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ターゲティングとは【ターゲットを絞るべき理由と決め方】を徹底解説

ブランディングの解体新書

あなたのブランディング活動は、ターゲットを明確に絞れているだろうか?

ブランディングにおいて「ターゲティング」ことが重要であることは、あなたもご存じのことだろう。

「ターゲティング」とは、いわば「買っていただくお客様を決めること」であり、ブランディングはもちろん、あらゆるビジネスの起点となる。そしてもし「ターゲティング」を間違えれば、いわば「的外れ」という言葉に象徴されるように、ビジネスであれブランディングであれ、その成果はおぼつかない。

k_birdのこれまでの外資系コンサルティングファームでのコンサルティング経験、及び広告代理店の戦略プランナーとしての経験を踏まえると、多くの企業が「ターゲティング」というプロセスを踏んではいる。しかし「ターゲットを絞る」ことに二の足を踏むマーケティング担当者は驚くほど多い。

その結果、いたずらにブランディング予算を浪費した挙句に「二兎を追うもの一兎を得ず」状態となり、成果が出せないまま立ち往生しているブランディング担当者も多い。

そこで再度あなたに質問だ。あなたのブランディング活動は、明確にターゲットを絞れているだろうか?

もし「絞れていない」あるいは「なぜ絞らなければいけないのかわからない」と感じたのなら、ぜひこの解説を最後まで読み進めてほしい。

今回は「なぜ、ブランディングではターゲットを明確に絞るべきなのか?」について解説する。もしあなたが「ターゲットを絞るべき理由」を論理的かつ直感的に理解できれば、ブランディングやマーケティングチームのメンバーに説明できるようになる。

そしてチームのメンバー間で「ターゲットを絞るべき理由」を共有できれば、チームのブランディング活動はより焦点が絞られ、より実効性が高いものになっていくはずだ。

繰り返しになるが「ターゲティング」はブランディングの「起点」となる。そしてターゲティングを間違えれば、その後のプロセスもすべて間違ったものとなるため、失敗が許されないプロセスだ。

ぜひじっくりと読み込み「的を得た」ターゲティングを実現してほしい。

ターゲティングとは何か?ターゲティングの意味とは

あなたは「ターゲティングとは何か?」と聞かれて、いったいなんと答えるだろうか?「ターゲティングとは、ターゲットを決めること」では、実は答えになっていない。その答えでは、単なる「コインの裏返しの論理」に過ぎないからだ。

k_bird流に「ターゲティング」を定義すると、以下の通りとなる。

「ターゲティング」とは

ブランド提供価値をとして生活者とブランド双方の利益を最大化するために、どの消費者セグメントにブランディングやマーケティング資源を集中するかを決めること。

 ターゲティングとは、限りある資源を誰に集中させるかという標的市場の選択だ。そしてその目的とは、生活者とブランド双方の利益の最大化となる。

ターゲティングとは、言葉を変えれば「どのセグメント(顧客層)に買ってもらいたいかを決めること」ともいえる。 もしターゲティングがうまくいかなければ「誰のためのブランドなのか」 が明確にならず、結果的に誰も買ってくれない状態になる。

STP戦略におけるターゲティングの位置づけ

もしあなたがマーケティング担当者なら「STP戦略」という言葉は、どこかで聞いたことがあるだろう。ターゲティングは「STP戦略」を構成する非常に重要な考え方でもある。

STP戦略の「S」とは、以前このブログで解説した「セグメンテーション」のことだ。セグメンテーションには「区分けする」や「区分する」などの意味があり、マーケティングの世界では何らかの切り口によって市場を細分化することを指す。

そしてSTP戦略の「T」とは、今回解説する「ターゲティング」のことを指す。つまり「S:セグメンテーション」で細分化したセグメントのうちのどれかを「ターゲット」として設定することだ。

更にSTP戦略の「P」とは「ポジショニング」のことであり、そのターゲットから見て「そのブランドならではの独自の役割」を見出し、築き上げていく取り組みを指す。

重要なことなので繰り返すが「STP戦略」とは、マーケティングやブランディングを有効に機能させる上で非常に重要な考え方だ。

適切なターゲティングを行うためには、その前提として適切なセグメンテーションがなされている必要がある。

しかしもしあなたが「S:セグメンテーション」を理解できていないなら、本記事を読んだ後に、下記の一読をお勧めする。そして再度本記事をお読みになれば、より一層「ターゲティング」に関する理解が深まるはずだ。

www.missiondrivenbrand.jp

よくある「ターゲティング」の間違い:ターゲティングの注意点

冒頭でも紹介した通り、多くのクライアント担当者は「ターゲティング」の重要性は理解しているものの「ターゲットを絞る」ことに関しては消極的だ。しかし、ターゲットを広く取りすぎると多くの弊害が存在する。まずはそのことを解説しよう。

k_birdの実務で携わったブランドは、外資系コンサルタント時代及び広告代理店の戦略プランナー時代を合計すると、優に200は超える。その経験に照らした場合、ブランディング担当者が設定する「ターゲット」とは、大きく以下の2つのケースに分類できる。

  1. ターゲティングを「すべての人々」としてしまうケース:
    etc.「ターゲット:オールターゲット」など
  2. ターゲティングがなされているが、性・年齢のみで設定されているケース:
    etc.「ターゲット:20代~30代前半の若い女性」など

以下、一つ一つ「なぜ「間違っているのか?」を解説しよう。

ターゲティングを「すべての人々:オールターゲット」としているケース

1番目の「ターゲット:オールターゲット」としているケースは、そもそもターゲティングをしているように見せかけてはいるものの、事実上ターゲット設定がなされていないケースだ。業界のリーダー企業や官公庁に多いケースだが、残念ながらこのケースの場合、以下の2つの弊害が起こりやすい。

1つめは、繰り出す施策が散発的になりやすいことだ。

ターゲットを「オールターゲット」として設定した場合、ターゲットの範囲が広すぎるため、ブランディングチームの関係者の間で「ターゲット像(≒ペルソナ)」を共有しずらくなる。

そのため、個々の部門の担当者が個別バラバラに「ターゲット像」を解釈してしまったり、あるいは独自に「重点ターゲット」を決めてしまったりして、結果、繰り出す施策も部門ごとにバラバラとなり、散発的な施策になってしまうことが多い。

すると、ブランディング施策の一つ一つがつながりを持たなくなるため、いわば「広大な砂漠に、それぞれの部門が散発的に水をまいて終わる」という状態に陥ることになる。その結果ブランディングの成果が出せず「何も残らなかった単発施策」で終わってしまうことが多いのだ。

そして2つ目は、ブランドのメッセージがぼやけてしまうことだ。

ブランディングとは、ブランドに対して生活者からの感情移入を創り、指名買いし続けてもらえる状態を創る取り組みだ。

そして「感情移入」を創るためには「ブランド提供価値とは?【ブランド力を高める10の要素】を全て解説」で解説した通り、単に「実利的な喜び」だけでなく「そのブランドが自分の感性にフィットする喜び(感性価値)」「そのブランドを通して前向きな気分が得られる喜び(情緒価値)」「そのブランドを通して自尊心が満たせる喜び(共鳴価値)」などを提供しなければならない。

しかし「感性」や「気分」あるいは「どんなことに共鳴するか?」は人によって大きく異なる。

にもかかわらず「オールターゲット」というターゲティングは、様々なライフスタイルや価値観を持つ人々を一括りにしてしまうため焦点が絞れなくなる。その結果「誰にでも当てはまるメッセージ」を探すことになり「製品のスペックや技術、あるいは機能を打ち出すしかない」という結論に収束しがちだ。

しかし、スペックや技術、あるいは機能しか打ち出せない製品はブランドを創ることができない。

なぜなら生活者から見たら、機能しか打ち出せていない製品は「その製品の良し-悪し」や「高い-安い」などの合理的な判断基準しか提供されておらず、ブランドへの感情移入につながる「好き-嫌い」や「信じる-信じない」の判断基準が提供されていないからだ。

結果、ブランドに対する感情移入を創ることができず、なにも残らない単発的な施策に終わってしまうのだ。

ターゲティングがなされているが、性・年齢のみ設定されているケース

2番目は、最も頻繁にみられる「ターゲット:性・年齢のみで設定しているケース」だ。あなたのブランドも、ターゲットを「性・年齢」だけで設定しているのではないだろうか?

しかし「性・年齢」のみのターゲティングは、様々な弊害を生み出す。その理由を、よくありがちな「20代~30代前半の若い女性」の例で解説しよう。

まずは「20代~30代前半の若い女性」の内訳を考えてみよう。例えば「20代~30代前半の若い女性」を職業別に分類すると、以下のような人たちが存在する。

  • 大学生
  • 独身OL
  • DINKS
  • 小さな子供を持つ母親-専業主婦
  • DEWKKS-小さな子供がいる共稼ぎの母親

こうして見ると「20代~30代前半の若い女性」の中にも、様々なライフスタイル・生活様式・価値観を持った人たちが混在し、必ずしも「20代~30代前半の若い女性」と一括りにできないことに気が付くはずだ。

「性・年代で分類してターゲットを設定する」ということは「性・年代で似たようなニーズが存在する」ことが前提となる。

しかし上記の「20代~30代前半の若い女性」の例を見てもわかる通り、同じ姓・年代でも「自分で稼いでいるかどうか?」「結婚しているかどうか?」「子供がいるかどうか?」などで、価値観も行動様式も大きく変わるため、生活ニーズやブランドを選ぶ際の基準も大きく変わる。

にもかかわらず、強引に「性・年代」で一括りにしてしまうと「オールターゲット」の時と同じように「個々の部門が勝手に重点ターゲットを設定し足並みが揃わない」「カタログスペック的なメッセージばかりで、いつまでたっても感情移入が起きない」などの弊害が起きる。

何度も繰り返すが「ターゲティング」は、ブランディングの起点となるため、起点を間違えばその後の施策はすべて間違うことになる。

 

なぜ、ブランディングではターゲティングを明確に絞るのか?

ここまでお読みになって「ターゲットを広く取る」ことの弊害はご理解いただけたと思う。続いて「なぜブランディングではターゲットを絞るべきなのか?」について以下の3つの視点から解説を加えていこう。

  1. ROI(投資とリターン)の視点
  2. 競争戦略上の視点
  3. 販売促進の視点

ターゲティングを絞るべき理由-1:ROI(投資とリターン)の視点

突然の質問で恐縮だが「ビジネスの目的」とは、いったいなんだろうか?

k_birdの実務経験に照らすと、多くのマーケティング担当者は「売り上げの拡大」あるいは「シェアの拡大」と答える。

マーケティング実務に携わる以上それが正解の「1つ」ではあるのだが、一歩高い「ビジネスの視座」で考えてみてほしい。

ビジネスの視座で言えば、最も重要なのは「売り上げを拡大すること」や「シェアを拡大すること」ではなく「利益」を増やすことだ。

なぜなら、例えあなたのブランドの売り上げやシェアが2倍になったとしても、利益がゼロなら社員の給料は減ることになり、ブランドへの再投資もおぼつかなくなる。つまりマーケティングもブランディングも、長期にわたって継続し、成果を出し続けていくには「利益をあげる」ことが前提となるのだ。

すると「ビジネスの目的は何か?」という冒頭の質問に対する答えは「利益の増加」とということになる。そしてブランディングもビジネス活動の一環である以上、その目的は「利益の増加」だ。

では「利益を増加」させるには何が必要だろうか?

利益を増加させるには「売り上げを上げる」ことと「コストをセーブする」ことの両立が必要となる。つまりは「効果」の視点だけでなく「売り上げを上げるための効率をあげる」という「効率」視点も必要になる。

そして「効率」という視点も加えた場合、ターゲット設定は大きく変わることになる。

効率とは、ROIのことだ。そしてROIの観点で見た場合、ターゲティングに求められる視点は以下の通りだ。

「ROI」の観点でターゲティングに必要な視点

「最小のブランディング投資で、最大の利益が見込めるターゲットは誰か?」

上記の視点に照らせば、ターゲットは「なるべく広く取る」のではなく「最も収益性の高いターゲットにフォーカスする」ことの意味が、ご理解いただけたと思う。

ブランディングは「ブランドへの感情移入」を創り、長期に渡って「指名買い」してくれる顧客を増やすことだ。

そのためには「少ない投資でブランドへの感情移入が起き、初回購入に結び付きやすいターゲット」あるいは「少ない投資でブランドへの感情移入が起き、長期に渡ってリピート購入してもらいやすいターゲット」を徹底的に見極め、そのターゲットにブランディング予算をフォーカスさせていく必要がある。

ブランディング予算は、無尽蔵にあるわけではない。限られたブランディング予算を最も「効果的」かつ「効率的」に使うには「広大な砂漠に水を撒いて終わる」のではなく「ターゲット絞る」方が、ROIの観点から見て賢いブランド戦略であることがご理解いただけると思う。

ターゲットを絞るべき理由-2:競争戦略上の視点

競争戦略上の視点には、大きく分けて2つの視点が存在する。

  1. 「投入資源量」から見た競争戦略の視点
  2. 「生活者側の選択基準」から見た競争戦略の視点

以下、一つ一つ解説しよう。

「投入資源量」から見た競争戦略の視点

あなたのブランドには、どのようなライバルブランドが存在するだろうか?

もし、あなたのブランドが2番手以下のブランドなら、競争戦略上「ターゲットを絞る」ことは必須となる。

先ほどの「20代~30代前半の若い女性」の例を思い出してほしい。

仮に「20代~30代前半の若い女性」をターゲットに設定し、攻略するためのブランディング予算が3億円だったとしよう。その傍らでトップシェアブランドが同じ「20代~30代前半の若い女性」に対して10億円のブランディング予算でブランディング施策を展開してきた場合、あなたのブランドはどうなるだろうか?

ライバルであるトップシェアブランドのブランディング予算は、あなたのブランドの3.3倍だ。残念ながら、あなたのブランドのブランディング施策は3.3倍の予算にかき消されて、ほとんど実効性を持たなくなるだろう。

一方で「20代~30代前半の若い女性」の中にも、以下の5つの分類があったことを思い出してほしい。

  • 大学生
  • 独身OL
  • DINKS
  • 小さな子供を持つ母親-専業主婦
  • DEWKKS-小さな子供がいる共稼ぎの母親

もしあなたのブランドの強みが活かせて、かつ最も収益性が高そうなターゲットとして「独身OL」にターゲットを絞った場合、どうなるだろうか?

トップシェアブランドのブランディング予算は「20代~30代前半の若い女性」に対して10億円だ。単純計算すれば「独身OL」に対して向けられた予算は「10億円÷5分類」の2億円となる。一方であなたのブランドは「独身OL」に焦点を絞って3億円のブランディング予算を投入している。

結果「独身OL市場」の中で、あなたのブランドはトップシェアブランドにかき消されることなく、むしろ予算比で1.65倍、有利に戦えることになる。その結果、独身OLはトップシェアブランドよりあなたのブランドの方に感情移入し、トライアル購入やリピート購入に結び付きやすくなるというシナリオが描けるようになる。

そして「独身OL市場」を盤石に固めたら、徐々に周辺市場へ進出し、トップシェアブランドを切り崩していくという長期シナリオも描けるようになるだろう。

あなたのブランドには、必ずライバルがいる。競争戦略上の観点からも「ターゲットを広く取る」より「ターゲットを絞る」方が実効性の高いブランド戦略になりやすいのだ。

「生活者側の選択基準」から見た競争戦略の視点

続いて、生活者側の選択基準の視点だ。まずは以下の図をご覧になってほしい。

f:id:missiondrivencom:20170716162437p:plain

今ここに、2つの消費者セグメントが存在すると仮定しよう。「黒い服を欲しがっている女性達」と「白い服を欲しがっている女性達」だ。

もしあなたがマーケティング担当者ならどう考えるだろうか?恐らく、以下のように考えるはずだ。

f:id:missiondrivencom:20170716162431p:plain

マーケティング担当者であるあなたなら、当然以下のように考える。

  • 黒い服を欲しがっている女性のセグメントには、黒い服を提案するべき…。
  • 白い服を欲しがっている女性のセグメントには、白い服を提案するべき…。

仮にあなたがマーケティング担当者でなくても、上記は自然な発想だ。なぜなら、ニーズに見合った価値を提供することは、マーケティングやブランディングの基本中の基本だからだ。

しかしマーケティングの現場では、必ずしも上記の「当たり前」が通らないことがある。あなたは以下のような考えを持ったり、あるいは遭遇したことがないだろうか?

マーケティングの現場で起きがちな発想

できるだけターゲットを幅広く取りたい…。「黒派」も「白派」もカバーできる方法はないか?

あなたがマーケティング担当者なら、何らかの形でブランドの売り上げ責任を背負わされていることと思う。その責任の重さから、ついつい「ターゲットをなるべく広く取ったほうが、売り上げが上がりそうな気がする」という「錯覚」に陥りやすい。

 

さらに、なるべくターゲットを広く取ったほうが、買ってくれる顧客層も広くなり、モノの生産効率や広告宣伝の効率も上がるはずだ…。

その背景にあるのは「ターゲットを絞る=売り上げ機会が減る」という、恐怖感にも似た感情だ。

上記の発想に支配されたあなたは、以下の図のような発想に陥ってしまう。

f:id:missiondrivencom:20170716162426p:plain

グレーの服なら「黒派の女性達」にも「白派の女性達」もカバーできるのではないか…。

こうして図解される、あなたは「そんなバカな!」と思うかもしれない。しかしこと日本企業においては上図のような現象が頻発しているのが現状だ。特に家電業界では「あらゆる人たちのあらゆるニーズに応えるために、あらゆる機能を盛り込む」という商品開発がいまだ続いている。

しかしその結果、下図のような状態に陥る。

f:id:missiondrivencom:20170716162418p:plain

「黒い服が欲しい女性達」にとって、欲しいのは「黒い服」であって「グレーの服」ではない。そして「白い服が欲しい女性達」にとって、やはり欲しいのは「白い服」であって「グレーの服」ではない。

そして「黒い服が欲しい女性達」に対しては「黒い服の魅力を磨いたブランド」が存在する。そして「白い服が欲しい女性達」に対しても「白い服に強みを発揮したブランド」が存在する。

結果「グレーの服」がどうなるかは、解説の必要もないはずだ。

競争戦略上、ターゲットを絞るべき理由の2つ目は、どのブランドよりも「ターゲットの選択基準」を深く見抜き、その選択基準を満たす「ブランド提供価値」を形創っていくためだ。

もしあなたのブランドがターゲットを絞れていなければ、いずれ「グレーの服」と同じ運命を辿ることになるだろう。

ターゲットを絞るべき理由-3:販売促進の視点

続いて、販売促進の視点だ。

冒頭で述べた通り、多くのマーケッターは「ターゲットを絞る=売り上げ機会が減る」という恐怖感に陥りがちだ。しかし、その発想には抜けている視点がある。「トライアル購入率」及び「リピート購入率」という視点だ。

まずは以下の公式を見てほしい。

「売上」の公式

売上=ターゲットリーチ×トライアル購入率×リピート購入率

 

「ターゲットを絞る=売り上げ機会が減る」と考えているマーケッターは「ターゲットリーチ」という一面しか見ていない。

しかしブランディングの目的が利益である以上、ターゲットリーチだけでなく、トライアル購入やリピート購入に結び付いて、初めて成果と言える。

「ターゲットを絞る」という考え方は、限られたターゲットに対してブランディング予算を集中させることで「トライアル購入率」と「リピート購入率」を引き上げる取り組みだ。

「広くターゲットを取る」という考え方をした場合、限られたブランディング予算の中ではどうしても「浅く広く」となりがちだ。その結果、浅く広くリーチは取れても密度が薄くなるため、肝心の「トライアル購入」や「リピート購入」につながらないという事態に陥りやすい。

一方で最も収益が見込めるターゲットに絞りブランディング予算を集中させれば、有望なターゲットに対して「密度」を厚くことができ、その分「トライアル購入」につながりやすくなる。

更には「浅く広く」で獲得したトライアル顧客と比べて「有望なターゲットに」「密度を濃くして」獲得したトライアル顧客の方が、ブランドに対するニーズや理解、あるいは感情移入の度合いが高いため、リピート購入にも結び付きやすい。

このように考えていくと「ターゲットを絞る=売り上げ機会が減る」という考え方は「ターゲットリーチ」のみに着目し「顧客化」を無視した一面的な考え方であり、合理的でないことがわかるはずだ。

より良いターゲティングとは?ターゲット設定の仕方

最後に、消費者セグメンテーション後「ターゲット設定の仕方」について解説しておこう。ターゲットを選ぶ際には「6R」と呼ばれるフレームワークが存在する。

  1. 有効な市場規模(Realistic Scale):十分な市場規模があるターゲットか?
  2. 競合状況(Rival):強い競合ブランドが存在しないターゲットか?
  3. 成長性(Rate of Growth):これからニーズが増えそうなターゲットか?
  4. 波及効果(Ripple Effect):口コミ波及の発信源となるターゲットか?
  5. 到達可能性(Reach):チャネルやメディアを通じて到達可能なターゲットか?
  6. 測定可能性(Response):アクションに対する効果が測定可能なターゲットか?

ターゲット設定の仕方-1:有効な市場規模Realistic Scale)を見極める

どんなに優れたコンセプトのブランドを開発し、ターゲットを絞ったとしても、そのブランドに費やすコストを上回るだけの売り上げや利益を上げられなければ持続可能なブランディング活動にはならない。

一般に、ブランドの売上は以下の要素に分解できる

  1. 自社ブランドの売上高=ターゲットセグメントの市場規模×自社ブランドのシェア
  2. 自社ブランドの売上高=自社ブランドの購入者数×購入頻度×客単価

ぜひターゲットを決める際には、情報を収集した上で上記の公式に当てはめ、シミュレーションをしてみよう。仮に正確な情報が取れなくても、上記公式に当てはめた手計算を行えば「このターゲット設定は現実的だ」「いやいや現実的でない」などの初期判断に役立つはずだ。

ターゲット設定の仕方-2:競合状況(Rival)を見極める

ターゲットを設定する際には、できるだけ強い競合ブランドが存在せず、かつ、競合ブランドの数が少ないほうが、いわゆる「穴場」となる。

競合状況の分析に関しては、以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてほしい。

www.missiondrivenbrand.jp

ターゲット設定の仕方-3:成長性(Rate of Growth)を見極める

例え今はターゲット市場の規模が小さくても、今後ニーズの成長性が期待できるなら有望なターゲット市場となりうる。例えば以下のようなターゲット市場は、成長性という観点から将来有望だ。

  1. シニア市場
  2. 1人世帯市場
  3. 働く独身女性市場
  4. 働くママ市場

ターゲット設定の仕準-4:波及効果(Ripple Effect)を見極める

ブランディングやマーケティングの投資効率を鑑みれば、数あるターゲット市場の中でも、周辺へ波及効果の高いターゲットに狙いを定めていくのは効果的だ。

あなたがマーケティング担当者なら、イノベーター理論はご存じのはずだ。各分野のイノベーターは数は少ないものの、その後に普及する一般大衆層へ大きな影響力を持つため、ブランディングやマーケティングの戦略上、非常に重要な役割を果たすことが多い。

特に近年、ブログやSNSの普及により、多くの「フォロワー」を抱えた個人が台頭しており、一般には「インフルエンサー」と呼ばれている。

特に化粧品や健康食品など「商品数が多すぎて自分に合ったものが選びにくい業界」や、IT機器・金融商品など「専門的な知識がなければ自分に合ったものを選びにくい業界」ほど、あなたのブランドの良さを理解し、フォロワーにお薦めしてくれるイノベーターやインフルエンサーを味方につけることは重要となる。

ターゲット設定の仕方-5:到達可能性(Reach)を見極める

例えどんなに市場規模が大きく、ライバルが少なく、成長性や波及効果があったとしても、そのターゲット層に販売チャネルや広告・コンテンツメディアで到達できなければ、そもそもマーケティング活動自体が成り立たないか、極めて非効率なものとなる。

例えば、k_birdが経験したことがあるのは、以下のようなターゲット市場だ。

  • 左利き市場
  • 双子市場

それなりの市場規模があり、ライバルも少なそうだがリーチ手段も少なく、ブランディングやマーケティング活動が難航を極めることは、あなたにも想像がつくだろう。

ターゲット設定の仕方-6:測定可能性(Response)見極める

前述した「到達可能性」にも通じるが、そもそも測定できないものは管理できない。そして管理できないものは、改善することができない。

ターゲットを選ぶ際には、中長期的なPDCAも見越して、戦略や戦術の効果が測定可能かどうかも念頭に置いておこう。

終わりに

今回は「ターゲティングとは?ターゲット設定の重要性と選び方を徹底解説」と題してターゲティングについて解説した。ぜひ、あなたのチームのブランドマーケティングにおいて、有益な示唆となれば幸いだ。

今後も、折に触れて「ロジカルで、かつ、直感的にわかるブランディングの解説」を続けていくつもりだ。(過去記事と今後の掲載予定はこちら

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