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ブランディングの戦略家が【ブランド戦略の全て】を解説するブログ

ブランディングとは|ブランディングの意味と戦略ロジック|事例有

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「ブランディングとは何か?」と聞かれて、あなたはなんと答えるだろうか?

「ブランディング」は日本語に訳しずらく抽象的な概念であるために「手法論」に偏りやすい。事例を挙げれば、あなたの周囲には以下のようにブランディングの意味を誤解をしている人も多いはずだ。

  • ブランディングとはロゴデザインのことだ。まずはデザイン会社に相談して、ロゴデザインを依頼しよう…。
  • ブランディングとは認知度のことだ。さっそく広告代理店を呼んで、広告プロモーションを提案してもらおう…。
  • ブランディングとはブランドイメージを向上させることだ。我々もこれからはブランド広告を露出し、ブランドイメージ向上に力を入れよう…。

特にデジタルマーケティングが隆盛な昨今、CVやCPA重視のマーケティング担当者が「効率至上主義」に限界を感じ、短絡的に「ブランディング=広告露出によるブランドイメージの刷り込み」という手法論に走ってしまう事例が目立つ。

確かに上記3つはブランディング手法の一部ではあるが、全てではない。

どのようなビジネスも、まずは「戦略」が方向性を決め「戦術」がその方向性を加速させる役割を担う。しかし上記のブランディングの意味はすべて「手法」という「戦術」部分しか見ていない。

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一般論として「戦略」は一つだが、戦略を加速させるための「戦術」は複数の手段が存在する。

ブランディングは抽象的な概念であるため、目に見えやすい戦術面だけで捉えてしまうという間違いが起きやすい。結果、上記のように人によって複数の「ブランディングの意味」が乱立してしまい、ブランディング活動が混乱をきたしてしまうのだ。

どれだけ「ブランディング」の必要性を痛感していたとしても、チームメンバーそれぞれの「ブランディングの意味」が異なれば「立脚点が揃わない」ままブランディング活動が展開されることになる。

そして、立脚点が揃わないままブランディング活動を展開してしまえば、それぞれのメンバーが統一感のない散発的な手法を繰り返すことになるのは自明の理だ。

よって、今回は「ブランディングとは?」について基本的な解説を行う。その内容は、以下の通りだ。

  • 実務家にとってわかりやすいブランディングの定義とは?
  • ブランディングの3つの種類とは?
  • ブランディングに必要な4つの要素とは?
  • ブランディングが効果を発揮する戦略ロジックとは?
  • ブランディングの7つのステップとは?

もしこの解説を最後まで読んでいただければ、あなたは一通り「ブランディングの基本」が学べるはずだ。

結果、チームメンバー内で「ブランディングとは何か?」「どのような手法を取るべきなのか?」などの共通認識が持てるようになり、チーム全体でブランディング活動の実践に弾みがつくだろう。

ブランディングを学びたい方へ。このブログから書籍化した「ブランディングの教科書」

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まずは冒頭に、僭越ながら拙著を紹介させていただこう。

「ブランディング」は捉えどころがなく、なかなか一歩を踏み出せない。あなたはこのような状況に陥ってはいないだろうか?

本書の執筆陣は、ある時は広告代理店のストラテジックプランナーとして、ある時は、外資系コンサルティングファームのコンサルタントとして、クライアントの実務担当者が悪戦苦闘する姿を見てきた。

「ブランディング」は、その本質を理解しないまま実行に移そうとすると、的を射ない小手先の手法を延々と繰り出すことになりがちだ。結果、やみくもに予算を消化したまま、成果が出ない事態に陥ってしまう…。

そのような事態を1件でも減らしたい。そう考えたのが本書を執筆した理由だ。

ブランディングの本は、どれも「ブランドのらしさ」「ブランドの世界観」など「ふわっと」した話になりがちだ。そして「ふわっ」とした話になればなるほど抽象的かつ曖昧な概念論になってしまい、企業組織の中で通すことが難しくなる。

本書は、外資系コンサルティングファームと広告会社で培った「生の知見」をふんだんに盛り込みつつ、つい「抽象論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

本書のタイトルは「ブランディングの教科書-ブランド戦略の理論と実践」だ。

「理論」が理解できなければ、ブランディングを体系化できず、ビジネスに再現性を生むことができない。そして「実践」が理解できなければ、ビジネスに成果をもたらすことができない。

本書は、ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」として、ブランド戦略の再現性と成果を目指した書籍だ。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー1位を獲得し、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

  • クッキー規制によりデジタルマーケティングでCTRやCVRが頭打ち。CPAは下がるどころか、少しずつ上昇傾向ですらある。
  • 矢継ぎ早に新商品を繰り出してもすぐに競合に追い付かれ、差別化ができない。商品開発サイクルは更に早まり、自転車操業状態になっている。
  • 「自社にはブランディングが必要だ」と理解はしているが、概念が抽象的過ぎて、どう周囲を巻き込んでいいかがわからない。

もし、あなたがこれらに当てはまるなら、ぜひAmazonのページで本書の目次をチェックしていただきたい。つい感覚論になりがちな「ブランディング」に対して、

  • なぜ、そうなのか?
  • どう、ビジネスに役立つのか?
  • 何をすればいいのか?

を徹底して解説しているので、あなたのお役に立てるはずだ。

また、kindle Unlimitedを契約されている方は無償で手に入れることができるので、気軽に手に取っていただきたい。

ブランディングとは?ブランディングの意味

ブランディングとは?-1:「ブランドとは何か?」を理解する

「ブランディングとは何か?」を理解するには、まずは「ブランドとは何か?」を理解する必要がある。

ブランドの意味を直感的に理解するには、モノを「製品」「商品」「ブランド」にわけて考えてみるとわかりやすくなる。

製品とは何か?

「製品」とは、工場の倉庫にある出荷待ちのものを指す。

製品開発者が長年かけて開発し、工場担当者が丹精込めて生産する。

倉庫担当者が倉庫棚に整理し、出荷待ちの状態となる。しかしこの時点で生活者の関与はなく、企業側主導で事が進められる。

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商品とは何か?

「商品」とは、お店の棚に並んだ販売待ちのものを指す。

商品開発担当者が「どう売るか?」を考えながらロゴやパッケージデザインを開発し、価格設定もなされている。

そして営業担当者もやはり「どうバイヤーに売るか?」を考え、知恵を搾る。そしてその努力が結実すれば、無事小売店の棚に並ぶことになる。

しかし、商品棚には様々な競合商品がひしめきあっている。

そしてたまたま偶然その棚を通りがかった生活者が、たまたま偶然あなたの商品を目にし、更にたまたま偶然その時のニーズにマッチすれば、買い物かごに放り込む。

「商品」の状態のままでは、数々の「たまたま偶然」をくぐり抜けた上での「衝動買い」に頼らざるを得ない状況だ。

結果「衝動買い」を創るために、販売促進担当者が「どう売るか?」を考え、値引き販売をしてみたり、ノベルティを付けてみたり、懸賞キャンペーンを展開するなど、やはり「製品」と同様、企業側主導で事が進められることが多いはずだ。

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ブランドとは何か?

「ブランド」とは、生活者1人1人の心の中にある。

長年、広告代理店と外資系コンサルティングファームの両方で「ブランディングのリアル」を体験してきたk_birdにとって、実務に直結しやすい「ブランドの定義」は以下の通りシンプルだ。

「ブランド」とは

ブランドとは、生活者から見た独自の役割を持ち、
生活者の感情移入が伴ったモノやサービスのこと。

ここでぜひ、強いブランド力を持つと評判のブランドを思い起こしてみて欲しい。

例を挙げれば、アップル、グーグル、ディズニー、スターバックス、コカ・コーラ…。どのブランドも、生活者のライフスタイルの中で独自の役割を持ち、単なる「モノ」や「サービス」を越えて、生活者からの感情移入が伴っていないだろうか?

これが、ブランドの世界で良く言われる「ブランドとはお客様の中にある」の真意だ。

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このブログの筆者であるk_birdは、広告代理店と外資系コンサルティングファーム時代を合わせて、延べ300回以上のマーケティングリサーチ経験を有している。

その経験からしても、独自の役割を持ち、感情移入が伴っているブランドとそうでないものとでは、指名購入意向率が5倍以上変わる例はザラにある。一方で、逆の例は1件も見たことがない。

どのようなモノやサービスも、人の感情が乗った時、その人にとっての「ブランド」に変わる。

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ブランディングとは?-2:ブランディングの意味

ブランドとは「生活者にとって独自の役割を持ち」「生活者から感情移入されている」モノやサービスのことだ。

そしてブランディングとは「できるだけ多くの人に」「できるだけ際立った」独自性と感情移入を形創っていく活動を指す。

どのような製品・サービスも、独自の役割を築き、感情移入を促す取り組みを続けることによって、長く愛されるようになる。つまり「ロングセラーブランド」に育てることができる。

これが、実務家にとっての「ブランディング」の定義だ。

ブランディングとは?
  • ブランディングとは、生活者から見た独自の役割を築き「できるだけ多くの人に」「できるだけ強い」感情移入を形創っていく取り組みを指す。
  • その成果は「衝動買い頼み」を越えた「指名買い」によるロングセラーブランドだ。

ブランディングとは?-3:ブランディングとブランド戦略の違い

ここで、よく混同しやすいブランディングとブランド戦略の違いについても触れておこう。

ブランディングは、大きく以下の3つの考え方が存在する。

  • ブランド戦略:
    生活者のからの感情移入を創るために、ブランドの「在り方」を決める取り組み。欧米の企業では、マーケティングの上位に位置付けられる
  • ブランドマーケティング:
    ブランドの在り方(=ブランド戦略)に基づいて、購入と感情移入を形創っていく取り組み。STP戦略・マーケティングミックスなど。
  • ブランドマネジメント:
    ブランドの在り方(=ブランド戦略)の一貫性を保つために、適切に管理していく取り組み。戦略や組織・デザイン・知的財産管理など。

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上記の図をご覧になれば「ブランディング」という大きな概念の下に「ブランド戦略」「ブランドマーケティング」「ブランドマネジメント」があり、逆を言えばこれら3つの総称が「ブランディング」であることがご理解いただけるはずだ。

ブランディングの種類

続いては「ブランディングの種類」について解説しよう。ブランディングは、大きく分けて3つの種類が存在する。

  • 「何を」ブランディングするのか?:
    「商品・サービスブランディング」と「企業ブランディング」
  • 「誰に」ブランディングするのか?:
    「アウターブランディング」と「インナーブランディング」
  • 「誰が」ブランディングするのか?:
    「BtoCブランディング」と「BtoBブランディング」

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以下、わかりやすく解説しよう。

ブランディングの種類-1:商品・サービスブランディングと企業ブランディング

「何を」ブランディングするのか?を基準に分類すると、ブランディングは「商品/サービスブランディング」と「企業ブランディング」の2種類が存在する。

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商品/サービスブランディングとは、その名の通り商品/サービス単位でブランディングを展開することを指す。

一般的には「ターゲット=商品/サービスの見込み客」であり、マーケティング領域でのブランディングであることから、別名ブランドマーケティングとも呼ばれる。

日本では「ブランディング」といえば「広告宣伝」という手法論に矮小化されがちだが、欧米ではブランディングはマーケティングの上位概念の戦略として位置付けられている。欧米企業がブランディングに長けており、マーケティングを「ブランドマーケティング」と呼ぶのはこのためだ。

一方で企業ブランディングとは、個々の商品ではなく、企業単位でブランディングを展開することを指す。企業ブランディングの対象は「社会」「従業員」「取引先」「株主・投資家」など「全ステークホルダー」となるのが一般的だ。

近年の企業ブランディングの例では、松下電器がパナソニックへ、 富士重工がスバルへと企業名を変更し、企業ブランディングを展開したのは記憶に新しいところだ。

ブランディングの種類-2:アウターブランディングとインナーブランディング

「誰に向けて」ブランディングするのか?を基準に分類すると、ブランディングは「アウターブランディング」と「インナーブランディング」の2種類に分けることができる。

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アウターブランディングとは、消費者や顧客など自社の「外側」にいる人達に対してブランディングを展開することを指す。

一方でインナーブランディングとは、別名「インターナルブランディング」とも呼ばれ「従業員」を中心に、自社の「内側」にいる人たちに対してブランディングを展開することだ。

インナーブランディングの目的は、従業員に対してブランドのミッション(社会的使命)やブランドビジョン(在りたい姿)あるいはブランドバリュー(価値観・マインドセット)を一人ひとりに理解してもらい、自分ごととして日々の業務を実践してもらうことだ。

スターバックスや東京ディズニーリゾートの例を見ればわかるように、人を介してサービスを提供するサービス業では、接客スタッフ1人ひとりの接客態度や接客品質がブランドの評価に直結していく。

また、近年「ブランド体験」や「カスタマージャーニー」の重要性が叫ばれて久しいが、部門を越えて一貫したブランド体験やカスタマージャーニーを実現していく上でも、インナーブランディングはとりわけ重要な取り組みとなる。

ブランディングの種類-3:BtoCブランディングとBtoBブランディング

「誰が」ブランディングするのか?を基準に分類すると、ブランディングは「BtoCブランディング」と「BtoBブランディング」の2種類が存在する。

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消費財を提供しているBtoC企業がブランディングすることを「BtoCブランディング」と呼ぶ一方で、ビジネス財を提供しているBtoB企業がブランディングを展開することを「BtoBブランディング」と呼ぶ。

グローバルなBtoB企業では、ブランディングに力を入れている企業は多い。例を挙げれば、IBM/GE/インテル/シスコシステムズ/オラクル/SAP/JPモルガン/アクセンチュア/アドビシステムズ/キャタピラーなど、数え上げればきりがない。

これらのBtoB企業は、世界のブランド価値ランキングの常連企業だ。そして高い収益性を実現していることからも分かる通り、ブランディングはBtoB企業にとっても大きな競争力となる。

ブランディングに必要な4つの要素

が「感情移入」を創るためには、どのような要素が必要だろうか?

そもそも、ブランドに対して何の連想も働かなければ、ブランドに感情移入しようがない。よって、まず形創るべきは「ブランド連想」だ。

ただし、ブランド連想が生活者にとって何の価値(=喜び)もないものであれば、ブランド連想を形創る意味はない。

よって、最終的には「ブランド連想」を通して「ブランドから得られる価値(=喜び)」が認識される必要がある。この「ブランド連想から一歩進んだ価値」を「ブランド提供価値」と呼ぶ。

「ブランド提供価値」は、大きく4つの要素に分類することができる。以下、簡単に解説しよう。

ブランディングに必要な要素-1:ブランドの実利的価値

生活者にとって最もベーシックな喜びは、そのブランドから「実利を得られる喜び」だ。具体的には「品質」や「機能」あるいは「利便性」や「用途」がもたらす喜びと言える。

性能の良さは、生活者からの期待を創る。

生活者は「性能が低い商品」より「性能が高い商品」の方に魅力を感じ、高い評価をするものだ。なぜなら、性能が高い商品であればあるほど、人はその商品がもたらす実利的な喜びに大きな期待を寄せるからだ。

そして、ユーザービリティは、慣れや習慣を創る。

生活者は「扱いやすい商品」を使い続けていると、その商品の使い方に対して「慣れ」や「習慣」が生まれるため、他の商品に浮気しにくくなる。もしあなたがiPhoneを使い続けているなら、Androidはとても使いにくく感じるはずだ。またAmazonを使い続けているなら、楽天は使いにくいと感じるはずだ。

近年「ユーザビリティ」の重要性は急速に高まっている。プロダクトライフサイクルが成熟化し「品質」や「性能」の差別化が難しくなってきたからだ。

さらに、利用用途が広ければ広いほど、そのブランドは生活者にとって欠かせない存在になる。

今やスマートフォンは「通話」「メール」「ソーシャルメディア」「ブラウジング」「写真撮影」「動画撮影」「ショッピング決済」など、利用用途は多岐にわたる。もはやあなたにとってスマートフォンは手放せないものになっているはずだ。

このように利用用途が広がれば広がるほど、生活者がそのブランドから実利的な喜びを感じる度合いは増えていく。結果、そのブランドの知覚品質は高まり生活者にとって欠かせない存在になっていく。

多くの企業は、ライバルよりもうまくこの喜びを提供するために、開発競争にしのぎを削っているはずだ。しかし市場が成熟化してくると生活者は「ココロの豊かさ」に関心が移るため、差別化要因にはなりにくくなる。

ブランディングに必要な要素-2:ブランドの感性的価値

生活者にとって最も重要なのが「実利価値」であることは論をまたない。しかし一方で生活者は「左脳的」だけでなく「右脳的な感性」でもブランドの好き嫌いを判断している。

生活者が「感性」や「感覚」を持った人間である以上、自分の感性に合わないものよりも、自分の感性に合うものを選びたいと思うのは当然の心理だ。

ブランドのデザインや個性が、生活者の感性に合うものであれば、生活者はあなたのブランドから「自分の感性にフィットする喜び」を感じ、長く愛用していただけるようになる。

特に近年では多くの市場が成熟化し「実利価値」での差別化は難しくなっている。

もしあなたの商品でも「実利価値」で差別化が難しくなっていると感じているのなら、「ブランドの感性的な価値」に着目してみよう。

ブランディングに必要な要素-3:ブランドの情緒的価値

人は誰でも「後ろ向きな気分」よりも「前向きな気分」でいたいと考えるのが自然だ。そして「前向きな気分」が得られたとき、人は喜びを感じる。

例えばある高級車メーカーが、あえてドアを閉める際に「ドスン」と低い音がするように、何回もテストを繰り返しているのは有名な話だ。あえて「ドスン」という低い音をさせることによって「自分は高級車のオーナーである」という実感と喜びを提供するためだ。

近年「ブランド体験価値」の重要性が叫ばれているが、この「ブランド体験価値」を考える上で重要なのも「情緒価値」だ。

単なる「モノの価値」だけでなく、その「モノ」を通して、どのような体験を創り上げることができるか?もまた、ブランド力を高めていく上で、大切な要素となる。

ブランディングに必要な要素-4:ブランドの自己表現価値

あなたは一人の人間として、どのような価値観をお持ちだろうか?

もし、あなたが明確な価値観をお持ちなら、あなたの言葉や行動、あるいはモノの選び方は、その価値観に沿ったものになっているはずだ。

生活者からすれば、そのブランドを選ぶということは「自分自身のライフスタイルを構成するブランド」ということであり、そこには「自身の価値観・信条」と折り合っているかどうかを吟味するプロセスが存在する。

冒頭で「ブランディングとは、感情移入を形創ること」と述べたが「価値観」は人が生きる上で最も根底をなすものと言っていい。

そうである以上、いったん「価値観レベル」で感情移入がなされると、あなたはそのブランドを通して自尊心が満たされ、ほかに替えがたいブランドとして評価するようになる。

ブランディングの戦略ロジックとブランディング効果

ブランディングの戦略ロジック

続いては「なぜブランディングがビジネスに貢献するのか?」について解説していこう。

ことブランディングといえば、つい「ブランドのらしさ」「ブランドの世界観」など「ふわっと」した話になりがちだ。しかし「ふわっ」とした話になればなるほど抽象的かつ曖昧な概念論になってしまい「ビジネス成果へのインパクト」の話がおざなりになりがちだ。

しかし、ブランディングは投資を伴うビジネス活動である以上、そこには成果に対するロジックが求められる。

ここでは話をわかりやすくするために「自動車ブランド」を題材に、ブランディングの戦略ロジックを解説していこう。

現在、日本国内で販売されている自動車は、30ブランド・150車種以上にものぼる。

ここでぜひ考えてみて欲しい。もしあなたが自動車を買おうと思ったとしたら、果たして30ブランド150車種をくまなく調べるだろうか?

おそらく、忙しいあなたはすべてを調べようとはしないはずだ。

まずは自分が知っていたり、あるいは好ましいと感じている自動車ブランドを複数ピックアップし、その中から具体的なスペックや価格を比較して、最終的に購入する車を決めることになる。

これを、概念図で表すと以下の通りとなる。

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ここまでお読みになれば鋭いあなたはお気づきかもしれないが、あなたの車選びは大きく分けて

  • 第1関門:自分の認識の内側で比較して選ぶ
  • 第2関門:実体を比較して選ぶ

という「2つの関門」があることにお気づきのはずだ。

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そしてもし第1関門「認識の内側での比較」で脱落すれば、次の第2関門には辿り着けず、購入には至らないことになる。

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別の言い方をすれば

  • その自動車ブランドを知っているかどうか?:ブランド認知
  • その自動車ブランドを好ましいと感じているかどうか?:感情移入

の2つが、第1関門突破のカギを握ることになる。

そもそも、あなたがその自動車ブランドのことを知らなければ「知らないものを欲しがることはできない」のだから、その自動車ブランドは第2関門に至ることはないまま、第1関門で脱落することになる。

また、例えあなたがその自動車ブランドを知っていたとしても、好ましい印象を持っていなければ、やはり第2関門に至る前に脱落することになるはずだ。

続いて、今度は逆を考えてみよう。

もしあなたが「高級車が欲しくなった」としよう。日本国内で販売されている車は30ブランド・150車種以上存在すると解説したが、あなたが思い浮かぶ「高級車における第1関門の選択肢」は、以下の4つのブランド(車種数は約20)に絞られるはずだ。

  • メルセデス
  • BMW
  • アウディ
  • レクサス

これは、この4つのブランドが一貫して「高級」というブランド連想を形創る取り組みを行うことで

  • 第1関門:「高級車が欲しい人たち」に対して第1関門を突破しやすくした
  • 第2関門:「競合が少ない状態」で戦えるようにした

ことを意味する。

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残念ながら日本企業のほとんどの商品は「第2関門の内側だけ」でスペック競争をしているのが現状だ。

しかしブランディングの本質とは、ターゲットからのブランド認知と感情移入を勝ち取ることによる「第1関門の突破力向上」であり、第1関門の突破力を向上させることで、第2関門を楽に戦える状態を創り出すことだ。

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ブランディングがもたらす10個の効果

ブランディングの戦略ロジックについて理解できたら、ここからはブランディングの効果について解説していこう。

ブランディングの効果は、大きくわけて10個ある。

もしこの章を最後まで読んでいただければ、あなたは胸を張って「なぜブランディングが必要なのか?」をロジカルに説明できるようになるはずだ。

ブランディングの効果-1:知名度向上と販売拡大の効果

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当たり前のことだが、生活者は「知らないものを欲しがる」ことはできない。

逆を言えば、知名度が上がり知っている人が増えていけば、欲しがる人も比例的に増えることになる。結果、販売数量も比例的に拡大していくメリットが生じる。

さらに、多くの生活者は同じジャンルの「無名の商品」と「有名な商品」を比べた場合、有名な商品の方を選ぶ傾向にある。なぜなら、生活者はモノを購入する際に「有名な商品だから大丈夫だろう」という安心感を得たがるからだ。

社会心理学者のR・ザイアンスによれば、人々は見知らぬ「記号」であっても、何回も繰り返し見せられるとその記号に対して好意を持つようになるという。つまり人間は知らないものより知っているもののほうに、強い理由もなく好意を抱く傾向を持っているのだ。

知名度向上によりブランドに「安心感」という感情移入を起こすことができれば、あなたの商品は他社商品よりはるかに選ばれやすくなる。

さらには、ブランドに対するポジティブな感情移入が強まれば強まるほど、その顧客がブランドを周囲に推奨してくれるメリットが生じる。いわゆる「クチコミによる推奨効果」だ。

近年のソーシャルメディアやレビューサイトの普及によって、以前と比べてクチコミの影響範囲ははるかに広くなっている。

ブランドの知名度が高まり、愛着感情を持ってくれる顧客が増えれば、クチコミ推奨による販売機会も広がるはずだ。

ブランディングの効果-2:価格プレミアムの効果

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もしあなたの商品が価格競争に晒されているのなら、ブランディングは必要不可欠だ。

一般に、ビジネスの売上高は「販売数量×販売単価」で決まる。しかし、近年の市場成熟化と競争激化で「販売単価」が下落するプレッシャーは年々高まっている。

そのような状況の中でも、適切にブランディングを実行に移せれば、高い単価を維持できるメリットを享受できる。その理由を解説しよう。

ブランドは、感情移入の度合いが強まれば強まるほど、生活者から見て「思い入れが強い特別なブランド」に育っていく。結果「ほかには替えられないブランド」となり、例え類似商品より多少高くても選ばれやすくなる。

その上、さらに感情移入の度合いが強まれば、生活者はそもそも類似商品と比べることすらしなくなる。いわば比較をせずに「指名買い」をしてくれる状況だ。その結果、価格競争に巻き込まれず、高い商品価格を維持しやすくなるメリットが生じる。

これが、ブランディングでよく語られる「価格プレミアム」のメカニズムだ。

高い価格を維持できるということは、財務的には利益率を高く維持できることにつながり、好業績の大きな要因となる。

ブランディングの効果-3:リピート率向上の効果

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「リピート率の高さ」は、あなたのビジネスにとって致命的に重要だ。

あなたが携わっている商品の顧客構成を分解すると「新規顧客+既存顧客」にわけることができるはずだ。そしてあなたのブランドのビジネス構造は、新規顧客獲得のために大きな投資を行い、リピート購入の利益によって投資を回収していく構図になっている。

もし既存顧客のリピート率が低ければ、新規顧客獲得コストが回収できなくなり、あなたのビジネスはじり貧に陥っていく。それぐらい「リピート率の向上」はビジネスの成否を左右する重要なファクターだ。

しかし一方で、あなたのブランドには数多くのライバル商品が存在する。そしてそれらのライバル商品は、虎視眈々とあなたの顧客を狙っている。

もし、ライバル商品の戦略が優れていれば優良顧客の流出が起き、あなたのブランドのリピート率は低下していく。競争が激しい現状においては、これは大きなビジネスリスクだ。

しかし、ブランディングは「リピート率の向上」に大きなメリットをもたらす。

「価格プレミアム」でも触れたが、ブランドは、感情移入の度合いが強まれば強まるほど、生活者から見て「思い入れが強いブランド」に育っていく。そして「愛着感情」が強くなればなるほど、競合商品に対する「浮気」が起きにくくなるため「リピート率」を高く維持できるようになる。

一般に、リピート顧客にかかるコストは、新規顧客にかかるコストの1/5で済むと言われる

ブランディングによる感情移入で高いリピート率が維持できれば、新規顧客獲得コストの回収可能性が高まるだけでなく、ビジネスの収益性向上にも大きく貢献するようになる。

ブランディングの効果-4:ビジネス機会を拡大する効果

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ブランド戦略の考え方の一つに「ブランド拡張」という考え方がある。

「ブランド拡張」とは、シンプルに言えば「築き上げたブランドの知名度や魅力をうまく活用しながらサブブランドなどを開発して、新しい市場に新事業・新商品を展開する戦略」を指す。

例えばアップルの成功事例を元に解説しよう。

アップルのことは、当然あなたはご存知のことだろう。もともとはパソコンのブランドであり、多くの日本人の思い入れや愛着、感情移入を勝ち取ってきたブランドだ。

そしてブランディングの観点から言えば、アップルはブランド拡張を成功させてきたブランドでもある。

「iPhone:スマホ市場」や「iPod:タブレット市場」、「iTunes:音楽配信市場」や「iPod:携帯音楽プレーヤー市場」など、アップルというブランドの知名度や魅力をうまく利用して、PC市場とは異なる市場を次々に開拓してきた。

Appleの成功事例に見られる通り、いったんブランドを確立すると、生活者はそのブランドに大きな期待を抱くようになる。そしてその期待をうまく利用することで、新しい市場の開拓を有利に進めることができるようになる。

これが、ブランディングによる「ビジネス機会拡大」のメリットだ。

ブランディングの効果-5:アライアンス機会の拡大の効果

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ブランディングにより知名度が上がり感情移入の度合いが強まるのは、何も生活者に限った話ではない。ブランディングがうまく機能すれば、多くの企業もあなたのブランドに注目することになる。

例えばユニクロの成功事例を例にとると、ユニクロの大ヒット商品である「ヒートテック」が、東レとの共同開発で生まれた商品であることは有名な話だ。

しかし想像してみてほしい。

もし、ユニクロが未だ知名度もブランド力もない山口県のアパレル企業だったとしたら、果たして東レとの共同開発や、ヒートテックの大ヒットは実現しただろうか?

ブランディングが成功すれば、生活者以外にも多くのステークホルダーを惹きつける。
すると惹きつけられた企業からの協業の機会が増え、更なる成長のための戦略オプションも広がるメリットが生じるはずだ。

ブランディングの効果-6:仕入れコストを削減する効果

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ブランディングの実務の現場では「ブランディングのメリット」は販売面の効果のみに焦点が当てられ、コスト面のメリットはあまり語られることはない。

しかし、ビジネスは売上からコストを差し引いて初めて利益になる以上「ブランディング略によるコスト削減」のメリットも理解しておきたい。

ブランディングがうまくいくと、ブランドの知名度が高まり販売数量は増えていく。

そして販売数量が増えれば、当然原材料の仕入れ数量も増えることになるため、以前と比べて仕入れ業者に対する価格交渉力は大きく高まっていく。

さらに、あなたのブランドが社会的に評判のブランドへと飛躍した場合、今度は「採算ラインぎりぎりでもいいから、ぜひあなたの会社と取引をしたい」という取引先が現れ始める。

なぜなら、その取引先から見れば、社会で評判のあなたのブランドと取引をすることは、自社の社会的な信用を高め、技術や品質が認められた大きな実績となるからだ。

そしてその実績を引っ提げて他の様々な企業にアプローチできるようになるため、例えあなたとの取引が採算ぎりぎりであっても、その取引先にとっては次のビジネスに向けた大きなメリットとなるのだ。

これは、あなたの会社からみれば、破格の低コストで原材料を仕入れることが可能になることを意味する。

上記2つの理由から、ブランディングは「仕入れ面」でのコスト削減にも大きな効果をもたらす。

ブランディングの効果-7:広告宣伝コストを削減する効果

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広告宣伝費は、あなたにとってコストだろうか?それとも投資だろうか?

あなたが短期的に売り上げを上げたいと思えば、その広告宣伝費はコストとなる。しかし一瞬大きく売り上げは伸びるだろうが、その効果は一時的なものとなり、後には何も残らない。いわば広告宣伝費を「消費して終わる」こととなる。

しかし長期的にブランドを構築したいと思えば、広告宣伝費は投資という性格を帯びる。ブランドに対して感情移入し、永続的に指名買いしてもらえる顧客を増やすことが目的となるからだ。

ここでぜひ、あなたのブランドの知名度が高まり、社会的に定着し、多くの生活者から「指名買い」されている状態を思い浮かべてみて欲しい。

「多くの生活者に指名買いされている状態」ということは、つまり「広告宣伝を見たり聞いたりしなくても、向こうから指名で買っていただけている状態」と同じだ。

つまり「これまでは多大な広告宣伝費を使わないと買ってもらえなかった」状態から「例え広告宣伝をしていなくても、指名で買っていただけてる生活者が多数いる状態」になるため、同じ売上を上げるにも、広告宣伝費は必要最小限で済むようになる。

これが、ブランディングによる「広告宣伝費の削減」の効果だ。

もし、あなたがインターネット広告の運用経験がおありなら、売上に比例して広告宣伝費がかかってくる「自転車操業状態」のつらさは、よくおわかりのはずだ。

もちろん、広告宣伝費を「売上を上げるためのコスト」とみなした「一発芸」を否定するものではないが「広告宣伝費の削減効果」も含めて、より戦略的かつ長期的にブランドの競争力を築きたいのであれば「広告宣伝費=投資」という視点も必要だ。

ブランディングの効果-8:人材採用の効果

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ブランディングにより知名度や感情移入の度合いが高まれば、優秀な人材採用にも好影響を与える。

新卒の就職活動を見てもわかる通り、学生は知名度の高い企業を就職候補に選びやすい。毎年雑誌の誌面を賑わす「就職したい企業ランキング」も、上位にランキングされるのは知名度の高い企業ばかりだ。

また、近年の就職活動は、いわゆる「就活サイト」への登録が半ば常識となっているが、学生は知名度の高い企業を検索して探そうとするため、やはり知名度の高い企業が有利となる。

先にブランディングの目的は「指名買い」であると解説したが、就職マーケットでもまた、ブランディングは知名度の向上を通して「学生からの指名買い」を増やす有力な手段となる。

さらに「ブランドに対する感情移入の強さ」もまた、知名度とは別の側面で人材採用面で大きなメリットを与える。むしろ、ブランドの競争力強化という観点ではこちらの方が重要だ。

例えば「スターバックス」や「ディズニーランド」を思い浮かべてほしい。どちらも、強い感情移入が伴ったブランドの成功事例だ。

この2つのブランドの「人材面」での共通点は、双方ともに正社員ではないアルバイトスタッフが極めて優秀であり「そのブランドらしさ」を体現した働きを自発的にすることだ。

スターバックスやディズニーランドで働くアルバイトスタッフは、そもそもそのブランドのファンであることが多い。そして、ファンであるがゆえに「そのブランドらしさ」を誰よりも深く理解している。

その結果、たとえマニュアルがない局面でも、自発的に「そのブランドらしいふるまい」をし、顧客を喜ばすことができるのだ。

さらに、そのブランドが好きでアルバイトに応募し働いているため、アルバイトスタッフであるにもかかわらずブランドに対する帰属心や貢献意欲が高く「そのブランドの役に立ちたい」というモチベーションが高い。

結果、企業の外側からの「見栄え」だけでなく、内側からもブランドを強くしていく「組織文化」が形成・強化され、その組織文化が「そのブランドらしい」個性的な商品やサービスを生み出していく。

そしてその優れた商品やサービスが、感情移入を伴う強いブランドを創り、そのブランドに惹かれた優秀な人材を集めるという好循環が創られていく。

これは何も、スターバックスやディズニーランドなどの接客業のみに当てはまる事例ではない。例えば「リクルート」や「マッキンゼー」なども成功事例だ。

特に「人」が競争力のカギとなるサービス業の場合、ブランディングによる人材獲得効果の向上は、極めて大きなメリットとなるはずだ。

ブランディングの効果-9:働く誇りの向上効果

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続いてのメリットは「働く誇りを向上させる効果」だ。

広告代理店という職業柄、ブランディングの一貫として知名度向上を目的としたTVCMの仕事をさせていただくことがある。初めてTVCMを行うクライアントの場合、TVCMは決して安い投資ではないため、社員の皆さんは一様に期待と不安が入り交じった表情をされることが多い。

しかしTVCMのオンエア後、その状況は一変する。皆さん一様に誇らしい顔つきに変わるのだ。

もちろんブランディングの成果が出て「ブランドとして知名度が高まった」ことに対する誇らしさはあるだろう。しかし現場の実感値として最も多いのは、自分の家族や関係者からの反響に対する誇らしさだ。

  • 娘さんから「お父さんの会社のCM見たよ。いいね」とLINEがきた。
  • 田舎のご両親が、わざわざ流れたCMを録画してくれていた。
  • 営業担当者が、取引先の方からCMを誉められた。

数値には現れにくいことだが、なかなかバカにできないブランディングのメリットだ。こういった1つ1つの出来事が社員の皆さんの誇りに変わる瞬間を何度も目にしてきた。

誰だって、自分達が「この商品は、世の中をより良く変えるはずだ」と信じて、苦労に苦労を重ねて作った商品が世の中に知られるようになり、多くの人から愛着を持たれ、ブランドとして成長していく姿を見るのは誇らしいものだ。

そしてそれらの誇りが、いつか自分の会社や、職務に対する誇りへと変わる。

一般に、企業の経営資源は「ヒト」「モノ」「カネ」と言われるが「モノ」を生産するのも、販売を通して「カネ」に変えるのも、その真ん中にいて使いこなすのはいつだって「人」だ。

そして、企業の経営資源のうち「人」だけが喜怒哀楽の感情を持つ。

ここまで読んでいただければお分かりだと思うが、ブランディングは時に感情移入を通して「モノ」や「カネ」以上の価値を「社員」から引き出すのだ。

ブランディングの効果-10:資金調達コストを削減する効果

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最後は、ブランディングによる資金調達コストの削減メリットだ。

多くのマーケティング担当者にとって「ブランディング」と「資金調達コストの削減」とは結び付きにくいかもしれない。よって、まずはデフォルメされた事例を挙げて解説しよう。

今ここに、1羽のニワトリがいたとする。普通のニワトリとの違いは、1週間に1個「金の卵」を生み続けることだ。

さて、あなたは資金を提供する投資家としてこのニワトリに投資する場合、いくらの金額の投資なら妥当だと考えるだろうか?

一般的なファイナンス理論における答えはこうだ。

このニワトリが2年生きると想定した場合、このニワトリは合計104個の金の卵を生み出すことになる。金の卵が1個10万円の価値があるとすれば、このニワトリは1,040万円(1個10万円×104週間)の価値を生み出すことになる。

だとすれば、あなたはこのニワトリを1,040万円未満の金額で投資をすることが妥当だという結論になる。

しかしニワトリは生き物だ。残念ながら半年後に死んでしまうかもしれない。当然、そのリスク分は、あなたの投資金額から割り引いて考えなければならない。

さて、上記のデフォルメされた事例を

  • ニワトリ=あなたのブランド
  • 金の卵=あなたのブランドが生み出す利益
  • 半年後に死んでしまうリスク=あなたのブランドが抱えるリスク

に置き換えて考えてみよう。資金提供者が投資を検討する際の重要なファクターは、

  • あなたのブランドは、今後どれだけ利益(=金の卵)を生み出すのか?
  • そうならないリスク(=例えば2年経たずにニワトリが死んでしまうリスク)はどれくらいあるのか?

の2点に集約されることに気付くはずだ。

ここでブランディングに話を戻すと、これまで解説してきたように強いブランドは弱いブランドと比べて「知名度の向上」「価格プレミアム」「リピート率の向上」などを通して、多くの利益(=金の卵)を生み出す。

そして「ブランドに対する感情移入」「指名買い顧客の増加」などを通して顧客流出の可能性を減らすことができるため、資金提供者から見たリスク(=2年経たずに死んでしまうリスク)」を低減させる。

結果、金融機関や投資家から見れば、強いブランドを持った企業は「資金を提供しやすい企業」となり、翻って企業の立場から見れば、ブランディングは「資金調達コストの削減効果につながる」というメリットをもたらすのだ。

ブランディングの7つのステップ

最後に、ブランディングのステップについて解説しよう。ブランディングの方法は、おおまかには7つのステップとなる。

もし、各ステップごとの詳細が知りたければ、各リンク先で詳しく解説しているので、ぜひ参照いただきたい。

ブランディングのステップ-1:ブランディングの立脚点を揃える

ブランディングを進めるにあたって、まず重要なのが「ブランディングの意味」を組織メンバーと共有することだ。

ブランディングは高度に抽象的であることから、人によって多様な解釈が存在する。また、ブランディングによってもたらされる「組織横断的な」メリットを充分に理解してもらえなければ、それぞれの部門は個別の事情で一貫性のない施策を繰り出してしまうことにもなりかねない。

以下の記事では、ぜひ組織メンバーと共有しておきたい内容を解説している。ぜひ、ご覧いただきたい。

ブランディングのステップ-2:ブランドを取り巻く環境変化を捉える

環境変化と向き合わないブランディングはあり得ない。そのために必要となるのが、外部環境分析のステップだ。

  • 世の中の流れを味方につけるための「PEST分析」
  • 業界構造を味方につけるための「ファイブフォース分析」
  • 市場の変化を味方につけるための「3C分析」

以下の記事では「PEST分析」「ファイブフォース分析」「3C分析」に必要不可欠な視点と分析手順を解説しているので、ご興味があれば御覧いただきたい。

ブランディングのステップ-3:ブランド戦略を策定する

ブランディングは「独自性を際立たせ」「感情移入を形創る」ために、以下の項目を策定する必要がある。

  1. ブランドが創り上げる「より良い社会の姿」を定義する
  2. ブランドが提供する価値(=喜び)を定義する
  3. ブランドが際立つための個性を定義する
  4. 上記をビジュアルで表現するデザインポリシー・ガイドラインを策定する

以下の記事では、それぞれに必要不可欠な視点を詳細に解説しているので、ご興味があれば御覧いただきたい。

ブランディングのステップ-4:ブランディングの評価指標を設定する

見えないものは、管理できない。そして管理できないものには、再現性がない。

ブランド戦略を策定したら、次は「ブランディングの評価指標」を設定しよう。

以下の記事では「ブランディングの評価指標」や「KPIの設定方法・手順」について解説しているので、ご興味があれば御覧いただきたい。

ブランディングのステップ-5:STP戦略を策定する

STP戦略とは「生活者を分類し(=S:セグメンテーション)」「その分類の中からターゲットを選択し(=T:ターゲティング)」「そのターゲットにとって独自の役割を創っていく(=P:ポジショニング)取り組みを指す。

しかしSTPというフレームワークは、扱い方を間違えれば「企業側の都合で一方的に決める」取り組みとなりがちだ。

このため、このブログの筆者であるk_birdはターゲティングとポジショニングの間に「ペルソナ設定」と「消費者インサイト」を加えることを推奨している。

以下の記事では上記の「STP」に加え「ペルソナ設定の方法・手順」「消費者インサイトの見出し方」についても解説しているので、ご興味があれば御覧いただきたい。

ブランディングのステップ-6:実行戦略を策定する

マーケティングの実行戦略は「教科書上のきれいごと」では事が進まず、最も大きな壁となりやすい。

一般に、STP戦略はマーケティング部門が主導して進むことが多い。しかしマーケティングの実行戦略に局面が移ると、多くの部門が関与し始めることになる。つまり、あなたには「考え方が異なる他部門を束ねる」という責任が生じてくる。

また、優れた「ブランドエクスペリエンス」を実現するにも多くの関連部門を巻き込む必要があるため「なぜ、これからはブランドエクスペリエンスが必要なのか?」という関連部門からの質問に対して「ロジカルに納得させるレベルの」説明力が必要となる。

以下の記事では「マーケティングミックス」に加え「ブランドエクスペリエンス」についても解説しているので、ご興味があれば御覧いただきたい。

ブランディングのステップ-7:適切にブランドマネジメントを行う

ビジネスの世界では「戦略2割・実行8割」と言われるように、ブランド戦略を「策定した」だけでは、ゴールではなくスタートにすぎない。

ブランディングを成果に結びつけるためには「優れたブランド戦略」が必要なのはもちろんだが「ブランド戦略を実現させる優れたブランドマネジメント」も求められる。

下記の記事では、ブランドマネジメントとは「何を」「どうする」ことなのかについて解説している。ぜひ、ご覧いただければ幸いだ。

ブランディングを理解する:おすすめブランディング本3冊

締めくくりに、マーケティング・ブランディング担当者へのお薦めのブランディング本を紹介しよう。選定した基準は下記の通りだ。以下のどれかに当てはまるものをピックアップした。

  • k_birdが実際に読み、単純に「素晴らしかった」と思えるブランディング関連本。
  • 実際に「ブランディング」の戦略&施策実務に役立っているブランディング関連本。
  • 長年に渡って読み継がれており、時代を越えても変わらない「本質」や「原理」が見出せるブランディング関連本。

もちろん、すべて「なぜ読むべきなのか?」という解説付きだ。

ブランド論 無形の差別化を作る20の基本原則

ブランディングに携わる実務家にとって、デビッド・アーカーは避けて通れないはずだ。

いわゆる「アーカー本」には「ブランドエクイティ戦略」「ブランド優位の戦略」「ブランドポートフォリオ戦略」「ブランドリーダーシップ」の4冊が存在するが、その4冊のエッセンスを抜き出して、集大成として出版されたのが本書の「ブランド論」だ。

本書を読めば、ブランディング用語である「ブランドエクイティ」や「ブランドアイデンティティ」「ブランドパーソナリティ」など、ブランドに関わる理論やコンセプトが一通り学べるはずだ。

更に、これまでのアーカー本は「翻訳がわかりにくい」「価格が高い」などの欠点があったが、本書は他のアーカー本と比べれば価格も手ごろで、訳も読みやすくなっている。

ブランドに関わる実務家が、一通りアカデミックなブランド論を学ぶには最適な教科書だ。

ブランド戦略論

本書は、日本のブランド戦略論の第一人者が「ブランド理論」「ブランド戦略」「ブランド戦略の実践法」「事例」を包括的にまとめたブランド戦略の体系書だ。

本書の価格は4,400円と少々高いが、ブランド戦略の知識を集大成した百科事典のような本格的体系書であり、日本企業の事例掲載も8カテゴリー30社に昇る。よって、本書に一通り目を通せば、ブランド戦略の知識に困ることはないはずだ。

また「ブランド戦略の本格的体系書」と聞くと、ついアカデミックで読みずらいものを想像しがちだが、本書の著者は一流の学者でありつつも、ビジネスの最前線での実務経験も併せ持っていることから、極めて読みやすいのも秀逸だ。

もしあなたが腰を据えてブランド戦略を理解したいなら、まとまった時間を作って読んでおきたい一冊だ。

このブログから書籍化した本3冊

既刊|ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」

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冒頭でも紹介したが、再度ここでも紹介させていただこう。

ブランディングは、ややもすれば「デザインの話」「広告の話」「世界観の話」など、掴みどころのない抽象論に陥りがちだ。

しかしブランディングは「ブランド戦略」という言葉があるように、企業の成否を大きく左右する戦略のひとつだ。そして投資が伴う以上、一定の合理性と説明責任が求められる。決して、売上や利益から逃げてはならないのだ。

本書は、つい「感覚論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

「論理」が理解できなければ、ブランディングを体系的に理解することできず、再現性を生むことができない。

そして「直感的な腹落ち感」がなければ、ブランディングを実務に落とせず、成果をもたらすことができない。

本書は、広告代理店&外資系コンサルティングファームで培った「生の知見」と「体系的な解説」を通して、ブランディングの理論を実践へとつなげて解説している。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー1位を獲得し、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

もし本書を手にとって頂ければ、ブランディングの専門用語はもちろん、実践の手順や実務の勘所が、一通り学べるはずだ。

kindle Unlimitedを契約されている方は無償で手に入れることができるので、気軽に手に取っていただきたい。

新刊|「仕事の質と生産性を上げる57の方法」を徹底解説

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拙著「超効率ハック」は、仕事の生産性向上を目的に「時間・段取り・コミュニケーション・資料作成・会議・学び・思考・発想」という8つのジャンルのハック術を網羅的にカバーしている書籍だ。

ただし、類書の「ライフハック本」と大きく異なる点は「EXCELの関数を覚える」「ショートカットキーを使い倒す」などの小手先のテクニックではなく、その大元にある「頭のスイッチの切り替え方」を解説している点だ。

どんなに時短テクニックを駆使して処理スピードを上げたとしても、その作業自体が必要のない作業だったとしたら意味がない。しなくてもいいことを効率的に行うことほど、無駄なことはない。

この場合、必要なのは「作業の処理スピードを速める力」ではなく「不必要な作業を見極め、周囲を納得させる力」だ。

本書は、このような「頭のスイッチの切り替え方」を8ジャンル57項目に分けて、具体的な処方箋を交えながら紹介している。

おかげさまで、本書の内容を解説したSchooのオンライン授業は「思考法ジャンル」で人気ランキング1位を頂いている(139講座中)。また、Amazon Kindleでも「オペレーションズ部門」でベストセラー1位を獲得し、増刷も決定した。

Amazonレビューでも、

  • 「どのライフハック本と比べても異色であり、学べることが多かった」
  • 「読んでみると、頑張りどころを間違えてたことに気付かされる」
  • 「仕事が速い人はこれをやってたんだな、ということがよくわかった」

など、ありがたい言葉を頂いている。

もしあなたが「仕事術をマスターしたい」「仕事の生産性を劇的に高めたい」と感じているのなら、ぜひ一読してみて欲しい。

お知らせ

前回好評につき、Schooにて「超効率ハック」を題材にした授業の第二弾を行うことが決まりました。詳しい内容を知りたい方は→こちらをクリック

既刊|「シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説

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このブログをお読みのあなたなら、すでに仮説思考の重要性はご存じのはずだ。

誤解を恐れずに言えば、あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。

なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。

しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考のメリットは説くものの、肝心の「仮説思考のマスターの仕方」になると、

  • 「センスが必要」
  • 「経験の積み重ねが物を言う」

など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせているものが多い。

一方で本書は「仮説思考に必要な推論の手順」を、豊富な事例とともに解説している。よって、その手順通りに推論を重ねれば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。

おかげさまで、本書はflierとグロービスが主催する「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただき、NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただいた。Amazonレビューでも、

  • 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
  • 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
  • 「一生もののスキルになるのは間違いない」

など有難い言葉を頂戴しており、5刷を重ねている。

もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。

その他の解説記事とおすすめ書籍

もしあなたが本解説以外にも関心があるのであれば、リンクを張っておくのでぜひ必要な記事を探していただきたい。

また、下記の記事ではより深くブランディングやマーケティングを学びたい方におすすめ書籍を紹介している。ぜひご覧いただければ幸いだ。
17のビジネス分野別おすすめ書籍の解説

終わりに

今後も、折に触れて「ロジカルで、かつ、直感的にわかるブランディングの解説」を続けていくつもりだ。 

しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。

それでも、このブログに主旨に共感し、何かしらのヒントを得たいと思ってもらえるなら、ぜひこのブログに読者登録Twitterfacebook登録をしてほしい。

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