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ブランドマーケティングとは|マーケティングとの7つの違いを解説

ブランドマーケティングとは|マーケティングとの7つの違いを解説

あなたは「マーケティング」と「ブランドマーケティング」の違いを、明確に説明できるだろうか?

マーケティングとブランドマーケティングの違いを説明できなければ、例え自社にブランディングを取り入れようとしたところで、単なる「マーケティング活動」が「ブランドマーケティング活動」と名前を変えただけで終わってしまう。結果「ブランドマーケティング戦略とは、上手いアピールの仕方のこと」という矮小化した誤解がいつまでも残り続け、これまでと変わらない施策を行い続けてしまう。

ブランド戦略に長けているアメリカと日本のマーケティングの違いは、アメリカではブランド戦略はマーケティング戦略の上位に位置付けられていることだ。つまりブランド戦略はマーケティング戦略そのものを規定するための「上位戦略」とされている。

今回は、マーケティングとブランドマーケティングの違いについて解説する。

外資系コンサルティングファームにおけるコンサルタント経験と、広告代理店での実務経験に基づく、より実態に即した解説を目指すつもりだ。

しかし漫然と記事を読んだだけでは単にわかった気にはなるだけで、あなたや、あなたのチームの血肉とはなりにくい。

よって、これまでのあなたのマーケティング活動の「何が足りないか」、また「何を変えれば」優れたブランドマーケティング戦略になるのか?という視点で読み進めて欲しい。

何度もじっくり読み込んで頂ければ、あなたのチームのブランドマーケティング戦略にとって、貴重な示唆となるはずだ。

さらに、以下の解説も併せてご覧いただければ、ブランドマーケティングに対する理解は、より深まるはずだ。

お知らせ:書籍化決定!!amazon.co.jp限定で発売!!

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まずは冒頭に、僭越ながら拙著を紹介させていただこう。

「ブランディング」は捉えどころがなく、なかなか一歩を踏み出せない。あなたはこのような状況に陥ってはいないだろうか?

本書の執筆陣は、ある時は広告代理店のストラテジックプランナーとして、ある時は、外資系コンサルティングファームのコンサルタントとして、クライアントの実務担当者が悪戦苦闘する姿を見てきた。

「ブランディング」は、その本質を理解しないまま実行に移そうとすると、的を射ない小手先の手法を延々と繰り出すことになりがちだ。結果、やみくもに予算を消化したまま、成果が出ない事態に陥ってしまう…。

そのような事態を1件でも減らしたい。そう考えたのが本書を執筆した理由だ。

ブランディングの本は、どれも「ブランドのらしさ」「ブランドの世界観」など「ふわっと」した話になりがちだ。そして「ふわっ」とした話になればなるほど抽象的かつ曖昧な概念論になってしまい、企業組織の中で通すことが難しくなる。

本書は、外資系コンサルティングファームと広告会社で培った「生の知見」をふんだんに盛り込みつつ、つい「抽象論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

本書のタイトルは「ブランディングの教科書-ブランド戦略の理論と実践」だ。

「理論」が理解できなければ、ブランディングを体系化できず、ビジネスに再現性を生むことができない。そして「実践」が理解できなければ、ビジネスに成果をもたらすことができない。

本書は、ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」として、ブランド戦略の再現性と成果を目指した書籍だ。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー1位を獲得し、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

  • クッキー規制によりデジタルマーケティングでCTRやCVRが頭打ち。CPAは下がるどころか、少しずつ上昇傾向ですらある。
  • 矢継ぎ早に新商品を繰り出してもすぐに競合に追い付かれ、差別化ができない。商品開発サイクルは更に早まり、自転車操業状態になっている。
  • 「自社にはブランディングが必要だ」と理解はしているが、概念が抽象的過ぎて、どう周囲を巻き込んでいいかがわからない。

もし、あなたがこれらに当てはまるなら、ぜひAmazonのページで本書の目次をチェックしていただきたい。つい感覚論になりがちな「ブランディング」に対して、

  • なぜ、そうなのか?
  • どう、ビジネスに役立つのか?
  • 何をすればいいのか?
  • 具体的な日本のブランドの事例は?

を徹底して解説しているので、あなたのお役に立てるはずだ。

kindle Unlimitedを契約されている方は無償で手に入れることができるので、気軽に手に取っていただきたい。

 

マーケティングとブランドマーケティングの定義とは?

マーケティングとブランドマーケティングの違いを解説する前に、まずは2つの定義について簡単に確認しておこう。

まずはマーケティングの定義だ。

一般的なマーケティングの定義とは?

 マーケティングに関する研究は、そのベースとなっている社会学や統計学、あるいは心理学と比べて歴史が浅い。近代マーケティングの父と言われるフィリップコトラーの著書「マーケティングマネジメント」の翻訳版が日本で初めて出版されたのが、1971年だ。

まずはコトラーによるマーケティングの定義を見てみよう。

マーケティングとは、個人や集団が、製品および価値の創造と交換を通じて、そのニーズやウォンツを満たす社会的・管理的プロセスである。

-フィリップ・コトラー

さらに、マーケティングの先進国であるアメリカのAMA(アメリカマーケティング協会)の定義は以下の通りだ。

マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。

-アメリカマーケティング協会

両社に共通するのは「価値を創り出し(価値の創造)」「その価値を収益に変える(価値の交換)」「プロセス」であるということだ。

この2つの定義を見て、あなたはどう感じただろうか?K_birdの印象は「極めて、正しい定義である」という印象だ。「価値を生み出し、その対価を頂く」というのは、あらゆるビジネスにとって基本だからだ。

しかし、現場のリアルなマーケティングの実態は?

しかし、マーケティングのリアルな実務現場にいるk_birdにとって、多くの企業のマーケティング活動は、上記の教科書的な定義とはかなり異なる。

まずは結論から記そう。

k_birdが考える「現場の実態に基づいたマーケティングの定義」とは、以下の通りだ。

k_birdの現場実感に基づく「マーケティング」の定義

マーケティングとは「標的(ターゲット)」を「攻略」し、収益に変えるためのハンティング活動のこと。

残念ながら、長年実務の現場を見てきて感じるのは、あたかも見込み客を「標的」とみなし、その「標的」を「攻略」するための「ハンティング活動」がマーケティングであるかのように錯覚されている実態だ。

特にWEBマーケティングの現場では、その傾向がより顕著に見られる。

WEBマーケティングでは、見込み客の行動はデータで可視化され、追いかけることができる。すると、あたかも「データ=見込み客」であるかのような錯覚が現場で生じ、そのデータの背後にある人の気持ちや感情に想いが至らなくなる。

結果「データ=標的」をひたすらデジタル広告で追いかけまわし「攻略」することが善、というマーケティング姿勢に陥りがちだ。

WEBマーケティングの世界では、デジタル広告から顧客獲得までに至る取り組みを「刈り取り施策」などと呼ぶこともある。この「刈り取り」という言葉から見てもわかる通り「見込み客=感情を持った人間」とは捉えていない。

これは、従来型のマーケティングでも同様だ。

従来型のマーケティングでは、まずは市場をセグメントし、ターゲットを設定し、ポジショニングを決めた上で4P(マーケティングミックス)に落とし込む。

k_birdが見てきた多くの実務現場でもおおよそこのステップを辿ることが多いが、残念ながらターゲットを群としての「標的」としてとらえ、その「標的」を「4Pで攻略する」という姿勢に陥りがちだ。

残念ながら、こと「マーケティング」に関して言えば、教科書的なマーケティングの定義と実態は、大きく異なっているのが現状だ。

本来、マーケティングとブランドマーケティングの違いを明らかにするなら、学問的な定義同志を比較するべきだ。しかし、この文章を読んでいるあなたは、研究者ではなく実務に生きる人間のはずだ。

よって、マーケティングとブランドマーケティングの違いを理解する上では「マーケティングのリアルな実態」に基づいた定義で比較をしていこう。

一般的なブランドマーケティングの定義は?

続いて「ブランドマーケティング」の定義だ。

残念ながらブランドマーケティングに関する研究は、マーケティングと比べても更に歴史が浅く、ブランドの父と言われるアーカー教授の著書「ブランドエクイティ」の翻訳版が日本で初めて出版されたのが、1994年だ。

そしてアーカー教授自身「ブランドマーケティング」に対して明確な定義をしていない。厳密に言えば定義をしているのだが「ブランディング=ブランドエクイティを創ること」という定義になってしまい、この定義を理解するには、別途「ブランドエクイティとは何か?」という解説が必要となる。

よってここでは、アメリカマーケティング協会の「ブランド」の定義をご覧頂こう。

個別の売り手もしくは売り手集団の商品やサービスを識別させ、競合他社の商品やサービスから差別化するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはそれらを組み合わせたもの。

-アメリカマーケティング協会

 

しかし、この定義も極めてわかりづらく、しかも実態にそぐわないことは以下の記事だ解説した通りだ。

k_bird流のブランディング(ブランドマーケティング)の定義は?

k_bird流のブランディングの定義は、以下の通りだ。

これが、k_bird流の「ブランドとは何か?ブランディングとは何か?」に対する答えだ。

ブランディングとは何か?

  1. ブランドとは「独自の役割」を持ち「生活者の感情移入」が伴ったモノやサービス。
  2. ブランディングとは「できるだけ多くの人に」「できるだけ強い」独自の役割と感情移入を形創っていく取り組みを指す。
  3. その成果は「衝動買い頼み」を越えた「指名買い」によるロングセラーブランドだ。

ぜひ、先ほどの現場の実態に即したマーケティングの定義と見比べてほしい。

k_birdの現場実感に基づく「マーケティング」の定義

マーケティングとは「標的(ターゲット)」を「攻略」し、収益に変えるためのハンティング活動のこと。

賢明なあなたなら、大きな違いに気づいたはずだ。

現場の実態に即した「マーケティング」の定義では、物事を考える上での立脚点が「企業中心」に置かれている。

反面、k_bird流の「ブランディング(ブランドマーケティング)」の定義では「生活者中心」に立脚点が置かれている。

ここが、マーケティングとブランドマーケティングの違いを認識する上で、大きなポイントとなる。

もしあなたが優秀なマーケティング担当者であればあるほど、あなたは一日中「商品をどう売るか?」について熟考を重ねているはずだ。

しかしそこには落とし穴がある。熟考を重ねれば重ねるほど「企業目線」に陥ってしまいがちなことだ。

しかし、一方の「生活者」の視点に立つとどうだろうか?

生活者の興味は「今よりも理想的なライフスタイルを実現すること」であり、ブランドはその生活を実現するための「名脇役の一つ」でしかない。

生活者はそれぞれ「本来なら、自分はこう在りたい」という価値観を持っている。そしてその価値観に対する深い理解を伴わない限り、生活者からの感情移入や思い入れを勝ち取る「ブランドマーケティング」を成功に導くことは難しい。

「企業中心に発想する」か「生活者中心に発想する」か?

上記の立脚点の違いこそが「マーケティング」と「ブランドマーケティング」を分ける大きな違いだ。

それでは、その「立脚点の違い」を踏まえた上で「マーケティング」と「ブランドマーケティング」の違いを、対比の形で見ていこう。

 

マーケティングとブランドマーケティング(ブランディング)の7つの違い

マーケティングとブランドマーケティング(ブランディング)の違い-1:
「発想の起点」の違い

まずはマーケティングとブランドマーケティングの「発想の起点」の違いだ。

これが、k_bird流の「ブランドとは何か?ブランディングとは何か?」に対する答えだ。

①発想の起点の違い

  1. マーケティング:
    「自社の商品の特徴は何か?どの特徴を打ち出すべきか?」

  2. ブランディング:
    「生活者のどのような感情を揺さぶり、どのような感情移入を形創っていくべきか?」

マーケティングでは、発想の起点が「企業目線」になっているのに対して、ブランドマーケティングでは、発想の起点が「生活者目線」になっていることにお気づき頂けただろうか?

繰り返しになるが、生活者にとってみれば主役は「自分が実現したい、より良いライフスタイル」であり、あなたの商品は生活者にとって脇役に過ぎない。

「自社の商品の特徴は何か?」は商品を主役にした発想であり、その発想のままブランドマーケティングを進めようとしても、残念ながら生活者からの感情移入を勝ち取ることはできない。

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マーケティングとブランドマーケティング(ブランディング)の違い-2:
「生活者の捉え方」の違い

続いてマーケティングとブランドマーケティングの「生活者の捉え方」の違いだ。

②生活者の捉え方の違い

  1. マーケティング:
    「ほかの商品より優れていることを理解させれば、生活者は自社商品を買うものだ」

  2. ブランディング:
    「生活者は商品の優位性だけでなく、好き嫌いの直感や感情で商品を選ぶこともある」

当たり前のことだが、生活者はコンピューターではない。感情を持った人間だ。そして人間である以上、単なるスペック比較や実利的な価値だけでブランドを選んでいるわけではない。

わかりやすい例がハーレーダビッドソンだ。

ハーレーダビッドソンは、必ずしも燃費が良いとは言えない。しかも大型バイクであることから、コンパクトなバイクと比べて保管の場所を取る。更には、エンジン音も大きい上、価格も高い。単なる「スペック」や「実利的な価値」では、日本のオートバイとは比較にならない不便さだ。

そうであるにも関わらず、ハーレーダビッドソンには熱狂的なファンが存在し、そのほとんどは指名買いだ。

ある説によれば、人の行動を駆り立てるのは「感情」「損得」、そして最後が「論理」という順番だそうだ。

ハーレーダビッドソンの例は、人間が感情の生き物だということを教えてくれる。

大切なことなので繰り返すが、生活者は感情を持った人間だ。そして人間である以上、単なるスペック比較や実利的な価値だけでブランドを選んでいるわけではない。

ことブランドマーケティングにおいては「生活者は商品の優位性だけでなく、好き嫌いの直感や感情で商品を選ぶ」という認識が重要だ。

これらについては、以下記事で詳しく解説している。この解説をお読みいただければ、生活者が求めている価値は、必ずしも「実利的な価値だけではない」ことがわかるはずだ。

マーケティングとブランドマーケティング(ブランディング)の違い-3:
「市場の捉え方」の違い

続いてマーケティングとブランドマーケティングの「市場の捉え方」の違いだ。

③市場の捉え方の違い

  1. マーケティング:
    「どこかにニーズはあるはずだ。そのニーズを競合企業よりうまく満たせば、市場シェアは上がるはずだ」

  2. ブランディング:
    「ほとんどのニーズはすでに満たされている。だから生活者本人すら自覚していない"インサイト"を発見し、より良いライフスタイル提案を通して市場そのものを創っていくべきだ」

多くの市場が成熟化している現在「どこかにニーズはあるはずだ」と考えたところで、そうそう簡単に顕在ニーズは見つからない。

仮に顕在ニーズが見つかったところで、ニーズが顕在化している以上、すぐに競争が激しくなるため、同質化と過当競争に陥りがちだ。結果、ブランドはコモディティ化し、価格競争に悩まされることになる。

ブランドマーケティングにおいて重要となるのは「生活者インサイト」だ。「生活者インサイト」とは、生活者自身も自覚しておらず、未だ顕在化していない潜在的なニーズを指す。

この「潜在ニーズ」を発見し、いち早く潜在ニーズを満たす提案ができれば、あなたのブランドはその潜在ニーズを独占した唯一無二のブランドとなる。

ことブランドマーケティングにおいては「いち早くインサイトを発見し、より良いライフスタイル提案を通して市場そのものを創りあげていく」という視点が重要だ。

マーケティングとブランドマーケティング(ブランディング)の違い-4:「プロモーションの捉え方」の違い

続いてマーケティングとブランドマーケティングにおける「プロモーションの捉え方」の違いだ。

④プロモーションの捉え方の違い

  1. マーケティング:
    「なんとかして商品名を覚えさせ、商品の優位性を理解させよう」

  2. ブランディング:
    「生活者の感情の核心を突き、ブランドに対する感情移入を創りだそう」

近年、インターネットやソーシャルメディアの普及によって、生活者が受け取る情報の量は加速度的に増えているといわれる。いわゆる「情報爆発」だ。

そのような中で商品名や商品の優位性を、いわば「暗記させる」というアプローチが難しくなっていることは想像に難くない。

一方で、これまで言及している通りブランドマーケティングとは「できるだけ多くの人に」「できるだけ強い」感情移入を形創っていく取り組みのことだ。

この2つを掛け合わせると、プロモーションの在り方も「暗記させる」というアプローチから「感情の核心を突き、感情移入を創る」というアプローチへの転換が必要となる。

マーケティングとブランドマーケティング(ブランディング)の違い-5:
「生活者との接点」の違い

続いてマーケティングとブランドマーケティングの「生活者との接点」の違いだ。

⑤生活者との接点の違い

  1. マーケティング:
    「できるだけ商品を露出させ、多くの生活者にリーチしよう」

  2. ブランディング:
    「広告だけでなく、店頭/販売スタッフ/アフターサービスなどあらゆる顧客接点で、そのブランドらしいポジティブな感情移入を創り出そう」

「露出」は非常に重要なことだが、単なる露出だけでは、先に言及した「情報爆発」のノイズにかき消されてしまう。いわば「砂漠に水まく」状態だ。単に多くの生活者にリーチするだけでは、もはや記憶に留めてもらえない時代だ。

そのような背景の中、近年CX(カスタマーエキスペリエス)やカスタマージャーニーが注目を集めている。生活者が見込み客となり、購入、リピート、ファン化に至るまでの流れに着目し、その流れ上にある数々の接点を通してブランドへの感情移入を形創る取り組みだ。

情報過多の状況の中でブランドマーケティングを成果に導くためには、単なる「露出」で終わらない、重層的に感情移入を創る取り組みが必要となる。

マーケティングとブランドマーケティング(ブランディング)の違い-6:
「目指すゴール」の違い

続いてマーケティングとブランドマーケティングの「目指すゴール」の違いだ。

⑥目指すゴールの違い

  1. マーケティング:
    「どうすれば最高の(あるいは最安の)製品が作れるだろうか?」

  2. ブランディング:
    「どうすれば、顧客にとって最愛のブランドになれるだろうか?」

「最高の製品」や「最安の製品」を目指すことは、開発者の心構えとしては素晴らしいが、大きなデメリットが存在ことも念頭に置いておきたい。

「最高の製品」や「最安の製品」は、残念ながら同一市場に一つしか存在しえない。そして競合各社が「最高」や「最安」を目指せば、商品は同質化が進む上に、その延長線上には「過剰品質」の罠が待ち受ける。

さらに致命的なのは「最高」や「最安」という考え方は「競合商品と比べた」視点であり「生活者のニーズや感情」から逆算した視点でないことだ。そこには、生活者の視点を置き去りにしたままの「企業都合」が透けて見える。

ブランディングが目指すのは、あくまで「最高」でも「最安」でもなく(もちろんあれば望ましいが)、生活者から見て感情移入が伴った「最愛」のブランドだ。

マーケティングとブランドマーケティング(ブランディング)の違い-7:
「ビジネス成果」の違い

続いてマーケティングとブランドマーケティングの「ビジネス成果」の違いだ。

⑦ビジネス成果の違い

  1. マーケティング:
    「短期的な売上を上げるために、衝動買いを誘発しよう。」

  2. ブランディング:
    「あらゆるリソースを統合して、感情移入による長期的な指名買いを創り出そう。」

ビジネスである以上、短期的な成果最大化は重要だ。しかし短期的な成果ばかりに目を向けるあまり、長期的な成果を犠牲にしていないだろうか?

あまりに短期的な成果ばかりに目が向くと、マーケティングはその場しのぎの自転車操業状態となる。いわば「カンフル剤を打たないと、売り上げが上がらない」という状態だ。

一方でブランディングとは、長期的に知名度を高め、より多くの人から、より強い感情移入を形創ることだ。そしてその目的は、あなたのブランドに対する「指名買い」を増やしていくことだ。

そして指名買いが増えていくと「これまでは多大な広告宣伝費を使わないと買ってもらえなかった」状態から「例え広告宣伝をしていなくても、指名で買っていただけている状態」となる。そのため「毎回、カンフル剤が必要」という状態から脱却し、安定的な売り上げと利益が得られるようになる。

市場が成熟化するなか、今後ますます市場競争は激しくなる。

ことブランドマーケティングにおいては「感情移入と長期的な指名買い」を目指すことで「新商品乱発競争」や「短期的なプロモーション競争」に左右されないロングセラーブランドを生み出すことが可能だ。

それ以外にも、ブランドマーケティングはあなたに対して様々なメリットをもたらす。

もし詳しく知りたければ、以下の解説を参照して欲しい。様々なビジネスメリットが理解できるはずだ。

マーケティングとブランドマーケティング(ブランディング)の7つの違い:PDFダウンロード

ここまでの解説を一枚に集約したのが以下の画像だ。

PCでご覧になっている方は、この画像をクリックするとPDFダウンロード、あるいはプリントアウトできるはずだ。ぜひあなたのチームで共有するなど、ブランディング実務に活用していただきたい。

ブランドマーケティングとは?マーケティングとの7つの違いを全て解説

ブランドマーケティングの知識を身に付ける:おすすめブランドマーケティング本3冊

締めくくりに、マーケティング・ブランディング担当者へのお薦めのブランディング関連書籍を紹介しよう。選定した基準は下記の通りだ。以下のどれかに当てはまるものをピックアップした。

  • k_birdが実際に読み、単純に「素晴らしかった」と思えるブランディング関連書籍。
  • 実際に「ブランディング」の戦略&施策実務に役立っているブランディング関連書籍。
  • 長年に渡って読み継がれており、時代を越えても変わらない「本質」や「原理」が見出せるブランディング関連書籍。

もちろん、すべて「なぜ読むべきなのか?」という解説付きだ。

ブランドマーケティングおすすめ本-1:ブランド論 無形の差別化を作る20の基本原則

ブランディングに携わる実務家にとって、デビッド・アーカーは避けて通れないはずだ。

いわゆる「アーカー本」には「ブランドエクイティ戦略」「ブランド優位の戦略」「ブランドポートフォリオ戦略」「ブランドリーダーシップ」の4冊が存在するが、その4冊のエッセンスを抜き出して、集大成として出版されたのが本書の「ブランド論」だ。

本書を読めば、ブランディング用語である「ブランドエクイティ」や「ブランドアイデンティティ」「ブランドパーソナリティ」など、ブランドに関わる理論やコンセプトが一通り学べるはずだ。

更に、これまでのアーカー本は「翻訳がわかりにくい」「価格が高い」などの欠点があったが、本書は他のアーカー本と比べれば価格も手ごろで、訳も読みやすくなっている。

ブランドに関わる実務家が、一通りアカデミックなブランド論を学ぶには最適な教科書だ。

ブランドマーケティングおすすめ本-2:ブランディング22の法則

本書は、1999年の初版から20年を越えて現在でも売れ続けている、ブランディングのベストセラー書籍だ。

1年で発刊されるビジネス書は、5,000冊を越えると言われるが、本書が時代を越えて売れ続けているのは、どのような時代であれ欠かすことができない「ブランディングの原理」が描かれているからだ。

本書は「拡張の法則」「言葉の法則」「カテゴリーの法則」「一貫性の法則」など、ブランディングを成功させるために必要な22の法則が、事例を交えた形で紹介されている。

ブランディングの世界では「ビジネス的には正義」でも「ブランディング的には悪」という原則が数多く存在する。それらについても、本書をお読みになれば理由も含めて理解が深まるはずだ。

もしあなたがブランディングの初学者なら、本書に描かれている22の法則を頭に入れておくことできれば「ブランディングで必要な頭の使い方」がマスターできるはずだ。

ブランド力の強化に役立つおすすめ本-3:ブランド戦略論

本書は、日本のブランド戦略論の第一人者が「ブランド理論」「ブランド戦略」「ブランド戦略の実践法」「事例」を包括的にまとめたブランド戦略の体系書だ。

本書の価格は4,400円と少々高いが、ブランド戦略の知識を集大成した百科事典のような本格的体系書であり、日本企業の事例掲載も8カテゴリー30社に昇る。よって、本書を一通り目を通せば、ブランド戦略の知識に困ることはないはずだ。

また「ブランド戦略の本格的体系書」と聞くと、ついアカデミックで読みずらいものを想像しがちだが、本書の著者は一流の学者でありつつも、ビジネスの最前線での実務経験も併せ持っていることから、極めて読みやすいのも秀逸だ。

もしあなたが腰を据えてブランド戦略を理解したいなら、まとまった時間を作って読んでおきたい一冊だ。

 

このブログから書籍化した本3冊

既刊|ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」

掴みどころのない抽象論に陥りがちだ。

しかしブランディングは「ブランド戦略」という言葉があるように、企業の成否を大きく左右する戦略のひとつだ。そして投資が伴う以上、一定の合理性と説明責任が求められる。決して、売上や利益から逃げてはならないのだ。

本書は、つい「感覚論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

「論理」が理解できなければ、ブランディングを体系的に理解することできず、再現性を生むことができない。

そして「直感的な腹落ち感」がなければ、ブランディングを実務に落とせず、成果をもたらすことができない。

本書は、広告代理店&外資系コンサルティングファームで培った「生の知見」と「体系的な解説」を通して、ブランディングの理論を実践へとつなげて解説している。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー1位を獲得し、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

もし本書を手にとって頂ければ、ブランディングの専門用語はもちろん、実践の手順や実務の勘所が、一通り学べるはずだ。

kindle Unlimitedを契約されている方は無償で手に入れることができるので、気軽に手に取っていただきたい。

新刊|「仕事の質と生産性を上げる57の方法」を徹底解説

拙著「超効率ハック」は、仕事の生産性向上を目的に「時間・段取り・コミュニケーション・資料作成・会議・学び・思考・発想」という8つのジャンルのライフハック術を網羅的にカバーしている書籍だ。

ただし、類書の「ライフハック本」と大きく異なる点は「EXCELの関数を覚える」「ショートカットキーを使い倒す」などの小手先のテクニックではなく、その大元にある「頭のスイッチの切り替え方」を解説している点だ。

どんなに時短テクニックを駆使して処理スピードを上げたとしても、その作業自体が必要のない作業だったとしたら意味がない。しなくてもいいことを効率的に行うことほど、無駄なことはない。

この場合、必要なのは「作業の処理スピードを速める力」ではなく「不必要な作業を見極め、周囲を納得させる力」だ。

本書は、このような「頭のスイッチの切り替え方」を8ジャンル57項目に分けて、具体的な処方箋を交えながら紹介している。

おかげさまでAmazonレビューでも、

  • 「どのライフハック本と比べても異色であり、学べることが多かった」
  • 「読んでみると、頑張りどころを間違えてたことに気付かされる」
  • 「仕事が速い人はこれをやってたんだな、ということがよくわかった」

など、ありがたい言葉を頂いている。

もしあなたが「仕事術をマスターしたい」「仕事の生産性を劇的に高めたい」と感じているのなら、ぜひ一読してみて欲しい。

既刊|「シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説

仮説思考の書籍の多くは、仮説思考のメリットは説くものの、肝心の「仮説思考のマスターの仕方」になると、

  • 「センスが必要」
  • 「経験の積み重ねが物を言う」

など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせているものが多い。

しかし本書は「仮説思考に必要な推論の手順」を、豊富な事例とともに解説している。よって、その手順通りに推論を重ねれば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。

誤解を恐れずに言えば、あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。

なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。

おかげさまで、本書はNewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、版を重ねている。Amazonレビューでも、

  • 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
  • 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
  • 「一生もののスキルになるのは間違いない」

など、有難い言葉を頂戴しており、嬉しい限りだ。

もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。

その他の解説記事とおすすめ書籍

もしあなたが本解説以外にも関心があるのであれば、リンクを張っておくのでぜひ必要な記事を探していただきたい。

また、下記の記事ではより深くブランディングやマーケティングを学びたい方におすすめ書籍を紹介している。ぜひご覧いただければ幸いだ。

ビジネススキル・マネジメント関連のおすすめ書籍紹介

終わりに

今回は「ブランドマーケティングとは?マーケティングとの7つの違い」について解説した。

冒頭で説明した通り、マーケティングとブランドマーケティングの違いを理解した上で、これまでの自社のマーケティング活動の「何が足りないか」、そして「何を変えれば」優れたブランディング活動になるのか?という視点でお読みいただけたなら、きっと様々な示唆が得られたはずだ。

今後も、折に触れて「ロジカルで、かつ、直感的にわかるブランディングの解説」を続けていくつもりだ。 

しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。

それでも、このブログに主旨に共感し、何かしらのヒントを得たいと思ってもらえるなら、ぜひこのブログに読者登録Twitterfacebook登録をしてほしい。

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