このページに辿り着いたあなたなら、何らかの理由で「ターゲット設定とは何か」あるいは「ターゲットの決め方」に関心があることだろう。
このブログ「Mission Driven Brand」は、外資系コンサルティングと広告代理店のキャリアを持つ筆者が、ブランディングやマーケティングの「できない、わからない」を解決するブログだ。
「ターゲット戦略」とは、いわば「買っていただくお客様を決めること」であり、ブランディングやマーケティングはもちろん、集客や販促など、あらゆるビジネスの起点となる。
そしてもしターゲット戦略を間違えれば、いわば「的外れ」という言葉に象徴されるように、ブランディングであれマーケティングであれ、その成果はおぼつかない。
k_birdのこれまでの外資系コンサルティングファームでのコンサルティング経験、及び広告代理店の戦略プランナーとしての経験を踏まえると、多くの企業が「ターゲットを決める」というプロセスを踏んではいる。しかし「ターゲットを絞り込む」ことに二の足を踏むマーケティング担当者は驚くほど多い。
その結果、いたずらにマーケティング予算を浪費した挙句に「二兎を追うもの一兎を得ず」状態となり、成果が出せないまま立ち往生しているマーケティング担当者も多い。
もし「ターゲットを明確に絞れていない」あるいは「なぜターゲットを明確にするのかわからない」と感じたのなら、ぜひこの解説を最後まで読み進めてほしい。
今回はブランディングやターゲティングにおける「ターゲットの決め方」そして「ターゲット戦略のフレームワーク」について解説する。もしあなたが「ターゲット設定の方法論」を論理的かつ直感的に理解できれば、あなたはチームメンバーに説明できるようになる。
その結果、チームのブランディング活動やマーケティング活動はより焦点が絞られ、実効性が高いものになっていくはずだ。
繰り返しになるが「ターゲットを設定する」ことはブランディングやマーケティングの「起点」となる。そしてターゲット設定を間違えれば、その後のプロセスもすべて間違ったものとなるため、失敗が許されない。
ぜひ、今回の記事をじっくりと読み込み「的を射た」ターゲット戦略を実現してほしい。
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本論に入る前に、僭越ながら拙著を紹介させていただこう。
「ブランディング」は捉えどころがなく、なかなか一歩を踏み出せない。あなたはこのような状況に陥ってはいないだろうか?
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「ブランディング」は、その本質を理解しないまま実行に移そうとすると、的を射ない小手先の手法を延々と繰り出すことになりがちだ。結果、やみくもに予算を消化したまま、成果が出ない事態に陥ってしまう…。
そのような事態を1件でも減らしたい。そう考えたのが本書を執筆した理由だ。
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- ターゲット設定とは?
- 間違ったターゲット設定とは?陥りがちなターゲット設定の例
- ターゲティング戦略の視点
- コアターゲットの決め方|ターゲティングのフレームワーク
- ターゲティングの事例
- マーケティング理論が理解できる本:おすすめ書籍:3冊
- このブログから書籍化した本4冊
- その他の解説記事とおすすめ書籍
- 終わりに
ターゲット設定とは?
ターゲット設定とは-1:ターゲット設定の意味
あなたは「ターゲット設定とは何か?」と聞かれて、いったいなんと答えるだろうか?
このブログの筆者であるk_bird流に「ターゲット設定」を定義すると、以下の通りとなる。
生活者とブランド双方の利益を最大化するために、どの市場セグメントにブランディングやマーケティング資源を集中するかを決めること。
ターゲット設定とは、限りある資源をどこに集中させるかという標的市場の選択だ。そしてその目的とは、生活者とブランド双方の利益の最大化となる。
ターゲットは、言葉を変えれば「どのセグメント(顧客層)に買ってもらいたいかを決めること」ともいえる。 もしターゲット設定がうまくいかなければ「誰のためのブランドなのか」 が明確にならず、結果的に誰も買ってくれない状態になる。
ターゲット設定とは-2:ターゲティングとセグメンテーション
もしあなたがマーケティング担当者なら「STP戦略」という言葉は、どこかで聞いたことがあるだろう。ターゲティングは「STP戦略」を構成する非常に重要な考え方でもある。
STP戦略の「S」とは、以前このブログで解説した「セグメンテーション」のことだ。セグメンテーションには「区分けする」や「区分する」などの意味があり、マーケティングの世界では市場機会を発見するために、何らかの切り口によって市場を細分化することを指す。
しかしこの時点では、単に市場を細分化したにすぎない。市場機会が存在する市場セグメントは一つの場合もあれば、複数存在する場合もある。
そしてSTP戦略の「T」こそが、今回解説する「ターゲティング」のことだ。「S:セグメンテーション」で細分化した市場セグメントを評価し、そのどれかを「ターゲット」として明確に設定することだ。
ターゲット設定とは-3:ターゲティングとポジショニング
STP戦略の「P」とは「ポジショニング」のことであり、設定したターゲットから見て「そのブランドならではの独自の役割」を見出し、築き上げていく取り組みを指す。
トライアル購入はもちろん、リピート購入率の高いブランドを育てるには「誰にとって」「どのような役割を持った」ブランドかを明確にする必要かあるが、この「誰にとって」がターゲティングであり「どのような役割を持った」がポジショニングだ。
ポジショニングはよく「差別化」と混同されがちだ。しかしポジショニングの本来の目的は競合ブランドと比較して優位に立つことではなく、生活者から見て「ほかに替えられない」独自の役割を持った存在になることだ。
間違ったターゲット設定とは?陥りがちなターゲット設定の例
冒頭でも紹介した通り、多くのマーケティング担当者は「ターゲット設定」の重要性は理解しているものの「ターゲットを絞る」ことに関しては消極的だ。しかし、ターゲット設定を広く取りすぎると多くの弊害が存在する。まずはそのことを解説しよう。
k_birdの実務で携わったブランドは、外資系コンサルタント時代及び広告代理店の戦略プランナー時代を合計すると、優に200は超える。その経験に照らした場合、マーケティング担当者が間違いがちなターゲット設定とは、大きく以下の2つのケースに分類できる。
- ターゲットを「すべての人々」と設定してしまうケース:
etc.「オールターゲット」など - ターゲット設定がなされているが、性・年齢のみで設定されているケース:
etc.「20代~30代前半の若い女性」など
以下、一つ一つ「なぜ間違っているのか?」について解説しよう。
間違ったターゲット設定-1:「オールターゲット」
ターゲット設定を「オールターゲット」としているケースは、そもそもターゲット設定をしているように見せかけてはいるものの、事実上ターゲット設定がなされていないケースだ。業界のリーダー企業や官公庁に多いケースだが、残念ながらこのケースの場合、以下の2つの弊害が起こりやすい。
1つめは、繰り出す施策が散発的になりやすいことだ。
ターゲット設定を「オールターゲット」とした場合、ターゲットの範囲が広すぎるため、マーケティングチームの関係者間で「ターゲット像(≒ペルソナ)」を共有しずらくなる。
そのため、個々の部門の担当者が個別バラバラに「ターゲット像」を解釈してしまったり、あるいは独自に「コアターゲット」なるものを決めてしまったりして、結果、繰り出す施策も部門ごとにバラバラとなり、散発的な施策になってしまうことが多い。
すると、マーケティング施策の一つ一つがつながりを持たなくなるため、いわば「広大な砂漠に、それぞれの部門が散発的に水をまいて終わる」という状態に陥る。その結果マーケティングの成果が出せず「何も残らなかった単発施策」で終わってしまうことが多いのだ。
そして2つ目は、マーケティングのメッセージがぼやけてしまうことだ。
特にブランドマーケティングは、ブランドに対して生活者からの感情移入を創り、指名買いし続けてもらえる状態を創り出さなければならない。
そして「感情移入」を創るためには「ブランド力を高める10個のブランド提供価値と事例」で解説した通り、以下の価値(=喜び)を提供する必要がある。
- 実利的な喜び
- そのブランドが自分の感性にフィットする喜び
- そのブランドを通して前向きな気分が得られる喜び
- そのブランドを通して自尊心が満たせる喜び
しかし「感性」や「気分」あるいは「どんなことに共鳴するか?」は人によって大きく異なる。
にもかかわらず「オールターゲット」というターゲット設定は、様々なライフスタイルや価値観を持つ人々を一括りにしてしまうため、焦点が絞れなくなる。その結果「誰にでも当てはまるメッセージ」を探すことになり、結果「製品のスペックや技術、あるいは機能を打ち出すしかない」という結論に収束しがちだ。
しかし、スペックや技術、あるいは機能しか打ち出せない製品は、強いブランドを創ることができない。
なぜなら生活者から見たら、機能しか打ち出せていない製品は「その製品の良し-悪し」や「高い-安い」などの合理的な判断基準しか提供されておらず、ブランドへの感情移入につながる「好き-嫌い」や「信じる-信じない」の判断基準が提供されていないからだ。
結果、ブランドに対する感情移入を創ることができず、なにも残らない単発的な施策に終わってしまうのだ。
間違ったターゲット設定-2:「性・年齢のみのターゲット設定」
2番目は、最も頻繁にみられる「ターゲット設定:性・年齢のみ」のケースだ。あなたのブランドも、ターゲットを「性・年齢」だけで設定しているのではないだろうか?
「性・年齢」のみのターゲティングは、様々な弊害を生み出す。その理由を、ターゲット設定でよくありがちな「20代~30代前半の若い女性」の例で解説しよう。
まずは「20代~30代前半の若い女性」の内訳を考えてみよう。例えば「20代~30代前半の若い女性」を職業別に分類すると、以下のような人たちが存在する。
- 大学生
- 独身OL
- DINKS
- 小さな子供を持つ母親-専業主婦
- DEWKKS-小さな子供がいる共稼ぎの母親
こうして見ると「20代~30代前半の若い女性」の中にも、様々なライフスタイル・生活様式・価値観を持った人たちが混在しており、必ずしも一括りにできないことに気が付くはずだ。
「性・年代で分類してターゲット設定する」ということは「性・年代で似たようなニーズが存在する」ことが前提となる。
しかし上記の「20代~30代前半の若い女性」の例を見てもわかる通り、同じ姓・年代でも「自分で稼いでいるかどうか?」「結婚しているかどうか?」「子供がいるかどうか?」などで、価値観も行動様式も大きく変わる。だとすれば、生活ニーズやブランドを選ぶ際の基準も大きく変わる。
にもかかわらず、強引に「性・年代」で一括りにターゲット設定してしまうと「オールターゲット」の時と同じように「個々の部門が勝手に重点ターゲットを設定し足並みが揃わない」「カタログスペック的なメッセージばかりで、いつまでたっても感情移入が起きない」などの弊害が起きる。
何度も繰り返すが「ターゲット設定」は、マーケティングの起点となるため、ターゲット設定を間違えばその後の施策はすべて間違うことになる。
ターゲティング戦略の視点
ここまでお読みになって「ターゲット設定を広く取る」ことの弊害はご理解いただけたと思う。続いて「マーケティングでターゲットを絞り、明確にするのはなぜなのか」について、以下の3つの視点から解説を加えていこう。
- ROI(投資とリターン)の視点
- 競争戦略上の視点
- 販売促進の視点
ターゲティング戦略の視点-1:ROI(投資とリターン)の視点
突然の質問で恐縮だが「ビジネスの目的」とは、いったいなんだろうか?
k_birdの実務経験に照らすと、多くのマーケティング担当者は「売り上げの拡大」あるいは「シェアの拡大」と答えることが多い。
もちろんマーケティング実務に携わる担当者からすればそれが正解の「1つ」ではあるのだが、一歩高い「ビジネスの視座」で考えてみてほしい。
ビジネスの視座で考えれば、最も重要なのは「売り上げを拡大すること」や「シェアを拡大すること」ではなく「利益」を増やすことだ。
なぜなら、例えあなたのブランドの売り上げやシェアが2倍になったとしても、利益がゼロなら社員の給料は減ることになり、ブランドへの再投資もおぼつかなくなる。
つまりブランディングもマーケティングも、長期にわたって継続し、成果を出し続けていくには「利益をあげる」ことが前提となるのだ。
すると「ビジネスの目的は何か?」という冒頭の質問に対する答えは「利益の増加」ということになる。そしてブランディングやマーケティングもビジネス活動の一環である以上、その最終目的は「利益の増加」だ。
では「利益を増加」させるには何が必要だろうか?
利益を増加させるには「売り上げを上げる」ことと「コストを下げる」ことの両立が必要となる。つまり「効果」の視点だけでなく、売り上げを上げるための「効率」の視点も必要不可欠だ。
そして、効率とはROIのことだ。ROIの観点で見た場合、ターゲティング戦略に必要な考え方は以下の通りだ。
「最小のブランドマーケティング投資で、最大の利益が見込めるターゲット設定をするには?」
上記の視点に照らせば、ターゲット設定は「なるべく広く取る」のではなく「最も収益性の高いターゲットに絞る」必要があることが、ご理解いただけたと思う。
特にブランディングは「ブランドへの感情移入」を創り、長期に渡って「指名買い」してくれる顧客を増やすことだ。
そのためには「少ない投資でブランドへの感情移入が起き、初回購入に結び付きやすいターゲット」あるいは「少ない投資でブランドへの感情移入が起き、長期に渡ってリピート購入してもらいやすいターゲット」を徹底的に見極め、そのターゲットにマーケティング予算をフォーカスさせていく必要がある。
マーケティング予算は、無尽蔵にあるわけではない。限られた予算を最も効果的かつ「効率的」に使うためには「広大な砂漠に水を撒いて終わる」のではなく「ターゲットを絞りフォーカスする」ほうが、ROIの観点から見て賢いブランド戦略であることがご理解いただけると思う。
ターゲティング戦略の視点-2:競争戦略上の視点
当たり前のことながら、あなたのブランドには競合ブランドが存在する。そして、競合ブランドとの競争に打ち勝つ上でも「ターゲットを絞る」ことは重要な要素となる。
競争戦略上、絞ったターゲティングをするべき理由は、大きく分けて2つの視点が存在する。
- 「投入資源」の視点
- 「生活者側の選択基準」の視点
以下、一つ一つ解説しよう。
「投入資源」の視点
あなたのブランドには、どのような競合ブランドが存在するだろうか?
もし、あなたのブランドが2番手以下のブランドなら、競争戦略上「ターゲットを絞る」ことは必須となる。
先ほどの「20代~30代前半の若い女性」の例を思い出してほしい。
仮に「20代~30代前半の若い女性」をを攻略するための予算が3億円だったとしよう。その傍らでトップシェアブランドが同じ「20代~30代前半の若い女性」に対して10億円の予算で施策を展開してきた場合、あなたのブランドはどうなるだろうか?
ライバルであるトップシェアブランドの予算は、あなたのブランドの3.3倍だ。
残念ながら、あなたのブランドの施策は、ライバルブランドの3.3倍の予算にかき消されて、ほとんど実効性を持たなくなるだろう。
一方で「20代~30代前半の若い女性」の中にも、以下の5つの分類があったことを思い出してほしい。
- 大学生
- 独身OL
- DINKS
- 小さな子供を持つ母親-専業主婦
- DEWKS-小さな子供がいる共稼ぎの母親
もしあなたのブランドの強みが活かせて、かつ最も収益性が高そうなターゲットとして「独身OL」に絞ってターゲット設定した場合、どうなるだろうか?
トップシェアブランドの予算は「20代~30代前半の若い女性」に対して10億円だ。単純計算すれば「独身OL」に対して振り向けられた予算は「10億円÷5分類」の2億円となる。
一方であなたのブランドは「独身OL」にターゲットを絞って3億円の予算を投入している。
結果「独身OL市場」の中で、あなたのブランドはトップシェアブランドにかき消されることなく、むしろ予算比で1.65倍、有利に戦えることになる。
その結果、独身OLはトップシェアブランドよりあなたのブランドの方に感情移入し、トライアル購入やリピート購入に結び付きやすくなるというシナリオが描けるようになる。
さらに「独身OL市場」を盤石に固めたら、徐々に周辺市場へ進出し、トップシェアブランドを切り崩していくという長期シナリオも描けるようになるだろう。
あなたのブランドには、必ずライバルが存在する。競争戦略上の視点からも「ターゲットを広く取る」より「ターゲットを絞る」方が実効性の高いブランド戦略になりやすいのだ。
「生活者側の選択基準」の視点
続いて、生活者側の選択基準の視点について解説しよう。まずは以下の図をご覧になってほしい。
今ここに、2つの消費者セグメントが存在すると仮定しよう。「黒い服を欲しがっている女性達」と「白い服を欲しがっている女性達」だ。
もしあなたがマーケティング担当者ならどう考えるだろうか?
あなたなら、当然以下のように考えるはずだ。
- 黒い服を欲しがっている女性のセグメントには、黒い服を提供するべき…。
- 白い服を欲しがっている女性のセグメントには、白い服を提供するべき…。
上記は自然な発想だ。なぜなら、ニーズに見合った価値を提供することは、マーケティングの基本中の基本だからだ。
しかしマーケティングの現場では、必ずしも上記の「当たり前」が通らないことがある。あなたは以下のような考えを持ったり、あるいは遭遇したことがないだろうか?
できるだけターゲットを幅広く取りたい…。「黒派」も「白派」もカバーできる方法はないか?
あなたがマーケティング担当者なら、何らかの形でブランドの売り上げ責任を背負わされていることと思う。その責任の重さから、ついつい「ターゲットをなるべく広く取ったほうが、売り上げが上がりそうな気がする」という「錯覚」に陥りやすい。
さらに、なるべくターゲットを広く取ったほうが、買ってくれる顧客層も広くなり、モノの生産効率や広告宣伝の効率も上がるはずだ…。
その背景にあるのは「ターゲットを絞る=販売機会が減る」という、恐怖感にも似た感情だ。
上記の発想に支配されたあなたは、以下の図のような発想に陥ってしまう。
グレーの服なら「黒派の女性達」にも「白派の女性達」もカバーできるのではないか…。
こうして図解されると、あなたは「そんなバカな!」と思うかもしれない。しかしこと日本企業においては上記のような現象が頻発しているのが現状だ。特に家電業界では「あらゆる人たちのあらゆるニーズに応えるために、あらゆる機能を盛り込む」という商品開発がいまだ続いている。
しかしその結果、下図のような状態に陥る。
「黒い服が欲しい女性達」にとって、欲しいのは「黒い服」であって「グレーの服」ではない。そして「白い服が欲しい女性達」にとって、やはり欲しいのは「白い服」であって「グレーの服」ではない。
そして当然のことながら「黒い服が欲しい女性達」に対しては「黒い服の魅力を磨いた強いブランド」が存在する。
「白い服が欲しい女性達」に対しても「白い服に強みを発揮したブランド」が存在する。
結果、両得を目指して「グレーの服」を持ち込んだあなたのブランドがどうなるかは、解説の必要もないはずだ。
ターゲティング戦略の視点-3:販売促進の視点
続いては、販売促進の視点だ。
冒頭で述べた通り、多くのマーケティング担当者は「ターゲットを絞る=販売機会が減る」という恐怖感に陥りがちだ。しかしその発想には抜け落ちている視点がある。「トライアル購入率」と「リピート購入率」という視点だ。
まずは以下の公式を見てほしい。
売上=ターゲットリーチ×トライアル購入率×リピート購入率
「ターゲットを絞る=販売機会が減る」と考えているマーケティング担当者は「ターゲットリーチ」という一面しか見ていない。
しかしブランディングやマーケティングの目的が利益である以上、ターゲットリーチだけでなく、トライアル購入やリピート購入に結び付いて、初めて成果と言える。
「ターゲットを絞る」という考え方は、限られたターゲットに対してマーケティング予算を集中させることで「トライアル購入率」と「リピート購入率」を引き上げる取り組みだ。
「広くターゲットを取る」ことを重視した場合、限られた予算の中ではどうしても「浅く広く」となりがちだ。その結果、浅く広くリーチは取れても密度が薄くなるため、肝心の「トライアル購入」や「リピート購入」につながらない。
一方で最も収益が見込めるターゲットにマーケティング予算を集中させれば、有望なターゲットに対して「密度」を厚くことができ、その分「トライアル購入」につながりやすくなる。
更に「有望なターゲットに」「密度を濃くして」獲得したトライアル顧客は、ブランドに対する理解や感情移入の度合いが強いため、リピート購入にも結び付きやすい。
このように考えていくと「ターゲットを絞る=販売機会が減る」という考え方は「ターゲットリーチ」のみに着目し「顧客化」を無視した一面的な考え方であり、合理的でないことがわかるはずだ。
コアターゲットの決め方|ターゲティングのフレームワーク
ここからは、コアターゲットを決める際に役に立つ「ターゲティングのフレームワーク」について解説しよう。ターゲットの決め方に関するフレームワークだ。
- 有効な市場規模(Realistic Scale):十分な市場規模があるターゲットか?
- 競合状況(Rival):強い競合ブランドが存在しないターゲットか?
- 成長性(Rate of Growth):これからニーズが増えそうなターゲットか?
- 波及効果(Ripple Effect):口コミ波及の発信源となるターゲットか?
- 到達可能性(Reach):チャネルやメディアを通じて到達可能なターゲットか?
- 測定可能性(Response):アクションに対する効果が測定可能なターゲットか?
ターゲティングのフレームワーク-1:有効な市場規模(Realistic Scale)を見極める
どんなに優れたブランドを開発し、絞ったターゲット設定を行ったとしても、そのブランドに費やすコストを上回るだけの売り上げや利益を上げられなければ持続可能なブランディング活動にはならない。
一般に、ブランドの売上は以下の要素に分解できる
- 自社ブランドの売上高=ターゲットセグメントの市場規模×自社ブランドのシェア
- 自社ブランドの売上高=自社ブランドの購入者数×購入頻度×客単価
ぜひターゲット設定をする際には、情報を収集した上で上記の公式に当てはめ、シミュレーションをしてみよう。仮に正確な情報が取れなくても、上記公式に当てはめた手計算を行えば「このターゲット設定は現実的だ」「いやいや現実的でない」などの初期判断に役立つはずだ。
ターゲティングのフレームワーク-2:競合状況(Rival)を見極める
ターゲットを設定する際には、できるだけ強い競合ブランドが存在せず、かつ、競合ブランドの数が少ないほうが、いわゆる「穴場」となる。
競合状況の分析に関しては、以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてほしい。
ターゲティングのフレームワーク-2:市場の成長性を見極める
例え今は市場の規模が小さくても、今後成長性が期待できるなら、有望なターゲット市場となりうる。例えば以下のようなターゲット市場は、成長性という観点から将来有望だ。
- シニア市場
- 1人世帯市場
- 働く独身女性市場
- 働くママ市場
ターゲティングのフレームワーク-4:波及効果(Ripple Effect)を見極める
ブランディングやマーケティングの投資効率を鑑みれば、数あるターゲット市場の中でも、周辺へ波及効果の高いターゲットをターゲティングしていくのは効果的だ。
あなたがマーケティング担当者なら、イノベーター理論はご存じのはずだ。各分野のイノベーターは数は少ないものの、その後に普及する一般大衆層へ大きな影響力を持つため、ブランディングやマーケティングの戦略上、非常に重要な役割を果たすことが多い。
特に近年、ブログやSNSの普及により、多くの「フォロワー」を抱えた個人が台頭しており、一般には「インフルエンサー」と呼ばれている。
特に化粧品や健康食品など「商品数が多すぎて自分に合ったものが選びにくい業界」や、IT機器・金融商品など「専門的な知識がなければ自分に合ったものを選びにくい業界」ほど、あなたのブランドの良さを理解し、フォロワーにお薦めしてくれるイノベーターやインフルエンサーを味方につけることは重要となる。
ターゲティングのフレームワーク-5:到達可能性(Reach)を見極める
例えどんなに市場規模が大きく、ライバルが少なく、成長性や波及効果があったとしても、そのターゲット層に販売チャネルや広告・コンテンツメディアで到達できなければ、そもそもマーケティング活動自体が成り立たないか、極めて非効率なものとなる。
例えば、k_birdが経験したことがあるのは、以下のようなターゲット市場だ。
- 左利き市場
- 双子市場
それなりの市場規模があり、ライバルも少なそうだがリーチ手段も少なく、ブランディングやマーケティング活動が難航を極めることは、あなたにも想像がつくだろう。
ターゲット設定のフレームワーク-6:測定可能性(Response)見極める
前述した「到達可能性」にも通じるが、そもそも測定できないものは管理できない。そして管理できないものは、改善することができない。
ターゲットを設定する際には、中長期的なKPIやPDCAも見越して、戦略や戦術の効果が測定可能かどうかも念頭に置いておこう。
ターゲティングの事例
ここまでは「ターゲットを絞る」上で有益な「6R」について解説してきた。最後に、より理解を深めるために、優れたターゲティングで成功した事例を3つほど紹介しよう。
ターゲティングの事例-1:外資系自動車保険会社
あなたは「リスク細分化保険」のことをご存じだろうか?
リスク細分化保険とは、ドライバーの属性や過去の事故データ、所有している車の種類などをリスク(危険度)に応じて細分化し、その上でリスクの少ないドライバーの保険料は安く、リスクの高いドライバーには高い保険料を負担してもらおうというコンセプトの自動車保険のことだ。
日本では1997年よりリスク細分型自動車保険が認可されている。その際に外資系の損害保険会社が行ったのが「事故リスクが低いドライバー」に絞ったターゲティングだ。
外資系損害保険会社から見れば「事故リスクが低いドライバー」とは「保険金というコストを支払わなければならなくなる可能性が低いドライバー」と同義だ。そして事故リスクが低いドライバーにターゲットを絞れば「保険金の支払い」というコスト負担が大幅に減らせるので、保険料も大幅に安く設定することが可能となる。
一方で、国内の大手損害保険会社は、当時「リスク細分化型自動車保険」が認可されて間もないこともあり、保険料は「ドライバーの事故リスクの高低」に関わらず一律に設定されていた。つまり事故リスクの低いドライバーから見れば、自分の事故リスク以上に保険料を高く支払わされていたことになる。
もちろん、国内の大手損害保険会社も「リスク細分型自動車保険」に参入するという手はある。そうなると現在すでに自社と契約している「事故リスクの低いドライバー」の保険料を下げざるを得なくなるため、一時的にせよ収益が悪化するというジレンマに陥る。
一方で、そのまま「事故リスクが低いドライバー」が外資系自動車保険会社の草刈り場となれば、国内大手損害保険会社に残る顧客は「相対的に事故リスクが高いドライバーだけ」となる。しかし前述したように、当時の保険料は事故リスクに関わらず一律に近い状態だったことを踏まえると「相対的に低い保険料で自己リスクの高いドライバーを抱える」状態となるため、国内大手損害保険会社の収益性は一気に悪化する。
ここまでお読みになれば、当時の外資系自動車保険会社の「事故リスクが低いドライバーだけをターゲティングする」という戦略が、いかに秀逸だったかがご理解いただけるだろう。
ターゲティングの事例-2:リクルート
もしあなたが30代以下なら、新卒就活時には「リクナビ」にお世話になったことだろう。
就職活動をする大学生の多くはリクナビに登録していると言われ、全国で合同企業説明会などのイベントも開催している。また、リクナビでしかエントリーを受け付けない企業も存在し、それが高い登録率の要因となっている。
リクナビが展開しているターゲティング戦略は、マーケティングの世界でいわれる「ポイント・オブ・エントリー戦略」だ。「ポイント・オブ・エントリー戦略」とは、いわば「ライフステージの入口を押さえる」戦略を指す。
新卒の就職活動は「社会人の入り口」となる。そしてほとんどの学生は「リクナビ」の門をくぐるため、リクルートに対して身近に感じるようになる。
さらにその「入口」をくぐった後、多くの人はライフステージごとに「転職活動」や「結婚」あるいは「住宅購入」などを行うことになるが、そのライフステージごとに「リクナビキャリア」「ゼクシィ」「SUUMO」が用意されている。
リクルートは、いわば「人の人生」を一つのマーケットと捉え「就活生」をターゲティングすることで、他の事業への波及効果を狙った典型例だ。
ターゲティングの事例-3:すき家
あなたは牛丼と言えば「すき家派」だろうか?それとも「吉野家派」だろうか?いやいや「松屋派だ」という方もいらっしゃることだろう。
もしあなたが40代以上なら、過去は「牛丼といえば吉野家」が定番だったことに異論はないだろう。しかし現在では「すき家」が「吉野家」を店舗数で圧倒しているのが現状だ。
吉野家は「都心のサラリーマンが急いでかっ込む」イメージ通り、メインのターゲットは「営業活動中のサラリーマン」となる。一方ですき家は「家族で仲良く食べる」TVCMのイメージ通り、メインターゲットは「郊外のファミリー」だ。
そしてすき家は「出店余地の多さ」「地代家賃の安さ」という「郊外の利」を活かして出店を加速し、現在では店舗数において吉野家を圧倒している。結果、多くのファミリーは吉野家よりすき家の店舗を多く目にすることになり「牛丼といえばすき家」というブランド連想を抱く人たちは増えていく。
さらに、都心にある吉野家と比べて郊外にあるすき家は相対的に地代家賃のコストが低く抑えられるため、浮いたコストをTVCMなどの広告宣伝費に充てることができる。結果、広告宣伝においても多く目にするのは「吉野家」よりも「すき家」となり、ますます「牛丼といえばすき家派」は増えていく。
一般に、ブランドの純粋想起(牛丼といえば…で思い出すブランド)とシェアは相関するとされる。
牛丼業界と言えば、過去に「価格競争」が注目されたが「すき家」の成功要因はターゲティングに負うところが大きいというのがk_birdの見解だ。
マーケティング理論が理解できる本:おすすめ書籍:3冊
締めくくりに、マーケティング・ブランディング担当者へのお薦めマーケティング戦略本を紹介しよう。選定した基準は下記の通りだ。以下のどれかに当てはまるものをピックアップした。
- k_birdが実際に読み、単純に「素晴らしかった」と思えるマーケティング本。
- 実際に「思考の範囲を広げる」あるいは「知恵を見出す思考能力を鍛える」ことに役立っているマーケティング本。
- 長年に渡って読み継がれており、時代を越えても変わらない「本質」や「原理」が見出せるマーケティング本。
もちろん、すべて「なぜ読むべきなのか?」という解説付きだ。
たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング
本書は、P&G、ロート製薬、ロクシタン、スマートニュースで一貫してマーケティング畑を歩いてきた「マーケティングの実務家」が著した書籍だ。
いわゆる「事業会社側」で活躍する現役のマーケッターが、これだけのノウハウとフレームワークを惜しみなく紹介するのは、かなり珍しいことだと言える。
本書の特筆すべき点は、描かれている内容がマーケティングの実務経験に裏付けられているため、極めてリアリティがあり、かつ実践的である点だ。
かと言って、単なる「How To本」ではなく、本書の根底にはマーケティングそのものを成り立たせている本質や哲学が流れている。
もし、本ブログの筆者であるk_birdが「マーケティングとは何か?」と聞かれたら、自信をもって「この本を読め!」と挙げられる書籍であり、素直に「もっと多くのマーケッターに売れて(読んで)欲しい」と思える書籍でもある。
本書は「考え方」の面でも「実務」の面でも「マーケティングの真ん中」を行く書籍だ。
The Art of Marketing マーケティングの技法
部分最適の延長線上に、必ずしも全体最適があるわけではない。
近年では顧客接点が飛躍的に増え、個別の顧客接点の影響力が相対的に下がった以上、マーケティング活動全体の最適化が、ブランドの成功の命運を握る。
本書は、このような環境下でマーケティング活動全体を俯瞰するフレームワーク「パーセプションフローモデル」の作り方を解説した書籍だ。
本書の秀逸な点は、著者のP&G時代の経験・事例をふんだんに盛り込みながらパーセプションフローを解説しているので、極めてイメージしやすく、実践的な点だ。
また、マーケティングの神様といわれるP6Gの「裏側」を知れる点も興味深い。「あのP&Gでも、裏側ではバタバタしながら成功につなげてるんだな」と理解できることは、多くのマーケッターを勇気づけるはずだ。
もしあなたが「1担当者」を越えてマーケティング全体を俯瞰し、パーセプションフローを用いて組織を動かしていきたいなら、本書は必ず読んでおくべき書籍だ。
USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門
本書の執筆者である森岡 毅氏は、P&Gジャパンでヴィダル・サスーンのブランドマネージャーを勤めた後、P&G世界本社でパンテーンのブランドマネージャーを歴任した凄腕のマーケッターだ。
また、森岡氏は経営難に陥っていたUSJのCMOとして乗り込み、劇的にV字回復差せたことで知られる。そんな森岡氏が、USJのV字回復の軌跡を「マーケティング理論に当てはめて」執筆したのが本書だ。
アマゾンのレビューを見れば納得頂けると思うが、本書は単なるUSJのマーケティング事例本ではない。STPやマーケティングミックスなどのフレームワークを「そもそも論」から解説した上で、更にそれらを「実践に活かす方法」にまで落とし込んで解説しているマーケティングの名著であり、人気のベストセラー書籍だ。
「成功を引き寄せるマーケティング入門」というサブタイトルにもある通り実務上の示唆も多く、あらゆるマーケティング担当者が読むべき必読の入門書と言えるだろう。
このブログから書籍化した本4冊
★ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」
冒頭でも紹介したが、再度ここでも紹介させていただこう。
ブランディングは、ややもすれば「デザインの話」「広告の話」「世界観の話」など、掴みどころのない抽象論に陥りがちだ。
しかしブランディングは「ブランド戦略」という言葉があるように、企業の成否を大きく左右する戦略のひとつだ。そして投資が伴う以上、一定の合理性と説明責任が求められる。決して、売上や利益から逃げてはならないのだ。
本書は、つい「感覚論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。
「論理」が理解できなければ、ブランディングを体系的に理解することできず、再現性を生むことができない。
そして「直感的な腹落ち感」がなければ、ブランディングを実務に落とせず、成果をもたらすことができない。
本書は、広告代理店&外資系コンサルティングファームで培った「生の知見」と「体系的な解説」を通して、ブランディングの理論を実践へとつなげて解説している。
おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー1位を獲得し、Amazonレビューでも、
- 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
- 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
- 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」
など、ありがたい言葉を頂いている。
もし本書を手にとって頂ければ、ブランディングの専門用語はもちろん、実践の手順や実務の勘所が、一通り学べるはずだ。
kindle Unlimitedを契約されている方は無償で手に入れることができるので、気軽に手に取っていただきたい。
★「シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説
あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。
なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。
しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考のメリットは説くものの、肝心の「仮説思考のマスターの仕方」になると、
- 「センスが必要」
- 「経験の積み重ねが物を言う」
など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせているものが多い。
しかし本書は「仮説思考に必要な推論の手順」を、豊富な事例とともに解説している。よって、その手順通りに推論を重ねれば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。
おかげさまで本書は5版を重ね「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただいた。NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、中国や台湾、香港でも出版が決定している。
さらにAmazonレビューでも、
- 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
- 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
- 「一生もののスキルになるのは間違いない」
など有難い言葉を頂戴しており、5刷を重ねている。
もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。
★ロジカルシンキングでは学べない「視点力」と「法則力」を身につける※無料のオーディオブック特典付
例え同じ本を読んだとしても、そこから得られる「学びの量」は、人によって何倍も変わる。そして、人は学びを通してしか成長できない以上、その差はやがて、あなたの職業人生すら大きく変えてしまうことになる。
同じ本を読んでいるはずなのに、人によって「得られる学びの量」が何倍も変わってしまう。この差は、いったい何から生まれるのだろうか?
それは、1冊の本から「知識」を得ようとするか「知識の"運用能力"」を得ようとするかの差だ。
多くの読書術の本は「多読」「速読」など「いかに効率的に知識を得るか?」をテーマにしている。しかし、どんなに効率的に知識を得たとしても、ただそれだけでは「知識の暗記」止まりになる。得られる学びはごくわずかだ。
一方で、読書を通して「知識の"運用能力"」を身につけることができれば「たった1つの知識」を複数の分野に応用し、何倍もの成果を生み出すことが可能になる。
本書「読書の方程式」は、ビジネス書を通して「どう知識の"運用能力"を身につけるか?」を解説した書籍だ。そのポイントは、ビジネス書から学び取る「視点」「法則」そして「抽象化」にある。
おかげさまで、本書は日経やThe21、STUDY HACKERなど多くのメディアに取り上げていただき、発売3か月で海外の翻訳出版も決定した。Amazonレビューでも、
- 「こんな風に自分を成長させる読み方があったのか!」
- 「読書術の本では、これまでで最も良い本」
- 「読書の概念が変わった」
など、ありがたい言葉を頂戴している。
もしあなたが「知識の"運用能力"」を身につけ、1つの事実から得られる「学びの量」を何倍にもしたいなら、ぜひ本書で紹介する読書法を実践して欲しい。
※無料のオーディオブック特典付
★8ジャンル57個の仕事術で「実践力」を身につける
どのようなビジネスも、実践が伴わなければ成果は出ない。しかし、いざ「実践力」を身につけようとしても、その分野は、
- 時間管理術
- 段取り術
- コミュニケーション術
- 資料作成術
- 会議術
- 学び術
- 思考術
- 発想術
など多分野に渡り、最低8冊分の読書時間と書籍代がかかってしまうのが難点だ。
しかし、本書「超効率ハック」は、8つの分野の仕事術の「重要ポイントだけ」を抜き出し、ギュッと1冊に凝縮した書籍だ。
さらに、本書は「訓練や習慣化が必要な作業テクニック」ではなく「行動を変えるための頭の使い方」の解説に力を入れているため「頭のスイッチを切り替える」だけですぐに実践できるのも特色だ。
おかげさまで、本書を題材にしたSchooのオンライン授業では「思考法ジャンル」で人気ランキング1位を頂いた(139講座中)。また、lifehackerやOggiなど数多くのメディアで取り上げていただき、Kindleでは「オペレーションズ部門」でベストセラー1位を獲得している。
Amazonレビューでも、
- 「思考と行動の質を上げるヒントが盛りだくさん」
- 「読んでみると、頑張りどころを間違えてたことに気付かされる」
- 「仕事が速い人はこれをやってたんだな、ということがよくわかった」
など、ありがたい言葉を頂戴しており嬉しい限りだ。
もしあなたが「短時間で網羅的に仕事術を学びたい」「根本から仕事の生産性を高めたい」と感じているのなら、ぜひ手に取ってみて欲しい。
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★思考力が身につくおすすめ記事
★ビジネススキルが身につくおすすめ記事
★ブランディング・マーケティングの知識が身につくおすすめ記事
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★17のビジネス分野別おすすめ書籍
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★ビジネススキルが身につくおすすめ書籍
★ブランディング・マーケティングの知識が身につくおすすめ書籍
終わりに
今後も、折に触れて「ロジカルで、かつ、直感的にわかる解説」を続けていくつもりだ。
しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。
それでも、このブログに主旨に共感し、何かしらのヒントを得たいと思ってもらえるなら、ぜひこのブログに読者登録やTwitter、facebook登録をしてほしい。
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