Mission Driven Brand

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リーダーシップとは|3つのフレームワークと7つの要素|具体例有

リーダーシップとは|これからの時代に必要なリーダーシップの6要素

この記事に辿り着いたあなたなら「リーダーシップとは何か?」あるいは「リーダーシップのフレームワークや要素を知りたい」と考えていることだろう。

このブログ「Mission Driven Brand」は、外資系コンサルティングと広告代理店のキャリアを持つ筆者が、ビジネスの「できない、わからない」を解決するブログだ。

リーダーシップは時代を越え、ビジネス・政治・教育・軍事など様々な分野で研究されているが、今なお「これだ!」という決め手が確立していない状況だ。

いつの時代にも書店を覗けば様々な「リーダーシップ関連本」が溢れているが、これも裏を返せば「リーダーシップを手に入れたいのに、決め手となる要素がない」という現実の裏返しでもある。

今回は、そんな「リーダーシップ」について解説する。その内容は以下の通りだ。

  • リーダーシップとは何か?
  • リーダーシップとマネジメントの12個の違い
  • リーダーシップの3つのフレームワーク
  • リーダーシップに必要な7つの要素

ビジネスとは、極論すれば「人と人との営み」だ。そして「人」はそれぞれ多様な個性が存在する以上、誰にも当てはまる絶対確実な「リーダーシップ」など存在しない。

しかし、リーダーシップの種類や、リーダーシップの要素を理解しておけば「自分の個性」「チームメンバーの個性」「現在置かれている状況」などを加味して「自分なりのリーダーシップ」を見出すことができるはずだ。

リーダーシップは、目に見えない能力だ。しかしいったん身につければ「目に見えない能力」だけに、簡単には真似されない自分オリジナルの能力になる。

もしあなたがリーダーシップを身につけたいなら、ぜひ今回の解説を最後までお読みいただきたい。

また、この記事の最後には、記事内で紹介した図版のスライド資料を用意しているので、ぜひ復習時に活用頂きたい。

シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説

本論に入る前に、まずは拙著「推論の技術」を紹介させていただこう。

リーダーシップに関心があるあなたなら、すでに仮説思考の重要性はご存じのはずだ。

あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。

なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。

しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考のメリットは説くものの、肝心の「仮説思考のマスターの仕方」になると、

  • 「センスが必要」
  • 「経験の積み重ねが物を言う」

など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせているものが多い。

一方で本書は「仮説思考に必要な推論の手順」を、豊富な事例とともに解説している。よって、その手順通りに推論を重ねれば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。

おかげさまで、本書はflierとグロービスが主催する「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただき、NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただいた。Amazonレビューでも、

  • 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
  • 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
  • 「一生もののスキルになるのは間違いない」

など有難い言葉を頂戴しており、5刷を重ねている。

もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。

リーダーシップとは何か?

あなたは「リーダーシップとは何か?」と聞かれて、何と答えるだろうか?

巷では、リーダーシップを解説した本やメディア記事は数多く存在する。環境変化が激しい現在においては「強いリーダー」の待望論はますます強くなるばかりだ。

一方で「リーダーシップ」は「最も多く研究されているにも関わらず、最も分かっていることが少ない学問」であるとされる。

そこでまずは、様々な「リーダーシップの定義」についてみていこう。

様々なリーダーシップの定義

リーダーシップの定義-1:デジタル大辞泉
指導者としての地位・任務。指導権。
リーダーシップの定義-2:Wikipedia
自己の価値観に基づいて魅力ある目標を設定し、実現体制を構築し、
人々の意欲を高め成長させながら、課題や障害を解決する行動。
リーダーシップの定義-3:クラセヴィッツ
「知性と情熱を兼ねる高度な精神」
「危険を顧みず自身の行動に責任を負う勇気」
「不確実な事態における洞察力」
「洞察に基づく具体的な行動する決断力」
リーダーシップの定義-4:孫子
智:知識や教養があること
信:約束を守り信頼されること
仁:メンバーを思いやること
勇:勇気と覚悟があること
厳:規律や厳しさを持つこと
リーダーシップの定義-5:ドラッカー
組織の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に確立すること。

ここで鋭いあなたなら、リーダーシップには次のような側面があることに気が付いたはずだ。

  • 地位・権限など「立場」の側面
  • 教養・洞察力など「能力」の側面
  • 実現体制を構築する・使命を確立するなど「行動」の側面

一方で「リーダーシップ」と似た言葉に「マネジメント」が存在する。

よって、続いては「リーダーシップ」と「マネジメント」の違いを端的に比較することで「リーダーシップ」の特徴を浮き彫りにしていこう。

リーダーシップとマネジメントの12個の違い

1-未来か vs 現状か

リーダーシップは「未来」に焦点を合わせる。マネジメントは「現状」に焦点を合わせる。

2-将来の可能性か vs 現状の収益か

リーダーシップは「将来の可能性」を見る。マネジメントは「現状の収益」を見る。

3-ビジョンか vs タスクか

リーダーシップは「ビジョン」や「戦略」を練る。マネジメントは「タスク」や「スケジュール」を組む。

4-変化か vs 秩序か

リーダーシップは「変化」を求める。マネジメントは「秩序」を求める。

5-哲学重視か vs システム重視か

リーダーシップは「哲学・基本価値・共通の目標」を重視する。マネジメントは「システム・戦術・体系」を重視する。

6-Whyか vs Howか

リーダーシップは「なぜ?」「何を?」を問う。マネジメントは「どうやって」「いつ」を問う。

7-イノベーション重視か vs 管理重視か

リーダーシップは「イノベーション」を重視し、マネジメントは「管理」を重視する。

8-リスクテイクか vs リスク回避か

リーダーシップは「リスクテイク」を求める。マネジメントは「リスク回避」を求める。

9-共鳴か vs 命令か

リーダーシップは「ついていきたい」と人に思わせる。マネジメントは「地位」を使って人を動かす。

10-効果重視か vs 効率重視か

リーダーシップとは「効果」を追求する。一方でマネジメントは「効率」を重視する。

11-信頼重視か vs 統制重視か

リーダーシップは「信頼」を重視し、マネジメントは「統制」を重視する。

12-人に着目するか vs システムと手続きに着目するか

リーダーシップは「人」に着目し、マネジメントは「システムと手続き」に着目する。

リーダーシップのフレームワーク

これまで見てきたように、リーダーシップとマネジメントは、似ているようで大きく異なる。そして、一口に「リーダーシップ」といっても、視点の置き方によって多様な側面があるのが特徴だ。

よって、ここからはあなたが具体的にリーダーシップを発揮していくために、いくつかの「リーダーシップのフレームワーク」を紹介しよう。

リーダーシップのフレームワーク-1:特性理論

特性理論とは、リーダーの資質や才能に着目し「リーダーシップとは、天性の資質である」と考えるリーダーシップ論だ。

いわゆる「カリスマリーダー」のイメージであり、1940年代頃までは、リーダーシップ論の主流だった理論でもある。

特性理論によれば、リーダーシップに必要な要素は、以下の3つだとされる。

特性理論による「リーダーシップに必要な要素」

  • 知識や思考能力、創造性などの「知性の高さ」
  • 判断力、達成志向、根気などの「行動力」
  • メンバーから信頼される「信頼感」

人間には「誰かに依存したい」「誰かに頼りたい」という潜在的な弱さが存在する。その弱さが存在する限り、カリスマ的な強いリーダーシップを待望する心理はいつの時代にもなくなりはしないだろう。

しかし、学問的には「カリスマリーダー」に象徴される「特性理論」は下火になっている。

なぜならその後の研究により、必ずしも上記の「リーダーシップの要素」に当てはまらなくても高い成果をあげるリーダーが続々と現れたからだ。結果、資質面では普遍的な特性が発見するには至らず、現在に至っている。

考えてみれば当たり前のことだが、上記のリーダーシップ要素のうち、その多くは後天的に身につくものだ。また「取り巻く環境」や「対象となる業務」などによって、取るべきリーダーシップは変わってくる。

「リーダーシップとは、生まれつきの資質の問題である」と言われてしまえば多くの人にとって身も蓋もない話になるが、幸いにも資質や才能では説明できないことが学問的に証明されている。

リーダーシップの種類と変遷-1:特性理論

リーダーシップのフレームワーク-2:行動理論

特性理論の限界を受けて、次に現れたリーダーシップ論が「行動理論」だ。

行動理論は「リーダーシップとは、資質ではなく行動である」と捉え「優れたリーダーシップを発揮する人はどのような行動パターンを取るのか?」を研究した理論だ。

行動理論の一つであるPM理論では、リーダーシップ能力を、

  • 目標を達成する力:Performance
  • チームをまとめ上げる力:Maintenance

で四象限に分け、以下の図のようなフレームワークに分類した。

リーダーシップの種類と変遷-2:行動理論

そして「目標達成」と「人間関係のマネジメント」の両方に優れている「PM型」こそが理想的なリーダーシップであるとし、優れたリーダーになるには「目標達成スキル」と「チームマネジメントスキル」の2つのスキルを向上させるべきと説いた。

この「行動理論」は特性理論とは異なり、ある程度の普遍性を持った理論として学問的に証明されている。

例えばオハイオ大学の研究では、リーダーシップ能力とは、

  • 配慮行動…チームメンバーへの思いやりやコミュニケーション
  • 構造作り…チームメンバーを成果に導くための組織やルール作り

の2つであることが明らかになっている。また、ハーバード大学の研究では、

  • 社会・感情スペシャリスト…対人関係の緊張を緩和しモラールを上げる
  • 課題スペシャリスト…組織作りや指導的行動に従事する

という2つのリーダーシップを持っているリーダーが優れたリーダーであることが示されている。また、ミシガン大学の研究でも、

  • 従業員志向型…人間関係を重視する
  • 生産指向型…仕事の技術面あるいはタスク面を重視する

という2つのリーダーシップが有効であることが明らかとされた。

これらの研究成果は、それぞれのネーミングは異なれど「Performance」と「Maintenance」の2つの側面を高いレベルで両立することが優れたリーダーシップであることを示している。

特性理論では「リーダーシップ=生まれつきの資質」と考えたが、行動理論はリーダーシップの「行動」に着目したことにより「リーダーシップは、誰もが能力として育成できるもの」へと変化し、現在では多くのリーダーシップ研修の理論的根拠になっている。

しかし「Performance」と「Maintenance」の両方があれば、あらゆる業務のあらゆる局面で高いリーダーシップを発揮できるわけではない。

その後の研究では、両方を兼ね備えたリーダーシップが「どのような状況でも有効である」という証明までには至らなかった。

現実にはリーダーを取り巻く環境の違いによって、取るべきリーダーシップは変わってくるはずだ。しかし行動理論は「リーダー中心」に考える理論であり「リーダーを取り巻く環境との関係性」が考慮されていない。

そこで現れたのが条件適合理論だ。

リーダーシップのフレームワーク-3:条件適合理論

行動理論の限界を受けて、次に現れたリーダーシップ論が「条件適合理論」だ。

条件適合理論とは「あらゆる状況に適用可能な普遍的なリーダーシップなど存在しない」という前提に立ち、リーダーシップを「リーダーを取り巻く環境との関係性」で明らかにしようとした理論だ。

例えば、リーダーには必ず部下が存在するが、部下の意欲度やスキルレベルによって発揮すべきリーダーシップは変わるはずだ。また、業務には難易度のレベルがあるが、業務の難易度によっても発揮すべきリーダーシップは変わる。

このように「条件に応じて発揮すべきリーダーシップは変わる」と考えるのが条件適合理論だが、条件適合理論の一つであるパス・ゴール理論では、リーダーシップスタイルを以下のフレームワークに分類している。

  • 指示型リーダーシップ:
    メンバーに対する期待や課題達成の方法、作業内容やスケジュールを具体的に指示する
  • 支援型リーダーシップ:
    互いの信頼関係をベースに、メンバーの感情に配慮しアイデアを尊重するなど、気遣いを示す
  • 参加型リーダーシップ:
    意思決定をする前にメンバーに相談し、メンバーからの提案や解決策を活かす
  • 達成志向型リーダーシップ:
    高い目標を設定し、メンバーに全力を尽くすよう求める

そして、パス・ゴール理論の特徴的な点は、

  • チームがどのような環境に置かれているか
  • チームメンバーの能力や性格、経験度のレベル

など、リーダーを取り巻く環境条件に応じて、4つのリーダシップスタイルを使い分けるべき、としている点だ。

リーダーシップの種類と変遷-3:条件適合理論

このようにリーダーシップの種類と変遷を見ていくと、初期の研究では「リーダーシップは生まつきの資質である」という、凡人にとっては身も蓋もない話だったが、時代を経るごとに実用化されていき「リーダーシップは状況に応じて変えるべき」という考え方が主流になっている。

だとすれば、次の関心は「これからの時代に必要な新たなリーダーシップとは、どのような要素が必要なのか?」ではないだろうか?

続いては、このブログの筆者であるk_birdが考える「新たな時代に必要なリーダーシップ要素」について、時代背景も交えて解説しよう。

リーダーシップに必要な要素

ビジネス環境の変化

あなたも実感している通り、現在のビジネス環境はデジタル化の進展とともに急速に変化している。例えば、以下のような変化だ。

  1. 空間フリー社会:
    場所・距離などの空間的な限界が取り除かれる社会へ
  2. 時間フリー社会:
    ビジネスの24時間化・リアルタイム化が進む社会へ
  3. パーソナライズ化社会:
    マスからパーソナライズに最適化可能な社会へ
  4. フラット化社会:
    中抜きによる多重階層社会が崩れ、フラットな社会へ
  5. メガコンペティション社会:
    業界内競争から、業界間を横断した競争へ
  6. 水平統合社会:
    垂直統合型から水平統合(分散&再編集)型の社会へ
  7. 民主化社会:
    企業主導の中央集権社会から、生活者主導の民主化社会へ
  8. 比較可能社会:
    あらゆる物事が可視化され、比較可能な社会へ
  9. 社会価値創造社会:
    経済的利益だけでなく、社会課題の解決が重視される社会へ

これらはいずれも、これまでの延長線上にはない非連続な「構造変化」であり、これらの構造変化が「リーダーシップの在り方」にも変化を迫っている。

リーダーシップのパラダイムシフト

市場の変化に晒されているのは、いつだって市場の最前線にいる現場だ。多くの企業にとって現場こそが、最も多くの時間、最も密度高く市場と向き合っている。

しかし、多くの企業は今なお「ピラミッド型の組織」で成り立っている。「ピラミッド型組織」とは、権威と責任を組織のリーダーに置き、命令や指示が上から下へと降りていく組織のことだ。

この「ピラミッド型の組織」は「過去の経験が豊富な人ほど、最も適切な判断ができるはず」という前提で成り立っている。

よって「経験を重ね」「過去に優秀な実績を作った人」が組織のリーダーに昇りつめ、そのリーダーが下す意思決定こそが「過去に成功してきたのだから」正しい意思決定だと考える。そしてその意思決定が「指示・命令」として現場に降りてくる。

しかしここまでお読みになってお気づきだと思うが、このようなリーダーシップの在り方は「過去の延長線上に未来がある」右肩上がりの時代にしか通用しない。

非連続な構造変化が次々に生まれる現在では「市場の最前線から最も遠い場所にいる人たち」が「過去の成功経験をもとに」意思決定しても市場の変化との乖離を生み、大きなビジネスリスクとなり得る。

リーダーシップを取り巻く環境のパラダイムシフト

今、多くの企業で問題になっているのは、現場がいち早く市場の変化を察知したとしても、組織の意思決定ラインを昇るごとに、

  • どこかで丸くなる
  • どこかで止まる
  • 過去に囚われる
  • 現場の実態と合わない指示が下りる

という「意思決定の壁」だ。その結果「市場の変化に迅速に対応できない」という現象が顕在化する。

リーダーシップを取り巻く環境のパラダイムシフト②

これらのことを踏まえれば、非連続の構造変化に晒されている現在では、ピラミッド型の指示・命令型リーダーシップが機能しないのは明らかだ。

市場の変化に合わせてスピード感を持って対応することが必要とされる現代においては、1人のリーダーがすべてを把握し、決断し、メンバーに指示を与えるプロセスを踏んでいては変化のスピードに間に合わない。

これからの時代に必要なのは「リーダーがメンバーを従わせる」というこれまでのパラダイムを根底から覆す、新たなリーダーシップスタイルだ。

リーダーシップの7つの要素

現場が自律的に動き、環境変化に創発的に対応していくためには、リーダーはメンバーに権限を移譲し、メンバーに力を与えるリーダーシップが必要だ。

いわば、現場の「柔軟性」と「自律性」を確保し、現場を支援するリーダーシップともいえる。

このように「現場が判断」「リーダーは支援」と考えるリーダーシップを「サーバントリーダーシップ」と呼ぶ。

サーバントとは「奉仕者」という意味であり、リーダーの役割を「現場を活かし、支援する役割」として位置付ける。例えば、

  • 現場の意見を傾聴し
  • 気づきを与える問いかけをし
  • メンバーの誰もが関心やアイデアを伝え合える場を創る

など、これまでの皆をグイグイ率いるようなカリスマリーダーとは「まるで正反対」なのが特徴だ。

しかし、この「支援型のリーダーシップ」が適切に発揮されると、組織が自律的になり、メンバーが自分の判断で動くようになり、組織全体としての競争力が高まっていく。昨今のコーチングやファシリテーションの旺盛も、この流れと地続きにある。

しかし、支援型のリーダーシップはやり方を間違えれば「全て現場にお任せ」となり、組織の方向感が定まらず、単なるカオスしか生まれない。そこでもう一つのリーダーシップとして重要なのが「オーセンティックリーダーシップ」だ。

オーセンティックリーダーシップの「オーセンティック」とは、日本語で「真正な」「本物の」「自分ならではの」などの意味があり「信念や価値観、倫理観に裏打ちされたリーダーシップ」のことを指す。

オーセンティックリーダーシップの特徴は、リーダーが権力や物欲への執着から動くのでなく、人々が望む素晴らしい目標や社会を実現するためにリーダーシップを発揮することだ。高い倫理観や精神性によって人々から信頼を得るリーダーシップともいえる。

近年は、SDGsやESG投資、あるいはCSV経営やパーパスブランディングなど、企業の利益と社会の変革を一致させようとする機運が高まっている。

これらを踏まえた上で、このブログの筆者であるk_birdが考える「これからの時代に必要なリーダーシップ要素」を解説しよう。

リーダーシップの要素-1:社会的使命と価値観を掲げる

もしあなたが「役職」や「肩書」を取り除いたとき、それでもあなたに付いてくるメンバーはどれだけいるだろうか?

「マネジメント」は「職務的な地位に基いた働きかけ」だが「リーダーシップ」は「人としての働きかけ」だ。そして、これからの時代にリーダーシップを機能させるには、社会的な使命を掲げ、メンバーの価値観や感情に訴え、共感・共鳴を得て支持を広げていくことが求められる。

メンバーは、あなたが先頭に立つから付いてくるのではない。あなたが掲げる社会的使命や価値観に共鳴し、メンバーが後押ししてくれるから、あなたは先頭に立てるのだ。

リーダーシップの要素-2:数値だけでなくストーリーも語る

あなたは、単なる数字に「世界をより良くしていこう」という意志や価値観を感じるだろうか?

もしあなたの答えが「No」なら、ビジネス上の数値の話だけでなく、ビジネスを通して創り上げる「社会の将来」という大きなストーリーを語ろう。そして、理屈を越えた、感覚・感情レベルの共鳴感情をメンバーと共有しよう。

リーダーシップの要素-3:意味や意義を与える

「チーム」と「群衆」の違いは、目的と価値観を共有しているかどうかだ。

もしあなたが「強いチーム」を築きたいなら、ミッションに基づいた価値観を掲げ、メンバーを「ミッションを共創する同志」として信頼関係を築こう。そして、メンバーが進める一つ一つのプロセスに対して、意味や意義を与えていこう。

リーダーシップの要素-4:「管理する」のではなく「力を与える」

常にメンバーに内省を促し、気づきを与える問いかけをしよう。メンバーを管理するのではなく支援し、時に勇気づけ、励まし、自尊心を満たす言葉を投げかけよう。

リーダーシップの要素-5:ネットワーキングの推進を支援する

メンバーの誰もが本音で語り合い、関心やアイデアを伝え合える場を創り「垂直の壁」「水平の壁」「外部との壁」を取り除いていこう。周囲の人たちの知識や知恵を利用するだけでなく、貢献することを促そう。 

リーダーシップの要素-6:ディスカッションを促進する

ミッションや価値観についてメンバー間のディスカッションを歓迎しよう。複数の視点から考えることを促すために、時に新たなイシューを差し込み、議論を煽りに行こう。

リーダーシップの要素-7:学習と共創を支援する

時代を先取りして、メンバーに対して変化の意味を伝え、伝統的な考え方やなにげなく前提にしていることに対し、常に疑問を投げかけてみよう。新しく得た知識や知恵を一般化し、組織内で共創することをメンバーに促そう。

リーダーシップの本|おすすめ書籍3冊

締めくくりに、あなたにおすすめできる「リーダーシップの本」を紹介しよう。選定した基準は下記の通りだ。以下のどれかに当てはまるものをピックアップした。

  • k_birdが実際に読み、単純に「素晴らしかった」と思えるリーダーシップの本。
  • 実際に実務に役立っているリーダーシップ関連の書籍。
  • 長年に渡って読み継がれており、時代を越えても変わらない「本質」や「原理」が見出せるリーダーシップ関連の名著。

もちろん、すべて「なぜ読むべきなのか?」という解説付きだ。

リーダーシップの本おすすめ書籍-1:リーダーシップの旅~見えないものを見る

もしあなたが「役職」や「肩書」を取り除いたとき、それでもあなたに付いてくるチームメンバーはどれだけいるだろうか?

「マネジメント」は「職務的な地位に基づく働きかけ」だが「リーダーシップ」は「人としての働きかけ」であり、もしあなたが「地位・権限以外の何か」でチームを動かしたいなら、本書が役に立つはずだ。

本書は、戦略論の第一人者と組織行動論の研究者が「リーダーになるプロセス」に着目し「リード・ザ・セルフ」「リード・ザ・ピープル」「リード・ザ・ソサイエティ」の3つのステップを旅になぞらえながら解き明かした書籍だ。

もし、あなたが「役職」や「肩書」以外の力でチームを率いていきたいなら、必読の書籍だ。

リーダーシップの本おすすめ書籍-2:賢さをつくる

もはや正解が存在しない現在、リーダーに問われるのはロジカルシンキングを越えて「どのように視座・視野・視点を切り替えて」「物事の大局を捉えるか?」だ。

本書は「具体」と「抽象」の往復運動を「頭の良さ」と定義した上で、

  • 個別的(具体)⇔全体的(抽象)
  • 短期的(具体)⇔長期的(抽象)
  • 実用的(具体)⇔本質的(抽象)
  • 五感的(具体)⇔概念的(抽象)
  • 現実的(具体)⇔精神的(抽象)
  • 一面的(具体)⇔多面的(抽象)
  • 手段(具体)⇔目的(抽象)
  • 問題解決力(具体)⇔問題設定力(抽象)

など、具体と抽象を対比させることでリーダーシップに不可欠となる「概念化=コンセプチュアルスキル」の重要性と伸ばし方を解説している書籍だ。

ロジカルシンキングは、物事を論理的に深掘りしてくタイプの思考法だ。しかしそれに加えて本書が提示する「具体と抽象を往復する思考法」を身につけることができれば「自由自在に視野を広げる」ことが可能になる。

もしあなたが「論理的思考は得意だが、視野を広げるのが苦手」と感じているのなら、ぜひ一読をお薦めする。

リーダーシップの本おすすめ書籍-3:WHYから始めよ! インスパイア型リーダーはここが違う

本書はTEDで4000万回以上再生された講演動画「How great leaders inspire action」から生まれた、リーダーシップのベストセラー書籍だ。

本書では、地位や権限で人を動かす「形式上のリーダー」ではなく、人々を感激させ奮起させる「本物のリーダー(オーセンティックリーダー)」の重要性を繰り返し説いている。

また「本物のリーダー」になるために必要なのは「WHAT(何を)」ではなく「WHY(なぜ)」であり、大義、理想、信条から物事を考える習慣として「ゴールデンサークル」というフレームワークを提示してくれている。

本書を読めば、リーダーシップとは「地位」や「権力」の発揮ではなく、人々が望む素晴らしい目標による「共感」「共鳴」を得て支持者を広げていくことであることがわかる。

チームメンバーは、リーダーが先頭に立つから付いてくるのではない。リーダーが掲げる社会的使命や価値観に共鳴し、チームメンバーが後押ししてくれるから、リーダーは先頭に立つことができる。

もしあなたが「WHYでインスパイアするリーダーシップ」を手に入れたいなら、本書は傍らに置いておきたい書籍だ。

このブログから書籍化した本4冊

シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説

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ロジカルシンキングでは学べない「視点力」と「法則力」を身につける※無料のオーディオブック特典付

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人は誰しも「視点」を通してしか物事を考えることができない。

別の言い方をすれば「そもそも何を考えるべきか?」という論点(=イシュー)は、視点が決めてしまうともいえる。

また、どんなに適切な視点を置いたとしても「ああなれば→こうなるだろう」という「予測のパターン(=法則)」が頭の中になければ、確かな仮説を導き出すことはできない。

本書はビジネス書から「視点」と「法則」を発見し、思考の質とスピードを上げていく独学術を解説した書籍だ。

1つの「視点」しか持てない人は、1つの論点しか設定することができない。当然、導き出せる仮説も1つだけだ。

しかし5つの「視点」を持てれば、5つの論点を設定できるようになる。その結果、5つの仮説を導き出すことができるようになるはずだ。

もしあなたが自由自在に「視点」を操ることができるようになれば、物事の多様な側面に気づき、次々と「新たな可能性」を拓くことができるようになる。

また、数多くの「法則」をストックしていけば、様々な現象に「法則」を当てはめることで「筋の良い仮説」を瞬時に導き出すことが可能になるはずだ。

おかげさまで、本書はThe21や日経、STUDY HACKERなど多くのメディアに取り上げていただき、発売3か月で海外の翻訳出版も決定した。Amazonレビューでも、

  • 視点力や仮説思考、抽象化スキルが身に付く良書
  • これまでの読書術の常識を次々と塗り替えている目からウロコの本
  • まさに「モノの見方を変える方程式」

など、ありがたい言葉を頂戴している。

もしあなたが「フレームワーク」だけでは得られない「視点力」と「思考スピード」を身につけたいなら、ぜひ本書で紹介する読書法を実践して欲しい。

8ジャンル57個の仕事術で「実践力」を身につける

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どのようなビジネスも、実践が伴わなければ成果は出ない。しかし、いざ「実践力」を身につけようとしても、その分野は、

  1. 時間管理術
  2. 段取り術
  3. コミュニケーション術
  4. 資料作成術
  5. 会議術
  6. 学び術
  7. 思考術
  8. 発想術

など多分野に渡り、最低8冊分の読書時間と書籍代がかかってしまうのが難点だ。

しかし、本書「超効率ハック」は、8つの分野の仕事術の「重要ポイントだけ」を抜き出し、ギュッと1冊に凝縮した書籍だ。

さらに、本書は「訓練や習慣化が必要な作業テクニック」ではなく「行動を変えるための頭の使い方」の解説に力を入れているため「頭のスイッチを切り替える」だけですぐに実践できるのも特色だ。

おかげさまで、本書を題材にしたSchooのオンライン授業では「思考法ジャンル」で人気ランキング1位を頂いた(139講座中)。また、lifehackerやOggiなど数多くのメディアで取り上げていただき、Kindleでは「オペレーションズ部門」でベストセラー1位を獲得している。

Amazonレビューでも、

  • 「思考と行動の質を上げるヒントが盛りだくさん」
  • 「読んでみると、頑張りどころを間違えてたことに気付かされる」
  • 「仕事が速い人はこれをやってたんだな、ということがよくわかった」

など、ありがたい言葉を頂戴しており嬉しい限りだ。

もしあなたが「短時間で網羅的に仕事術を学びたい」「部下の仕事の生産性を高めたい」と感じているのなら、ぜひ手に取ってみて欲しい。

ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書

f:id:missiondrivencom:20210423011806p:plain

本書は、筆者の専門である「ブランディング」について解説した書籍だ。

ブランディングは、ややもすれば「デザインの話」「広告の話」「世界観の話」など、掴みどころのない抽象論に陥りがちだ。

しかしブランディングは「ブランド戦略」という言葉があるように、企業の成否を大きく左右する戦略のひとつだ。そして投資が伴う以上、一定の合理性と説明責任が求められる。決して、売上や利益から逃げてはならないのだ。

本書は、つい「感覚論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

「論理」が理解できなければ、ブランディングを体系的に理解することできず、再現性を生むことができない。

そして「直感的な腹落ち感」がなければ、ブランディングを実務に落とせず、成果をもたらすことができない。

本書は、広告代理店&外資系コンサルティングファームで培った「生の知見」と「体系的な解説」を通して、ブランディングの理論を実践へとつなげて解説している。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー入りを果たし、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

もし本書を手にとって頂ければ、ブランディングの専門用語はもちろん、実践の手順や実務の勘所が、一通り学べるはずだ。

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終わりに

今後も、折に触れて「あなたをブランドにする思考法」の解説を続けていくつもりだ。 

しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。

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