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ブランドマネジメントとは|ブランド管理に必須の9要素を解説

ブランドマネジメントとは|ブランドマネジメントに必須の9つの要素

このブログに辿り着いたあなたなら「ブランドマネジメント」や「ブランド管理」の必要性を感じているはずだ。

このブログ「Mission Driven Brand」は、外資系コンサルティングと広告代理店のキャリアを持つ筆者が、ブランディングやマーケティングの「できない、わからない」を解決するブログだ。

ブランドマネジメントとは、ブランドに対して感情移入を創り出すビジネス活動を、その効果が最大になるように適切に管理することを指す。

ブランディングを成果に結びつけるためには「優れたブランド戦略」が必要なのは言うまでもない。一方で「ブランド戦略を実現させる優れたブランドマネジメント」も必要不可欠だ。

しかし「ブランドマネジメント」は極めて抽象度が高い概念であるため、明確な定義が存在しない。そして明確な定義が存在していない以上「何を」「どうする」ことがブランドマネジメントなのか?の共通認識を作りずらいのが現状だ。

よって、今回の記事では、ブランド戦略を成果に導く上で欠かすことのできない「ブランドマネジメント」について解説しよう。 その内容は以下の通りだ。

  • ブランドマネジメントとは何か?
  • ブランドマネジメントに必須となる9つの要素

ブランド戦略を学びたい方へ。このブログから書籍化した「ブランディングの教科書」

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まずは冒頭に、僭越ながら拙著を紹介させていただこう。

「ブランディング」は捉えどころがなく、なかなか一歩を踏み出せない。あなたはこのような状況に陥ってはいないだろうか?

本書の執筆陣は、ある時は広告代理店のストラテジックプランナーとして、ある時は、外資系コンサルティングファームのコンサルタントとして、クライアントの実務担当者が悪戦苦闘する姿を見てきた。

「ブランディング」は、その本質を理解しないまま実行に移そうとすると、的を射ない小手先の手法を延々と繰り出すことになりがちだ。結果、やみくもに予算を消化したまま、成果が出ない事態に陥ってしまう…。

そのような事態を1件でも減らしたい。そう考えたのが本書を執筆した理由だ。

ブランディングの本は、どれも「ブランドのらしさ」「ブランドの世界観」など「ふわっと」した話になりがちだ。そして「ふわっ」とした話になればなるほど抽象的かつ曖昧な概念論になってしまい、企業組織の中で通すことが難しくなる。

本書は、外資系コンサルティングファームと広告会社で培った「生の知見」をふんだんに盛り込みつつ、つい「抽象論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

本書のタイトルは「ブランディングの教科書-ブランド戦略の理論と実践」だ。

「理論」が理解できなければ、ブランディングを体系化できず、ビジネスに再現性を生むことができない。そして「実践」が理解できなければ、ビジネスに成果をもたらすことができない。

本書は、ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」として、ブランド戦略の再現性と成果を目指した書籍だ。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー1位を獲得し、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

  • クッキー規制によりデジタルマーケティングでCTRやCVRが頭打ち。CPAは下がるどころか、少しずつ上昇傾向ですらある。
  • 矢継ぎ早に新商品を繰り出してもすぐに競合に追い付かれ、差別化ができない。商品開発サイクルは更に早まり、自転車操業状態になっている。
  • 「自社にはブランディングが必要だ」と理解はしているが、概念が抽象的過ぎて、どう周囲を巻き込んでいいかがわからない。

もし、あなたがこれらに当てはまるなら、ぜひAmazonのページで本書の目次をチェックしていただきたい。つい感覚論になりがちな「ブランディング」に対して、

  • なぜ、そうなのか?
  • どう、ビジネスに役立つのか?
  • 何をすればいいのか?
  • 具体的な事例は?

を徹底して解説しているので、あなたのお役に立てるはずだ。

kindle Unlimitedを契約されている方は無償で手に入れることができるので、気軽に手に取っていただきたい。

ブランドマネジメントとは何か?ブランドマネジメントの意味

「ブランドマネジメント」は、Googleで検索すると以下のように定義されていることが多い。

  • ブランドマネジメントとは、ブランド・エクイティを高めるための継続的活動のこと。
  • ブランドマネジメントとは、企業自らが保有するブランドの価値、さらには企業総体としての価値を高めるため、不断に改善のサイクルを回していく活動のこと
  • ブランドマネジメントとは、ブランドを企業にとって好ましい状態に総合的に管理する経営手法

しかしあなたはこれらの定義をご覧になって、ブランドマネジメントとは「何を」「どうする」ことなのか、明確なイメージが湧くだろうか?

人間は、イメージできないことは実行できない。特にブランドマネジメントは多くのチームメンバーを巻き込む取り組みとなるが、ブランドマネジメントとは「何を」「どうする」ことなのかという共通認識が持てなければ、ブランドマネジメントがワークしないのは自明の理だ。

このブログの筆者であるk_birdは、実務に活かしやすいように「ブランディング」を以下のように定義している。

ブランディングとは何か?

  • ブランドとは、生活者にとって「独自の役割」を持ち「感情移入」が伴ったモノやサービス。
  • ブランディングとは「できるだけ多くの人に」「できるだけ強い」独自性と感情移入を形創っていく取り組みを指す。
  • そのメリットは「衝動買い頼み」を越えた「指名買い」によるロングセラーブランドだ。

そして上記の「ブランディングの定義」を踏まえれば「ブランドマネジメントの定義」は以下の通りとなる。

ブランドマネジメントとは?

  • 何を:ブランドに対して感情移入を創り出すビジネス活動を
  • どうする:その効果が最大化するように適切に管理すること

そしてこの定義を実務に落としやすくするために、以下の9つの要素に整理している。

  1. コーポレートブランドを適切に管理すること
  2. 複数のブランドのポートフォリオを適切に管理すること
  3. ブランドマネジメントを遂行する組織・人材を適切に管理すること
  4. ブランドのデザインポリシーを適切に管理すること
  5. ブランディングの進め方(プロセス)と成果を適切に管理すること
  6. 市場変化への対応を適切に管理すること
  7. ブランドの市場価格を適切に管理すること
  8. ブランドのエクイティ(資産)を適切に活かすこと
  9. ブランドの知的財産権を適切に管理すること

以下、順番に解説していこう。より詳しいブランドマネジメント手法が知りたい方は、各リンク先ページをご覧いただきたい。

ブランドマネジメントの9要素

ブランドマネジメントの要素-1:コーポレートブランドのマネジメント

ブランドマネジメントの根本指針となるのがコーポレートブランドだ。

しかしあなたは「コーポレートブランディングは抽象的」あるいは「何から手を付けていいかわからない」とも感じてはいないだろうか?

コーポレートブランディングはブランドマーケティングと異なり、商品やサービスなど「具体的な売り物」が存在しない。

さらにブランドマーケティングが「マーケティング関連部門の」「日々の業務」の話であるのに対し、コーポレートブランディングは「企業全体を巻き込んだ」「5年先あるいは10年先を見越した」話であるため、より複雑さが増す。

そして当たり前のことだが、コーポレートブランディングを成功させるには、あなたはもちろん、コーポレートブランディングを推進するプロジェクトメンバー全員が「コーポレートブランディングとは何か?」を理解していなければ、一枚岩になれない。

もし一枚岩になれないままコーポレートブランディングを進めてしまえば「企業のロゴデザインを変える」「企業のスローガンを変える」など表層的な結果で終わってしまい、その成果はおぼつかない。

よって下記の記事では、コーポレートブランディングについての進め方や事例をわかりやすく解説している。

もしあなたが「コーポレートブランディング」に興味を持ち、自社のコーポレートブランディングを成功に導きたいと考えているのなら、下記の記事がその一助になれば幸いだ。

ブランドマネジメントの要素-2:ブランドポートフォリオのマネジメント

高度経済成長期のように市場そのものが右肩上がりに成長していれば、商品のラインナップを広げるメリットはあまりない。なぜなら限られた資源の中で無理な多角化を進めれば、1つ1つの商品のスケールが失われてしまうリスクを伴うからだ。

しかし市場が成熟してくるに従い、生活者の価値観は多様化し移ろいやすくなる。

株式相場の世界には「卵は一つのカゴに盛るな」という言葉があるが、マーケティングの世界でも、商品を取り巻く環境が急速に変化する状況では、単一商品しか持たないことは、大きなリスクとなる。

あなたの企業を含め多くの企業では、次の成長に向けて新たな商品を開発する必要に迫られているはずだ。しかし、ブランド間の整合性やシナジーが考慮されていない商品の乱発は、いたずらに経営資源を浪費するだけだ。

商品のラインナップが増えてくれば、それらは適切に管理されなければならない。

その際に必要となるのが「ブランド体系戦略」や「ブランドポートフォリオ戦略」だ。

「ブランド体系」や「ブランドポートフォリオ」を正しく理解しておけば、単なる単一ブランドの管理にとどまらず、ブランド間のシナジーを発揮することが可能になる。

ブランド体系とは、ある企業が複数のブランドを持つ場合、各ブランドの役割や関係性を整理し構造化することを指す。その目的は、自社ブランド同士のカニバリ(=食い合い)を防ぎながら「複数ブランド間のシナジー」を発揮させることだ。

適切なブランド体系を構築できれば、今後最も注力すべきブランドは何かを見極め、ブランド構築の資源配分を最適化することができる。

さらには、企業全体のブランド体系を俯瞰して、モレの有無や新ブランドの可能性を検証し、現在の強みを生かした有望な市場を発見することも可能になるはずだ。

以下の記事では、ブランド間のシナジーを生み出す上で必須の「ブランド体系戦略」や「ブランドポートフォリオマネジメント」について、事例付きで解説している。

ぜひ、あなたの企業のブランドマネジメントの一助になれば幸いだ。

ブランドマネジメントの要素-3:ブランドマネジメント組織・人材のマネジメント

どのようなビジネスも、単純化すれば「戦略」と「組織」という2つの要素で成り立っている。

「ブランディング」に関しては「戦略」をテーマにした書籍は豊富に揃っているのに対して「組織」を真正面からとらえている書籍は驚くほど少ない。

そこで下記の記事では、優れたブランディングを展開する上で有効な選択肢の1つとなる「ブランドマネージャー制」を取り上げて解説している。

ブランドマネージャー制とは、1人の担当者が、新商品開発から損益責任、ブランドエクイティの構築までを一貫して担う組織形態のことを指す。

主に外資系企業で採用されているブランドマネジメント組織の形態であり、その成功事例はP&Gであるとされる。

つい「P&G」あるいは「外資系企業のブランド戦略」などのキーワードが出てくると「ブランドマネージャー制度=先進的」という誤解を招きがちだが、ブランドマネージャー制にはメリットだけでなく大きなデメリットも存在する。

もし下記の解説をお読みいただければ、ブランドマネージャー制のメリットやデメリットはもちろん「ブランドマネージャー制を機能させるための勘所」もわかるようになるはずだ。

ブランドマネジメントの要素-4:ブランドのデザインポリシーのマネジメント

多くの生活者が初めてブランドに接するときに、まず目にするのは「ブランドのデザイン」だ。つまり、ブランドのデザインは、生活者の第一印象を創り、トライアル購入に影響を与える、非常に重要な要素となる。

あなたがブランドを市場投入する際には、ブランドデザインは「パッケージデザイン」「コマーシャル」「グラフィックデザイン」「WEBデザイン」「店頭POPデザイン」などに形を変えていくことだろう。

ブランドのデザインを扱う部門も、あなたが所属するマーケティング部門だけでなく、デジタル部門・営業企画部門・本社営業・支社営業など多岐に渡るようになっていく。

せっかくあなたとデザイナーが丹精込めて創り上げたブランドのデザインも、各部門ごとに微妙に改変されていけば「バラバラで散発的な見え方」となり、強いブランドを創り出すことはできなくなる。

デザインは、創ったその瞬間から壊れ始めると言われる。

ブランドデザインの統一感と一貫性を保ち、運用をマネジメントしていくためには、ブランドのデザインポリシー(ビジュアルアイデンティティ)の適切な管理は必要不可欠だ。

以下の記事では「ブランドデザインがもたらす効果」及び「ビジュアルアイデンティティを適切に管理する方法」を事例付きで解説している。もし興味があればご覧いただきたい。

ブランドマネジメントの要素-5:ブランディングの進め方と成果のマネジメント

適切なプロセスを踏まなければ、適切な成果は生まれない。

「ブランディング」は「製品スペック」や「性能」とは異なり、極めて抽象性が高い概念だ。そのため、ともすれば可視化が伴わないまま「なんとなく」の感覚論で進みがちだ。

しかし、見えないものは管理できない。管理できないものは、改善することもできない。

ブランディングはもちろん、あらゆるビジネス活動は投資を伴う以上、より少ないリソースで、より高い成果を実現する必要に迫られる。

そのためには、例え抽象度の高い「ブランディング」であったとしても、何らかの形で「目標の設定」や「実行」「評価」そして「次のステップに向けた改善」は必要不可欠となる。そこで必要となるのがブランドのKPIマネジメントだ。

KPIとは「Key Performance Indicator」の頭文字を取った略語であり、日本語に訳すと「重要業績評価指標」となる。その意味は「目標を達成するためのプロセスが、適切に実行されているかを評価する指標」だ。

下記の記事ではブランディングを題材に「KPIとは」あるいは「ビジネスを成果に導くためのKPI設定の方法」について、例を交えながら解説している。

もし、下記の解説を最後までお読みになれば、これまで「なんとなく」という感覚論でしかなかったあなたのブランドマネジメントは、より合理的で説得力の高いものに変わるはずだ。

ブランドマネジメントの要素-6:市場変化対応のマネジメント

ブランディングやマーケティングには、必ず「その時々の局面」が存在する。そして「局面」が変化すれば、その背景で働く「市場力学」も変化する。

マーケティングの世界では、このような「局面の変化」を「プロダクトライフサイクル」と呼ぶ。そして「プロダクトライフサイクルマネジメント」とは、それぞれの市場局面で適切な打ち手を見出していくためのフレームワークだ。

もし「局面」ごとに「市場力学」を見抜くことができれば、あなたは局面ごとに適切なブランドマネジメントを行うことができる。

また、プロダクトライフサイクルは「時系列で捉える」という性質上、早い段階で「市場力学の変化」を予見し「先手を打って対策を練っておく」ことも可能になる。

もし、下記の解説を最後までお読みになれば、あなたは「局面ごとの市場力学」を味方につけ「先手を打った」ブランドマネジメントが展開できるようになるはずだ。

ブランドマネジメントの要素-7:ブランドの市場価格のマネジメント

あなたがマーケティング担当者なら、ブランドマネジメントの過程で「値引きの誘惑」にかられたことは、一度や二度ではないはずだ。

特に市場成熟期になると、営業部門や上層部から「競合ブランドが○○円まで値下げしてきた以上、当社も値引きするしかない」などの圧力がかかり、ブランド毀損リスクにおびえながらも値引き判断に傾いたマーケティング担当者も多いはずだ。

特に日本の企業では伝統的に営業部門の発言権が大きいことから「売上目標達成のためなら、多少値引きをしても構わない」という風潮が目立つ。結果、価格マネジメントに冷静なロジックを欠いたまま、非常に受け身的な価格管理に陥っているのが実態だ。

しかし、ことブランドマネジメントにおいて「値引き」は致命傷になりうる。

なぜなら値崩れは、ブランド力の低下に直結するからだ。さらに、値引きをしてなお利益を確保するためには、コストを削らなくてはならず、会社全体にとってあまり有益な方向に向かわないことも多い。

もし、あなたの企業がロジックのない価格マネジメントを続けていけば、適正な利益が得られないまま価格下落が進んでいき、その恐怖感に苛まれながらも、ただ手をこまねいているだけになってしまう。

下記の記事ではブランドマネジメントにおける価格マネジメントの重要性と、その落とし穴について解説している。

残念ながら「値引き圧力」に対してすぐに効く特効薬は存在しない。しかしそうであるからこそ、事前の準備を含め、日々の地道な努力が必要だ。

ブランドマネジメントの要素-8:ブランドエクイティのマネジメント

「ブランドエクイティ」とは無形で目に見えない「ブランド」を、不動産や有価証券といった他の資産と同じように「企業が保有する資産」として評価しようという考え方だ。

既存のブランドエクイティを適切に活かし管理するには、大きくわけて2つの方法が存在する。

  1. ブランド拡張
  2. リブランディング

以下、簡単に解説しよう。

ブランドエクイティを適切に活かす方法-1:ブランド拡張

現在、日本国内では多くの市場が成熟化しているといわれる。

プロダクトライフサイクルが成熟期や衰退期に至った現在においては、多くの企業で新たな事業や新ブランドの立ち上げが必要な局面となっているはずだ。

しかし新事業や新ブランドの立ち上げには、大きなリスクを伴う。そのリスクを軽減するために有力な選択肢となるのが、既存のブランド資産を適切に管理し活かす「ブランド拡張」だ。

ブランド拡張とは、新事業や新商品を検討する際に頻繁に用いられる手法の1つだが、一方で拡張したブランドの売れ行きが伸びず、一年も経たないうちに姿を消すケースも多い。

さらに悪いことに、築き上げたブランドの資産を活かすどころか、拡張ブランドがマスターブランドに悪影響を及ぼし「共倒れ」してしまうことすらありうる。

しかし以下の解説をお読みになれば「ブランド拡張とは何か?」だけでなく「ブランド拡張の成功例と失敗例」あるいは「ブランド拡張を成功に導く視点」もご理解いただけるはずだ。

ブランドエクイティを適切に活かす方法-2:リブランディング

「最も強い者が生き残るのではなく、変化に対応できるものが生き残る」

これは、何も生物に限ったことではなく、企業もまた「最も強い者」が生き残るとは限らない。「イノベーションのジレンマ」という言葉もあるように「最も強い」と賞賛された企業が環境変化に足元をすくわれ、衰退の道を辿った例は枚挙にいとまがない。

当たり前のことだが、ブランディングは一度確立したからといって、未来永劫に渡って成功が保証されるとは限らない。どの市場もいつか必ず成熟する。予期せぬ競合が現れる。企業は決して環境変化から逃れることはできない。

リブランディングとは、利益の最大化を目的に、行き詰ったブランドを再生させるための解決策を指す。その最大の利点は、全くゼロから立ち上げる「新ブランドの立ち上げ」と異なり、現在のブランド資産を活かせることだ。その結果、やり方次第では少ない費用と労力で強いブランドを再生できる。

以下の記事では、そんなリブランディングの手順と成功事例を詳細に解説している。ぜひ、あなたのリブランディング戦略の参考になれば幸いだ。

ブランドマネジメントの要素-9:ブランドの知的財産権のマネジメント

ブランドは「人」「モノ」「カネ」「情報」に続く第5の経営資源といわれる。そうである以上、欠かすことができないのがブランドの法的保護、つまり知的財産権のマネジメントだ。

知的財産権は、大きく分けると以下の5種類が存在する。

  1. 商標権
  2. 意匠権
  3. 著作権
  4. 特許権
  5. 実用新案権

上記の中でも、ブランドマネジメントの文脈で特に重要となるのが「商標権」について解説しよう。

ブランドマネジメントにおける商標権の役割

商標権とは、わかりやすく言えば「商品やサービスを認識するための目印」を守り、独占的に使用できる権利だ。

「商標」というと、つい「商品名」や「サービス名」を思い浮かべがちだが、例えば「不二家のペコちゃん」や「ケンタッキーフライドチキンのカーネルサンダース」も「商品やサービスを認識する目印」となる。そのため「立体商標物」として商標登録されている。

また、漢方薬メーカーのツムラは、企業ブランドのタグラインである「自然と健康を科学する」を商標登録している。このように、一定の条件を満たせばキャッチフレーズも商標登録が可能だ。

商標は「商品やサービスを認識するための目印」を独占的に使用できる強い権利だ。しかし、軽く考えてしまうと大きな法的リスクを抱え込むことになる。

例えば、芸人であるピコ太郎の大ヒットソングである「PREP」は、大阪府の無関係な企業が先に商標登録してしまったため、大きなトラブルとなったことを記憶に残っていることだろう。

このように、世の中には自社で使用しない言葉を先に商標登録して、他者に対してライセンス料の支払いや権利売買を持ちかける「商標ブローカー」が存在する。

また、大手ビールメーカーの「キリンビール」と、即席めんブランドである「キリンラーメン」が商標上の係争に発展し、キリンラーメンが改名を余儀なくされる事態を起きている。

これらのように、いったん係争や裁判に負けてしまえば、これまで積み上げてきたブランド資産は一気にゼロになり、ブランドに関わる全ての表現物を差し替えなければならず、その被害は甚大となる。

ブランドマネジメントの実務では、つい「戦略」や「施策」が優先され「商標出願」は後回しにされやすい。

しかし商標権は「先に商標登録したほうが権利を持つ」という先願主義を採用している。そのため、商標登録を先延ばしにすると不必要にリーガルリスクを抱え込むことになるので注意してほしい。

最後に:ブランドマネジメント本おすすめ書籍3

締めくくりに、マーケティング・ブランディング担当者へのお薦めのブランドマネジメント関連書籍を紹介しよう。選定した基準は下記の通りだ。以下のどれかに当てはまるものをピックアップした。

  1.  k_birdが実際に読み、単純に「素晴らしかった」と思えるブランドマネジメント関連書籍。
  2. 実際に実務に役立っているブランドマネジメント関連書籍。
  3. 長年に渡って読み継がれており、時代を越えても変わらない「本質」や「原理」が見出せるブランドマネジメント関連書籍。

もちろん、すべて「なぜ読むべきなのか?」という解説付きだ。

ブランドマネジメント本おすすめ書籍-1:ブランド論 無形の差別化を作る20の基本原則

ブランディングに携わる実務家にとって、デビッド・アーカーは避けて通れないはずだ。

いわゆる「アーカー本」には「ブランドエクイティ戦略」「ブランド優位の戦略」「ブランドポートフォリオ戦略」「ブランドリーダーシップ」の4冊が存在するが、その4冊のエッセンスを抜き出して、集大成として出版されたのが本書の「ブランド論」だ。

本書を読めば、ブランディング用語である「ブランドエクイティ」や「ブランドアイデンティティ」「ブランドパーソナリティ」など、ブランドに関わる理論やコンセプトが一通り学べるはずだ。

更に、これまでのアーカー本は「翻訳がわかりにくい」「価格が高い」などの欠点があったが、本書は他のアーカー本と比べれば価格も手ごろで、訳も読みやすくなっている。

ブランドに関わる実務家が、一通りアカデミックなブランド論を学ぶには最適な教科書だ。

ブランドマネジメント本おすすめ書籍-2:戦略的ブランド経営

本書は、国際的なブランドコンサルティングファームである「インターブランド社」の元コンサルタントが書き上げた「経営としてのブランド戦略論」だ。

ブランド戦略やブランドマネジメントは、ともすれば「マーケティングの世界のこと」として矮小化して理解されがちだ。しかし本書では「ブランド戦略とは経営戦略そのもの」と位置づけ「経営戦略」あるいは「競争戦略」の観点からブランドマネジメントのありようを解説している。

その中身は、

  1. ブランドの基本的機能と役割
  2. ブランド戦略と企業戦略との関係
  3. ブランドマーケティング
  4. ブランド体系
  5. ブランドポートフォリオ
  6. ブランド拡張
  7. ブランドマネジメント
  8. ブランド戦略策定の作業フロー

などが一通り網羅されている。また、実務家が書いた本だけあって、様々なフレームワークはもちろん、紹介されているケースも「トヨタ」「日産」「ユニクロ」「カゴメ」など20ケースに渡る。

もし実務家が「ブランドマネジメント」の全容を理解したければ、本書に勝る参考書はないだろう。

ブランドマネジメント本おすすめ書籍-3:ブランド戦略論

本書は、日本のブランド戦略論の第一人者が「ブランド理論」「ブランド戦略」「ブランド戦略の実践法」「事例」を包括的にまとめたブランド戦略の体系書だ。

本書の価格は4,400円と少々高いが、ブランド戦略の知識を集大成した百科事典のような本格的体系書であり、日本企業の事例掲載も8カテゴリー30社に昇る。よって、本書を一通り目を通せば、ブランド戦略の知識に困ることはないはずだ。

また「ブランド戦略の本格的体系書」と聞くと、ついアカデミックで読みずらいものを想像しがちだが、本書の著者は一流の学者でありつつも、ビジネスの最前線での実務経験も併せ持っていることから、極めて読みやすいのも秀逸だ。

もしあなたが腰を据えてブランド戦略を理解したいなら、まとまった時間を作って読んでおきたい一冊だ。

このブログから書籍化した本4冊

ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」

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冒頭でも紹介したが、再度ここでも紹介させていただこう。

ブランディングは、ややもすれば「デザインの話」「広告の話」「世界観の話」など、掴みどころのない抽象論に陥りがちだ。

しかしブランディングは「ブランド戦略」という言葉があるように、企業の成否を大きく左右する戦略のひとつだ。そして投資が伴う以上、一定の合理性と説明責任が求められる。決して、売上や利益から逃げてはならないのだ。

本書は、つい「感覚論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

「論理」が理解できなければ、ブランディングを体系的に理解することできず、再現性を生むことができない。

そして「直感的な腹落ち感」がなければ、ブランディングを実務に落とせず、成果をもたらすことができない。

本書は、広告代理店&外資系コンサルティングファームで培った「生の知見」と「体系的な解説」を通して、ブランディングの理論を実践へとつなげて解説している。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー1位を獲得し、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

もし本書を手にとって頂ければ、ブランディングの専門用語はもちろん、実践の手順や実務の勘所が、一通り学べるはずだ。

kindle Unlimitedを契約されている方は無償で手に入れることができるので、気軽に手に取っていただきたい。

シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説

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あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。

なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。

しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考の重要性は説くものの、肝心の「仮説思考の身につけ方」になると、

  • 「センスが必要」
  • 「経験の積み重ねが物を言う」

など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせている書籍が多い。

しかし本書は「仮説思考に必要な頭の使い方の手順」を、豊富な事例とともに徹底解説している。よって、その手順通りに頭を使えば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。

おかげさまで本書は5版を重ね「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただいた。NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、中国や台湾、香港でも出版が決定している。

さらにAmazonレビューでも、

  • 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
  • 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
  • 「一生もののスキルになるのは間違いない」

など有難い言葉を頂戴している。

もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。

ロジカルシンキングでは学べない「視点力」と「法則力」を身につける※無料のオーディオブック特典付

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例え同じ本を読んだとしても、そこから得られる「学びの量」は、人によって何倍も変わる。そして、人は学びを通してしか成長できない以上、その差はやがて、あなたの職業人生すら大きく変えてしまうことになる。

同じ本を読んでいるはずなのに、人によって「得られる学びの量」が何倍も変わってしまう。この差は、いったい何から生まれるのだろうか?

それは、1冊の本から「知識」を得ようとするか「知識の"運用能力"」を得ようとするかの差だ。

多くの読書術の本は「多読」「速読」など「いかに効率的に知識を得るか?」をテーマにしている。しかし、どんなに効率的に知識を得たとしても、ただそれだけでは「知識の暗記」止まりになる。得られる学びはごくわずかだ。

一方で、読書を通して「知識の"運用能力"」を身につけることができれば「たった1つの知識」を複数の分野に応用し、何倍もの成果を生み出すことが可能になる。

本書「読書の方程式」は、ビジネス書を通して「どう知識の"運用能力"を身につけるか?」を解説した書籍だ。そのポイントは、ビジネス書から学び取る「視点」「法則」そして「抽象化」にある。

おかげさまで、本書は日経やThe21、STUDY HACKERなど多くのメディアに取り上げていただき、発売3か月で海外の翻訳出版も決定した。Amazonレビューでも、

  • 「こんな風に自分を成長させる読み方があったのか!」
  • 「読書術の本では、これまでで最も良い本」
  • 「読書の概念が変わった」

など、ありがたい言葉を頂戴している。

もしあなたが「知識の"運用能力"」を身につけ、1つの事実から得られる「学びの量」を何倍にもしたいなら、ぜひ本書で紹介する読書法を実践して欲しい。

※無料のオーディオブック特典付

8ジャンル57個の仕事術で「実践力」を身につける

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どのようなビジネスも、実践が伴わなければ成果は出ない。しかし、いざ「実践力」を身につけようとしても、その分野は、

  1. 時間管理術
  2. 段取り術
  3. コミュニケーション術
  4. 資料作成術
  5. 会議術
  6. 学び術
  7. 思考術
  8. 発想術

など多分野に渡り、最低8冊分の読書時間と書籍代がかかってしまうのが難点だ。

しかし、本書「超効率ハック」は、8つの分野の仕事術の「重要ポイントだけ」を抜き出し、ギュッと1冊に凝縮した書籍だ。

さらに、本書は「訓練や習慣化が必要な作業テクニック」ではなく「行動を変えるための頭の使い方」の解説に力を入れているため「頭のスイッチを切り替える」だけですぐに実践できるのも特色だ。

おかげさまで、本書を題材にしたSchooのオンライン授業では「思考法ジャンル」で人気ランキング1位を頂いた(139講座中)。また、lifehackerやOggiなど数多くのメディアで取り上げていただき、Kindleでは「オペレーションズ部門」でベストセラー1位を獲得している。

Amazonレビューでも、

  • 「思考と行動の質を上げるヒントが盛りだくさん」
  • 「読んでみると、頑張りどころを間違えてたことに気付かされる」
  • 「仕事が速い人はこれをやってたんだな、ということがよくわかった」

など、ありがたい言葉を頂戴しており嬉しい限りだ。

もしあなたが「短時間で網羅的に仕事術を学びたい」「根本から仕事の生産性を高めたい」と感じているのなら、ぜひ手に取ってみて欲しい。

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終わりに

今後も、折に触れて「ロジカルで、かつ、直感的にわかる解説」を続けていくつもりだ。 

しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。

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