Mission Driven Brand

Mission Driven Brand

ブランディングの戦略家が【ブランド戦略の全て】を解説するブログ

目的・目標の違い|目的・目標の設定方法とフレームワーク

目的と目標とは|目的・目標の違いと重要性を徹底解説

この記事に辿り着いたあなたなら「目的・目標とは何か?」あるいは「目的と目標の違い」を理解したいと考えていることだろう。

このブログ「Mission Driven Brand」は、外資系コンサルティングと広告代理店のキャリアを持つ筆者が、ビジネスの「できない、わからない」を解決するブログだ。

目的とは「実現したい内容(What)」のことを指す。一方で目標とは「目的(=実現したい内容)の到達水準(Where)」のことだ。

多くのビジネスでは「事業目標」や「部門目標」など、何らかの「目標」が掲げられているはずだ。目標管理制度を導入している企業なら、上長との面談を元に、毎年「年間の個人目標」を設定している方もいらっしゃると思う。

しかし、もしあなたが「目的と目標の違い」を理解できていなければ、日々の仕事は単なる「作業」となり、いつまでも数値目標を追いかけるだけのPDCA地獄が続くことになる。

よって、今回は「目的と目標の違い」について解説する。合わせて「目的・目標の設定方法」についても解説しよう。その内容は以下の通りだ。

  • 目的・目標とは何か?
  • 目的と目標の違いとは何か?
  • 目的と目標はどのような関係にあるのか?
  • 目的・目標を設定する3つのメリット
  • 目的・目標の設定方法とフレームワーク
  • 目的・目標を仕事に活かす3つの具体例

また、この記事の最後には、記事内で紹介した図版のスライド資料を用意しているので、ぜひ復習時に活用頂きたい。

シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説

冒頭で僭越ながら、拙著「推論の技術」を紹介させていただこう。

あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。

なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。

しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考の重要性は説くものの、肝心の「仮説思考の身につけ方」になると、

  • 「センスが必要」
  • 「経験の積み重ねが物を言う」

など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせている書籍が多い。

しかし本書は「仮説思考に必要な頭の使い方の手順」を、豊富な事例とともに徹底解説している。よって、その手順通りに頭を使えば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。

おかげさまで本書は5版を重ね「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただいた。NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、中国や台湾、香港でも出版が決定している。

さらにAmazonレビューでも、

  • 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
  • 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
  • 「一生もののスキルになるのは間違いない」

など有難い言葉を頂戴している。

もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。

目的とは何か?

ここで改めて質問だ。あなたは「目的とは何か?」と聞かれて、何と答えるだろうか?インターネット上にある記事やブログなどでは、

  • 目的とはゴールのことである
  • 目的とは、最終的に到達すべき事柄である

などと説明されているものが多い。しかし、これらの説明では「目的」と「目標」の違いが明確にならない。

このブログの筆者であるk_birdが考える「目的」とは、以下の通りシンプルだ。

「目的」とは

目的とは、実現したい「内容(What)」のことである。

気を付けていただきたいのは、目的とは「ゴール」でも「最終的に到達すべき事柄」でもなく、実現したい「内容」である点だ。例えば、

  • 社会をより良い場所に変えたい
  • 自社を世界一の企業にしたい
  • 売上を上げたい
  • コストを下げたい
  • ブランド認知率を上げたい

などはすべて、実現したい「内容」の話をしている。つまり、目的とは「何を」実現したいのか?という「内容」のことだ。

これは、逆を考えればより明確になる。「目的がない」状態とは「何を成し遂げるべきかがわからない」という状態であり「ゴールがわからない」というよりは「何を頑張ればいいかわからない」という状態だ。

目標とは何か?

「目的」とは「実現したい内容」だが「目標」とは「目的(=実現したい内容)の到達水準」のことを指す。

「目標」とは

目的(=実現したい内容)の到達水準(Where)

別の言い方をすれば「何のために頑張るのか」という「努力を向ける方向」を決めるのが「目的(What)」であり「どこまで頑張るのか?(Where)」という達成水準を決めるのが「目標」だ。

目的と目標の違い

しつこいようだが、目的とは「何を頑張るのか?」という「内容」の話であり、目標とは「どこまで頑張るのか?」という「達成水準」の話であることはご理解いただけたはずだ。

そして「一つの目的」に対して「複数の目標(プロセス目標)」は存在し得るが「一つの目標」に対して「複数の目的」が存在し得ないことも、ご理解いただけると思う。

これらを1枚の図に表すと以下の通りとなる。

目的と目標の違い

ここまでお読みになれば賢明なあなたならお気づきだと思うが「目標」は「目的」があって初めて設定できるものといえる。例えば以下の通りだ。

目的と目標の違いの例

目的と目標の違いの例-1:社会をより良い場所に変える
  • 目的(実現したい内容):
    社会をより良い場所に変えること
  • 目標(目的の達成水準):
    2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている、極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
目的と目標の違いの例-2:自社を世界一の企業にする
  • 目的(実現したい内容):
    自社を世界一の企業にすること
  • 目標(目的の達成水準):
    世界シェア25%
目的と目標の違いの例-3:売り上げを上げる
  • 目的(実現したい内容):
    売上を上げること
  • 目標(目的の達成水準):
    売上高1,000億円
目的と目標の違いの例-4:コストを下げる
  • 目的(実現したい内容):
    コストを下げること
  • 目標(目的の達成水準):
    20億円のコスト削減
目的と目標の違いの例-5:ブランド認知率を上げる
  • 目的(実現したい内容):
    ブランド認知率を上げること
  • 目標(目的の達成水準):
    ブランド認知率40%

目的と目標の関係

こうしてみると「目的とはゴールのことである」あるいは「目的とは最終的に到達すべき地点である」という説明は間違いであることがわかる。なぜならこれら2つの説明は「最終的に辿り着きたい到達水準」という「最終目標」の話をしているからだ。

重要なことなので繰り返すが「目的」なくして「目標」はあり得ない。

イソップ寓話にレンガ職人の話があるが、人はいきなり「100万個のレンガを積み上げよう(=目標)」と言われても、その意味や意義を理解できず、意欲やモチベーションにつながらない。

しかし「多くの人々を救う大聖堂を創ろう」という「目的」を理解した上で「100万個のレンガを積み上げよう」という「目標」が示されれば、気が遠くなるような単調な仕事も「意義がある仕事」に変わる。

目的と目標を設定するメリット

続いては「目的」と「目標」を設定するについて解説しよう。

目的を設定するメリット

目的を設定する、大きくわけて3つある。その3つとは、以下の通りだ。

  • 目的を設定すると、リソース(ヒト・モノ・カネ)を集中できる
  • 目的を設定すると、手段の選択肢を広げられる
  • 目的を設定すると、チームの意識や行動を方向付けられる
目的を設定するメリット-1:目的を設定すれば「戦略」を考えることができる

目的を設定するメリットの1つ目は「ビジネス資源を集中できるようになること」だ。

どのようなビジネスも、投入できるビジネス資源(ヒト・モノ・カネ)には限りがある。そして限りあるビジネス資源で最大の効果を目指すには、最も効果が見込める分野を「選択」し「集中」しなければならない。

もし「目的(=実現したい内容)」が設定できていなければ「何を頑張ればいいかわからない」という状態になるため、そもそもアクションを起こしようがない。

よしんばアクションを起こしたとしても「何を頑張ればいいか?」がわからないのだから、ビジネス資源の配分は総花的になってしまうはずだ。その結果、少しずつ砂漠に水を撒くようなアクションが繰り出されることになり、その成果は乏しいものになる。

一方で「目的(=実現したい内容)」を明確に設定できれば「何を頑張ればいいのか?」という勝ち筋を見極めた上で「選択と集中」ができるようになる。つまり、限られたビジネス資源で最大限のインパクトを創出することが可能になるのだ。

戦略とは、突き詰めれば「選択と集中」だと言われるが、目的は「戦略(=選択と集中)」を考える上で、極めて重要な要素だ。

目的を設定する理由-1:リソースを集中させるため

目的を設定するメリット-2:目的を設定すれば「手段」の選択肢を広げられる

目的を設定するメリットの2つ目は「手段の選択肢を広げられること」だ。

もし仮に、あなたが営業企画の責任者だったとしよう。部下に対して「営業部隊の強化策を考えてくれ」と頼んだら、部下はどのような行動を取るだろうか?

もしこのように頼まれたら、あなたの部下は「営業部隊を強化する方法」について、様々な検討を進めていくはずだ。しかし、もし実現可能な解決策が見出せなければ、部下は「営業部隊の強化は難しそうです」と報告してくることになり、その成果はゼロになる。

しかし、もしあなたが「売上を上げるための方法を考えてくれ」と部下に頼んだら、部下の行動はどう変わるだろうか?

売上を上げるための手段は「営業部隊を強化する」だけではない。「商品」「価格」「チャネル」「プロモーション」など、その手段は多岐に渡る。

そして、例え「営業部隊の強化」で行き詰ったとしても「商品の改良」「価格の変更」「新たなチャネルの開拓」「プロモーションの刷新」など「売上を上げるため」の別の選択肢を見出せる可能性は大きく広がるはずだ。

鋭いあなたならお気づきと思うが、この違いは「目的と手段」の違いだ。

「営業部隊の強化」は「目的」ではなく「手段」の話をしている。しかし、目的がないまま手段の話をしてしまうと、その手段が行き詰まった時に別の選択肢がなくなってしまう。

一方で「売上を上げる」ことは「目的(=実現したい内容)」の話であり、そのための手段は無数に存在する。例え1つの手段で行き詰っても、目的を達成するための別の手段を検討することが可能になる。

このように「目的」は手段の選択肢を柔軟に広げ「行き詰り」を防ぐことができる。逆を言えば、目的がないまま「手段」を考えてしまうと、その「手段」が行き詰った時に別の選択肢がなくなってしまうので注意が必要だ。

目的を設定する理由-2:手段の選択肢を広げるため

目的を設定するメリット-3:目的を設定すれば、チームメンバーの意識や行動を方向付けられる

目的を設定するメリットの3つ目は「チームメンバーの意識や行動を方向付けられること」だ。

「実現したい内容」が設定できれば、そこに向かって「何を頑張るか?」が明確になる。

その結果、目的の実現に関わる多くの人たちが「自分たちは●●を実現するために頑張っているのだ」と目的意識を持てるようになる。数値目標に対しても、その数値目標を追いかける「目的」が理解できるようになり「なぜ、自分はこの数値目標を追いかけるのか?」という問いに対する答えも明確になる。

つまり、明確な目的を設定することができれば、チームメンバー1人1人の仕事に目的意識を与え、チーム全体の意識や行動を方向付けることができるようになる。

f:id:missiondrivencom:20190728143534p:plain

目標を設定するメリット

それではなぜ「目的」だけでなく「目標」を設定する必要があるのだろうか?目標を設定するメリットは、大きくわけて3つある。

  • 目標達成に必要なビジネス資源の規模感を見積ることができる
  • 目標達成に必要な期間を見積ることができる
  • 目標達成に向けてPDCAサイクルを回すことができる
目標を設定するメリット-1:必要なビジネス資源の規模感を見積ることができる

目標を設定するメリットの1つ目は「目標達成に必要なビジネス資源の規模感」を見積ることができるようになることだ。

「実現したい内容(=目的)」を設定すれば「何を頑張ればいいか?」は見えてくる。しかし「目標(=目的の達成水準)」が設定できていなければ「どこまで頑張るべきか?」が見えないままだ。

そして「どこまで頑張るべきか?」という「達成水準(=目標)」が設定できなければ「そこに辿り着くまでに必要なビジネス資源の規模」を見積もることができない。

例えば「売上高1,000億円」を目標にするのと「売上高1億円」を目標にするのとでは「必要なビジネス資源(ヒト・モノ・カネ)の規模」が大きく変わることは、直感的にご理解いただけるはずだ。

目標を設定する理由-1:必要なリソースの規模感を見積るため

目標を設定するメリット-2:目標達成に必要な期間を見積ることができる

目標を設定するメリットの2つ目は「目標達成に必要な期間」を見積ることができるようになることだ。

例え「目的」を設定したとしても、その目的に対して「どこまで頑張ればいいか?」という「達成水準(=目標)」がわからなければ「どのくらい時間がかかりそうか?」という「目標達成のために必要な期間」を見積もることができない。

こちらも「売上高1,000億円」を目標にするのと「売上高1億円」を目標にするのとでは「目標達成までに必要な期間」が大きく変わるのはご理解いただけるだろう。

目標を設定することができれば「目標達成に必要なビジネス資源は何か?」と「目標達成に必要な期間はどれくらいか?」が見積もれるようになるため、目標達成に向けた「計画」を作ることができるようになる。

つまり「目的(=実現したい内容)の設定」が戦略を策定するために必要不可欠な要素だとしたら「目標(=目的の達成水準)」は計画(ビジネス資源と達成期間)を策定するために必要不可欠な要素だ。

目標を設定する理由-2:目標達成に必要な期間を見積るため

目標を設定するメリット-3:PDCAサイクルを回すことができる

あなたのビジネスは「やりっぱなし」で終わっていないだろうか?人間は見えないものは管理できない。そして管理できないものは改善できず、改善できなければ進化させることもできない。

どのようなビジネスも「やりっぱなし」ではその善し悪しがわからない。そして善し悪しがわからないということは、改善すべきポイントもわからないため、次のビジネス活動も「経験と勘」に頼ることになる。

そして「経験と勘」に頼ったビジネスは「目標を達成したかどうか?」が不明瞭となるため、再び「やりっぱなし」となってしまう悪循環に陥る。

「明確な目標が設定されていない」ことの本当の怖さは「経験と勘」や「なんとなく」が放置されたまま長期に渡って悪循環に陥ることだ。

目的と目標の設定方法とフレームワーク

目的や目標を設定するメリットが理解できたら、いよいよここからは「目的」「目標」の設定方法とフレームワークについて解説していこう。

目的の設定方法とフレームワーク:Will/Can/Must

理想的な目的設定の方法は、

  • Will:自分がやりたいこと
  • Can:自分ができること
  • Must:自分に求められていること

の3つが重なる部分を目的に据えることだ。これは逆を考えてみればお分かりいただけると思う。

「Will:自分がやりたいこと」ができなければ、仕事は面白くなくなる。「Can:自分にできること」が活かせなければ、仕事に対して手ごたえを感じられないはずだ。そして「Must:自分に求められていること」ができなければ、そもそもあなたに存在価値はない。

しかし、ここでネックとなりがちなのが「Will:自分がやりたいこと」が見つからない、という問題だ。このような場合には、目的設定を「短期」「中期」「長期」にわけて、以下の順番で考えてみよう。

短期的な目的設定:まずは「Can」に絞る

まず短期的には「Can:自分ができること」に絞り、

  • わからなかったことが、わかるようになる
  • できなかったことが、できるようになる

の2つを目的に設定しよう。個人であれば「知識の取得」「スキルの向上」であり、組織であれば「組織能力の向上」だ。

この2つを目的として設定し能力を高めれば、昨日より今日、今日より明日と、自身や組織の成長が実感できるようになるはずだ。

その「成長実感」があなたや組織を前向きにし、更なる成長をドライブさせてくれるはずだ。

中期的な目的設定:続いて「Must」に発展させる

「Can:自分ができること」に一通りの目途がついたら、次は「Can」を「Must:求められていること」に発展させるチャレンジをしよう。具体的には、

  • 業務上の期待(求められていること)に応える
  • 社会的な期待(求められていること)に応える

の2つを目的に設定するとよいだろう。

ビジネスとは、煎じ詰めれば「人と人との営み」である以上、多かれ少なかれ相手の期待に応え、満足を提供することが求められる。

もしあなたが「期待を越える満足」を提供し続けることができるようになれば、それらはあなたの「自己肯定感」「自己効力感」につながり「もっとこうしたい」「ああしたい」という「Will」が自然と芽生えてくるはずだ。

長期的な目的設定:長期的な目標として「Will」を実現する

「Must:期待を越える満足」を提供し続け「自己効力感」が高まれば、あなたは自然に「もっとこうすればいいのに」「自分はこれをしたい」などの「Will」が芽生えているはずだ。

もしあなたの中に「Will」が芽生えたら、再度「Will」「Can」「Must」を整理し点検してほしい。

もし「Will」に対して足りない「Can」が残されていたら、あなたに必要なのは「Willの実現」に向けたスキル開発だ。

また「Will」と「Must」にズレが生じていたら「自分がやりたいことを社内提案する」など「Will」と「Must」を重ねるアクションを起こそう。

目標の設定方法とフレームワーク:ベンチマーキングとSMART

目的は「目標(=達成水準)」を設定することで始めて「計画」をつくれるようになる。よって、ここからは目標設定の方法について解説していこう。

目標設定の方法-1:ベンチマーキング

ベンチマークとは、自分の半歩先を行く個人や企業を比較対象として捉え、目標設定する方法を指す。

ベンチマーキングを取り入れることができれば、目標設定に有益なだけでなく、自身を客観的に捉えることができるようになる。さらには、ベンチマーク対象と常に比較をすることで自分にはない優れた点を発見し、取り込むこともできるようになるはずだ。

目標設定の方法-2:SMARTゴール

無事ベンチマークを設定できたら、次にして欲しいのは「SMARTゴール」を設定することだ。

「SMARTゴール」とは、

  1. 具体的か:Specific
  2. 測定可能か:Measurable
  3. 達成可能か:Achievable
  4. 関連性があるか:Relevant
  5. 期限は設定されているか:Time-bound

の5つを満たした目標を指す。

目標が抽象的だと、その達成手段も曖昧になり、実現は難しくなる(Specific)。目標の達成状況を測定できなければ、そもそも達成できたかどうか判断のしようがない(Measurable)。

達成可能な目標でなければ、その目標は夢物語で終わり(Achievable)、組織的に目指している目標との関連が薄ければ、あなたが設定した目標は単なるスタンドプレーでしかなくなる(Relevant)。

そして、明確な期限が設定できなければ、目標達成はズルズルと先延ばしになっていまう(Time-bound)。

このように、明確なSMARTゴールを作れなければ、あなたは目標達成に向けた推進力を作れなくなる。

よって、ぜひWill/Can/Mustフレームワークで目的を設定したら、その目的をSMARTゴールに落としていこう。

目的と目標を日々の仕事に活かす具体例

目的と目標を日々の仕事に活かす具体例-1:「会議」の目的と目標設定

「今日の会議では〇〇について議論したいと思います。みなさん、どんどん意見を出してください」

普段あなたが参加する会議は、このようなフレーズで始まる会議が多いのではないだろうか?会議の本を手に取ると、どの本も例外なく「会議の目的を明確にするべき」と書いてある。しかし、

  • 「今日の会議の目的は、〇〇について意見を出すこと」
  • 「今日の会議の目的は、XXについて議論すること」

は、目的を明確にしているように見えるが、手段と目的が入れ替わってしまっている典。これらは会議の中で「やること」であって「目的」ではない。

このことは、料理に例えるとわかりやすくなる。

あなたは「料理の目的は、焼くことです」と言われて、違和感を感じないだろうか?「どんな料理を作ればいいか?」がわからないまま「目的は焼くことです」といわれても「何を」「何のために」焼けばいいのかががわからない。

そこでぜひおすすめしたいのが、会議の導入時に「やること」だけでなく「目的」を明確しておくことだ。いわば「この会議で実現したい内容」を明確にしておくのだ。

仮に、先ほどの料理の例で「おいしいステーキを作ること」を目的に設定するとどうなるだろうか?

本来は手段である「焼くこと」を目的にしてしまうと、会議の参加メンバーは「焼き鳥」や「焼き魚」の話に脱線してしまうかもしれない。

しかし目的を「おいしいステーキを作ること」と明確にできれば、会議の参加メンバーは「おいしいステーキを作るために(目的)→焼く(手段)」ことがわかるので、焼き鳥や焼き魚の話はしなくなり、会議の脱線を防ぐことができるようになる。

そして会議の「目的」を設定できたら、続いては「会議の目標(=達成水準)」を明確にしよう。

例えば「おいしいステーキを作る」にしても「おいしいステーキとはレアなのか?ミディアムなのか?ウェルダンなのか?」によって「どこまで焼けばいいのか?」は変わる。

これを会議に置き換えれば「目的(=会議で実現したい内容)」だけでは、どこまで意見を出せば終わりなのかがわからない。

しかし「目標(=会議の達成水準)」を明確にできれば「どのような状態に持ち込めば会議は終わりなのか?」が共有できるため、会議の参加メンバーはその達成水準に向かって「何をどれくらい議論すればいいのか?」の心構えができるようになる。

例えば「参考程度に5-6個のアイデアが出た状態が達成水準」なのか「アイデアを出し尽くした上で方針が決まっている状態が達成水準」なのかによって「何をどこまで議論するのか?」は変わってくるだろう。

このように、会議の導入時に「目的」だけでなく「目標(=達成水準)」を明確にしておくことは、会議の参加メンバーのベクトルを揃え、脱線を減らし、会議の質や生産性を致命的に左右する。それぐらい、会議の目的&目標設定は重要だ。

目的と目標を日々の仕事に活かす具体例-2:「情報収集」の目的と目標設定

続いては、目的と目標の設定を「情報収集」に応用してみよう。

「目的」とは「何のために頑張るか?」であることは既に述べた。そして「何のために頑張るか?」がわからなければ「何を頑張ればいいか?」がわからなくなる。

これを「情報収集」に応用して考えると「何のための情報収集なのか?」がわからなければ、そもそも「どのような情報を集めればいいか?」がわからないという状態になる。そして「どのような情報を集めればいいか?」がわからなければ、そもそも情報収集をはじめようがない。

つまり、情報収集における「目的」とは「どのような情報を集めればいいか?」という「情報収集の内容」を決定づけるものであることがわかるはずだ。

そして「目標」が明確でなければ「どの水準まで、情報を集めればいいか?」がわからなくなるため「どの程度の労力や時間を割くべきか?」を事前に見積もることができない。

すると、必要以上に情報収集をしてしまったり、あるいは求められている水準には足りない情報収集に留まってしまい、やはり情報収集の作業は迷走してしまうことになるはずだ。

こちらも、事前に情報収集の「目標」を設定できれば「どの水準まで情報を集めればば終了なのか?」が不明確なまま絨毯爆撃的な情報収集になってしまうことを事前に防ぐことができるようになるはずだ。

目的と目標を日々の仕事に活かす具体例-3:「資料作成」の目的と目標設定

資料作成の「目的」が不明瞭であれば「何のために資料をつくるのか?」がわからなくなり、結果「どのような資料を作ればいいか?」もわからなくなる。

すると「資料に盛り込むべき内容」がわからないまま資料作成を進めることになるので「いま手元にある情報は、全て資料に盛り込もう」という意識になりやすい。

その結果、資料の内容は総花的になり、何を伝えたい資料なのかがわからなくなってしまうことにもなりかねない。

また、資料作成の「目標(=達成水準)」がわからなければ「資料の分量はどの程度が適切なのか?」「資料の詳細度はどの程度が求められているのか?」などの「終わり」が見えないまま資料作成をすることになるので、資料作成業務は「終わりが見えない業務」になってしまうことは想像に難くない。

しかしこちらも、すでに「目的」と「目標」の両方を理解したあなたなら、未然に防ぐことができるはずだ。

目的と目標の設定方法と例-2:あなた自身に活かす

ここでぜひ、あなたや、あなたの会社を振り返ってみて欲しい。

「売上・利益を上げる」
あなたの企業を含めて、多くの企業の目的とは売上や利益を上げることだろう。そして、組織の構成員であるあなたからすれば、
「給料を上げる」
ことが働く目的かもしれない。しかし多くの企業は、以下のような循環で成り立っている。
  • 企業活動を通して社会に価値(=喜び)を提供する
  • 提供した価値に対する対価を受け取る(=売上・利益を上げる)
  • 対価を原資に、さらに多くの価値(=喜び)を社会に提供する
この循環を踏まえれば「売上・利益を上げる」のは目的ではなく、もっと大きな何かを成し遂げるための手段に過ぎないことに気づく。だとすれば、本来企業が掲げるべき真の目的とは、
「売上・利益を上げることで、どのような社会を創りたいのか?」
に対する答えだ。売上や利益は、社会に価値を提供し続けるための手段にすぎない。そしてこれを組織の構成員であるあなたに落とせば、
「働くことで、どのような社会を創りたいのか?」

に対する答えこそが、真に働く目的となり、あなた自身の社会的な存在理由となる。

情報がデジタル化され、洪水のように氾濫する現在では「なぜ?」を問い続け「目的」を見極める重要性は増している。

なぜなら、近年KPIやPDCAが定着しているが、目的なきKPI・PDCAは仕事を単調にし、やりがいを失わせ、人を「作業マシーン」に変えてしまうからだ。

あらゆる情報がデータとして見える化する現在では、つい「近視眼的な目的」や「数値に変換された目標」に振り回され、本来の意味や意義を見失いがちだ。

しかしそんな時代だからこそ、自分や会社に対して「真の目的とは何か?」を問い続け、あなたにとっての「大聖堂」を胸の奥に秘めておこう。

このブログから書籍化した本4冊

シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説

冒頭でも紹介したが、再度ここでも紹介させていただこう。

あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。

なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。

しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考の重要性は説くものの、肝心の「仮説思考の身につけ方」になると、

  • 「センスが必要」
  • 「経験の積み重ねが物を言う」

など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせている書籍が多い。

しかし本書は「仮説思考に必要な頭の使い方の手順」を、豊富な事例とともに徹底解説している。よって、その手順通りに頭を使えば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。

おかげさまで本書は5版を重ね「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただいた。NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、中国や台湾、香港でも出版が決定している。

さらにAmazonレビューでも、

  • 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
  • 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
  • 「一生もののスキルになるのは間違いない」

など有難い言葉を頂戴している。

もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。

ロジカルシンキングでは学べない「視点力」と「法則力」を身につける※無料のオーディオブック特典付

f:id:missiondrivencom:20220118002437p:plain

人は誰しも「視点」を通してしか物事を考えることができない。

別の言い方をすれば「そもそも何を考えるべきか?」という論点(=イシュー)は、視点が決めてしまうともいえる。

また、どんなに適切な視点を置いたとしても「ああなれば→こうなるだろう」という「予測のパターン(=法則)」が頭の中になければ、確かな仮説を導き出すことはできない。

本書はビジネス書から「視点」と「法則」を発見し、思考の質とスピードを上げていく独学術を解説した書籍だ。

1つの「視点」しか持てない人は、1つの論点しか設定することができない。当然、導き出せる仮説も1つだけだ。

しかし5つの「視点」を持てれば、5つの論点を設定できるようになる。その結果、5つの仮説を導き出すことができるようになるはずだ。

もしあなたが自由自在に「視点」を操ることができるようになれば、物事の多様な側面に気づき、次々と「新たな可能性」を拓くことができるようになる。

また、数多くの「法則」をストックしていけば、様々な現象に「法則」を当てはめることで「筋の良い仮説」を瞬時に導き出すことが可能になるはずだ。

おかげさまで、本書はThe21や日経、STUDY HACKERなど多くのメディアに取り上げていただき、発売3か月で海外の翻訳出版も決定した。Amazonレビューでも、

  • 視点力や仮説思考、抽象化スキルが身に付く良書
  • これまでの読書術の常識を次々と塗り替えている目からウロコの本
  • まさに「モノの見方を変える方程式」

など、ありがたい言葉を頂戴している。

もしあなたが「フレームワーク」だけでは得られない「視点力」と「思考スピード」を身につけたいなら、ぜひ本書で紹介する読書法を実践して欲しい。

8ジャンル57個の仕事術で「実践力」を身につける

f:id:missiondrivencom:20220118002454p:plain

どのようなビジネスも、実践が伴わなければ成果は出ない。しかし、いざ「実践力」を身につけようとしても、その分野は、

  1. 時間管理術
  2. 段取り術
  3. コミュニケーション術
  4. 資料作成術
  5. 会議術
  6. 学び術
  7. 思考術
  8. 発想術

など多分野に渡り、最低8冊分の読書時間と書籍代がかかってしまうのが難点だ。

しかし、本書「超効率ハック」は、8つの分野の仕事術の「重要ポイントだけ」を抜き出し、ギュッと1冊に凝縮した書籍だ。もちろん、情報収集に関しても重要ポイントを解説している。

さらに、本書は「訓練や習慣化が必要な作業テクニック」ではなく「行動を変えるための頭の使い方」の解説に力を入れているため「頭のスイッチを切り替える」だけですぐに実践できるのも特色だ。

おかげさまで、本書を題材にしたSchooのオンライン授業では「思考法ジャンル」で人気ランキング1位を頂いた(139講座中)。また、lifehackerやOggiなど数多くのメディアで取り上げていただき、Kindleでは「オペレーションズ部門」でベストセラー1位を獲得している。

Amazonレビューでも、

  • 「思考と行動の質を上げるヒントが盛りだくさん」
  • 「読んでみると、頑張りどころを間違えてたことに気付かされる」
  • 「仕事が速い人はこれをやってたんだな、ということがよくわかった」

など、ありがたい言葉を頂戴しており嬉しい限りだ。

もしあなたが「短時間で網羅的に仕事術を学びたい」「根本から仕事の生産性を高めたい」と感じているのなら、ぜひ手に取ってみて欲しい。

ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書

f:id:missiondrivencom:20210423011806p:plain

本書は、筆者の専門である「ブランディング」について解説した書籍だ。

ブランディングは、ややもすれば「デザインの話」「広告の話」「世界観の話」など、掴みどころのない抽象論に陥りがちだ。

しかしブランディングは「ブランド戦略」という言葉があるように、企業の成否を大きく左右する戦略のひとつだ。そして投資が伴う以上、一定の合理性と説明責任が求められる。決して、売上や利益から逃げてはならないのだ。

本書は、つい「感覚論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

「論理」が理解できなければ、ブランディングを体系的に理解することできず、再現性を生むことができない。

そして「直感的な腹落ち感」がなければ、ブランディングを実務に落とせず、成果をもたらすことができない。

本書は、広告代理店&外資系コンサルティングファームで培った「生の知見」と「体系的な解説」を通して、ブランディングの理論を実践へとつなげて解説している。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー入りを果たし、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

もし本書を手にとって頂ければ、ブランディングの専門用語はもちろん、実践の手順や実務の勘所が、一通り学べるはずだ。

その他の解説記事とおすすめ書籍

おすすめ記事

おすすめ書籍

終わりに

今後も、折に触れて「あなたをブランドにするビジネススキル」の解説を続けていくつもりだ。 

しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。

それでも、このブログに主旨に共感し、何かしらのヒントを得たいと思ってもらえるなら、ぜひこのブログに読者登録Twitterfacebook登録をしてほしい。

k_birdがブログを更新した際には、あなたに通知が届くはずだ。

目的・目標とは|目的・目標の違いと設定方法を解説|スライド資料

執筆・登壇・仕事の相談は

お問い合せフォーム - Mission Driven Brand