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ブランド連想とは?PDCAの限界と【ブランド連想の重要性】を事例付き解説

ブランド連想とは?ブランド連想の成功例と失敗例を徹底解説

ブランディングを推進するに当たって重要なことは、ブランド連想の一貫性を保つことだ。

しかし一方で、ブランディングには「商品開発部門」「広告宣伝部門」「デジタル部門」「販売・営業部門」など、多くの思惑が異なる部門が絡むため、ブランド連想の一貫性を保つことは容易ではない。

さらに、もしあなたがブランディングの実務家なら「ブランディングの一貫性」と「経営陣・上司の的外れな指示・命令」の板挟みにあい、対応に苦慮したことも少なくないはずだ。

また、近年Webマーケティングやビッグデータが旺盛を極めている。

「PDCAサイクル」や「リアルタイム運用」が重要とされ「素早く結果を検証してPDCAサイクルを回し、短期的な成果を上げ続ける」ことが重視される時代だ。

しかし一方でその副作用として「ブランディングの一貫性を保つこと」が、ついおざなりになりがちだ。

そこで今回は「PDCAサイクル至上主義の限界とブランディングの一貫性の大切さ」について解説する。

一見「PDCAサイクル」と「ブランディングの一貫性」は真逆の発想に思えるが「ブランディング=マーケティングの最上位に位置する戦略」「PDCA=個々の戦術」と捉えれば、この2つの両立は可能だ。

ブランディングに一貫性がなければ、感情移入をもたらすブランドを形創ることはできない。そして「なぜブランディングに一貫性が必要なのか?」を理解するに当たって重要なのが「ブランド連想」に対する理解だ。

「ブランド連想」に対する深い理解が伴わないまま戦術的なPDCAを繰り返すと、ブランディングは方向感を失い、ブランドとしての競争力を築くことができないまま事業も組織も疲弊していくことになる。

一方で、早い段階で「ブランド連想」や「ブランディングにおける一貫性」の大切さに気付くことができれば、最短ルートで競争力のある「ブランド」を築けるようになる。

その結果、市場が成熟した段階でも、強い競争力を発揮し続けることが可能になるはずだ。

 

ブランド連想とは何か?ブランディングに一貫性が必要な理由

ブランディングには、一貫性が必要だといわれる。

世の中には星の数ほど「ブランディングの本」は存在するが、どの本にも必ず「ブランディングには一貫性が重要だ」と記載されている。

また、これまで「ブランディング」を追求してきた多くの実務家や研究者の中でも「ブランディングには一貫性が必要である」という認識に、異論を唱える人は皆無といって良い。

それだけ重要視されている「ブランディングの一貫性」だが「なぜブランディングに一貫性が重要なのか?」について、ロジカルに、かつ直感的に解説している書籍はほとんどといってよいくらい存在しない。

しかしこれまで「PDCAサイクル至上主義」に陥っていたチームにとってみれば「なぜブランディングに一貫性が必要なのか?」の問いに対する腹落ちできる理由がなければ、未だ「PDCAサイクル至上主義」が幅を利かせ、あなたはもちろん、社内にも通すことができない。結果、組織的に動くことができず「ブランディング」という「PDCAサイクル後の次の一手」はおぼつかなくなる。

ブランディングは、ビジネスを発展させるための「長期的な投資」である以上「ブランディングの一貫性」に対する理解は、事業そのものの成否すら左右する。

ここから先は「なぜ、ブランディングには一貫性が必要なのか?」についての解説を行う。もちろん「なぜ?」という理由付きだ。

ブランド連想:「アップル=リンゴを売っている会社?」

あなたは「アップル」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか?あるいは「トヨタ」と聞いて、どんな連想を働かせるだろうか?

  • アップル=リンゴを売っている会社?
  • トヨタ=人の名字?

あなたは「そんなバカな…」と思われるかもしれないが、文字通り解釈すると上記の答えは正解となる。しかしあなたは「アップル=リンゴを売っている会社」とは思わなかったし「トヨタ=人の名字」とも捉えなかったはずだ。

それではなぜ、あなたは言葉尻通りの答えを思い浮かべなかったのだろうか?その答えは「ブランド連想」にある。

ブランド連想の意味とは?

ブランディングの世界には「ブランド連想」という非常に重要な考え方がある。ブランド連想の定義とは下記の通りだ。

ブランド連想の定義とは?

生活者がブランドについて「解釈」し「想起」する一連の連想

 

特に重要なのは「解釈」の部分だ。

あなたが「アップル=リンゴを売っている会社」とは思わず「トヨタ=人の名字」と捉えなかったのも「言葉尻からくる連想」よりも「あなたの解釈からくる連想」のほうが強かったためだ。

ブランド連想は、生活者の直接体験から生じているものもあれば、広告やクチコミにより見聞きしたものもある。また、ブランドの経験や見聞きした頻度、印象の度合い、ポジティブかネガティブかなどによって、強く広い連想もあれば弱く狭い連想もある。

そしてこの「ブランド連想」は、ブランドに対して感情移入を促し、指名買いや指名検索をもたらす上で決定的に重要な要素となる。

例えば、あなたが「ディズニーランド」を訪れたいと思うのは「ディズニーランドの連想」を頭に描けるからであり「スターバックスのコーヒーが飲みたい」と思えるのは「スターバックスのコーヒーの連想」を頭に思い浮かべることができるからだ。

強いブランドは、そのブランドを思い浮かべたときに何らかの連想が頭の中に映し出される。何も連想が思い浮かばなければ、価値を感じることはなく、感情移入することもない。結果、指名で購入されたり、ブランド名で検索されたりすることもない。

そしてブランド連想は、感情移入や指名買いだけでなく、競合との差別化の重要な基盤にもなる。豊かでポジティブなブランド連想をいかに多く、強くしていくかがブランドの成長を分かつ重要な岐路となる。

ブランド連想に一貫性が必要な理由は?

強く個性的なブランド連想を形創っていく上で重要となるのが「ブランディングの一貫性」であることはすでに述べた。また「一貫性」の中でもとりわけ重要なのが「ブランド連想」であることも、すでに解説した通りだ。

そしてその裏付けとなる理論が、あの有名な「パブロフの犬の理論」だ。「パブロフの犬の理論」を簡単に紹介すると、下記の通りとなる。

パブロフの犬の理論

犬にエサを与えるときに必ずベルを鳴らすようにしたところ、エサが無くてもベルを鳴らすと犬がよだれをたらすようになるとする理論。

 

パブロフの犬の理論は、心理学を学んだことのない人でも知っているくらい有名な理論だ。ロシアのイワン・パブロフが1902年に実験で発見した生理現象で、現在ではそのメカニズムが脳科学の分子レベルで解明されている。

この理論が成り立つ条件は、以下の通りだ。

  1. トリガー(ベル)が一貫していること
  2. 成果(エサがもらえる)が一貫していること
  3. トリガー(ベル)と成果(エサがもらえる)の関係性が一貫していること

その結果、トリガー(ベル)の刺激を受けただけで、犬は「エサがもらえる」という連想が思い浮かび、よだれを垂らすようになる。

もし仮に、トリガーが「ベル」だったり「カスタネット」だったり「タンバリン」だったりと一貫していなければ、パブロフの犬がよだれを垂らすことはない。

また、成果が「エサがもらえる」だったり「散歩にいける」だったり「水浴びができる」などバラバラだと、やはりパブロフの犬のようなよだれの現象は起きない。

そしてこれらを「ブランディングの一貫性」に当てはめると、以下の通りとなる。

パブロフの犬の理論の「ブランド連想」への当てはめ

  1. ブランドらしさ(トリガー)が一貫していること。
  2. ブランドが提供する価値(成果)が一貫していること
  3. ブランドらしさ(トリガー)とブランドが提供する価値(成果)の関係性が一貫していること


その結果、トリガー(そのブランドらしさ)の刺激を受けただけで、生活者は「ブランドの提供価値」に対する「ブランド連想」が思い浮かび「買おうかな」という欲求が生じることになる。

では「パブロフの犬の理論」をブランディングに当てはめたとき、何を一貫させるべきだろうか?

一貫させるべき要素を列挙すると以下の通りとなる。まずは「ブランドらしさ(ベルに当たるもの)」の一貫性だ。

一貫させるべきブランドらしさ(ベル)

  1. ブランドの哲学
    ブランドアイデンティティ/ブランドパーソナリティ/ブランドポジショニング

    ■参考:
    ブランドアイデンティティ(BI)とは?新時代のBIと具体例を解説
    ■参考:
    ブランドパーソナリティとは?個性がもたらす5つのブランド効果を全て解説

  2. ブランドの哲学を象徴した「ブランドの見た目」
    ブランドデザイン(ビジュアルアイデンティティ)

 
続いて一貫させるべき成果(ブランドの提供価値:エサに当たるもの)を列挙すると下記の通りだ。

一貫させるべきブランド提供価値(エサ)

  1. ブランドの実利が提供する価値
  2. ブランドの感性が提供する価値
  3. ブランドの情緒が提供する価値
  4. ブランドの価値観が提供する価値

■参考:ブランドの提供価値とは?ブランド力を高める10の要素を全て解説


上記を一貫させることで、早期に強いブランド連想を形創ることが可能になる。

そしてここまでお読みになれば、なぜブランディングに一貫性が重要なのかもご理解いただけたはずだ。

ブランド連想の6ステップと例

最後に、k_birdの経験を踏まえた「ブランド連想の6段階」を紹介しよう。ぜひ、あなたのブランドマネジメントの参考にして欲しい。

ブランド連想の第1段階=ブランド認知

ブランド名を記憶している状態。人間は知らないものは連想できないことから、ブランド連想を形創る上での最初の基盤となる。

ブランド連想の第2段階=名詞的な連想

ブランド名だけでなく、製品上の特徴や広告タレントなどの「名詞的要素」が連想されている状態。

ブランド連想の第3段階=形容詞的な連想

「親しみやすい」「洗練された」「伝統を感じさせる」など、製品という物体を越えた「形容詞的な要素」が連想されている状態。一般的には「ブランドイメージ」と呼ばれる。

「ブランドの個性化」の最初の基盤となる。

ブランド連想の第4段階=5W1H的な連想

「家族といるとき」「学校で」「リラックスしたいとき」「自分に自信を持ちたいとき」など、単なるイメージや印象を越えた「シチュエーション」が連想されている状態。ブランドを「経験」としてとらえている状態だ。

この連想が強化されることで、強いポジショニングが築けるようになる。

ブランド連想の第5段階=価値意識に関する連想

「○○の役に立つ」「○○な気分になれる」「○○を手に入れると嬉しい」など、自分にとっての価値(=喜び)が連想されている状態。

ブランド名とブランドの提供価値が結びつき、強いブランドとして指名買いが進む状態となる。一般的には「ブランドロイヤリティ」と呼ばれる。

ブランド連想の第6段階=感情移入

「愛着を感じる」「自分にとって特別」「なくなると寂しい」など、ブランドに対して感情移入がなされ、あたかもブランドを「自分にとって欠かせない一部」として同一化している状態。

この段階までくると、ブランドの競争力は揺るがないものとなる。

 

「PDCAサイクル至上主義」の限界とは?ブランド連想の失敗事例と成功事例

ここまでお読みになって「ブランド連想」について理解したあなたなら「PDCAサイクル至上主義」による限界と副作用についても、よく理解できるはずだ。

特に2000年代以降に創業し急成長したインターネットベンチャー企業に多く見られる傾向だが、高速でPDCAを回し、短期的な成果最大化を武器にに急成長を遂げてきたものの「PDCAサイクル」が機能しなくなった、という相談が増えている。

ABテストに例えると「AもBもどちらもダメ」がひたすら続くパターンだ。結果「これから先、どうすればいいのか?」という悩みを相談されるケースが増えている。

これらの企業に共通するのは「ブランド連想の一貫性を守り、ブランドという競争力を確立する」という長期的な視点が「組織的に」抜け落ちていた点だ。

特に上記のような企業においては、経営者から現場人材に至るまで「こうすれば、こうなる」という、比較的予測可能で数値管理がしやすい環境の中でPDCAサイクルを回してきた。そのために、いったんPDCAサイクルが頭打ちになると「これからどうすればいいかわからない」という混乱に陥ってしまうのだ。

Webマーケティングの現場では「最適化」という言葉が頻繁に飛び交う。

しかし「最適化」は「徹底的に今の外部環境に適応させる」という考え方がベースにある。そのため「市場拡大フェーズ」では右肩上がりでよく機能するが「市場成熟」の段階に入ると、とたんに方向感がおぼつかなくなる。

「PDCAサイクル」は、ビジネスを推進していく上で欠かせない考え方であることは間違いない。しかし一方で「PDCAサイクル」を「至上主義」ととらえてしまうと、多くの限界と副作用を生み出す。例えば以下のような限界と副作用だ。

  1. 全体的な視点が持てなくなる
  2. 長期的な視点が持てなくなる
  3. リーダーが育たなくなる

以下、ひとつずつ解説していこう。

「PDCAサイクル至上主義」の限界-1:全体的な視点が持てなくなる

「PDCAサイクル」を効果的に機能させるための前提は「施策の結果の良し悪しによって、短期的に、かつ柔軟に次の施策を変えることができる」ことだ。

しかしこの前提は、逆を言えばチームの視野が「短期的に、かつ柔軟に変えることができる施策のみ」に限定されてしまうリスクをはらむ。いわば「木を見て森を見ず」という状態だ。結果「PDCAサイクルの範囲の外側」を見逃しがちになる。

まずは、以下のグラフを御覧いただきたい。ある期間における2つの転職サイトの「ブランド検索推移データ」だ(ブランド名が特定できないように、一部加工してある)。

※ブランド検索数:ブランド名で検索された検索数

ブランド連想とは?ブランド連想の成功例と失敗例を徹底解説

上記のグラフを見ると「転職サイト:A(赤)」と「転職サイト:B(青)」では、ブランド検索数に大きな差があり「転職サイト:A」が優位であることがわかるはずだ。

「転職サイト:A(赤)」はもちろん、SEOやリスティング広告のPDCAサイクルに力を入れている。しかしそれと並行して、一貫したブランディングにも力を入れているブ成功事例だ。

一貫したブランド連想の構築が功を奏せば「転職サイト:A(赤)」のブランド検索数は増えていくことになる。そしていずれ検索流入のかなりの部分を「ブランド検索」が占め、SEO順位は上昇し、リスティング広告以外の自然流入が増えることになる。その結果「サイトトータルで見たCPA」は大きく下がることになる。

そして「サイトトータルで見たCPA」とは、事業レベルで見れば「獲得顧客1人当たりの変動費」を意味する。「獲得顧客1人当たりの変動費」が下がれば、事業全体の変動費も下がることになる。

すると事業の利益は拡大し、次の成長に向けた潤沢な投資が可能となる。他の競合ブランドを一気に引き離す戦略がとれるようになるのだ。

一方で「転職サイト:B(青)」の場合はどうだろうか?おそらく「転職サイト:B」もSEOやリスティング広告などのPDCAサイクルを懸命に回しているはずだ。しかし上記のグラフを見る限り「ブランド検索」の数は圧倒的に少なく「転職サイト:A」ほどの大きな成果が出ているとはいいがたい失敗事例だ。

この差は「事業戦略にブランディングまで含めて考えたか否か?」という「全体的な視野が持てたかどうか」の差であり、戦術面でのPDCAサイクルに偏ることなく、ブランディングを含む全体的な視野を持つことの重要性を教えてくれる。

冒頭でも解説したが「PDCAサイクル」を効果的に機能させるためには「結果の良し悪しよって、短期的に、かつ柔軟に次の施策を変えることができる」ことが前提となる。

しかしそのことによりチームの視野が狭まれば「自分達の視野を越えた範囲(この場合はブランド戦略)」を見逃し「転職サイト:B(青)」のような苦しい状況に陥るリスクが高まる。

もしあなたが「短期的なPDCAサイクル」一辺倒で物事を考えているのなら、ぜひ一度自分の思考を棚卸し「ブランディング」や「ブランド連想の構築」も含めた「全体的な視点」で自社の事業を捉え直してみよう。

「PDCA至上主義」の限界-2:長期的な視点が持てなくなる

続いて、以下のグラフをご覧いただきたい。以下のグラフは、前述したグラフに「転職サイト」という一般的なキーワードの検索数推移を加えたものだ(ブランド名が特定できないように、一部加工してある)。

※一般ワード:ブランド名が含まれない一般的な言葉で検索されるワード

ブランド連想とは?ブランド連想の成功例と失敗例を徹底解説

上記のグラフを見ると「転職サイト:A(赤)」のブランド検索数の増加に伴って、一般ワードである「転職サイト(緑)」の検索数が減少していることに気が付くはずだ。

市場が成熟していくと、その市場にいるターゲットの人口は増えなくなる。つまりターゲット人口は一定数で推移することになる。そのような状況の中で「転職サイト:A(赤)」のブランディングが功を奏し「転職サイトAのブランド検索数」が増えていけば、いったいどうなるだろうか?

これまで「転職サイト(緑)」という一般ワードで検索していた人の何割かは「転職サイト:A(赤)」のブランディングによる認知度向上やブランド連想の強化によって「転職サイト:A」の名前を記憶する。すると当然「転職サイト:A」というブランドキーワードで検索する人が増えることになる。

そして市場内の人口数は一定なのだから、その分だけ「転職サイト(緑)」という一般ワードで検索する人の数は減少する。

上記のグラフは、その現象が現れた典型的な具体例だ。

残念ながら「転職サイト:B(青)」は苦しい立場に立たされたブランド連想の失敗事例だ。なぜなら「転職サイト:B(青)」から見れば「転職サイト(緑)」という一般ワードで検索する人が減るということは、SEOやリスティング広告で捉えようとする検索市場が縮小することを意味するからだ。

かといって競合する転職サイトが減るわけではなく、依然、ひしめき合っている状態だ。その結果、検索市場が縮小する中で競合性が高まり、入札単価は上昇する。そしてサイトトータルで見たCPAは悪化の道を辿る。

先ほども解説した通り「サイトトータルで見たCPA=事業の変動費」だ。結果「転職サイト:B」の事業運営コストは上昇していき、次の成長に向けた投資余力は失われていく。

PDCAサイクルとは、過去を起点に未来を見る行為だ。

しかしチームがPDCAサイクル至上主義に陥ってしまうと、PDCAサイクルの範囲外で起きる構造変化や不連続な未来を見通すことができないまま、ひたすら過去の反省・検証・改善を繰り返すことになる。結果、良かれと思って必死にやっていることが、労力の割にほとんど効果のない活動になる可能性もある。

「過去の小さな問題を一つ一つ解決していけば、いつかは問題のない完璧な理想像が実現するはず」というのは錯覚だ。短期的な課題と長期的な課題は、その性質が大きく異なる以上、わけて考えるべきだ。

もしあなたが「過去を振り返って改善する」という短期的な視点だけで「長期的な視点」を見逃していたのなら、ぜひ一度「長期的な視点」で自社事業を捉え直してみよう。これまで見えていなかったものが見えるようになり、ブランディングの重要性にも気付けるはずだ。

「PDCAサイクル至上主義」の限界-3:次世代を担う事業リーダーが育たなくなる

現在、多くの市場が成熟化しているといわれる。2000年代以降の創業し急成長を遂げた多くのインターネットベンチャー企業も、その多くは次々に「市場の成熟化」や「踊り場」を迎えることになるはずだ。

PDCAサイクルの高速回転で急成長を遂げてきたインターネットベンチャー企業は、これまでは市場が拡大していたため、高度な戦略性を持たなくても「今週はどれだけ検索エンジンで上位表示されたか」「想定していたコンバージョンは確保できたか」といった戦術面での指標を管理し、PDCAサイクルを回していればそれなりの成果を出せた。

しかし「市場の成熟化」あるいは「成長の踊り場」という、PDCAサイクルで解決できない非連続な局面に立たされた時「PDCAサイクル至上主義の事業リーダー」は、冒頭で触れたように「これからどうすればいいかわからない」という混乱に陥ることになる。

戦略とは本来、事業の行く末を左右する資源集中の大きな判断だ。

未来を見通せず、暗中模索の中、最後は自分自身の人間力や胆力を総動員した上で、何に力を入れ、何を捨てるかを判断することでもある。

リーダーにとってみれば非常に怖いことだが、各事業のリーダーはそれを乗り越えない限り、戦術レベルの不毛なPDCAサイクルをひたすら繰り返すだけでは、事業資源の無駄遣いをし続けてしまう。

これからあなたが問われるのは、土地勘のない新たな局面で勝てるかどうかだ。あなたがよく知る過去の局面でのPDCAサイクルを、市場が成熟した新たな局面にもあてはめてしまうのは戦略的とはいえない。

本ブログは、そんな多くのマーケティング担当者のために、ブランディングの「戦略」を解説していくブログだ。

残念ながら、ブランド連想は「生活者の認識の内側」で「長期的」に創られるものであることから、Webマーケティングや販促施策ほど明確な数値管理や予測をしずらいのは事実だ。

しかしそれはあなたの競合企業も同様であり、いったんあなたの事業が「ブランド連想」を確立できれば、市場の成熟化や成長の踊り場の「その先」の競争力を描けるようになる。

これまでの「転職サイト:A」の事例で見てきた通り「ブランディング」によるブランド連想の強化は、事業の成長を加速させるための有力な選択肢の一つとなるはずだ。 

 

終わりに

今回は「ブランド連想とは?PDCA至上主義の問題点とブランド連想の重要性」をテーマに、PDCA至上主義の問題点とブランド連想について解説した。ぜひ、あなたのチームのブランディングにおいて、有益な示唆となれば幸いだ。

今後も、折に触れて「ロジカルで、かつ、直感的にわかるブランディングの解説」を続けていくつもりだ。(過去記事と今後の掲載予定はこちら

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