Mission Driven Brand

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ブランディング事例|11の成功事例から学ぶブランディングの成功要因

ブランディングの解体新書の文字

このブログ「Mission Driven Brand」は、マーケティングやブランディング・ビジネスにおける「できない、わからない」の解決を目指しているブログだ。

今回は、これまで解説してきたブランディング関連記事の中から、k_birdが秀逸だと考えるブランディング事例を11ケース紹介しよう。その内訳は以下の通りだ。

  • 商品ブランディングの事例
  • サービスブランディングの事例
  • 企業ブランディングの事例
  • BtoBブランディングの事例
  • リブランディングの事例

このブログに辿り着いたあなたなら、ブランディング関連の書籍や記事を通して、多くの学びを得ているはずだ。それらを念頭にブランディングの事例を読み進めれていただければ、ブランディングに対するあなたの理解は、グッと深まるはずだ。

また「ブランディングとは何か?」や「ブランディングの手法」をあなたのチームで共有する際にも、ブランディングの事例を交えて説明したほうがわかりやすくなるはずだ。

より詳しくブランディング手法が知りたい方は、各リンク先ページをご覧いただきたい。あなたのブランディング活動の参考になれば幸いだ。

 

商品ブランディングの事例

商品ブランディングの事例-1:ニベアの商品ブランディング事例

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 ニベアのブランディング事例から学べるのは「ブランドアイデンティティ」や「ビジュアルアイデンティティ」の重要性だ。

ニベアは、ドイツで1911年に発売されたスキンケアクリームのリーディングブランドだ。現在は世界187カ国で発売されている。

日本法人であるニベア花王は、ニベアの発売元である「バイヤスドルフ・ホールディング・ジャパン」と花王が合弁で設立した会社だ。スキンケアクリームを中心に、日焼け止め、リップクリーム、デオドラント剤などを発売している。

ニベアブランドの成功要因は、強い「ブランドアイデンティティ」と「ビジュアルアイデンティティ」そしてそこから生まれる強い「ブランド連想」だ。

ニベアのブランドアイデンティティとは「肌がふれあう。ただそれだけで、人は人をあたためることができる。まもることができる。一生の素肌に。」と謳われているように「肌同士が触れ合うような、深い愛情を守り続ける」ことだ。

また、ビジュアルアイデンティティ面では、ブランドのシンボルカラーであるミッドナイトブルーを一貫させている。

また、ブランド連想面では、ニベアとは「信頼」や「愛情」あるいは「やさしさ」というブランド連想で一貫しており、時代は変わっても、多くの人々が幼い頃に母親の愛情と共に出会うブランドだ。

これらが「母の深い愛情に守られていた」という記憶や経験と相まって、時代を越えたニベアブランドのブランド価値となり感情移入を創っている。

さらにニベアは、ブランドマネジメント花王の元会長をうならせた有名な逸話がある。

花王の元会長が、提携先のバイヤドルフ社の会長にパーティで会ったとき、花王の会長は「あなたは誰のために働いているのですか?」と問い掛けたという。

ニベアの会長は「ニベアというブランドを守り、 育てていくために働いているのだ」という回答をしたといわれるが、その後、同じ質問をニベアの海外部長にもしたところ、全く同じ返事が返ってきて驚いたという。

花王はブランドマーケティングに長けた企業とされるが、その取り組みのきっかけとなったのがニベアだ。

このように「ブランドのために働いている」 という哲学は、ニベアのみならず他の欧米企業のブランドには少なからず存在する。

 

商品ブランディングの事例-2:ダヴの商品ブランディング事例

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ダヴのブランディング事例から学べるのは「ブランド提供価値」の重要性だ。

ダヴは今から半世紀前、1957年にアメリカで発売された固形石鹸のブランドだ。

ダヴが発売した固形石鹸は、汚れを落とすだけだった石鹸に「うるおい」というブランド提供価値を提案し、今では世界80ヵ国以上で販売されている。

ダヴもまた、ニベアと同様にブランドアイデンティティを通じて、優れたブランド提供価値を作り上げている企業事例だ。

ダヴのブランドアイデンティティとは「美しさとはこうあるべき」という既成の価値観にとらわれ、自分の本当の美しさを見失っている女性たちに対して「本当の美しさ」を知ってもらうことだ。

ダヴは2013年のプレスリリースで、以下の数値を発表している。

女性は自分の美しさに対してとても厳しい目をもっており、自分を美しいと思う割合は、世界中でたったの4%である。

世界の半数以上の女性が(54%)が、自分の見た目に一番厳しいのは自分であることを認めており、これは実に6億7,200万人に上る。

その上で「ダヴの考える理想はこれとは異なる」とし「すべての女性が自分の美しさに気づき、自信に満ち溢れ、自分が美しいかどうかを悩まない世界であるべき」だとするライフビジョンを提唱している。

「美しさ」を表面的にとらえるこれまでの考え方を改め、すべての女性が持つ各自の美しさを発見していこうというブランドアイデンティティは、多くの女性に対して共鳴感情を形創り、ダヴブランドに対する感情移入をもたらしている。

商品ブランディングの事例-3:レッドブルの商品ブランディング事例

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レッドブルのブランディング事例から学べるのは「ターゲティング」や「ポジショニング」の重要性だ。

「ニベアやダヴの成功事例は歴史の長いブランドだから成功したのであって、歴史の浅い自社ブランドには当てはまらない」あなたはそう考えてはいないだろうか?

そんなあなたに、比較的歴史の浅いブランドのブランディング事例を紹介しよう。

例え歴史が浅くても「独自の役割」と「感情移入」を形創ることができれば、強いブランドを築くのも夢ではない。それを体現したのがレッドブルだ。

レッドブルは、1978年にオーストリアで生まれたブランドだ。日本に参入したのは2005年のことだ。あなたが日々激務をこなしているのなら、一度はお世話になったことがあるだろう。

レッドブルもまた「冒険者を称え、翼をさずける」というブランドアイデンティティを掲げている。

事実、レッドブルの創業者は明確に「レッドブルは単なる飲料ではなくエキサイティングな体験であり、スリルや冒険である」と言い切っている。

例えばレッドブルのTVCMでは「タウリン 1000mg 配合」や「カフェインゼロ」などの製品特徴は一切うたわれない。うたわれているのは「レッドブル、翼を授ける(Red Bull Gives You Wings)」という、ターゲットを主役に置き、応援するブランドメッセージだ。

さらに、スポーツイベントの協賛でもレッドブルのやり方は一線を画する。

通常なら世界的に有名なスポーツイベントに協賛し、協賛広告枠を買い占めることで「ブランドが主役」になることを考えるが、レッドブルは「選手たちと共に、無名なスポーツや大会を世に広める」という「選手=主役」の姿勢を貫いている。

レッドブルが登場するまでのエナジードリンクといえば、どこか「おじさん臭い」イメージが強かったのはあなたもご存じの通りだ。

しかし今では多くの若者がレッドブルの「エキサイティングな毎日を過ごす冒険者」に「翼を授ける」という「独自の役割(=ブランドポジショニング)を築き上げている。

結果、リポビタンDが1本140円なのに対して、レッドブルは1本275円とかなり高価にもかかわらず、若者から指名買いされるブランドに成長している事例だ。

 

サービスブランディングの事例

サービスブランディングの事例-1:スターバックスのサービスブランディング事例

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スターバックスのサービスブランディング事例から学べるのは、以下の通りだ。

  • サービスブランディングは生活者を惹きつけるだけでなく、時に接客スタッフの誇りとなり、サービス品質も上げることもできる。

スターバックスは、あなたがご存じの通りカフェでシアトルコーヒーと提供するブランドだ。しかし2011年、スターバックスのロゴから「Coffee」のロゴが消えたことを、あなたはご存じだっただろうか?

スターバックスはブランドアイデンティティとして「人々の心を豊かで活力のあるものにするためにーーひとりのお客様、1杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」を掲げている。

このブランドアイデンティティからわかる通り、スターバックスの主役は「人(=人の心の豊かさ)」であり「コーヒー」は心の豊かさを実現するための「脇役」に過ぎないと考えている。

スターバックスのロゴから「Coffee」が消えたのは「あくまでスターバックスは、コーヒービジネスではなく人間ビジネスである」ことを明確にするためだ。

そしてスターバックスは、最も重要な顧客接点である「バリスタ」の育成に力を入れて成功したブランディング事例でもある。一般的な飲食店の場合、研修期間は長くても2~3日とされるが、スターバックスの場合は例えアルバイトでも1人80時間の教育を施すという。

また、その教育にはコーヒーの知識・コーヒーの淹れ方・掃除の仕方だけでなく、スターバックスのブランドアイデンティティについても多くの時間が割かれている。

結果、顧客は店内の居心地のよさに癒やされ、お店のスタッフに心からの笑顔で迎えられる。そしてそのような経験が積み重なって、顧客はスターバックスに対して徐々に感情移入し、特別な存在になっていく。

更に、スターバックスは「広告宣伝を行わずに確立したサービスブランド」としても有名だ。

それは、アルバイトも含めたスタッフ一人ひとりが愚直にスターバックスのブランドアイデンティティを体現しようと努力しているからこそ、例え広告宣伝を行わなくても「快適なサードブレイス(=第三の場所:家と職場の中間の快適な空間)として、際立ったブランドポジションを確立できたブランディング事例と言えるだろう。

サービスブランディングの事例-2:東京ディズニーランドのサービスブランディング事例

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東京ディズニーランドは、アメリカのディズニー本社のライセンスを受けて、日本の株式会社オリエンタルランドが1983年より運営をしているテーマパークだ。あまり知られていないことだが、米国に次いで海外進出第一号だったという。

「東京ディズニーランドといえば、夢と魔法の国」。その認識に、あなたも異論はないはずだ。東京ディズニーランドは現実から離れた異空間であり、日常から離れた物語の場所だ。

東京ディズニーランドには、日本一の絶叫コースターもなければ、日本一の観覧車もない。しかしこれだけ多くの人が引き込まれるには、技術的に優れたアトラクションではなく、物語の力があるからだ。そこに物語があるからこそ印象に残り、引き込まれ、ブランドへの感情移入が促される。

さらに、東京ディズニーランドには、そのブランド力を物語る有名な逸話がある。

ある日、来場客がカストーディアルキャスト(掃除スタッフ)に「何を拾っているのですか?」と尋ねた際に、そのスタッフが「星のかけらを集めています」と答えたとされる逸話だ。

実はディズニーランドには「聞かれたらこう答えよう」といったマニュアルは存在しない。k_birdも試しに尋ねてみたことがあるが、全員が揃って決まった返答をすることはない。清掃キャスト一人一人が自分で考えたオリジナルだ。

東京ディズニーランドといえば「厳格なブランド管理」が語られがちだが、真の競争力は優秀な人材だ。パークで働いている9割のキャストは準社員(アルバイト)だと言われるが、上記の逸話の通りアルバイトスタッフが極めて優秀であり「そのブランドらしさ」を体現した働きを自発的にすることが強い競争力となっている。

東京ディズニーランドで働くアルバイトスタッフは、そもそも「ディズニーブランド」のファンであることが多い。そして、ファンであるがゆえに「そのディズニーらしさ」を誰よりも深く理解している。その結果、たとえマニュアルがない局面でも、自発的に「そのディズニーらしいふるまい」をし、顧客を喜ばすことができるのだ。

さらに、ディズニーが好きでアルバイトに応募し働いているため、アルバイトスタッフであるにもかかわらずパークに対する帰属心や貢献意欲が高く「ディズニーランドの役に立ちたい」というモチベーションが高い。

その結果、東京ディズニーランドの外側からの「見栄え」だけでなく、内側からもブランドを強くしていく「組織文化」が形成され、その組織文化が「そのブランドらしい」個性的なサービスや接客を生み出していく。

それを裏付けるかのように、ディズニーランドの創始者であるウォルト・ディズニーは以下のように語っている。


世界中でもっともすばらしい場所を夢見て、創造することはできる。設計し、建設することもできるだろう。しかしその夢を実現するには人々の力が必要だ。

-ウォルト・ディズニー

 

東京ディズニーランドは「物語による感情移入」を武器に、ブランドの外側(顧客)と内側(アルバイトスタッフ)の双方から競争力を築き上げていったサービスブランディング事例の代表格と言えるだろう。

 

企業ブランディングの事例

企業ブランディングの事例-1:ヤンマーの企業ブランディング事例

あなたは「ヤンマー」と聞いて、どのような印象を思い浮かべるだろうか?

もしあなたが40代以上なら「ヤン坊・マー坊」のテレビCMを思い浮かべた方も多いはずだ。「ヤン坊・マー坊」のテレビCMは1959年以来放映されていた天気予報CMであり、その歴史は50年以上になる。

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1912年に創業したヤンマーは、世界で初めてディーゼルエンジンの小型・実用化に成功した企業だ。以降100年にわたって「農家の方たちを楽にしてさしあげたい」という創業者の思いのもと、田植機・コンバイン・トラクターなど、様々な稲作用農業機械を開発し提供している。

農家に対して稲作用農業機械を提供するヤンマーにとって「明日の天気」が重要な関心ごとである農業従事者に対して天気予報CMを流すことは、一定の合理性があったといえる。

しかしそんな「ヤン坊・マー坊」のテレビCMだが、2014年3月31日、ヤンマーはその歴史に幕を閉じる決断を下す。そして並行して立ち上げたのが「ヤンマープレミアムブランドプロジェクト」だ。

100年もの間、最先端の技術に農業に貢献してきたヤンマーだが、現在では農業だけでなくマリンインダストリー、建設機械、さらにはエネルギーへと広がっている。

これらを踏まえて、次の100年を見据えたコーポレートブランディングプロジェクトが「ヤンマープレミアムブランドプロジェクト」だ。

コーポレートブランディングプロジェクトの舵取り役にクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏を迎え、掲げられたブランドステートメントは「A SUSTAINABLE FUTURE ─テクノロジーで、新しい豊かさへ。─」。最大の豊かさを最小の資源で実現し、次の100年に向けて持続可能な資源循環型社会の実現を目指すという「ブランドの約束」だ。

ビジュアルアイデンティティは「FLYING-Y」に統一。これは豊作の象徴であるトンボの王様「オニヤンマ」から派生する社名の由来にもなっている「羽」のモチーフに、次の100年へと飛躍するブランドの意志を反映。革新とモノづくりへの情熱をコーポレートカラーの赤で表現している。

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さらヤンマーの事例の秀逸な点は、コーポレートブランディングを商品ブランディングにまで落とし込むことで徹底的に一貫性にこだわったことだ。

庶民的なイメージの強かった同社を「エルメスのような会社」に変えるべく、ヤンマーの重要な商品のプロダクトデザインを、かつてフェラーリやマセラッティなどのデザインを手掛けた奥山清行を起用。さらに農作業のためのウエアデザインは、イッセイミヤケのデザインを手掛けた経験のある滝沢直己氏を起用している。

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さらに2016年3月には、ヤンマーの新ブランドステートメントを伝えるテレビCMや新聞広告を集中的に投下することで、ヤンマーは確実にイメージを変えつつある。

事実「ヤンマーさん本当に変わったね!」など、新規・既存顧客を問わず、社外から多くのポジティブな反応が得られ、社内においても会社の求心力は確実に上がってきているという。

ヤンマーの事例は「ブランドアイデンティティ」「ビジュアルアイデンティティ」「商品ブランディング」を一貫させることでコーポレートブランディングを成功させた秀逸な事例だ。

企業ブランディングの事例-6:ジョンソンエンドジョンソンの企業ブランディング事例

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企業ブランディングは、プロジェクトが終了したら終わりではない。「ブランドマネジメント」という言葉があるように、プロジェクト終了後も一貫した姿勢を取り続けることができるかどうかが、強いブランドになれるかどうかの分水嶺となる。

ジョンソンエンドジョンソンは、消費者向け製品、医療機器・診断薬、医薬品の3つの事業分野を通じて業績を伸ばしてきたヘルスケアカンパニーだ。日本で事業活動を開始したのは1961年のことだ。

ジョンソンエンドジョンソンといえば有名なのが、ブランドのミッション・行動指針ともなっている「我が信条(Our Credo)」だ。

ジョンソンエンドジョンソンの「我が信条(Our Credo)」には、有名な逸話がある。

1982年9月と86年2月、ジョンソンエンドジョンソンの主力製品である鎮痛剤「タイレノール」に何者かが青酸化合物を混入したことにより、死亡事件へと発展する。

ジョンソンエンドジョンソン自身も被害者としてふるまうことが可能な状況であるにもかかわらず「我が信条(Our Credo)」において最優先とされる顧客の安全を第一と考え、必要な情報は全て開示し十分な対応体制を整備した上で、現役の従業員はもちろん、退職した元従業員の協力も得て、全ての製品を店舗から回収した。

その勇気と行動は今なお高い評価を受け、当時ジョンソンエンドジョンソンの経営トップが拠りどころとした「我が信条(Our Credo)」は今でも従業員に信奉され続けている。

企業ブランド(コーポレートブランド)は、経営者の意思決定や組織風土・価値観が色濃く反映される。そのため、欧米の卓越したブランドカンパニーは前述したように「インテグリティ」という概念を掲げ、インテグリティに則した企業行動を重視していることが多い。

「インテグリティ」とは日本語では「高潔さ」と訳されることが多いが、そのニュアンスは英語で理解したほうがわかりやすい。

Integrity=

the quality of being honest and strong about what you believe to be right.

(自分達が正しいと信じている事柄について正直であり、強くあること)

「インテグリティ」とは、企業ブランド(コーポレートブランド)として公正さや誠実さ、あるいは社会的使命に則して一貫した姿勢や行動を取り続けることだ。

そのためジョンソンエンドジョンソンでは「我が信条」の浸透に莫大な時間とエネルギーを費やしている。

その代表例が「クレドサーベイ」だ。これは全世界のジョンソンエンドジョンソングループで年に1回、無記名で行われる「我が信条」の実践に関する調査だ。

多くの企業で「従業員満足度調査」や「インナーブランディング調査」は行われているが「クレドサーベイ」が秀逸なのは「全社員がリーダー層を評価する」調査である点だ。

クレドサーベイは、ジョンソンエンドジョンソングループのマネジメントやリーダーが「我が信条」の価値観をどれだけ実践しているかについて、全社員の認識を調査する。

さらに、クレドサーベイの集計を外部の事業者に委託することで客観性や公平性を保ちつつ、結果は各部門にフィードバックされる。これを受け、各部門は課題を発見したうえで、アクションプランを策定・実施し、改善を図っていくのだ。

インテグリティを伴った行動は、信頼や敬意という感情移入を生みだす。

ジョンソンエンドジョンソンの企業ブランディング事例は「我が信条(Our Credo)」という「インテグリティ」によって成功したブランディング事例と言えるだろう。

 

BtoBブランディングの事例

BtoBブランディングの事例-1:IBMのBtoBブランディング事例

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2017年時点で、IBMが展開しているソリューションブランディングが「コグニティブ(cognitive)コンピューティング」だ。

コグニティブとは、日本語に訳せば「認知プロセス」というニュアンスだ。いわば「人間などが外界にある物事を捉えた上で、それが何であるかを理解したり解釈したりするプロセス」のことを指す。

IBMがソリューションブランディングとして提唱する「コグニティブコンピューティング」とは、システムを「情報処理の機械」として捉えるのではなく「人間のように自ら理解・解釈し、更には学習するシステム」として捉えよう、といった意味が込められている。

コグニティブコンピューティングが目指すのは「定型処理の効率化」が中心だったこれまでのITシステムの領域を広げ「解釈」や「判断」まで担わせることで、人がより創造的で革新的なアイデアを生み出す仕事に集中できる環境を実現することだ。

ここで鋭いあなたならお気づきかもしれないが「コグニティブコンピューティング」という考え方は、IBMの人工知能であるWatsonと密接に紐づいている。ソリューションブランディングによって「コグニティブコンピューティング」の理解が広まれば広まるほど、その提唱者であるIBMに対する期待感情が高まり、Watsonが売れていくという構図を創り上げているのだ。

BtoBブランディングの事例-2:ドルビーラボラトリーズのBtoBブランディング事例

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もしあなたが映画好きなら、上記のロゴは頻繁に目にしたことがあるはずだ。しかしあなたはドルビーラボラトリーズの「広告」をご覧になったことがあるだろうか?

ドルビーラボラトリーズは、映画、テレビ、記録メディアその他の音響記録・再生技術に関わる研究、開発を行う米国の企業だ。同社は装置製造だけでなく、開発した技術を他社に積極的にライセンスすることで収入を得るビジネスモデルを採用している。

ドルビーラボラトリーズは1968年、自社の技術をライセンス供与することを決めている。当時提供していたのは音楽録音時のノイズを低減する「ノイズリダクション技術」であり、急速に拡大していた音楽産業・映画産業において最も注目されていた技術だ。

ドルビーラボラトリーズは、自社のノイズリダクション技術をブランド化することを目指し、技術特許のライセンス、商標、ノウハウに関する権利、回路販売数に基づいたロイヤリティプログラムを創り上げている。

更に、ドルビーラボラトリーズは自社が定めた商標を表示した製品については、ノイズリダクション技術の品質を保証しただけでなく、商標の入ったすべての製品の品質イメージを高く維持させる取り組みを行った。

その結果、ドルビーラボラトリーズは多額の広告費を使わずにロゴマークを認知させ、今ではセットメーカー製品、ゲームソフト、テレビ作品、映画作品などの幅広い分野で「高音質性を保証するシンボル」として認知されている。いわばBtoBtoCのブランディング事例だ。

 

リブランディングの事例

企業のブランド戦略と、市場(生活者)との間でミスマッチが起こると、ブランドは危機に陥る。

「リブランディング」の意味とは、既存のブランドと顧客との関係性を再活性化させる取り組みを指す。

取り巻く環境が変化する以上、リブランディングは決して特別なことではない。ブランド戦略において常に選択肢の一つとなり得るものだ。

リブランディングの特質は、既に確立されたブランドが存在していることだ。通常ならブランディングには長い時間と労力・予算がかかるが、既に高い認知度を確立しているブランドが存在するなら、新規ブランドの立ち上げと比較してより低コストで効果的なブランディングも実現可能だ。

今回の解説では、マツダとハイチオールのリブランディング事例を紹介しよう。

リブランディングの事例-1:マツダのリブランディング事例

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あなたは「マツダ地獄」という言葉を耳にしたことがあるだろうか?バブル経済後の不況期にささやかれた、マツダ車を揶揄する言葉だ。

当時マツダは販売不振を挽回しようと、新車販売時に大胆な値引きを行っていた。しかしその副作用として、マツダ車はブランド価値の低下を招き、下取り価格も大きく下がることになる。

結果「マツダ車を買った人は、買い替え時に再び(値引きが大きい)マツダ車を購入する以外に選択肢がなくなる」という状態となった。この負のスパイラル現象を揶揄した言葉が「マツダ地獄」だ。

 マツダは、トヨタ、日産、ホンダに次ぐ国内4位の自動車メーカーだ。それまで長らくシェアを伸ばすための拡大戦略を進めてきたが、上記の「マツダ地獄」の反省を経て、抜本的なリブランディングを検討することになる。

検討の結果、マツダが選んだ道は「ナンバーワンブランドではなく、オンリーワンブランドになる」ことだ。ターゲットを大胆に絞り込み、シェア競争を続ける他社とは差別化を図ることで強いブランドを確立する戦略だ。

当時のマツダの幹部は以下のように語っている。

 

「マツダの世界シェアは約2%。しかし100人のうちの2人が『絶対にマツダでなければ嫌だ』と思う車を作り続れば、世の中で必要とされる会社であり続けることができる」

 

 以降、マツダが打ち出したブランドアイデンティティが「Be a driver.」だ。

そのメッセージに込められた意味とは「既存のルールや常識に縛られない、人生のドライバーを応援する」ことであり、やはりマツダもまた、主役を「車」ではなく「生活者一人一人の生き方や価値観」に置いているブランドだ。

更に、マツダは「マツダデザイン」と称して「ブランドの感性価値」も明確に打ち出している。かつてトヨタ、日産、ホンダなど国産車メーカーの中で、これほど明確に「デザインによるブランド感性価値」を打ち出したメーカーが存在しただろうか?

加えて「SKYACTIV TECHNOLOGY」をはじめとする環境対応技術を通して、ブランドの実利価値も打ち出している。

数ある国産自動車メーカーの中でも、マツダは独自のブランドポジショニングを確立したリブランディング事例と言えるだろう。

リブランディングの事例-2:エスエス製薬「ハイチオールC」のリブランディング事例

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現在は「美白効果が高い医薬品」として多くの女性の支持を集める「ハイチオールC」だが、昔は「男性向けの2日酔いの改善薬」だったことをあなたはご存じだっただろうか?

そんなハイチオールCだが、1996年ごろに売り上げ低迷し、横ばいの状況に陥る。

そこでエスエス製薬は大英断ともいえるリブランディングを行った。1998年に、ブランドのポジショニングを従来の「男性の2日酔い対策」から、一気に「女性の美白対策(しみ・そばかす対策)」 に変更したのだ。

なぜならハイチオールCに含まれる成分である「Lシステイン」は、二日酔い予防だけでなく、肌の代謝を助け、過剰にできたメラニンを排出する効果も持っていたからだ。

エスエス製薬は、ターゲットとブランドポジショニングは変えたが、製品の成分は変更していない。しかし多くの女性誌が継続的に飲みやすいように1回あたりの服用量を4錠から2錠に変更し、1瓶あたりの錠数も変えている。

また、価格についても1瓶あたりの錠数を減らし、標準小売価格も3,800円から2,200円に引き下げている。

さらには、流通チャネルも若い女性が買いやすいドラッグチェーンの取り扱いを強化するため、営業活動の重点を街の薬局からドラッグストア変更。当時、マツモトキヨシなどのドラッグチェーンの増加も寄与し、売上高は飛躍的に拡大した。

ハイチオールCは、ターゲットとポジショニングの変更によってリブランディングを成功させた事例と言えるだろう。

 

ブランディングの事例が学べる:ブランディング事例の本おすすめ3冊

締めくくりに、ブランディングの事例が学べるおすすめ本を紹介しよう。選定した基準は下記の通りだ。以下のどれかに当てはまるものをピックアップした。

  • k_birdが実際に読み、単純に「素晴らしかった」と思えるブランディングの事例本。
  • 実際に戦略立案実務や事例共有に役立っているブランディングの事例本。
  • 長年に渡って読み継がれており、時代を越えても変わらない「本質」や「原理」が見出せるブランディングの事例本。

もちろん、すべて「なぜ読むべきなのか?」という解説付きだ。

ブランド戦略全書

本書は、ブランド戦略の全体像を研究者と実務家が多面的にまとめあげたブランディングの本だ。

大学教授だけでなく調査の専門家や商標の専門家といった異なる立場の著者にからブランディングの解説がなされている。

ブランドという概念から最新のブランド戦略フレームワークまで、この一冊でブランド戦略の全体がわかる良書だ。

 ブランド戦略・ケースブック 

いわゆるブランディングに関する戦略本は数多く出版されているが、本書は様々なブランディングの事例を扱った稀有な本だ。

本書で扱っている事例は、三ツ矢サイダー、BMW、パイオニアKURO、花キューピット、R25、フラット35、セブン銀行、由比桜えび/駿河湾桜えび、熱海、揖保乃糸など、企業のブランディング事例だけでなく、リブランディングや地域ブランディングの事例など多岐に渡る。

ブランディングは、ともすれば抽象的かつ概念的になりがちだが、もしあなたがブランディングの具体事例から学びを得たければ、本書は最もおすすめの一冊となる。

P&Gウェイ: 世界最大の消費財メーカーP&Gのブランディングの軌跡

本書はマーケティングの神様として名高いP&Gの成功事例から最近の戦略まで「P&G流ブランディング」の本質が語られた書籍だ。

本書の特筆すべき点は、経営陣や従業員との独占インタビューが許可された、史上初めての書籍である点だ。

最終章が「ブランド構築の原則」という内容で締めくくられていることからもわかる通り、P&Gのブランド力を高める秘訣を徹底的に解明した本でもある。

もしあなたがブランディングやマーケティング極めたいのなら方、読んでおくべき書籍だ。

その他のブランディング関連記事とおすすめ本について

もしあなたがこの解説記事以外にも関心があるのであれば、リンクを張っておくのでぜひ必要な記事を探していただきたい。

また、下記の記事ではより深くブランディングやマーケティングを学びたい方におすすめ書籍を紹介している。ぜひご覧いただければ幸いだ。

ブランディング・マーケティング関連のおすすめ本紹介

ビジネススキル・マネジメント関連のおすすめ本紹介

終わりに

今回は「ブランディング事例|11の成功事例から学ぶブランディングの手法」と題して、ブランディングの意味やブランディングに必要な発想転換、戦略手法、企業のブランディング成功事例などについて解説した。

今後も、折に触れて「ロジカルで、かつ、直感的にわかるブランディングの解説」を続けていくつもりだ。 

しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。

それでも、このブログに主旨に共感し、何かしらのヒントを得たいと思ってもらえるなら、ぜひこのブログに読者登録Twitterfacebook登録をしてほしい。

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