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ブランディングの戦略家が【ブランド戦略の全て】を解説するブログ

ブランディングの効果とは|ブランディングの効果と10のメリット

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このページに辿り着いたあなたなら「ブランディングの効果とは何か?」あるいは「ブランディングのメリット」に関心があることだろう。

このブログ「Mission Driven Brand」は、外資系コンサルティングと広告代理店のキャリアを持つ筆者が、ブランディングやマーケティングの「できない、わからない」を解決するブログだ。

ブランディングは極めて曖昧な概念であることから、チームメンバーの認識が揃わないまま物事が進む例が後を絶たない。その結果、チームメンバーが個別に散発的な手法を繰り出すことになり「砂漠に水を巻いて何も残らない」という状態に陥りがちだ。

ブランディングはビジネス活動である以上、投資に対するリターンが求められる。しかし、目指すべき「リターン」について共通認識が取れていなければ、その成果はおぼつかない。

よって、今回は「ブランディングの効果」と「ブランディングのメリット」について解説する。その内容は以下の通りだ。

  • そもそも、ブランディングとは何か?
  • ブランディングは、どのように効果を発揮するのか?
  • ブランディングがもたらす10個のメリットとは何か?

もしこの解説を最後まで読んでいただければ、チームメンバー内で「ブランディングのリターン」に対する共通認識が持ちやすくなり、チーム全体でブランディング活動に弾みがつくはずだ。

また、この記事の最後には、記事内で紹介した図版のスライド資料を用意しているので、ぜひ復習時に活用頂きたい。

ブランディングを学びたい方へ。このブログから書籍化した「ブランディングの教科書

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本論に入る前に、僭越ながら拙著を紹介させていただこう。

「ブランディング」は捉えどころがなく、なかなか一歩を踏み出せない。あなたはこのような状況に陥ってはいないだろうか?

本書の執筆陣は、ある時は広告代理店のストラテジックプランナーとして、ある時は、外資系コンサルティングファームのコンサルタントとして、クライアントの実務担当者が悪戦苦闘する姿を見てきた。

「ブランディング」は、その本質を理解しないまま実行に移そうとすると、的を射ない小手先の手法を延々と繰り出すことになりがちだ。結果、やみくもに予算を消化したまま、成果が出ない事態に陥ってしまう…。

そのような事態を1件でも減らしたい。そう考えたのが本書を執筆した理由だ。

ブランディングの本は、どれも「ブランドのらしさ」「ブランドの世界観」など「ふわっと」した話になりがちだ。そして「ふわっ」とした話になればなるほど抽象的かつ曖昧な概念論になってしまい、企業組織の中で通すことが難しくなる。

本書は、外資系コンサルティングファームと広告会社で培った「生の知見」をふんだんに盛り込みつつ、つい「抽象論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

本書のタイトルは「ブランディングの教科書-ブランド戦略の理論と実践」だ。

「理論」が理解できなければ、ブランディングを体系化できず、ビジネスに再現性を生むことができない。そして「実践」が理解できなければ、ビジネスに成果をもたらすことができない。

本書は、ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」として、ブランド戦略の再現性と成果を目指した書籍だ。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー1位を獲得し、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

  • クッキー規制によりデジタルマーケティングでCTRやCVRが頭打ち。CPAは下がるどころか、少しずつ上昇傾向ですらある。
  • 矢継ぎ早に新商品を繰り出してもすぐに競合に追い付かれ、差別化ができない。商品開発サイクルは更に早まり、自転車操業状態になっている。
  • 「自社にはブランディングが必要だ」と理解はしているが、概念が抽象的過ぎて、どう周囲を巻き込んでいいかがわからない。

もし、あなたがこれらに当てはまるなら、ぜひAmazonのページで本書の目次をチェックしていただきたい。つい感覚論になりがちな「ブランディング」に対して、

  • なぜ、そうなのか?
  • どう、ビジネスに役立つのか?
  • 何をすればいいのか?

を徹底して解説しているので、あなたのお役に立てるはずだ。

また、kindle Unlimitedを契約されている方は無償で手に入れることができるので、気軽に手に取っていただきたい。

ブランディングとは何か?実務家に役立つブランディングの意味

まずは「ブランディング」に対する認識を揃えるために「ブランディングの定義」について解説しよう。

ブランディングとは?
  • ブランディングとは、そのブランドならではの独自の役割を築き「できるだけ多くの人に」「できるだけ強い」感情移入を促していく取り組みを指す。
  • その成果は「指名買い」によるロングセラーブランドだ。

このブログにおける「ブランディング」とは「できるだけ多くの人に」「できるだけ際立った」独自性と感情移入を促していく取り組みを指す。その成果は、どのマーケッターにとっても悲願である「指名買い」と「ロングセラーブランド」だ。

どのような製品・サービスも、独自の役割を築き、感情移入を促す取り組みを続けることによって、長く愛されるブランドに変わる。つまり「指名買いされるロングセラーブランド」に育てることができる。

このことは「製品」→「商品」→「ブランド」の違いを理解すれば、より明確になる。

製品とは?

「製品」とは、工場の倉庫にある出荷待ちのものを指す。

製品開発者が長年かけて開発し、工場担当者が生産する。倉庫担当者が倉庫棚に整理し、出荷待ちの状態となる。しかしこの時点で生活者の関与はなく、企業側主導で事が進められる。

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商品とは?

「商品」とは、お店やECの棚に並んだ販売待ちのものを指す。

商品開発担当者が「どう売るか?」を考えながらロゴやパッケージデザインを開発し、価格設定もなされている。

そして営業担当者が「どうバイヤーと交渉し、棚に並べてもらうか?」を考え、知恵を搾る。そしてその努力が結実すれば、無事小売店の棚に並ぶことになる。

しかし、商品棚には様々な競合商品がひしめきあっている。

そしてたまたま偶然その棚を通りがかった生活者が、たまたま偶然あなたの商品を目にし、たまたま偶然その時のニーズにマッチすれば、買い物かごに放り込む。

「商品」の状態のままでは、数々の「たまたま偶然」をくぐり抜けた上での「衝動買い」に頼らざるを得ない状況だ。

結果「衝動買い」をつくるために、販売促進担当者が「どう売るか?」を考え、値引き販売をしてみたり、ノベルティを付けてみたり、懸賞キャンペーンを仕掛けたりするなど、やはり「製品」と同様、企業側主導で事が進められることが多いはずだ。

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ブランドとは?

「ブランド」とは、生活者1人1人の心の中にある。

長年、広告代理店と外資系コンサルティングファームの両方で「ブランディングのリアル」を体験してきた筆者にとって、実務に直結しやすい「ブランドの定義」は以下の通りシンプルだ。

「ブランド」とは

ブランドとは、生活者から見た独自の役割を築き、
生活者の感情移入が伴ったモノやサービスのこと。

ここでぜひ、強いブランド力を持つと評判のブランドを思い起こしてみて欲しい。

アップル、グーグル、ディズニー、スターバックス、コカ・コーラ…。どのブランドも独自の役割を築き、単なる「モノ」や「サービス」を越えて、生活者からの感情移入が伴っていないだろうか?

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このブログの筆者であるk_birdは、広告代理店と外資系コンサルティングファーム時代を合わせて、延べ300回以上のマーケティング調査経験を有している。

その経験からしても、独自の役割を築き、感情移入が伴っているブランドとそうでないブランドでは、指名購入意向率が5倍以上違う例はザラにある。一方で、逆の例は1件も見たことがない。

どのようなモノやサービスも、人の感情移入が伴った時、その人にとっての「ブランド」に変わる。

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ブランディングの効果

ことブランディングといえば、つい「ブランドのらしさ」「ブランドの世界観」など「ふわっと」した話になりがちだ。しかし「ふわっ」とした話になればなるほど曖昧な概念論に陥ってしまい「成果」の話がおざなりになる。

しかし、ブランディングは投資を伴うビジネス活動だ。

そうである以上、成果から逃げてはならず「ブランディングは、どうビジネス成果に直結するのか?」という「ブランディング効果」について理解していなければならない。

ここでは話をわかりやすくするために「自動車ブランド」を題材に、ブランディングの効果について解説しよう。

現在、日本国内で販売されている自動車は、30ブランド・150車種以上にものぼることはご存じだろうか?

ここでぜひ、考えてみて欲しい。

もしあなたが自動車を買おうと思ったら、果たして30ブランド150車種を1つ1つくまなくネットで調べるだろうか?

おそらく、あなたはそうしないはずだ。

まずは自分が知っていたり、好意を感じている自動車ブランドを複数ピックアップし、その中から具体的なスペックや価格を比較して、最終的に購入する車を決めることになる。

これを、概念図で表すと以下の通りとなる。

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ここまで鋭いあなたならお気づきかもしれないが、あなたの車選びは大きく分けて、

  • 第1関門:自分が知っていたり好ましいと感じているブランドを選ぶ
  • 第2関門:その候補の中からスペックや価格を比較して最終決定する

という「2つの関門」があることがわかるはずだ。

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そしてもし、上図の「第1関門」で脱落してしまえば、次の第2関門に辿り着くことはなく、購入には至らない。

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別の言い方をすれば、あなたの頭の中で、

  • その自動車ブランドを知っているかどうか?:ブランド認知
  • その自動車ブランドを好ましいと感じているかどうか?:感情移入

の2つが揃っていることが、第1関門を突破し、第2関門に至るカギを握る。

そもそも、あなたがその自動車ブランドのことを知らなければ「知らないものを欲しがることはできない」のだから、その自動車ブランドは第2関門に至ることはない。

また、例えあなたがその自動車ブランドを知っていたとしても、好ましい印象を持っていなければ、選択肢に入らないのだから第2関門に至る前に脱落することになる。

残念ながら日本企業のほとんどの商品は「第1関門を突破する戦略」を無視したまま「第2関門」でスペック競争をしているのが現状だ。

しかしブランディングの本質とは、ターゲットからのブランド認知と感情移入を勝ち取ることによる「第1関門の突破力向上」であり、第1関門の突破力を向上させることで、第2関門を楽に戦える状態を創り出すことだ。

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ブランディングの10個のメリット

ブランディングの効果について理解できたら、続いてはブランディングの10個のメリットについて解説していこう。

ブランディングのメリット-1:知名度向上と販売拡大のメリット

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当たり前のことだが、生活者は「知らないものを欲しがる」ことはできない。

逆を言えば、知名度が上がり知っている人が増えていけば、欲しがる人も比例的に増えることになる。結果、販売数量も比例的に拡大していく。

さらに、多くの生活者は同じジャンルの「無名の商品」と「有名な商品」を比べた場合、有名な商品の方を選ぶ傾向にある。なぜなら、生活者はモノを購入する際に「有名な商品だから大丈夫だろう」という安心感を得たがるからだ。

社会心理学者のR・ザイアンスによれば、人々は見知らぬ「記号」であっても、何回も繰り返し見せられるとその記号に対して好意を持つようになるという。つまり人間は知らないものより知っているもののほうに、強い理由もなく好意を抱く傾向を持っているのだ。

知名度向上によりブランドに「安心感」という感情移入を起こすことができれば、あなたの商品は他社商品よりはるかに選ばれやすくなる。

あるミネラルウォーターの事例では、単にブランドが認知されるだけでなく「役に立つブランド」と認識されると積極購入意向率は16%上がり「気持ちや感情面で満足できるブランド」と認識されると21%上がる。

さらに「自尊心を満たしてくれるブランド」と認識されると、積極購入意向率は24%上がることがわかっている。

ミネラルウォーターは、その中身は単なる「水」であり、機能的な差別性はほとんど持たない。しかし「感情移入の度合い」で積極購入意向はこれだけ大きく変わる。

さらには、ブランドに対するポジティブな感情移入が強まれば強まるほど、その顧客が周囲に推奨してくれるメリットが生じる。いわゆる「クチコミによる推奨効果」だ。

近年のソーシャルメディアやレビューサイトの普及によって、以前と比べてクチコミの影響範囲ははるかに広くなっている。

ブランドの知名度が高まり、愛着感情を持ってくれる顧客が増えれば、クチコミ推奨による販売機会も広がるはずだ。

ブランディングのメリット-2:価格プレミアムのメリット

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一般に、ビジネスの売上高は「販売数量×販売単価」で決まる。しかし、近年の市場成熟化と競争激化で「販売単価」が下落するプレッシャーは年々高まっている。

このような状況の中でも、適切にブランディングを実行に移せれば、高い単価を維持できる。その理由を解説しよう。

ブランドは、感情移入の度合いが強まれば強まるほど、生活者から見て「思い入れが強い特別なブランド」に育っていく。結果「ほかには替えられないブランド」となり、例え類似商品より多少高くても選ばれやすくなる。

先ほどのミネラルウォーターの事例では、単にブランドが認知されるだけでなく「役に立つブランド」と認識されると価格プレミアムは9%上がり「気持ちや感情面で満足できるブランド」と認識されると22%上がる。

さらに「自尊心を満たしてくれるブランド」と認識されると、価格プレミアムは30%上がることがわかっている。

その上、さらに感情移入の度合いが強まれば、生活者はそもそも類似ブランドと比べることすらしなくなる。「シャネラー(CHANEL)」や「MUJIラー(無印良品)」などが典型で、いわば比較検討をせずに「指名買い」をしてくれる状態だ。その結果、価格競争に巻き込まれず、高い商品価格を維持しやすくなる。

これが、ブランディングでよく語られる「価格プレミアム」のメカニズムだ。

高い価格を維持できるということは、財務的には利益率を高く維持できることにつながり、好業績の大きな要因となる。

ブランディングのメリット-3:リピート率向上のメリット

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「リピート率の高さ」は、あなたのビジネスにとって致命的に重要だ。

あなたが携わっている商品の顧客構成を分解すると「新規顧客+既存顧客」にわけることができるはずだ。そしてあなたのブランドのビジネス構造は、新規顧客獲得のために大きな投資を行い、リピート購入の利益によって投資を回収していく構図になっている。

もし既存顧客のリピート率が低ければ、新規顧客獲得コストが回収できなくなり、あなたのビジネスはじり貧に陥っていく。それぐらい「リピート率の向上」はビジネスの成否を左右する重要なファクターだ。

一方で、あなたのブランドには数多くのライバル商品が存在する。そしてそれらのライバル商品は、虎視眈々とあなたの顧客を狙っている。

もし、ライバル商品の戦略が優れていれば優良顧客の流出が起き、あなたのブランドのリピート率は低下していく。競争が激しい現状においては、これは大きなビジネスリスクだ。

しかし、ブランディングは「リピート率の向上」に大きなメリットをもたらす。

「価格プレミアム」でも触れたが、ブランドは、感情移入の度合いが強まれば強まるほど、生活者から見て「思い入れが強いブランド」に育っていく。そして「愛着感情」が強くなればなるほど、競合商品に対する「浮気」が起きにくくなるため「リピート率」を高く維持できるようになる。

一般に、リピート顧客にかかるコストは、新規顧客にかかるコストの1/5で済むと言われる

ブランディングによる感情移入で高いリピート率が維持できれば、新規顧客獲得コストの回収可能性が高まるだけでなく、ビジネスの収益性向上にも大きく貢献するようになるはずだ。

ブランディングのメリット-4:ビジネス機会を拡大するメリット

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ブランド戦略の一つに「ブランド拡張」という考え方がある。

「ブランド拡張」とは、シンプルに言えば「築き上げたブランドの知名度や魅力をうまく活用しながらサブブランドなどを開発して、新しい市場を開拓する戦略」を指す。

例えばアップルの成功事例を元に解説しよう。

アップルのことは、当然あなたはご存知のことだろう。もともとはパソコンのブランドであり、多くの日本人の思い入れや愛着、感情移入を勝ち取ってきたブランドだ。

そしてブランディングの観点から言えば、アップルはブランド拡張を成功させてきたブランドでもある。

  • PC:Mac Book Air
  • iPhone:スマホ市場
  • iPad:タブレット市場
  • AirPods:イヤホン市場
  • iWATCH:スマートウォッチ市場

など、アップルというブランドの知名度や魅力をうまく利用して、PC市場とは異なる市場を次々に開拓してきた。

アップルの成功事例を見てもわかる通り、いったんブランドを確立すると、生活者はそのブランドに大きな期待を抱くようになる。そしてその期待をうまく利用することで、新しい市場の開拓を有利に進めることができるようになる。

これが、ブランディングによる「ビジネス機会拡大」のメリットだ。

ブランディングのメリット-5:アライアンス機会の拡大のメリット

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ブランディングにより知名度が上がり感情移入の度合いが強まるのは、何も生活者に限った話ではない。ブランディングがうまく機能すれば、多くの企業もあなたのブランドに注目することになる。

例えばユニクロを例にとると、ユニクロの大ヒット商品である「ヒートテック」が、東レとの共同開発で生まれた商品であることは有名な話だ。

しかし想像してみてほしい。なぜ東レは数あるアパレル企業の中からユニクロを選んだのだろうか?

もし、ユニクロが未だ知名度もブランド力もない山口県のアパレル企業だったとしたら、果たして東レとの共同開発や、ヒートテックの大ヒットは実現しただろうか?

ブランディングが成功すれば、生活者以外にも多くのステークホルダーを惹きつける。
すると惹きつけられた企業からの協業の機会が増え、更なる成長のための戦略オプションも広がるはずだ。

ブランディングのメリット-6:仕入れコストを削減するメリット

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ブランディングの実務の現場では、販売面のメリットのみに焦点が当てられ、コスト面のメリットはあまり語られることはない。

しかし、ビジネスは売上からコストを差し引いて初めて利益になる以上「ブランディングによるコスト削減」のメリットも理解しておきたい。

ブランディングがうまくいくと、ブランドの知名度が高まり販売数量は増えていく。

そして販売数量が増えれば、当然原材料の仕入れ数量も増えることになるため、以前と比べて仕入れ業者に対する価格交渉力は大きく高まっていく。

さらに、あなたのブランドが社会的に評判のブランドへと飛躍した場合、今度は「採算ラインぎりぎりでもいいから、ぜひあなたの会社と取引をしたい」という取引先が現れ始める。

なぜなら、その取引先から見れば、社会で評判のあなたのブランドと取引をすることは、自社の社会的な信用を高め、技術や品質が認められた大きな実績となるからだ。

そしてその実績を引っ提げて他の様々な企業にアプローチできるようになるため、例えあなたとの取引が採算ぎりぎりであっても、その取引先にとっては次のビジネスに向けた投資となるわけだ。

これは、あなたの会社からみれば、破格の低コストで原材料を仕入れることが可能になることを意味する。

上記2つの理由から、ブランディングは「仕入れ面」でのコスト削減にも大きなメリットをもたらす。

ブランディングのメリット-7:広告宣伝コストを削減するメリット

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広告宣伝費は、あなたにとってコストだろうか?それとも投資だろうか?

あなたが瞬間風速的に売り上げを伸ばしたいと思えば、その広告宣伝費はコストとなる。しかし一瞬大きく売り上げは伸びるだろうが、その効果は一時的なものとなり、後には何も残らない。いわば広告宣伝費を「消費して終わる」こととなる。

しかし長期的にブランドを構築したいと思えば、広告宣伝費は投資という性格を帯びる。ブランドに対して感情移入し、永続的に指名買いしてもらえる顧客を増やすことが目的となるからだ。

ここでぜひ、あなたのブランドの知名度が高まり、社会的に定着し、多くの生活者から「指名買い」されている状態を思い浮かべてみて欲しい。

「多くの生活者に指名買いされている状態」ということは、つまり「広告宣伝を見たり聞いたりしなくても、向こうから指名で買っていただけている状態」と同じだ。

つまり「これまでは多大な広告宣伝費を使わないと買ってもらえなかった」状態から「例え広告宣伝をしていなくても、指名で買っていただけてる生活者が多数いる状態」になるため、同じ売上を上げるにも、広告宣伝費は必要最小限で済むようになる。

これが、ブランディングによる「広告宣伝費の削減」の効果だ。

もし、あなたがインターネット広告の運用経験がおありなら、売上に比例して広告宣伝費がかかってくる「税金状態」のつらさは、よくおわかりのはずだ。

もちろん、広告宣伝費を「売上を上げるためのコスト」とみなした「一発芸」を否定するものではないが「広告宣伝費の削減効果」も含めて、より戦略的かつ長期的にブランドの競争力を築きたいのであれば「広告宣伝費=投資」という視点が必要だ。

ブランディングのメリット-8:人材採用のメリット

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ブランディングにより知名度や感情移入の度合いが高まれば、優秀な人材採用にも好影響を与える。

新卒の就職活動を見てもわかる通り、学生は知名度の高い企業を就職候補に選びやすい。毎年雑誌の誌面を賑わす「就職したい企業ランキング」も、上位にランキングされるのは知名度の高い企業ばかりだ。

また、近年の就職活動は、いわゆる「就活サイト」への登録が半ば常識となっているが、学生は知名度の高い企業を検索して探そうとするため、やはり知名度の高い企業が有利となる。

先ほど、ブランディングの目的は「指名買い」であると解説したが、就職マーケットでもまた、ブランディングは知名度の向上を通して「学生からの指名買い」を増やす有力な手段となる。

さらに「ブランドに対する感情移入の強さ」もまた、知名度とは別の側面で人材採用面で大きなメリットを与える。むしろ、ブランドの競争力強化という観点ではこちらの方が重要だ。

例えば「スターバックス」や「ディズニーランド」を思い浮かべてほしい。どちらも、強い感情移入が伴ったブランドの成功例だ。

この2つのブランドの「人材面」での共通点は、双方ともに正社員ではないアルバイトスタッフが極めて優秀であり「そのブランドらしさ」を体現した働きを自発的にすることだ。

スターバックスやディズニーランドで働くアルバイトスタッフは、そもそもそのブランドのファンであることが多い。そして、ファンであるがゆえに「そのブランドらしさ」を誰よりも深く理解している。

その結果、たとえマニュアルがない局面でも、自発的に「そのブランドらしいふるまい」をし、顧客を喜ばすことができるのだ。

さらに、そのブランドが好きでアルバイトに応募し働いているため、アルバイトスタッフであるにもかかわらずブランドに対する帰属心や貢献意欲が高く「そのブランドの役に立ちたい」というモチベーションが高い。

結果、企業の外側からの「見栄え」だけでなく、内側からもブランドを強くしていく「組織文化」が形成・強化され、その組織文化が「そのブランドらしい」個性的な商品やサービスを生み出していく。

そしてその優れた商品やサービスが、感情移入を伴う強いブランドを創り、そのブランドに惹かれた優秀な人材を集めるという好循環が創られていく。

これは何も、スターバックスやディズニーランドなどの接客業のみに当てはまる事例ではない。例えば「リクルート」や「マッキンゼー」なども成功事例だ。

特に「人」が競争力のカギとなるサービス業の場合、ブランディングによる人材獲得効果の向上は、極めて大きなメリットとなるはずだ。

ブランディングのメリット-9:働く誇りの向上メリット

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続いてのメリットは「働く誇りを向上させるメリット」だ。

広告代理店という職業柄、ブランディングの一貫として知名度向上を目的としたTVCMの仕事をさせていただくことがある。初めてTVCMを行うクライアントの場合、TVCMは決して安い投資ではないため、社員の皆さんは一様に期待と不安が入り交じった表情をされることが多い。

しかしTVCMのオンエア後、その状況は一変する。皆さん一様に誇らしい顔つきに変わるのだ。

もちろんブランディングの成果が出て「ブランドとして知名度が高まった」ことに対する誇らしさはあるだろう。しかし現場の実感値として最も多いのは、自分の家族や関係者からの反響に対する誇らしさだ。

  • 娘さんから「お父さんの会社のCM見たよ。いいね」とLINEがきた。
  • 田舎のご両親が、わざわざ流れたCMを録画してくれていた。
  • 営業担当者が、取引先の方からCMを誉められた。

数値には現れにくいことだが、なかなかバカにできない。こういった1つ1つの出来事が社員の皆さんの誇りに変わる瞬間を何度も目にしてきた。

誰だって、自分達が「この商品は、世の中をより良く変えるはずだ」と信じて、苦労に苦労を重ねて作った商品が世の中に知られるようになり、多くの人から愛着を持たれ、ブランドとして成長していく姿を見るのは誇らしいものだ。

そしてそれらの誇りが、いつか自分の会社や、職務に対する誇りへと変わる。

一般に、企業の経営資源は「ヒト」「モノ」「カネ」と言われるが「モノ」を生産するのも、販売を通して「カネ」に変えるのも、その真ん中にいて使いこなすのはいつだって「人」だ。

そして、企業の経営資源のうち「人」だけが喜怒哀楽の感情を持つ。

ここまで読んでいただければお分かりだと思うが、ブランディングは時に感情移入を通して「モノ」や「カネ」以上の価値を「社員」から引き出すのだ。

ブランディングのメリット-10:資金調達コストを削減するメリット

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ブランディングのメリットの最後は、資金調達コストの削減メリットだ。

多くのマーケティング担当者にとって「ブランディング」と「資金調達コストの削減」とは結び付きにくいかもしれない。よって、まずはデフォルメされた例を挙げて解説しよう。

今ここに、1羽のニワトリがいたとする。普通のニワトリとの違いは、1か月に1個「金の卵」を生み続けることだ。

さて、あなたは資金を提供する投資家としてこのニワトリに投資する場合、いくらの投資なら妥当だと考えるだろうか?

一般的なファイナンス理論における答えはこうだ。

このニワトリが1年生きると想定した場合、このニワトリは合計12個の金の卵を生み出すことになる。金の卵が1個10万円の価値があるとすれば、このニワトリは120万円(1個10万円×12か月)の経済的価値を生み出すことになる。

だとすれば、あなたはこのニワトリを120万円未満の金額で投資をすることが妥当だという結論になるはずだ。

しかしニワトリは生き物だ。残念ながら半年後に死んでしまうかもしれない。当然、そのリスク分は、あなたの投資金額から割り引いて考えなければならない。

さて、上記のデフォルメされた事例を

  • ニワトリ=あなたのブランド
  • 金の卵=あなたのブランドが生み出す利益
  • 半年後に死んでしまうリスク=あなたのブランドが抱えるリスク

に置き換えて考えてみよう。資金提供者が投資を検討する際の重要なファクターは、

  • あなたのブランドは、今後どれだけ利益(=金の卵)を生み出すのか?
  • そうならないリスク(=例えば2年経たずにニワトリが死んでしまうリスク)はどれくらいあるのか?

の2点に集約されることに気付くはずだ。

ここでブランディングに話を戻すと、これまで解説してきたように強いブランドは弱いブランドと比べて「知名度の向上」「価格プレミアム」「リピート率の向上」などを通して、多くの利益(=金の卵)を生み出す。

そして「ブランドに対する感情移入」「指名買い顧客の増加」などを通して顧客流出の可能性を減らすことができるため、資金提供者から見たリスク(=2年経たずに死んでしまうリスク)」を低減させる。

結果、金融機関や投資家から見れば、強いブランドを持った企業は「資金を提供しやすい企業」となり、翻って企業の立場から見れば、ブランディングは「資金調達コストの削減効果につながる」というメリットをもたらすのだ。

このブログから書籍化した本4冊

ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書

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冒頭でも紹介したが、再度ここでも紹介させていただこう。

ブランディングは、ややもすれば「デザインの話」「広告の話」「世界観の話」など、掴みどころのない抽象論に陥りがちだ。

しかしブランディングは「ブランド戦略」という言葉があるように、企業の成否を大きく左右する戦略のひとつだ。そして投資が伴う以上、一定の合理性と説明責任が求められる。決して、売上や利益から逃げてはならないのだ。

本書は、つい「感覚論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

「論理」が理解できなければ、ブランディングを体系的に理解することできず、再現性を生むことができない。

そして「直感的な腹落ち感」がなければ、ブランディングを実務に落とせず、成果をもたらすことができない。

本書は、広告代理店&外資系コンサルティングファームで培った「生の知見」と「体系的な解説」を通して、ブランディングの理論を実践へとつなげて解説している。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー1位を獲得し、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

もし本書を手にとって頂ければ、ブランディングの専門用語はもちろん、実践の手順や実務の勘所が、一通り学べるはずだ。

kindle Unlimitedを契約されている方は無償で手に入れることができるので、気軽に手に取っていただきたい。

シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説

あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。

なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。

しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考の重要性は説くものの、肝心の「仮説思考の身につけ方」になると、

  • 「センスが必要」
  • 「経験の積み重ねが物を言う」

など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせている書籍が多い。

しかし本書は「仮説思考に必要な頭の使い方の手順」を、豊富な事例とともに徹底解説している。よって、その手順通りに頭を使えば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。

おかげさまで本書は5版を重ね「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただいた。NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、中国や台湾、香港でも出版が決定している。

さらにAmazonレビューでも、

  • 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
  • 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
  • 「一生もののスキルになるのは間違いない」

など有難い言葉を頂戴している。

もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。

ロジカルシンキングでは学べない「視点力」と「法則力」を身につける※無料のオーディオブック特典付

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例え同じ本を読んだとしても、そこから得られる「学びの量」は、人によって何倍も変わる。そして、人は学びを通してしか成長できない以上、その差はやがて、あなたの職業人生すら大きく変えてしまうはずだ。

同じ本を読んでいるはずなのに、人によって「得られる学びの量」が何倍も変わってしまう。この差は、何から生まれるのだろうか?

それは、1冊の本から「知識」を得ようとするか「知識の"運用能力"」を得ようとするかの差だ。

多くの読書術の本は「多読」「速読」など「いかに効率的に知識を得るか?」をテーマにしている。しかし、どんなに効率的に知識を得たとしても、ただそれだけでは「知識の暗記」止まりになる。得られる学びはごくわずかだ。

一方で、読書を通して「知識の"運用能力"」を身につけることができれば「たった1つの知識」を複数の分野に応用し、何倍もの成果を生み出すことが可能になる。

本書「読書の方程式」は、ビジネス書を通して「どう知識の"運用能力"を身につけるか?」を解説した書籍だ。そのポイントは、ビジネス書から学び取る「視点」「法則」そして「抽象化」にある。

おかげさまで、本書は日経やThe21、STUDY HACKERなど多くのメディアに取り上げていただき、発売3か月で海外の翻訳出版も決定した。Amazonレビューでも、

  • 「こんな風に自分を成長させる読み方があったのか!」
  • 「読書術の本では、これまでで最も良い本」
  • 「読書の概念が変わった」

など、ありがたい言葉を頂戴している。

もしあなたが「知識の"運用能力"」を身につけ、1つの事実から得られる「学びの量」を何倍にもしたいなら、ぜひ本書で紹介する読書法を実践して欲しい。

8ジャンル57個の仕事術で「実践力」を身につける

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どのようなビジネスも、実践が伴わなければ成果は出ない。しかし、いざ「実践力」を身につけようとしても、その分野は、

  1. 時間管理術
  2. 段取り術
  3. コミュニケーション術
  4. 資料作成術
  5. 会議術
  6. 学び術
  7. 思考術
  8. 発想術

など多分野に渡り、最低8冊分の読書時間と書籍代がかかってしまうのが難点だ。

しかし、本書「超効率ハック」は、8つの分野の仕事術の「重要ポイントだけ」を抜き出し、ギュッと1冊に凝縮した書籍だ。

さらに、本書は「訓練や習慣化が必要な作業テクニック」ではなく「行動を変えるための頭の使い方」の解説に力を入れているため「頭のスイッチを切り替える」だけですぐに実践できるのも特色だ。

おかげさまで、本書を題材にしたSchooのオンライン授業では「思考法ジャンル」で人気ランキング1位を頂いた(139講座中)。また、lifehackerやOggiなど数多くのメディアで取り上げていただき、Kindleでは「オペレーションズ部門」でベストセラー1位を獲得している。

Amazonレビューでも、

  • 「思考と行動の質を上げるヒントが盛りだくさん」
  • 「読んでみると、頑張りどころを間違えてたことに気付かされる」
  • 「仕事が速い人はこれをやってたんだな、ということがよくわかった」

など、ありがたい言葉を頂戴しており嬉しい限りだ。

もしあなたが「短時間で網羅的に仕事術を学びたい」「根本から仕事の生産性を高めたい」と感じているのなら、ぜひ手に取ってみて欲しい。

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終わりに

今後も、折に触れて「ロジカルで、かつ、直感的にわかるブランディングの解説」を続けていくつもりだ。 

しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。

それでも、このブログに主旨に共感し、何かしらのヒントを得たいと思ってもらえるなら、ぜひこのブログに読者登録Twitterfacebook登録をしてほしい。

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