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コンセプトとは|コンセプトの作り方と概念化能力の鍛え方を事例解説

コンセプトとは|コンセプトの意味とコンセプチュアルスキルの高め方

この記事に辿り着いたあなたなら「コンセプトとは何か?」「コンセプトの作り方」に関心があることだろう。

「コンセプト」ほど、ビジネスで頻繁に使われるものの定義が曖昧な言葉の例も珍しい。試しに巷で溢れる「コンセプトの種類」を一覧にすると、以下の通りだ。

  • 商品コンセプト
  • 企画コンセプト
  • サービスコンセプト
  • ブランドコンセプト
  • 事業コンセプト
  • 店舗コンセプト
  • デザインコンセプト…

このように、世の中には様々な「コンセプト」が存在する。更に【コンセプトとは】でググってみた例では、

  • コンセプトとは、企画をする上での方向性のことである
  • コンセプトとは、全体の元となる基本的な考え方・根本的な思想のことである
  • コンセプトとは、世界観のことである…

など様々な「コンセプトの定義」がなされている。しかしこの理解だけで「コンセプトとは何か」について腹落ちし、優れたコンセプトを作れるようになるとは、あなたも思っていないだろう。

今回は、ビジネスで頻繁に使われる「コンセプト」の意味について、例を交えて解説する。目指すのは、

  • 商品企画・事業企画・デザイン企画など幅広い企画分野に応用可能で
  • 徹底的にわかりやすく
  • 実務的に直結する

コンセプトの解説だ。同時に「優れたコンセプトの作り方」や、コンセプト立案能力に必須の「概念化能力の鍛え方」についても解説する。

もしあなたがこの記事を最後までお読みになれば「コンセプトの意味がわかる」だけでなく「優れたコンセプトの作り方」や「コンセプト立案能力の鍛え方」まで理解できるはずだ。

ぜひ、最後までお読みいただきたい。

 

コンセプトとは?コンセプトの意味を例を交えて定義する

コンセプトとは-1:デジタル大辞泉での定義

まずはコンセプトの辞書的な意味を確認しておこう。デジタル大辞泉(小学館)によると「コンセプト」の意味は下記のように定義されている。

「コンセプト」の辞書的な定義とは?-デジタル大辞泉

  • 概念。観念。
  • 創造された作品や商品の全体につらぬかれた、骨格となる発想や観点。

しかし、これを読んだだけでは「実務に活かしずらい」というのが率直な感想だ。

コンセプトとは-2:ロングマン現代英英辞典での定義

「コンセプト」は日本語ではなく、欧米から来た考え方だ。

外来語の「真意」を理解するためには「英英辞典」が有用となる。よって「コンセプト」のより正確なニュアンスを確認するために英英辞典での「コンセプトの定義」も記載しておこう。

「コンセプト」の辞書的な定義とは?-ロングマン現代英英辞典

  • an idea of how something is, or how something should be done
    (物事の「在り方」や「どうあるべきか」についての考え)

こうして英英辞典の「ニュアンス」まで含めて考えると「コンセプト」とは、物事の在り方を決める「概念」であることがわかる。そして「物事の在り方」自体を決めてしまう以上「物事の根本に存在し」「全体を貫いた」考えでなくてはならない。

「コンセプト」のわかりやすい意味とは?

  • 物事の「在り方」を決めるもの。
  • 物事の根本に存在、全体を貫いた考え。

もしあなたが「コンセプトの意味を知りたい」だけなら上記で十分だが、このブログをお読みのあなたは実務家のはずだ。そして実務家である以上はもっと「実用的な」コンセプトの意味が必要だ。

コンセプトとは-3:コンセプトの実務的な意味

あなたは「物事の在り方とは何か?」と聞かれて、何と答えるだろうか?

「コンセプト」は「物事の在り方を決めるもの」だが、この定義をより実用的で扱いやすいものにしていくためには「物事の在り方」に対する深いひも解きが必要となる。よって、まずは「物事の在り方とは何か?」について例を交えて解説を加えよう。

もし仮に、あなたの目の前に実体としての「犬」が存在していたとしよう。

今あなたの目の前に、実体としての「犬」が存在している。

この文章をお読みになって、あなたは「この犬の在り方」がイメージできるだろうか?「犬」には様々な犬が存在するが、上記の文章だけでは「この犬の在り方」は掴みきれないはずだ。

それでは、以下の文章はいかがだろうか?

今、あなたの目の前に「小さい」「犬」が存在している。

先ほどの文章と比べて「小さいという概念」が加わることによって「この犬の在り方」は多少明確になったはずだ。

さらに、以下の文章だとどうだろう?

今、あなたの目の前に「ルネッサンス時代から愛されている犬種の」「小さい」「犬」が存在している。

先ほどに加えて、更に「ルネッサンス時代から愛されている犬種の」という概念が加わったことにより「この犬の在り方」はより明確になったはずだ。

この例のように「実体」は「概念」を加えていくことで「在り方」を明確にすることができる。別の言い方をすれば「在り方」とは、今目の前にある「実体」に対して「概念」を加えた状態だ。

そして、先ほどの「コンセプトの意味」を思い出してほしい。

「コンセプト」の意味とは?

  • 物事の「在り方」を決めるもの。
  • 物事の根本に存在、全体を貫いた考え。

これに「在り方」の定義である「実体+概念」を加えると、コンセプトの実用的な意味は以下の通りとなる。

「コンセプト」の実務的な意味とは?

  • 「実体+概念」の組み合わせで、物事の「在り方」を決めたもの。

これを、先ほどの「犬」の例に当てはめてみると下記の通りだ。

  • 【概念】ルネッサンスの時代から愛されている犬種の
  • 【概念】小さい
  • 【実体】犬
  • 【コンセプト】ルネッサンスの時代から愛されている犬種の、小さな犬

コンセプトとは-4:コンセプトを作る目的

続いて、コンセプトを作る目的について「商品開発」を例に解説しよう。

商品開発をする上で一番最初に行われるのが「コンセプト設計」だ。コンセプト設計のステップでは、

  • こんなものがあれば社会に役立つ
  • こんなものがあれば売れるはず

など「こんなもの」という「在り方」を決めることになる。

そして次のステップが「こんなもの(=商品の在り方)」を実現するために、どのような「モノの働き」が必要かを決める。これを「機能設計」と呼ぶ。

更に機能設計を終えたら、それらの機能を「どんな姿・形で実現していくか?」という「意匠・デザイン設計」のステップが続くことになる。

ここまでお読みになって鋭いあなたならお気づきと思うが、商品開発の立脚点は「商品の在り方」を決定づける「コンセプト設計」だ。なぜなら、コンセプト設計が変わればその後の「モノの働き(=機能設計)」や「形(=意匠・デザイン設計)」が変わりうるからだ。

こうしてみると、コンセプトを作る目的とは「物事の在り方を決定づけること」であり、コンセプト設計が良くも悪くも「機能設計」や「意匠・デザイン設計」にまで影響を及ぼす重要な要素であることがお分かりいただけるはずだ。

コンセプトとは-5:コンセプトとテーマの違い

よく、コンセプトの類語として混同されがちなのが「テーマ」だ。よって、ここでは類語としてよく混同されがちな「コンセプトとテーマの違い」についても解説しておこう。「テーマ」は、実務上以下の2つの文脈で使われることが多い。

コンセプトとテーマの違い-1:テーマとは「概要」のこと

例えば会議を始める際に「今日の会議のテーマはプロジェクトの進捗についてです」などの言葉を見聞きしたことがあるだろう。

この場合「テーマ」とは「概要」「主な内容」という意味合いで使われており「物事の在り方」である「コンセプト」とは明確に異なる。

コンセプトとテーマの違い-2:テーマとは「演出上の方針」のこと

あなたは、何らかのイベントの際に「本日のレセプションのテーマは“旅”です」などの言葉を見聞きしたことがあるはずだ。あるいはデザインを検討する際に「このデザインのテーマは“自然”です」などの言葉もよく使われる。

この場合「テーマ」は「演出上の方針」という意味合いで使われており、コンセプトとは明確に異なる。なぜなら「演出」はコンセプトを表現する上での一部分を切り取ったものでしかなく、物事の「在り方」そのものを決定づけるわけではないからだ。

 

コンセプトの作り方

コンセプトの作り方-1:コンセプト=「名詞+形容詞(句)」で表現する

先ほど解説したように「コンセプト」とは「実体+概念の組み合わせで、物事の在り方を決めたもの」だ。そして鋭いあなたならお気づきだと思うが、コンセプトを構成する「実体」は、日本語の品詞に当てはめると「名詞」に相当する。また「概念」に当てはまるのは「形容詞(句)」だ。

  • 実体=名詞で表す
  • 概念=形容詞(句)で表す

例えば、先ほどの「犬」の例の場合は以下の図の通りとなる。

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「コンセプトの作り方」となると掴みどころがなく難しく考えがちだが、要は

  • 「実体」にどんな「概念」を加えるか?

であり、その多くは、

  • 「商品・サービス(=という名詞)」にどんな「形容詞(句)」を加えるか?

とイコールであることが理解できるはずだ。

コンセプトの作り方-2:コンセプトの5つの事例

ここで、ビジネスシーンにおける「コンセプト」の事例を「実体+概念」のフレームワークに当てはめて5つほど紹介しよう。この5つをご覧になれは、コンセプトとは「名詞+形容詞(句)」でシンプルに表現されていることがご理解いただけるはずだ。

コンセプトの事例-1:ダイソンの商品コンセプトの例

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コンセプトの事例-2:iPodの商品コンセプトの例

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コンセプトの事例-3:スターバックスのサービスコンセプトの例

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コンセプトの事例-4:東京ディズニーリゾートのサービスコンセプトの例

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コンセプトの事例-5:ハーレーダビッドソンのブランドコンセプトの例

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コンセプトの作り方-3:優れたコンセプトを選ぶ

ここまでお読みになれば、コンセプトとは「実体+概念」が組み合わさった「物事の在り方」あり、その多くは「名詞+形容詞(句)」の組み合わせでシンプルに表現できることがご理解いただけただろう。

しかしこの記事をお読みのあなたなら「優れた」コンセプトを創りたいとお考えのはずだ。

優れたコンセプトを作るには、マーケティングの定義を理解することが役に立つ。以下は、このブログの筆者であるk_birdの「マーケティングの定義」だ。

マーケティングの定義

  • 競合ブランドを上回る魅力で生活者ニーズを満たし、利益を上げ続ける企業活動

ここで勘の良いあなたなら、上記の文章の中に「3Cフレームワーク」の「3C」がすべて含まれていることに気が付くはずだ。

  • 「生活者ニーズを満たし…」←Customer(市場・顧客)のニーズ
  • 「競合ブランドを上回る…」←Competitor(競合)の強み・弱み
  • 「上回る魅力で…」←Company(自社)の強み・弱み

コンセプトの多くは、企業活動のために立案される。そうである以上、優れたコンセプトに求められるのは「顧客ニーズを満たし」「競合の魅力を上回り」「自社の強みを活かせる」という3つの条件を満たしたコンセプトだ。

もしあなたが優れたコンセプトを立案したいなら「3Cフレームワーク」に沿った形でコンセプトを考える習慣をつけよう。

 

コンセプトを考える力の鍛え方:概念化能力のトレーニング法

優れたコンセプトは「偶然」作れただけでは「スキル」とは呼べず再現性もない。よってここからは、優れたコンセプトを考えるために必要な「概念化能力」ついて解説していこう。

コンセプトを考える力:概念化能力とは?

概念化能力とは、様々な物事を単に実体として捉えるのではなく、より大局的・全体的な視座から「概念」として捉えることで、物事の本質を把握する能力を指す。

1955年にロバート・カッツが「本質を見極め、活用するスキル」として提唱したコンセプチュアルスキルと同様であり「コンセプチュアルシンキング」と呼ばれることも多い。

概念化能力とは?

  • 様々な物事(=実体)を、単に実体として捉えるのではなく、より大局的・全体的な視座から「概念」として捉えることで、物事の本質を把握する能力。

冒頭で、コンセプトとは「実体+概念」であると解説したが、もしあなたが視野・視座・視点を広げ概念化能力を鍛えることができれば、頭の中で自由自在に「実体の世界」と「概念の世界」を行き来し、優れたコンセプトを作ることが可能になる。

コンセプトを考える力の構成要素

コンセプトを考える力である「概念化能力」の構成要素は、大きくわけて以下の3つとなる。

  • 実体から概念を抜き出す「抽象化能力」
  • 概念を多角的に操る「多角的視点力」
  • 概念を具体に落とす「具現化力」

以下、例を交えながらわかりやすく解説していこう。

コンセプトを考える力の鍛え方:概念化能力のトレーニング方法

コンセプトを考える力の鍛え方-1:「抽象化思考」をトレーニングする

抽象化思考とは、目の前の具体的な「実体」を手掛かりにしながらも、それに囚われることなく本質的な要素を抜き出し、形のない概念に抜き出していく思考方法を指す。いわば見かけのものに惑わされることなく、本質はどこにあるのかを探すような思考法だ。

例えば、以下の画像をご覧いただきたい。

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これは実体だけを見れば「紙」だが、抽象化して「形のない概念」として捉え直せば「文字や絵を描き込むもの」となる。逆を言えば「文字や絵を描き込むもの」を実体化したものが「紙」だ。

このように「実体」と「概念」を自由に行き来する抽象化思考をトレーニングすることができれば、次に解説する「多角的視点力」と組み合わせることによって、あなたのコンセプト立案能力は飛躍的に高まる。

コンセプトを考える力の鍛え方-2:概念を多角的に操る「多角的視点力」をトレーニングする

実体から概念を抜き出す抽象化思考が鍛えられたら、次は「概念を多角的に操る」多角的視点力を鍛える習慣をつけよう。

「視点」は「今、自分がどこに焦点を当てて物事を見ているか?」を決めてしまう。そして「どこを見ているか」によって、何をどう考えるかも決まる。

つまり「多角的な視点力」が身につけば「あなたが見える範囲」は劇的に広がり、優れたコンセプト立案につながりやすくなる。例えば先ほどの「紙」を例に出せば、

  • 実体=紙
  • 実体から抜き出した概念=文字や絵を描き込むもの

だったが、多角的視点力をトレーニングすることで、

  • 実体=紙
  • 実体から抜き出した概念1:文字や絵を描き込むもの
  • 実体から抜き出した概念2:何かを包むもの
  • 実体から抜き出した概念3:折るもの
  • 実体から抜き出した概念4:拭くもの
  • 実体から抜き出した概念5:敷くもの
  • 実体から抜き出した概念6:貼るもの
  • 実体から抜き出した概念7:・・・

など、実体としての「紙」から多様な「概念」を抜き出すことが可能になる。これは別の言い方をすれば「単なる紙という実体」から可能性を大きく広げたことになる。

このように「実体」から「概念」を抜き出し「多角的な視点」を加えることができれば、これまで見過ごしがちだったことに光を当て、違って切り口でコンセプトを作ることが可能になる。

コンセプトを考える力の鍛え方-3:概念を実体に落とす「具現化力」をトレーニングする

「何かを包むもの」「折るもの」などつかみどころのない「概念」を、抽象度を下げて形のあるものへと具現化いくことは、コンセプトを具体的な商品やサービスに落としていく上で重要な考え方だ。

例えば「紙(実体)+何かを包むもの(概念)=包む紙」というコンセプトを具体化していく場合、

  • 「包む紙」というコンセプトなら、白い紙ではなくグラフィカルな模様を付ければ「ギフト包装紙」として売れるのではないか?
  • 「包む紙」というコンセプトなら、薄い紙ではなく分厚い紙にすれば「段ボール」として売れるのではないか?
  • 「包む紙」というコンセプトなら、紙に機能性素材を加えることで「産業用コーティング紙」として売れるのではないか?

など、様々な可能性が広がっていくはずだ。

このように「実体を抽象化する」「多角的な視点を取り入れる」「具現化する」というステップを踏むと、単なる「実体」を捉えるより遥かに物事の可能性は広がる。

まさにこれこそが「コンセプト」あるいは「概念化能力」の真価だ。

優れたコンセプトを生み出し続ける:概念化能力を鍛えるメリット

最後に、概念化能力を鍛えるメリットを解説しておこう。概念化思考を鍛えるメリットは、大きくわけて以下の5つだ。

  • 柔軟な発想力が身につく
  • アイデアやイノベーションを生み出しやすくなる
  • 物事の重要な本質に気づくことができる
  • 大局観が持てるようになる
  • コミュニケーション能力が高まる
概念化能力を鍛えるメリット-1:柔軟な発想力が身につく

コンセプトとは「実体+概念」であると解説したが「実体」という具体的なものを見ているだけでは、柔軟な発想力は身につかない。なぜなら「具体的」とは、非常に限定された狭い範囲に目を向けることであり、周囲の広い範囲を見えなくするからだ。

一方で概念化能力の一つである「抽象化能力」を鍛えることができれば「実体」という狭い範囲から適用範囲が広がり、物事を広く発想しやすくなる。

先ほどの例でいえば「紙」を「包むもの」に抽象化した結果「ギフト包装紙」「段ボール」「産業用コーティング紙」などに発想が膨らんだのが例だ。

概念化能力を鍛えるメリット-2:アイデアやイノベーションを生み出しやすくなる

概念化能力を鍛えることができれば、アイデアやイノベーションを生み出しやすくなる。例えば「紙」を実体だけで捉えれば、

  • 紙を大きくするか、小さくするか
  • 紙を薄くするか、厚くするか
  • 紙に色をつけるか、色をつけないか

など、工夫の余地は「具体レベルの改善」にとどまる。しかし概念化能力を駆使して「紙」を概念として捉え直すことができれば、

  • 紙を「文字や絵を描き込むもの」と捉えてみる
  • 紙を「何かを包むもの」と捉えてみる
  • 紙を「折るもの」と捉えてみる
  • 紙を「拭くもの」と捉えてみる
  • 紙を「敷くもの」と捉えてみる
  • 紙を「貼るもの」と捉えてみる

など「そもそもの在り方(=コンセプト)」自体に変化を起こすことが可能になる。

よく「日本企業は改善は得意だが、イノベーションは苦手」といわれる。それはつまり目に見える「実体」を捉えて改善することは得意だが、目に見えない「概念」を捉え、コンセプトそのものを変えることが苦手、という意味だ。

そしてその根本原因は概念化能力の不足にある。

概念化能力を鍛えるメリット-3:物事の重要な本質に気づくことができる

物事は、目に見えているものだけに囚われるのではなく、目に見えない背景を探ることが本質の解明につながる。

物事を「実体」のままで捉えようとすれば複雑なまま捉えるしかなくなり、考えれば考えるほど多様さにおぼれ、訳がわからなくなってしまう。

しかし概念化能力の一つである「抽象化能力」を駆使すれば、複雑で情報量の多い具体的・実体的な物事の枝葉を切り、その本質を見抜くことができるようになる。

なぜなら抽象度を上げるということは情報が少なくなることを意味し、必然的に物事の本質的な部分、重要な部分のみの情報が残るからだ。

概念化能力を鍛えるメリット-4:大局観が持てるようになる

大局観とは、物事の全体的な状況や成り行きに対する見通しのことを指す。いわば物事の局面を俯瞰的かつ長期的に捉えて、状況や動きの「傾向」を見通すことだ。

一つ一つの局面を「実体」として捉えるだけでは、個別の事象に振り回されるだけで「本質を見抜いた」「全体の傾向」を評価できない。

一方で、概念化能力を鍛えることができれば、いったん個別の状況を脇に置き、全体の傾向を見抜いた上でビジョンや戦略、あるいは方針を決定することができるようになる。

概念化能力を鍛えるメリット-5:コミュニケーション能力が高まる

会話には、様々なレベルが存在する。例えば先ほどの「紙」の例でいえば、

  • 紙の大きさや重さなどの具体レベルの話
  • 紙の在り方そのものを考えるコンセプトレベルの話(包むもの/折るもの、等)

では、抽象度・具体度のレベルが異なる。

もし会議などで様々なメンバーが抽象度・具体度の異なる話を始めたら、その会議が紛糾することは想像に難くないだろう。

よくありがちなのが「長期的な戦略の話」と「足元の売上の話」が入り乱れ合い、会議が紛糾するケースだ。こちらも抽象度・具体度のレベルが合わずに議論がかみ合わないケースだ。

しかし、もしあなたが概念化能力を鍛えることができれば「抽象度の高いコンセプトレベルの話をすべきなのか?」「それとも具体的な話をすべきなのか?」に自覚的になれるようになる。更に上級者になれば「コンセプトレベルの話を」「具体的な例を交えて話す」など「具体と概念のレベルを自由自在に切り替えて話す」こともできるようになる。

このように、概念化能力を鍛えることができれば「具体と概念」を自由自在に行き来しながら、状況や相手に合わせた適切なコミュニケーションをとることが可能になる。

 

コンセプトの本|おすすめ書籍2冊

締めくくりに、あなたにおすすめできる「コンセプト本」を紹介しよう。選定した基準は下記の通りだ。以下のどれかに当てはまるものをピックアップした。

  • k_birdが実際に読み、単純に「素晴らしかった」と思えるコンセプト本。
  • 実際に戦略立案実務や事例共有に役立っているコンセプト関連書籍。
  • 長年に渡って読み継がれており、時代を越えても変わらない「本質」や「原理」が見出せるコンセプト本。

もちろん、すべて「なぜ読むべきなのか?」という解説付きだ。

コンセプトの本おすすめ書籍-1:コンセプトのつくりかた

本書は、家庭用ゲーム機「Wii」を開発した玉樹真一郎氏が執筆した「コンセプトの作り方」の書籍だ。

本書が優れている点は、実際の実務家である玉樹氏が、Wiiの企画時に開発したこと、経験したことを通じて「コンセプト」についてまとめられている点だ。

また、チームのメンバーから意見を引き出し、コンセプトとしてまとめる作業をどのように行っていくのかについても、会話形式で臨場感たっぷりに描かれているので、現場レベルでのイメージがつかみやすいのも秀逸だ。

もしあなたが「コンセプトとは何か?」にとどまらず「どう周囲を巻き込めばいいか?」まで含めて学びたいなら、本書はおすすめの一冊だ。

コンセプトの本おすすめ書籍-2:成功はすべてコンセプトから始まる

コンセプト立案力は、いくらロジカルシンキングを磨いたところで強化することはできない。なぜなら、物事をロジカルに推論して結論を導くのであれば、同じ情報があれば誰でも行き着く戦略は同じになってしまうからだ。

本書は「ロジカルシンキングの権化」であるマッキンゼー出身者が、ロジカルシンキングの限界を突破し、

  • 良いコンセプトとは何か
  • 良いコンセプトを生み出すアイデアをどう出すのか?
  • どういう姿を到達点として目指すべきか?
  • 初めの一歩をどう踏み出すべきか?

など「コンセプトの作り方全般」を丁寧に解説している書籍だ。

本書の特質は、単なる実体験の解説で終わっていないことだ。コンサルタント経験者が執筆した書籍らしく、汎用的に使える形で体系化しているため、極めて応用範囲が広いのが特徴だ。

また、ビジネスモデルの描き方や人を巻き込む方法論など、起業の鍵となる要素がバランスよく描かれているのも秀逸だ。

もしあなたがコンセプト立案能力を「スキル」として身につけたいなら、一読しておきたい一冊だ。

その他の解説記事とおすすめ書籍

もしあなたが本解説以外にも関心があるのであれば、リンクを張っておくのでぜひ必要な記事を探していただきたい。

また、下記の記事ではより深く学びたい方におすすめ書籍を紹介している。ぜひご覧いただければ幸いだ。

終わりに

今後も、折に触れて「あなたをブランドにする思考法」の解説を続けていくつもりだ。 

しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。

それでも、このブログに主旨に共感し、何かしらのヒントを得たいと思ってもらえるなら、ぜひこのブログに読者登録Twitterfacebook登録をしてほしい。

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