Mission Driven Brand

Mission Driven Brand

ブランディングの戦略家が【ブランド戦略の全て】を解説するブログ

演繹的思考と帰納的思考|演繹法と帰納法の具体例と論理展開|図解

演繹法・帰納法とは|論理的思考に必須の演繹・帰納の図解例|例題有

この記事に辿り着いたあなたなら「演繹的思考・帰納的思考とは何か?」あるいは「演繹法や帰納法の具体例を知りたい」と考えていることだろう。

演繹的思考や帰納的思考は、論理的思考をマスターする上で欠かすことのできない「頭の使い方」だ。現に巷に溢れる「論理的思考の本」をひも解けば、必ずと言っていいほど紹介されているのが演繹的思考と帰納的思考だ。

しかし、論理的思考を学ぶ上で最もつまずきやすいのもこの2つといえる。

なぜなら多くの書籍では、演繹的思考・帰納的思考の「論理展開の厳密性」を重視するがあまり「ビジネスのどのような局面で」「どのような頭の使い方をすればいいか」活用の説明が不足しているからだ。

また多くの書籍では、演繹的や帰納的思考の論理展開があたかも「正解を生み出す」かのように描かれているが、あらゆるビジネスが未来に向けてなされる以上「正解」など存在しない。100%確実な未来を予測することなど、誰にもできない。

演繹的思考・帰納的思考は「正解を導き出すツール」ではなく、論理の筋道を相手と共有し、様々な可能性を検証するための「コミュニケーションツール」だ。そう考えれば、この2つの思考法のビジネスでの活用局面は格段に広がるはずだ。

もしあなたが演繹的思考・帰納的思考を「理解する」だけでなく「ビジネスに活かしたい」と考えるなら、この記事を最後までお読みいただきたい。

シャープな仮説を生み出したい方へ。このブログから書籍化した「推論の技術」

ここで僭越ながら、拙著「推論の技術」を紹介させていただこう。

演繹的思考や帰納的思考に興味があるあなたなら、すでに仮説思考の重要性はご存じのはずだ。

誤解を恐れずに言えば、あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。

なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。

しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考のメリットは説くものの、肝心の「仮説思考のマスターの仕方」になると、

  • 「センスが必要」
  • 「経験の積み重ねが物を言う」

など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせているものが多い。

一方で本書は帰納的思考・演繹的思考・アブダクション(この記事では紹介していない仮説推論の方法)を使って「仮説思考に必要な推論の手順」を、豊富な事例とともに解説している。

よって、その手順通りに推論を重ねれば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。

おかげさまで、本書はNewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、版を重ねている。Amazonレビューでも、

  • 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
  • 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
  • 「一生もののスキルになるのは間違いない」

など、有難い言葉を頂戴しており、嬉しい限りだ。

もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。

 

演繹的思考(演繹法)とは?

演繹的思考(演繹)法とは何か

まずは演繹的思考ついて解説しよう。

演繹的思考の「演」には「押し広める・説く」という意味があり「繹」には「糸口を引き出す」という意味がある。

  • 「演」:押し広める・説く
  • 「繹」:糸口を引き出す

つまり「演繹」とは「広く説かれている法則(演)から、糸口を引き出す(繹)」ことだ。よって、演繹的思考とは「知っている法則やルールに物事を当てはめて結論を出す」頭の使い方を指す。別名「演繹法」とも言われる。

「演繹的思考」とは

知っている法則やルールに物事を当てはめて結論を出す思考法。

演繹的思考(演繹法)の例

演繹的思考をよりわかりやすく理解するために、例を交えて解説しよう。例えば以下の図の例が演繹的思考の頭の使い方の典型例だ。

演繹法とは-2:演繹法の例

上記のように、演繹的思考には

  • 決められたルールや法則が存在し
  • そのルールや法則に物事を当てはめてみて
  • 決められたルールや法則に合致しているかどうかで結論を出す

という頭の使い方を辿る。

しかしここまでお読みになればお気づきの通り、演繹的思考は「すでにルールや法則が存在し、かつ、正しいこと」を前提にしている。逆を言えば「ルールや法則」自体が間違っていれば、当てはめて導き出す結論も間違ってしまうのがデメリットだ。

よって、演繹的思考で物事を考える際には「前提を鵜呑みにせずに考える思考態度」であるクリティカルシンキングも意識しておこう。

演繹法の注意点

帰納的思考(帰納法)とは?

帰納的思考(帰納法)とは何か

続いて帰納的思考ついて解説しよう。

帰納的思考の「帰納」とは「物事が落ち着いて(帰)、結論に納まる(納)状態」を指す。

この意味合いの通り、帰納的思考とは複数の事実から共通点を導き出して結論を出す頭の使い方のことを指す。別名「帰納法」とも言われる。

「帰納的思考(帰納法)」とは

複数の事実から共通点を導き出して結論を導き出す思考法

帰納的思考(帰納法)の例

こちらも、より分かりやすく理解するために、例を使って解説しよう。例えば以下の図の例題が機能的思考の頭の使い方の典型例だ。

帰納法とは?-2:帰納法の例

上記の例題のように

  • 複数の実例を挙げ
  • 実例をもとに共通点を見出し
  • 共通点を根拠に結論づける

という頭の使い方を辿るのが帰納的思考の特徴だ。

帰納的思考の論理が成立しているかどうかは、以下の図のように「なぜならば」という接続詞を使って論理展開を逆算することで簡単にチェックできる。

帰納法のロジックチェック

気をつけてもらいたいのは、帰納的思考は複数の「状況証拠」から共通点を見出して結論づける頭の使い方である以上、

  • 状況証拠自体に間違いがある場合
  • 状況証拠から共通点を見出す際に飛躍がある場合
  • 共通点から結論に至る筋道に飛躍がある場合

には破綻してしまうのがデメリットだ。よって帰納的思考を使った場合には、必ず「なぜならば」という接続詞を使った論理チェックを怠らないようにしよう。

 

演繹的思考(演繹法)の頭の使い方と具体例

続いては演繹的思考と帰納的思考の活用の仕方の具体例を、図解を交えて解説しよう。

演繹的思考とは「知っている法則やルールに物事を当てはめて結論を出す頭の使い方」であると解説した。

「演繹的思考(演繹法)」とは

知っている法則やルールに物事を当てはめて結論を出す思考法

ここまでお読みになって鋭いあなたならお気づきかもしれないが、演繹的思考を活用する上で重要なポイントとなるのが「前提となるルールや法則の妥当性」だ。

演繹的思考は「知っている法則やルールに物事を当てはめて結論を出す」という頭の使い方である以上「法則やルール」自体に間違いがあると、結論も間違ってしまうことになる。

だとすれば、演繹的思考を使いこなすためには、あらかじめビジネスの現場で扱いやすい「法則・ルール」を知っておく必要がある。

今回はその中でも、ビジネスの現場で活用しやすい「4つの法則・ルール」を紹介しよう。

演繹的思考(演繹法)に当てはめる4つの法則・ルール

法則・ルール-1:因果関係を当てはめる

演繹的思考に当てはめると便利な法則・ルールの1つ目は「因果関係」だ。

もし仮に、過去のデータから「広告を20%増やせば、売上が25%上がる」という因果関係が見出されたとしよう。すると演繹的思考を活用した頭の使い方は、以下の例のようになる。

演繹法に当てはめる4つの法則-1:因果関係を当てはめる

この例のように、

  • 当てはめる因果関係:広告を20%増やせば、売上は25%伸びる
  • 当てはめる物事:今回のプロモーションの売り上げ目標は+25%だ
  • 結論:よって、今回のプロモーションでは広告を20%増やすべきだ

という思考プロセスを辿れば、演繹的思考は「提案の根拠」や「結果の予測」に活用できる。

法則・ルール-2:ルールを当てはめる

2つ目は「ルール」だ。

もし仮に、あなたの会社の投資の意思決定に関して「リターンが110%以上を見込めれば投資をするが、それ以下なら投資をしない」という「ルール」が存在していたとしよう。すると、演繹的思考を活用した頭の使い方は以下の例のようになる。

演繹法に当てはめる4つの法則-2:ルールを当てはめる

この例のように、

  • 当てはめるルール:リターンが110%以上を見込めれば投資をする
  • 当てはめる物事:今回の投資案件は、リターンが105%しか見込めない
  • 結論:よって、今回の投資案件は見送る

という思考プロセスを辿れば、演繹的思考は「判断」「意思決定」に活用できる。

法則・ルール-3:方針を当てはめる

演繹的思考に当てはめると便利な法則・ルールの3つ目は「方針」だ。

もしあなたの会社で「女性らしさを表現できる敏感肌用化粧水を開発する」という方針が存在していたとしよう。すると、演繹的思考を活用した頭の使い方は以下の例のようになる。

演繹法に当てはめる4つの法則-3:方針を当てはめる

この例のように、

  • 当てはめる方針:女性らしさを表現できる敏感肌用化粧水を開発する
  • 当てはめる物事:試作品に対して、女性の9割が「女性らしさを感じる」と答えた
  • 結論:よって、この試作品を商品化すべきだ

という思考プロセスを辿れば、演繹的思考は「評価」に活用できる。

法則・ルール-4:価値観を当てはめる

4つ目の法則・ルールは「価値観」だ。

もしあなたの会社で「常にイノベーティブであるべき」という価値観が存在していたとしよう。すると、演繹的思考を活用した頭の使い方は以下の例のようになる。

演繹法に当てはめる4つの法則-4:価値観を当てはめる

この例のように、

  • 当てはめる価値観:我が社は常にイノベーティブであるべきだ
  • 当てはめる物事:ローリスクローリターンか?ハイリスクハイリターンか?
  • 結論:ハイリスクハイリターンに挑戦すべき

という思考プロセスを辿れば、こちらも「意思決定」に活用できる。

演繹的思考(演繹法)を応用する

ここまで見てきたように、演繹的思考の頭の使い方は、

  • 当てはめる法則・ルールが存在する=前提
  • 法則に当てはめて物事を考える=推論
  • 前提+推論で結論を出す=結論

という「前提→推論→結論」の関係で成り立っていることがわかる。もしあなたがこの原理を理解し、演繹的思考を「逆引き」で応用することができるようになれば、あなたは優れた「仮説思考」を手に入れることができるようになる。

例えば、あなたが法人向けの営業担当者だったとしよう。

あなたは、顧客企業に対して売上向上策の提案を行ったが、残念ながらロスト(失注)したとする。これを演繹的思考の頭の使い方に当てはめると以下の図の通りとなる。

演繹法の活用法-2:演繹法を応用する

ここで、先ほどの「演繹法に当てはめる4つの法則」を思い出してほしい。

  • 因果関係
  • ルール
  • 方針
  • 価値観

もしかしたら、あなたの提案は「あなたの提案を採用すれば→顧客企業の売上が上がる」という「因果関係」が弱かったのかもしれない。

あるいは、顧客企業側になんらかのルールがあり(予算や決裁権限など)あなたの提案とルールが合致しなかったのかもしれない。

また、顧客企業側に何らかの方針があり(例えば売上より利益率を重視するなど)あなたの提案と方針が合致しなかったのかもしれない。

更には、顧客企業に独自の価値観があり、あなたの提案と価値観が合致しなかったのかもしれない。

もしあなたが演繹的思考をマスターし、その応用編として「逆引き」で使いこなすことができれば、提案がロスト(失注)した際にも様々な仮説を立てて問題解決につなげることができるはずだ。

f:id:missiondrivencom:20190213214446p:plain

演繹的思考(演繹法)を鍛える方法

ここまでお読みになれば、演繹的思考はビジネスの様々な局面で活用できることがご理解いただけたはずだ。

そこで続いては、日常業務の中で演繹的思考を鍛える方法について解説しよう。

演繹的思考は、誰でも身につけることができる「思考技術」だ。そして「技術」である以上、そこには再現性が存在する。つまり「方法と手順」を身につければ「誰でも」「例外なく」演繹的思考を身につけることが可能だ。

演繹的思考を鍛える方法-1:企画業務で演繹法を使う

あなたがビジネスパーソンなら、業務改善や企画提案など、なんらかの形で「企画業務」を行っていることだろう。

あらゆる企画業務はなんらかの「方針」が存在し、その方針に基づいた形でアクションプランが実施される。よって「法則やルールに当てはめて結論を出す」という頭の使い方である「演繹的思考」を活かしやすい業務といえる。

例えば、以下の図解のような要領だ。

演繹法の鍛え方-1:企画業務で演繹法を使う

もしあなたが企画業務にたずさわっているのなら、自覚的に演繹的思考を取り入れてみよう。

演繹的思考を鍛える方法-2:上司への報告業務で演繹法を使う

例えあなたが企画業務にたずさわっていなくても、演繹的思考をトレーニングする局面は存在する。それは「日々の口頭報告」や「報告書」の局面だ。

あなたがビジネスパーソンなら、必ず「上司」がいるはずだ。そして節目節目のタイミングで「上司に報告する機会」が存在していることだろう。

しかしあなたは日々の上司への報告の中で「報告がうまくいくかどうかの基準」を考えているだろうか?もし考えていなかったら、これを機会に「報告がうまくいく基準」を念頭に置きながら上司に報告する習慣をつけよう。例えば以下の図のような要領だ。

演繹法の鍛え方-2:上司への報告業務で演繹法を使う

ぜひ「日々のメール」や「上司への報告の機会」をうまく味方につけて、演繹的な思考能力を高める習慣を身につけて欲しい。

このブログから書籍化!
シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説

帰納的思考(帰納法)の頭の使い方と具体例

続いては、帰納的思考の活用の仕方と具体例について、図解を交えて解説しよう。

帰納的思考とは「複数の事実から共通点を導き出して結論を導き出す思考法」であることは末に解説した。

「帰納的思考(帰納法)」とは

複数の事実から共通点を導き出して結論を導き出す思考法

ここまでお読みになって鋭いあなたならお気づきかもしれないが、帰納的思考を活用するにあたって重要なポイントとなるのが「どのような事実を並べて、共通点を導き出すか」だ。

例えば、以下の図のような帰納法があったと仮定しよう。

帰納法の活用法-1:帰納法の基本的な活用例

一見、帰納的思考が成り立っているように見えるが、もし単品管理を導入していない小売りチェーンが躍進を遂げていたとしたら、上記の論理展開は妥当性が怪しくなる。

このように、帰納的思考は1つでも例外が存在すれば説得力が大きく失われるデメリットが存在する。しかし現実問題として、世の中にあるすべての小売りチェーンを詳細に分析するのは難しいため、結局は「結論の妥当性の高さ」「相手の納得度の高さ」に依存することになる。

冒頭で、演繹的思考や帰納的思考は「正解を導き出すツール」ではなく、論理の筋道を相手と共有し、様々な可能性を検証するための「コミュニケーションツール」だと解説した。

帰納的思考は、ピラミッドストラクチャーなどのフレームワークを通して、提案や報告の際に役に立つ。しかし、永遠不変の論理を創ろうとするよりは、自分と相手にとって、納得感がある論理展開を創ることが重要だ。

帰納的思考(帰納法)を応用する

ここまで見てきたように、帰納的思考の頭の使い方は、

  • 実例①
  • 実例②
  • 実例③
  • 複数の実例から共通点を見出す
  • 見出した共通点を元に結論づける

という関係で成り立っている。そしてもしあなたが帰納的思考の原理を理解し、応用することができるようになれば、あなたは優れた気づき力と洞察力を手に入れることができるようになる。

例えば、先ほどの小売りチェーンの例で考えてみよう。

帰納法の活用法-1:帰納法の基本的な活用例

このように、素直に帰納法的な頭の使い方をすれば「売上を伸ばしている小売りチェーンの共通点は単品管理」となる。しかし、あなたが帰納的思考を逆手にとって「例外」に着目することができれば「別の可能性」に気づけるようになる。

例えば、上記の「例外」はドン・キホーテだ。

ドン・キホーテは一般の常識的な単品管理とは一線を画し、売れるか売れないかわからないものも店頭に並べて独自の「魔境感」を演出している。そしてこの「魔境感」が「意外なものを発見する楽しさ」につながり、他の小売りチェーンとは全く異なる価値(=喜び)を提供している。

このように、帰納的思考は「複数の実例の中に共通点はないか?」という頭の使い方だけでなく「例外はないか?」「例外があるとすれば、それはなぜか?」という頭の使い方をすることで、新たな発見をもたらしてくれることがある。

これが帰納的思考の応用的な使い方だ。

帰納的思考(演繹法)を鍛える方法

続いて演繹的思考と同様に、日常業務の中で帰納的思考を鍛える方法について解説しよう。

帰納的思考を鍛える方法-1:企画業務で帰納法を使う

演繹的思考は、なんらかの「方針」に基づいてアクションプランを企画する際に有益な方法だったが、帰納的思考は「方針そのもの」を導き出す際に役立つ思考法だ。

もしあなたがマーケティング担当者なら「PEST」や「3C」などのフレームワークはご存じのことだろう。

これらも複数の視点から、方針(KFSや戦略など)を導き出すフレームワークであり「複数の実例を挙げ」「実例をもとに共通点を見出し」「共通点を根拠に結論づける」という帰納的思考の頭の使い方に沿っていることがご理解いただけるはずだ。

例えば、帰納的思考を企画業務の方針策定に使うとすると、以下の図のような要領になる。

帰納法の鍛え方-1:企画業務で演繹法を使う

もしあなたが企画業務にたずさわっているのなら、意識的に帰納的思考を取り入れ「方針」を考える習慣をつけよう。

帰納的思考を鍛える方法-2:依頼業務で帰納法を使う

例えあなたが企画業務にたずさわっていなくても、帰納的思考をトレーニングする局面は存在する。それは、あなたが誰かに何かを依頼する局面だ。

例えばプロジェクトメンバーとミーティングをセットしたい場合、あなたはただ漫然と以下のようなメールを送ってはいないだろうか?

「ミーティングをセットしたいので●月●日●時から、
●●会議室にお集りください」

確かに簡潔に用件は伝わるが、もしあなたが帰納的思考を身につけたいなら「用件だけ」のメールを打つ前に帰納的思考で考える習慣をつけよう。例えば以下の図のような要領だ

帰納法の鍛え方-2:依頼業務で帰納法を使う

もしあなたがビジネスパーソンなら、社内外の人たちに向けてメールの発信をしていることだろう。多い日なら、1日十何通も送る日もあるはずだ。

だとすれば、日々のメールを「帰納的思考のトレーニング」に活用できれば、習慣化しやすく頻度も多いため、帰納的思考を身につける早道となる。

演繹的思考(演繹法)と帰納的思考(帰納法)の組み合わせ方

最後に、演繹的思考と帰納的思考の組み合わせについて解説しておこう。

帰納的思考は「複数の実例を挙げ」「実例をもとに共通点を見出し」「共通点を根拠に結論づける」という頭の使い方であることから「方針そのもの」を導き出す際に役に立つ思考法であることがわかる。

一方で演繹的思考は「決められた方針が存在し」「その方針に物事を当てはめ」「決められた方針に合致しているかどうかで結論を出す」という頭の使い方であることから「方針に沿ったアクションプラン」を導き出す際に有益だ。

よって、演繹的思考と帰納的思考を組み合わせる際には

  • 帰納的思考で「方針」を考え
  • 演繹的思考で「方針」に沿ったアクションプランを考える

という使い方が適切だ。

演繹法と帰納法の組み合わせ

演繹的思考(演繹法)・帰納的思考(帰納法)関連の本|おすすめ書籍3冊

締めくくりに、あなたにおすすめできる「演繹的思考・帰納的思考を鍛える本」を紹介しよう。選定した基準は下記の通りだ。以下のどれかに当てはまるものをピックアップした。

  • k_birdが実際に読み、単純に「素晴らしかった」と思える本。
  • 実際に戦略立案実務や事例共有に役立っている関連書籍。
  • 長年に渡って読み継がれており、時代を越えても変わらない「本質」や「原理」が見出せる関連本。

もちろん、すべて「なぜ読むべきなのか?」という解説付きだ。

1:ロジカルシンキング

本書は、ロジカルシンキングを学ぼうと思ったら誰もが通るベストセラーであり「ロジカルシンキングの名著」だ。

著者である照屋氏はマッキンゼーのエディターとして活動した経験を持っており、マッキンゼーを一躍有名にした書籍としても知られる。

本書は「ピラミッドストラクチャー」や「MECE」「So What?/Why So?」など、今では当たり前のように使われるビジネスパーソンの「基本作法」を、日本に普及させた名著と言ってよい。

この書籍は多くのビジネスパーソンにとって「ロジカルシンキングの登竜門」的位置づけと言って良いだろう。もし、あなたが「理解」を越えて「ロジカルシンキングを使いこなしたい」なら、ぜひ一読を勧めたい必読書だ。

2:入門 考える技術・書く技術――日本人のロジカルシンキング実践法

ロジカルシンキングは、あなたの頭の中にあるだけでは意味がない。

ビジネスの現場では、レポーティングや業務メール、あるいは提案書など「自分の考え」を文章に落とす局面は多い。

本書は、ベストセラーとなったバーバラ・ミントの「考える技術・書く技術」の翻訳者が著した、日本人向けのロジカルライティングの書籍だ。

ロジカルライティングは、ロジカルシンキングと異なり、常に「相手」を想定しなければならない。

本書の特筆すべき点は、ロジカルシンキングを「相手に合わせて」「文章に落とす」実行可能な方法論を、徹底的にわかりやすく解説してくれていることだ。

ビジネスとは、突き詰めれば人と人との間にある営みだ。

しかし「自分が伝えたいことをロジカルに伝える」ことはできても「相手が知りたいことロジカルに伝える」ことができる人は、そう多くない。

もし本書を手に取れば、あなたは「ロジカルシンキングを相手に伝わる形に変換する」スキルを身に付けることができるはずだ。

3:賢さをつくる

ロジカルシンキングには限界が存在する。それは推論を考える際の「切り口」の限界だ。

ロジカルシンキングを行う際には「ロジックツリー」というツールを多用する。

ロジックツリーは、目の前にある「問題現象」を要素分解することで根本課題を見抜いたり、あるいは「問題解決」の打ち手の選択肢を広げていくときに使われることが多い。

しかし「要素分解」も「選択肢の拡大」も、その「どのような概念を切り口とするか?」で結論は変わる。そうなると、いかに「筋のよい概念(切り口)」を見出せるかが重要なカギとなるが「筋のよい概念(切り口)」は論理では導き出せない。

本書は「具体」と「抽象」の往復運動を「頭の良さ」と定義した上で、

  • 個別的(具体)⇔全体的(抽象)
  • 短期的(具体)⇔長期的(抽象)
  • 実用的(具体)⇔本質的(抽象)
  • 五感的(具体)⇔概念的(抽象)
  • 現実的(具体)⇔精神的(抽象)
  • 一面的(具体)⇔多面的(抽象)
  • 手段(具体)⇔目的(抽象)
  • 問題解決力(具体)⇔問題設定力(抽象)

など、具体と抽象を対比させながら「概念化=コンセプチュアルスキル」の重要性と伸ばし方を解説している書籍だ。

ロジカルシンキングは、物事を論理的に深掘りしてくタイプの思考法だ。しかしそれに加えて本書が提示する「具体と抽象を往復する思考法」を身につけることができれば「自由自在に概念を操る」ことが可能になる。

もしあなたが「筋の良いロジックツリーを創れるようになりたい」と思うなら、ぜひ一読をお薦めする。

このブログから書籍化した本3冊

既刊|「シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説

冒頭でも紹介したが、再度ここでも紹介させていただこう。

本書は、この記事で解説した「演繹法」「帰納法」に加え、近年クローズアップされつつある第三の論理展開「アブダクション」についても解説した書籍だ。

このブログをお読みのあなたなら、すでに仮説思考の重要性はご存じのことだろう。

仮説思考は大きく分けて、以下の3通りの使い方が存在する。

  • 法則化:
    複数の事実から共通性を発見し、法則化する【帰納的思考】
  • 問題解決:
    目の前の問題に「法則」を当てはめ「その背景にある原因は何か?」に対する仮説を立てる【アブダクション】
  • 戦略立案:
    現状に「法則」を当てはめ「先々、どのようなことが起こり得るか?」に対する仮説を立てる【演繹的思考】

このように「演繹的思考」「帰納的思考」「アブダクション」の応用範囲は広く、極めて役立つな思考法だが、一方で「どのように組み合わせたら、優れた仮説が立てられるのか?」という「運用能力」が試される思考法でもある。

本書は、各思考法の解説に留まらず「3つの思考法の組み合わせ方」にも焦点を当て、運用まで持っていけるように解説しているのが特徴だ。

誤解を恐れずに言えば、あらゆるビジネスは仮説が成否を握る。なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を打ち出しようがなくなるからだ。その結果、そこでビジネスの成長は止まってしまうことになる。

そして、優れた仮説を生み出すには「演繹法」「帰納法」「アブダクション」の運用能力は必要不可欠だ。

おかげさまで、本書はNewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、版を重ねている。Amazonレビューでも、

  • 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
  • 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
  • 「一生もののスキルになるのは間違いない」

など、有難い言葉を頂戴しており、嬉しい限りだ。 

もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。

 

新刊|「仕事の質と生産性を上げる57の方法」を徹底解説

拙著「超効率ハック」は、仕事の生産性向上を目的に「時間・段取り・コミュニケーション・資料作成・会議・学び・思考・発想」という8つのジャンルのライフハック術を網羅的にカバーしている書籍だ。

ただし、類書の「ライフハック本」と大きく異なる点は「EXCELの関数を覚える」「ショートカットキーを使い倒す」などの小手先のテクニックではなく、その大元にある「頭のスイッチの切り替え方」を解説している点だ。

どんなに時短テクニックを駆使して処理スピードを上げたとしても、その作業自体が必要のない作業だったとしたら意味がない。しなくてもいいことを効率的に行うことほど、無駄なことはない。

この場合、必要なのは「作業の処理スピードを速める力」ではなく「不必要な作業を見極め、周囲を納得させる力」だ。

本書は、このような「頭のスイッチの切り替え方」を8ジャンル57項目に分けて、具体的な処方箋を交えながら紹介している。

おかげさまでAmazonレビューでも、

  • 「どのライフハック本と比べても異色であり、学べることが多かった」
  • 「読んでみると、頑張りどころを間違えてたことに気付かされる」
  • 「仕事が速い人はこれをやってたんだな、ということがよくわかった」

など、ありがたい言葉を頂いている。

もしあなたが「仕事術をマスターしたい」「仕事の生産性を劇的に高めたい」と感じているのなら、ぜひ一読してみて欲しい。

既刊|ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」

本書は、筆者の専門である「ブランディング」について解説した書籍だ。

ブランディングは、ややもすれば「デザインの話」「広告の話」「世界観の話」など、掴みどころのない抽象論に陥りがちだ。

しかしブランディングは「ブランド戦略」という言葉があるように、企業の成否を大きく左右する戦略のひとつだ。そして投資が伴う以上、一定の合理性と説明責任が求められる。決して、売上や利益から逃げてはならないのだ。

本書は、つい「感覚論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

「論理」が理解できなければ、ブランディングを体系的に理解することできず、再現性を生むことができない。

そして「直感的な腹落ち感」がなければ、ブランディングを実務に落とせず、成果をもたらすことができない。

本書は、広告代理店&外資系コンサルティングファームで培った「生の知見」と「体系的な解説」を通して、ブランディングの理論を実践へとつなげて解説している。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー入りを果たし、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉をちょうだいしている。

もし本書を手にとって頂ければ、ブランディングの専門用語はもちろん、実践の手順や実務の勘所が、一通り学べるはずだ。

その他の解説記事とおすすめ書籍

もしあなたが本解説以外にも関心があるのであれば、リンクを張っておくのでぜひ必要な記事を探していただきたい。

また、下記の記事ではより深く学びたい方におすすめ書籍を紹介している。ぜひご覧いただければ幸いだ。

終わりに

今後も、折に触れて「あなたをブランドにする思考法」の解説を続けていくつもりだ。 

しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。

それでも、このブログに主旨に共感し、何かしらのヒントを得たいと思ってもらえるなら、ぜひこのブログに読者登録Twitterfacebook登録をしてほしい。

k_birdがブログを更新した際には、あなたに通知が届くはずだ。