Mission Driven Brand

Mission Driven Brand

ブランディングの戦略家が【ブランド戦略の全て】を解説するブログ

アナロジーとは|アナロジーの意味とアナロジー思考のトレーニング法|事例有

アナロジーとは|アナロジーの意味とアナロジー思考のトレーニング法

この記事に辿り着いたあなたなら「アナロジーとは何か?」あるいは「アナロジー思考のトレーニング方法」を探していることだろう。

このブログ「Mission Driven Brand」は、外資系コンサルティングと広告代理店のキャリアを持つ現役7実務家が、ビジネスの「できない、わからない」を解決するブログだ。

アナロジーとは「知っている知識や経験」を「知らない分野」に当てはめて推論し、応用することを指す。

ビジネスの世界では「何をやらせても優秀な人」が存在する。

「何をやらせても優秀な人」の共通点は、すでに経験のある分野だけでなく未経験の分野に対しても飲み込みが早く、1を聞いて10を知る能力を身につけていることだ。

例えば優秀なコンサルタントは、未経験の問題に直面しても「1を聞く」ことで「残りの9」を推論し、適切な仮説を立てることができる。

また、業界経験のない起業家が斬新なコンセプトを打ち立てて事業を成功させるのも、未経験の分野に対して「1を聞いて10を知る」仮説思考力を身につけているからだ。

このように「1を聞いて10を知る」能力を身につける上でカギを握るのが「アナロジー」と呼ばれる思考法だ。

今回は、あなたの成長を加速させる上で必要不可欠な「アナロジー」について解説する。また、あわせて「アナロジー思考をトレーニングする方法」についても紹介しよう。その内容は以下の通りだ。

  • アナロジーとは何か
  • アナロジーのわかりやすい例
  • アナロジー思考とは何か
  • アナロジー思考はなぜ重要なのか
  • アナロジー思考をトレーニングする方法

情報や知識は「目に見えるもの」だ。そして短時間で簡単に手に入る。しかし短時間で得られる競争力は、短時間で真似される競争力でしかない。

一方で「アナロジー思考」などの「思考力」は「目に見えないもの」であり、いったん身につければ、簡単には真似できない長期的な競争力になる。ぜひ今回の解説を、あなたの「持続可能な競争力」に結び付けて欲しい。

また、この記事の最後には、記事内で紹介した図版のスライド資料を用意しているので、ぜひ活用頂きたい。

シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説

冒頭でも紹介したが、再度ここでも紹介させていただこう。

あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。

なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。

しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考の重要性は説くものの、肝心の「仮説思考の身につけ方」になると、

  • 「センスが必要」
  • 「経験の積み重ねが物を言う」

など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせている書籍が多い。

しかし本書は「仮説思考に必要な頭の使い方の手順」を、豊富な事例とともに徹底解説している。よって、その手順通りに頭を使えば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。

おかげさまで本書は6版を重ね「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただいた。NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、中国や台湾、香港でも出版が決定している。

さらにAmazonレビューでも、

  • 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
  • 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
  • 「一生もののスキルになるのは間違いない」

など有難い言葉を頂戴している。

もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。

アナロジーとは何か?アナロジーの意味とアナロジーの例

アナロジーとは-1:アナロジーの意味

まずは、アナロジーの辞書的な意味を確認しておこう。デジタル大辞泉(小学館)によると「アナロジー」の定義は以下のように記載されている。

「アナロジー」の辞書的な意味とは?-デジタル大辞泉
  • 類似。
  • 類推。類比。

これだけでは、いまいち「アナロジーとは何か?」がイメージしずらいが、要は「知っている知識や経験」を「知らない分野」に応用することが「アナロジー」だ。

アナロジーの意味とは?

「知っている知識や経験」を「知らない分野」に当てはめて推論し、応用すること。

アナロジーとは-2:アナロジーとメタファーの違い

ここで、よく混同されがちなアナロジー(類推)とメタファー(比喩)の違いについて触れておこう。

アナロジーとは、以下のような頭の使い方を指す。

  • 医師はまず患者を診断し、病気の原因を明らかにしてから治療する。
  • コンサルタントはクライアントの現状を診断し、問題の原因を明らかにしてから解決する
  • 医師とコンサルタントは方法論が似ている
  • よって、医師の仕事の方法論は、コンサルタントの仕事の方法論に応用できる。

アナロジーは日本語で「類推」と訳されるように「類似している要素」を見つけ出して応用することを指す。

一方でメタファーはアナロジーの一種であり、いわば「比喩」表現といえる。例えば以下がメタファーの典型例だ。

  • 企業活動において、マーケティング部門は「車の運転手」のような役割を果たす。
  • 一方で、商品開発部門と営業部門は「車の両輪」の役割を果たす。

アナロジーもメタファーも「ある物事を、別の物事に当てはめて考えること」に変わりはない。

しかしアナロジーが「ロジックの類似性を元に当てはめる」ことに主眼が置かれるのに対して、メタファーは「見た目の類似性を元に当てはめる」ことに主眼が置かれるのが大きな違いだ。

アナロジーとは-3:アナロジーの例

ここからは、よりアナロジーの理解を深めるために、例を使って解説していこう。

もし仮に、あなたが学生時代に以下のような成功体験があったとしよう。

  • 高い目標を掲げたからこそ、有名大学に合格できた

これをビジネスに当てはめれば、

  • 高い目標を掲げれば、営業成績No.1を取れるはず

と応用することができる。また、スポーツに当てはめれば

  • 高い目標を掲げれば、全国優勝できるはず

とも類推できる。

このようにアナロジーを駆使して「知っている知識や経験」を「知らない分野」に応用することができれば、分野を越えてあなたの世界が広がっていくことがおわかりになるはずだ。

アナロジーとは?アナロジーの意味とアナロジーの例

アナロジー思考とは?アナロジー思考の例

アナロジー思考とは-1:アナロジー思考の意味と定義

アナロジー思考とは、すでに経験のある分野から見出した「法則」を未経験の分野に応用する思考法だ。「アナロジー的思考」あるいは「アナロジカルシンキング」とも呼ばれる。

このブログの筆者であるk_birdなりにアナロジー思考を定義すると以下の通りとなる。

「アナロジー思考」とは何か?
これまでの知識や経験から得た学びを法則化し、異なる分野に応用する思考法

アナロジー思考とは-2:アナロジー思考の例

よりアナロジー思考のメリットを理解いただくために「RPGゲーム」を題材にアナロジー思考の例を示そう。

アナロジー思考の例-1:情報や経験を得る

例えば、あなたが「RPGゲーム好き」だったとしよう。RPGゲームには、総じて以下のような特徴が存在する。

  1. ただ漫然とプレイしているだけではすぐにゲームキャラクターが死んでしまい、攻略できない。
  2. ゲームキャラクターは、敵のモンスターを倒すことで経験値がUPしていく。
  3. ゲームキャラクターは、様々な道具を手に入れることで強くなっていく。

アナロジー思考の例-2:学びを得る

しかし、上記だけでは単に「PRGゲームの特徴の羅列」でしかない。しかしあなたはRPGゲームの経験から、以下のような学びを得たとしよう。

  1. ただ漫然とプレイしているだけではすぐにゲームキャラクターが死んでしまい、攻略できない。
    PRGゲームは、個々のダンジョンの配置や難易度をあらかじめ知っていれば、攻略しやすくなる。
  2. ゲームキャラクターは、敵のモンスターを倒すことで経験値がUPしていく。
    経験値UPのスピードを上げるには、たくさんの経験値を与えてくれるモンスターを優先的に倒していくのが効率的だ。
  3. ゲームキャラクターは、様々な道具を手に入れることで強くなっていく。
    ゲームキャラクターにも資質や性格があり、それぞれの資質や性格にあった道具を見つけないと強くならない。

アナロジー思考の例-3:法則化する

そしてこれらの学びを一般化し「法則化」すると、以下の通りとなる。

  1. PRGゲームは、個々のダンジョンの配置や難易度をあらかじめ知っていれば、攻略しやすくなる。
    物事を攻略するには、まずは「全体像」知り、それぞれの部分の「難易度」を把握ことが重要だ。
  2. 経験値UPのスピードを上げるには、たくさんの経験値を与えてくれるモンスターを優先的に倒していくのが効率的だ。
    成長のスピードを上げるには、優先順位を考える必要がある。
  3. ゲームキャラクターにも資質や性格があり、それぞれの資質や性格にあった道具を見つけないと強くならない。
    スキルアップの方法には、それぞれの資質や性格にあった方法を見つける必要がある。

アナロジー思考の例-4:異なる分野に応用する

そして、上記で見出した「法則」を、異なる分野に応用すると以下の通りとなる。ここでは「マーケティング」に応用してみよう。

  1. 物事を攻略するには、まずは「全体像」知り、それぞれの部分の「難易度」を把握ことが重要だ。
    マーケティングスキルを身につけるには、まずは「マーケティングの全体像」と「個別分野の難易度」を把握することが重要だ。
  2. 成長のスピードを上げるには、優先順位を考える必要がある。
    マーケティングスキル向上のスピードを上げるには、優先順位を考える必要がある。
  3. スキルアップの方法には、それぞれの資質や性格にあった方法を見つける必要がある。
    マーケティングスキルを向上させる方法に一般解はなく、自分の資質や性格にあった方法を見つける必要がある。

アナロジーの重要性とメリット

アナロジーの重要性

ここまでお読みになって、あなたは「RPGゲームをマーケティングスキルに応用するなんて、発想が飛躍しすぎでは?」と感じたかもしれない。

しかしアナロジー思考の能力が高く「1を聞いて10を知る人」は、何をやっていてもそこから法則を見出し、他の分野に応用する「アナロジー感覚」を持っている。

こういう人は「遊ぶことで仕事のヒントが得られる」「遊んでいる時に新しいビジネスの発想が思いつく」などと語ることが多いが、これなどは「遊び」から得た法則を「仕事」という全く異なる分野に応用できる、という意味だ。

また、経営者が好んで「戦国武将の本」や「スポーツ監督の本」を読むのも、異なる分野から得た法則を自社のビジネスに応用して活かしたいと考えているからだ。

このように、アナロジーができる人はあらゆる物事から法則を得て、異なる分野に応用する習慣を身につけている。このため、アナロジーができない人と比べて、一つの経験から得られる学びの量が数倍多いのが特徴だ。

逆を言えば、アナロジー思考が苦手な人は、自分の経験を「他の分野に当てはめる習慣」がないため「これはこれ、あれはあれ」と別々に考えてしまう。そのため、発想の幅が狭く応用が利かなくなる。

そして応用が利かないと「業務から得た学びを、他の分野に応用できない」「過去から得た学びを、未来に応用できない」状態となるため「1を聞いて1しかわからない人材」となり、成長速度に大きな差が出てしまうのだ。

アナロジーのメリット

アナロジー思考を身につけることで得られるメリットは、大きくわけて3つある。

  • 新しい発想ができるようになる
  • 一度の経験で数倍の学びが得られる
  • コミュニケーション能力が高まる

以下、一つ一つ解説しよう。

アナロジーのメリット-1:新しい発想ができるようになる

アナロジー思考をトレーニングすれば、現状に囚われない新しい発想ができるようになる。

人は誰でも経験が長くなればなるほど「思考のパターン化」が起き、既存のフレームワークやセオリーに頼りたくなる。しかし既存のフレームワークやセオリーの「内側」だけに留まっていては、新しい発想が出てきずらいのは自明の理だ。

しかし、アナロジーは「異なる分野で得た法則を、自分がよく知る分野に応用すること」を可能にする。

いわば「自分の思考パターンの外側」に目を向け、そこから得られた法則を自分のビジネスに「引き込む」思考法ともいえる。よって、既存の枠を越えた発想力が鍛えられるのがメリットだ。

例えば、もしあなたが「銀行マン」だとしたら、あなたが見えている世界は「銀行業界の内側」だろう。

しかしアナロジー思考をトレーニングすれば銀行業界の外側に目を向け「スターバックスのような金融機関」「ナイキのような金融機関」「アップルのような金融機関」など、新たな発想を導き出すことができるようになるはずだ。

アナロジーのメリット-2:一度の経験で自分の学びが数倍になる

ここまでお読みになればお気づきの通り、アナロジー思考はあなたの学びを飛躍的に加速させる。なぜならアナロジー思考は「インプットからの学び」と「アウトプットからの学び」の両方を通して「法則」を累乗的に増やしてくれるからだ。

このことを理解するために、まずは「インプットからの学び」について解説しよう。

もしあなたがアナロジー思考をトレーニングすれば、インプットできる「学びの量」は飛躍的に増えることになる。

なぜならアナロジーの本質は「応用」であり、アナロジーが習慣化できれば、あなたは「自分の守備領域」だけでなく「それ以外の領域」からも学びを得て法則化し、自分の仕事に引き込んで応用することができるからだ。

更に、あなたがアナロジーを鍛えることができれば、アウトプットできる量も飛躍的に増大する。なぜならアナロジーの本質である「応用する力」とは、裏を返せば「一つの目的に囚われない力」ともいえるからだ。

もしあなたが得た「学び」や「法則」を様々な分野に横展開できれば、アウトプットの応用範囲は二倍にも三倍にも広がる。

このように、アナロジーをアウトプットに活かすことができれば、あなたが生み出せる成果は飛躍的に増えるはずだ。

アナロジーのメリット-3:コミュニケーション能力が高まる

アナロジー思考を鍛えることができれば、あなたのコミュニケーション能力は飛躍的に高まる。

例えば、

  • 日本国内における1年間のビールの消費量は266万5,915klです

と言われてもピンとこないが

  • 日本国内における1年間のビールの消費量は、東京ドームの約2杯分です

と言われると「ビールの消費量の規模感」がピンと来るはずだ。

この場合「266万5,915kl」という数字を「東京ドームの大きさ」に当てはめて説明することで、規模感をわかりやすくしている例だ。

また、先ほども例に出したように「コンサルタントとは、医者のようなものだ」とよく言われるが、これもアナロジーの一種であるメタファーだ。

このように、相手の想像力が働きにくい物事も「相手が理解しやすいもの」に置き換えて説明することができれば、お互いの共通理解は劇的に高まる。

アナロジーに長けた人は、こうした「メタファー」や「比喩表現」がうまいのも特徴だ。

アナロジーのトレーニング方法と例

いよいよここからは、アナロジー思考をマスターするトレーニング方法について解説していこう。アナロジー思考のトレーニング方法は、大きく分けて以下の4ステップだ。

  • 学びを得る
  • 法則化する
  • 異なる分野に応用する
  • Wループ学習を回す

それでは一つずつ解説していこう。

アナロジーのトレーニング方法と例-1:具体的な物事から学びを得る

このブログをお読みのあなたなら、なんらかの形でビジネスに携わっていることだろう。

仕事をしている以上、一つ一つの仕事から学びを得て、次に活かすのは基本動作となる。しかし重要なのは、一つ一つの仕事を通じて次に活かすための「学び」に気づけるかどうかだ。その際に重要となるのが「観察力」と「本質を見抜く力」だ。

学びを得る-1:観察力をトレーニングする

もしあなたが「観察力」を鍛えることができれば、例え人と同じ物事を見たとしても、人とは違うことに気づき、人よりも多くの学びを得ることができるようになる。

そして観察力を身につける上で重要なのは「注意力」だ。人は、物事が「当たり前になる」と注意力が落ち、それ以上は見えなくなる。特に、

  • 経験や慣れによる「当たり前」
  • 常識や既成概念による「当たり前」
  • 権威や社会的証明による「当たり前」

は、あなたの注意力を下げ、観察力を曇らせる。

もしあなたが観察力を鍛えたいなら、日々立ち止まり「慣れ」や「常識」について自覚的になる習慣をつけよう。

学びを得る-2:本質を見抜く力をトレーニングする

本質を見抜く力とは「目に見えるものを手掛かりに、その奥底にある本質を見抜く力」を指す。

本質を見抜く力を身につける上で重要なのは「なぜ?」と「どうなっている?」を繰り返し考える習慣を身につけることだ。

「なぜ?」という問いは、あなたを「目に見える観察の世界」から「目に見えない本質の世界」へと導いてくれる。そして「どうなってる?」という問いは、 実態の解明へとあなたを誘ってくれる。

そして「なぜ?」と「どうなってる?」を組み合わせることができれば「背景に、こんな意図が存在するからではないか?」「背景に、こんな因果関係の力学が存在するからではないか?」など、目に見えない部分の洞察を深め、新たな学びをもたらしてくれる。

アナロジーのトレーニング方法と例-2:法則化する

日々の仕事を通して何らかの学びに気づいたら、次はそれらの学びを「法則化」するステップだ。

日々の仕事で得られた学びは、そのままでは同じ仕事にしか活かせない。そのため、どうしても応用範囲は狭いままとなる。

しかし、もしあなたが得られた学びを一般化し「応用範囲の広い法則」に見立て直すことができれば、その「法則」があなたの視野を大きく広げ、成長を加速してくれる。

その際に欠かすことができない能力が「物事を抽象化する力」と「多面的な視点で捉える力」だ。

抽象化をトレーニングする

抽象化とは、形がある「実体」を手掛かりにしながらも、それに囚われることなく「形のない概念」を抜き出していくことを指す。

先ほどのRPGゲームの例で言えば、

RPGゲームで得られた学び

PRGゲームは、個々のダンジョンの配置や難易度をあらかじめ知っていれば、攻略しやすくなる。

というのはRPGゲームから得られた学びだが、これではRPGゲームという特定の領域でしか活かせず、応用が利かない。

しかし「RPGゲームから得られた学び」を「RPGゲーム」という特定領域から切り離し、より一般的な「概念」として捉え直すと、

抽象化(概念化)
物事を攻略するには、まずは「全体像」と、それぞれの部分の「難易度」を知ることが重要だ。

となる。その結果、ビジネスやスポーツ、あるいは受験勉強など、より応用範囲の広い「法則」へと進化させることができる。このように、抽象化はアナロジー思考を身につける上で必要不可欠の能力だ。

よって、もしあなたが抽象化能力を身につけたいなら、あなたの目の前にある具体的な物事から「応用範囲の広い概念」を抜き出すトレーニングを習慣にしよう。

多面的な視点で捉えるトレーニングをする

抽象化能力が身についたら、次は「物事を多面的な視点で捉える」トレーニングをしよう。なぜなら、特定の物事から「概念」を抜き出す際に、視点が多ければ多いほど得られる「法則」も増えていくからだ。

例えば、先ほどのRPGゲームの例では「RPGゲーム攻略という視点」だけでは、得られる「法則」は一つしかない。しかし、

  • キャラクターの成長スピードという視点
  • キャラクターの性格や資質という視点

など、次々と別の視点を加えることができれば、複数の応用可能な法則を得られるはずだ。

「視点」は「今、自分がどこに焦点を当てて物事を見ているか?」を決めてしまう。しかし、もしあなたが「多面的に見る力」を身につけることができれば、一つのインプットから多様な法則を導き出せるようになる。

アナロジーのトレーニング方法と例-3:異なる分野に応用する

あなたが得た「法則」は、どのような分野に応用して考えることができるだろうか?例えば先ほどのRPGゲームから得られた「法則」は、

  • 物事を攻略するには、まずは「全体像」と、それぞれの部分の「難易度」を知ることが重要だ。
  • 成長のスピードを上げるには、優先順位を考える必要がある。
  • スキルアップの方法には、それぞれの資質や性格にあった方法を見つける必要がある。

だが、これは様々な分野に応用して考えることができる。例えば、

物事を攻略するには、まずは「全体像」と、それぞれの部分の「難易度」を知ることが重要だ。

という法則は、先ほどの例のように「マーケティング」に応用して考えることができるかもしれない。あるいは、

成長のスピードを上げるには、優先順位を考える必要がある。

という法則は、自分や部下のキャリア育成に応用して考えることもできる。また、新規事業の成長スピードを加速させるための「法則」になりえるかもしれない。また、

スキルアップの方法には、それぞれの資質や性格にあった方法を見つける必要がある。

という法則は、組織学習や研修制度に応用して考えることができるかもしれない。

「得た学びを法則化して応用する」には、大きくわけて、

  • 異なる分野から得られた法則を、自分の業務に応用して活かす
  • 自分の業務から得られた法則を、異なる分野に応用して活かす

の2つのパターンが存在する。この2つを相互に行き来するトレーニングを習慣化できれば、あなたの発想は格段に広がるはずだ。

アナロジーのトレーニング方法と例-4:ダブルループ学習を回す

人は、様々な学びを得ながら成長していく生き物だ。しかしその多くは「日々の業務知識を学ぶ」「日々の業務手順を学ぶ」など、パターン化された業務の「内側」に留まってしまうことが多い。

このように、すでに備えている考え方や行動の範囲内で学習を進めていくスタイルをシングルループ学習と呼ぶ。

一方でダブルループ学習とは、既存の枠組みを越えたところから新しい視点を取り込む学習スタイルのことだ。

シングルループ学習だけでは、得られる学びが日々の業務の「内側」に留まってしまうため、過去の固定観念を打破することは難しい。

しかしアナロジーを駆使して、常に新しい法則を「外側」から引き込むことができれば、あなたの成長の幅は広がり、成長速度も格段に速くなっていくはずだ。

アナロジーのトレーニング方法と例-4:ダブルループ学習を回す

アナロジーの本|おすすめ書籍3冊

締めくくりに、あなたにおすすめできる「アナロジーの本」を紹介しよう。選定した基準は下記の通りだ。以下のどれかに当てはまるものをピックアップした。

  • k_birdが実際に読み、単純に「素晴らしかった」と思えるアナロジー思考本。
  • 実際に戦略立案実務や事例共有に役立っているアナロジー思考関連書籍。
  • 長年に渡って読み継がれており、時代を越えても変わらない「本質」や「原理」が見出せるアナロジー思考関連本。

もちろん、すべて「なぜ読むべきなのか?」という解説付きだ。

アナロジーの本おすすめ書籍-1:アナロジー思考

あなたは「イノベーションとは、すでにあるものの組み合わせから生まれる」という話を、どこかで聞いたことがないだろうか?

これはイノベーションの父と呼ばれるヨーゼフ・シュンペーターによるイノベーションの定義だ。日本では、当時「新結合」という訳で輸入されている。

アナロジー思考とは、すでに解説した通り「これまでの情報や経験から得た学びを法則化し、異なる分野になぞらえて応用する思考法」だ。

例えば「新しい金融機関のアイデアは?」というお題に対して、あなたはどのような金融機関が思い浮かぶだろうか?

うまくアナロジー思考を活用すれば「スターバックスのような金融機関」「ナイキのような金融機関」「ユニクロのような金融機関」など、アナロジー思考で「組み合わせ」を考えていくことで、これまでにあるようでなかったコンセプトの創出や、そのコンセプトの膨らましが可能となる。

本書を要約すれば、このアナロジー思考を体系的に解説した上で、そのベースとなる「抽象化思考力の鍛え方」「身近なビジネスの世界への応用の仕方」「アナロジー思考の頭の使い方」等のノウハウを解説してくれている名著だ。

本書を手に取りアナロジー思考力を鍛えることができれば、アイデア創出の生産性は飛躍的に高まるはずだ。

アナロジーの本おすすめ書籍-2:賢さをつくる

この記事で解説したように、アナロジー思考には抽象化が必要不可欠だ。

本書は「具体」と「抽象」の往復運動を「頭の良さ」と定義した上で、

  • 個別的(具体)⇔全体的(抽象)
  • 短期的(具体)⇔長期的(抽象)
  • 実用的(具体)⇔本質的(抽象)
  • 五感的(具体)⇔概念的(抽象)
  • 現実的(具体)⇔精神的(抽象)
  • 一面的(具体)⇔多面的(抽象)
  • 手段(具体)⇔目的(抽象)
  • 問題解決力(具体)⇔問題設定力(抽象)

など、具体と抽象を対比させながら「抽象化」の重要性と伸ばし方を解説している書籍だ。

ロジカルシンキングは、物事を論理的に深掘りしてくタイプの思考法だ。しかしそれに加えて本書が提示する「具体と抽象を往復する思考法」を身につけることができれば「アナロジーを駆使して、自由自在に発想を広げる」ことが可能になる。

もしあなたが「論理的思考は得意だが、概念を捉えるのが苦手」と感じているのなら、ぜひ一読をお薦めする。

アナロジーの本おすすめ書籍-3:メタ思考トレーニング

例え同じ事実でも、視点の置き方によってその事実に対する解釈は変わる。

本書は、物事を「一つ上の視点」から客観的に考えるメタ思考の重要性と実践法を解説した良書だ。

アナロジー思考とは「複数の分野を横断して、応用する」思考法であることから、複数の分野を「一つ上の視点」で捉えるメタ思考は必須の能力となる。

また、一見、規則性なく散らばった「バラバラの問題」も、一つ上から俯瞰的に眺めることで、その「意味」や「関係性」を読み解き、それらを成り立たせている「法則」を発見しやすくなる。

ビジネスの世界では「型の奴隷になるな。型の創造者たれ」という言葉がある。

もしあなたがメタ思考を身に付けることができれば、複数の物事にまたがる「法則」を読み解き、ビジネスに活かすことが可能になるはずだ。

このブログから書籍化した本4冊

シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説

冒頭でも紹介したが、再度紹介させていただこう。

あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。

なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。

しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考の重要性は説くものの、肝心の「仮説思考の身につけ方」になると、

  • 「センスが必要」
  • 「経験の積み重ねが物を言う」

など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせている書籍が多い。

しかし本書は「仮説思考に必要な頭の使い方の手順」を、豊富な事例とともに徹底解説している。よって、その手順通りに頭を使えば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。

おかげさまで本書は6版を重ね「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただいた。NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、中国や台湾、香港でも出版が決定している。

さらにAmazonレビューでも、

  • 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
  • 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
  • 「一生もののスキルになるのは間違いない」

など有難い言葉を頂戴している。

もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。

8ジャンル57個の仕事術で「実践力」を身につける

f:id:missiondrivencom:20220118002454p:plain

どのようなビジネスも、実践が伴わなければ成果は出ない。しかし、いざ「実践力」を身につけようとしても、その分野は、

  1. 時間管理術
  2. 段取り術
  3. コミュニケーション術
  4. 資料作成術
  5. 会議術
  6. 学び術
  7. 思考術
  8. 発想術

など多分野に渡り、最低8冊分の読書時間と書籍代がかかってしまうのが難点だ。

しかし、本書「超効率ハック」は、8つの分野の仕事術の「重要ポイントだけ」を抜き出し、ギュッと1冊に凝縮した書籍だ。もちろん、思考術に関しても重要ポイントを解説している。

さらに、本書は「訓練や習慣化が必要な作業テクニック」ではなく「行動を変えるための頭の使い方」の解説に力を入れているため「頭のスイッチを切り替える」だけですぐに実践できるのも特色だ。

おかげさまで、本書を題材にしたSchooのオンライン授業では「思考法ジャンル」で人気ランキング1位を頂いた(139講座中)。また、lifehackerやOggiなど数多くのメディアで取り上げていただき、Kindleでは「オペレーションズ部門」でベストセラー1位を獲得している。

Amazonレビューでも、

  • 「思考と行動の質を上げるヒントが盛りだくさん」
  • 「読んでみると、頑張りどころを間違えてたことに気付かされる」
  • 「仕事が速い人はこれをやってたんだな、ということがよくわかった」

など、ありがたい言葉を頂戴しており嬉しい限りだ。

もしあなたが「短時間で網羅的に仕事術を学びたい」「根本から仕事の生産性を高めたい」と感じているのなら、ぜひ手に取ってみて欲しい。

ロジカルシンキングでは学べない「視点力」と「法則力」を身につける※無料のオーディオブック特典付

f:id:missiondrivencom:20220118002437p:plain

人は誰しも「視点」を通してしか物事を考えることができない。

別の言い方をすれば「そもそも何を考えるべきか?」という論点(=イシュー)は、視点が決めてしまうともいえる。

また、どんなに適切な視点を置いたとしても「ああなれば→こうなるだろう」という「予測のパターン(=法則)」が頭の中になければ、確かな仮説を導き出すことはできない。

本書はビジネス書から「視点」と「法則」を発見し、思考の質とスピードを上げていく独学術を解説した書籍だ。

1つの「視点」しか持てない人は、1つの論点しか設定することができない。当然、導き出せる仮説も1つだけだ。

しかし5つの「視点」を持てれば、5つの論点を設定できるようになる。その結果、5つの仮説を導き出すことができるようになるはずだ。

もしあなたが自由自在に「視点」を操ることができるようになれば、物事の多様な側面に気づき、次々と「新たな可能性」を拓くことができるようになる。

また、数多くの「法則」をストックしていけば、様々な現象に「法則」を当てはめることで「筋の良い仮説」を瞬時に導き出すことが可能になるはずだ。

おかげさまで、本書はThe21や日経、STUDY HACKERなど多くのメディアに取り上げていただき、発売3か月で海外の翻訳出版も決定した。Amazonレビューでも、

  • 視点力や仮説思考、抽象化スキルが身に付く良書
  • これまでの読書術の常識を次々と塗り替えている目からウロコの本
  • まさに「モノの見方を変える方程式」

など、ありがたい言葉を頂戴している。

もしあなたが「フレームワーク」だけでは得られない「視点力」と「思考スピード」を身につけたいなら、ぜひ本書で紹介する読書法を実践して欲しい。

ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書

f:id:missiondrivencom:20210423011806p:plain

本書は、筆者の専門である「ブランディング」を扱った書籍だ。

ブランディングは、ややもすれば「デザインの話」「広告の話」「世界観の話」など、掴みどころのない抽象論に陥りがちだ。

しかしブランディングは「ブランド戦略」という言葉があるように、企業の成否を大きく左右する戦略のひとつだ。そして投資が伴う以上、一定の合理性と説明責任が求められる。決して、売上や利益から逃げてはならないのだ。

本書は、つい「感覚論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

「論理」が理解できなければ、ブランディングを体系的に理解することできず、再現性を生むことができない。

そして「直感的な腹落ち感」がなければ、ブランディングを実務に落とせず、成果をもたらすことができない。

本書は、広告代理店&外資系コンサルティングファームで培った「生の知見」と「体系的な解説」を通して、ブランディングの理論を実践へとつなげて解説している。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー入りを果たし、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

もし本書を手にとって頂ければ、ブランディングの専門用語はもちろん、実践の手順や実務の勘所が、一通り学べるはずだ。

その他の解説記事とおすすめ書籍

おすすめ記事

おすすめ書籍

終わりに

今後も、折に触れて「あなたをブランドにする思考法」の解説を続けていくつもりだ。 

しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。

それでも、このブログに主旨に共感し、何かしらのヒントを得たいと思ってもらえるなら、ぜひこのブログに読者登録Twitterfacebook登録をしてほしい。

k_birdがブログを更新した際には、あなたに通知が届くはずだ。

アナロジーとは|アナロジーの意味とアナロジー思考のトレーニング法|スライド資料

執筆・登壇・仕事の相談は

お問い合せフォーム - Mission Driven Brand