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思考力とは|考える力を高める頭の使い方の手順|具体例有

思考力とは|論理的思考力と多面思考力を鍛える【頭の使い方】の手順

このページに辿り着いたあなたなら「思考力とは何か?」あるいは「考える力を高めたい」と感じていることだろう。

このブログ「Mission Driven Brand」は、外資系コンサルティングと広告代理店のキャリアを持つ筆者が、ビジネスの「できない、わからない」を解決するブログだ。

思考力とは「知識(インプット)」を「知恵(アウトプット)」に変換する力のこと指す。

コンサルティング業界や広告業界は「決まった売り物」が存在しない。そのため「思考力」を総動員して論理や発想を導き出し、常に高い価値を提供し続けなければ報酬を得られない。つまり1人1人が「なるべく早く」「なるべく高いレベルで」考える力を鍛えることが生命線となるビジネスだ。

「コンサルティング業界」や「広告業界」と聞くと「長時間労働」や「過酷な努力」が必要だと思われるかもしれない。しかし、両方の業界に身を置いた者として「実はそうではない」と断言できる。

なぜなら「思考力」とは「根性論」ではなく「方法論」で高めていけるものからだ。

思考力が「方法論」で高めていける以上、そこには再現性が存在する。つまり「頭の使い方」を理解し「考える手順」を身につけてしまえば「誰でも」「過酷な努力は必要なしに」思考力を高めることが可能だ。

今回は外資系コンサルティングファームや広告代理店で得られた知見をまとめ、誰でも高い思考力が高められる「頭の使い方の手順」を解説しよう。その内容は以下の通りだ。

  • 思考力とは何か?
  • 思考力の2つの種類
  • 思考力を高める頭の使い方の具体手順

情報や知識は「目に見えるもの」だ。そして短時間で簡単に手に入る。しかし短時間で得られる競争力は、短時間で真似される競争力でしかない。

一方で「思考力」は「目に見えないもの」であり、いったん身につければ、簡単には真似できない長期的な競争力になる。ぜひ今回の解説を、あなたの「持続可能な競争力」に結び付けて欲しい。

また、この記事の最後には、記事内で紹介した図版のスライド資料を用意しているので、ぜひ復習時に活用頂きたい。

シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説

本論に入る前に、僭越ながら拙著「推論の技術」を紹介させていただこう。

あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。

なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。

まさに、この記事のテーマである「思考力」こそがカギを握るといえるだろう。

しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考の重要性は説くものの、肝心の「仮説思考の身につけ方」になると、

  • 「センスが必要」
  • 「経験の積み重ねが物を言う」

など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせている書籍が多い。

しかし本書は、外資系コンサルティングファームと広告代理店を経験した筆者が「仮説思考に必要な頭の使い方の手順」を、豊富な事例とともに徹底解説している。よって、その手順通りに頭を使えば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。

おかげさまで本書は6版を重ね「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただいた。NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、中国や台湾、香港でも出版が決定している。

さらにAmazonレビューでも、

  • 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
  • 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
  • 「一生もののスキルになるのは間違いない」

など有難い言葉を頂戴している。

もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。

思考力とは何か?思考力の意味

あなたは「思考力とは何か?」と聞かれて、どのように答えるだろうか?このブログの執筆者であるk_birdは「思考力」の意味を以下のように定義している。

「思考力」とは何か

「知識(インプット)」を「知恵(アウトプット)」に変換する力

スキルアップのために、知識をインプットしようとする人は多い。しかし「知識」は、ただそれだけでは「過去の先人からの借り物」に過ぎない。また、時間が経つにつれ流通し、古くなっていくものだ。

一方で「知恵」は「未来に向けてアウトプットする」ものだ。あなたが生み出した「知恵」はあなた独自の財産となる。そのため簡単には流通しにくく、古くならない。

そして「思考」とは、知識をインプットし「知恵」というアウトプットに変換するプロセスと捉えることができる。

世の中には「何をやらせても優秀」な人たちが存在する。その人たちが優秀なのは、例え知識は一夜漬けでも、高い思考力を通して「優れた知恵」へ変換する能力を備えているからだ。

よって今回の解説では「思考力とは、知識を知恵に変換する能力」と定義して話を進めよう。

思考力の種類:「多面的に考える力」と「論理的に考える力」

思考力には、大きくわけて2つの種類が存在する。「物事を多面的に考える力」と「論理の筋道を考える力」だ。それぞれ「多面的思考」「論理的思考」と呼ばれる。

多面的思考と論理的思考の関係は下記の図の通りだ。

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多面的思考力とは:物事を多面的に考える力

多面的思考力とは、自由自在に「視点」や「視野」「視座」を切り替えて、物事を多面的に捉えることによって様々な切り口を考える力だ。

「どこに視点を置くか?」は物事を考える上でのスタートラインであり、論理的な筋道を考える上での「前提」となる。逆を言えば、この「視点」を自由自在に操る多面的思考力が身につけば、常識(=多くの人たちが置いている前提)とは別の視点を持ち込むことで、これまでにない発想やイノベーションを生み出しやすくなる。

多面的思考力は、物事を単純に一つの側面から見るのではなく、その複雑さを考慮に入れつつ多面的に考えることで、当たり前の「常識」に飲み込まれない思考法ともいえる。k_birdの場合、主に広告代理店で培った思考力だ。

論理的思考力とは:物事の筋道を矛盾なく考える力

論理的思考力とは、物事の筋道を矛盾なく考える力を指す。別の言い方をすれば「矛盾のなさ」をもとに「誰が見ても妥当な結論」を導き出す思考力ともいえる。k_birdの場合、主に外資系コンサルティングファームで培った思考力だ。

論理的思考力と言えば「論理の正しさ」や「結論の納得性」など「論理の筋道」に目が行きがちだ。しかし物事を論理的に考える際には、必ず「前提」が必要となる。

例えば「AだからB、BだからC、CだからE」という論理の筋道を辿る場合、そもそも「A」という前提がなければ「AだからB、BだからC」という論理の筋道はなり立たない。

だとすれば、適切な「前提(=A)」を置くには、数多くある視点の中から最も適切な視点を選ぶ「多面的思考力」が必須であることに注意が必要だ。

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思考力の高め方|考える力を鍛える手順

思考力の高め方-1:「多面的思考力」を鍛える頭の使い方の手順

まずは、あらゆる思考の出発点となる「多面的思考力」を高める手順について解説しよう。多面的思考の手順は、次の通りだ。

  1. 物事を客観視する
  2. 物事を俯瞰で考える
  3. 物事を抽象化して考える
  4. 法則をストックする
  5. 具体に落とす

以下、順を追ってわかりやすく解説しよう。

多面的思考力を鍛える頭の使い方の手順-1:物事を客観視する

「物事を客観視する」とは、自分の先入観を排除し「自分と違う考え方もある」ことを受け入れて考える力を指す。

例を挙げて説明しよう。

例えば「女性は齢をとることをポジティブに楽しむべきだ」という価値観があるとしよう。仮にあなたが「女性は齢をとることはイヤに決まってる」という考えを持っていたとしても「自分とは違う考え方もある」といったんは受け入れることが「客観視」できている状態だ。

客観の反対は主観だが、主観はあなたの視野を狭くする。なぜなら主観的な「決めつけ」や「思い込み」は、多面的に考えるきっかけを妨げるからだ。

逆を言えば「あなたと異なる意見」は「あなたが知らなかった世界との出会い」でもある。いったんは受け入れてみることができれば、あなたの視点や視野は格段に広がるはずだ。

もしあなたが多面的思考を鍛えたいなら、自分の経験や価値観、あるいは立場を忘れるトレーニングをしてみよう。そして他人の考えを「いったんは受け入れてみる」という感覚が身につけば、あなたは自分になかった「広い視野」や「多面的な視点」を手に入れることができるはずだ。

多面的思考力を鍛える頭の使い方の手順-2:物事を俯瞰で考える

物事を客観視できるようになったら、次は「物事を俯瞰で考える」思考力をトレーニングしよう。

「物事を俯瞰で考える」とは「個別具体的な物事」や「例外」をいったんは脇に置き「全体的な傾向」や「大局的な流れ」を捉えることを指す。

例えば、先ほどの例のように「女性は齢をとることをポジティブに楽しむべきだ」という価値観の場合、これを俯瞰で考えると以下のようになる。

  • 物事を「全体の構図」として捉える:
    齢をとることに肯定的な女性も否定的な女性も、どちらも一定の割合で存在する。
  • 物事を「大局的な流れ」として捉える:
    最近は齢をとることをポジティブに捉え、楽しもうとする女性が増えつつある。

もしあなたが俯瞰的に物事を捉えるのが苦手だと感じているなら、意識して視座(=立場)を高めて物事を考えるトレーニングをしてみよう。そうすれば、あなたは俯瞰的な立場から「全体」を見通すことができるようになるはずだ。

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多面的思考力を鍛える頭の使い方の手順-3:物事を抽象化して考える

物事を俯瞰的に考える力が身に付いたら、次は「物事を抽象化して考える」思考力をトレーニングするステップだ。

「物事を抽象化して考える」とは、目の前の具体的な物事を手掛かりにしながらも、それに囚われることなく、より一般的な形で理解していくことを指す。

「具体的な物事」は、そのまま具体的に考えようとすると個別に対応する必要が生じてしまい「もぐらたたき状態」となりがちだ。

一方で「物事を抽象化して考える」場合、個別の具体的な事情はいったんは棚上げして考えるため、見かけのものに惑わされずに「本質・原理レベルの視点」を獲得できるようになる。

別の言い方をすれば「抽象化」というステップを踏めば、個々のケースにしか当てはまらない「狭い視点」を越えて、より「応用範囲の広い視点」を獲得できるということでもある。

例えば先ほどの例である、

  • 齢をとることに肯定的な女性も否定的な女性も、どちらも一定の割合で存在する。
  • 最近は齢をとることをポジティブに捉え、楽しもうとする女性が増えつつある。

という状態は「加齢をに抗うことに疲れた女性たちが、少しずつ加齢をポジティブに捉えるようになってきたのでは?」と考えることができる。しかしこれはまだ具体的なケースなので「狭い視点」であり、この例でしか当てはまらない。

これを「抽象化」して考えると、以下のようになる。

物事を抽象化して考える

  • 加齢に抗おうとする機運:ある方向性を持った「作用」が働いている
  • 加齢をポジティブに捉える逆の機運:上記とは反対の「反作用」が働いている
  • 本質・原理レベルの「法則」:
    物事には「作用-反作用のメカニズム」が存在する。そして「作用」があるところには「反作用」が現れやすい。

このように、物事を抽象化して考えれば「作用があるところには、反作用が生まれやすい」などの、より「本質・原理レベル」の「法則」を獲得できるようになる。

これは、別の言い方をすれば「他の分野にも当てはめて応用できる視点」を獲得したことと同じだ。

もしあなたが物事を抽象化し、様々な「法則」を手に入れることができれば、別の分野に当てはめて応用できるようになる。別の言い方をすれば、幅広い範囲で「優れた知恵」を生み出すことができるようになるのだ。

多面的思考力を鍛える頭の使い方の手順-4:法則をストックする

物事を抽象化して考える習慣が身についたら、続いては「法則をストックする」ステップだ。

「多面的思考を高めるステップ1-3」を繰り返せば、あなたの中に様々な「法則」が増えてくるはずだ。もし「法則」が増えてきたら、それらを忘れずにストックしておこう。

このブログの執筆者であるk_birdも、様々な「法則」を獲得するごとに、メモアプリにストックしている。その例を10個ほど紹介しよう。

多面的思考と「法則」-1:目的と手段

あらゆる物事は「目的」に対して「手段」が存在する。「手段」だけが独立して存在することはありえない。

だとすれば、もし目の前にある物事が「手段」だとしたら「目的」は何か?手段が目的化していないか?

多面的思考と「法則」-2:全体と部分

物事は、必ず「全体」と「部分」で構成されている。今目の前にある物事が「部分」だとすれば「全体」は何か?逆に目の前の物事が「全体」だとすれば、どのような「部分」に分解できるか?

多面的思考と「法則」-3:共通と異質

複数の物事を見比べると「共通している部分」と「異質な部分」が存在する。「共通している部分」には、重要な本質が隠れているのではないか?「異質な部分」はなぜ、どういう意図で「異質」が生み出されているのか?

多面的思考と「法則」-4:仕組みと演出

「仕組み」は継続性を担保する。「演出」は瞬間風速を生み出す。目の前にある物事は「仕組み」だけに偏ってないか?あるいは「演出」だけに偏ってないか?

多面的思考と「法則」-5:物理と概念

物理は、概念の加え方で様相を変える。例えば「ガラスでできた円柱物」は「水を飲む」という概念を加えればコップになり「花を生ける」という概念を加えれば花瓶になる。

今目の前にある物事には、どんな概念を加えればよいか?あるいは別の概念に変えられないか?

多面的思考と「法則」-6:固定と変動

物事には「固定すべき部分」と「変動させるべき部分」が存在する。例えば戦略は一貫性を保つために「固定」すべきだが、戦術はPDCAを回すために、臨機応変に「変動」させるべきだ。

いま目の前にある物事は「固定すべき」物事か?それとも「変動させるべき」物事か?

多面的思考と「法則」-7:独立と関係

今目の前にある物事は、独立して存在しているのか?それとも、見えてないだけで他の要素となんらかの関係があるのか?関係があるとしたら「因果関係」か?「補完関係」か?それとも「対立関係」か?「依存関係」か?

多面的思考と「法則」-8:フローとストック

今目の前にあるものごとは「流れ去る」性質を持つのか?それとも「積み重なる」性質を持つのか?

多面的思考と「法則」-9:有限と無限

今目の前にある物事は、使えば使うほど減ったり、なくなったりする性質を持つのか?それとも、使えば使うほど価値が生まれる性質を持つのか?

多面的思考と「法則」-10:論理とストーリー

今の局面は「論理」で納得感を創る局面なのか?それとも「ストーリー」で共感を生むべき局面なのか?

今回はランダムに10個ほど紹介したが、物事を多面的に考える視点は上記以外にも無数に存在する。もしあなたが数多くの視点をストックできれば、人よりも広く、そして人とは異なる多面的な思考が身につくはずだ。

多面的思考力を鍛える頭の使い方の手順-5:具体に落とす

最後は「具体に落とす」ステップだ。

「具体に落とす」とは「ストックしておいた様々な法則を自分の関心領域に当てはめ具体化し、打ち手につなげる」ことを指す。

ここまでお読みになればあなたもお気づきかもしれないが、ここからは次の項目で解説する「論理的思考」のステップとなる。

もしあなたが日々「法則」をストックし、物事を多面的に考えられるようになっていれば、論理的思考のファーストステップである「気づく力」は格段に向上しているはずだ。

思考力の高め方-2:「論理的思考力」を鍛える頭の使い方の手順

続いては、多くのビジネスパーソンにとって身近な「論理的思考力」を鍛える頭の使い方の手順について解説していこう。論理的思考力を鍛える頭の使い方は次の通りだ。

  1. 物事に気づく
  2. 疑問を持つ
  3. 疑問を「適切な問い」へ展開する
  4. 「問い」の関係を整理する
  5. 仮説を持つ

以下、順を追って解説しよう。

論理的思考力を鍛える頭の使い方の手順-1:「気づく力」を身につける

これだけ情報が溢れている現在では、テレビやインターネットなどを駆使すれば、情報は誰でも等しく手に入れることができる。そして、1日は等しく24時間が与えられている。

にもかかわらず、人によって思考力に何倍・何十倍もの差がつくのは、同じ情報や経験から何に気づき、どう学びに変えられるか?という「気づく力」に負うところが大きい。

ぜひ想像してみて欲しい。何も気づかないまま「ぼーっと過ごす365日」と、毎日のように何かに気づき、そこから「様々な物事を考え続ける365日」では、どれだけ「考える力」に差がつくだろうか?

そもそも、物事に「気づく」ことができなければ「考えるきっかけ」すら掴めない。そして「考えるきっかけ」が掴めなければ、あなたの思考はいつまでも起動しない。その結果「思考が浅い」「考える力がない」という悩みはいつまでも続くことになる。

もしあなたが「思考が浅い」「考える力がない」と悩んでいるなら、まずは思考のスタート地点となる「気づく力」を鍛えることが有効だ。

その際には、以下の7つを意識すると「気づく力」をトレーニングしやすい。

「変化」に気づく力をトレーニングする

以前と今では、一体何が変化しただろうか?社会は?技術は?市場は?競合は?あなたはどんな変化を発見しただろうか?

「差」に気づく力をトレーニングする

自社と競合では、どの部分に、どのような差があるだろうか?ターゲットと非ターゲットでは、どのような差があるだろうか?

「関係」に気づく力をトレーニングする

今、目の前で起きていることは、背後にどのような関係があるのか?因果関係か?補完関係か?それとも依存関係か?

「共通点」に気づく力をトレーニングする

一見「全く関係がない」と思える物事に、意外な「共通点」はないか?

「矛盾」に気づく力をトレーニングする

普段「当たりまえ」だと思っている物事も、つぶさに眺めてみることで「矛盾」を抱えていないか?

「例外」に気づく力をトレーニングする

普段「当たりまえ」だと思っている物事も、つぶさに眺めてみることで「例外」となるケースが存在していないか?存在していたとしたら、なぜ「例外」が存在するのだろうか?

「プロセス」や「連鎖」に気づく力をトレーニングする

今目の前にある物事は、どのようなプロセスを経て目の前に存在しているのか?プロセスを遡っていくことで、意外な何かとつながっていないか?

これらを意識しながら周囲を観察すれば、思考力の起点となる「気づく力」は飛躍的に高まるはずだ。

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論理的思考力を鍛える頭の使い方の手順-2:疑問を持つ

例え「気づく力」が身についたとしても「なぜ差があるのか?」「なぜ変化しているのか?」など「常に疑問を持つ」習慣が持てなければ思考力を鍛えることはできない。

なぜなら「そんなことは当たり前だ」と思っていたり「どうせ仕方がない」と最初から何も疑問を感じない人は、いつまでたっても思考が起動しないからだ。

つまり「変化」や「差」に対して、受け身ではなく「なぜ?」「本当に?」などと建設的に疑いを持つことが、物事を考える際の出発点となる。

特に気を付けたいのは、せっかくあなたが発見した様々な物事を「思い込み」や「決めつけ」で処理し、思考を停止させてしまうことだ。「思い込み」や「決めつけ」は「疑問を持つ」ことを妨げて、考える力の向上を阻害してしまう。

逆に言えば「疑問を持つ」ことは物事を客観的に捉え、いろんな角度から物事を見ようとする頭の動きであり、あなたが考える範囲を広げるきっかけとなる。

日常的な業務や、業界の常識などに対して、いちいち「本当にそうなのか?」「なぜそうなのか?」と疑問を持つことは、一見、無駄で億劫に感じるかもしれない。

しかし「物事に気づけなくなっていないか?」あるいは「思い込みに捕らわれて思考停止になっていないか?」を確認する意味でも「自分にとっての常識」「会社における常識」などについて「なぜ?」「本当に?」と考えてみるトレーニングを積み重ねよう。

「疑問を持つ」ことは、自分の視野を広げるための第一歩だ。

論理的思考力を鍛える頭の使い方の手順-3:「疑問」を「適切な問い」へ展開する

「なぜ売り上げが下がっているのか?」

あなたがビジネスパーソンなら、上記の「疑問」を持つことは、日常茶飯事のはずだ。しかし上記の疑問が持てたとしても、そこで思考が停止してしまい「その先の考え」が思い浮かばないという経験をした方も少なくないはずだ。

「素朴な疑問」は、確かに思考の出発点となりうる。しかし「疑問を持つ」だけでは抽象的すぎて、そこから先の考えが止まってしまうことが少なくない。物事の変化や差に気づき、疑問を持った後に必要なのは「素朴な疑問」を「答えが出せる適切な問い」に展開していく力だ。

素朴な疑問を「答えを出せる適切な問い」として位置づけ直すことができれば、最初に感じた「素朴な疑問」を「次に考えるべきこと」へとつないでいくことができる。

例えば「なぜ売り上げが下がっているのか?」という疑問は、以下のような「答えを出せる適切な問い」に展開できる。

  • 顧客数:顧客数が減っているのか?
  • 平均購入頻度:顧客の平均購入頻度が減っているのか?
  • 購入1回当たり平均客単価:平均客単価が下がっているのか?

「疑問」を「適切な問い」へ展開する

また「平均客単価」は、更に以下の「問い」に展開することが可能だ。

  • 平均商品単価:平均商品単価が下がっているのか?
  • 1回当たり平均購入点数:買い物1回当たりの平均購入点数が減っているのか?

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「適切な問いへ展開する力」を身につけるには「思い浮かんだ疑問」をいくつかの具体的な側面に分解し、小さな「なぜ?」を新たに導き出していく思考力が必要になる。

もしあなたが「思考停止してしまう」という悩みをお持ちなら、

  • 「疑問」を多面的に捉えてみる
  • 「疑問」を複数の「答えを出せる適切な問い」に分解し、論点(イシュー)にする

というトレーニングを繰り返そう。そうすれば「思考が停止する」「その先を考えられない」という悩みは、ぐっと減らせるはずだ。

論理的思考力を鍛える頭の使い方の手順-4:「問い」の関係を整理する

「疑問」を「答えが出せる適切な問い」へと展開できたら、次は「問い同士の関係」を整理しよう。このような思考法を、ロジカルシンキングの世界では「構造化」と呼ぶ。

もしあなたが「論理的思考」や「ロジカルシンキング」の本を読んだことがあるなら「MECE」という言葉はご存知のはずだ。

「MECE」とは「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive(モレなくダブりなく)」の頭文字を取ったもので「問い」を構造化する上で重要な考え方だ。

もし構造化の際に「モレ」が生じると、重要な要素を見落としてしまうリスクが生じる。もし「見落とし」を他人から指摘されたら、あなたは窮を瀕する事態となってしまうだろう。

一方で「ダブり」が生じれば重複作業が生じ、仕事の生産性は著しく下がってしまう。いわば「二度手間」状態だ。

ぜひ、先ほどの「なぜ売り上げが下がっているのか?」の例を参照して欲しい。「モレがなく」「ダブりもない」構造化された状態となっているはずだ。

構造化

もしあなたが「素朴な疑問」を「適切な問い」へ展開する力を高めることができたら、次は「MECEに構造化する」トレーニングをしよう。

そうすればあなたの思考力は、より隙のない強固なものになるはずだ。

論理的思考力を鍛える頭の使い方の手順-5:仮説を持つ

「素朴な疑問」を「答えが出せるて適切な問い」に展開し、さらに「構造化」できたら、1つ1つの「問い」は、かなり具体的になっているはずだ。

例えば、先ほどの図の一番右側に注目してほしい。

「なぜ売り上げが下がっているのか?」という「素朴な疑問」と比べて「問い」は具体的になっていることがわかるはずだ。

どんどん「問い」を展開し具体的にしていったら、あなたは一番右側の問いに対して「きっとこうなんじゃないか?」という想像を働かせ「予想」が立てられるようになるはずだ。この「予想」は、あなたが論理的に考えた「見解」であり、ビジネスの世界では「仮説」と呼ぶ。

ここまでくれば、あなたは「論理的に考え」「論理に裏付けられた見解を持ち」「仮説を導き出すための思考力」を手に入れたことになる。

思考力を鍛える本|思考力をつけるおすすめ書籍3冊

締めくくりに、あなたにおすすめできる「思考力を高める本」を紹介しよう。選定した基準は下記の通りだ。以下のどれかに当てはまるものをピックアップした。

  • k_birdが実際に読み、単純に「素晴らしかった」と思える思考力関連本。
  • 実際に戦略立案実務や事例共有に役立っている思考力関連書籍。
  • 長年に渡って読み継がれており、時代を越えても変わらない「本質」や「原理」が見出せる思考力関連本。

もちろん、すべて「なぜ読むべきなのか?」という解説付きだ。

思考力を鍛える本おすすめ書籍-1:ロジカルシンキング

本書は、ロジカルシンキングを学ぼうと思ったら誰もが通るベストセラーであり「ロジカルシンキングの名著」だ。

著者である照屋氏はマッキンゼーのエディターとして活動した経験を持っており、マッキンゼーを一躍有名にした書籍としても知られる。

本書は「ピラミッドストラクチャー」や「MECE」「So What?/Why So?」など、今では当たり前のように使われるビジネスパーソンの「基本作法」を、日本に普及させた名著と言ってよい。

この書籍は多くのビジネスパーソンにとって「ロジカルシンキングの登竜門」的位置づけと言って良いだろう。もし、あなたが「理解」を越えて「ロジカルシンキングを使いこなしたい」なら、ぜひ一読を勧めたい必読書だ。

思考力を鍛える本おすすめ書籍-2:イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

間違った前提は、間違った結論を生む。

本書が主張しているのは、問題を解く前に、そもそも「何が問題なのか?」を見極めることの重要性だ。

このブログをお読みのあなたなら、ロジカルシンキングの重要性は理解しているはずだ。しかしどんなに優れた「論理」も、そもそもの「前提」が間違っていれば、間違った論理なる。

ロジカルシンキングの本は、どれも「既に正しい前提は見極められている」ことを想定してロジックツリーやピラミッドストラクチャーを解説しているものも多い。しかし重要なので繰り返すが、間違った前提は間違った答えしか生まない。

本書を読めば、正しい前提を見極め、その前提に対し、質の高い解を出していく方法論が得られるはずだ。

思考力を鍛える本おすすめ書籍-3:賢さをつくる

もはや正解が存在しない現在では、ロジカルシンキングを越えて「どのように視座・視野・視点を切り替えて」「物事を捉えるか?」が問われてくる時代だ。

本書は「具体」と「抽象」の往復運動を「頭の良さ」と定義した上で、

  • 個別的(具体)⇔全体的(抽象)
  • 短期的(具体)⇔長期的(抽象)
  • 実用的(具体)⇔本質的(抽象)
  • 五感的(具体)⇔概念的(抽象)
  • 現実的(具体)⇔精神的(抽象)
  • 一面的(具体)⇔多面的(抽象)
  • 手段(具体)⇔目的(抽象)
  • 問題解決力(具体)⇔問題設定力(抽象)

など、具体と抽象を対比させながら「概念化=コンセプチュアルスキル」の重要性と伸ばし方を解説している書籍だ。

ロジカルシンキングは、物事を論理的に深掘りしてくタイプの思考法だ。しかしそれに加えて本書が提示する「具体と抽象を往復する思考法」を身につけることができれば「自由自在に発想を広げる」ことが可能になる。

もしあなたが「論理的思考は得意だが、概念を捉えるのが苦手」と感じているのなら、ぜひ一読をお薦めする。

このブログから書籍化した本4冊

シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説

ここまでお読みのあなたなら、すでに「多面的思考力」や「論理的思考力」の重要性はご理解いただけているはずだ。

そしてこの2つの能力は、突き詰めれば「次の仮説」を立てるために必要な思考力だ。

しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考のメリットは説くものの、肝心の「仮説思考のマスターの仕方」になると、

  • 「センスが必要」
  • 「経験の積み重ねが物を言う」

など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせているものが多い。

一方で、本書は「仮説思考に必要な多面的思考力と論理的思考力」を「推論力」と捉え「推論の手順」を、豊富な事例とともに解説している。よって、その手順通りに推論を重ねれば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。

誤解を恐れずに言えば、あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。

なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。

おかげさまで本書は6版を重ね「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただいた。NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、中国や台湾、香港でも出版が決定している。

さらにAmazonレビューでも、

  • 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
  • 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
  • 「一生もののスキルになるのは間違いない」

など有難い言葉を頂戴しており、5刷を重ねている。

もしあなたが多面的思考力と論理的思考力を駆使してシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。

ロジカルシンキングでは学べない「視点力」と「法則力」を身につける※無料のオーディオブック特典付

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人は誰しも「視点」を通してしか物事を考えることができない。

別の言い方をすれば「そもそも何を考えるべきか?」という論点(=イシュー)は、視点が決めてしまうともいえる。

また、どんなに適切な視点を置いたとしても「ああなれば→こうなるだろう」という「予測のパターン(=法則)」が頭の中になければ、確かな仮説を導き出すことはできない。

本書はビジネス書から「視点」と「法則」を発見し、思考の質とスピードを上げていく独学術を解説した書籍だ。

1つの「視点」しか持てない人は、1つの論点しか設定することができない。当然、導き出せる仮説も1つだけだ。

しかし5つの「視点」を持てれば、5つの論点を設定できるようになる。その結果、5つの仮説を導き出すことができるようになるはずだ。

もしあなたが自由自在に「視点」を操ることができるようになれば、物事の多様な側面に気づき、次々と「新たな可能性」を拓くことができるようになる。

また、数多くの「法則」をストックしていけば、様々な現象に「法則」を当てはめることで「筋の良い仮説」を瞬時に導き出すことが可能になるはずだ。

おかげさまで、本書はThe21や日経、STUDY HACKERなど多くのメディアに取り上げていただき、発売3か月で海外の翻訳出版も決定した。Amazonレビューでも、

  • 視点力や仮説思考、抽象化スキルが身に付く良書
  • これまでの読書術の常識を次々と塗り替えている目からウロコの本
  • まさに「モノの見方を変える方程式」

など、ありがたい言葉を頂戴している。

もしあなたが「フレームワーク」だけでは得られない「視点力」と「思考スピード」を身につけたいなら、ぜひ本書で紹介する読書法を実践して欲しい。

8ジャンル57個の仕事術で「実践力」を身につける

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どのようなビジネスも、実践が伴わなければ成果は出ない。しかし、いざ「実践力」を身につけようとしても、その分野は、

  1. 時間管理術
  2. 段取り術
  3. コミュニケーション術
  4. 資料作成術
  5. 会議術
  6. 学び術
  7. 思考術
  8. 発想術

など多分野に渡り、最低8冊分の読書時間と書籍代がかかってしまうのが難点だ。

しかし、本書「超効率ハック」は、8つの分野の仕事術の「重要ポイントだけ」を抜き出し、ギュッと1冊に凝縮した書籍だ。もちろん、思考術に関しても重要ポイントを解説している。

さらに、本書は「訓練や習慣化が必要な作業テクニック」ではなく「行動を変えるための頭の使い方」の解説に力を入れているため「頭のスイッチを切り替える」だけですぐに実践できるのも特色だ。

おかげさまで、本書を題材にしたSchooのオンライン授業では「思考法ジャンル」で人気ランキング1位を頂いた(139講座中)。また、lifehackerやOggiなど数多くのメディアで取り上げていただき、Kindleでは「オペレーションズ部門」でベストセラー1位を獲得している。

Amazonレビューでも、

  • 「思考と行動の質を上げるヒントが盛りだくさん」
  • 「読んでみると、頑張りどころを間違えてたことに気付かされる」
  • 「仕事が速い人はこれをやってたんだな、ということがよくわかった」

など、ありがたい言葉を頂戴しており嬉しい限りだ。

もしあなたが「短時間で網羅的に仕事術を学びたい」「根本から仕事の生産性を高めたい」と感じているのなら、ぜひ手に取ってみて欲しい。

ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」

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本書は、筆者の専門である「ブランディング」について解説した書籍だ。

ブランディングは、ややもすれば「デザインの話」「広告の話」「世界観の話」など、掴みどころのない抽象論に陥りがちだ。

しかしブランディングは「ブランド戦略」という言葉があるように、企業の成否を大きく左右する戦略のひとつだ。そして投資が伴う以上、一定の合理性と説明責任が求められる。決して、売上や利益から逃げてはならないのだ。

本書は、つい「感覚論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

「論理」が理解できなければ、ブランディングを体系的に理解することできず、再現性を生むことができない。

そして「直感的な腹落ち感」がなければ、ブランディングを実務に落とせず、成果をもたらすことができない。

本書は、広告代理店&外資系コンサルティングファームで培った「生の知見」と「体系的な解説」を通して、ブランディングの理論を実践へとつなげて解説している。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー入りを果たし、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

もし本書を手にとって頂ければ、ブランディングの専門用語はもちろん、実践の手順や実務の勘所が、一通り学べるはずだ。

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終わりに

今後も、折に触れて「あなたをブランドにする思考法」の解説を続けていくつもりだ。 

しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。

それでも、このブログに主旨に共感し、何かしらのヒントを得たいと思ってもらえるなら、ぜひこのブログに読者登録Twitterfacebook登録をしてほしい。

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