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3C分析とは|戦略的な3C分析の方法と具体例【テンプレート有】

3C分析とは|3C分析の例とマーケティングに活かす全手順【テンプレート有】

このページに辿り着いたあなたなら「3C分析とは何か」あるいは「3C分析の方法」に関心があることだろう。

このブログ「Mission Driven Brand」は、外資系コンサルティングと広告代理店のキャリアを持つ筆者が、ブランディングやマーケティングの「できない、わからない」を解決するブログだ。

3C分析を含むマーケティングフレームワークは、長年の歴史に耐え「それなりに」有益なものだ。しかし「それなりに」と書いたのには理由がある。

これだけインターネットが普及し、誰でもそれなりの情報を入手できる環境の中で、3C分析を単なる「情報収集」や「情報整理」に使うだけでは、あなたの価値はコモディティ化していく。

もしあなたが3C分析を優れた戦略立案に活かしたいなら、3C分析を単なる「情報収集・整理の方法」として使うのではなく、ぜひ「思考を巡らす」ために使い倒してほしい。

3C分析を「思考を巡らす」ために使い倒す

この記事で目指すのは「フレームワークのカタログ本」によくある浅い解説ではない。その内容は、以下の通りだ。

  • 3C分析とは何か?
  • なぜ3C分析は「市場・顧客の定義」から始めるべきなのか?
  • 「市場・顧客分析」の具体手順
  • 「競合分析」の具体手順
  • 「自社分析」の具体手順
  • 3C分析を活かす「クロス3C分析」とは

3C分析は、使い方を誤れば「単なる穴埋め問題」になりがちだ。そして単なる穴埋め問題であれば「作業」に過ぎないが、その背景にあるロジックまで理解できれば、それはあなたにとって一生ものの「スキル」となる。

もしあなたが「3C分析について理解したい」だけでなく「3C分析を使いこなせるようになりたい」と考えているのなら、ぜひこの解説を最後までお読みいただきたい。

この解説の最後には無料でPDFダウンロードできる12枚のテンプレートも用意している。

ブランドマーケティングを学びたい方へ。このブログから書籍化した「ブランディングの教科書」

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まずは冒頭に、僭越ながら拙著を紹介させていただこう。

「ブランディング」は捉えどころがなく、なかなか一歩を踏み出せない。あなたはこのような状況に陥ってはいないだろうか?

本書の執筆陣は、ある時は広告代理店のストラテジックプランナーとして、ある時は、外資系コンサルティングファームのコンサルタントとして、クライアントの実務担当者が悪戦苦闘する姿を見てきた。

「ブランディング」は、その本質を理解しないまま実行に移そうとすると、的を射ない小手先の手法を延々と繰り出すことになりがちだ。結果、やみくもに予算を消化したまま、成果が出ない事態に陥ってしまう…。

そのような事態を1件でも減らしたい。そう考えたのが本書を執筆した理由だ。

ブランディングの本は、どれも「ブランドのらしさ」「ブランドの世界観」など「ふわっと」した話になりがちだ。そして「ふわっ」とした話になればなるほど抽象的かつ曖昧な概念論になってしまい、企業組織の中で通すことが難しくなる。

本書は、外資系コンサルティングファームと広告会社で培った「生の知見」をふんだんに盛り込みつつ、つい「抽象論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

もちろん、PEST分析や3C分析、STP戦略などについても、詳細に解説している。

「理論」が理解できなければ、ブランディングを体系化できず、ビジネスに再現性を生むことができない。そして「実践」が理解できなければ、ビジネスに成果をもたらすことができない。

本書は、ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」として、ブランド戦略の再現性と成果を目指した書籍だ。

トセラー1位を獲得し、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

  • クッキー規制によりデジタルマーケティングでCTRやCVRが頭打ち。CPAは下がるどころか、少しずつ上昇傾向ですらある。
  • 矢継ぎ早に新商品を繰り出してもすぐに競合に追い付かれ、差別化ができない。商品開発サイクルは更に早まり、自転車操業状態になっている。
  • 「自社にはブランディングが必要だ」と理解はしているが、概念が抽象的過ぎて、どう周囲を巻き込んでいいかがわからない。

もし、あなたがこれらに当てはまるなら、ぜひAmazonのページで本書の目次をチェックしていただきたい。つい感覚論になりがちな「ブランディング」に対して、

  • なぜ、そうなのか?
  • どう、ビジネスに役立つのか?
  • 何をすればいいのか?
  • 具体的な日本のブランドの事例は?

を徹底して解説しているので、あなたのお役に立てるはずだ。

kindle Unlimitedを契約されている方は無償で手に入れることができるので、気軽に手に取っていただきたい。

3C分析とは?3C分析の意味を定義する

3C分析とは-1:3Cとは何か?

「3C」とは、自社商品やサービスを取り巻くミクロ環境である

  • Customer(市場・顧客)
  • Competitor(競合)
  • Company(自社)

の3つの頭文字を取ったマーケティングフレームワークだ。「3C分析」の読み方は「さんしー」あるいは「スリーシー」と読む。

「3C」とは

自社商品やサービスを取り巻くミクロ環境である
「市場・顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つの頭文字を取ったマーケティングフレームワーク。

市場を取り巻く環境を「3C」というフレームワークで整理することで、抜け漏れのないミクロ環境分析が可能になる。

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もしあなたがマーケティング担当者なら、上図のような「3Cのフレームワーク」を目にしたことがあるはずだ。

この「3C」を考案したのは、元マッキンゼー&カンパニーのコンサルタントで、現在ではビジネスブレイクスルー大学の学長である大前研一氏だ。1984年に出版された「ストラテジック・マインド―変革期の企業戦略論」によって広く知られるようになった。

また、同じマッキンゼー&カンパニーのコンサルタントだった伊藤良二氏も以下のように述べている。

 

コンサルタントの世界では、次から次へと新しいフレームワークが紹介されているが、私の経験では3C以上にシンプルかつ万能なフレームワークはない。

3Cで溶けない戦略課題解決はないといってもいいぐらいである。

「戦略課題」解決 21のルール

 

上記の文章をお読みいただければ、いかに「3C」が重要なスキルかをご理解いただけるはずだ。

3C分析とは-2:3C分析とは何か?

「3C分析」は、マーケティングの教科書では必ずといってよいほど紹介されているフレームワークだ。しかし「3C分析の目的とは何か?」「なぜそもそも3つのCを分析する必要があるのか?」という「根本」から解説している書籍は驚くほど少ない。

マーケティングとは、突き詰めて言えば「競合ブランドを上回る魅力で生活者ニーズを満たし、利益を上げ続ける企業活動」だ。

ここで勘の良いあなたなら、上記の文章の中に「3C」の要素がすべて含まれていることに気が付いたはずだ。

  • 「生活者ニーズを満たし…」←Customer(市場・顧客)のニーズ
  • 「競合ブランドを上回る…」←Competitor(競合)の強み・弱み
  • 「上回る魅力で…」←Company(自社)の強み・弱み

上記をご覧になれば、3C分析とはマーケティングの本質そのものであることがおわかりいただけるだろう。

3C分析とは-2:3C分析とは何か?

3C分析の目的は「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つを分析し、マーケティングのKFS(Key Factor for Success:成功要因)を発見することだ。

「3C分析」とは

「市場・顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つを分析し、マーケティングのKFS(Key Factor for Success:成功要因)を発見する分析

一般に、分析となると数多くのデータを収集し、多大な労力が必要だ。しかし3C分析の目的や本質を理解していれば、要点を絞り込んだ情報収集や分析が可能となる。

それでは、ここから先は「3C分析の手順」について、事例と図解を交えながら解説していこう。

3C分析の方法と具体手順

ここからは、3C分析の方法について解説していこう。

3C分析では、必ず「市場・顧客分析」を最初に行う必要がある。その理由は以下の2点だ。

  • 3C分析において致命的に重要なのは「市場の定義」だから
  • 3C分析では「市場の定義」ができなければ「競合の定義」ができないから

以下、一つずつ解説していこう。

3C分析における「市場の定義」の重要性

ロジカルシンキングの考え方の一つに「因果推論」という考え方がある。

端的に言えば「AだからB」「BだからC」「CだからE」…と因果関係を結びながら結論を導き出す考え方だ。

「因果関係」といえば、人はつい「結論」や「結論に至るまでのロジック」に着目しがちだ。しかし因果関係において最も重要なのは、因果関係を結ぶ上で置いている「そもそもの前提」だ。

上記の例でいえば、どれだけ「AだからB」「BだからC」「CだからE」というロジックが正確だったとしても、そもそもの前提である「A」が間違っていれば、その後の因果関係や結論は意味をなさなくなる。

3C分析の手順-1:3C分析における「市場の定義」の重要性

これを3C分析に置き換えれば「そもそもの前提」とは「市場の定義」のことを指す。

例えば、眼鏡チェーンを例にとって考えてみよう。普通に考えれば、眼鏡チェーンにおける「市場の定義」とは「視力が落ちて困っている人々」となる。しかしそう考えなかった事例がJINSだ。

JINSは「市場=視力が"正常"な人々」と定義した。その結果、PCのブルーライトをカットする眼鏡を発売し、眼鏡市場を席巻したことはあなたもご存じの通りだ。もしJINSが市場の定義を「視力が"落ちた"人々」と定義していれば、JINSPCは誕生しなかったはずだ。

「市場の定義」は、3C分析だけでなくSTP戦略である「セグメンテーション」や「ターゲティング」あるいは「ポジショニング」を考える上での前提となる。そのため何度も吟味し、思考を巡らせながら決めていくべき最も重要な要素となる。

これが、3C分析の一番初めに「市場・顧客分析」を行わなければならない理由の一つ目だ。

STP戦略を学ぶには

STP戦略が学べる解説記事一覧

3C分析では「市場の定義」ができなければ「競合の定義」ができない

続いて、3C分析で初めに「市場・顧客分析」を行うべき理由の2つ目に移ろう。

3C分析の一つである競合分析には、陥りがちな罠がある。

「会社規模が同等だから」「製品が似ているから」など、似て非なるブランドを誤って競合と捉えてしまう罠だ。

しかし競合とは「ターゲットとニーズの両方が重なる他社ブランド」のことを指す。だとすれば、3Cの一つである「市場・顧客」が明確になっていなければ、競合ブランドを特定することはできない。

例えば「タブレット端末市場」を事例に考えてみよう。

あなたがタブレット端末ブランドのマーケティング担当者なら、競合としてすぐに思い浮かぶのはライバル企業のタブレット端末ブランドのはずだ。

しかしもし仮にタブレット端末に対するニーズが「いつでもどこでも仕事がしたい」ならノートパソコンが競合となり、「いつでもどこでもメールチェックしたい」ならスマートフォンが競合になることも有り得る。

この事例のように「市場の定義」次第で分析すべき「競合」は変わる。これが3C分析の一番初めに「市場・顧客分析」を行わなければならない二つ目の理由だ。

市場・顧客分析の方法と具体例

3C分析のやり方-1:市場・顧客分析のやり方と事例

ここからは「市場・顧客分析」を行う上で必要な視点手順の解説に移ろう。

「市場・顧客分析」を行う上で必要な視点は「量」「質」そして「変化」の3つに分けることができる。

市場・顧客分析の方法と具体例-1:量の視点を持つ

あなたのブランドの売上は

  • 市場規模
  • マーケットシェア

の2つの掛け算で決まる。そしてこの2つの要素の一角である「市場規模」とは、端的に言えば「ニーズの量の多さ」のことだ。

あなたの目の色は、参入している市場の市場規模(ニーズの量の多さ)が10億円なのか1,000億円なのかによって大きく変わってくるはずだ。なぜなら市場規模の大きさによって、ブランドの売上見込みや投資額が大きく変わってくるからだ。

それだけ重要な「市場規模」だが、量を捉える上で重要な原則がある。それは量を「全体からみた割合」として相対的に捉えることだ。

世の中には第三者機関が独自に調べた「市場規模」が存在する。しかしそれらは「市場内で競争するブランドの売上高を積算する」というアプローチをとっている。そのため、市場規模の絶対額はわかるが「ターゲット全体の中で何%の人が買っているのか?」という「全体から見た割合」がわからない。

そして「ターゲット全体の中で何%の人が買っているのか?」がわからなければ「ターゲット全体の中で何%の人が買って"いない"のか?」もわからないため、開拓余地=ホワイトスペースの規模がわからなくなる。

もし「全体から見た割合」も含めて市場規模を把握したいなら、ぜひ第三者機関の市場規模だけでなく、マーケティングリサーチの活用を検討しよう。

市場・顧客分析の方法と具体例-2:質の視点を持つ

「量」の中には、当然その内訳としての「質」が存在する。市場規模が把握できたら、次は市場の質、つまり市場内に存在するニーズを分析しよう。

例え同じ市場であっても、市場内に存在するニーズは大きく異なる。例えば、以下のようなニーズだ。

  • 実利を求めるニーズ:品質・性能・利便性など
  • 感性を求めるニーズ:デザイン・イメージなど
  • 気分を求めるニーズ:実感・体験など
  • 自己表現を求めるニーズ:自己実現・社会実現など

当たり前のことだが、生活者ニーズを満たせなければモノやサービスは売れない。そしてあなたの競合ブランドはこれらのニーズのどれか(あるいは全部)を満たそうと、虎視眈々と狙っている。

あなたがマーケティングを成功させ競争優位を築くためには「市場ニーズの把握」は欠かせない分析となる。そして市場のニーズを把握する際には、ぜひどの競合ブランドがどのニーズを狙っているのか?を念頭に置きながら分析を進めて欲しい。

市場・顧客分析の方法と具体例-3:変化の視点を持つ

市場ニーズが把握できたら、次は市場の変化に着目しよう。

あなたがベテランのマーケティング担当者ならすでにご存じかもしれないが、マーケティングの世界には市場の変化を捉える上で有用な「プロダクトライフサイクル」という理論が存在する。

詳細は下記の解説に譲るが、ざっくり解説すると下記の通りだ。

  • 市場の成長期:

市場が右肩上がりの時期。実利ニーズが先行していることが多い。

「ニーズの量」が急速に増えている時期であることから、競合よりもいち早く「ホワイトスペース」に普及させる「スピード」が重要となる時期。

  • 市場成熟期:

市場規模が横ばいとなり、ニーズが細分化していく時期。

この時期になると差別化のために「格安ブランド」や「キャラクターブランド」が現れ始める。逆に言えば、市場に「格安ブランド」や「キャラクターブランド」が現れ始めたら市場成熟化のサインと見てよい。

この時期は「ニーズの量」が一定であり、顧客はリピート顧客が中心となる。よってブランドロイヤリティを高めて自社顧客を守りながら、いかに差別化戦略によって他社顧客のブランドスイッチを獲得するかがカギを握る。

  • 市場衰退期:

市場規模の縮小が始まる時期。

「ニーズの量」自体が減少し「ホワイトスペース」の余地はほとんどなくなる。ブランドはコモディティ化し、差別化の中心が「低価格」となる。

こうしてみていくと「2.市場成熟期」や「3.市場衰退期」はホワイトスペースの余地が少なく、市場機会が見出しづらいことがわかる。

しかしもう一歩深い視点を持つことで、新たな市場機会が発見できる場合がある。それは「変化の内訳を見る」という視点だ。

例えば、以下の例をご覧頂きたい。

左側のチャートを見る限り、この市場は縮小しているように見える。しかし右側のチャートで「変化の内訳」を深掘りすると、市場の縮小はサブ市場Bに起因しており、サブ市場Aはむしろ拡大していることがわかる。

3C分析のやり方-1:市場・顧客分析のやり方と事例

このような現象は多くの市場で見られる。

事例を挙げればでいえば、ビール類市場における「ビール⇔発泡酒/第三のビール」自動車市場における「乗用車⇔軽自動車」などだ。

そしてこのような状態を、一般には「二極化」と呼ぶ。

市場成熟期あるいは衰退期には、ぜひ「市場の変化」だけでなく「変化の内訳」にも目を向けて分析して欲しい。思わぬ発見が見出せるはずだ。

競合分析の方法と具体例

3C分析のやり方と事例-2:競合分析の方法

競合分析の方法と具体例-1:競合ブランドを特定する

競合分析でまず必要となるのが「競合ブランドの特定」だ。「市場・顧客分析」の項目で解説したが「市場の定義」がしっかりできていれば「競合」はおのずと明らかになるはずだ。

当たり前のことだが、競合ブランドを特定できなければ、競合分析をすることはできない。そして競合ブランドを特定するとき、大きく2つの視点を持つとヌケモレを防ぎやすい。

競合ブランドを特定する方法-1:直接競合を特定する

直接競合とは「生活者から見て、あなたのブランドと直接比較されるブランド」の事を指す。もしその競合ブランドが購入された場合、あなたのブランドは購入されない。逆にあなたのブランドが購入された場合、競合ブランドは購入されない。いわば「ガチンコ」で競合しているブランドだ。

競合ブランドを特定する方法-2:間接競合を把握する

間接競合とは「同じ姿形の商品・サービスでなくても、提供価値が同じ商品・サービス」の事を指す。

事例を挙げれば、中古品の売買事業者である「ハードオフ」にとって、直接競合は「トレジャーファクトリー」となる。しかしハードオフの提供価値は「中古品を高く売れる」あるいは「中古品を安く買える」であり、例え業態が違えど「メルカリ」や「ヤフオク!」は提供価値において競合となりうる。

このように、競合ブランドを特定する際には「直接競合」だけでなく、ブランド提供価値に着目した「間接競合」も含めてリストアップしよう。

競合分析の方法と具体例-2:競合ブランドの構図を分析する

一般に、競合ブランドは複数存在するはずだ。競合ブランドをリストアップできたら、次は「競合ブランドの構図」を分析するステップだ。

競合ブランドの中には、以下のような色分けが存在する。

  • 市場そのものを牽引しているリーダーブランド
  • リーダーに対して差別化でチャレンジしていくチャレンジャーブランド
  • 専門性を強みにニッチな強みを活かしているニッチブランド
  • リーダーやチャレンジャーを徹底的に模倣するフォロワーブランド

競合分析の方法と事例-2:競合ブランドの構図を分析する

上記は一般に「競争地位別戦略」と言われる。

1980年にフィリップ・コトラーが提唱した競争戦略理論であり、ブランドを競争地位別に4つに類型化した上で戦略目標を設定する考え方だ。

例を挙げれば、飲料業界でリーダーブランドといえば「コカ・コーラ」だ。自動販売機の設置数が最も多く、市場をけん引している。

一方で、コカ・コーラに対してユニークなプロモーションで果敢に挑んでいるサントリーはチャレンジャーブランドの位置づけとなる。

そして「緑茶」というニッチな分野で専門性を発揮している「伊藤園」はニッチブランド、売れ筋カテゴリーが現れるとすぐさま模倣品を出してくる「サンガリア」はフォロワーブランドとなる。

このように各ブランドごとの「色分け」が分析できれば、それぞれのブランドのおおよその戦略が推測できるようになる。結果、次のステップである「競合ブランドの特徴」を明らかにしやすくなる。

競合分析の方法と具体例-3:競合ブランドの戦略とリソースを把握する

「競合ブランドの構図」が分析できたら、各ブランドの戦略とリソースを把握するステップに移ろう。各ブランドの特徴を把握するにあたって、ぜひ押さえておきたい分析項目は以下の5点だ。

  • ニーズ:競合ブランドが満たそうとしてるニーズ
  • 提供価値:競合ブランドが提供しようとしている価値(=喜び)
  • STP戦略:競合ブランドのSTP戦略
  • マーケティングミックス:競合ブランドの4P戦略
  • リソース:競合ブランドの戦略やオペレーションを支えるリソース

競合分析の方法と事例-3:競合ブランドの戦略とリソースを把握する

以下、簡単に解説を加えよう。

競合分析の分析項目-1:競合ブランドが満たそうとしているニーズ

当たり前のことだが、ブランディングやマーケティングにおいて最も重要なのは「生活者のニーズを満たす」ことだ。

ニーズの満たし方には、

  • 「今あるニーズを満たす」最適化アプローチ
  • 「今はないニーズを創り出して満たす」創造型アプローチ

の2つがあるが、どちらのアプローチも重要となるのが「競合ブランドより上手に」ニーズを満たすことだ。

よって、まずは「どの競合ブランドが」「どのニーズを」満たそうとしているかを分析することが重要となる。

競合分析の分析項目-2:競合ブランドのブランド提供価値(=喜び)

「どの競合ブランドが、どのようなニーズを満たそうとしているか?」が分析できたら、次のステップは各競合ブランドが「どのように」ニーズを満たそうとしているか?を分析するステップだ。

その際に着目すべきなのが、各競合ブランドの「ブランド提供価値」だ。ブランド提供価値とは「生活者がブランドから受け取る価値(=喜び)」のことを指す。

各競合ブランドには「品質」や「機能」「価格」など様々な側面があるが、それらの中で「ブランド提供価値」だけが、唯一各ブランドの「存在理由」であり「生活者」と「ブランド」をつなぐ接点となる。

よって、ぜひ入念に「競合ブランドは、どのようなブランド提供価値で生活者ニーズを満たそうとしているのか?」を分析しよう。

競合分析の分析項目-3:競合ブランドのSTP戦略

各競合ブランドの「意図」は、如実に「戦略」に現れる。なぜなら「戦略」の本質とは「捨てる」意思決定だからだ。

一般に、マーケティングにおける「戦略」とは「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」などのSTP戦略であるとされる。

「セグメンテーション」とは「市場の捉え方と細分化の切り口」のことだが、いったん「市場の捉え方」や「細分化の切り口」を決めてしまえば、その他の視点は捨てることになる。

また「ターゲティング」においても、一度ターゲットを決めてしまえば、その他のターゲットは「捨てる」ことを意味する。

「ポジショニング」もまた「生活者から見て、自社ブランドが担える独自の役割」を決めてしまえば、その他の役割は「捨てる」ことになる。

戦略とは、目的のために何に資源を集中し、何を捨てるかの意思決定だ。あなたの競合ブランドは、何に資源を集中させ、何を捨てているだろうか?

戦略を分析すれば、競合ブランドの「意図」が明確になる。そして「意図」が明確になれば、競合ブランドの「これからの動き」も推測しやすくなる。

競合分析の分析項目-4:競合ブランドのマーケティングミックスを分析する

STP戦略は「オペレーション」によって具現化されて始めて成果を生む。

各競合ブランドの「意図(=戦略)」が分析できたら、その「意図」をどのように具現化しているのか?を分析しよう。

あなたがマーケティング担当者なら「マーケティングミックス」あるいは「マーケティングの4P」というフレームワークはどこかで聞いたことがあるはずだ。

マーケティングの4Pとはマーケティングミックスのオペレーションを捉えるフレームワークであり

  • Product:商品・サービス
  • Price:価格
  • Place:流通
  • Promotion:販売促進施策

の頭文字を取ったものだ。しかし最近では上記の4Pに加え、

  • People:顧客対応スタッフ
  • Process:顧客対応プロセス
  • Physical Evidence:品質や信頼の証拠・証明

を加えた「マーケティングの7P」の考え方を取り入れることも多い。

オペレーションは直接顧客と接する部分だ。よってオペレーションを分析すれば、より競合ブランドの特徴は見えやすくなる。

ぜひ入念に「各競合ブランドは、どのように戦略を具現化しているのか?」を分析しよう。

競合分析の分析項目-5:競合ブランドのリソース(資源)を分析する

どのようなオペレーションも、投入している「リソース」の量や質によって成果は大きく変わる。リソースとして代表的なのは、以下の4点だ。

  • ヒト:
    組織カルチャー/企画系・実行系・管理系の人材能力/実行スピードなど
  • モノ:
    基礎技術/応用技術/生産技術/設備/販売拠点など
  • カネ:
    研究開発予算/設備投資予算/販売促進予算/広告宣伝予算など
  • ブランド:
    知名度/知覚品質/ブランド連想/ブランドロイヤリティなど

競合分析の分析項目-5:競合ブランドのリソース(資源)を分析する

競合ブランドのリソースは、外側から捉えるには限界がある。しかし「足」や「人脈」を使えば有識者やジャーナリスト、あるいは顧客から思わぬ情報が得られることがある。

ぜひ、できるだけの情報を集め分析してみよう。

自社分析の方法と具体例

3C分析のやり方-3:自社分析の方法と事例

3C分析の3つ目である自社分析のやり方は、基本的に「競合分析」のやり方と同様だ。よってこの項目では、自社分析ならではの留意すべきポイントを中心に解説していく。

自社分析の方法と具体例-1:自社ブランドの立ち位置を把握する

「競合分析」で「競合ブランドの構図」を把握したように、今度は「自社ブランド」を競争地位戦略の中に位置づけてみよう。

しかしここでよくありがちなのは、つい「感情論」が入ってしまうことだ。

リーダーブランドに比べて、量的にも質的にもマーケティング資源が圧倒的に少ないにも関わらず、ついプライドからか(あるいは上司の顔色を慮って)自社ブランドを「フォロワー」ではなく「チャレンジャー」として位置付けてしまうケースが散見される。

気持ちとしてはわかるが「チャレンジャー」とは「リーダーにあと一歩及ばない2-3番手の地位」のブランドだ。リソースに圧倒的な差があるのなら、競争地位の位置づけは「ニッチャー」か「フォロワー」しかない。

上記の飲料業界の事例でいえば、まさか「サンガリア」が「コカ・コーラの一歩及ばない2-3番手」とは、あなたも思わないだろう。

「フォロワー=模倣戦略」と聞くと嬉しい気はしないかもしれないが、3C分析の目的は「分析」であり「意気込み」ではないことに留意しよう。

自社分析の方法と具体例-2:自社ブランドの5つの分析項目を整理する

続いて競合分析で活用した5つの分析項目を「自社分析」に当てはめてみよう。再掲すると下記の通りだ。

  • ニーズ:自社ブランドが満たそうとしてるニーズ
  • 提供価値:自社ブランドが提供しようとしている価値(=喜び)
  • STP戦略:自社ブランドのSTP戦略
  • マーケティングミックス:自社ブランドの4P戦略
  • リソース:自社ブランドの戦略やオペレーションを支えるリソース

自社分析の方法と事例-2:自社ブランドの5つの分析項目を整理する

上記のうち、特に留意したいのが「自社ブランドの戦略やオペレーションを支えるリソースは何か?」の部分だ。

これまでk_birdは様々なクライアントにお伺いしディスカッションを重ねてきた。その経験上、こと「リソース」に関してはクライアントの態度は大きく2つに分かれることが多い。

1つ目は「うちの会社の強みは最新鋭の工場です」と工場案内を促されるケースだ。

実際に工場に案内していただくと確かに優れた工場であることはわかる。しかし、ことブランディングやマーケティングに関して言えば、重要なのは「工場がすごい」ことではなく「工場のすごさが、ブランド提供価値にどう結びついているか?」だ。

どんなに優れた工場も、そこから生み出された製品が生活者の魅力につながっていなければ宝の持ち腐れとなる。よって、もし「自慢の工場」が存在する場合には「それがどうブランド提供価値に反映しているのか?」を分析してみよう。

2つ目は、自信なさげに「うちの会社には強みといえる強みがないので、3C分析ができません」とおっしゃられるケースだ。

このケースは頻繁に遭遇するが「強み」は必ずしも「今、存在していなければいけないもの」ではない。「今後、創り出していけるもの」だ。

よって自社分析を行う際には「自社は際立った強みがないからしょうがない」ではなく「自社はどのような強みを獲得すれば勝てるのか?」という創造的な視点を持ち合わせておこう。

クロス3C分析の方法

ここまで、3C分析の3つの視点である「市場・顧客分析」「競合分析」「自社分析」について解説した。

しかし冒頭でも述べた通り、3C分析は単なる「穴埋め問題」ではない。単なる穴埋めであればそれは「作業」でしかなくなるが、3C分析を「思考ツール」として使いこなせるようになれば、それはあなたにとって「一生のスキル」となる。

よってここからは「3C分析」を「穴埋め」ではなく「思考ツール」として使いこなし、マーケティングに活かすための「クロス3C分析」の手順を紹介しよう。

クロス3C分析とは何か

一般に、3C分析といえば以下のフレームワークとセットで紹介されることが多い。

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しかし上図では「市場・顧客」「競合」「自社」を個別に捉えることが前提となってしまっているため「単なる穴埋め問題」に陥りやすい。

3C分析では、よく「強み」という言葉が使われる。しかし「強み」とは生活者から見れば「魅力」のことであり「感じ方」のことだ。

だとすれば「強み」は「自社」と「市場」との間で相対的に決まることになる。いくら「自社」と「市場・顧客」を「個別」に分析したところで、強みは明らかにならない。

また「自社」と「競合」との間でも同様だ。

例えどんなにあなたが「自社ブランドの強みはこれです!」と主張したところで、競合ブランドがそれを上回る強みを持っていれば、それは本質的な意味であなたのブランドの強みにはならない。

「強み」とは「自社と競合との間」で相対的に決まる。だとすれば、こちらも「自社」と「競合」を「個別」に分析したところで「強み」は明らかにならない。

どのような物事も、単に「対象を見る」だけでなく「対象と対象の関係性を見抜く」ことで初めてその本質が浮き彫りになる。

これらを踏まえた上で、k_birdが好んで使っている3C分析のフォーマットがクロス3C分析だ。

SWOT分析と用途は同じだが、マーケティングの本質にのっとり「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」をクロスさせながらKFSを導き出すフレームワークだ。

クロス3C分析とは何か

 クロス3C分析の方法と具体例-1:市場×競合を掛け合わせて分析する

 3C分析をマーケティングに活かすやり方-1:市場×競合を掛け合わせて分析する

「市場×競合」の関係性を分析する目的は「競合ブランドが抱えている課題」を発見するためだ。

なぜなら、もし「競合ブランドの課題」が発見できれば、それはあなたのブランドから見た場合に「機会」となり得るからだ。

以下、解説しよう。

市場×競合を掛け合わせて分析する-1:競合ブランドは誰にどのような価値を提供しているか?

「市場×競合」を掛け合わせた時に見えるのが「競合ブランドは誰の、どのようなニーズに対して、どのような価値を提供しているのか?」だ。

上記を分析することで明らかにしたいポイントは下記の通りだ。

  • 競合ブランドが手薄になっているターゲットはないか?
  • 競合ブランドが手薄になっているニーズはないか?
  • 競合ブランドの「ブランド提供価値」と「ターゲットニーズ」にズレはないか?

もし上記が発見できれば、それは競合ブランドが抱える市場課題となる。つまり裏を返せばあなたのブランドにとっては市場機会となる。

市場×競合を掛け合わせて分析する-2:提供価値に対して、競合ブランドの方針は一貫性があるか?

競合分析を解説した際に、以下の5つ項目を紹介したことを覚えておいでだろうか?

  • ニーズ:競合ブランドが満たそうとしてるニーズ
  • 提供価値:競合ブランドが提供しようとしている価値(=喜び)
  • STP戦略:競合ブランドのSTP戦略
  • マーケティングミックス:競合ブランドの4P戦略
  • リソース:競合ブランドの戦略やオペレーションを支えるリソース

この5つのポイントを分析する際に重要な視点が「1-5までの一貫性」だ。

市場×競合を掛け合わせて分析する-2:提供価値に対して、競合ブランドの方針は一貫性があるか?

もし競合ブランドが1-5まで一貫している場合、それは競合ブランドの強力な「強み」となる。なぜならその競合ブランドの提供価値は、より強固で永続的なものとなるからだ。

一方で、現実的には上記5つを一貫させるのは難しく、どこかに矛盾が存在することが多い。そしてあなたがその矛盾を発見できたとすれば、それは競合ブランドが抱える課題であり、あなたのブランドにとっては機会となる。

クロス3C分析の方法と具体例-2:市場×自社を掛け合わせて分析する

 3C分析をマーケティングに活かすやり方-2:市場×自社を掛け合わせて分析する

「市場×自社」の関係性を分析する目的は「自社ブランドの機会と課題」を発見することだ。

市場×自社を掛け合わせて分析する-1:自社ブランドは誰にどのような価値を提供しているか?

「市場×自社」を掛け合わせた時に見えるのが「自社ブランドは、誰にどのような価値を提供しているのか?」だ。

上記を分析することで明らかにしたい事柄は下記の通りだ。

  • 自社ブランドに魅力を感じてくれているターゲットは誰か?
  • 「自社ブランドのターゲット」と「ブランド提供価値」はマッチしているか?

もし上記2つがマッチしていれば、それはあなたのブランドにとって市場機会となりうる。一方でマッチしていない場合、それはあなたのブランドが抱える市場課題となり、ブランドスイッチのリスクに晒されていることになる。

市場×自社を掛け合わせて分析する-2:その提供価値に対して、自社ブランドの方針は一貫性があるか?

こちらも「市場×自社」に関して以下の1-5までの「一貫性」に着目しよう。

  • ニーズ:自社ブランドが満たそうとしてるニーズ
  • 提供価値:自社ブランドが提供しようとしている価値(=喜び)
  • STP戦略:自社ブランドのSTP戦略
  • マーケティングミックス:自社ブランドの4P戦略
  • リソース:自社ブランドの戦略やオペレーションを支えるリソース

市場×自社を掛け合わせて分析する-2:その提供価値に対して、自社ブランドの方針は一貫性があるか?

もし、あなたのブランドに「1-5までの一貫性」があれば、それはあなたのブランドにとって大きな「強み」となる。

なぜなら、例え「個々の要素」では競合ブランドに劣ってたとしても「個々の要素を組み合わせる力」が競合より上回れば、生活者に提供できる価値も上回ることが可能だからだ。

ビジネスの世界には、企業の強みを把握する上で有用な「VRIO」というフレームワークが存在する。

  • V:Value(経済価値)=提供できる価値(=喜び)の度合い
  • R:Rarity(希少性)=企業資源の希少性の度合い
  • I:Imitability(模倣可能性)=模倣されにくい度合い
  • O:Organization(組織)=企業資源の組織的運用能力の高さの度合い

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「様々な要素を組み合わせて一貫させる力」は、価値ある組織能力となる。

そしてVRIOフレームワークに当てはめればわかる通り「希少性があり真似しにくい組織能力」として、永続的な強みにもなる。

特に大手企業は組織の階層が多く、かつ関係する部門が広範に渡るため「一貫性」を保ちにくい。よって、もしあなたが下位企業のマーケティング担当者なら「1-5までの一貫性を生み出す強み」に着目してみよう。もし「一貫性」を形創れるのなら、大きな強みとなり得るはずだ。

クロス3C分析の方法と具体例-3:自社×競合を掛け合わせて分析する

 3C分析をマーケティングに活かすやり方-3:自社×競合を掛け合わせて分析する

「自社×競合の関係性」を分析する際のポイントは以下の2点となる。

  • 競合が満たせていない隙間のニーズを満たすことができるか?
  • 競合が満たしているニーズを上回ることができるか?

以下、解説しよう。

自社×競合を掛け合わせて分析する-1:競合が満たせていないニーズを満たすことができるか?

先の「市場・顧客分析」のステップで「市場に存在するニーズ」は洗い出せているはずだ。そして「競合分析」によって、既に競合ブランドが「どのニーズを」「どうやって」満たしているかも、明らかになっているはずだ。

その分析結果をもう一度眺めてみよう。もし「洗い出したニーズ」の中で「競合ブランドが満たせていないニーズ」があり、かつ「自社ブランドの強みが活かせるニーズ」があるのなら、それは大きな競争優位となる。

自社×競合を掛け合わせて分析する-2:競合が満たしているニーズを上回ることができるか?

例え競合ブランドが市場ニーズを満たしていたとしても、その裏付けとなる「ブランド提供価値」や「STP戦略」あるいは「マーケティングミックス」「リソース」に弱みがあれば、あるいはそれらの一貫性が弱ければ、あなたのブランドはその隙を突くことができる。

つい「すでに競合ブランドが満たしているニーズだから」と諦めがちだが、そのニーズを満たしている競合ブランドの「一貫性」に着目してみよう。

もし「一貫性」に弱みがあれば、あなたのブランドは「一貫性」を形創ることによって競争優位を築くことが可能となるはずだ。

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クロス3C分析の方法と具体例-4:市場×競合×自社を掛け合わせて分析する

いよいよ最後に「市場×競合×自社」で整合のとれた結論を導き出そう。クロス3C分析に当てはめると、下記の図の真ん中の三角となる。

 3C分析をマーケティングに活かすやり方-4:市場×競合×自社を掛け合わせて分析する

そして、思い出してほしい。

冒頭で、マーケティングとは「競合ブランドを上回る魅力で生活者ニーズを満たし、利益を上げ続ける企業活動」だと紹介した。

  • 「生活者ニーズを満たし…」←Customer(市場・顧客)のニーズ
  • 「競合ブランドを上回る…」←Competitor(競合)の強み・弱み
  • 「上回る魅力で…」←Company(自社)の強み・弱み

クロス3C分析を通して、あなたは「個別のC」だけでなく「それぞれのCの関係性」も分析できているはずだ。それはつまり、3C分析を通して「優れたマーケティングの条件」を満たした結論を見出したこととイコールだ。

そして、そこから得られた結論こそが、あなたのブランドを成功に導くKFS(Key Factor for Success:重要成功要因」となる。

3C分析のPDFテンプレートダウンロード

3C分析は一見手軽に見えるだけに「穴埋め問題」に陥りがちだ。

よって1人でうんうん頭をうならせるよりは、チームメンバーが参加するワークショップ形式のほうが生産性が高まりやすい。

今回の解説では、クロス3C分析を「思考ツール」として使いこなすためのテンプレートを用意している。以下の画像をクリックしてもらえれば、ダウンロードできるようになっている。

このテンプレートを貼り出してチームでポストイットワークを行えば、多様な視点でクロス3C分析を行えるはずだ。ぜひ、あなたはもちろん、チームメンバーで使いこなしていただければ幸いだ。

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最後に:マーケティングの3C・4P・SWOTなどが学べるおすすめ本2冊

締めくくりに、マーケティング・ブランディング担当者へのお薦めのビジネスフレームワーク関連書籍を紹介しよう。選定した基準は下記の通りだ。以下のどれかに当てはまるものをピックアップした。

  •  k_birdが実際に読み、単純に「素晴らしかった」と思えるビジネスフレームワーク関連書籍。
  • 実際に実務に役立っているビジネスフレームワーク関連書籍。
  • 長年に渡って読み継がれており、時代を越えても変わらない「本質」や「原理」が見出せるビジネスフレームワーク関連書籍。

もちろん、すべて「なぜ読むべきなのか?」という解説付きだ。

1冊目はいわゆる「ビジネスフレームワークカタログ本」だ。多くのビジネスフレームワークを網羅的に理解したい場合におすすめだ。

さらにもう一冊は、様々なビジネスフレームワークを「使いこなす」ための一冊だ。

ぜひ、用途に応じて読み分けていただきたい。

グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50

フレームワークを知っているのと知らないのとでは、ビジネスの「質」も「スピード」も格段の差がでてきてしまう。

フレームワークの利点は、これまでのビジネスの歴史の中で鍛えられてきた「有用な視点・枠組み」をシンプルに提供してくれることだ。

優れたフレームワークは、すでにその有用性が担保されていることから、うまくビジネスに応用することでアウトプットの質は劇的に高まる。

また、暗中模索でスタートするよりも思考のスピードが劇的に高まることも利点だ。

フレームワークは「使えてなんぼ」である以上、数が多いから良いというものではない。

その点、本書はMBAスクールであるグロービスが厳選した50のフレームワークを紹介されている。もし、仕事の「質」や「スピード」を劇的に高めたいなら、ぜひ、デスクの上に置いておきたい一冊だ。

戦略フレームワークの思考法

あなたは、様々なビジネスフレームワークを使いこなせているだろうか?

とりあえず情報をフレームワークに当てはめてみたものの、そこから先が使いこなせずにいるビジネスパーソンは多い。

また、ただ単に情報を整理するだけでは、価値ある示唆を導き出すことはできない。

本書の特筆すべき点は、単なるフレームワークの紹介にとどまらず、その使い方の解説が充実している点だ。

もしあなたが「多くのフレームワークを知ってはいるものの使いこなせない」「示唆を導き出せない」という状態なら、本書はあなたにとって価値ある書籍となるだろう。あなたを「フレームワークが使える」状態に導いてくれるはずだ。

このブログから書籍化した本4冊

ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」

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冒頭でも紹介したが、再度ここでも紹介させていただこう。

ブランディングは、ややもすれば「デザインの話」「広告の話」「世界観の話」など、掴みどころのない抽象論に陥りがちだ。

しかしブランディングは「ブランド戦略」という言葉があるように、企業の成否を大きく左右する戦略のひとつだ。そして投資が伴う以上、一定の合理性と説明責任が求められる。決して、売上や利益から逃げてはならないのだ。

本書は、つい「感覚論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

「論理」が理解できなければ、ブランディングを体系的に理解することできず、再現性を生むことができない。

そして「直感的な腹落ち感」がなければ、ブランディングを実務に落とせず、成果をもたらすことができない。

本書は、広告代理店&外資系コンサルティングファームで培った「生の知見」と「体系的な解説」を通して、ブランディングの理論を実践へとつなげて解説している。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー1位を獲得し、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

もし本書を手にとって頂ければ、ブランディングの専門用語はもちろん、実践の手順や実務の勘所が、一通り学べるはずだ。

kindle Unlimitedを契約されている方は無償で手に入れることができるので、気軽に手に取っていただきたい。

シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説

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あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。

なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。

しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考のメリットは説くものの、肝心の「仮説思考のマスターの仕方」になると、

  • 「センスが必要」
  • 「経験の積み重ねが物を言う」

など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせているものが多い。

一方で、本書は「仮説思考に必要な推論の手順」を、豊富な事例とともに解説している。よって、その手順通りに推論を重ねれば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。

おかげさまで本書は5版を重ね「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただいた。NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、中国や台湾、香港でも出版が決定している。

さらにAmazonレビューでも、

  • 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
  • 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
  • 「一生もののスキルになるのは間違いない」

など有難い言葉を頂戴しており、5刷を重ねている。

もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。

ロジカルシンキングでは学べない「視点力」と「法則力」を身につける※無料のオーディオブック特典付

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人は誰しも「視点」を通してしか物事を考えることができない。

別の言い方をすれば「そもそも何を考えるべきか?」という論点(=イシュー)は、視点が決めてしまうともいえる。

また、どんなに適切な視点を置いたとしても「ああなれば→こうなるだろう」という「予測のパターン(=法則)」が頭の中になければ、確かな仮説を導き出すことはできない。

本書はビジネス書から「視点」と「法則」を発見し、思考の質とスピードを上げていく独学術を解説した書籍だ。

1つの「視点」しか持てない人は、1つの論点しか設定することができない。当然、導き出せる仮説も1つだけだ。

しかし5つの「視点」を持てれば、5つの論点を設定できるようになる。その結果、5つの仮説を導き出すことができるようになるはずだ。

もしあなたが自由自在に「視点」を操ることができるようになれば、物事の多様な側面に気づき、次々と「新たな可能性」を拓くことができるようになる。

また、数多くの「法則」をストックしていけば、様々な現象に「法則」を当てはめることで「筋の良い仮説」を瞬時に導き出すことが可能になるはずだ。

おかげさまで、本書はThe21や日経、STUDY HACKERなど多くのメディアに取り上げていただき、発売3か月で海外の翻訳出版も決定した。Amazonレビューでも、

  • 視点力や仮説思考、抽象化スキルが身に付く良書
  • これまでの読書術の常識を次々と塗り替えている目からウロコの本
  • まさに「モノの見方を変える方程式」

など、ありがたい言葉を頂戴している。

もしあなたが「フレームワーク」だけでは得られない「視点力」と「思考スピード」を身につけたいなら、ぜひ本書で紹介する読書法を実践して欲しい。

8ジャンル57個の仕事術で「実践力」を身につける

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どのようなビジネスも、実践が伴わなければ成果は出ない。しかし、いざ「実践力」を身につけようとしても、その分野は、

  1. 時間管理術
  2. 段取り術
  3. コミュニケーション術
  4. 資料作成術
  5. 会議術
  6. 学び術
  7. 思考術
  8. 発想術

など多分野に渡り、最低8冊分の読書時間と書籍代がかかってしまうのが難点だ。

しかし、本書「超効率ハック」は、8つの分野の仕事術の「重要ポイントだけ」を抜き出し、ギュッと1冊に凝縮した書籍だ。

さらに、本書は「訓練や習慣化が必要な作業テクニック」ではなく「行動を変えるための頭の使い方」の解説に力を入れているため「頭のスイッチを切り替える」だけですぐに実践できるのも特色だ。

おかげさまで、本書を題材にしたSchooのオンライン授業では「思考法ジャンル」で人気ランキング1位を頂いた(139講座中)。また、lifehackerやOggiなど数多くのメディアで取り上げていただき、Kindleでは「オペレーションズ部門」でベストセラー1位を獲得している。

Amazonレビューでも、

  • 「思考と行動の質を上げるヒントが盛りだくさん」
  • 「読んでみると、頑張りどころを間違えてたことに気付かされる」
  • 「仕事が速い人はこれをやってたんだな、ということがよくわかった」

など、ありがたい言葉を頂戴しており嬉しい限りだ。

もしあなたが「短時間で網羅的に仕事術を学びたい」「根本から仕事の生産性を高めたい」と感じているのなら、ぜひ手に取ってみて欲しい。

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終わりに

今後も、折に触れて「ロジカルで、かつ、直感的にわかる解説」を続けていくつもりだ。 

しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。

それでも、このブログに主旨に共感し、何かしらのヒントを得たいと思ってもらえるなら、ぜひこのブログに読者登録Twitterfacebook登録をしてほしい。

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