この記事に辿り着いたあなたなら「仮説思考とは何か?」について関心をお持ちのことだろう。あるいは「仮説の立て方」や「仮説構築力」に関心をお持ちだろうか?
このブログ「Mission Driven Brand」は、外資系コンサルティングと広告代理店のキャリアを持つ筆者が、ビジネスの「できない、わからない」を解決するブログだ。
環境変化が激しい現在においては、例え時間をかけて精緻な「計画」を策定したところで、実行局面では「すでに前提そのものが変化していた」という状況は、当たり前に存在する。
環境変化に柔軟に対応していくためには、どの局面においても常に「仮説」を立て、スピーディーに検証し、ビジネスを進化させていくことが成功を左右する。
よく「優秀な人は1を聞いて10を知る」といわれるが、それができるのは「1の事実」から「残りの9」を、
- 仮説を立てる早さ
- 仮説の幅広さ
- 仮説の精度の高さ
を駆使して導き出す「仮説構築力」を身につけているからだ。
もし、あなたが優れた「仮説構築力」を身につければ、短時間で人の何倍・何十倍もの仮説を立て、生産性を高めていくことができる。
今回は、そんな「1を聞いて10を知る」スキルを身につける上で必須となる「仮説思考」について解説する。
仮説思考は、何もコンサルタントだけの専売特許ではない。
もしあなたが「仮説思考とは何か?」だけでなく「仮説の立て方」や「仮説構築力を身につけたい」と考えているなら、ぜひ最後までお読みいただきたい。
また、この記事の最後には、記事内で紹介した図版のスライド資料を用意しているので、ぜひ復習時に活用頂きたい。
★「シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説
本論に入る前に、僭越ながら拙著を紹介させていただこう。
あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。
なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。
あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握るといっても過言ではない。
しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考の重要性は説くものの、肝心の「仮説思考の身につけ方」になると、
- 「センスが必要」
- 「経験の積み重ねが物を言う」
など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせている書籍が多い。
しかし本書は「仮説思考に必要な頭の使い方の手順」を、豊富な事例とともに徹底解説している。よって、その手順通りに頭を使えば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。
おかげさまで本書は5版を重ね「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただいた。NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、中国や台湾、香港でも出版が決定している。
さらにAmazonレビューでも、
- 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
- 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
- 「一生もののスキルになるのは間違いない」
など有難い言葉を頂戴しており、5刷を重ねている。
もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。
- ★「シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説
- 仮説思考とは?仮説思考の意味
- 仮説の立て方
- 仮説思考を鍛える:「仮説を立てる力」をトレーニングする方法
- 仮説思考の本|おすすめ書籍3冊
- このブログから書籍化した本4冊
- その他の解説記事とおすすめ書籍
- 終わりに
- 仮説の立て方とは|仮説を立てる【仮説構築力】を身につける方法|スライド資料
仮説思考とは?仮説思考の意味
仮説思考とは何か
あなたは「仮説とは何か?」と聞かれて、何と答えるだろうか?
ビジネスにおける「仮説」とは「まだ証明はしていないが、最も確からしい仮の答え」のことを指す。そして仮説思考とは「今ある限られた情報だけで問題の本質や解決策をイメージし、現時点で最も妥当だと思える結論を導き出す思考習慣のことだ。
現時点で最も妥当だと思える結論を導き出す思考習慣
仮説思考を身につけるメリット
続いては、仮説思考を身につけるメリットについて解説しよう。
「情報が多ければ多いほど、正解が導き出せるはず」そう信じているビジネスパーソンは多い。できるだけ多くの情報を集め、課題を徹底的に分析し、精緻に計画を立てて解決策を実行する。一見正しいスタンスのように思えるが、その背景には、
- 情報が網羅的に集まれば
- 徹底的に分析さえすれば
- 綿密に計画さえ立てれば
100%完璧なビジネスが実現できるはず、という「完璧主義」の態度がある。しかし、どのようなビジネスも未来に向けてなされる以上「100%完璧な答え」など存在しない。
そして変化が激しい昨今のビジネス環境においては「徹底的に」「綿密に」「時間をかけて」完璧を期したとしても、完成したころには市場環境が大きく変わっており「完璧にしたはずの答え」は役に立たなくなる。
情報は多ければ多いほど良いのではなく、答えに近ければ近いほど良い。あくまで答えを出すために情報を集めているのだから、あれもこれもと情報収集ばかりに時間と労力をかけるのは本末転倒だ。
一方で仮説思考は「早い段階で仮説を立て、それが正しいかどうかをスピーディーに検証し、間違いに気づいたらすぐに軌道修正し、改めて別の仮説を立てる」という「運用型」の思考習慣だ。
いわば「初めに時間をかけて完璧を期そう」とする考え方ではなく「やりながら仮説検証を繰り返し、PDCAを回すことで成果を最大化していこう」という発想だ。
もしあなたが「仮説思考」を身につけることができれば、以下の3つのメリットを得ることができる。
- 早い段階で情報収集の焦点が絞り込めるようになる
- ビジネスの生産性が高まる
- 問題解決のスピードが速まる
以下、解説しよう。
仮説思考を身につけるメリット-1:早い段階で情報収集の焦点が絞り込めるようになる
仮説思考を身につけることができれば、あなたは早い段階で情報収集の焦点を絞り込めるようになる。
もしあなたが「完璧思考」の習慣を持っていたら、何らかのテーマで情報収集を行う際に「どの範囲の情報を」「どのレベルの深さまで」集めてよいかが皆目見当がつかないはずだ。その結果、情報収集は絨毯爆撃的となり、多大な時間を消費してしまうことになるのは自明の理だ。
一方で、あなたが仮説思考を身につけることができれば「今ある仮説が正しいか?正しくないか」にイシュー(=論点)を絞った情報を、その判断に資するレベルまで集めればよいため、情報収集の焦点を絞りこむことができ、時間を大幅に短縮することが可能になる。
仮説思考を身につけるメリット-2:ビジネスの生産性が高まる
あなたは、パレートの法則をご存じだろうか?
パレートの法則とは、20%の重要なインプットが80%の成果を生み出しているというビジネス上の法則だ。例えば、
- 売上の80%は、全体の20%の顧客で占めている
- 利益の80%は、商品構成全体の20%で占めている
などが典型例だ。
ことビジネスにおいては、与えられた時間は有限だ。この希少資源である「時間」を重要な20%に充てるには、初めに「何が重要な20%なのか?」について仮説を立てる必要がある。
もしあなたが「何が重要な20%なのか?」について仮説を立てることができれば、その20%が80%の成果を生むのだから、生産性は4倍になる。
しかし、もしあなたが仮説を立てず、残りの80%を絨毯爆撃的に検証してしまえば、その成果は20%しかないのだから、生産性は0.25倍(1/4)に落ちてしまう。
このように、仮説思考の有無はビジネスの生産性を大きく変える。もしあなたが仮説思考を身につけることができれば、仕事の生産性は大きく高まるはずだ。
仮説思考を身につけるメリット-3:問題解決のスピードが早くなる
ビジネスの焦点を絞り込むことができれば、問題解決のスピードは劇的に早くなる。
例えば全体で10個の課題があるときに、仮説思考を使って重要な2個に絞り込めば、検証の焦点が絞られる。さらにその2個の課題のみに絞って検証するほうが、10個の課題全てを検証するよりも短い時間で答えに辿り着くことができる。
もし仮説が間違っていたとしても、別の仮説を立てて3つ目、4つ目を検証して正解に辿り着けば、最初から10個の課題を網羅的に検証するよりはるかに問題解決のスピードは早くなる。
ビジネスの世界には「クイック&ダーティ」という言葉があるが、変化が激しい現在においては「完璧を期すが遅い」よりも「仮説は粗いが検証サイクルが早い」ほうが重要だ。
仮説の立て方
仮説思考をトレーニングするメリットが理解できたら、続いては仮説を立てる上で有益な論理展開手法である「アブダクション」について理解を深めよう。
仮説の立て方-1:アブダクションとは
もしあなたがロジカルシンキングを学んだことがあるなら「演繹法」「帰納法」という論理展開手法はすでにご存じのことだろう。
しかし、ロジカルンキングにはもう一つの論理展開手法が存在する。それが「アブダクション」だ。
アブダクションとは、アメリカの哲学者であるパースが提唱し、帰納法、演繹法と並ぶ第三の推論法として近年クローズアップされつつある論理展開手法だ。
アブダクションの定義は、以下の通りとなる。
仮説の立て方-2:演繹法・帰納法・アブダクションの違い
アブダクションをより正しく理解するために「演繹法」「帰納法」との違いについても解説しておこう。
演繹法の論理展開手法と事例
演繹法とは、ルールや法則に物事を当てはめて結論を出す論理展開手法を指す。
例えば、以下が「演繹法」の論理展開の典型事例だ。
しかし上記の論理展開をよく見ると、すでに【ルール・法則】の部分に「市場が縮小すれば、売上が落ちる」という仮説が含まれていることがわかる。
つまり、演繹法はすでに仮説が存在し、その仮説を証明する際には有効だが「新たな仮説を発見する」には不向きな思考法であることがわかるはずだ。
帰納法の論理展開手法と事例
帰納法とは、複数の実例を挙げ、それらの実例の共通点を元に結論を出す思考方法を指す。
例えば、以下が「帰納法」の論理展開の典型例だ。
しかし上記の論理展開をよく見ると、こちらも【実例】の中に「広告を打ったら、売上が伸びる」という仮説が含まれていることがわかる。つまり演繹法と同様に、帰納法も経験則としての仮説が前提としてあり、その仮説を証明していく思考法だ。
よって「新しい仮説の発見」には不向きであることがおわかりいただけるはずだ。
仮説の立て方-3:アブダクションの論理展開手法と例題
アブダクションは、先ほど解説した通り「起こった現象に対して法則を当てはめ、起こった現象をうまく説明できる仮説を導き出す」論理展開手法だ。例に示すと以下の通りとなる。
仮説の立て方の例題-1:売上が落ちた
また、別の事例を挙げると以下の通りだ。
仮説の立て方の例題-2:買う人が減った
更に深掘りをすると、以下の通りとなる。
仮説の立て方の例題-3:競合ブランドへの買い替えが起きた
仮説の立て方-4:アブダクションのメリット
ここまでお読みになってお気づきと思うが、アブダクションには「演繹法」や「帰納法」にない2つのメリットが存在する。
- アブダクションは、仮説を立てる力を伸ばすことができる
- アブダクションは、ロジックの精度を上げることができる
以下、その理由について簡単に解説しよう。
アブダクションのメリット-1:仮説を立てる力を伸ばすことができる
アブダクションのメリットの一つ目は、仮説を立てる力を飛躍的に伸ばすことができることだ。例えば上記の「アブダクションの事例1」では、以下のような事例を例示した。
しかし「法則の当てはめ」の部分を「商品単価が落ちれば→売上は落ちる」と置けば、
という別の仮説を立てることができる。
このように、アブダクションは「ああなれば→こうなる」という「法則」を入れ替えることで多様な仮説を立てることができる。しかし逆を言えば、アブダクションで多様な仮説を立てられるかどうかは、あなたの頭の中にある「法則の多さ」にかかっているともいえる。
精度の高い仮説を立てられる人は、ほぼ例外なく日々の経験から「ああなれば→こうなる」という「法則」を自分の頭の中にストックしている。
そのため「1(=起こった現象)」を聞いた際には、頭の中にある様々な法則を当てはめ、瞬時に「10(=仮説)」を導き出すことができる。
もしあなたがアブダクションを通して優れた仮説を立てたいなら、あらゆる経験を「消費して」終わらせるのではなく、洞察力やアナロジーを駆使して「経験から法則を見出してストックする」習慣を身につけよう。
アブダクションのメリット-2:ロジックの精度を上げることができる
勉強熱心なあなたなら、すでにロジックツリーはご存じのことだろう。
ロジックツリーとは「物事をツリー状に分解し、原因や解決法を見出す」ためのフレームワークだ。ロジックツリーは、一見わかりやすく単純に見えるが、
- 物事を分解する際の「切り口」の仮説
- 分解していく際の論理的妥当性の仮説
の2つが高度に問われるフレームワークだ。
もしあなたがアブダクションを身につけることができれば、ロジックツリーを作成する際に「切り口の仮説」「論理的妥当性の仮説」の両方を見出すことが可能になる。
仮説思考を鍛える:「仮説を立てる力」をトレーニングする方法
最後に、優れた仮説を立てる「仮説構築力」をトレーニングする方法について解説しよう。ここまでの解説を整理すると以下の通りとなる。
- 仮説思考:仮説を立てビジネスに活かす「思考習慣」
- アブダクション:仮説を立てるための「論理展開手法」
もしあなたが仮説構築力をトレーニングしたいなら「仮説思考という思考習慣」と「アブダクションという論理展開手法」の2つをトレーニングする必要がある。
仮説を立てる力をトレーニングする方法-1:アブダクションを思考習慣にする
もしあなたが「仮説を立てる力」をトレーニングしたいなら、まずは、
- 「起こった現象」に対して
- 「頭の中にある法則」を当てはめ
- 「仮説」を立てる
というアブダクションを思考習慣にしていくのがコツだ。例えば以下のような要領だ。
ここで鋭いあなたなら疑問に思ったたはずだ。上記の2段目にある「頭の中にある法則」とは、一体どこからやってくるのか?と。
ここで言う「頭の中にある法則」とは、あなたの日々の経験から得られる「ああなれば→こうなりやすい」という「因果関係」だ。そして「頭の中にある法則(=因果関係)」のストックがなければ、優れた仮説を立てることはできない。
よく「仮説は経験からしか生まれない」といわれるが、仮説思考は「理屈さえわかれば、当てはめてすぐに使える」思考法ではない。日々の経験を経てストックした「頭の中にある法則(=因果関係)」に大きく依存する思考法だ。
よって、もしあなたが優れた仮説を立てられるようになりたいなら、あらゆる経験を「消費して」終わらせるのではなく「経験から法則を見出して頭の中にストックする」習慣を身につけよう。
一見、回り道に思えるかもしれないが「あなたの頭の中にある法則」はあなたオリジナルの「資産」となる。そして時間をかけて積み上げた資産は、時間がかかるだけに簡単には真似できない、あなたならではの競争力だ。
そしてその競争力こそが「精度の高い」「周囲をあっ!といわせる」価値ある仮説を構築する源泉となる。
仮説を立てる力をトレーニングする方法-2:仮説をクイックに検証する習慣をつける
仮説は、高い精度を伴って初めて有益なものとなる。なぜなら精度を伴わない仮説は、単なる「思い付き」に過ぎないからだ。
その際に重要となるのが「頭の中にある法則」の蓋然性の高さだ。
仮説思考を精度の高いものにしていくためには「経験から法則を見出して頭の中にストックする」のと並行して「その法則の蓋然性を検証する」習慣が必要となる。その際に有効なのが、ロジカルシンキングでおなじみの「帰納法」だ。
先ほどの紹介事例では「競技性を前面に出せば、テレビゲームはeスポーツとして盛り上がっていくはずだ」という仮説を立てた。
そしてその際に当てはめた「法則」が「物事は、娯楽から競技に移り変わった時にスポーツとして認識される」だ。この「法則」を「帰納法」で検証すると下記の通りとなる。
仮説は、当てはめる「法則」の蓋然性が低ければ「単なる思い付き」でしかなく、その精度は低くなる。
もしあなたが問題の本質をいち早く発見し、その解決策に素早く辿り着く仮説構築力を身につけたいなら「経験から法則を見抜き、頭の中にストックする習慣」と「常にその法則の蓋然性をクイックに検証する習慣」の両方を持とう。
仮説思考の本|おすすめ書籍3冊
締めくくりに、あなたにおすすめできる「仮説思考の本」を紹介しよう。選定した基準は下記の通りだ。以下のどれかに当てはまるものをピックアップした。
- k_birdが実際に読み、単純に「素晴らしかった」と思える仮説思考の本。
- 実際に実務に役立っている仮説思考関連書籍。
- 長年に渡って読み継がれており、時代を越えても変わらない「本質」や「原理」が見出せる仮説思考の名著。
もちろん、すべて「なぜ読むべきなのか?」という解説付きだ。
仮説思考の本おすすめ書籍-1:
仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法
あなたは「なぜ、ビジネスには仮説が必要なのか?」を周囲に説明できるだろうか?
どれだけ多くの情報を集めたとしても、ビジネスにおいて100%の正解など存在しない。なぜなら、あらゆるビジネスは未来に対してなされることであり、未来のことなど誰も100%予測することは不可能だからだ。
「仮説思考」とは、情報が不十分だったり、分析が進んでいない段階でも、問題解決を図る上で自分なりの「仮の答え」を持つという考え方だ。
「仮の答え」が持てれば「仮の答えが正しいか否か」にスコープを絞って情報収集や分析を行えるようになる。その結果、問題解決の生産性が高まり、意思決定のスピードも格段に早まる。
あらゆる物事は、結局は「やってみなければわからない」以上、成功の確率を上げていくためには、素早く仮説の検証と意思決定を行い、実行フェーズで愚直に改善していくほうが現実的だ。
しかしだからと言って、当初の仮説が甘ければ成果はおぼつかない。
本書では「どうすれば早く良い仮説を立てられるか」「仮説が正しいかどうかを、どう検証すればいいのか」などを、実際のビジネスの現場でよく出会うような事例を基に解説してくれているベストセラー書籍だ。
情報が多ければ多いほど、よい問題解決ができるはず。そんな先入観をもつビジネスパーソンにこそ、必読の一冊だ。また、本書は「マンガ版」としてマンガでわかる! 仮説思考も出版されているので、活字が苦手な方はまずはマンガから入るのも一つの手だ。
仮説思考の本おすすめ書籍-2:
イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
間違った前提は、間違った結論を生む。
本書が主張しているのは、問題を解く前に、そもそも「何が問題なのか?」を見極める「論点思考」の重要性だ。
この解説をお読みのあなたなら、仮説の重要性は理解しているはずだ。しかしどんなに優れた「仮説」も、そもそもの「前提(=論点)」が間違っていれば、間違った仮説なる。
ロジカルシンキングの本は、どれも「既に正しい前提は見極められている」ことを想定してロジックツリーやピラミッドストラクチャーを解説しているものも多い。しかし重要なので繰り返すが、間違った前提は間違った仮説しか生まない。
本書を読めば、正しい前提を見極め、その前提に対し、質の高い仮説を出していく方法論が得られるはずだ。
仮説思考の本おすすめ書籍-3:
地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」
例え正しい前提が見極められたとしても、論理的に考える上で適切な切り口を持てなければ、仮説は的外れなものになる。
本書がテーマにしているフェルミ推定とは、自分が全く知らないこと対して、知識と仮説思考を用いて概算を導き出す方法論だ。
このフェルミ推定によって鍛えられる思考力とは「どのような切り口で考えるべきかを考える」思考力だ。
例えば「日本のピアノ調律師は何人か?」という問いの場合「日本にあるピアノの台数は?」「ピアノの調律頻度は?」「1人の調律師が1年で調律できるピアノ台数は?」という切り口で仮説を設定できれば、そこに妥当な数字を置くことでピアノ調律師の人数は推定可能となる。
ロジカルシンキングは、物事を分解していくことで「根本的な課題」や「具体的な解決策」の仮説を立てていく思考法だが、分解していく際の「切り口」を間違えば、精度の高い仮説は導き出せない。
もし、あなたが問題解決の際に「精度の高い仮説創り」に悩んでいるのなら、実は「仮説思考」の手前にある「仮説を創る際の切り口を設定する力」に問題がある可能性が高い。
本書は、そのような「切り口を設定する力」を身に付ける上で、良きトレーニング本となる良書だ。
このブログから書籍化した本4冊
★「シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説
ここまでお読みになったあなたなら、優れた仮説を生み出すには「隠れた法則をどれだけ数多くストックしているか?」が重要であることは、ご理解いただけているはずだ。
本書は「仮説思考に必要な推論の手順」を紹介しているが、その中で「洞察的帰納法」という筆者オリジナルの考え方を使って「隠れた法則を発見する方法」「ビジネスに活かす方法」も同時に解説している。
重要なことなので繰り返すが、あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。
もしあなたが、数多くの「隠れた法則」を発見し、それらを応用することでシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。
★ロジカルシンキングでは学べない「視点力」と「法則力」を身につける※無料のオーディオブック特典付
人は誰しも「視点」を通してしか物事を考えることができない。
別の言い方をすれば「そもそも何を考えるべきか?」という論点(=イシュー)は、視点が決めてしまうともいえる。
また、どんなに適切な視点を置いたとしても「ああなれば→こうなるだろう」という「予測のパターン(=法則)」が頭の中になければ、確かな仮説を導き出すことはできない。
本書はビジネス書から「視点」と「法則」を発見し、思考の質とスピードを上げていく独学術を解説した書籍だ。
1つの「視点」しか持てない人は、1つの論点しか設定することができない。当然、導き出せる仮説も1つだけだ。
しかし5つの「視点」を持てれば、5つの論点を設定できるようになる。その結果、5つの仮説を導き出すことができるようになるはずだ。
もしあなたが自由自在に「視点」を操ることができるようになれば、物事の多様な側面に気づき、次々と「新たな可能性」を拓くことができるようになる。
また、数多くの「法則」をストックしていけば、様々な現象に「法則」を当てはめることで「筋の良い仮説」を瞬時に導き出すことが可能になるはずだ。
おかげさまで、本書はThe21や日経、STUDY HACKERなど多くのメディアに取り上げていただき、発売3か月で海外の翻訳出版も決定した。Amazonレビューでも、
- 視点力や仮説思考、抽象化スキルが身に付く良書
- これまでの読書術の常識を次々と塗り替えている目からウロコの本
- まさに「モノの見方を変える方程式」
など、ありがたい言葉を頂戴している。
もしあなたが「フレームワーク」だけでは得られない「視点力」と「思考スピード」を身につけたいなら、ぜひ本書で紹介する読書法を実践して欲しい。
★8ジャンル57個の仕事術で「実践力」を身につける
どのようなビジネスも、実践が伴わなければ成果は出ない。しかし、いざ「実践力」を身につけようとしても、その分野は、
- 時間管理術
- 段取り術
- コミュニケーション術
- 資料作成術
- 会議術
- 学び術
- 思考術
- 発想術
など多分野に渡り、最低8冊分の読書時間と書籍代がかかってしまうのが難点だ。
しかし、本書「超効率ハック」は、8つの分野の仕事術の「重要ポイントだけ」を抜き出し、ギュッと1冊に凝縮した書籍だ。もちろん、思考術に関しても重要ポイントを解説している。
さらに、本書は「訓練や習慣化が必要な作業テクニック」ではなく「行動を変えるための頭の使い方」の解説に力を入れているため「頭のスイッチを切り替える」だけですぐに実践できるのも特色だ。
おかげさまで、本書を題材にしたSchooのオンライン授業では「思考法ジャンル」で人気ランキング1位を頂いた(139講座中)。また、lifehackerやOggiなど数多くのメディアで取り上げていただき、Kindleでは「オペレーションズ部門」でベストセラー1位を獲得している。
Amazonレビューでも、
- 「思考と行動の質を上げるヒントが盛りだくさん」
- 「読んでみると、頑張りどころを間違えてたことに気付かされる」
- 「仕事が速い人はこれをやってたんだな、ということがよくわかった」
など、ありがたい言葉を頂戴しており嬉しい限りだ。
もしあなたが「短時間で網羅的に仕事術を学びたい」「根本から仕事の生産性を高めたい」と感じているのなら、ぜひ手に取ってみて欲しい。
★ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」
本書は、筆者の専門である「ブランディング」に関する書籍だ。
ブランディングは、ややもすれば「デザインの話」「広告の話」「世界観の話」など、掴みどころのない抽象論に陥りがちだ。
しかしブランディングは「ブランド戦略」という言葉があるように、企業の成否を大きく左右する戦略のひとつだ。そして投資が伴う以上、一定の合理性と説明責任が求められる。決して、売上や利益から逃げてはならない。
本書は、つい「感覚論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。
「論理」が理解できなければ、ブランディングを体系的に理解することできず、再現性を生むことができない。
そして「直感的な腹落ち感」がなければ、ブランディングを実務に落とせず、成果をもたらすことができない。
本書は、広告代理店&外資系コンサルティングファームで培った「生の知見」と「体系的な解説」を通して、ブランディングの理論を実践へとつなげて解説している。
おかげさまで、発売後1週間で、Amazon Kindle 【消費者主義カテゴリ】 ベストセラー1位を獲得している。
もし本書を手にとって頂ければ、ブランディングの専門用語はもちろん、実践の手順や実務の勘所が、一通り学べるはずだ。
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おすすめ書籍
★17のビジネス分野別おすすめ書籍
★思考力が身につくおすすめ書籍
★ビジネススキルが身につくおすすめ書籍
★ブランディング・マーケティングの知識が身につくおすすめ書籍
終わりに
今後も、折に触れて「あなたをブランドにする思考法」の解説を続けていくつもりだ。
しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。
それでも、このブログに主旨に共感し、何かしらのヒントを得たいと思ってもらえるなら、ぜひこのブログに読者登録やTwitter、facebook登録をしてほしい。
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