Mission Driven Brand

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ブランディングの戦略家が【ブランド戦略の全て】を解説するブログ

ブランド戦略とは|フレームワークと戦略立案の全手順|事例有

ブランド戦略とは|ブランド戦略の成功事例と10個の戦略メリット|徹底解説

このページに辿り着いたあなたなら「ブランド戦略とは何か?」あるいは「ブランド戦略のフレームワークや戦略立案の方法を理解したい」と考えていることだろう。

このブログ「Mission Driven Brand」は、外資系コンサルティングファームと広告代理店のキャリアを持つ現役実務家が、ブランディングやマーケティングの「できない、わからない」を解決するブログだ。

ブランド戦略とは、そのブランドならではの独自の役割を創り上げながら「できるだけ多くの人に」「できるだけ強い」感情移入を促す戦略を指す。

今回の記事では、食品・アパレル・BtoB・スタートアップ等に対してブランド戦略を支援してきた現役実務家の筆者が「ブランド戦略」について、事例を交えながら完全解説する。もしあなたが、

  • 自転車操業的な運用型広告から脱却し、ブランド戦略を通して「真の競争力」を身につけたい
  • マス広告に大きく投資する前に「ブランドの大方針」を定めておきたい
  • ブランド戦略を「感性」や「雰囲気」で終わらせず、明確なロジックで周囲を巻き込めるようになりたい

と考えているのなら、ぜひこの記事を最後までお読みいただきたい。ブランド戦略の現役実務家が完全解説していこう。その内容は以下の通りだ。

  • ブランド戦略とは何か?
  • ブランド戦略の重要性を直感的に理解する
  • ブランド戦略立案のフレームワークとは?
  • ブランド戦略の立て方と具体手順とは?
  • ブランド戦略の成功例

ブランディングは「感性」や「雰囲気」で語り出すと、必ず失敗する。ぜひこの記事を通して「ブランド戦略の方法論」をマスターして欲しい。

また、この記事の最後には、記事内で紹介した図版のスライド資料を用意しているので、ぜひ活用頂きたい。

このブログから書籍化したブランド戦略の本「ブランディングの教科書」

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本論に入る前に、僭越ながら拙著を紹介させていただこう。

「ブランディング」は捉えどころがなく、なかなか一歩を踏み出せない。あなたはこのような状況に陥ってはいないだろうか?

本書の執筆陣は、ある時は広告代理店のストラテジックプランナーとして、ある時は、外資系コンサルティングファームのコンサルタントとして、クライアントの実務担当者が悪戦苦闘する姿を見てきた。

「ブランディング」は、その本質を理解しないまま実行に移そうとすると、的を射ない小手先の手法を延々と繰り出すことになりがちだ。結果、やみくもに予算を消化したまま、成果が出ない事態に陥ってしまう…。

そのような事態を1件でも減らしたい。そう考えたのが本書を執筆した理由だ。

ブランディングの本は、どれも「ブランドのらしさ」「ブランドの世界観」など「ふわっと」した話になりがちだ。そして「ふわっ」とした話になればなるほど抽象的かつ曖昧な概念論になってしまい、企業組織の中で通すことが難しくなる。

本書は、外資系コンサルティングファームと広告会社で培った「生の知見」をふんだんに盛り込みつつ、つい「抽象論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

本書のタイトルは「ブランディングの教科書-ブランド戦略の理論と実践」だ。

「理論」が理解できなければ、ブランディングを体系化できず、ビジネスに再現性を生むことができない。そして「実践」が理解できなければ、ビジネスに成果をもたらすことができない。

本書は、ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」として、ブランド戦略の再現性と成果を目指した書籍だ。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー1位を獲得し、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

  • クッキー規制によりデジタルマーケティングでCTRやCVRが頭打ち。CPAは下がるどころか、少しずつ上昇傾向ですらある。
  • 矢継ぎ早に新商品を繰り出してもすぐに競合に追い付かれ、差別化ができない。商品開発サイクルは更に早まり、自転車操業状態になっている。
  • 「自社にはブランディングが必要だ」と理解はしているが、概念が抽象的過ぎて、どう周囲を巻き込んでいいかがわからない。

もし、あなたがこれらに当てはまるなら、ぜひAmazonのページで本書の目次をチェックしていただきたい。つい感覚論になりがちな「ブランディング」に対して、

  • なぜ、そうなのか?
  • どう、ビジネスに役立つのか?
  • 何をすればいいのか?

を徹底して解説しているので、あなたのお役に立てるはずだ。

kindle Unlimitedを契約されている方は無償で手に入れることができるので、気軽に手に取っていただきたい。

ブランド戦略とは?

ブランド戦略とは何か?

まず初めに「ブランド戦略とは何か?」について解説しよう。

「ブランド戦略」は抽象的な概念であるために、ややもすれば個別施策の話として矮小化されやすい。

特にデジタルマーケティングが隆盛な昨今、CPA重視のマーケティング担当者が「効率至上主義」に限界を感じ「ブランド戦略とは、広告露出によるブランド認知の向上である」という「施策」の話に飛び付いてしまう例が目立つ。

どのようなビジネスも、まずは「戦略」が方向性を決め「戦術」がその方向性を加速させる役割を担う。

ブランド戦略とブランド戦術の違い

逆を言えば、もし戦略を間違えれば、戦略に沿って展開される戦術(=施策)も間違うことになる。

ブランド戦略は「戦略」という言葉に象徴されるように、ビジネスの方向性を決定づける「戦略」だ。

ブランド戦略には多様な解釈が存在するが、このブログの筆者であるk_birdは、

  • 実務への直結のしやすさ
  • 組織全体での共有のしやすさ

を重視して、以下のように定義している。

ブランド戦略とは?
  • ブランド戦略とは、そのブランドならではの独自の役割を築き「できるだけ多くの人に」「できるだけ強い」感情移入を促すための戦略。
  • その成果は「指名買い」によるロングセラーブランドだ。

これは「製品」「商品」「ブランド」の違いを理解すれば、より明確になる。

製品とは?

「製品」とは、工場の倉庫にある出荷待ちのものを指す。

製品開発者が開発し、工場担当者が生産する。倉庫担当者が倉庫棚に整理し、出荷待ちの状態となる。しかしこの時点で生活者の関与はなく、企業側主導で事が進められる。

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商品とは?

「商品」とは、店頭に並んだ販売待ちのものを指す。

商品開発担当者がロゴやパッケージデザインを開発し、価格設定もなされている。営業担当者が量販店のバイヤーと交渉し「どう棚に並べてもらうか?」に知恵を搾る。その努力が結実すれば、無事店頭に並ぶことになる。

しかし、店頭の商品棚には様々な競合商品がひしめきあっている。そしてたまたま偶然その棚を通りがかった生活者が、たまたま偶然あなたの商品を目にし、たまたま偶然その時のニーズにマッチすれば、買い物かごに放り込む。

「商品」の状態のままでは、数々の「たまたま偶然」をくぐり抜けた上での「衝動買い」に頼らざるを得ない状況だ。

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ブランドとは?

「ブランド」とは、生活者1人1人の心の中(=認識の内側)に存在する。

長年、広告代理店と外資コンサルの両方で「ブランド戦略のリアル」を体験してきたk_birdにとって、実務に直結しやすい「ブランドの定義」とは、以下の通りシンプルだ。

「ブランド」とは

ブランドとは、生活者から見た独自の役割を築き、
生活者の感情移入が伴ったモノやサービスのこと。

ここでぜひ、強いブランド力を持つと評判のブランドを思い起こしてみて欲しい。

  • アップル、グーグル、ディズニー、スターバックス、コカ・コーラ…。

どのブランドも独自の役割を築き、単なる「モノ」や「サービス」を越えて、生活者からの感情移入が伴っていないだろうか?

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このブログの筆者であるk_birdは、広告代理店と外資コンサル時代を合わせて、延べ300回以上のマーケティングリサーチ経験を有している。

その経験からしても、独自の役割を築き、感情移入が伴っているブランドとそうでないブランドでは、指名購入意向率が5倍以上違う例はザラにある。一方で、逆の例は1件も見たことがない。

ブランド戦略とブランディングの違いとは?

ここで、よく混同しやすい「ブランド戦略」と「ブランディング」そして「ブランドマネジメント」の違いについても解説しておこう。ブランディングは、大きくわけて3つの要素にわけることができる。

  • ブランド戦略:
    独自性と感情移入を創るために、ブランドの「在り方」や「見せ方」を決める取り組み。欧米の企業では、マーケティングの上位概念として位置付けられる
  • ブランドマーケティング:
    ブランドの在り方(=ブランド戦略)に基づいて、購入と感情移入を形創っていく取り組み。STP戦略・マーケティングミックスなど。
  • ブランドマネジメント:
    ブランドの「在り方」や「見せ方」の一貫性を保つために、ブランドを適切に管理していく取り組み。戦略や組織・デザイン・知的財産管理など。

上記の図をご覧になれば「ブランディング」という大きな概念の下に「ブランド戦略」「ブランドマーケティング」「ブランドマネジメント」が位置付けられていることがわかる。逆を言えば「ブランディング」の中でも「ブランド在り方」を致命的に決定づけるのが「ブランド戦略」だ。

ブランド戦略の重要性を直感的に理解する

これまでお伝えしたように「ブランド戦略」とは、あなたのブランドの「在り方」を決定づける、極めて重要な考え方だ。

しかし、ことブランド戦略といえば

  • そのブランド「らしさ」
  • ブランドの「世界観」

など「ふわっと」した感覚論に陥りがちだ。そして「ふわっ」とした話になればなるほど、本来の目的である「ビジネス成果」の話がおざなりになる。

しかし、ブランド戦略は投資を伴うビジネス活動だ。

そうである以上「らしさ」や「世界観」などの「ふわっとした抽象論」に逃げてはならず「ブランド戦略は、どのような理屈でビジネス成果につながるのか?」について理解しておく必要がある。そうでなければ、再現性のある「戦略」にはなりえないからだ。

「ブランド戦略」の重要性を正しく理解するには「概念」と「実体」をわけて考えると理解しやすい。ここでは話をわかりやすくするために、例を使って解説しよう。

今、あなたの目の前に「ガラスのコップ」があったとしよう。

これを「概念」と「実体」でわけると、以下の通りとなる。

あなたは、今ご覧になった画像を「コップ(水を飲むためのもの)」という概念で認識したはずだ。

しかし、その実体を正確に表すと「ガラスでできた円柱形の立体物」だ。まずはこれを押さえた上で、次の画像をご覧いただきたい。

この画像を、同じように「概念」と「実体」にわけると、以下の通りとなる。

鋭いあなたならお気づきかもしれないが、この2つの画像の「実体」は「ガラスでできた円柱形の立体物」であり、全く同じだ。

変わったのは「水を飲むためのもの」なのか?それとも「花を生けるためのもの」なのか?という「概念」のほうだ。

ここに、重要なポイントがある。

例え「実体」は変わらなくても「概念」が変わればば「コップ」が「花瓶」に変わったように「在り方」は大きく変わる。つまり、物事の「在り方」を決めているのは「実体」ではなく「概念」であることがわかるはずだ。

これらを踏まえた上で、次は以下の画像をご覧いただこう。

「実体」の側に、

  • レディース
  • メンズ
  • 服飾雑貨
  • 収納・家具
  • 文具…

などが並んでいるが「概念=在り方」が不明なために、独自性は感じられず、なんの感情移入も伴わないはずだ。

しかし、以下の画像を見るといかがだろうか?

  • 「無印良品の」レディース
  • 「無印良品の」メンズ
  • 「無印良品の」服飾雑貨
  • 「無印良品の」収納・家具
  • 「無印良品の」文具…

あなたもご存じの通り、無印良品とは「シンプルで無駄のない生き方」を価値観に掲げたブランドだ。

その「概念」に独自性があり、かつ多くの人から共鳴されていれば、例えボールペン一つでも指名で購入されることになる。

多くの日本の企業は、残念ながら「概念」の重要性を理解せず、機能や性能など「実体」のみで競争しているのが現状だ。

しかし重要なことなので繰り返すが「ブランド」は「実体」ではなく「概念」に宿る。つまり、

  • 「どのような概念(=在り方)を掲げれば、独自性が築け、かつ感情移入を創れるのか?」

を考えることが「ブランド戦略」だ。

ブランド戦略のフレームワークと戦略立案の全手順

ブランド戦略がもたらすビジネス成果について理解できたら、いよいよここからは「ブランド戦略のフレームワークと戦略立案の手順」について解説していこう。

いわば「どのような概念(=在り方)を掲げれば、独自性が築け、かつ感情移入を創れるのか?」を考える手順だ。

ブランド戦略のフレームワークと戦略立案の手順-1:PEST&3C分析

どんなに予算を積んだブランドでも、世の中の大きな趨勢に対して、一企業の力で抗うことは難しい。

だとすれば、ブランド戦略を策定する段階で「どのような"世の中の趨勢"を味方につけるべきか?」を見極めておくのは、致命的に重要だ。

もしここを間違えてしまうと「頑張っても頑張っても報われないブランド戦略」に陥ってしまう。

前述した通り、ブランド戦略はややもすると「ふわっとした感覚論」に陥りがちだが、あくまでビジネス上の投資である以上「このブランド戦略は、どの市場機会を捉えに行くのか?」という冷静な目線は欠かせない。そのために必要となるのが「PEST分析」と「3C分析」だ。

PEST分析のフレームワークと進め方

PEST分析とは、ブランドを取り巻くマクロ環境である「PEST」とは「Politics」「Economy」「Society」「Technology」それぞれの頭文字を取ったフレームワークだ。

  • Politics(政治的要因)
  • Economy(経済的要因)
  • Society(社会的要因)
  • Technology(技術的要因)

そして、PEST分析のそれぞれの要素は、以下のような重要な性質がある。

  1. P(政治的要因):
    市場競争の前提となる「市場競争のルール」そのものを変化させる。
  2. E(経済的要因):
    売上やコストなど利益に直結する「価値連鎖」に影響を与える。
  3. S(社会的要因):
    売上の元となる生活者の需要構造に影響を与える
  4. T(技術的要因):
    市場競争のKSFを変えてしまう。

k_birdの場合、ブランド戦略策定プロジェクトはワークショップ形式で行うことが多い。

そして、プロジェクトのキックオフ段階で、まずはクライアントのプロジェクトメンバーに宿題として「ブランドを取り巻くPESTの変化」をワークシートに記入してもらうことにしている。

さすがにみなさん業界の当事者だけあって、ワークシートが真っ黒になるまで書いてもらえることがほとんどだ。

これはこれでありがたいのだが「真っ黒になったワークシート」は、そのままでは、玉石混交で優先順位もつけられていない状態だ。そこで宿題提出後のワークショップでは「ブランドに最もポジティブな影響を与える変化はどれか?」を議論するようにしている。

そこで見出すことができるのが「新たな市場機会」だ。

3C分析のフレームワークと進め方

続いて、3C分析の解説に移ろう。「3C」とは、ブランドを取り巻くミクロ環境である「Customer」「Competitor」「Company」の3つの頭文字を取ったフレームワークだ。

  • Customer(市場・顧客)
  • Competitor(競合)
  • Company(自社)

そして、3C分析のそれぞれの要素は、以下のような重要な性質がある。

  1. Customer(市場・顧客):
    市場や生活者のニーズを満たすことで、ブランドは売れやすくなる
  2. Competitor(競合):
    そもそも競合が存在しなかったり、競合を上回る魅力が存在することでブランドは売れやすくなる
  3. Company(自社):
    自社独自の強みを活かすことで、ブランドは売れやすくなる

k_birdの場合、PEST分析のワークショップを終えた後に、やはり宿題として「ブランドを取り巻く3C」をワークシートに記入してもらうことが多い。

ここでよく起きる間違いは「PEST」で行ったワークセッションの結果を忘れて「PESTはPEST」「3Cは3C」と切り離して考えてしまうことだ。その結果、提出された宿題を検証すると「これまでと代り映えしない内容」に落ち着いてしまうことが多い。

PESTと3Cは、必ず「一連の流れで」考えなければならない。

なぜなら、PESTで導き出したのは「新たな市場機会」であり「新たな市場機会」を捉えようとすれば、3Cのひとつ「市場・顧客の定義」が変わる。

そして「市場・顧客の定義」が変われば「競合の定義」が変わり、競合の定義が変われば「競合に対する自社の強み」の定義も変わる。

このように「PEST」と「3C」は、個別に切り離して考えるのではなく、必ず「PEST→3C」の一連の流れで考えなければならない。

よって、宿題提出後のワークショップでは、個別に考えてしまった「PEST」と「3C」を「一連の流れ」としてとらえ直すワークをすることが多い。

こと「ブランド戦略」といえば、つい「どうブランドを変えるのか?」に着目しがちだが「捉えるべき市場を見極める」「競合を見極める」「自社の強みを見極める」のも「市場競争に勝てるのか?」を考える上で重要なファクターだ。

 

ブランド戦略のフレームワークと戦略立案の手順-2:ターゲットペルソナ

3C分析を終えたら、次に必要なのがターゲット設定とペルソナデザインだ。

ターゲットを設定する

PEST分析で「新たな市場機会」を発見したら「市場の定義」が変わる。そして「市場の定義」が変われば、ターゲットやペルソナも必然的に変わるはずだ。

ターゲット設定には「6R」というフレームワークが存在する。

  • 有効な市場規模(Realistic Scale):十分な市場規模があるターゲットか?
  • 競合状況(Rival):強い競合ブランドが存在しないターゲットか?
  • 成長性(Rate of Growth):これからニーズが増えそうなターゲットか?
  • 波及効果(Ripple Effect):口コミ波及の発信源となるターゲットか?
  • 到達可能性(Reach):チャネルやメディアを通じて到達可能なターゲットか?
  • 測定可能性(Response):アクションに対する効果が測定可能なターゲットか?

このフレームワークに沿ってターゲットが決まったら、ぜひ力を入れたいのが「ペルソナデザイン」だ。

ペルソナをデザインする

ペルソナデザインとは、ブランドに対して感情移入を促し、長期的なファンになってくれることが期待できる「象徴的な顧客像」を描くことを指す。

ペルソナデザインとは?

 

ブランドに対して感情移入を促し、長期的なファンになってくれることが期待できる「象徴的な顧客像」を描くこと

ペルソナをデザインする目的は、大きくわけて3つある。

目的1-企業目線から生活者目線へ

クライアントとプロジェクトを進めていると、かなり頻繁に

  • 「あなたはそう思ってるかもしれないけど、生活者は1㎜もそう思ってないよな…」
  • 「あなたは確かに詳しいけど、生活者はそこまで詳しくないんだよな…」

という局面に出くわす。

あなたを含め、あなたの同僚は業界で経験を積めば積むほど、作り手や売り手としての専門知識を得て、その業界の「プロ」になっていく。それは、少しづつ生活者の「素人感覚」から離れて「浮世離れした存在」になっていくことを意味する。

しかしペルソナデザインをうまく活かせば、企業側の「プロ」の目線からいったん離れ「このペルソナの、どのような感情に関与していけばいいだろうか?」 という「生活者からの逆算視点」に立つことができるようになる。

また、外部の人間として参加している「素人感覚」のk_birdにとっても「いかにクライアントを素人感覚に引き戻すか」は一大仕事だ。

目的2-論理から感情・ストーリーへ

ビジネスの世界では「論理的であることは良いこと」だとされる。

しかし、ことブランド戦略においては「論理的」であることが、必ずしも正しいことであるとは限らない。なぜならあなたのブランドを購入してくれる顧客は、必ずしも「論理」だけで買うとは限らないからだ。

一般に、物事を判断する上での基準は、以下の4つとされる。

上記の図をみればペルソナがあなたのブランドを選ぶ判断基準は、必ずしも「合理」だけでないことがわかるはずだ。むしろ、一部でしかない。

そして、ブランド戦略とは「ブランドに対して感情移入を創っていく指針」である以上、多くマーケティング担当者に求められるのは、ターゲットの感情や価値観に対する「共感能力」だ。

そして、多くのマーケティング担当者が持つべき「共感能力」に対して大いに助けとなるのが「ペルソナデザイン」となる。

しかし、普段「データ」と「論理」に慣れているクライアントからすれば、いきなり「ペルソナの価値観や感情を描いてみてください」と言われても、筆が止まることがほとんどだ。

そこで、k_birdがペルソナワークショップをする場合には、独自に作成した「91の価値観カード」「111の感情カード」を事前に配っておき、ゲーム感覚で考えてもらうことにしている。

「価値観カード」や「感情カード」を見ながらペルソナを考えると「確かにこんな価値観がありそうだ」「実はこんな感情を抱いていそうだ」など、一気に筆が進むことが多い。

目的3-個別最適から全体最適へ

ブランド戦略は、実行フェーズに移るとマーケティング部門のほかにも商品開発部門、営業・販売部門、デジタル部門など、多くの部門を横断しながら進めていくことが多くなる。

しかし、もしチームメンバーそれぞれが異なるペルソナ像を思い浮かべてしまうことになれば、ブランドの提供価値は曖昧になり、パーソナリティは統一感がなくなる。

戦略はストーリーがなくなり、施策は散発的なもので終わってしまうだろう。その結果、ブランド戦略は失敗することになる。

一方で、もし、優れたペルソナを設定し共有できれば、各部門がペルソナをあたかも実在の人間のように受け入れ、ペルソナの視点で世界を見られるようになる。

例えば、性別・年齢はもちろん、ライフステージや価値観、これまでの人生経験や悩み、何にこだわりを持ち、何を一番大切だと感じ、何を実現したいと考えているのか?などが典型だ。

また、各部門がブランド戦略の意思決定に迷った際に立ち戻るべき「立脚点」も明確となる。

結果、様々なブランディング施策の一貫性が保てるようになり、必要でないものを見極められるようにもなるはずだ。 

k_birdの場合、クライアントが描き上げたペルソナは「ペルソナフォーカス」というフレームワークと「ペルソナインサイト」という文章の2つにまとめることにしている。そして、ことあるごとにペルソナに立ち戻るよう、クライアントに促すのだ。

ブランド戦略のフレームワークと戦略立案の手順-3:ブランドプリズム

ここからは、いよいよブランド戦略策定の本丸である「ブランドアイデンティティの構築」へと進むことになる。使用するフレームワークは、フランスの大学教授が開発し、k_birdがアレンジを加えた「ブランドプリズム」というフレームワークだ。

以下、ブランドプリズムの構成要素について、解説を加えていこう。

ブランドプリズム-1:ターゲットペルソナ

ブランドプリズムの構成要素の一つ目は「ターゲットペルソナ」だ。

進め方の詳細は先ほど解説したので割愛するが、ブランドプリズムのワークシートには、以下を記載しておくことが多い。

  • ターゲットペルソナの概要文
  • ペルソナの価値観キーワード(例:ユーモア・発見・興奮・冒険…など)
  • ペルソナの感情キーワード(例:不安感・重圧・焦り・孤独感…など)
ブランドプリズム-2:ブランド提供価値

「ブランド提供価値」とは、ブランドが提供できる実利的&感情的な喜びを指す。

別の言い方をすれば「選ばれる理由」であり、ブランド戦略を策定する上で中核となる要素だ。

多くのTVCMを見てもわかる通り、大半のブランドは「私たちは…」と「自分達」を主役に語ろうとする。しかし、多くのペルソナにとってみれば、主役は「自分のライフスタイル」であって、ブランドはライフスタイルを豊かにするために「名わき役」に過ぎない。

だとすれば、ブランドは「私たち」を主役に語るのではなく「あなたにとって」を主役に語らなければならない。これこそが、まさに「プロポジション(=価値転換)」であり、企業視点から生活者視点への脱皮が求められる部分だ。

ワークショップでは、ブランド提供価値を3つに分けて議論することが多い。

実利価値:そのブランドなら、ペルソナはどのような「実利的なメリット」が得られるのか?

生活者にとって最もベーシックな喜びは、そのブランドから「実利を得られる喜び」だ。多くの企業では、ライバルよりもうまくこの喜びを提供するために、開発競争にしのぎを削っているはずだ。

あるミネラルウォーターの事例では、単にブランドが認知されるだけでなく「実利的な価値」が認識されると、積極購入意向率は16%上がり、価格プレミアム(=多少高くても買いたい人の割合)は9%上がることがわかっている。

ミネラルウォーターは、その中身は単なる「水」であり、機能的な差別性はほとんど持たない。しかし「実利的な価値が認識されるか否か?」で購入意向も価格プレミアムもこれだけ大きく変わるのだ。

感情価値:そのブランドなら、ペルソナはどのような「ポジティブな感情」を掻き立ててくれるのか?

人は誰だって「後ろ向きな感情」よりも「前向きな感情」でいたいものだ。そして「前向きな感情」が得られたとき、人は喜びを感じる。

先ほどのミネラルウォーターの事例では、単にブランドが認知されるだけでなく「感情的な価値」が認識されると、積極購入意向率は21%上がり、価格プレミアムは22%上がることがわかっている。

ブランド提供価値に関するワークショップを行うと「実利価値」についてはスラスラと語れるクライアントも「ブランド×感情価値」となると思考が止まり、迷走してしまうことが多い。そのような時には、前述した「111の感情カード」を触発ツールとして活用している。

自己実現価値:そのブランドなら、どのような「ポジティブな自分」に変えてくれるのか?

そのブランドを手にすることで、ペルソナはどう「ポジティブな自分」に変われるだろうか?

ブランド提供価値のワークショップでは「そのブランドを手にする前はこんな自分だけど」→「手にした後は、こんな自分に変われる」という「From→To」のセッションを行うことが多い。

先ほどのミネラルウォーターの事例では、単にブランドが認知されるだけでなく「自己実現価値」が認識されると、積極購入意向率は24%上がり、価格プレミアムは30%上がることがわかっている。

ブランドプリズム-3:ブランドライフビジョン

3つのブランド提供価値を定義できたら、その流れで「ブランドライフビジョン」の定義を行う。

「ブランドライフビジョン」とは「ブランド提供価値を世の中に広げていくことで実現できる社会やライフスタイルの未来像」のことを指す。

別の言い方をすれば「社会的存在価値」であり、最近の言葉で言えば「ブランドパーパス」と言い換えてもよい。

「価値」とは「喜び」や「嬉しさ」のことなのだから「社会的存在価値」とは、ブランドが社会にもたらすことができる「喜び」「嬉しさ」と同義となる。これらが社会に浸透した時の未来像を「ブランドライフビジョン」と呼んでいる。

「ブランド提供価値」を検討した後に「ブランドライフビジョン」を検討する手順を踏むのは、

  • 実利価値:ブランドを通して実利的なメリットを受けられた人
  • 感情価値:ブランド通してポジティブな感情に満たされた人
  • 自己実現価値:ブランドを通してポジティブな自分に変われた人

が世の中に溢れれば、どのような理想的な社会が実現できるか?という一貫性が重要だからだ。

このように、定義した「ブランド提供価値」を起点に「ブランドライフビジョン」を設定すると、ブランドと社会が同じ目的(=ライフビジョン)を共創できるようになり、

  • そのブランドを選んだり、薦めたり、応援することは、社会をより良く変えることと同じ

という構図を生み出すことができる。

すると、そのブランドは商品と生活者の壁を越え、社会において果たすべき役割を持ち、生活者からの共鳴感情を引き出すことが可能になる。

また、ブランドがどのように社会や市場を変革し、どのような顧客体験を生み出すかについて、一貫したストーリーが描けるようになる。

さらには「ブランドライフビジョン」を掲げたブランドに携わる関係者は、生活者や社会とともに、ライフビジョンを実現するという使命に意義と誇りを感じるようになる。

最終的に、そのブランドは「世界をよりよい場所に変えようとしている」応援できるブランドとみなされるようになり、生活者にとってかけがえのない存在になっていくはずだ。

その成果は、多くの生活者やステークホルダーが「このブランドだけは特別」と感じる感情移入だ。そしてその感情移入は、指名買いされ続けるロングセラーブランドを形創る。

ブランドプリズム-4:ブランドパーソナリティ

「ブランドパーソナリティ」とは「そのブランドならではの個性・人格」のことを指す。

適切にブランドパーソナリティを築き上げていけば、そのブランドに対する感情移入の度合いは劇的に高まる。結果、強い愛着感情を生み、指名買いをもたらすパワーブランドになることも夢ではない。

ブランドパーソナリティには、いくつかの設定すべき項目が存在するが、とりわけ重要なのが、以下の2つだ。

  • 価値観:そのブランドは、どのような「価値観」を掲げるのか?
  • 態度:そのブランドは、どのような「態度」で生活者に接するのか?

「ブランドが掲げる価値観」は、そのブランドらしい際立った個性を決定づけるだけでなく、生活者からの共鳴感情を引き出す。

冒頭で「ブランド戦略とは感情移入をもたらすための指針」だと述べたが「ブランドが掲げる価値観」は「良い」や「好き」を越えて「共鳴できる」という強い感情移入をもたらすため、必ず設定すべき項目だ。

また「ブランドの態度」は、そのブランドの「印象・イメージ」を決定づける。

例えばあなたのブランドが「楽天カード」のように「明るく元気な態度」で生活者と接するのか?あるいはダイソンのように「落ち着いた知的な態度」で接するのか?で、ブランドの印象はもちろん、命運すら左右する。

ブランドパーソナリティは「ブランド提供価値」と「ブランドライフビジョン」の間に位置付けられ、ブランドのOSのような役割を果たす要素だ。

ブランドプリズム-5:独自の役割

「独自の役割」とは「ペルソナから見て、そのブランドでしか果たしえない独自の役割」のことを指す。マーケティングの専門用語でいえば「ポジショニング」だ。

「ポジショニング」といえば「差別化」と考えがちだが、実はそうではない。

「差別化」は、競争相手がいることを前提としているが「競争をする」ということは、既存の競争ルールの中で、常に比較をされながら体力勝負の消耗戦に挑むことを指す。

本来のポジショニングの目的は「競争に勝つ」ことではなく「競争をしないでも勝てる領域」を見つけ、賢い勝ち方をすることだ。

k_birdの場合、ポジショニングのワークショップでは「自社ブランドでしか果たしえない領域」を発見するために、ポジショニング軸を試行錯語するワークを行うことが多い。

そしてもし、そのブランドでしか果たしえない独自の役割を発見することができたら、あなたのブランドは「体力勝負の消耗戦」から抜け出し、その領域での「独占状態」に近づくことができる。

ブランドプリズム-6:ブランドの特徴

「ブランドの特徴」とは、これまで検討した「ブランド提供価値」「ブランドライフビジョン」「ブランドパーソナリティ」「独自の役割」に対して「信憑性を与える事実」のことを指す。

どんなに素晴らしいブランドプリズムを定義したとしても、それらを直接的・間接的に裏付ける事実が存在しなければ、単なる「言いっぱなし」で終わる。

よって「品質」「性能」「技術」「ユーザビリティ」「UI」「歴史」「第三者評価」など、あらゆる側面から「ブランドプリズムを裏付ける事実」を発見し、ブランドプリズムの文脈に沿うように「再解釈」を加える必要があるのだ。

ブランドプリズム-7:ブランドのシンボル

「ブランドのシンボル」とは「そのブランドらしさを視覚的に象徴するビジュアル要素」のことを指す。

「ブランドのシンボル」は「ビジュアルアイデンティティの構築」に当たるため、もし「ブランドの見せ方」も大きく変える場合には、フェーズ2として別プロジェクトになることが多い。

もし、ビジュアルアイデンティティに関して詳しく知りたければ、下記の記事を参考にしていただきたい。

近年、ブランド戦略関連で、以下のような相談が増えている。

  • CV数を獲得するたびに税金のように広告費を払い続ける今のデジタルマーケティングに限界を感じる。
  • TVCMなど大きな広告投資を予定しているが、散発的な施策にならないようにブランド戦略の指針を策定しておきたい。
  • ブランドの売上が低迷しており、リブランディングを検討している。

もしあなたも似たような状況に置かれ、ブランド戦略に関心を持ちなら、ぜひこの記事を再度読み返していただきたい。

ブランド戦略の成功例

ダヴのブランド戦略成功例

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ダヴのブランディング事例から学べるのは「ブランド提供価値」の重要性だ。

ダヴは今から半世紀前、1957年にアメリカで発売された固形石鹸のブランドだ。

ダヴが発売した固形石鹸は、汚れを落とすだけだった石鹸に「うるおい」というブランド提供価値を提案し、今では世界80ヵ国以上で販売されている。

ダヴもまた、ニベアと同様にブランドアイデンティティを通じて、優れたブランド提供価値を作り上げている企業事例だ。

ダヴのブランドアイデンティティとは「美しさとはこうあるべき」という既成の価値観にとらわれ、自分の本当の美しさを見失っている女性たちに対して「本当の美しさ」を知ってもらうことだ。

ダヴは2013年のプレスリリースで、以下の数値を発表している。

女性は自分の美しさに対してとても厳しい目をもっており、自分を美しいと思う割合は、世界中でたったの4%である。

世界の半数以上の女性が(54%)が、自分の見た目に一番厳しいのは自分であることを認めており、これは実に6億7,200万人に上る。

その上で「ダヴの考える理想はこれとは異なる」とし「すべての女性が自分の美しさに気づき、自信に満ち溢れ、自分が美しいかどうかを悩まない世界であるべき」だとするライフビジョンを提唱している。

「美しさ」を表面的にとらえるこれまでの考え方を改め、すべての女性が持つ各自の美しさを発見していこうというブランドアイデンティティは、多くの女性に対して共鳴感情を形創り、ダヴブランドに対する感情移入をもたらしている。

スターバックスのブランド戦略成功例

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スターバックスのサービスブランディング事例から学べるのは、以下の通りだ。

  • サービスブランディングは生活者を惹きつけるだけでなく、時に接客スタッフの誇りとなり、サービス品質も上げることもできる。

スターバックスは、あなたがご存じの通りカフェでシアトルコーヒーと提供するブランドだ。しかし2011年、スターバックスのロゴから「Coffee」のロゴが消えたことを、あなたはご存じだっただろうか?

スターバックスはブランドアイデンティティとして「人々の心を豊かで活力のあるものにするためにーーひとりのお客様、1杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」を掲げている。

このブランドアイデンティティからわかる通り、スターバックスの主役は「人(=人の心の豊かさ)」であり「コーヒー」は心の豊かさを実現するための「脇役」に過ぎないと考えている。

スターバックスのロゴから「Coffee」が消えたのは「あくまでスターバックスは、コーヒービジネスではなく人間ビジネスである」ことを明確にするためだ。

そしてスターバックスは、最も重要な顧客接点である「バリスタ」の育成に力を入れて成功したブランディング事例でもある。一般的な飲食店の場合、研修期間は長くても2~3日とされるが、スターバックスの場合は例えアルバイトでも1人80時間の教育を施すという。

また、その教育にはコーヒーの知識・コーヒーの淹れ方・掃除の仕方だけでなく、スターバックスのブランドアイデンティティについても多くの時間が割かれている。

結果、顧客は店内の居心地のよさに癒やされ、お店のスタッフに心からの笑顔で迎えられる。そしてそのような経験が積み重なって、顧客はスターバックスに対して徐々に感情移入し、特別な存在になっていく。

更に、スターバックスは「広告宣伝を行わずに確立したサービスブランド」としても有名だ。

それは、アルバイトも含めたスタッフ一人ひとりが愚直にスターバックスのブランドアイデンティティを体現しようと努力しているからこそ、例え広告宣伝を行わなくても「快適なサードブレイス(=第三の場所:家と職場の中間の快適な空間)として、際立ったブランドポジションを確立できたブランディング事例と言えるだろう。

ジョンソンエンドジョンソンのブランド戦略成功例

企業ブランディングは、プロジェクトが終了したら終わりではない。「ブランドマネジメント」という言葉があるように、プロジェクト終了後も一貫した姿勢を取り続けることができるかどうかが、強いブランドになれるかどうかの分水嶺となる。

ジョンソンエンドジョンソンは、消費者向け製品、医療機器・診断薬、医薬品の3つの事業分野を通じて業績を伸ばしてきたヘルスケアカンパニーだ。日本で事業活動を開始したのは1961年のことだ。

ジョンソンエンドジョンソンといえば有名なのが、ブランドのミッション・行動指針ともなっている「我が信条(Our Credo)」だ。

ジョンソンエンドジョンソンの「我が信条(Our Credo)」には、有名な逸話がある。

1982年9月と86年2月、ジョンソンエンドジョンソンの主力製品である鎮痛剤「タイレノール」に何者かが青酸化合物を混入したことにより、死亡事件へと発展する。

ジョンソンエンドジョンソン自身も被害者としてふるまうことが可能な状況であるにもかかわらず「我が信条(Our Credo)」において最優先とされる顧客の安全を第一と考え、必要な情報は全て開示し十分な対応体制を整備した上で、現役の従業員はもちろん、退職した元従業員の協力も得て、全ての製品を店舗から回収した。

その勇気と行動は今なお高い評価を受け、当時ジョンソンエンドジョンソンの経営トップが拠りどころとした「我が信条(Our Credo)」は今でも従業員に信奉され続けている。

企業ブランド(コーポレートブランド)は、経営者の意思決定や組織風土・価値観が色濃く反映される。そのため、欧米の卓越したブランドカンパニーは前述したように「インテグリティ」という概念を掲げ、インテグリティに則した企業行動を重視していることが多い。

「インテグリティ」とは日本語では「高潔さ」と訳されることが多いが、そのニュアンスは英語で理解したほうがわかりやすい。

Integrity=

the quality of being honest and strong about what you believe to be right.

(自分達が正しいと信じている事柄について正直であり、強くあること)

「インテグリティ」とは、企業ブランド(コーポレートブランド)として公正さや誠実さ、あるいは社会的使命に則して一貫した姿勢や行動を取り続けることだ。

そのためジョンソンエンドジョンソンでは「我が信条」の浸透に莫大な時間とエネルギーを費やしている。

その代表例が「クレドサーベイ」だ。これは全世界のジョンソンエンドジョンソングループで年に1回、無記名で行われる「我が信条」の実践に関する調査だ。

多くの企業で「従業員満足度調査」や「インナーブランディング調査」は行われているが「クレドサーベイ」が秀逸なのは「全社員がリーダー層を評価する」調査である点だ。

クレドサーベイは、ジョンソンエンドジョンソングループのマネジメントやリーダーが「我が信条」の価値観をどれだけ実践しているかについて、全社員の認識を調査する。

さらに、クレドサーベイの集計を外部の事業者に委託することで客観性や公平性を保ちつつ、結果は各部門にフィードバックされる。これを受け、各部門は課題を発見したうえで、アクションプランを策定・実施し、改善を図っていくのだ。

インテグリティを伴った行動は、信頼や敬意という感情移入を生みだす。

ジョンソンエンドジョンソンの企業ブランディング事例は「我が信条(Our Credo)」という「インテグリティ」によって成功したブランディング事例と言えるだろう。

このブログから書籍化した本4冊

ブランディングの理論と実践をつなぐブランド戦略の本「ブランディングの教科書

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冒頭でも紹介したが、再度ここでも紹介させていただこう。

ブランディングは、ややもすれば「デザインの話」「広告の話」「世界観の話」など、掴みどころのない抽象論に陥りがちだ。

しかしブランディングは「ブランド戦略」という言葉があるように、企業の成否を大きく左右する戦略のひとつだ。そして投資が伴う以上、一定の合理性と説明責任が求められる。決して、売上や利益から逃げてはならないのだ。

本書は、つい「感覚論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

「論理」が理解できなければ、ブランディングを体系的に理解することできず、再現性を生むことができない。

そして「直感的な腹落ち感」がなければ、ブランディングを実務に落とせず、成果をもたらすことができない。

本書は、広告代理店&外資系コンサルティングファームで培った「生の知見」と「体系的な解説」を通して、ブランディングの理論を実践へとつなげて解説している。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー1位を獲得し、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

もし本書を手にとって頂ければ、ブランディングの専門用語はもちろん、実践の手順や実務の勘所が、一通り学べるはずだ。

kindle Unlimitedを契約されている方は無償で手に入れることができるので、気軽に手に取っていただきたい。

シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説

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あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。

なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。

しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考の重要性は説くものの、肝心の「仮説思考の身につけ方」になると、

  • 「センスが必要」
  • 「経験の積み重ねが物を言う」

など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせている書籍が多い。

しかし本書は「仮説思考に必要な頭の使い方の手順」を、豊富な事例とともに徹底解説している。よって、その手順通りに頭を使えば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。

おかげさまで本書は5版を重ね「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただいた。NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、中国や台湾、香港でも出版が決定している。

さらにAmazonレビューでも、

  • 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
  • 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
  • 「一生もののスキルになるのは間違いない」

など有難い言葉を頂戴している。

もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。

ロジカルシンキングでは学べない「視点力」と「法則力」を身につける※無料のオーディオブック特典付

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人は誰しも「視点」を通してしか物事を考えることができない。別の言い方をすれば、「何を考えるか?」は視点が支配してしまうともいえる。

 人の思考は必ず、

  1. 視点:まずは何らかの「視点」を置き
  2. 法則:その「視点」を元に「ああなれば→こうなるだろう」という「パターン」に当てはめ
  3. 結論:結論を出す

というステップを辿る。

つまり、どんなにロジカルシンキングに長けていても、論理の前提となる「視点を置き方」が適切でなければ、結論は間違ったものになる。

また、どんなに適切な視点を置いたとしても「ああなれば→こうなるだろう」という「パターン」が頭の中になければ、仮説をスピーディーに導き出すことはできない。

本書はビジネス書から「隠れた視点」と「隠れた法則」を発見し、思考の質とスピードを上げていく方法を解説した書籍だ。

もしあなたが自由自在に「視点」を操ることができるようになれば、物事の多様な側面に気づき、次々と「新たな可能性」を見出すことができるようになる。

さらに、数多くの「法則」をストックしていけば、様々な現象に「法則」を当てはめることで「筋の良い仮説」を瞬時に導き出すことが可能になるはずだ。

おかげさまで、本書はThe21やNIKKEI STYLE、STUDY HACKERなど多くのメディアに取り上げていただき、発売3か月で海外の翻訳出版も決定した。Amazonレビューでも、

  • 視点力や仮説思考、抽象化スキルが身に付く良書
  • これまでの読書術の常識を次々と塗り替えている目からウロコの本
  • まさに「モノの見方を変える方程式」

など、ありがたい言葉を頂戴している。

もしあなたが「ロジカルシンキング本」では学べない「思考スピード」を身につけたいなら、ぜひ本書で紹介する読書法を実践して欲しい。

8ジャンル57個の仕事術で「実践力」を身につける

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どのようなビジネスも、実践が伴わなければ成果は出ない。しかし、いざ「実践力」を身につけようとしても、その分野は、

  1. 時間管理術
  2. 段取り術
  3. コミュニケーション術
  4. 資料作成術
  5. 会議術
  6. 学び術
  7. 思考術
  8. 発想術

など多分野に渡り、最低8冊分の読書時間と書籍代がかかってしまうのが難点だ。

しかし、本書「超効率ハック」は、8つの分野の仕事術の「重要ポイントだけ」を抜き出し、ギュッと1冊に凝縮した書籍だ。

さらに、本書は「訓練や習慣化が必要な作業テクニック」ではなく「行動を変えるための頭の使い方」の解説に力を入れているため「頭のスイッチを切り替える」だけですぐに実践できるのも特色だ。

おかげさまで、本書を題材にしたSchooのオンライン授業では「思考法ジャンル」で人気ランキング1位を頂いた(139講座中)。また、lifehackerやOggiなど数多くのメディアで取り上げていただき、Kindleでは「オペレーションズ部門」でベストセラー1位を獲得している。

Amazonレビューでも、

  • 「思考と行動の質を上げるヒントが盛りだくさん」
  • 「読んでみると、頑張りどころを間違えてたことに気付かされる」
  • 「仕事が速い人はこれをやってたんだな、ということがよくわかった」

など、ありがたい言葉を頂戴しており嬉しい限りだ。

もしあなたが「短時間で網羅的に仕事術を学びたい」「根本から仕事の生産性を高めたい」と感じているのなら、ぜひ手に取ってみて欲しい。

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終わりに

今後も、折に触れて「ロジカルで、かつ、直感的にわかるブランディングの解説」を続けていくつもりだ。 

しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。

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