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ブランドマーケティングとは|マーケティングとの7つの違いを解説

ブランドマーケティングとは|マーケティングとの7つの違いを解説

あなたは「マーケティング」と「ブランドマーケティング」の違いを、明確に説明できるだろうか?

マーケティングとブランドマーケティングの違いを説明できなければ、例え自社にブランディングを取り入れようとしたところで、単なる「マーケティング活動」が「ブランドマーケティング活動」と名前を変えただけで終わってしまう。結果「ブランドマーケティング戦略とは、上手いアピールの仕方のこと」という矮小化した誤解がいつまでも残り続け、これまでと変わらない施策を行い続けてしまう。

ブランド戦略に長けているアメリカと日本のマーケティングの違いは、アメリカではブランド戦略はマーケティング戦略の上位に位置付けられていることだ。つまりブランド戦略はマーケティング戦略そのものを規定するための「上位戦略」とされている。

このブログ「Mission Driven Brand」は、外資系コンサルティングと広告代理店のキャリアを持つ筆者が、ブランディングやマーケティングの「できない、わからない」を解決するブログだ。

今回は、マーケティングとブランドマーケティングの違いについて解説する。

外資系コンサルティングファームにおけるコンサルタント経験と、広告代理店での実務経験に基づく、より実態に即した解説を目指すつもりだ。

しかし漫然と記事を読んだだけでは単にわかった気にはなるだけで、あなたや、あなたのチームの血肉とはなりにくい。

よって、これまでのあなたのマーケティング活動の「何が足りないか」、また「何を変えれば」優れたブランドマーケティング戦略になるのか?という視点で読み進めて欲しい。

何度もじっくり読み込んで頂ければ、あなたのチームのブランドマーケティング戦略にとって、貴重な示唆となるはずだ。

さらに、別の解説も併せてご覧いただければ、ブランドマーケティングに対する理解は、より深まるはずだ。

ブランディングを学びたい方へ。このブログから書籍化した「ブランディングの教科書

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本論に入る前に、僭越ながら拙著を紹介させていただこう。

「ブランディング」は捉えどころがなく、なかなか一歩を踏み出せない。あなたはこのような状況に陥ってはいないだろうか?

本書の執筆陣は、ある時は広告代理店のストラテジックプランナーとして、ある時は、外資系コンサルティングファームのコンサルタントとして、クライアントの実務担当者が悪戦苦闘する姿を見てきた。

「ブランディング」は、その本質を理解しないまま実行に移そうとすると、的を射ない小手先の手法を延々と繰り出すことになりがちだ。結果、やみくもに予算を消化したまま、成果が出ない事態に陥ってしまう…。

そのような事態を1件でも減らしたい。そう考えたのが本書を執筆した理由だ。

ブランディングの本は、どれも「ブランドのらしさ」「ブランドの世界観」など「ふわっと」した話になりがちだ。そして「ふわっ」とした話になればなるほど抽象的かつ曖昧な概念論になってしまい、企業組織の中で通すことが難しくなる。

本書は、外資系コンサルティングファームと広告会社で培った「生の知見」をふんだんに盛り込みつつ、つい「抽象論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

本書のタイトルは「ブランディングの教科書-ブランド戦略の理論と実践」だ。

「理論」が理解できなければ、ブランディングを体系化できず、ビジネスに再現性を生むことができない。そして「実践」が理解できなければ、ビジネスに成果をもたらすことができない。

本書は、ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」として、ブランド戦略の再現性と成果を目指した書籍だ。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー1位を獲得し、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

  • クッキー規制によりデジタルマーケティングでCTRやCVRが頭打ち。CPAは下がるどころか、少しずつ上昇傾向ですらある。
  • 矢継ぎ早に新商品を繰り出してもすぐに競合に追い付かれ、差別化ができない。商品開発サイクルは更に早まり、自転車操業状態になっている。
  • 「自社にはブランディングが必要だ」と理解はしているが、概念が抽象的過ぎて、どう周囲を巻き込んでいいかがわからない。

もし、あなたがこれらに当てはまるなら、ぜひAmazonのページで本書の目次をチェックしていただきたい。つい感覚論になりがちな「ブランディング」に対して、

  • なぜ、そうなのか?
  • どう、ビジネスに役立つのか?
  • 何をすればいいのか?

を徹底して解説しているので、あなたのお役に立てるはずだ。

また、kindle Unlimitedを契約されている方は無償で手に入れることができるので、気軽に手に取っていただきたい。

マーケティングとブランドマーケティングの定義とは?

マーケティングとブランドマーケティングの違いを解説する前に、まずは2つの定義について簡単に確認しておこう。

まずはマーケティングの定義だ。

一般的なマーケティングの定義とは?

 マーケティングに関する研究は、そのベースとなっている社会学や統計学、あるいは心理学と比べて歴史が浅い。近代マーケティングの父と言われるフィリップコトラーの著書「マーケティングマネジメント」の翻訳版が日本で初めて出版されたのが、1971年だ。

まずはコトラーによるマーケティングの定義を見てみよう。

マーケティングとは、個人や集団が、製品および価値の創造と交換を通じて、そのニーズやウォンツを満たす社会的・管理的プロセスである。

-フィリップ・コトラー

さらに、マーケティングの先進国であるアメリカのAMA(アメリカマーケティング協会)の定義は以下の通りだ。

マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。

-アメリカマーケティング協会

両社に共通するのは「価値を創り出し(価値の創造)」「その価値を収益に変える(価値の交換)」「プロセス」であるということだ。

この2つの定義を見て、あなたはどう感じただろうか?K_birdの印象は「極めて、正しい定義である」という印象だ。「価値を生み出し、その対価を頂く」というのは、あらゆるビジネスにとって基本だからだ。

しかし、現場のリアルなマーケティングの実態は?

しかし、マーケティングのリアルな実務現場にいるk_birdにとって、多くの企業のマーケティング活動は、上記の教科書的な定義とはかなり異なる。

まずは結論から記そう。

k_birdが考える「現場の実態に基づいたマーケティングの定義」とは、以下の通りだ。

k_birdの現場実感に基づく「マーケティング」の定義

マーケティングとは「標的(ターゲット)」を「攻略」し、収益に変えるためのハンティング活動のこと。

残念ながら、長年実務の現場を見てきて感じるのは、あたかも見込み客を「標的」とみなし、その「標的」を「攻略」するための「ハンティング活動」がマーケティングであるかのように錯覚されている実態だ。

特にWEBマーケティングの現場では、その傾向がより顕著に見られる。

WEBマーケティングでは、見込み客の行動はデータで可視化され、追いかけることができる。すると、あたかも「データ=見込み客」であるかのような錯覚が現場で生じ、そのデータの背後にある人の気持ちや感情に想いが至らなくなる。

結果「データ=標的」をひたすらデジタル広告で追いかけまわし「攻略」することが善、というマーケティング姿勢に陥りがちだ。

WEBマーケティングの世界では、デジタル広告から顧客獲得までに至る取り組みを「刈り取り施策」などと呼ぶこともある。この「刈り取り」という言葉から見てもわかる通り「見込み客=感情を持った人間」とは捉えていない。

これは、従来型のマーケティングでも同様だ。

従来型のマーケティングでは、まずは市場をセグメントし、ターゲットを設定し、ポジショニングを決めた上で4P(マーケティングミックス)に落とし込む。

k_birdが見てきた多くの実務現場でもおおよそこのステップを辿ることが多いが、残念ながらターゲットを群としての「標的」としてとらえ、その「標的」を「4Pで攻略する」という姿勢に陥りがちだ。

残念ながら、こと「マーケティング」に関して言えば、教科書的なマーケティングの定義と実態は、大きく異なっているのが現状だ。

本来、マーケティングとブランドマーケティングの違いを明らかにするなら、学問的な定義同志を比較するべきだ。しかし、この文章を読んでいるあなたは、研究者ではなく実務に生きる人間のはずだ。

よって、マーケティングとブランドマーケティングの違いを理解する上では「マーケティングのリアルな実態」に基づいた定義で比較をしていこう。

一般的なブランドマーケティングの定義は?

続いて「ブランドマーケティング」の定義だ。

残念ながらブランドマーケティングに関する研究は、マーケティングと比べても更に歴史が浅く、ブランドの父と言われるアーカー教授の著書「ブランドエクイティ」の翻訳版が日本で初めて出版されたのが、1994年だ。

そしてアーカー教授自身「ブランドマーケティング」に対して明確な定義をしていない。厳密に言えば定義をしているのだが「ブランディング=ブランドエクイティを創ること」という定義になってしまい、この定義を理解するには、別途「ブランドエクイティとは何か?」という解説が必要となる。

よってここでは、アメリカマーケティング協会の「ブランド」の定義をご覧頂こう。

個別の売り手もしくは売り手集団の商品やサービスを識別させ、競合他社の商品やサービスから差別化するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはそれらを組み合わせたもの。

-アメリカマーケティング協会

しかし、この定義も極めてわかりづらく、しかも実態にそぐわないことは以下の記事だ解説した通りだ。

k_bird流のブランディング(ブランドマーケティング)の定義は?

k_bird流のブランディングの定義は、以下の通りだ。

これが、k_bird流の「ブランドとは何か?ブランディングとは何か?」に対する答えだ。

ブランディングとは何か?

  1. ブランドとは「独自の役割」を持ち「生活者の感情移入」が伴ったモノやサービス。
  2. ブランディングとは「できるだけ多くの人に」「できるだけ強い」独自の役割と感情移入を形創っていく取り組みを指す。
  3. その成果は「衝動買い頼み」を越えた「指名買い」によるロングセラーブランドだ。

ぜひ、先ほどの現場の実態に即したマーケティングの定義と見比べてほしい。

k_birdの現場実感に基づく「マーケティング」の定義

マーケティングとは「標的(ターゲット)」を「攻略」し、収益に変えるためのハンティング活動のこと。

賢明なあなたなら、大きな違いに気づいたはずだ。

現場の実態に即した「マーケティング」の定義では、物事を考える上での立脚点が「企業中心」に置かれている。

反面、k_bird流の「ブランディング(ブランドマーケティング)」の定義では「生活者中心」に立脚点が置かれている。

ここが、マーケティングとブランドマーケティングの違いを認識する上で、大きなポイントとなる。

もしあなたが優秀なマーケティング担当者であればあるほど、あなたは一日中「商品をどう売るか?」について熟考を重ねているはずだ。

しかしそこには落とし穴がある。熟考を重ねれば重ねるほど「企業目線」に陥ってしまいがちなことだ。

しかし、一方の「生活者」の視点に立つとどうだろうか?

生活者の興味は「今よりも理想的なライフスタイルを実現すること」であり、ブランドはその生活を実現するための「名脇役の一つ」でしかない。

生活者はそれぞれ「本来なら、自分はこう在りたい」という価値観を持っている。そしてその価値観に対する深い理解を伴わない限り、生活者からの感情移入や思い入れを勝ち取る「ブランドマーケティング」を成功に導くことは難しい。

「企業中心に発想する」か「生活者中心に発想する」か?

上記の立脚点の違いこそが「マーケティング」と「ブランドマーケティング」を分ける大きな違いだ。

それでは、その「立脚点の違い」を踏まえた上で「マーケティング」と「ブランドマーケティング」の違いを、対比の形で見ていこう。

マーケティングとブランドマーケティング(ブランディング)の7つの違い

マーケティングとブランドマーケティング(ブランディング)の違い-1:「発想の起点」の違い

まずはマーケティングとブランドマーケティングの「発想の起点」の違いだ。

これが、k_bird流の「ブランドとは何か?ブランディングとは何か?」に対する答えだ。

①発想の起点の違い

  1. マーケティング:
    「自社の商品の特徴は何か?どの特徴を打ち出すべきか?」

  2. ブランディング:
    「生活者のどのような感情を揺さぶり、どのような感情移入を形創っていくべきか?」

マーケティングでは、発想の起点が「企業目線」になっているのに対して、ブランドマーケティングでは、発想の起点が「生活者目線」になっていることにお気づき頂けただろうか?

繰り返しになるが、生活者にとってみれば主役は「自分が実現したい、より良いライフスタイル」であり、あなたの商品は生活者にとって脇役に過ぎない。

「自社の商品の特徴は何か?」は商品を主役にした発想であり、その発想のままブランドマーケティングを進めようとしても、残念ながら生活者からの感情移入を勝ち取ることはできない。

マーケティングとブランドマーケティング(ブランディング)の違い-2:「生活者の捉え方」の違い

続いてマーケティングとブランドマーケティングの「生活者の捉え方」の違いだ。

②生活者の捉え方の違い

  1. マーケティング:
    「ほかの商品より優れていることを理解させれば、生活者は自社商品を買うものだ」

  2. ブランディング:
    「生活者は商品の優位性だけでなく、好き嫌いの直感や感情で商品を選ぶこともある」

当たり前のことだが、生活者はコンピューターではない。感情を持った人間だ。そして人間である以上、単なるスペック比較や実利的な価値だけでブランドを選んでいるわけではない。

わかりやすい例がハーレーダビッドソンだ。

ハーレーダビッドソンは、必ずしも燃費が良いとは言えない。しかも大型バイクであることから、コンパクトなバイクと比べて保管の場所を取る。更には、エンジン音も大きい上、価格も高い。単なる「スペック」や「実利的な価値」では、日本のオートバイとは比較にならない不便さだ。

そうであるにも関わらず、ハーレーダビッドソンには熱狂的なファンが存在し、そのほとんどは指名買いだ。

ある説によれば、人の行動を駆り立てるのは「感情」「損得」、そして最後が「論理」という順番だそうだ。

ハーレーダビッドソンの例は、人間が感情の生き物だということを教えてくれる。

大切なことなので繰り返すが、生活者は感情を持った人間だ。そして人間である以上、単なるスペック比較や実利的な価値だけでブランドを選んでいるわけではない。

ことブランドマーケティングにおいては「生活者は商品の優位性だけでなく、好き嫌いの直感や感情で商品を選ぶ」という認識が重要だ。

これらについては、以下記事で詳しく解説している。この解説をお読みいただければ、生活者が求めている価値は、必ずしも「実利的な価値だけではない」ことがわかるはずだ。

マーケティングとブランドマーケティング(ブランディング)の違い-3:「市場の捉え方」の違い

続いてマーケティングとブランドマーケティングの「市場の捉え方」の違いだ。

③市場の捉え方の違い

  1. マーケティング:
    「どこかにニーズはあるはずだ。そのニーズを競合企業よりうまく満たせば、市場シェアは上がるはずだ」

  2. ブランディング:
    「ほとんどのニーズはすでに満たされている。だから生活者本人すら自覚していない"インサイト"を発見し、より良いライフスタイル提案を通して市場そのものを創っていくべきだ」

多くの市場が成熟化している現在「どこかにニーズはあるはずだ」と考えたところで、そうそう簡単に顕在ニーズは見つからない。

仮に顕在ニーズが見つかったところで、ニーズが顕在化している以上、すぐに競争が激しくなるため、同質化と過当競争に陥りがちだ。結果、ブランドはコモディティ化し、価格競争に悩まされることになる。

ブランドマーケティングにおいて重要となるのは「生活者インサイト」だ。「生活者インサイト」とは、生活者自身も自覚しておらず、未だ顕在化していない潜在的なニーズを指す。

この「潜在ニーズ」を発見し、いち早く潜在ニーズを満たす提案ができれば、あなたのブランドはその潜在ニーズを独占した唯一無二のブランドとなる。

ことブランドマーケティングにおいては「いち早くインサイトを発見し、より良いライフスタイル提案を通して市場そのものを創りあげていく」という視点が重要だ。

マーケティングとブランドマーケティング(ブランディング)の違い-4:「プロモーションの捉え方」の違い

続いてマーケティングとブランドマーケティングにおける「プロモーションの捉え方」の違いだ。

④プロモーションの捉え方の違い

  1. マーケティング:
    「なんとかして商品名を覚えさせ、商品の優位性を理解させよう」

  2. ブランディング:
    「生活者の感情の核心を突き、ブランドに対する感情移入を創りだそう」

近年、インターネットやソーシャルメディアの普及によって、生活者が受け取る情報の量は加速度的に増えているといわれる。いわゆる「情報爆発」だ。

そのような中で商品名や商品の優位性を、いわば「暗記させる」というアプローチが難しくなっていることは想像に難くない。

一方で、これまで言及している通りブランドマーケティングとは「できるだけ多くの人に」「できるだけ強い」感情移入を形創っていく取り組みのことだ。

この2つを掛け合わせると、プロモーションの在り方も「暗記させる」というアプローチから「感情の核心を突き、感情移入を創る」というアプローチへの転換が必要となる。

マーケティングとブランドマーケティング(ブランディング)の違い-5:「生活者との接点」の違い

続いてマーケティングとブランドマーケティングの「生活者との接点」の違いだ。

⑤生活者との接点の違い

  1. マーケティング:
    「できるだけ商品を露出させ、多くの生活者にリーチしよう」

  2. ブランディング:
    「広告だけでなく、店頭/販売スタッフ/アフターサービスなどあらゆる顧客接点で、そのブランドらしいポジティブな感情移入を創り出そう」

「露出」は非常に重要なことだが、単なる露出だけでは、先に言及した「情報爆発」のノイズにかき消されてしまう。いわば「砂漠に水まく」状態だ。単に多くの生活者にリーチするだけでは、もはや記憶に留めてもらえない時代だ。

そのような背景の中、近年CX(カスタマーエキスペリエス)やカスタマージャーニーが注目を集めている。生活者が見込み客となり、購入、リピート、ファン化に至るまでの流れに着目し、その流れ上にある数々の接点を通してブランドへの感情移入を形創る取り組みだ。

情報過多の状況の中でブランドマーケティングを成果に導くためには、単なる「露出」で終わらない、重層的に感情移入を創る取り組みが必要となる。

マーケティングとブランドマーケティング(ブランディング)の違い-6:「目指すゴール」の違い

続いてマーケティングとブランドマーケティングの「目指すゴール」の違いだ。

⑥目指すゴールの違い

  1. マーケティング:
    「どうすれば最高の(あるいは最安の)製品が作れるだろうか?」

  2. ブランディング:
    「どうすれば、顧客にとって最愛のブランドになれるだろうか?」

「最高の製品」や「最安の製品」を目指すことは、開発者の心構えとしては素晴らしいが、大きなデメリットが存在ことも念頭に置いておきたい。

「最高の製品」や「最安の製品」は、残念ながら同一市場に一つしか存在しえない。そして競合各社が「最高」や「最安」を目指せば、商品は同質化が進む上に、その延長線上には「過剰品質」の罠が待ち受ける。

さらに致命的なのは「最高」や「最安」という考え方は「競合商品と比べた」視点であり「生活者のニーズや感情」から逆算した視点でないことだ。そこには、生活者の視点を置き去りにしたままの「企業都合」が透けて見える。

ブランディングが目指すのは、あくまで「最高」でも「最安」でもなく(もちろんあれば望ましいが)、生活者から見て感情移入が伴った「最愛」のブランドだ。

マーケティングとブランドマーケティング(ブランディング)の違い-7:「ビジネス成果」の違い

続いてマーケティングとブランドマーケティングの「ビジネス成果」の違いだ。

⑦ビジネス成果の違い

  1. マーケティング:
    「短期的な売上を上げるために、衝動買いを誘発しよう。」

  2. ブランディング:
    「あらゆるリソースを統合して、感情移入による長期的な指名買いを創り出そう。」

ビジネスである以上、短期的な成果最大化は重要だ。しかし短期的な成果ばかりに目を向けるあまり、長期的な成果を犠牲にしていないだろうか?

あまりに短期的な成果ばかりに目が向くと、マーケティングはその場しのぎの自転車操業状態となる。いわば「カンフル剤を打たないと、売り上げが上がらない」という状態だ。

一方でブランディングとは、長期的に知名度を高め、より多くの人から、より強い感情移入を形創ることだ。そしてその目的は、あなたのブランドに対する「指名買い」を増やしていくことだ。

そして指名買いが増えていくと「これまでは多大な広告宣伝費を使わないと買ってもらえなかった」状態から「例え広告宣伝をしていなくても、指名で買っていただけている状態」となる。そのため「毎回、カンフル剤が必要」という状態から脱却し、安定的な売り上げと利益が得られるようになる。

市場が成熟化するなか、今後ますます市場競争は激しくなる。

ことブランドマーケティングにおいては「感情移入と長期的な指名買い」を目指すことで「新商品乱発競争」や「短期的なプロモーション競争」に左右されないロングセラーブランドを生み出すことが可能だ。

それ以外にも、ブランドマーケティングはあなたに対して様々なメリットをもたらす。

もし詳しく知りたければ、以下の解説を参照して欲しい。様々なビジネスメリットが理解できるはずだ。

マーケティングとブランドマーケティング(ブランディング)の7つの違い:PDFダウンロード

ここまでの解説を一枚に集約したのが以下の画像だ。

PCでご覧になっている方は、この画像をクリックするとPDFダウンロード、あるいはプリントアウトできるはずだ。ぜひあなたのチームで共有するなど、ブランディング実務に活用していただきたい。

ブランドマーケティングとは?マーケティングとの7つの違いを全て解説

このブログから書籍化した本4冊

ブランディングを学びたい方へ。このブログから書籍化した「ブランディングの教科書

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「ブランディング」は捉えどころがなく、なかなか一歩を踏み出せない。あなたはこのような状況に陥ってはいないだろうか?

本書の執筆陣は、ある時は広告代理店のストラテジックプランナーとして、ある時は、外資系コンサルティングファームのコンサルタントとして、クライアントの実務担当者が悪戦苦闘する姿を見てきた。

「ブランディング」は、その本質を理解しないまま実行に移そうとすると、的を射ない小手先の手法を延々と繰り出すことになりがちだ。結果、やみくもに予算を消化したまま、成果が出ない事態に陥ってしまう…。

そのような事態を1件でも減らしたい。そう考えたのが本書を執筆した理由だ。

ブランディングの本は、どれも「ブランドのらしさ」「ブランドの世界観」など「ふわっと」した話になりがちだ。そして「ふわっ」とした話になればなるほど抽象的かつ曖昧な概念論になってしまい、企業組織の中で通すことが難しくなる。

本書は、外資系コンサルティングファームと広告会社で培った「生の知見」をふんだんに盛り込みつつ、つい「抽象論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

本書のタイトルは「ブランディングの教科書-ブランド戦略の理論と実践」だ。

「理論」が理解できなければ、ブランディングを体系化できず、ビジネスに再現性を生むことができない。そして「実践」が理解できなければ、ビジネスに成果をもたらすことができない。

本書は、ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」として、ブランド戦略の再現性と成果を目指した書籍だ。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー1位を獲得し、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
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  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

  • クッキー規制によりデジタルマーケティングでCTRやCVRが頭打ち。CPAは下がるどころか、少しずつ上昇傾向ですらある。
  • 矢継ぎ早に新商品を繰り出してもすぐに競合に追い付かれ、差別化ができない。商品開発サイクルは更に早まり、自転車操業状態になっている。
  • 「自社にはブランディングが必要だ」と理解はしているが、概念が抽象的過ぎて、どう周囲を巻き込んでいいかがわからない。

もし、あなたがこれらに当てはまるなら、ぜひAmazonのページで本書の目次をチェックしていただきたい。つい感覚論になりがちな「ブランディング」に対して、

  • なぜ、そうなのか?
  • どう、ビジネスに役立つのか?
  • 何をすればいいのか?

を徹底して解説しているので、あなたのお役に立てるはずだ。

また、kindle Unlimitedを契約されている方は無償で手に入れることができるので、気軽に手に取っていただきたい。

このブログから書籍化!可視化依存社会に「本質を見抜く力」を手に入れる

インターネットの普及は、情報の流れを根本的に変え、変化のスピードを加速させた。

さらに生成AIの出現により大量のコンテンツが吐き出され、情報濁流はより速く、大きく、圧倒的になっていくはずだ。その先にあるのは、可視化された情報に振り回され「目に見えない本質」や「長期的な視点」が見逃されていく「可視化依存社会」だ。

KPIや数値データなどの「目に見える」情報に注意が奪われ「目に見えない」質的な側面や、背景にあるストーリーは軽視されていく。

コスパ意識を重視する風潮が一層強まる中で「考える」「暗中模索する」「試行錯誤する」といったプロセスは「無駄なもの」として煙たがられ、本質を探る姿勢は薄れていく。

短期的な結果を求めるあまり、問題の本質に向き合う時間を確保できず、解決策は表面的なものになる。短期目標が優先され、長期的な戦略は後回しにされる。

「可視化依存社会」とは、表面的な情報や短期的な指標ばかりに目が行き、深い洞察を見逃してしまう社会だ。

そんな可視化依存社会に突入するからこそ、必須となるスキルが「本質を見抜く力」だ。別の言い方をすれば、見えないものを見抜き、物事の核心に辿り着くスキルともいえる。

「本質を見抜く力」を身に付けることができれば、表面的なものに振り回されず、その本質を捉え、シンプルに捉えることができるようになる。迷いやリスクに悩まされる時間が減り、決断に自信を持てるようにもなるはずだ。

「真の価値」は、見えないものにこそ宿る。それを見抜く力こそが「本質を見抜く力」だ。

本書では「可視化依存社会」を生き抜くために、本質を見抜く力を磨く具体的なアプローチを紹介する。

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ロジックツリーに必要な「視点力」と「論理力」を手に入れる

外資系コンサルティングファームにいた経験から、ロジックツリーはコンサルティング実務で最もよく使うフレームワークだと断言できる。

一方で、ロジックツリーは他のフレームワークと比べてケタ違いに使いこなすのが難しいフレームワークでもある。

PEST分析や3C分析などのフレームワークはあらかじめ「〇〇について考える」という「視点」が提供されているが、ロジックツリーの場合、目の前にあるのは「ツリー状の空欄」だけ。「何について考えるのか?」という視点自体を、自分の頭の中で生み出さなければならない。

このように、ロジックツリーが難易度の高いフレームワークであるにも関わらず、多くのロジカルシンキング本やフレームワーク本では「数あるフレームワークの1つ」として片手間に紹介されているだけで、豆知識として身についても、実践で使いこなせるようにはならない。

ロジックツリーは「ロジック」という言葉が含まれていることから「論理的思考」の文脈で語られがちだ。しかし、ロジックツリーをうまく使いこなす上で最も重要なポイントは、

  • そもそも、何について考えるべきなのか?
  • どのような「視点(切り口)」でツリー状に分解していくべきなのか?

などの「視点」のほうであり「視点力」を身に付けなければ、ロジックツリーを自由自在に扱えるようにならない。

本書はロジックツリーに特化した書籍として「視点力+論理力」の使いこなし方も含めて徹底解説している。

本書を手に取っていただければ、あなたは「論理力」だけでなく「視点力」を活かして「次々に創造的な仮説を生み出す力」を手に入れることができるようになるはずだ。

シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説

あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。

なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。

しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考の重要性は説くものの、肝心の「仮説思考の身につけ方」になると、

  • 「センスが必要」
  • 「経験の積み重ねが物を言う」

など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせている書籍が多い。

しかし本書は「仮説思考に必要な頭の使い方の手順」を、豊富な事例とともに徹底解説している。よって、その手順通りに頭を使えば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。

おかげさまで本書は5版を重ね「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただいた。NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、中国や台湾、香港でも出版が決定している。

さらにAmazonレビューでも、

  • 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
  • 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
  • 「一生もののスキルになるのは間違いない」

など有難い言葉を頂戴している。

もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。

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終わりに

今後も、折に触れて「ロジカルで、かつ、直感的にわかる解説」を続けていくつもりだ。 

しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。

それでも、このブログに主旨に共感し、何かしらのヒントを得たいと思ってもらえるなら、ぜひこのブログに読者登録Twitterfacebook登録をしてほしい。

k_birdがブログを更新した際には、あなたに通知が届くはずだ。

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