この記事に辿り着いたあなたなら「創造力とは何か?」あるいは「創造力を鍛えたい」と感じていることだろう。
このブログ「Mission Driven Brand」は、外資系コンサルティングと広告代理店のキャリアを持つ筆者が、ビジネスの「できない、わからない」を解決するブログだ。
創造力とは、常識にとらわれない発想や工夫で、新しい「価値」を生み出し続ける力のことを指す。
創造力は、これからの仕事において最も必要とされる能力だといっても過言ではない。なぜなら、今後日本は少子化・人口減少が見込まれているため、高い生産性が求められるからだ。
「生産性」とはアウトプット(付加価値量)÷インプット(投入資源量)で表されるが、インプット(投入資源量)が少子化・人口減で減少していく以上、求められるのは効率的にアウトプット(成果)を創出するための「創造力」だ。
しかしある調査によれば「自分は創造的だ」と考える人の割合は、アメリカ人が47%、ドイツ人が44%、イギリス人が37%に対して、日本人はわずか8%だったとされる。
確かに「創造力」といえば「生まれつきの才能があり」「センスがある」一部の人たちだけの特殊能力というイメージが根強い。
もちろんあなたが芸術家であれば、生まれ持った才能は致命的に重要かもしれない。しかしビジネスで求められる「創造力」は「誰でも働かせることができ」「再現可能な方法論」でなければ、組織の力にならず、育成可能なものにはならない。
残念ながら、このブログの筆者であるk_birdも「アーティストのような才能」は持ち合わせていない「フツーの人」だ。しかし一定レベル以上の「創造力」が求められる広告業界の中にいれば、おぼろげながらでも「フツーの人に求められる創造力とは何か?」が見えてくる。
よって今回は「創造力」を「フツーの人でも働かせることができ」「再現可能な方法論」と位置付け「フツーの人が創造力を鍛える5つの方法」を解説する。その内容は以下の通りだ。
- 創造力とは何か
- 創造力の5つのレベル
- 創造力を鍛える5つの方法
もしあなたが「創造力を高めたい」「創造力のある仕事がしたい」と考えているなら、ぜひ最後までお読みいただきたい。あなたが創造力を鍛える上でのヒントになるはずだ。
また、この記事の最後には、記事内で紹介した図版のスライド資料を用意しているので、ぜひ復習時に活用頂きたい。
- ★「シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説
- 創造力とは何か?創造力の意味を定義する
- 創造力を鍛える5つの方法と例
- 創造力とは|フツーの人が創造力を養う5つの方法:まとめ
- 創造力の本|おすすめ書籍3冊
- このブログから書籍化した本4冊
- その他の解説記事とおすすめ書籍
- 終わりに
- 創造力とは|「フツーの人」が創造力を鍛える5つの方法|スライド資料
★「シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説
本論に入る前に、僭越ながら拙著「推論の技術」を紹介させていただこう。
あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。
なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。
しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考の重要性は説くものの、肝心の「仮説思考の身につけ方」になると、
- 「センスが必要」
- 「経験の積み重ねが物を言う」
など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせている書籍が多い。
しかし本書は「仮説思考に必要な頭の使い方の手順」を、豊富な事例とともに徹底解説している。よって、その手順通りに頭を使えば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。
おかげさまで本書は6版を重ね「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただいた。NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、中国や台湾、香港でも出版が決定している。
さらにAmazonレビューでも、
- 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
- 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
- 「一生もののスキルになるのは間違いない」
など有難い言葉を頂戴している。
もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。
創造力とは何か?創造力の意味を定義する
創造力とは-1:創造力の意味
「創造力とは何か?」と聞かれて、あなたは何と答えるだろうか?
創造力を「誰でも働かせることができ」「再現可能な方法論」にするためには、誰もが理解し共有できる明確な定義が必要だ。
「創造力」という語感からは、何か新しいものを作ったり、新しいやり方をすることと誤解しがちだ。しかしビジネスにおいては「新しいこと自体」が目的とはならない。どんなに新しくても、相手にとって価値がなければ、その「新しさ」には意味がない。
よって、k_birdはビジネスにおける「創造力」を下記のように定義している。
創造力とは-2:創造力のある人の例
ここで「創造力」を直感的に理解するために「創造力のある人」についても定義しておこう。ビジネスにおける創造力のレベルは、大きく5つのレベルにわけることができる。
創造力のある人-レベル1:
上司や先輩の明確な指示を受け「部分的な作業」を任されるレベル
創造力のある人-創造力レベル2:
一連の仕事の手順を理解し「作業全般」を任されるレベル
創造力のある人-創造力レベル3:
複数の手順・方法から最適な方法を選択・実行でき「責任」を任されるレベル
創造力のある人-創造力レベル4:
仕事の手順や方法に問題意識を持ち、工夫や改善を加えることができるレベル
創造力のある人-創造力レベル5:
期待を越える新しい価値を生み出すために、前例や常識そのものを変革・創造できるレベル
察しの良いあなたならお気づきかもしれないが「創造力のある人」とは、レベル5の人材だ。
つまり「過去の延長線上では問題を解決できない」「これまでの構造やプロセスでは目的が達成できない」状況を見抜き、新しい発想や視点によりブレークスルーしていける人材が「創造力のある人」だ。
重要なことなので繰り返すが、ビジネスにおける創造力とは「閃き」や「才能」ではない。「常識にとらわれない発想や多角的な視点で、新しい価値を生み出し続ける力」だ。
創造力を鍛える5つの方法と例
続いては「フツーの人が創造力を鍛える方法」について解説しよう。大きくわけると、以下の5つだ。
- 創造力を高める「マインドセット」を持つ
- 創造力を活かす「対象」を理解する
- 物事を多面的に捉える
- 徹底的に考え抜く思考習慣を身につける
- 創造力を発揮しやすい環境を整える
ただ単に「創造力を鍛えよう」と考えるだけでは困難を伴う。しかし5つの要素に分解し細かく見ていくと、一つずつ何を意識して、どのようにしたら「創造力を働かせることができるのか?」が見えてくるはずだ。
以下、一つずつ解説していこう。
創造力を鍛える5つの方法と例-1:創造力を高める「マインドセット」を持つ
創造力を鍛える1つ目の方法は「創造力を鍛えるマインドセット」を理解しておくことだ。
創造力豊かな人に共通しているのは、期待を越える価値を生み出すために、前例や常識そのものを変革しようとするマインドセットを持っていることだ。
k-birdがコンサルティングファームや広告代理店で見てきた中では、特に以下の4つのマインドセットを持ち合わせた人が多い。
創造力を鍛えるマインドセットー1:「結果」より「行動」に目を向ける
創造力豊かな人は、どんなに困難な問題に直面しても「解けない問題はない」「できないことなど存在しない」という前提で取り組んでいる。
多くの人は、何らかの問題に直面した時「自分に解決できるだろうか?」「できなかったらどうしよう」と考えがちだ。
しかし創造力豊かな人は「できるか?できないか?」という直接コントロールできない「結果部分」に目を向けるのではなく「できることを前提」に、直接コントロールできる「行動」にフォーカスしている。
創造力を鍛えるマインドセットー2:正解を鵜呑みにしない
ビジネスの世界に「正解」など存在しない。絶対的な模範解答などなく、常に「暗中模索」や「試行錯誤」があるだけだ。
創造力豊かな人はそのことを理解しており、どんなに素晴らしい本に書いてあったことも、どんなに優秀な専門家が言ったことも、全ては「こうかもしれない」という可能性の一つに過ぎないと考える。
よって、彼ら彼女らは「誰かから与えられた正解」を鵜呑みにせずに、クリティカルシンキングを使って様々な可能性に思考を巡らせている。そのため、時に誰もが驚くような可能性を見出して、周囲を驚かすことがある。
創造力を鍛えるマインドセットー3:挑戦を楽しむ
「できることを前提に考える」にも通じるが、創造力豊かな人は失敗を恐れないどころか、あえて困難なことに挑戦していくマインドセットを持っている。そして困難な状況を楽しんでいるようにさえ見える。
創造力のある人は「成功の反対は失敗である」とは考えていない。自分は正解のない世界を切り拓いており「数々の失敗の延長線上に成功がある」という捉え方をしている。
創造力を鍛えるマインドセットー4:期待を越える
創造力豊かな人は「求められたことを達成しよう」だけに視点を留めない。
時に与えられた枠組みや前提条件を変えながら、相手が求めていることを越えてより大きな価値創造、根本的な問題解決をしようとするマインドセットを持っている。
その結果、今までにないような価値や解決策が生まれ、上司や顧客の期待以上の結果に結び付くことが増える。
創造力を鍛える5つの方法と例-2:創造力を働かせる「対象」を理解する
創造力を鍛える2つ目の方法は、創造力を働かせる「対象」を理解しておくことだ。
「創造力」といえば「画期的な商品」「画期的なサービス」「画期的なビジネスモデル」など「新しい何かを創り上げる力」だと考えがちだ。
しかし冒頭で解説したように、ビジネスにおける創造力の定義は「常識にとらわれない発想や工夫で、新しい価値を生み出し続ける力」であり、その発揮対象は必ずしも商品やサービス、ビジネスモデルだけとは限らない。
例えば、以下の項目もまた「常識にとらわれない発想や工夫」を取り入れ「新しい価値を生み出す」対象となりえる。
- 問題発見の新しさ:
まだ誰も気付いていない「問題」や「課題」を発見する - 問題の解釈の新しさ:
新しい視点や枠組みで問題を捉え直す - 解決策の新しさ:
常識や固定観念を捨てて、これまでとは異なる解決策を描く - 実行方法の新しさ:
従来のやり方にとらわれずに、 独自の工夫をもって実行する
創造力を鍛える5つの方法と例-3:物事を多面的に捉える
創造力を養う3つ目の方法は、物事を多面的に捉える習慣を持つことだ。
物事を多面的に捉えることができれば「視点の置き方」や「視野の広さ」「視座の高さ」など、多様な視点を行き来させることによって、人とは異なる概念や切り口を見出せるようになる。
例えば以下のような切り口で物事を多面的に捉えてみよう。「常識にとらわれない発想や工夫」を取り入れ「新しい価値を生み出す」ヒントとなるはずだ。
創造力を高める視点-1:枠組みをリフレーミングする
人は誰でも、立場や専門性などによって、自分がなすべきこと、できることの範囲を限定してしまいがちだ。しかしいったん自分の守備範囲を忘れ、思考の枠組みをリフレーミングすることができれば、創造力を高めるチャンスは広がっていく。
もしあなたがビジネスパーソンなら、JINS PCの成功はご存じのことだろう。従来の眼鏡メーカーの「守備範囲」であれば、ビジネス上のターゲットは「視力が低い人」となる。しかしJINSは市場という枠組みをリフレーミングし「視力が正常な人」に対して「PCのブルーライトをカットする眼鏡」を提案して一斉を風靡した。
このように、自分ができることの範囲の中で考えるのではなく、ラテラルシンキングを使って枠組みをリフレーミングすることで、新しい価値を生み出すことが可能になる。
創造力を高める視点-2:上位目的へ遡る
上位目的に遡り、真の目的を見極めることもまた、創造力を働かせ新しい価値を生み出す際の助けとなる。
もしあなたがビジネスパーソンなら、自社商品の「顧客数増加」は重要なビジネス目的となるはずだ。しかし「顧客数の増加」は、その目的を上位に遡れば「売上の増加」であり「顧客数の増加」は上位目的に対する「手段の一つ」でしかないことに気が付けるはずだ。
そして、上位目的に気づくことができれば、その達成手段は必ずしも「顧客数の増加」に限らず「購入単価の向上」や「購入頻度の増加」も選択肢に入ることになる。
このように、与えられた目的だけでなく、より上位の目的に視座を上げる視点を持てれば、時に新たな手段を用いてブレークスルーしていくことが可能になる。
創造力を高める視点-3:前提を疑う
創造力を高めるには、今目の前にある「常識」を崩す必要がある。そして「常識」とは、
- 誰もが当たり前に置いている前提を元に
- 当たり前の論理・筋道で考えた結果
- 誰もが当たり前だと思う結論
に至った物事を指す。
だとすれば「常識」の大元にある「誰もが当たり前に置いている前提」を覆してしまえばその後の展開が変わり、創造力を発揮しやすくなる。
例えば「本」には、
- 「本は読むもの」という前提
- 「本は紙でできているもの」という前提
- 「本は読んだら終わるもの」という前提
などが存在するが、仮に「本は読むもの」という前提を崩せば「飾るための本」「音声で聞くための本」「共有するための本」など、これまでにはない新たな価値を生み出しやすくなる。
創造力を高める視点-4:別の概念を組み合わせる
創造力を発揮するには、形のある「物体」と形のない「概念」を切り分け、それぞれの「組み合わせ方」を考えることも有用だ。
例えば「紙コップ」は物体として捉えれば「紙でできた円柱形の立体物」だが、
- +「水を飲むもの」という概念=紙コップ
- +「花を生けるもの」という概念=紙でできた花瓶
- +「絵を描くもの」という概念=立体のアート作品
- +「切ったり重ねたりするもの」という概念=紙でできた工芸作品
- +「覗くもの」という概念=紙でできた万華鏡
- +「聞くもの」という概念=糸電話
など、その様相を変える。
このように「形のある物体」と「形のない概念」を切り分け「形のない概念」を縦横無尽に組み合わせれば、これまでにはない新たな価値を生み出しやすくなる。
創造力を高める視点-5:アナロジーを使う
アナロジーとは「類推」のことであり、より直感的に言えば「似ているものから推論する」思考法を指す。
例えば新しい銀行のアイデアを考える場合、以下のような思考プロセスを辿ることができる。
- 重要な要素を見抜く:
銀行の満足度を左右するのは「接客力」 - 重要な要素が類似する「異分野の第三者」を思い浮かべる:
「接客力」に定評があるのは「東京ディズニーリゾート」 - 「異分野の第三者」からアイデアを持ち込む
「東京ディズニーリゾートのような接客をする銀行」
また、別の例も示しておこう。
- 重要な要素を見抜く:
銀行で重要なのは「ブランドイメージ」 - 重要な要素が類似する「異分野の第三者」を思い浮かべる:
「ブランドイメージ」に定評があるのは「Apple」 - 「異分野の第三者」からアイデアを持ち込む
「Appleのようなブランドイメージを持った銀行」
「アナロジー=類似性」と聞くと、つい「似ているものからパクること」を想像しがちだが、アナロジーをより創造的に活かすためには「目に見えない原理や構造」を洞察した上で「異なる分野との類似性」を見出すことが重要だ。
創造力を鍛える5つの方法と例-4:徹底的に考え抜く思考習慣を身につける
創造力を鍛える4つ目の方法は、ゼロベースからとことん考え抜く「思考習慣」を持つことだ。
「そんなことを考えて、なんの役に立つのか」と思えることを、半端でないレベルまで延々と考えつくすことができる人は、ありとあらゆる可能性を考えていく中で、創造的な解決策に辿り着く可能性が高まる。
これは自戒を込めていうが、経験は長くなればなるほど、そして忙しくなればなるほど「思考のパターン化」が起き、既存のフレームワークやセオリーに頼りたくなる。
しかし「創造力」が「常識にとらわれない発想や工夫」である上、先人から与えられた既存のフレームワークやセオリーをそのまま当てはめただけでは、創造的なアイデアや問題解決策には辿り着かない。
「創造力」を高めるには、ゼロベースでありとあらゆる可能性を考えるようアプローチが必要であり、例え新しい解を得られたとしても、常に一つの答えに留まらず、他に可能性がないかを考える思考習慣が必要だ。
そこまで考えてひねり出すことによってはじめて、今まで気付かなかった創造的な解決策やアイデアが見えてくる。
創造力を鍛える5つの方法と例-5:創造力が働きやすい環境を整える
創造力を鍛える5つ目の方法は、創造力を働かせやすい「環境」を整えることだ。
これまでの様々な研究やk_birdの経験を踏まえると、創造力を働かせやすい環境は、大きく分けて3つある。
- 多様性
- 寛容性
- 外側に開いたビジョン
以下、簡単に解説していこう。
創造力を働かせやすい環境-1:多様性
人間の思考は固定化しやすいようにできている。なぜなら人間の脳は、入ってくる情報に対して思考を整理し、体系化しようとする性質があるためだ。
そして、思考の整理や体系化が繰り返されると、それらはやがて「思考パターン」として固定化していく。更には、固定化された思考パターンがあなたの思考習慣となり、あなたの視野を狭くしていく。
しかし、もしあなたが多様性のある環境に身を置けば、多様なメンバーから多様な視点を受け取ることが可能になる。その結果、固定化しがちな思考パターンは常に「矯正」され、やがて多面的な物の見方ができるようになる。
人間は、時に「絵の具の色」に例えられることがある。
もしチーム全員が同じ色の絵の具であれば、完成した絵が殺伐なものとなるのは想像に難くない。しかしチーム1人1人が多様な色の絵の具であれば、完成した絵はあなた1人の色を越えて、彩り豊かなものになるだろう。
人はつい「自分の考えこそが正解だ」を思いがちだ。しかしあえて自分を多様性の中に身を置けば、より創造性の高い成果が実現できるはずだ。
創造力を働かせやすい環境-2:寛容性
「寛容性」とは、自分とは異なる意見や考えも、いったんは「なるほど」「そういう考えもあるな」と受け入れることを指す。
よく見られるのが、ロジカルシンキングに長けた「自称・論客」の上司が「論理」を盾に人の意見をバッサバッサと切っていく状態だ。その結果、いつしかチームメンバーは「言っても無駄」「どうせ否定される」と感じ始め、当たり障りのない意見しかいわなくなる。
「自分の意見が正しい」という信念を持つこと自体は悪いことではないが、チーム1人1人が感じた「想い」や「考え」を素直に伝えることのできない環境は、多様性を活かし、創造力を発揮する上で大きな障害となる。
もしあなたが創造力を発揮したいなら、まずはあなた自身が他人に意見に対して寛容になり「なるほど」と受け入れるスタンスを持とう。
そうすれば、やがてチームメンバーは他人の反応に怯えたり恥ずかしさを感じることなく、自由に創造力を働かせるようになっていくはずだ。
創造力を働かせやすい環境-3:外側に置くビジョン
「ビジョンとは何か?」と聞かれたとき、あなたは何と答えるだろうか?
多くの場合、ビジョンとは「自分たちは将来どうなりたいか?」という「自分たちを主役に置いた」将来の姿をイメージするのではないだろうか?
しかしk_birdの経験上、ビジョンは「自分たちの内側」に置くより「生活者や社会の将来」という「自分たちの外側」に置いたほうが創造力を働かせやすくなる。
例えばもしあなたがフリマアプリ企業の従業員だったと仮定しよう。
- フリマアプリ業界のリーディングカンパニーになる
という「企業や業界の内側」に置いたビジョンと、
- 無駄な消費と無駄な廃棄をなくし「廃棄物ゼロの社会」を実現する
という「企業の外側」に開いたビジョンでは、どちらのほうが創造力を刺激されるだろうか?また、社内外の多くの人に共鳴され、味方につけることができるだろうか?
これまで、創造力を発揮する環境には「多様性」や「寛容性」が必要だと述べたが、その2つだけでは「単なるカオス」しか生まれない。
しかし「外側に開いたビジョン」を掲げることができれば、チームが向かう方向が一致し、社内だけでなく社外の関係者を味方につけることができるようになる。そしてそれらの多様性を活かしながら、より創造的な問題解決や価値創造に結びつけることができるはずだ。
創造力とは|フツーの人が創造力を養う5つの方法:まとめ
これまでの内容をまとめると「普通の人」が創造力を養う5つの方法は下記の通りとなる。
- 創造力を高める「マインドセット」を持つ
- 創造力を働かせる「対象」を理解する
- 物事を多面的に捉える
- 徹底的に考え抜く思考習慣を身につける
- 創造力を働かせやすい環境を整える
こうして5つに分解して見ていくと、何を意識して、どのようにしたら創造力を発揮できるか?が、おぼろげながらでも見えてきたのではないだろうか?
「創造力を発揮せよ」といわれてもすぐにはなかなか困難だ。しかしこれらの特徴を一つずつでも意識して実行することができれば、徐々に自分のスタイルとなり、少しずつでも「創造力」を身につけていくことができるはずだ。
創造力の本|おすすめ書籍3冊
締めくくりに、あなたにおすすめできる「創造力の本」を紹介しよう。選定した基準は下記の通りだ。以下のどれかに当てはまるものをピックアップした。
- k_birdが実際に読み、単純に「素晴らしかった」と思える本。
- 実際に戦略立案実務や事例共有に役立っている書籍。
- 長年に渡って読み継がれており、時代を越えても変わらない「本質」や「原理」が見出せる本。
もちろん、すべて「なぜ読むべきなのか?」という解説付きだ。
創造力の本おすすめ書籍-1:5W1Hの思考法
5W1Hといえば、もはや多くのビジネスパーソンにとって「基本」ともいえるフレームワークだろう。
その基本とは「Who(だれが)「When(いつ)」「Where(どこで)」「What(なにを)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」を明確にすることで、「より齟齬のないコミュニケーションをしましょう」というコミュニケーションの基本として語られることが多い。
しかし、本書のスタンスは次の2点で明確に異なる。
1つ目は「5W1H」を「問いのフレームワーク」として捉え直している点だ。5W1Hの「Why(なぜ)」を掘り下げていくことで、より本質的な思考が可能になり、これまでとは異なる広い視野で物事を捉えることが可能になる。その具体的な手順を解説しているのが大きな特徴だ。
2つ目は「5W1H」を「発想のフレームワーク」として捉え「5W1Hをずらす視点」を持つことで、これまでの常識とは異なるユニークなアイデアを生む方法論を解説している点だ。
「5W1H」と言えば、つい「使い古されたフレームワーク」という印象を持ちがちだか、使い方を工夫すれば「人とは違った視野や発想を得るきっかけ」にすることができる。
もしあなたが「視野が狭い」「発想するのが苦手」と感じているのなら、ぜひ本書を手に取ってみてほしい。
「5W1H」という誰もが知るフレームワークが、あなたを劇的に変えてくれるはずだ。
創造力の本おすすめ書籍-2:アナロジー思考
あなたは「イノベーションとは、すでにあるものの組み合わせから生まれる」という話を、どこかで聞いたことがないだろうか?
これはイノベーションの父と呼ばれるヨーゼフ・シュンペーターによるイノベーションの定義だ。日本では、当時「新結合」という訳で輸入されている。
アナロジー思考は、この「すでにあるものの組み合わせ」を活かして、類推の力によってアイデアを生み出す思考法だ。
本書は、このアナロジー思考を体系的に解説した上で、そのベースとなる「抽象化思考力の鍛え方」「身近なビジネスの世界への応用の仕方」「アナロジー思考の頭の使い方」等のノウハウを解説してくれている。
本書を手に取りアナロジー思考力を鍛えることで、あなたの創造力は飛躍的に高まるはずだ。
創造力の本おすすめ書籍-3:アイデアの作り方
本書は、1940年から現在に至るまで、世界中の人々に読み継がれている「アイデア本」のベストセラーであり、定番本だ。
人はアイデアを生み出すときにどのような思考プロセスを辿るのだろうか?その疑問に答えているのが本書だ。
本書は「アイデアの生み出し方」の原理原則をシンプルに描き、アイデアを生むための鍵となる「5段階のプロセス」について解説している。わずか100ページ程度の本にすぎないが、本書は端的に「アイデア創造」の真理を突いている。
時代を越えて今なお読み継がれていることからもわかる通り、本書は多くのビジネスパーソンにとってバイブルとなる一冊だ。
このブログから書籍化した本4冊
★「シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説
冒頭でも紹介したが、再度ここでも紹介させていただこう。
あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。
なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。
しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考の重要性は説くものの、肝心の「仮説思考の身につけ方」になると、
- 「センスが必要」
- 「経験の積み重ねが物を言う」
など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせている書籍が多い。
しかし本書は「仮説思考に必要な頭の使い方の手順」を、豊富な事例とともに徹底解説している。よって、その手順通りに頭を使えば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。
おかげさまで本書は6版を重ね「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただいた。NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、中国や台湾、香港でも出版が決定している。
さらにAmazonレビューでも、
- 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
- 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
- 「一生もののスキルになるのは間違いない」
など有難い言葉を頂戴している。
もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。
★8ジャンル57個の仕事術で「実践力」を身につける
どのようなビジネスも、実践が伴わなければ成果は出ない。しかし、いざ「実践力」を身につけようとしても、その分野は、
- 時間管理術
- 段取り術
- コミュニケーション術
- 資料作成術
- 会議術
- 学び術
- 思考術
- 発想術
など多分野に渡り、最低8冊分の読書時間と書籍代がかかってしまうのが難点だ。
しかし、本書「超効率ハック」は、8つの分野の仕事術の「重要ポイントだけ」を抜き出し、ギュッと1冊に凝縮した書籍だ。
さらに、本書は「訓練や習慣化が必要な作業テクニック」ではなく「行動を変えるための頭の使い方」の解説に力を入れているため「頭のスイッチを切り替える」だけですぐに実践できるのも特色だ。
おかげさまで、本書を題材にしたSchooのオンライン授業では「思考法ジャンル」で人気ランキング1位を頂いた(139講座中)。また、lifehackerやOggiなど数多くのメディアで取り上げていただき、Kindleでは「オペレーションズ部門」でベストセラー1位を獲得している。
Amazonレビューでも、
- 「思考と行動の質を上げるヒントが盛りだくさん」
- 「読んでみると、頑張りどころを間違えてたことに気付かされる」
- 「仕事が速い人はこれをやってたんだな、ということがよくわかった」
など、ありがたい言葉を頂戴しており嬉しい限りだ。
もしあなたが「短時間で網羅的に仕事術を学びたい」「根本から仕事の生産性を高めたい」と感じているのなら、ぜひ手に取ってみて欲しい。
★ロジカルシンキングでは学べない「視点力」と「法則力」を身につける※無料のオーディオブック特典付
人は誰しも「視点」を通してしか物事を考えることができない。
別の言い方をすれば「そもそも何を考えるべきか?」という論点(=イシュー)は、視点が決めてしまうともいえる。
また、どんなに適切な視点を置いたとしても「ああなれば→こうなるだろう」という「予測のパターン(=法則)」が頭の中になければ、確かな仮説を導き出すことはできない。
本書はビジネス書から「視点」と「法則」を発見し、思考の質とスピードを上げていく独学術を解説した書籍だ。
1つの「視点」しか持てない人は、1つの論点しか設定することができない。当然、導き出せる仮説も1つだけだ。
しかし5つの「視点」を持てれば、5つの論点を設定できるようになる。その結果、5つの仮説を導き出すことができるようになるはずだ。
もしあなたが自由自在に「視点」を操ることができるようになれば、物事の多様な側面に気づき、次々と「新たな可能性」を拓くことができるようになる。
また、数多くの「法則」をストックしていけば、様々な現象に「法則」を当てはめることで「筋の良い仮説」を瞬時に導き出すことが可能になるはずだ。
おかげさまで、本書はThe21や日経、STUDY HACKERなど多くのメディアに取り上げていただき、発売3か月で海外の翻訳出版も決定した。Amazonレビューでも、
- 視点力や仮説思考、抽象化スキルが身に付く良書
- これまでの読書術の常識を次々と塗り替えている目からウロコの本
- まさに「モノの見方を変える方程式」
など、ありがたい言葉を頂戴している。
もしあなたが「フレームワーク」だけでは得られない「視点力」と「思考スピード」を身につけたいなら、ぜひ本書で紹介する読書法を実践して欲しい。
★ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」
本書は、筆者の専門である「ブランディング」について解説した書籍だ。
ブランディングは、ややもすれば「デザインの話」「広告の話」「世界観の話」など、掴みどころのない抽象論に陥りがちだ。
しかしブランディングは「ブランド戦略」という言葉があるように、企業の成否を大きく左右する戦略のひとつだ。そして投資が伴う以上、一定の合理性と説明責任が求められる。決して、売上や利益から逃げてはならないのだ。
本書は、つい「感覚論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。
「論理」が理解できなければ、ブランディングを体系的に理解することできず、再現性を生むことができない。
そして「直感的な腹落ち感」がなければ、ブランディングを実務に落とせず、成果をもたらすことができない。
本書は、広告代理店&外資系コンサルティングファームで培った「生の知見」と「体系的な解説」を通して、ブランディングの理論を実践へとつなげて解説している。
おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー入りを果たし、Amazonレビューでも、
- 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
- 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
- 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」
など、ありがたい言葉を頂いている。
もし本書を手にとって頂ければ、ブランディングの専門用語はもちろん、実践の手順や実務の勘所が、一通り学べるはずだ。
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★ブランディング・マーケティングの知識が身につくおすすめ記事
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★17のビジネス分野別おすすめ書籍
★思考力が身につくおすすめ書籍
★ビジネススキルが身につくおすすめ書籍
★ブランディング・マーケティングの知識が身につくおすすめ書籍
終わりに
今後も、折に触れて「あなたをブランドにする思考法」の解説を続けていくつもりだ。
しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。
それでも、このブログに主旨に共感し、何かしらのヒントを得たいと思ってもらえるなら、ぜひこのブログに読者登録やTwitter、facebook登録をしてほしい。
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