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ロジックツリーとは|ロジックツリーの作り方と具体例|図解

ロジックツリーとは|問題解決に役立つロジックツリーの使い方と例|例題有

このページに辿り着いたあなたなら「ロジックツリーとは何か?」あるいは「ロジックツリーの作り方を知りたい」と感じていることだろう。

このブログ「Mission Driven Brand」は、外資系コンサルティングと広告代理店のキャリアを持つ筆者が、ビジネスの「できない、わからない」を解決するブログだ。

ロジックツリーとは、問題をツリー状に分解し、ロジカルに原因や問題解決策を導き出すフレームワークのことを指す。

ロジックツリーは、長年の歴史に耐え「それなりに」有益なものだ。しかし「それなりに」と書いたのには理由がある。ロジックツリーには、

  • Whatツリー
  • Whyツリー
  • Howツリー(イシューツリー)
  • KPIツリー

など様々なロジックツリーが存在し、その「目的」や「種類」を正しく理解した上で使いこなせなければ、問題解決には使えない。

よって、今回の記事では「ロジックツリー」について徹底解説しよう。その内容は以下の通りだ。

  • ロジックツリーとは何か?
  • ロジックツリーとピラミッドストラクチャーの違い
  • ロジックツリーがもたらす5つのメリット
  • 5種類のロジックツリーと具体例
  • ロジックツリーを作る上で押さえておくべき5つのポイント

情報や知識は「目に見えるもの」だ。そして短時間で簡単に手に入る。しかし短時間で得られる競争力は、短時間で真似される競争力でしかない。

一方でロジックツリーなどの「思考力」は、いったん身につければ、簡単には真似できない長期的な競争力になる。

もしあなたがロジックツリーのスキルを身につけたいなら、この解説を最後までお読みいただき「物事の全体構造やメカニズムを把握し、問題解決に活かす」ために使い倒してほしい。

また、この記事の最後には、記事内で紹介した図版のスライド資料を用意しているので、ぜひ活用頂きたい。

シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説

本論に入る前に、僭越ながら拙著「推論の技術」を紹介させていただこう。

あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。

なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。

この記事のテーマである「ロジックツリー」においても、最も重要かつ躓きやすいのが、ロジックツリーを分解する際の「切り口の仮説」だ。

しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考の重要性は説くものの、肝心の「仮説思考のマスターの仕方」になると、

  • 「センスが必要」
  • 「経験の積み重ねが物を言う」

など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせているものが多い。

しかし本書は「仮説思考に必要な推論の手順」を、豊富な事例とともに解説している。よって、その手順通りに推論を重ねれば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。

おかげさまで本書は6版を重ね「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただいた。NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、中国や台湾、香港でも出版が決定している。

さらにAmazonレビューでも、

  • 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
  • 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
  • 「一生もののスキルになるのは間違いない」

など有難い言葉を頂戴しており、5刷を重ねている。

もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。 

ロジックツリーとは何か?

ロジックツリーとは-1:ロジックツリーの意味を定義する

ロジックツリーとは、問題をツリー状に分解し、ロジカルに原因や問題解決策を導き出すフレームワークのことを指す。

自然の樹木は1つの幹からいくつかの枝にわかれ、さらに小枝が分岐して多数の葉や実をつけて、全体として1つの機能を果たしている。

これと同じように、世の中のほとんどの物事はたくさんの要素が絡み合いながら、全体として1つの機能を果たしている。そして、1つの大きな課題は多くの小さな課題から成り立っている。

だとすれば、物事を分析したり問題を解決する際には、物事を樹木状の分岐構造を用いて分解し、その結節点ごとに意味を考えていく手法が有効な場合が多い。

このように、問題をツリー状に分解し、ロジカルに原因や解決法を探すフレームワークのことを「ロジックツリー」と呼ぶ。

ロジックツリーとは?

問題をツリー状に分解し、ロジカルに原因や問題解決策を探すフレームワーク

ロジックツリーのアウトプットは、以下の図のようにツリー上で表現される。

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ロジックツリーとは-2:ロジックツリーとピラミッドストラクチャーの違い

ここで、よく混同しやすい「ロジックツリー」と「ピラミッドストラクチャー」の違いに触れておこう。

すでに解説した通り、ロジックツリーは「問題をツリー状に分解し、ロジカルに原因や問題解決策を探す問題解決ツール」を指す。

一方でピラミッドストラクチャーは「主張の正しさを裏付けるために、主張と根拠の構成を組み立てていく手法」のことだ。

ロジックツリーは、物事を構成要素に分解し問題の原因や解決策を導く際に、体系的に比較できるようにブレイクダウンしていく。よって「検討・思考」の際に使われることが多い。

一方でピラミッドストラクチャーは何らかの主張をしたい時に、その主張の正しさを支える根拠を構成していく手法だ。よって「説明・説得」のために用いられることが多い。

またロジックツリーの場合、左右でつながれた構成要素の関係は「グループと要素の関係」となるが、ピラミッドストラクチャーの場合は「主張と根拠の関係」になるのが大きな違いだ。

ロジックツリーとは-3:ロジックツリーのメリットと例

ロジックツリーを作るメリットは、大きくわけて5つある。

  • 問題を発見しやすくなる
  • 問題の原因を特定しやすくなる
  • 問題の解決策を考えやすくなる
  • アクションの優先順位をつけやすくなる
  • チームを動かしやすくなる

以下、簡単に例を交えて解説していこう。

ロジックツリーのメリットと例-1:問題を発見しやすくなる

ロジックツリーを作るメリットの1つ目は「問題を発見しやすくなる」ことだ。

もし仮に、あなたの会社で「会社全体の売上が下がっている」という問題に直面したとしよう。あなたの会社は多くの事業部が存在し、扱っている商品も多岐に渡るはずだ。

一口に「会社全体の売上」といっても様々な事業部や商品が入り乱れて「全体の売上」が成立しているため、ただ全体を眺めているだけでは有効な示唆は得られない。

しかし、以下のロジックツリーをご覧になってほしい。

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このように、ロジックツリーで「事業部別」「商品別」に分解していくと、

  • B事業部の商品Dの売上が落ちている
  • C事業部の商品Fの売上が落ちている
  • その他は「横ばい」か「売上増」

ということが明確にわかり、売上減少の発生箇所は「B事業部の商品D」と「C事業部の商品F」であることが把握できる。

このように、総体的に捉えても糸口が見出しずらい問題も、ロジックツリーで細かく分解していくことで、問題の発生箇所を特定することが容易になる。これがロジックツリーの一つ目のメリットだ。

ロジックツリーのメリットと例-2:問題の原因を特定しやすくなる

ロジックツリーを作るメリットの2つ目は「問題の原因を特定しやすくなる」ことだ。

先ほどの例では、ロジックツリーを使って「B事業部の商品D」と「C事業部の商品F」が売上減少の問題発生個所であることが発見できた。それらを踏まえて「B事業部の商品D」の売上が下がっている原因をロジックツリーで表現してみよう。下記の図をご覧になってほしい。

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このロジックツリーを文章で表すと下記の通りとなる。

  • 「商品D」の売上は、大きく分けて「顧客数×客単価」に分解できる。
  • 「顧客数」は「新規顧客数」と「既存顧客数」に分解できる。
  • 「新規顧客数」は「商談数×受注率」によって変動する。
  • 過去の推移を分析したところ「受注率」が大きく下がっていることがわかった。
  • よって、B事業部の商品Dの売上が減少している原因は「受注率が落ちていること」である。
  • これが、会社全体の売上減少に影響している。

このように、ロジックツリーは要素分解や因数分解を重ねながら分析していくことで、問題の原因を特定することが可能になる。これが2つ目のメリットだ。

ロジックツリーのメリットと例-3:問題の解決策が考えやすくなる

ロジックツリーを作るメリットの3つ目は「問題の解決策が考えやすくなる」ことだ。

例えば、先ほどのB事業部の商品Dの売上が低迷している問題では、その原因が「受注率の低下」であることが明らかになった。よって、問題を解決するためにはB事業部の商品Dの「受注率」を向上させることが必要となる。

以下のロジックツリーは、B事業部の商品Dの「受注率」を向上させるためのロジックツリーだ。

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今回の例では「商品Dの受注率を改善するには?」という課題に対して、

  • 営業担当者の側面
  • 商品の側面
  • 価格の側面

に分解して、できうる解決策を洗い出している。

このように、ロジックツリーはイシュー(=解決すべき課題)に対して要素を分解しながら考えていくことで、より具体性のある問題解決アクションへつなげていくことが可能になる。

ロジックツリーのメリットと例-4:アクションの優先順位を考えやすくなる

ロジックツリーを作るメリットの4つ目は「問題解決アクションの優先順位をつけやすくなる」ことだ。

こちらも、ロジックツリーの例を使って解説しよう。

先ほどのB事業部の商品Dの売上が低迷している問題では、ロジックツリーを使って受注率を上げるための問題解決策を洗い出した。しかし企業のリソースは有限である以上、費用対効果を考えることは至上命題となる。今回の例の場合、洗い出された問題解決策に対して、費用対効果の評価軸を下記の通りに設定した。

  • 効果の高さ
  • 問題解決策の導入スピード
  • 投入する費用の少なさ

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この図を見ると〇が多いのは、

  • 営業担当者が持参する提案書の質を上げる
  • 導入コストを下げる
  • ランニングコストを下げる

の3つであり、この3つが有望なアクションと言える。しかし「導入コスト」や「ランニングコスト」は、一度下げてしまえば今後は二度と上げられなくなる上、既存顧客の導入・ランニングコストも下げざるを得ないため、筋の良い問題解決策とは言えない。

よって、今回の例の場合、今すぐ安価で取り組むことができ、かつ一定の効果が見込める「提案書の質を上げる」が優先順位の高い問題解決策となる。

このようにロジックツリーは一覧性が高いため、様々な問題解決策を横並びで比較し評価しやすく、ロジカルに優先順位をつける際に使い勝手が良いのもメリットだ。

ロジックツリーのメリットと例-5:チームを動かしやすくなる

ロジックツリーを作るメリットの最後は「チームを動かしやすくなる」ことだ。

ロジックツリーは、そこに数値をおけばKPIツリーに変わる。先ほどのB事業部の商品Dの売上が低迷している問題では「受注率を5%向上する」などの数値を置けば、それはKPI目標となりチームを同じ方向に向かわせることが可能になる。

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また、ロジックツリーは1つ1つの要素がどのようなメカニズムで連鎖していくのかが一目でわかるようにできている。よって、自分たちの努力がどのように全体につながっているのかがわかりやすいのも利点だ。例えばロジックツリーを使った説明では、

  • 営業担当者が持参する提案書の質を上げることで
  • 受注率が5%向上することができれば
  • 商品Dの新規顧客数が増え
  • 会社全体の売上減という問題は解決する

という風に「ロジックツリーの上にストーリーを乗せて」アクションの重要性を説明することが可能になる。人は要素や数値の羅列より、その上にストーリーを乗せたほうが直感的に理解しやすく、共通認識も持ちやすい。

このように、ロジックツリーはKPIツリーとして活用することでチームの共通認識を作ることができれば、より実効性の高い問題解決アクションへつなげていくことが可能になる。

例題で学ぶ:問題解決に役立つロジックツリーの作り方

続いては、例題を用いながら目的別にロジックツリーの考え方と作り方を解説しよう。

巷の書籍やネット記事では、ロジックツリーの種類については解説されている。しかし各ロジックツリーごとの「目的」について解説されているものは、決して多くはない。

しかしロジックツリーに「種類」が存在する以上、それに対応した「目的」が存在する。もしあなたがロジックツリーの種類と目的の対応関係を知らないままロジックツリーの作成に取り組んでしまえば、無用な混乱を招く恐れがあるので注意が必要だ。

ここでは例題を用いながら、4種類のロジックツリーの「使い分け」と「作り方」を解説しよう。

ロジックツリーの作り方と例-1:問題発生個所の特定に使うWhatツリー(要素分解ツリー)

問題が発生したら、まずは問題の発生個所を特定しなければならない。その際に作るのが「Whatツリー」だ。別名「要素分解ツリー」とも呼ばれる。

「Whatツリー」とは、問題の発生個所を特定することを目的に、物事を要素分解していくロジックツリーのことを指す。先ほどの例でいえば「会社全体の売上減」という問題を「事業部ごとに分解」し「商品ごとに分解」していったのがWhatツリーだ。

ある問題が生じたとき、まずしなければならないのは「問題の発生個所の特定」と「問題の大きさの特定」だ。

Whatツリーは、全体を「足し算分解」していくロジックツリーであることから「全体と部分の大きさの構図」を可視化することが可能だ。よって「問題の発生個所の特定」と「問題の大きさの特定」の両方が可能であるため、問題発見の際によく作られる。

下の図は「会社全体の売上減」という問題を要素分解したロジックツリーだ。

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もし、あなたがなんらかの問題を気づいたら、まずは「Whatツリー」を作り、問題の発生個所と大きさを特定しよう。

ロジックツリーの作り方と例-2:問題の原因究明に使うWhyツリー(原因追求ツリー)

問題の発生個所を特定した後は、問題発生の原因を特定していくことになる。その際に作るのが「Whyツリー」だ。別名原因追求ツリーとも呼ばれる。

「Whyツリー」とは、問題の原因を明らかにすることを目的に、因果関係で分解していくロジックツリーのことを指す。先ほどの例でいえば「商品Dの売上低下の原因」を「客数×客単価」「新規顧客数+既存顧客数」「商談数×受注率」に分解して分析するのがWhyツリーだ。

Whyツリーの特徴は、先ほどの「Whatツリー(要素分解ツリー)」のような「足し算分解」だけでなく「掛け算分解」も多用することだ。

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なぜ掛け算分解を多用するかというと、問題を発生させる原因の多くは「量の少なさ・質の低さ・因果関係の乏しさ」のいずれかかに潜んでいることが多いからだ。よって「規模(量)」と「効率(質)」で掛け算分解したほうが因果関係が見えやすく、問題の原因を特定しやすいメリットがある。

もし、あなたがなんらかの問題の原因を明らかにしたいなら「足し算分解」と「掛け算分解」をミックスした「Whyツリー」を作ってみよう。

ロジックツリーの作り方と例-3:問題解決に使うイシューツリー(Howツリー)

当たり前のことだが、問題解決策は実行に移さなければ成果は出せない。原因追求ツリーで問題発生の原因を突き止めたら、次に作るのが「イシューツリー」だ。別名「Howツリー」とも呼ばれる。

「イシューツリー」とは「問題解決策の立案」と「優先順位付け」を目的に、問題解決策を洗い出していくロジックツリーのことを指す。

先ほどの例でいえば「商品Dの受注率を改善できるか?」というイシューに対して「営業担当者の提案力を上げられるか?」「営業担当者が持参する提案書の質を上げられるか?」などを洗い出していったのがイシューツリーだ。

ロジックツリーは、右側にツリーを伸ばせば伸ばすほど物事が具体化する性質を持つ。よって問題解決策の立案にイシューツリーを用いればアクションプランはより具体化し、実行に移しやすくなる。

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もしあなたが問題解決策を考える業務を任されたら、イシューツリーを作ってできるだけツリーを右側に伸ばしていくことを意識しよう。

ロジックツリーの作り方と例-4:チームを動かすために使う「KPIツリー」

あらゆる問題解決の取り組みはコストを伴う以上、より少ないリソースで、より高い目標を達成する必要に迫られる。そしてそのためには「目標の設定」や「達成水準の評価」「次のステップに向けた改善活動」は必要不可欠な要素となる。

KPIとは「目標を達成するためにプロセスが適切に実行されているかを計測・評価する指標」のことであり、KPIツリーとはKPIの因果関係を表したロジックツリーのことを指す。

どんなに素晴らしい問題解決策を立案したとしても、数値に落とし込まない限り見えないものは管理できない。そして管理できないものは、改善することもできない。

一方で、もしあなたが問題解決策の達成水準をKPIに落とし込むことができれば、そのKPIは問題解決策の方向を指し示す羅針盤の役割を果たすようになる。

また、前述したようにKPIツリーを「数値の羅列」ではなく「ストーリー」を乗せて共有することができれば、チーム内で共通認識持ちやすくなり、より実効性の高い問題解決アクションへつなげていくことが可能になるはずだ。

ロジックツリーの作り方のポイント

最後に、ロジックツリーの作り方のポイントを解説しよう。ポイントは以下の5つだ。

  • 全体を定義を明確にする
  • 仮説思考で分解の切り口を探す
  • 包含関係や因果関係を意識する
  • MECEに考える
  • ロジックツリーの右端が行動に結びつくまで増やしていく

ロジックツリーの作り方のポイント-1:全体の定義を明確する

ロジックツリーは、全体から部分へと物事を分解していく思考ツールだ。そうである以上「全体の定義」を間違うと、ツリーで枝分かれした「部分」も間違うことになる。

例えば今回の例では「会社全体の売上」を全体として定義し、そこからロジックツリーで「事業部別」「商品別」に分解していった。しかし「全体の定義」を「会社全体の利益」と置けばそもそもの前提が変わるため、ロジックツリーの枝分かれも変わることになる。

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ロジックツリーは、ともすると「分解すること」に意識が向きがちだが、真に重要なのは分解する前の「全体の定義」だ。当たり前のことだが「全体」が変われば「部分の範囲」は変わる。もしあなたがロジックツリーの作り方をマスターしたいなら、できるだけ視野を広げ「全体の定義を明確にする」習慣をつけよう。

ロジックツリーの作り方のポイント-2:仮説思考で分解の切り口を探す

ロジックツリーは全体を定義した後に、部分に分解していく思考ツールだ。しかし分解する際の「切り口」は無数に存在する。例えば先ほどの例でも、以下のような切り口が考えうる。

  • 組織別
  • 商品別
  • エリア別
  • 顧客層別
  • チャネル別…

しかし現実問題としてビジネスには時間的・コスト的・労力的な制約がある以上、これらすべての切り口を詳細に検討していくのは難しい。そのようなときに必要となってくるのが「仮説思考」だ。

「仮説思考」とは、今ある限られた情報だけで問題の本質や全体像・解決策をイメージし、現時点で最も妥当だと思える結論を導き出す思考法を指す。

もしあなたが仮説思考を身につけることができれば、ロジックツリーの切り口を考える際に、精度の高い仮説を持てるようになる。そうすれば「今ある切り口の仮説が正しいか?正しくないか」に絞った情報を、その判断に資するレベルまで集めればよいため、情報収集は絨毯爆撃的にならず、時間は大幅に短縮されるはずだ。

逆を言えば、ロジックツリーの切り口は「仮説の精度」に大きく依存するともいえる。

もしあなたがロジックツリーの作り方をマスターしたいなら、物事を鵜呑みにせずに考えるクリティカルシンキングや、仮説思考を身につけることは必要不可欠だ。

ロジックツリーの作り方のポイント-3:包含関係や因果関係を意識する

ロジックツリーは全体から部分へ展開する際に「包含関係」か「因果関係」で展開していく必要がある。なぜならロジックツリーは左側から右側に向かって、何らかの「関係」で結ばれていなければ成立しないからだ。

ここでいう「包含関係」とは「全体が部分の総和で成り立っている関係」だ。例えば要素分解ツリーの場合「A事業部の売上」「B事業部の売上」「C事業部の売上」の総和が「会社全体の売上」になっている関係だ。

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一方で「因果関係」とは「原因と結果の関係」だ。原因追求ツリーや問題解決ツリーの場合「下位の要素は上位の要素の原因」となっており「上位の要素は下位の要素の結果」になっている必要がある。そのためロジックツリーを作る際には、常に

  • 原因を問う-なぜ?(Why so?)
  • 影響を問う-だから何?(So What?)

を繰り返す習慣を身につけて欲しい。

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ロジックツリーの作り方のポイント-4:ロジックツリーはMECEに考える

MECEとは「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字を取ったもので「お互いに重複せず、全体に漏れがない」という訳になる。世界的なコンサルティングファームであるマッキンゼーが世に広めたロジカルシンキングの考え方の一つだ。

このMECEはロジックツリーを作る際には非常に重要な考え方となる。

なぜならロジックツリーの中で重複があると「無駄な重複投資」や「重複業務による生産性の低下」を招くからだ。

一方で、逆に「漏れがある」ということは、ロジックツリーの要素に「見落としがある」ことを意味する。もしこの「見落とし」が戦略上致命的なものであれば、あなたの問題解決の取り組みはスタートから失敗することになりかねない。

現実的にはあらゆるものごとをMECEに分解するのは難しいが、より「MECE的に」物事を考える習慣をつけることができれば、あなたは構造化スキルは高まり、真に重要な要素の漏れやダブリは防げるようになる。

ロジックツリーの作り方のポイント-5:ロジックツリーの右端が行動に結びつくまで増やしていく

ロジックツリーは、右側に広げていくに従って物事が具体的になっていく性質を持つ。

ことロジックツリーとなると「どこまで階層を増やせば良いか」と質問されることが多いが、ビジネスは行動を伴って初めて成果となる。

よって、その答えは「具体的な行動に落とし込めるまで」となる。

ロジックツリー関連の本|おすすめ書籍3冊

締めくくりに、あなたにおすすめできる「ロジックツリー関連の本」を紹介しよう。選定した基準は下記の通りだ。以下のどれかに当てはまるものをピックアップした。

  • k_birdが実際に読み、単純に「素晴らしかった」と思えるロジックツリー関連本。
  • 実際に戦略立案実務や事例共有に役立っているロジックツリー関連書籍。
  • 長年に渡って読み継がれており、時代を越えても変わらない「本質」や「原理」が見出せるロジックツリー関連本。

もちろん、すべて「なぜ読むべきなのか?」という解説付きだ。

ロジックツリー関連本おすすめ書籍-1:ロジカルシンキング

本書は、ロジカルシンキングを学ぼうと思ったら誰もが通るベストセラーであり「ロジカルシンキングの名著」だ。

著者である照屋氏はマッキンゼーのエディターとして活動した経験を持っており、マッキンゼーを一躍有名にした書籍としても知られる。

本書は「ピラミッドストラクチャー」や「MECE」「So What?/Why So?」など、今では当たり前のように使われるビジネスパーソンの「基本作法」を、日本に普及させた名著と言ってよい。

この書籍は多くのビジネスパーソンにとって「ロジカルシンキングの登竜門」的位置づけと言って良いだろう。もし、あなたが「理解」を越えて「ロジカルシンキングを使いこなしたい」なら、ぜひ一読を勧めたい必読書だ。

ロジックツリー関連本おすすめ書籍-2:賢さをつくる

ロジカルシンキングには限界が存在する。それは推論を考える際の「切り口」の限界だ。

ロジカルシンキングを行う際には「ロジックツリー」というツールを多用する。

ロジックツリーは、目の前にある「問題現象」を要素分解することで根本課題を見抜いたり、あるいは「問題解決」の打ち手の選択肢を広げていくときに使われることが多い。

しかし「要素分解」も「選択肢の拡大」も、その「どのような概念を切り口とするか?」で結論は変わる。そうなると、いかに「筋のよい概念(切り口)」を見出せるかが重要なカギとなるが「筋のよい概念(切り口)」は論理では導き出せない。

本書は「具体」と「抽象」の往復運動を「頭の良さ」と定義した上で、

  • 個別的(具体)⇔全体的(抽象)
  • 短期的(具体)⇔長期的(抽象)
  • 実用的(具体)⇔本質的(抽象)
  • 五感的(具体)⇔概念的(抽象)
  • 現実的(具体)⇔精神的(抽象)
  • 一面的(具体)⇔多面的(抽象)
  • 手段(具体)⇔目的(抽象)
  • 問題解決力(具体)⇔問題設定力(抽象)

など、具体と抽象を対比させながら「概念化=コンセプチュアルスキル」の重要性と伸ばし方を解説している書籍だ。

ロジカルシンキングは、物事を論理的に深掘りしてくタイプの思考法だ。しかしそれに加えて本書が提示する「具体と抽象を往復する思考法」を身につけることができれば「自由自在に概念を操る」ことが可能になる。

もしあなたが「筋の良いロジックツリーを創れるようになりたい」と思うなら、ぜひ一読をお薦めする。

このブログから書籍化した本4冊

シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説

ここまでお読みになったあなたなら、ロジックツリーには、物事を分解していく上での「切り口」が必要であり、その切り口を考えるには「仮説」が重要であることに、お気づきのはずだ。

例えばWhyツリーであれば「問題→問題を引き起こしている原因」という「原因に対する仮説」が必要であり、Howツリーであれば「これをすれば→こうなるはず」という「予測の仮説」が必要になる。

しかし、これらの仮説を導き出すためには「こういう時は→これが原因になりやすい」「こうすると→こうなりやすい」など、あなたの頭の中に「法則のストック」が必要だ。もし法則のストックがなければ、そもそも仮説を立てることができず、ロジックツリーを描くこともできなくなる。

本書は「洞察的帰納法」という考え方を使って「どうすれば数多くの法則をストックし、ビジネスに活かすことができるか」を解説した書籍だ。

誤解を恐れずに言えば、あらゆるビジネスは仮説が成否を握る。なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を打ち出しようがなくなるからだ。その結果、そこでビジネスの成長は止まってしまうことになる。

おかげさまで本書は6版を重ね「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただいた。NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、中国や台湾、香港でも出版が決定している。

さらにAmazonレビューでも、

  • 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
  • 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
  • 「一生もののスキルになるのは間違いない」

など有難い言葉を頂戴しており、5刷を重ねている。

もしあなたがシャープな仮説を導き出し、優れたロジックツリーを描けるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。

ロジカルシンキングでは学べない「視点力」と「法則力」を身につける※無料のオーディオブック特典付

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人は誰しも「視点」を通してしか物事を考えることができない。

別の言い方をすれば「そもそも何を考えるべきか?」という論点(=イシュー)は、視点が決めてしまうともいえる。

また、どんなに適切な視点を置いたとしても「ああなれば→こうなるだろう」という「予測のパターン(=法則)」が頭の中になければ、確かな仮説を導き出すことはできない。

本書はビジネス書から「視点」と「法則」を発見し、思考の質とスピードを上げていく独学術を解説した書籍だ。

1つの「視点」しか持てない人は、1つの論点しか設定することができない。当然、導き出せる仮説も1つだけだ。

しかし5つの「視点」を持てれば、5つの論点を設定できるようになる。その結果、5つの仮説を導き出すことができるようになるはずだ。

もしあなたが自由自在に「視点」を操ることができるようになれば、物事の多様な側面に気づき、次々と「新たな可能性」を拓くことができるようになる。

また、数多くの「法則」をストックしていけば、様々な現象に「法則」を当てはめることで「筋の良い仮説」を瞬時に導き出すことが可能になるはずだ。

おかげさまで、本書はThe21や日経、STUDY HACKERなど多くのメディアに取り上げていただき、発売3か月で海外の翻訳出版も決定した。Amazonレビューでも、

  • 視点力や仮説思考、抽象化スキルが身に付く良書
  • これまでの読書術の常識を次々と塗り替えている目からウロコの本
  • まさに「モノの見方を変える方程式」

など、ありがたい言葉を頂戴している。

もしあなたが「フレームワーク」だけでは得られない「視点力」と「思考スピード」を身につけたいなら、ぜひ本書で紹介する読書法を実践して欲しい。

8ジャンル57個の仕事術で「実践力」を身につける

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どのようなビジネスも、実践が伴わなければ成果は出ない。しかし、いざ「実践力」を身につけようとしても、その分野は、

  1. 時間管理術
  2. 段取り術
  3. コミュニケーション術
  4. 資料作成術
  5. 会議術
  6. 学び術
  7. 思考術
  8. 発想術

など多分野に渡り、最低8冊分の読書時間と書籍代がかかってしまうのが難点だ。

しかし、本書「超効率ハック」は、8つの分野の仕事術の「重要ポイントだけ」を抜き出し、ギュッと1冊に凝縮した書籍だ。もちろん、思考術に関しても重要ポイントを解説している。

さらに、本書は「訓練や習慣化が必要な作業テクニック」ではなく「行動を変えるための頭の使い方」の解説に力を入れているため「頭のスイッチを切り替える」だけですぐに実践できるのも特色だ。

おかげさまで、本書を題材にしたSchooのオンライン授業では「思考法ジャンル」で人気ランキング1位を頂いた(139講座中)。また、lifehackerやOggiなど数多くのメディアで取り上げていただき、Kindleでは「オペレーションズ部門」でベストセラー1位を獲得している。

Amazonレビューでも、

  • 「思考と行動の質を上げるヒントが盛りだくさん」
  • 「読んでみると、頑張りどころを間違えてたことに気付かされる」
  • 「仕事が速い人はこれをやってたんだな、ということがよくわかった」

など、ありがたい言葉を頂戴しており嬉しい限りだ。

もしあなたが「短時間で網羅的に仕事術を学びたい」「根本から仕事の生産性を高めたい」と感じているのなら、ぜひ手に取ってみて欲しい。

ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書

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本書は、筆者の専門である「ブランディング」を解説した書籍だ。

ブランディングは、ややもすれば「デザインの話」「広告の話」「世界観の話」など、掴みどころのない抽象論に陥りがちだ。

しかしブランディングは「ブランド戦略」という言葉があるように、企業の成否を大きく左右する戦略のひとつだ。そして投資が伴う以上、一定の合理性と説明責任が求められる。決して、売上や利益から逃げてはならないのだ。

本書は、つい「感覚論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

「論理」が理解できなければ、ブランディングを体系的に理解することできず、再現性を生むことができない。

そして「直感的な腹落ち感」がなければ、ブランディングを実務に落とせず、成果をもたらすことができない。

本書は、広告代理店&外資系コンサルティングファームで培った「生の知見」と「体系的な解説」を通して、ブランディングの理論を実践へとつなげて解説している。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー入りを果たし、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉をちょうだいしている。

もし本書を手にとって頂ければ、ブランディングの専門用語はもちろん、実践の手順や実務の勘所が、一通り学べるはずだ。

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終わりに

今後も、折に触れて「あなたをブランドにする思考法」の解説を続けていくつもりだ。 

しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。

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