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問題解決とは|「問題発見」から「問題解決」までの全手順と手法例

問題解決とは|問題解決プロセスと問題解決力を身につける方法

この記事に辿り着いたあなたなら「問題解決力を身につけたい」「問題解決のプロセスをマスターしたい」と考えていることだろう。

昨今では、様々な「問題解決の本」が溢れ、その多くは第一線で活躍するコンサルタントが執筆している。それ自体は素晴らしいことだが、その副作用として「問題解決」はコンサルタントや経営企画部門など「頭の良い人たちがする」「特別な仕事」と誤解している人も多い。

しかし問題解決は「頭の使い方」という「技術」の問題であり、頭の良し悪しは関係ない。技術として整理し、習得すれば、誰もが自覚して使いこなせるようになれるものだ。

また、あらゆるビジネス活動が不確実な未来に向かってなされる以上「問題が発生しない」ことはあり得えない。問題解決は「特別な仕事」ではなく、日々の業務にこそ生かせる技術だ。

しかし「問題解決」を「頭の良い人たちがする」「特別な仕事」と捉えて「誰かが解決してくれるだろう」と考えてしまうと、すべては他人任せとなる。その結果、あなたは いずれ「事なかれ主義」や「単なる評論家」に陥ってしまうことになる。

一方で、どれだけあなたからは遠い問題に思えても、いったんは自分に責任を置き「自分が何をすれば解決に近づくだろうか?」と考える当事者意識を持てれば、これまでは「どうせ無理」と諦めがちだった問題に対して、自分が貢献できる部分がわずかながらでも見えてくるはずだ。

今回はそんなあなたに対して、問題発見と問題解決のプロセスについて解説する。ぜひ、今回の解説を最後までお読みいただき、実践して欲しい。

問題解決とは何か?問題解決の意味

「問題」とは何か?

突然の質問で恐縮だが、あなたは「問題とは何か?」と聞かれて、なんと答えるだろうか?ちなみに、デジタル大辞泉に掲載されている教科書的な定義は以下の通りだ。

問題とは?-教科書的な定義
  1.  解答を求める問い。試験などの問い
  2. 批判・論争・研究などの対象となる事柄。解決すべき事柄
  3. 困った事柄。厄介な事件
  4. 世間が関心をよせているもの。話題

しかし上記の「教科書的な定義」をご覧になって、あなたは「問題とはこういうものだ」と腹落ちできただろうか?上記の定義は極めて漠然としているため、あなたは腹落ちできなかったのではないだろうか?

そこでもう一つ、より本質的な以下の質問に答えてみて欲しい。

あなたはなぜ「問題」を「問題」と認識するのか?

仮にあなたが営業担当者だったら「売上が上がらない」という状態は「問題」として認識するはずだ。また、あなたがダイエットの真っ最中だとしたら「体重が増えすぎた」ことに問題を感じていると思う。

では、なぜあなたはそれらを「問題」として認識するのだろうか?

鋭いあなたならお気づきかもしれないが、その理由は「自分が考える理想的な状態」に「今の現実」が至っていないからだ。上記の例を正確に描写すると、下記の通りとなる。

  • 本来は、もっと売上が上がっていてほしい(理想)
    なのに、上がっていない(今の現実)
  • 本来は、もっと低い体重でありたい(理想)
    なのに、体重が増えすぎている(今の現実)

人は物事を捉える際に、暗黙のうちに「理想的な状態」と「今の現実」を比較している。そして両者にギャップがあるときに、それを「問題」と認識するのだ。

このように考えると、よりアクションに結びつけやすい実用的な「問題」の定義は以下の通りとなる。

問題とは?-実用的な定義

「理想の状態」と「現実の状態」とのギャップ。

「問題解決」とは何か?「問題解決」の意味を定義する

「問題」とは「理想の状態と現実の状態とのギャップ」のことだ。だとすれば「問題」を認識するには、

  • 理想の状態
  • 現実の状態
  • そのギャップ

の3つが正確に認識できていなければならないことになる。

こと「問題」となると、人はつい「今、生じている困りごと」だけに着目しがちだ。しかしそもそも「理想の状態」に無関心であれば、人は「問題」を感じることはなく「問題解決」にも思いが至らなくなる。

そう考えれば「問題」の立脚点は「今の困りごと」ではなく「理想の状態」の方であり、

  • 「理想の状態」が明確にイメージできるか?
  • 「理想の状態」に対して当事者意識が持てるか?

の2つが揃って初めて「現実とのギャップ」に思いが至るようになり、問題解決のスタートラインに立てることになる。

これらを踏まえれば「問題解決」の本質は「今ある問題の解決」ではなく「理想の姿の実現」であることがお分かりいただけるはずだ。

問題解決とは?

「理想の姿」を実現するために「現実とのギャップ」を埋めること。

問題解決のプロセスと手法

いよいよここからは、問題解決のプロセスと手法について、具体例を交えて解説していこう。問題解決のプロセスは、大きく8つのフローに分けることができる。

  1. 問題を発見する
  2. 問題を見極める
  3. 問題の発生源を特定する
  4. 問題の発生原因を特定する
  5. 原因に対する解決策を立案する
  6. 解決策を実行する
  7. 解決策を評価する
  8. 新たな問題を発見する

問題解決といえば、精緻な分析や特殊なロジックなど専門的な内容を思い浮かべるかもしれない。しかし冒頭でも解説した通り、正しい手法とプロセスを踏めば、誰でも使いこなせるようになれる「技術」だ。

問題解決の「技術」を身につけるには、正しいプロセスを学んで繰り返し練習することが近道となる。ぜひ「問題解決の8つのプロセス」をお読みになり、実践に結びつけて欲しい。

問題解決のプロセスと手法-1:問題発見

当たり前のことだが、問題は発見できなければ解決のしようがない。だとすれば、あらゆる問題解決の出発点は「問題の発見」となる。

適切に問題を発見するには、以下の2つを認識しておくことが大きな助けとなる。

  • 「問題の種類」を認識しておく
  • 「観察力」と「洞察力」の重要性を認識しておく
問題発見-1:「問題の種類」を理解しておく

先ほど「問題」とは「理想の状態と現実の状態とのギャップである」と解説した。

問題とは?

「理想の状態」と「現実の状態」とのギャップ。

この「問題の定義」に照らせば、問題は大きく3つに分類することができる。

  • 「問題」の種類-1:「発生型」の問題
    「発生型の問題」とは、すでに発生してしまっている問題を指す。
    例えば競合ブランドの大胆な値引きにより、自社ブランドの売上が落ち始めた、などは「発生型の問題」の典型例だ。すでに異常な兆候が見えているため、問題の発見は容易だ。
  • 「問題」の種類-2:「潜在型」の問題
    「潜在型の問題」とは、今後発生しうるであろう問題を指す。
    例えば、数年後に見込まれる確実な環境変化に対して、自社の対応力不足が見込まれる場合などが「潜在型」の問題だ。
    先ほど「問題」とは「理想と現実のギャップ」と解説したが「現実」のほうに将来マイナスの変化が見込まれ、ダウンサイドリスクが生じている状態だ。
    しかし現状においては「問題の兆候」が生じていないため「発生型」と比べて、認識が難しくなる。
  • 「問題」の種類-3:「設定型」の問題
    「設定型の問題」とは、高い理想に近づけるために設定した問題を指す。
    例えば自社ブランドが掲げるビジョンを実現する上で「何が足りないか」を設定する場合などが「設定型」の典型だ。
    こちらも「目に見えるトラブル」ではないため、常に意識しておかないと自覚しずらい「問題」だ。

このように「問題」は「今現在、目に見える形で生じている事柄」だけとは限らない。

問題には「発生型」以外にも「潜在型」や「設定型」が存在することや、常に「理想の姿」に照らして考えるべき事柄であることを認識しておけば「問題」に対するあなたの感度は上がり、問題発見力が向上するはずだ。

問題とは?問題の種類

問題発見-2:「観察力」と「洞察力」の重要性を認識しておく

例え「問題には3つの種類がある」ことを認識できたとしても、それらの問題を発見できるかどうかは、あなたの「観察力」と「洞察力」に大きく依存することになる。

観察力は「発生型」の問題を発見する上で重要な能力だ。一方で洞察力は「潜在型」や「設定型」の問題発見力に大きな影響を与える。

観察力や洞察力に関しては、以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてほしい。

問題解決のプロセスと手法-2:問題の見極め

問題を発見したら、次は「問題を見極める」ステップが必要となる。なぜなら「解くべき問題の見極め」を間違えれば「解いた答え」も、当然間違うことになるからだ。

例えば、あなたが「太りすぎている」という問題を抱えていたと仮定しよう。そのまま問題を「太りすぎていること」と捉えれば、その解決策は「食べる量を減らす」あるいは「消費カロリーを増やす」になるだろう。

しかし、いったん「問題」を吟味した結果、真の問題が「太っていることによって、モテないこと」だったとしたらどうだろうか?

この場合「痩せる」という方向性の解決策もあるが、一方で「ぽっちゃり体型が好きな異性を探す」という別の方向性の解決策も選択肢に入ることになる。

このように「真の問題の見極め」は、その後の解決策に大きな影響を与える。そのため、決して欠かせないステップだ。

それでは「真の問題を見極める」ためには、そのような視点を持っておくとよいだろうか?4つの視点を解説しよう。

問題を見極める視点-1:「理想の状態」を突き詰める

先ほどのダイエットの例では「理想の状態」を突き詰めた結果、真の問題は「太っていること」ではなく「モテないこと」であることが明らかとなり、その結果、解決策の選択肢は広がった。

このように「理想の状態」を突き詰めることで「真の問題」は見極めやすくなる。

重要なことなので繰り返すが、問題解決の本質は「今ある問題の解決」ではなく「理想の姿の実現」だ。ぜひ、問題を発見した後は理想の状態を突き詰め「真の問題を見極める」習慣をつけよう。

問題発見:理想の状態を突き詰める

問題を見極める視点-2:物事を広く捉える

もしあなたが自動車メーカーのマーケティング担当者だったら「車を所有する人が減っている」という問題に対して、どのように問題を見極めるだろうか?

確かに現在、車を「所有する」人は減りつつある。しかし市場を広く捉えれば「レンタカー」や「カーシェアリング」など車を「借りる」人は増えていることがわかる。

だとすれば、問題を「車を所有する人が減っている」ではなく「車を借りたいというニーズに応え切れていない」と定義すれば、自社でレンタカー事業やカーシェアリング事業を展開することで「車を借りたい」ニーズに答え、自社の車の良さを体験してもらった上で販売に結びつける、などの解決策も選択肢に入ってくる。

事実、トヨタ自動車はディーラーでカーシェアリング事業を開始し、それをトヨタ車の販促手段として活かそうとしているようだ。

このような、物事を広く捉えて問題を見極めることで、煮詰まった問題の打開策になることがある。

問題発見:物事を広く捉える

問題を見極める視点-3:UX(ユーザー体験)の視点を持つ

もしあなたがビルオーナーで、テナントから「エレベーターの待ち時間が長い」というクレームに悩まされていたとしよう。あなたはどのような問題解決策が思いつくだろうか?

考えやすいのは、平均待ち時間を制御するAIをエレベーターに導入し、最適化技術を通して待ち時間を減らすことだろう。しかしこの解決策は、大きな設備投資を覚悟することになる。

一方で、エレベーターを使う側から見た「UX(ユーザー体験)の視点」に立って考えてみよう。

UXの視点に立てば「エレベーターの待ち時間が長い」という問題は「エレベーターを待っている時間が無意味に感じること」と再定義することができる。だとすれば「無意味に感じる時間」を「有意義に感じる時間」に変えることができれば、大きな設備投資をせずに問題は解決することになる。

事実「エレベーターの横に鏡を置く」という施策で、エレベーターを待っている時間を「無意味な時間」から「身だしなみを整える有意義な時間」に変え、クレームを大きく減らした例が存在する。

また、ゴミの不法投棄が問題となっている場所に小さなお地蔵さんを設定したら不法投棄が減った、なども「UX(ユーザー体験)の視点」を活かした問題解決例だ。

つい「問題」といえば、モノや仕組みに着目しがちだが、ぜひ「人の感じ方」にも目を向けてみよう。驚くほどシンプルに問題を解決できる場合がある。

問題発見:UX(ユーザー体験)の視点を持つ

問題を見極める視点-4:問題を成り立たせている「見えない前提条件」を疑う

今、目の前に2つのリンゴがあり、3人の子供が取り合いの喧嘩をしていると仮定しよう。あなたはどのようにこの「問題」を解決するだろうか?

最も考えやすいのは、2つのリンゴを3等分に切り分け、3人の子供に2つずつ切れ端を配る、という解決策だろう。しかし「前提条件」を疑うことができれば、別の解決策も見えてくる。

例えば、上記の問題を成り立たせている「前提条件」を洗い出していくと、

  • 「リンゴは食べ物として3人の子供に分配しなければいけない」という前提
  • 「リンゴは、今すぐに3人の子供に分配しなければいけない」という前提

を置いていることがわかる。このように、いったん「問題を成り立たせている前提」を洗い出した上で、その前提を覆す視点を取り入れてみよう。例えば、以下の通りだ。

  • 「リンゴは食べ物である」という前提を覆してみる
    リンゴをミキサーにかけてジュースにし、ジュースを子供3人で分けられないか?
  • 「今すぐ配る必要がある」という前提を覆してみる
    リンゴから種を取り出して庭に埋めることで、リンゴの木が成長していくのを子供と一緒に楽しめないか?

このように「問題を成り立たせている前提」を疑うことで、創造的な問題解決策が見えてくる場合がある。上記の例の場合、単に「リンゴを切り分けて配る」という解決策よりも「リンゴをジュースにする体験を楽しむ」「リンゴの木が成長する未来を想像して楽しむ」ほうが、3人の子供は喜ぶかもしれない。

また、別の例でも解説しよう。

もしあなたが出版社のマーケティング担当者で「本が売れない」という問題を抱えていたとしよう。問題を成り立たせている「前提条件」を洗い出していくと、

  • 「本は紙でできているもの」という前提
  • 「本は読んだら終わるもの」という前提
  • 「本は読むもの」という前提

など、様々な「前提」が洗い出せるはずだ。そして、それらの前提を覆す視点を入れることで、

  • 「本は紙でできているもの」という前提を覆してみる
    必ずしも本は紙でできていなくてもよい
    →電子書籍のビジネスモデル’
  • 「本は読んだら終わるもの」という前提
    必ずしも本は読んだら終わらなくてもよい
    →デアゴスティーニ流の「コレクション型」のビジネスモデル
  • 「本は読むもの」という前提
    必ずしも本は読むものでなくてもよい
    →表紙はアート性が高く中身は白紙の本をインテリアとして売るビジネスモデル

など、これまでの想定にはない問題解決策を導き出すことができる。

問題は、その問題を成り立たせている「見えない前提条件」が存在する。そして「見えない前提条件」を覆すことで、より創造的に問題を解決できる場合がある。

もしあなたが何らかの問題を発見したら「その問題を成り立たせている見えない前提条件は何か?」にも思いを馳せてみよう。

問題発見:見えない前提条件を疑う

問題解決のプロセスと手法-3:問題の発生源の特定

発見した問題を見極めることができたら、次は「問題の発生源」を特定するステップだ。それではなぜ、問題の発生源を特定する必要があるのだろうか?

例えば「売上の減少」という問題について考えてみよう。

「売上の減少」を総体として捉えた場合、その解決策は無数に存在する。そして成果を出すためには、無数の解決策のすべてを試さなくてはいけなくなる。これではいつ成果がでるかがわからず、リソースも大きく消費してしまうことは想像に難くないはずだ。

一方で「問題の発生源を特定するステップ」を踏むとどうだろうか?「売上の減少」の場合、想定される「問題の発生源」は、

  • 購入者数の減少
  • 購入単価の減少
  • 購入頻度の減少

のいずれかを想定できる。そしてもし問題の発生源が「購入頻度の減少」なら、そこに絞って問題解決策を策定し、実行することが可能になる。更に「購入頻度が減っている」という問題の発生源を、

  • 独身女性層なのか?
  • DINKS層なのか?
  • 専業主婦層なのか?
  • 働く主婦層なのか?
  • シニア女性なのか?

などと絞り込んでいけば、問題解決に費やすリソースはより少なくて済む。

あなたの企業のリソースは、いつだって有限だ。限られたリソースを効果的に活用し成果を出したいなら「問題の発生源をロジカルに絞り込んでいく」のは欠かせないステップだ。

問題発見:見えない前提条件を疑う

題解決のプロセスと手法-4:問題発生の原因の特定

問題の発生源を特定できたら、次は「問題発生の原因を特定する」ステップだ。

問題には、かならずそれを生じさせている原因が存在し、原因に作用する問題解決策を講じない限り、すべての施策は対処療法止まりとなる。その結果、施策の成果は限定的となり、いずれ同じ問題が再燃してしまう。

例えば「購入頻度が減少している」という問題の原因が「使用用途が狭い結果、使用機会が少ない」ことだったとしよう。

だとすれば問題解決策は「使用用途を広げ、使用機会を増やす施策提案」であり「商品を買ってシールを集めれば景品がもらえるキャンペーンで購入頻度を増やそう」という解決策は的外れであることがご理解いただけるはずだ。一時的な効果は見込めるかもしれないが、根本的な解決策になっていないため、いずれ同じ問題が再燃する。

このように「問題を生じさせている原因を特定する」ステップは、的外れな施策にリソースを浪費しないために欠かせないステップだ。

問題の原因を特定することは決して簡単ではないが「なぜ?」と問い続ける作業を繰りかえせば、今まで見逃していた問題の本質を見出す結果につながることが少なくない。

ぜひあなたが問題解決力を身につけたいなら「…に尽きる」と言い切れるまで、問題の原因を分析’しよう。

問題解決のプロセスと手法-5:問題解決策の立案

問題の原因が特定できたら、次は「解決策を立案する」ステップだ。

解決策を立案するステップは「問題解決策のKPIを定める」「解決策を立案する」「解決策を評価する」「関与者を動機づける」の4つの小ステップにわけることができる。

問題解決策の立案-1:問題解決策のKPIを設定する

見えないものは管理できない。そして管理できないものは、改善もできない。

問題解決策を立案する際には、それと並行してKPI(重要業績評価指標)を定める習慣をつけよう。KPIの意味や重要性、設定の仕方は下記の記事で解説しているので、ぜひご覧いただきたい。

問題解決策の立案-2:問題解決策を立案する

ある原因が存在しているとき、そも原因に効く問題解決策は一つとは限らない。問題解決策は複数、それもできるだけ多く考えておくことが重要だ。

なぜなら、どのような問題解決策も未来に向かってなされる以上、必ず成功するとは限らない。思い通りにやりきることができなかったり、効果が不十分だったりする場合もありうる。その際ににすぐに代替策が打てるよう、複数の問題解決策を仕込んでおく必要がある。

問題解決策の立案-3:問題解決策を評価する

複数の問題解決策が立案できたら「どの問題解決策を実行に移すべきか?」を評価しよう。多くの場合、

  • 期待効果の大きさ
  • 投入資源の少なさ
  • 成果が得られるまでの時間の短さ

で評価することが多い。

問題解決策の立案-4:関与者を動機づける

問題解決プロセスは、実行フェーズに移るにしたがって爆発的に関与者が増えることになる。よって「問題解決策が正しいかどうか」とは別に「ひとりひとりの意志に訴え、感情に訴え、動機付けていくためのプラン」も同時に考えておきたいところだ。

どのような問題解決も、最後は「人と人との営み」になる。そして「人と人との営み」には少なからず感情論が入り込むことは避けられない以上、正論を正論だと振りかざすだけでは始まらない。

重要なのは「正しい答えを出すこと」ではなくで「問題を解決すること」なのだから「問題解決の意義」や「問題解決策の妥当性」を当事者たちに信じさせる、実行させるための策も考えておくべきだ。

問題解決のプロセスと手法-6:問題解決策の実行

問題解決策を立案できたら、次は「解決策を実行に移す」ステップだ。

先述した通り、問題解決は実行フェーズに移るにしたがって関与者が爆発的に増えていく。そして爆発的に増えた関与者の足並みを揃えるには、適切なプロジェクトマネジメントが必要になる。

プロジェクトマネジメントに必要な要素は、大きくわけると下記の通りだ。

問題解決の実行-1:必要なタスクを洗い出す

「タスク」とは「作業内容」のことを指す。

どのような問題解決プロセスも「タスク」を積み重ねていくことで初めてゴールにたどり着くことができる。そして事前にゴールまでの「タスク」を洗い出しておけば「ゴールまでにやるべきこと」のイメージが明確になるため「何をやるべきか」の共通認識が持ちやすくなる。

問題解決の実行-2:タスクを工程化する

タスクを洗い出したら、それらのタスクを「工程化」しよう。

タスクを工程化していくと「同時並行で進められるタスク」と「同時並行で進められないタスク」があることに気が付けるはずだ。

「同時並行で進められるタスク」はスケジュールを並列化することでプロジェクトの期間を短縮する工夫を施すことができる。

一方で「同時並行で進められないタスク」は、前工程の「成果」が後工程を進める際の「前提」となる直列関係になっていることが多い。そのため、前工程が遅れると後工程も「ドミノ倒しで遅れる」という現象が起きやすいため、スケジュール化の際にはバッファを厚く持っておきたいポイントだ。

問題解決の実行-3:タスクの役割分担を決める

タスクを工程化したら、一つ一つのタスクをモレなくダブリなく人に割り当て「タスク→人」の役割を明確にしよう。

人は「このタスクは自分の役割である」と自覚できて初めて責任感を持ち、能動的に行動できるようになる。

逆に「タスクごとの役割分担」が明確でなければ、プロジェクトの後半になって「このタスクはだれがやるんだっけ?」というヌケが生じてが炎上したり、同じタスクを別の人が重複して作業することでダブリが生じ、プロジェクトの生産性を大きく落としてしまうことになる。

問題解決の実行-4:タスクのスケジュールを決める

タスクと役割分担が決まれば「それぞれのタスクに必要な業務量」と「割り当てられた人材の能力(=処理スピード)」を掛け合わせて「それぞれのタスクに必要な時間」が見積もれるようになる。

そしてそれらを「タスクの工程化」に従って配置していけば、プロジェクトの全体スケジュールを完成させることができる。

問題解決の実行-5:プロジェクトマネジメントを行う

いよいよ問題解決が実行に移ったら、3つの視点でプロジェクトをマネジメントしていこう。

1つ目の視点は「タスクの品質」の視点だ。

問題解決はタスクを分解しているため、ともすれば「タスクをやること」自体が目的となってしまいがちだ。しかし本来の目的は「問題が解決されている状態」であり、一つ一つのタスクはそのための手段にすぎない。

この「手段が目的化してしまう」ことを避けるために行うのが品質管理だ。

決して「タスクをやること」を目的とせず「一つ一つのタスクは、あるべき方向に向かっているか?」「求められる水準のタスク品質になっているか?」に注意を向けよう。コツは一つ一つのタスクを「やること」という一般動詞で捉えるのではなく「達成すべき状態」という「Be動詞」で捉えることだ。

続いて、プロジェクトマネジメントに必要な2つ目の視点は「コスト」の視点だ。

「コスト」といえば「直接出ていくお金」をイメージしがちだが、問題解決においては「人」や「労力」が「広義のコスト」として立ちはだかることが多い。

問題解決は「現状」から「あるべき状態」に変えていく取り組みだが、この変化は機械のスイッチのように「ON=OFF」で切り替わるわけではない。

人が絡む以上、必ず「グラデーションの期間」が存在し、その期間は「これまでのやり方」と「新しいやり方」が同時並行で共存するため、一時的に業務の生産性は下がり、コストは増大する。

プロジェクトの失敗要因でよく挙げられるのが「現場の抵抗」だが、現場は日々の数字を追いかけているのだから、例え一時的とはいえ業務の生産性が落ちたりコストが増大すれば、抵抗が起きるのは避けられない。

この時、問題解決の推進側がプロジェクトを「管理する」という視点で捉えてしまうと「現場にやらせる」という上から目線の発想となり、火に油を注ぐ結果となる。

本来、問題解決の推進側に求められるマインドセットは「管理」ではなく「支援」だ。

問題解決を進める上で立ちはだかる抵抗は多いが、あくまで「やらせる」という立場でなく「並走する」「一緒に考えて解決する」という「支援の立場」を取り続けよう。

最後に、プロジェクトマネジメントに必要な3つ目の視点は「期限」の視点だ。

あなたにも経験があると思うが「いつまでに」という「期限」が示されない限り、人はそのタスクの優先順位を落としがちだ。そしてタスクの進捗遅れが起きれば、その後の工程にも響いてしまい、プロジェクト全体が大きく遅延していくことになる。

進捗遅れを回避するには、以下の会議体を設定することが有効だ。

  1. マイルストーン会議
  2. 定例会

マイルストーンとは「道標」のことで「マイルストーン会議」とはプロジェクトの区切りごとに進捗を確認するミーティングのことを指す。ある程度現場に任せてもプロジェクトがスムーズに進むことが見込まれる場合にはマイルストーンを設定し、プロジェクトの区切りごとに進捗を確認することが多い。

一方で、プロジェクトがスムーズに進捗するかどうか見込めず、その都度生じる問題の解決が必要になってくる場合には定例会を設定することが多い。

「定例会」とは、例えば「毎週●曜日の●●時から」などあらかじめミーティングを設定しておき、進捗の確認をしながらその時々で生じる問題を解決するためのミーティングだ。

問題解決プロジェクトは、いったん遅延を許すと組織内に「遅延慣れ」という現象が起き、無秩序に遅延していくことになる。よって事前に「マイルストーン会議」や「定例会」をセットし、できるだけ現場の不満に耳を傾けながら「支援」というスタンスで問題を解決していこう。

問題解決のプロセスと手法-7:問題解決策の評価

問題解決策を実行に移したら、次は「問題解決策を評価する」ステップだ。

重要なことなので繰り返すが、見えないものは管理できないし、管理できないことは改善もできない。

問題解決策を実行したら「問題解決のプロセスと手順-5:原因に対する解決策を立案する」で設定したKPIを元に、問題解決策が有効に機能したかどうかを確認しよう。

もし、問題解決策が有効に機能していない場合「どの部門で」「なぜ」機能しなかったかを明らかにすることで、次の問題解決策につなげていくことができる。

この場合、重要なのは「犯人探し」ではなく、問題解決策が機能しなかった「理由探し」であり、あくまで当該部門に対して「支援」というスタンスを取り続けることが重要だ。

一方で問題解決策が有効に機能していたら、その成功要因を分析しよう。「どの部門で」「なぜ」機能したのかを明らかにできれば、その成功要因を他の部門へロールアウトすることが可能になる。

問題解決のプロセスと手法-8:新たな問題発見

あなたは、冒頭で解説した「問題の定義」を覚えておいでだろうか?

問題とは?-実用的な定義

「理想の状態」と「現実の状態」とのギャップ。

そして「3つの問題の種類」も思い出してほしい。

  • 「発生型」の問題
  • 「潜在型」の問題
  • 「設定型」の問題

鋭いあなたならお気づきのことと思うが、例え一つの問題が解決したとしても、更なる「理想の状態」を設定し続ける限り「設定型の問題」は永遠になくならない。

もし、あなたが一つの問題解決を終えたら、更なる「理想の状態」を構想する習慣をつけよう。そうすれば、あなたは常に「設定型の問題」を認識し、問題解決プロセスを繰り返すことで、部門や会社、ひいては生活者、社会を理想の状態に変えていくことができるはずだ。

問題解決に、終わりはない。常に「理想の状態とは何か?」を問い続けることで、問題解決の当事者であり続けよう。

問題解決の本|おすすめ書籍5冊

締めくくりに、あなたにおすすめできる「問題解決の本」を紹介しよう。選定した基準は下記の通りだ。以下のどれかに当てはまるものをピックアップした。

  • k_birdが実際に読み、単純に「素晴らしかった」と思える問題解決の本。
  • 実際に戦略立案実務や事例共有に役立っている問題解決関連書籍。
  • 長年に渡って読み継がれており、時代を越えても変わらない「本質」や「原理」が見出せる問題解決関連本。

もちろん、すべて「なぜ読むべきなのか?」という解説付きだ。

問題解決の本おすすめ書籍-1:世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく

日々あなたが行っている業務の一つ一つは、突き詰めれば、何らかの問題解決につながっているはずだ。

問題解決の本は山ほどあるが、本書の特筆すべき点は、世界的な経営コンサルティング会社で使われている「問題解決力」のトレーニングを、中学生向けに丁寧に解説している初学者向けの入門書であることだ。

職業柄、様々な「問題解決本」を読んできたが「わかりやすさ」と「質」を最も高いレベルで両立しているのが本書だ。

もし、あなたやあなたのチームの同僚が「問題解決力を身につけたい」と考えるなら、まずこの書籍をお勧めしたい。

また、配属した新人に問題解決力を身につけてもらう上でも、最も適切な入門書となるだろう。

問題解決の本おすすめ書籍-2:問題解決―あらゆる課題を突破する ビジネスパーソン必須の仕事

問題解決には、効果的に問題を解決するための「思考プロセス」と「手順」が存在する。

本書は、元外資系コンサルティングファームで活躍した筆者が、トヨタ自動車など名だたる企業の研修トレーニングの経験から、問題解決に向けた「思考プロセス」と「手順」をまとめた実践書だ。

本書の秀逸な点は「ストーリー仕立て」と「体系的な解説」がセットで描かれている点だ。

問題解決プロセスは、ともすれば「理屈はわかるが、現場で活かせない」という状況に陥りがちだが、本書は問題解決における「リアルな現場ストーリー」が描かれているため「どのような局面で」「どのような手順で」「どのような思考プロセスで」考えれば「現場で生きるか?」がわかりやすいのが特徴だ。

もしあなたが「問題解決の理屈はわかるが手順がわからない」「実際の現場で活かせない」と感じているのなら、本書は必読書となる。「理論」が「実践」に変わる瞬間が訪れるはずだ。

問題解決の本おすすめ書籍-3:コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法

本書は、マッキンゼーとBCGの2大コンサルティングファームを経験し、現在では教職にあるにつく著者が」問題解決」だけでなく「機会発見」あるいは「価値創造」も含めた手順と手法を解説している書籍だ。

本書の特筆すべき点は、著者がマッキンゼーとBCGの両方を経験しているため、それぞれの「良い点」「悪い点」をくみ取りながら問題解決を越える価値創造手法を提示してくれている点だ。

ビジネスの世界には「PEST」「3C」「SWOT」など様々な分析手法があるが「問題解決」「価値創造」それぞれの局面での異なる使い方を披露してくれているのも特徴だ。

また「問題解決」といえば、ともすれば「ロジック」「構造化」など「行儀のよい教科書的な解説」になりがちだ。しかし本書では「なぜ、実行できないのか?」「問題解決を価値創造に結びつけるには?」まで落とし込んで考える方法論を提示してくれている。

もしあなたが問題解決を越えて「価値創造」にまで結び付けたいなら、ぜひ本書を一読することをおすすめする。

問題解決の本おすすめ書籍-4イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

間違った問題定義は、間違った問題解決を生む。

本書が主張しているのは、問題を解く前に、そもそも「何が問題なのか?」を見極めることの重要性だ。

このブログをお読みのあなたなら「仮説思考」や「問題解決」の重要性は理解しているはずだ。しかしどんなに優れた「仮説」や「問題解決」も、そもそもの「問題の見極め」が間違っていれば、間違ったものになる。

また「正しい問題の見極め」ができれば「考えるべき問題」と「考えても答えがでない問題」の切り分けが可能になり、業務の生産性は飛躍的に高まる。

問題解決やロジカルシンキングの本は、どれも「既に正しい問題は見極められている」ことが前提でロジックツリーやピラミッドストラクチャーを解説しているものが多い。しかし重要なので繰り返すが、間違った問題定義は間違った答えしか生まない。

本書を読めば、イシュー度の高い問題に絞り込み、その問題に対し、質の高い解を出していく方法論が得られるはずだ。

問題解決の本おすすめ書籍-5:世界一やさしい右脳型問題解決の授業

ロジカルシンキングによる問題解決は、限界が存在する。

ロジカルシンキングは、まず問題を構成している「全体」を定義し、その「全体」を要素分解していくことで「真の課題」に辿り着く、という問題解決プロセスをたどる。車を例にとれば、その車を構成している要素を分解し、それぞれの要素を検証していくことで「問題はエンジンである」という答えに辿り着くイメージだ。

しかし、残念ながらこのアプローチだけでは「無人運転車を創ろう」という発想は出てきにくい。なぜなら「全体」を定義するときに、暗黙の了解として「今現在の車」を前提としているためだ。

本書は、そんな「ロジカルシンキング」の限界を突破し「右脳」を生かしてクリエイティブに問題を解決する手法を解説した書籍だ。

前述した「世界一やさしい問題解決の授業」と同様に「創造的に問題を解決する方法・手順」を中学生向けに丁寧に解説してくれている。

もしあなたが「前提」や「常識」を捉えなおし、より創造的な問題解決力を手に入れたいなら、本書はその入門書として最適だ。

その他の解説記事とおすすめ書籍

もしあなたが本解説以外にも関心があるのであれば、リンクを張っておくのでぜひ必要な記事を探していただきたい。

また、下記の記事ではより深く学びたい方におすすめ書籍を紹介している。ぜひご覧いただければ幸いだ。

終わりに

今後も、折に触れて「あなたをブランドにする思考法」の解説を続けていくつもりだ。 

しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。

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