるのは、取り出した概念の「切り口」だ。
取り出した概念の切り口がユニークであれば、例え文章は平易なものでも、そのコンセプトはユニークなものになる。
そのことを理解するために、続いては「コンセプトの事例」について紹介しよう。
コンセプトの書き方と事例
続いて「コンセプト」の事例を「実体+概念」のフレームワークに当てはめて5つほど紹介しよう。この5つをご覧になれば、コンセプトとは「抽象化」「切り口化」が重要であり、この2つが優れていればコンセプトの書き方は「名詞+形容詞(句)」でシンプルに表現できることがご理解いただけるはずだ。
コンセプトの書き方と事例-1:ダイソンの商品コンセプト
コンセプトの書き方と事例-2:iPodの商品コンセプト
コンセプトの書き方と事例-3:スターバックスのサービスコンセプト
コンセプトの書き方と事例-4:東京ディズニーリゾートのサービスコンセプト
コンセプトの書き方と事例-5:ハーレーダビッドソンのブランドコンセプト
コンセプトの決め方
ここまでお読みになれば、コンセプトとは「実体+概念」が組み合わさった「物事の在り方」あり、その多くは「名詞+形容詞(句)」の組み合わせでシンプルに表現できることがご理解いただけただろう。
しかしこの記事をお読みのあなたなら「優れた」コンセプトを創りたいとお考えのはずだ。
優れたコンセプトを作るには、マーケティングの定義を理解することが役に立つ。以下は、このブログの筆者であるk_birdの「マーケティングの定義」だ。
- 競合ブランドを上回る魅力で生活者ニーズを満たし、利益を上げ続ける企業活動
ここで勘の良いあなたなら、上記の文章の中に「3Cフレームワーク」の「3C」がすべて含まれていることに気が付くはずだ。
- 「生活者ニーズを満たし…」←Customer(市場・顧客)のニーズ
- 「競合ブランドを上回る…」←Competitor(競合)の強み・弱み
- 「上回る魅力で…」←Company(自社)の強み・弱み
コンセプトの多くは、企業活動のために立案される。そうである以上、優れたコンセプトに求められるのは「顧客ニーズを満たし」「競合の魅力を上回り」「自社の強みを活かせる」という3つの条件を満たしたコンセプトだ。
もしあなたが優れたコンセプトを立案したいなら「3Cフレームワーク」に沿った形でコンセプトを考える習慣をつけよう。
コンセプトの本|おすすめ書籍3冊
締めくくりに、あなたにおすすめできる「コンセプト本」を紹介しよう。選定した基準は下記の通りだ。以下のどれかに当てはまるものをピックアップした。
- k_birdが実際に読み、単純に「素晴らしかった」と思えるコンセプト本。
- 実際に戦略立案実務や事例共有に役立っているコンセプト関連書籍。
- 長年に渡って読み継がれており、時代を越えても変わらない「本質」や「原理」が見出せるコンセプト本。
もちろん、すべて「なぜ読むべきなのか?」という解説付きだ。
コンセプトの本おすすめ書籍-1:コンセプトのつくりかた
本書は、家庭用ゲーム機「Wii」を開発した玉樹真一郎氏が執筆した「コンセプトの作り方」の書籍だ。
本書が優れている点は、実際の実務家である玉樹氏が、Wiiの企画時に開発したこと、経験したことを通じて「コンセプト」についてまとめられている点だ。
また、チームのメンバーから意見を引き出し、コンセプトとしてまとめる作業をどのように行っていくのかについても、会話形式で臨場感たっぷりに描かれているので、現場レベルでのイメージがつかみやすいのも秀逸だ。
もしあなたが「コンセプトとは何か?」にとどまらず「どう周囲を巻き込めばいいか?」まで含めて学びたいなら、本書はおすすめの一冊だ。
コンセプトの本おすすめ書籍-2:成功はすべてコンセプトから始まる
コンセプト立案力は、いくらロジカルシンキングを磨いたところで強化することはできない。なぜなら、物事をロジカルに推論して結論を導くのであれば、同じ情報があれば誰でも行き着く戦略は同じになってしまうからだ。
本書は「ロジカルシンキングの権化」であるマッキンゼー出身者が、ロジカルシンキングの限界を突破し、
- 良いコンセプトとは何か
- 良いコンセプトを生み出すアイデアをどう出すのか?
- どういう姿を到達点として目指すべきか?
- 初めの一歩をどう踏み出すべきか?
など「コンセプトの作り方全般」を丁寧に解説している書籍だ。
本書の特質は、単なる実体験の解説で終わっていないことだ。コンサルタント経験者が執筆した書籍らしく、汎用的に使える形で体系化しているため、極めて応用範囲が広いのが特徴だ。
また、ビジネスモデルの描き方や人を巻き込む方法論など、起業の鍵となる要素がバランスよく描かれているのも秀逸だ。
もしあなたがコンセプト立案能力を「スキル」として身につけたいなら、一読しておきたい一冊だ。
コンセプトの本おすすめ書籍-3:直感と論理をつなぐ思考法
このブログから書籍化した本4冊
★ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」
冒頭でも紹介したが、再度ここでも紹介させていただこう。
ブランディングは、ややもすれば「デザインの話」「広告の話」「世界観の話」など、掴みどころのない抽象論に陥りがちだ。
しかしブランディングは「ブランド戦略」という言葉があるように、企業の成否を大きく左右する戦略のひとつだ。そして投資が伴う以上、一定の合理性と説明責任が求められる。決して、売上や利益から逃げてはならないのだ。
本書は、つい「感覚論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。
「論理」が理解できなければ、ブランディングを体系的に理解することできず、再現性を生むことができない。
そして「直感的な腹落ち感」がなければ、ブランディングを実務に落とせず、成果をもたらすことができない。
本書は、広告代理店&外資系コンサルティングファームで培った「生の知見」と「体系的な解説」を通して、ブランディングの理論を実践へとつなげて解説している。
おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー入りを果たし、Amazonレビューでも、
- 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
- 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
- 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」
など、ありがたい言葉を頂いている。
もし本書を手にとって頂ければ、ブランディングの専門用語はもちろん、実践の手順や実務の勘所が、一通り学べるはずだ。
★「シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説
あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。
なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。
しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考の重要性は説くものの、肝心の「仮説思考の身につけ方」になると、
- 「センスが必要」
- 「経験の積み重ねが物を言う」
など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせている書籍が多い。
しかし本書は「仮説思考に必要な頭の使い方の手順」を、豊富な事例とともに徹底解説している。よって、その手順通りに頭を使えば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。
おかげさまで本書は6版を重ね「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただいた。NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、中国や台湾、香港でも出版が決定している。
さらにAmazonレビューでも、
- 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
- 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
- 「一生もののスキルになるのは間違いない」
など有難い言葉を頂戴している。
もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。
★ロジカルシンキングでは学べない「視点力」と「法則力」を身につける※無料のオーディオブック特典付
人は誰しも「視点」を通してしか物事を考えることができない。別の言い方をすれば「そもそも何を考えるべきか?」は、視点が決めてしまうともいえる。
また、どんなに適切な視点を置いたとしても「ああなれば→こうなるだろう」という「予測のパターン(=法則)」が頭の中になければ、確かな仮説を導き出すことはできない。
本書はビジネス書から「視点」と「法則」を発見し、思考の質とスピードを上げていく独学術を解説した書籍だ。
1つの「視点」しか持てない人は、1つのコンセプトしか導き出すことができない。しかし5つの「視点」を持てれば、5つのコンセプトを導き出せるようになる。
もしあなたが自由自在に「視点」を操ることができるようになれば、物事の多様な側面に気づき、次々と「新たな可能性」を拓くことができるようになるはずだ。
また、数多くの「法則」をストックしていけば、様々な現象に「法則」を当てはめることで「筋の良いコンセプト」を瞬時に導き出すことも可能だ。
おかげさまで、本書はThe21や日経、STUDY HACKERなど多くのメディアに取り上げていただき、発売3か月で海外の翻訳出版も決定した。Amazonレビューでも、
- 視点力や仮説思考、抽象化スキルが身に付く良書
- これまでの読書術の常識を次々と塗り替えている目からウロコの本
- まさに「モノの見方を変える方程式」
など、ありがたい言葉を頂戴している。
もしあなたが「フレームワーク」だけでは得られない「視点力」と「思考スピード」を身につけたいなら、ぜひ本書で紹介する読書法を実践して欲しい。
★8ジャンル57個の仕事術で「実践力」を身につける
どのようなビジネスも、実践が伴わなければ成果は出ない。しかし、いざ「実践力」を身につけようとしても、その分野は、
- 時間管理術
- 段取り術
- コミュニケーション術
- 資料作成術
- 会議術
- 学び術
- 思考術
- 発想術
など多分野に渡り、最低8冊分の読書時間と書籍代がかかってしまうのが難点だ。
しかし、本書「超効率ハック」は、8つの分野の仕事術の「重要ポイントだけ」を抜き出し、ギュッと1冊に凝縮した書籍だ。もちろん、思考術に関しても重要ポイントを解説している。
さらに、本書は「訓練や習慣化が必要な作業テクニック」ではなく「行動を変えるための頭の使い方」の解説に力を入れているため「頭のスイッチを切り替える」だけですぐに実践できるのも特色だ。
おかげさまで、本書を題材にしたSchooのオンライン授業では「思考法ジャンル」で人気ランキング1位を頂いた(139講座中)。また、lifehackerやOggiなど数多くのメディアで取り上げていただき、Kindleでは「オペレーションズ部門」でベストセラー1位を獲得している。
Amazonレビューでも、
- 「思考と行動の質を上げるヒントが盛りだくさん」
- 「読んでみると、頑張りどころを間違えてたことに気付かされる」
- 「仕事が速い人はこれをやってたんだな、ということがよくわかった」
など、ありがたい言葉を頂戴しており嬉しい限りだ。
もしあなたが「短時間で網羅的に仕事術を学びたい」「根本から仕事の生産性を高めたい」と感じているのなら、ぜひ手に取ってみて欲しい。
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★17のビジネス分野別おすすめ書籍
★思考力が身につくおすすめ書籍
★ビジネススキルが身につくおすすめ書籍
★ブランディング・マーケティングの知識が身につくおすすめ書籍
終わりに
今後も、折に触れて「あなたをブランドにする思考法」の解説を続けていくつもりだ。
しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。
それでも、このブログに主旨に共感し、何かしらのヒントを得たいと思ってもらえるなら、ぜひこのブログに読者登録やTwitter、facebook登録をしてほしい。
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