Mission Driven Brand

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ブランディングの戦略家が【ブランド戦略の全て】を解説するブログ

セグメンテーションとは|市場細分化戦略のやり方と具体事例

セグメンテーションとは|戦略的なセグメンテーション方法と16の事例|図解解説

この記事に辿り着いたあなたなら「セグメンテーションとは何か?」あるいは「市場細分化戦略のやり方」や例に関心があることだろう。

このブログ「Mission Driven Brand」は、外資系コンサルティングと広告代理店のキャリアを持つ筆者が、ブランディングやマーケティングの「できない、わからない」を解決するブログだ。

セグメンテーションや「市場細分化」は、いざ紐解こうとすると「マーケットセグメンテーション」「消費者セグメンテーション」「顧客セグメンテーション」など、似て非なる専門用語が居並ぶ。また、マーケティングの初心者においては「セグメンテーション」と「ターゲティング」の違いが曖昧な人も多い。

このブログの執筆者であるk_birdは、ある時期は外資系コンサルティングファームのコンサルタントとして、そしてある時期は広告代理店の戦略ディレクターとして、長年ブランディングやマーケティングの現場を歩いてきた。

これまで多くのマーケティング担当者と出会ったが「セグメンテーション」に対する一般的な認識は、下記のようなものが多い。

  • セグメンテーションとは「男女」や「年代別」などの市場セグメントに消費者を分けることだ。

しかしセグメンテーションの「そもそもの目的は何か?」あるいは「用途は?」に対する深い理解がないまま「なんとなくセグメンテーションを行っている」という現場も目撃する。

ここではっきりお伝えしておこう。

セグメンテーションは、あなたのマーケティング活動の成否を決定的に左右する。

ただ単に「消費者を性年代別に分けてみた」だけでは、それは一時の「作業」に過ぎない。しかしもしあなたが「セグメンテーションの本質」や「方法論」を理解できれば、それらは「いつ何時でも応用可能な」一生モノのスキルとなる。

もしあなたが「一生もののスキル」を手に入れたいなら、ぜひ最後までお付き合い頂きたい。

ブランドマーケティングを学びたい方へ。このブログから書籍化した「ブランディングの教科書」

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本論に入る前に、僭越ながら拙著を紹介させていただこう。

「ブランディング」は捉えどころがなく、なかなか一歩を踏み出せない。あなたはこのような状況に陥ってはいないだろうか?

本書の執筆陣は、ある時は広告代理店のストラテジックプランナーとして、ある時は、外資系コンサルティングファームのコンサルタントとして、クライアントの実務担当者が悪戦苦闘する姿を見てきた。

「ブランディング」は、その本質を理解しないまま実行に移そうとすると、的を射ない小手先の手法を延々と繰り出すことになりがちだ。結果、やみくもに予算を消化したまま、成果が出ない事態に陥ってしまう…。

そのような事態を1件でも減らしたい。そう考えたのが本書を執筆した理由だ。

ブランディングの本は、どれも「ブランドのらしさ」「ブランドの世界観」など「ふわっと」した話になりがちだ。そして「ふわっ」とした話になればなるほど抽象的かつ曖昧な概念論になってしまい、企業組織の中で通すことが難しくなる。

本書は、外資系コンサルティングファームと広告会社で培った「生の知見」をふんだんに盛り込みつつ、つい「抽象論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

もちろん、セグメンテーションやターゲティング、ポジショニング等に関しても、事例を交えながら徹底解説している。

「理論」が理解できなければ、ブランディングを体系化できず、ビジネスに再現性を生むことができない。そして「実践」が理解できなければ、ビジネスに成果をもたらすことができない。

本書は、ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」として、ブランド戦略の再現性と成果を目指した書籍だ。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー1位を獲得し、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

  • クッキー規制によりデジタルマーケティングでCTRやCVRが頭打ち。CPAは下がるどころか、少しずつ上昇傾向ですらある。
  • 矢継ぎ早に新商品を繰り出してもすぐに競合に追い付かれ、差別化ができない。商品開発サイクルは更に早まり、自転車操業状態になっている。
  • 「自社にはブランディングが必要だ」と理解はしているが、概念が抽象的過ぎて、どう周囲を巻き込んでいいかがわからない。

もし、あなたがこれらに当てはまるなら、ぜひAmazonのページで本書の目次をチェックしていただきたい。つい感覚論になりがちな「ブランディング」に対して、

  • なぜ、そうなのか?
  • どう、ビジネスに役立つのか?
  • 何をすればいいのか?
  • 具体的な日本のブランドの事例は?

を徹底して解説しているので、あなたのお役に立てるはずだ。

kindle Unlimitedを契約されている方は無償で手に入れることができるので、気軽に手に取っていただきたい。

セグメンテーションとは何か?セグメンテーションの意味

セグメンテーションとは-1:セグメンテーションの目的

マーケティングにおけるセグメンテーションとは「ターゲット市場を決めるために、市場をに細分化する方法」を指す。その背景にあるのは「市場の成熟化」と「消費者のニーズの多様化」だ。

市場が成熟化し生活者のニーズが多様化している現在、万人向けの商品を開発し販売することは効果的とはいえない。なぜなら全てのニーズを一度に満たそうとすればするほど商品コンセプトは「平均」に近づく。そして多くの市場が成熟化している状況下で商品コンセプトが「平均的なもの」になれば、待っているのは価格競争だからだ。

そこでまず求められてくるのが「セグメンテーション」だ。

戦略的に市場のセグメンテーションを行い、適切な市場セグメントにーケティングの資源を集中できれば、より効果的にビジネス成果を得ることが可能となる。

セグメンテーションとは-2:STP戦略におけるセグメンテーションの役割

もしあなたがマーケティングの担当者なら、どこかで「STP分析」や「STP戦略」という言葉を聞いたことがおありだろう。マーケティングの成否を決定づける重要な考え方だと言ってよい。

そのSTP戦略のスタートである「S」こそが、まさに今回解説する「セグメンテーション」だ。

「S:セグメンテーション」は、STP戦略の「立脚点」であり「前提」となる。そしてその「立脚点」を間違えば、その後の「プロセス」も間違ったものとなり、結果、そこから得られる「成果」はおぼつかなくなることは自明の理だ。

セグメンテーションとは-3:セグメンテーションとターゲティングの違い

「S:セグメンテーション」で市場を分類したあとは、次のステップである「T」つまり「ターゲティング」を行う。ターゲティングとは「セグメンテーション」で市場を細分化した複数のセグメントのどれかを「ターゲット」として設定することだ。

STP戦略のおけるセグメンテーションとターゲティングの位置づけの違いを示した画像

あなたの企業の資源(人・モノ・金)は有限なはずだ。そうである以上、消費者とブランド双方の利益を最大化するために、どの市場セグメントにマーケティング資源を集中するかを決める必要がある。それこそが「ターゲティング」だ。

「ターゲティング」とは、いわば「買っていただくお客様を決めること」であり、もし「ターゲティング」を間違えれば、いわば「的外れ」という言葉に象徴されるように、ブランディングであれ集客であれ、その効果はおぼつかない。

そしてここまでお読みになれば、セグメンテーションとターゲティングの違いはご理解いただけたはずだ。

セグメンテーションとターゲティングの違いとは、端的に言ってしまえば「市場を細分化すること(セグメンテーション)」と「細分化した市場のうちの一つを選ぶこと(ターゲティング)」の違いといえる。

セグメンテーションとは-4:セグメンテーションとポジショニングの関係

STP戦略の最後である「P」とは「ポジショニング」のことを指す。ポジショニングとは、ターゲティングで選定したターゲットから見て「そのブランドならではの独自の役割」を定義し、築き上げていく取り組みのことだ。

ポジショニングはよく「差別化」と混同されがちだが、ポジショニングの本来の目的は競合ブランドと比較して優位に立つことではない。消費者から見て「ほかに替えられない」独自の存在となり「そもそも比較されない状態」を創ることだ。

STP戦略におけるセグメンテーションとポジショニングの違いを示した画像

そしてポジショニング設定後、いわゆるマーケティングミックス(マーケティングの4P)やブランド体験デザインへと展開していくことになる。

ここまでお読みになれば、賢明なあなたならもうお気づきのはずだ。

「セグメンテーション」は、ターゲティングやポジショニング、あるいはマーケティングミックスを有効に機能させる上での「前提」だ。そして「前提」である以上、あなたのブランディングやマーケティングの成否を決定的に左右する、極めて重要な要素となる。

セグメンテーションとは-5:3つあるセグメンテーションの種類

巷のマーケティング本やインターネット記事にはあまり語られていないことだが「セグメンテーション」には、目的別に3つのセグメンテーション方法が存在する。「3つのセグメンテーション方法」とは、以下の通りだ。

  • 市場細分化:有望な市場機会を発見する
  • 消費者セグメンテーション:有望なターゲットを見極める
  • 顧客セグメンテーション:有望な既存顧客を発見する

今回の解説では、これらのうち「市場細分化」について、具体例を交えながら紹介しよう。

戦略的な市場細分化の具体事例とやり方

それでは「市場細分化」について理解を深めていこう。k_bird流に「市場細分化」を定義すると、下記の通りとなる。

市場細分化とは何か?

「市場機会を発見する」ことを目的に「市場」を「細分化」して捉えること。

 「市場細分化」は、主に商品開発の局面やリブランディングの局面で用いられることが多い。

市場細分化のやり方

「市場細分化」は、大きく4つのやり方にわけることができる。その4つのやり方とは、以下の通りだ。

  • 市場を細分化する
  • プロセスに割り込む
  • 市場を拡張する
  • 市場をリフレーミングする

市場細分化の具体事例とやり方-1:市場を細分化する

まずは最もオーソドックスな「市場細分化」について解説しよう。ここからは分かりやすさを重視し「コーヒー市場」を事例にとって解説する。

市場細分化の具体事例とやり方-1:コーヒー市場

まずは下記の図をご覧いただきたい。

「コーヒー市場」は大きく2つに市場細分化できる。「家庭用」と「アウトドア用」だ。

家庭用市場において代表的なブランドは、40代以上にとっては「ダバダー♪」のTVCMでもおなじみの「ネスカフェ・エクセラ」や「ネスカフェ・ゴールドブレンド」だろう。

一方で「アウトドア用市場」では、スターバックスやドトールコーヒーなどが思い浮かぶ。こちらも説明の必要はないだろう。

市場細分化の具体事例とやり方-2:家庭用コーヒー市場の市場細分化(AGFの例)

まずは家庭用市場を細分化していこう。家庭用コーヒー市場のガリバーは「ネスカフェ・エクセラ」や「ネスカフェ・ゴールドブレンド」を擁する「ネスレ」だ。

しかし「家庭用市場」を市場細分化していくことで市場機会を見出し、ネスレに対して果敢に切り込んでいったブランドがある。AGF(味の素ゼネラルフーズ)だ。

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AGFは「家庭用市場」を「自分達用市場vsギフト用市場」に市場細分化し、ギフト用市場に市場機会を見出した。

そして徹底的にギフト市場にマーケティング資源を集中させ、大きな成功を築く。あなたも「コーヒーギフトはAGF~♪」というサウンドをどこかで見聞きしたことがあるはずだ。

結果、現在ではコーヒーギフト市場のガリバーはネスレではなくAGFだ。AGFのコーヒーギフト市場の攻略は「市場細分化の教科書」といってもいいくらいの好事例と言えるだろう。

市場細分化の具体事例とやり方-3:家庭用&自分用コーヒー市場の市場細分化①(AGFの例)

しかし、AGFの市場細分化は留まらない。続いて下図をご覧いただきたい。

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お中元やお歳暮の低迷を受けて、コーヒーギフト市場は衰退しつつある。そこでAGFは視点を変えた市場細分化を実施した。その際に見出した市場機会が「家庭用アイスコーヒー市場」だ。

あなたも原田知世さんのTVCMとともに流れる「ボトルコーヒー~♪ブレンディ♪」というサウンドが耳残りしていることだろう。ボトルコーヒー市場でもまた、AGFはトップブランドとなっている。

市場細分化の具体事例とやり方-4:家庭用&自分用コーヒー市場の市場細分化②(AGFの例)

更にAGFは市場細分化の手を緩めない。AGFが次に実施した細分化は「ファミリー世帯vs少人数世帯」という市場細分化だ。

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AGFは「少人数世帯向け」に市場機会を見出した。そして打ち出したブランドが「ブレンディ・スティック」だ。

こちらも「スティック!スティック!スティック!ブレンディ・スティック♪」というサウンドを、どこかで耳にしたことはないだろうか?

AGFは「家庭用市場」を「ファミリー用市場+少人数世帯用市場」に細分化し、少人数世帯に市場機会を見出した。そして少人数世帯向けに小分け包装で飲める「スティックコーヒー」を提案、こちらも高いシェアを誇っている。

コーヒー市場といえば、ついイノベーティブなマーケティングを展開しているネスレに目を奪われがちだが、AGFもまた、市場細分化を巧みに利用して独自のポジションを築き上げた、優れたブランドだと言えるだろう。 

市場細分化の具体事例とやり方-5:アウトドア用コーヒー市場の市場細分化(ジョージア&ボスの例)

さらに、次は「アウトドア用コーヒー市場」にも目を向けてみよう。以下の図をご覧いただきたい。

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「アウトドア用コーヒー市場」は、大きく分けて「プライベート用市場」と「仕事用市場」が存在する。上図を見れば、プライベート用市場はカフェチェーン、仕事用市場は缶コーヒーブランドで住み分けていることがわかるはずだ。

市場細分化の具体事例とやり方-6:仕事用コーヒー市場の市場細分化(マウントレーニア・カフェラッテの例)

しかし仕事用コーヒー市場を「作業場用」と「オフィス用」に市場細分化して成功を納めたブランドがある。それが森永乳業の「マウントレーニア・カフェラッテ」だ。

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「マウントレーニア・カフェラッテ」のブランドコンセプトは「手軽におしゃれに、本格カフェラッテ」だ。あなたもOLがランチ時に手にしている姿をご覧になったことがあるのではないだろうか?

市場細分化の具体事例とやり方-7:オフィス用コーヒー市場の市場細分化①(ネスカフェ・アンバサダーの例)

ここから更に、オフィス用コーヒー市場を市場細分化して登場したのが、あなたもご存じの「ネスカフェ・アンバサダー」だ。

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ネスレが行ったのは「オフィス用コーヒー市場」の更なる市場細分化だ。

ネスカフェ・アンバサダーはオフィス用市場を「自分用コーヒー市場」と「同僚用コーヒー市場」に細分化し「同僚用市場」に対してサブスクリプションモデルで攻略を図った。

結果「ネスカフェ・アンバサダー」は多くのオフィスで支持を得て収益を伸ばしている。

市場細分化の具体事例とやり方-8:オフィス用コーヒー市場の市場細分化②(クラフト・ボスの例)

しかし、アウトドア用コーヒー市場の市場細分化はまだ終わりを見せない。

今度はオフィス用市場を「女性社員用」と「男性社員用」に市場細分化し「男性社員用」に向けて登場したブランドがある。最近サントリーから発売された「クラフト・ボス」だ。

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クラフトボスが掲げているのは「WORK&PEACE」というコンセプトだ。昨今の「働き方改革」の風潮を味方につけながら「デスクワーク時にゆっくり、時間をかけて飲んでも味が落ちない」ことを特徴としている。

あまりの人気のために、一時期出荷停止騒ぎにもなったが、その人気はうまく「市場細分化」が機能した証だ。

ここまでお読みになれば、いかに市場細分化による「市場機会の発見」が、ブランディングやマーケティングの成果を左右するか、もうご理解いただけたはずだ。

市場細分化には、大きく分けて以下のようなセグメンテーション軸が存在する。

  • シチュエーション
  • 時間・タイミング
  • 人の気持ちや価値観
  • 人と人との間柄

もし、現在あなたのブランドが低迷しているのなら、ぜひ様々なセグメンテーション軸で市場細分化を行ってみて欲しい。思わぬ市場機会が発見できるはずだ。

市場細分化の具体事例とやり方-2:プロセスに割り込む

続いて2つ目の方法論である「プロセスに割り込む」という市場細分化の例を紹介しよう。

あなたはJTBD(Jobs-To-Be-Done)という言葉をご存じだろうか?日本語に意訳すれば「生活者が済ませたがっている事柄」のことを指す。

人はモノやサービスを購入するとき、モノやサービスそのものが欲しいわけではない。そこには「済ませたい(あるいは実現したい)何か」が存在し「それをやり遂げるために必要だから」モノやサービスを欲しがる。

そして、何か物事を済ませたり、やり遂げたりするためには必ず「プロセス」が存在する。その「プロセス」に着目して行う市場細分化が「プロセスに割り込む」だ。

プロセスに割り込む-1:ブースター(導入美容液)の例

「プロセスに割り込む」の秀逸な例を紹介しよう。まずは以下の図をご覧いただきたい。

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男性諸氏からすれば馴染みがないかもしれないが、女性が日々行うスキンケアは一般に「化粧を落とす」「洗顔する」「保湿する」「(潤いが逃げないように)肌にフタをする」「美容成分を取り入れる」というプロセスを辿る。そしてそれぞれのステップには、対応した商品カテゴリーが存在している。

しかしこのプロセスに「割り込んだ」のが、近年成長著しい「ブースター(導入美容液)」というカテゴリーだ。

女性のスキンケアステップにおけるブースター(導入美容液)の役割は「洗顔後、化粧水をつける前に、肌の吸水性を高めておく」ことだ。

これまで、多くの女性は洗顔後、保湿のために化粧水をつけることが一般的だった。そのステップの間に「肌の吸水性を高める」というステップで「割り込んだ」のがブースター(導入美容液)だ。

k_birdの記憶が正しければ、このブースター(導入美容液)を初めて発売したのはランコムのジェニフィックだ。また、男性諸氏もご存じであろう、松田聖子や松たか子がTVCMを行っていたフジフィルムのアスタリフト・ジェリーアクアリスタ(赤いジェルのもの)もまた、ブースター(導入美容液)だ。

洗顔と化粧水の間に割り込んだブースター(導入美容液)は、今や多くの女性の支持を得て200億円を越える市場に成長している。

プロセスに割り込む-2:アウトバス・トリートメントの例

さらに、ヘアケア市場でも「プロセス」に着目したマーケットセグメンテーションで成長している市場がある。「アウトバス・トリートメント市場」だ。

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アウトバス・トリートメントは、一般には「洗い流さないトリートメント」とも言われる。

こちらも男性諸氏には馴染みが薄いかもしれないが、女性のヘアケアには「髪の汚れを落とす:シャンプー」「髪に潤いを出す:トリートメント」というステップがある。ここまでなら男性諸氏にも馴染み深いかもしれないが、最近現れたステップが「髪にツヤを出す:アウトバス・トリートメント」というステップだ。

アウトバス・トリートメントの特徴は「入浴の後に(なのでアウトバスと呼ばれる)」「髪にツヤを与える」というステップが加わったことだ。いわば、これまでのヘアケアステップの後に「割り込んだ」とも言える。

その結果、アウトバス・トリートメント市場もまた、多くの女性から支持され200億円を越える市場に成長している。

市場細分化の具体事例とやり方-3:市場を拡張する

続いて市場細分化の3つ目の方法論である「市場を拡張する」について事例解説しよう。

前述の「市場細分化」の解説をご覧になればわかる通り、市場細分化において重要なファクターは「市場細分化をする際の、細分化の切り口」だ。

しかし「細分化の切り口」を探すにあたって拠り所となるのは、そもそもの「市場の定義」だ。

論理学の考え方の一つに「因果推論」という考え方がある。

因果推論といえば「AだからB」「BだからC」「CだからE」…と因果関係を結びながら結論を導き出す考え方だ。

しかしどれだけ「AだからB」「BだからC」「CだからE」というロジックが正確だったとしても、そもそもの前提である「A」が間違っていれば、その後の因果関係や結論も間違ったものとなる。

これを市場細分化に置き換えれば「そもそもの前提」とは「市場の定義」のことを指す。

市場の定義が変われば、当然「市場細分化の切り口」も変わる。そして「市場細分化の切り口」が変われば、狙うべき「細分化された市場」の定義も変わる。

「市場の定義」はあらゆるブセグメンテーションの前提となる。そのため何度も吟味し、思考を巡らせながら決めていくべき最も重要な要素となる。

そして「市場を拡張する」とは、市場を細分化する前に「市場の定義」そのものを変え「市場の定義を拡張してしまおう」という考え方だ。

市場を拡張する-1:JINSの例

例えば、眼鏡チェーンの例で解説しよう。以下の図をご覧いただきたい。

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普通に考えれば、眼鏡チェーンにおける市場の定義とは「視力が悪い人達」となる。事実、多くの眼鏡チェーンでは市場を「視力が悪い人達全体」と定義し、各社がしのぎを削っている。

しかしそれぞれの眼鏡チェーンが同じ市場で戦っていたら消耗戦になることは想像に難くない。そのような中「視力が正常な人達」に市場を拡張し、フォーカスしたのがJINSだ。

「市場=視力が正常な人達」と定義した結果、JINSが発売にこぎ着けたのがPCのブルーライトをカットするJINS PCだ。

JINS PCは「視力が正常な人達用の眼鏡」であることから「視力が悪い人達」をターゲットとしている眼鏡チェーンとは競合にならない。その結果、JINSはほぼ独占的にブルーオーシャンを開拓していき、眼鏡市場を席巻したことはあなたもご存じの通りだ。

もしJINSが市場の定義を「視力が悪い人達」と定義したままであれば、JINSPCは誕生すらしなかったはずだ。

市場を拡張する-2:ハーゲンダッツの例

また、アイスクリームブランドであるハーゲンダッツも「市場を拡張する」戦略で成功したブランドだ。

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ハーゲンダッツが市販のアイスクリームを発売したのは1990年に遡る。日本でアイスクリームの輸入が自由化された年だ。

当時「アイスクリーム」といえば「子供のおやつ」という認識が主流だった中、市場の定義を「大人」に拡張したのがハーゲンダッツだ。

「市場=大人」と定義すれば、ロッテやグリコ、森永乳業など「子供向け」に提供されていたアイスクリームブランドは競合でなくなる。

その結果「大人用市場」はほぼハーゲンダッツが独占し、独自のポジションを確立していることは、あなたもご存じの通りだ。

市場を拡張する-3:キリンフリーの例

さらに「キリンフリー」もまた「市場を拡張する」の事例に当たる。

キリンフリー

こちらも、普通に考えればビールブランドにおける市場の定義は「アルコールが飲める人達」となる。しかしキリンはあえて市場の定義を「アルコールを飲めない(あるいは飲めないシチュエーションにいる)人達」に拡張して成功した例だ。

キリンフリーが発売されたのは2009年の4月だ。

アルコール度数を「0.00%」として「アルコールを飲めない人」に市場を拡張した上で、海ほたるパーキングエリアでイベントを行った。その結果、ブランドの認知度が上がりドライバーや妊婦の支持を得たと言われる。

「市場=ビールが飲めない人」と定義すれば、それまで存在したあらゆるビールブランドは競合でなくなる。結果、キリンフリーは2009年当時、350万ケース強の販売数量を記録している。

市場細分化の具体事例とやり方-4:市場をリフレーミングする

マーケットセグメンテーションの方法の最後は「市場をリフレーミングする」だ。

「市場を拡張する」のくだりでも解説した通り、マーケットセグメンテーションにおいて最も重要なのは「市場の定義」だ。そして「市場を定義し直す」方法論の一つに「市場のリフレーミング」がある。

市場をリフレーミングする-1:クイックルワイパーの例

「市場のリフレーミング」で大成功を納めたブランドの一つが、花王のクイックルワイパーだ。まずは以下の図をご覧いただこう。

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花王のクイックルワイパーが発売される前は、家庭の主婦の掃除は「掃除機でごみを取る」「ぞうきんで床を磨く」の2つに分かれていた。

しかし花王は主婦の行動をリフレーミングし「掃除機とぞうきんの役割を一つにまとめて一度にできる商品」としてクイックルワイパーを発売した。その結果、クイックルワイパーは大ヒットし、今ではどのご家庭でも必ずある定番のブランドとなっている。

もし花王が「掃除機はごみをとるもの」「ぞうきんは床を磨くもの」と「別物」として捉えていれば、クイックルワイパーのような発想は出てこなかったことだろう。

市場をリフレーミングする-2:ファブリーズの例

さらに、P&Gの「ファブリーズ」もまた、クイックルワイパーと同様に「市場のリフレーミング」を通して大ヒットしたブランドだ。

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P&Gが行ったのは「除菌スプレー市場」と「消臭剤市場」を一つにまとめた「市場のリフレーミング」だ。こういった「市場のリフレーミング」が功を奏すると、例えばファブリーズの場合「除菌スプレー市場」と「消臭剤市場」の両方から顧客が流れ込んでくるため、大ヒットにつながりやすい。

さらに「市場と市場の間」に「これまでなかった」市場が出現することになるため、当然競合となるブランドが存在しない。結果、必然的に自社ブランドがトップシェアとなる。

市場をリフレーミングする-3:ドクターシーラボの例

更に、3つの市場を「リフレーミング」することで大ヒットした事例も簡単に紹介しよう。

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ドクターシーラボの「アクアコラーゲンジェル」は「化粧水」「乳液」「美容液」の3つの用途が一つになったスキンケアブランドだ。スキンケア業界の中では「オールインワンジェル」と呼ばれる。

こちらは「化粧水市場」「乳液市場」「美容液市場」の3つの市場を一つにまとめる「市場のリフレーミング」を行い、大ヒットした事例だ。

市場細分化のセグメンテーション変数(軸)

市場細分化は、ただ単に市場を細分化すれば良いというものではない。

どのようなセグメンテーション軸で細分化すれば、ニーズの塊が「見える化」できるのか?かつ、どのような変数で分類すれば、あなたのブランドにとって意味がある細分化になるのか?を念頭に置きながら、市場細分化の軸を探すことが重要だ。

市場細分化には、大きくわけて4つのセグメンテーション変数(軸)が存在する。

  • 地理的変数によるセグメンテーション:ジオグラフィックセグメンテーション
  • 人口動態変数によるセグメンテーション:デモグラフィックセグメンテーション
  • 心理的変数によるセグメンテーション:サイコグラフィックセグメンテーション
  • 行動によるセグメンテーション:行動セグメンテーション

以下、一つ一つ例を交えて解説していこう。

市場細分化のセグメンテーション変数-1:地理的変数(ジオグラフィック変数)と例

地理的変数(ジオグラフィック変数)とは

まずは市場を「地理」という変数で細分化するセグメンテーション軸を紹介しよう。マーケティングやブランディングの世界では「地理的変数」とか「ジオグラフィック変数」などと呼ばれる。

地理的変数とは、国、都道府県、都市、市町村などの地理的な要素で消費者をセグメンテーションする方法を指す。

この「地理的変数による市場細分化」は、小売業界や飲食業界、不動産業界など「エリアマーケティング」が重要となる業界でよく使われるセグメンテーション軸だ。

地理的変数(ジオグラフィック変数)の例

例えばコンビニエンスストアの場合、市場を「オフィス街」と「住宅街」に分け、それぞれのセグメントによって品揃えを変えているのは有名な話だ。

また消費財マーケティングでも、k_birdが携わった「穀物由来のアルコール飲料(ウイスキーなど)」の市場導入の際には、日本の北側の寒い地域で飲まれることが多いため、日本を大きく「北側」と「南側」に分類し、ブランディング投資予算を日本の「北側」の地域に多く配分して成功させたことがある。

一方で「果物由来のアルコール飲料(ワインなど)」は日本の「南側」の暖かい地域で飲まれることが多いため、ブランディング投資を日本の南側の地域に多く配分した。

このように「地理」によるセグメンテーション軸は、その地域に住んでいる人達の特性や可処分所得、あるいは文化や気候など念頭に置いた上でセグメンテーションを行うことが肝要となる。

地理的変数(ジオグラフィック変数)のセグメンテーション軸

主な地理的変数(ジオグラフィック変数)のセグメンテーション軸は下記の通りだ。

  • 地方:関東/関西・47都道府県・郵便番号など
  • 都市規模:5,000人未満・50万人以上など
  • 人口密度:都市部/郊外など
  • 沿線:小田急線沿線など
  • 最寄駅:新宿駅から半径1km以内など
  • 気候:寒暖・温帯/寒帯など

セグメンテーション変数-2:人口動態変数(デモグラフィック変数)と例

人口動態変数(デモグラフィック変数)とは

人口動態変数によるセグメンテーションとは、人や家庭の属性を切り口にした市場細分化のことだ。

具体的には「年齢」「世帯規模」「性別」「職業」「所得」などがセグメンテーション軸となる。マーケティングやブランディングの世界では「デモグラフィック変数」と呼ばれる。

冒頭で紹介した「性・年代別」も「デモグラフィック変数による市場細分化」の一つであり、現在、日本企業で最も使われているセグメンテーション軸だ。

しかしこのセグメンテーション軸は安易に採用されやすい。

冒頭でも説明した通り、セグメンテーションの目的は「ニーズの塊の見える化」であって「分けることそのもの」ではない。

もしあなたのブランドが「デモグラフィック変数による市場細分化」を採用しているなら、ぜひ「このセグメンテーション軸で、ニーズの塊は見える化できているのか?」を再考してみて欲しい。

人口動態変数(デモグラフィック変数)のセグメンテーション軸

主な人口動態変数(デモグラフィック変数)のセグメンテーション軸は下記の通りだ。

  • 年齢:10代・20代・30代・40代・50代・60代
  • 性別:男性・女性
  • 未既婚:既婚・未婚・離死別
  • 子供の有無:子供有・子供無など
  • 職業:ブルーカラー/ホワイトカラー・学生/会社員/専業主婦/自由業など
  • 教育:中卒・高卒・専門学校卒・大卒・大学院卒
  • 年収:300万円未満・1,000万円以上など
  • 可処分所得:月5万円以上など
  • ライフステージ:独身・DINKS・子供有・リタイアなど

セグメンテーション変数-3:心理的変数(サイコグラフィック変数)と例

心理的変数(サイコグラフィック変数)とは

続いては「心理的変数によるセグメンテーション」だ。

心理変数による市場細分化は、生活者の心理や価値観、ライフスタイルなどを軸にしたセグメンテーションだ。マーケティングやブランディングの世界では「サイコグラフィック変数」と呼ばれる。

心理的変数(サイコグラフィック変数)の例

例えば日本国内の女性を「スキンケア商品に対する価値観」というセグメンテーション軸で分類すると、以下の通りとなる。

  • 高級志向派…「高級なもの=良いもの」という価値観を持つセグメント
  • 流行志向派…「今流行っているもの=良いもの」という価値観を持つセグメント
  • 機能志向派…「美容メカニズムや美容成分が明確なもの=良いもの」という価値観を持つセグメント
  • 自然志向派…「オーガニックなもの=良いもの」という価値観を持つセグメント
  • 無関心派…スキンケアの手入れよりメークアップで「隠す」ことを重視するセグメント

この「心理的変数によるセグメンテーション」は「地理的変数」や「人口動態変数」と異なり、一般に公表されている人口統計資料に基づけないことから、各セグメントの市場規模(人口)の推計が難しい。

そのため、市場調査に基づく「クラスター分析」という方法でセグメンテーションが行われることが多い。

近年、多くの市場で市場が成熟化が進んでいる。市場の成熟化が進むと、人々の好みや価値観は細分化&多様化していくことが多い。よって「ニーズの塊を見える化する」意味で、この「心理的変数による市場細分化」の重要性は日に日に増してきている。

心理的変数(サイコグラフィック変数)のセグメンテーション軸

主な心理的変数(サイコグラフィック変数)のセグメンテーション軸は下記の通りだ。

  • ライフスタイル:アウトドア派/インドア派・仕事重視/趣味重視など
  • パーソナリティ:外向的/内向的・革新的/保守的など

セグメンテーション変数-4:行動変数の例

行動変数とは

最後に「行動変数によるセグメンテーション」だ。

行動変数によるセグメンテーションとは、商品の利用用途や利用頻度などを切り口にした市場細分化だ。マーケティングやブランディングの世界では「行動変数」と呼ばれる。

行動変数の例

この行動変数で最も多く使われるのが「ノンユーザー」「ライトユーザー」「ヘビーユーザー」など、利用頻度によるセグメンテーション軸だ。

このセグメンテーション軸は、主にCRM戦略やグループインタビューの際に用いられることが多い。ほとんどの企業は、顧客を「ノンユーザーからライトユーザーへ」「ライトユーザーからヘビーユーザーへ」育てたいと思っているはずだ。

そのような時には、この「行動変数」を用いて顧客を「ライトユーザー」と「ヘビーユーザー」に分けた上で「自社ブランドのライトユーザーとヘビーユーザーの違いは何か?」という視点で顧客を眺めてみるのだ。

この違いをグループインタビューなどで明らかにすることで、例えば「ヘビーユーザーには認識されているものの、ライトユーザーには認識されていなかった利用用途」が明らかになれば、その利用用途を「ライトユーザー」に提案することで「ライトユーザー」の利用頻度を上げ、ヘビーユーザーに育て上げる、といったことが可能になる。

行動変数のセグメンテーション軸

主な行動変数のセグメンテーション軸は下記の通りだ。

  • 利用頻度:ライト/ミドル/ヘビー/ノンなど
  • 選択基準:品質重視/デザイン重視/イメージ重視/価格重視など
  • 利用用途

マーケティング理論を学ぶ:おすすめマーケティング本3冊

締めくくりに、マーケティング・ブランディング担当者へのお薦めビジネス本を紹介しよう。選定した基準は下記の通りだ。以下のどれかに当てはまるものをピックアップした。

  1. k_birdが実際に読み、単純に「素晴らしかった」と思えるマーケティング戦略本。
  2. 実際に「思考の範囲を広げる」あるいは「知恵を見出す思考能力を鍛える」ことに役立っているマーケティング戦略本。
  3. 長年に渡って読み継がれており、時代を越えても変わらない「本質」や「原理」が見出せるマーケティング戦略本。

もちろん、すべて「なぜ読むべきなのか?」という解説付きだ。

たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング

本書は、P&G、ロート製薬、ロクシタン、スマートニュースで一貫してマーケティング畑を歩いてきた「マーケティングの実務家」が著した書籍だ。

いわゆる「事業会社側」で活躍する現役のマーケッターが、これだけのノウハウとフレームワークを惜しみなく紹介するのは、かなり珍しいことだと言える。

本書の特筆すべき点は、描かれている内容がマーケティングの実務経験に裏付けられているため、極めてリアリティがあり、かつ実践的である点だ。

かと言って、単なる「How To本」ではなく、本書の根底にはマーケティングそのものを成り立たせている本質や哲学が流れている。

もし、本ブログの筆者であるk_birdが「マーケティングとは何か?」と聞かれたら、自信をもって「この本を読め!」と挙げられる書籍であり、素直に「もっと多くのマーケッターに売れて(読んで)欲しい」と思える書籍でもある。

本書は「考え方」の面でも「実務」の面でも「マーケティングの真ん中」を行く書籍だ。

The Art of Marketing マーケティングの技法

部分最適の延長線上に、必ずしも全体最適があるわけではない。

近年では顧客接点が飛躍的に増え、個別の顧客接点の影響力が相対的に下がった以上、マーケティング活動全体の最適化が、ブランドの成功の命運を握る。

本書は、このような環境下でマーケティング活動全体を俯瞰するフレームワーク「パーセプションフローモデル」の作り方を解説した書籍だ。

本書の秀逸な点は、著者のP&G時代の経験・事例をふんだんに盛り込みながらパーセプションフローを解説しているので、極めてイメージしやすく、実践的な点だ。

また、マーケティングの神様といわれるP6Gの「裏側」を知れる点も興味深い。「あのP&Gでも、裏側ではバタバタしながら成功につなげてるんだな」と理解できることは、多くのマーケッターを勇気づけるはずだ。

もしあなたが「1担当者」を越えてマーケティング全体を俯瞰し、パーセプションフローを用いて組織を動かしていきたいなら、本書は必ず読んでおくべき書籍だ。

USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門

本書の執筆者である森岡 毅氏は、P&Gジャパンでヴィダル・サスーンのブランドマネージャーを勤めた後、P&G世界本社でパンテーンのブランドマネージャーを歴任した凄腕のマーケッターだ。

また、森岡氏は経営難に陥っていたUSJのCMOとして乗り込み、劇的にV字回復差せたことで知られる。そんな森岡氏が、USJのV字回復の軌跡を「マーケティング理論に当てはめて」執筆したのが本書だ。

アマゾンのレビューを見れば納得頂けると思うが、本書は単なるUSJのマーケティング事例本ではない。STPやマーケティングミックスなどのフレームワークを「そもそも論」から解説した上で、更にそれらを「実践に活かす方法」にまで落とし込んで解説しているマーケティングの名著であり、人気のベストセラー書籍だ。

「成功を引き寄せるマーケティング入門」というサブタイトルにもある通り実務上の示唆も多く、あらゆるマーケティング担当者が読むべき必読の入門書と言えるだろう。

このブログから書籍化した本4冊

ブランディングの理論と実践をつなぐ「ブランディングの教科書」

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冒頭でも紹介したが、再度ここでも紹介させていただこう。

ブランディングは、ややもすれば「デザインの話」「広告の話」「世界観の話」など、掴みどころのない抽象論に陥りがちだ。

しかしブランディングは「ブランド戦略」という言葉があるように、企業の成否を大きく左右する戦略のひとつだ。そして投資が伴う以上、一定の合理性と説明責任が求められる。決して、売上や利益から逃げてはならないのだ。

本書は、つい「感覚論」に陥りがちな「ブランディング」に対して「論理的な納得性」と「直感的な腹落ち感」の両面を追求した書籍だ。

「論理」が理解できなければ、ブランディングを体系的に理解することできず、再現性を生むことができない。

そして「直感的な腹落ち感」がなければ、ブランディングを実務に落とせず、成果をもたらすことができない。

本書は、広告代理店&外資系コンサルティングファームで培った「生の知見」と「体系的な解説」を通して、ブランディングの理論を実践へとつなげて解説している。

おかげさまで、本書はAmazon kindle売れ筋ランキング「消費者主義」ジャンルでベストセラー1位を獲得し、Amazonレビューでも、

  • 「ふわっとしたブランディングの本が多い中で、異彩を放っている」
  • 「事例も多いので実践のイメージが湧きやすい」
  • 「海外企業の事例ばかりが紹介されている輸入本だとピンとこない、という方にお薦め」

など、ありがたい言葉を頂いている。

もし本書を手にとって頂ければ、ブランディングの専門用語はもちろん、実践の手順や実務の勘所が、一通り学べるはずだ。

kindle Unlimitedを契約されている方は無償で手に入れることができるので、気軽に手に取っていただきたい。

シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説

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あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。

なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。

しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考のメリットは説くものの、肝心の「仮説思考のマスターの仕方」になると、

  • 「センスが必要」
  • 「経験の積み重ねが物を言う」

など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせているものが多い。

一方で、本書は「仮説思考に必要な推論の手順」を、豊富な事例とともに解説している。よって、その手順通りに推論を重ねれば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。

おかげさまで本書は5版を重ね「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただいた。NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、中国や台湾、香港でも出版が決定している。

さらにAmazonレビューでも、

  • 「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
  • 「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
  • 「一生もののスキルになるのは間違いない」

など有難い言葉を頂戴しており、5刷を重ねている。

もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。

ロジカルシンキングでは学べない「視点力」と「法則力」を身につける※無料のオーディオブック特典付

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例え同じ本を読んだとしても、そこから得られる「学びの量」は、人によって何倍も変わる。そして、人は学びを通してしか成長できない以上、その差はやがて、あなたの職業人生すら大きく変えてしまうことになる。

同じ本を読んでいるはずなのに、人によって「得られる学びの量」が何倍も変わってしまう。この差は、いったい何から生まれるのだろうか?

それは、1冊の本から「知識」を得ようとするか「知識の"運用能力"」を得ようとするかの差だ。

多くの読書術の本は「多読」「速読」など「いかに効率的に知識を得るか?」をテーマにしている。しかし、どんなに効率的に知識を得たとしても、ただそれだけでは「知識の暗記」止まりになる。得られる学びはごくわずかだ。

一方で、読書を通して「知識の"運用能力"」を身につけることができれば「たった1つの知識」を複数の分野に応用し、何倍もの成果を生み出すことが可能になる。

本書「読書の方程式」は、ビジネス書を通して「どう知識の"運用能力"を身につけるか?」を解説した書籍だ。そのポイントは、ビジネス書から学び取る「視点」「法則」そして「抽象化」にある。

おかげさまで、本書は日経やThe21、STUDY HACKERなど多くのメディアに取り上げていただき、発売3か月で海外の翻訳出版も決定した。Amazonレビューでも、

  • 「こんな風に自分を成長させる読み方があったのか!」
  • 「読書術の本では、これまでで最も良い本」
  • 「読書の概念が変わった」

など、ありがたい言葉を頂戴している。

もしあなたが「知識の"運用能力"」を身につけ、1つの事実から得られる「学びの量」を何倍にもしたいなら、ぜひ本書で紹介する読書法を実践して欲しい。

※無料のオーディオブック特典付

8ジャンル57個の仕事術で「実践力」を身につける

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どのようなビジネスも、実践が伴わなければ成果は出ない。しかし、いざ「実践力」を身につけようとしても、その分野は、

  1. 時間管理術
  2. 段取り術
  3. コミュニケーション術
  4. 資料作成術
  5. 会議術
  6. 学び術
  7. 思考術
  8. 発想術

など多分野に渡り、最低8冊分の読書時間と書籍代がかかってしまうのが難点だ。

しかし、本書「超効率ハック」は、8つの分野の仕事術の「重要ポイントだけ」を抜き出し、ギュッと1冊に凝縮した書籍だ。

さらに、本書は「訓練や習慣化が必要な作業テクニック」ではなく「行動を変えるための頭の使い方」の解説に力を入れているため「頭のスイッチを切り替える」だけですぐに実践できるのも特色だ。

おかげさまで、本書を題材にしたSchooのオンライン授業では「思考法ジャンル」で人気ランキング1位を頂いた(139講座中)。また、lifehackerやOggiなど数多くのメディアで取り上げていただき、Kindleでは「オペレーションズ部門」でベストセラー1位を獲得している。

Amazonレビューでも、

  • 「思考と行動の質を上げるヒントが盛りだくさん」
  • 「読んでみると、頑張りどころを間違えてたことに気付かされる」
  • 「仕事が速い人はこれをやってたんだな、ということがよくわかった」

など、ありがたい言葉を頂戴しており嬉しい限りだ。

もしあなたが「短時間で網羅的に仕事術を学びたい」「根本から仕事の生産性を高めたい」と感じているのなら、ぜひ手に取ってみて欲しい。

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終わりに

今後も、折に触れて「ロジカルで、かつ、直感的にわかる解説」を続けていくつもりだ。 

しかし多忙につき、このブログは不定期の更新となる。

それでも、このブログに主旨に共感し、何かしらのヒントを得たいと思ってもらえるなら、ぜひこのブログに読者登録Twitterfacebook登録をしてほしい。

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