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知覚品質とは?ブランドの知覚品質を向上させる21の手法【事例付】

ブランディングの解体新書

ブランディングを成功に導く上で、製品の品質は決定的に重要だ。

このブログに辿り着いたあなたなら、そのことに異論はないだろう。実際、これまで多くの日本企業が、製品の品質に磨きをかけ、躍進を遂げてきた。

特に1980年代には、日本企業が「品質」を武器に世界へ進出し「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と称賛されるほどの存在感を示したきた。その筆頭格であるトヨタ自動車は、今でも「品質」の代名詞だ。

当たり前のことだが、多くの生活者は「品質が良いもの」を欲しがる。しかし一方で多くの市場が成熟期に行きつき、どれだけ品質を高めても、ライバルとの差が付きにくくなっていることも事実だ。結果、多くのブランドは価格競争に巻き込まれることになる。

あなたのブランドも、多種多様なライバルブランドの狭間で、常に価格競争のリスクに晒されていることだろう。

ブランディングの世界には「品質」ではなく「知覚品質」という考え方がある。ブランディングを展開するに当たっては最も重要な考え方の一つとされ、価格競争から脱却し、ブランドの収益性を高める上で欠かせない概念だ。

今回は「知覚品質とは?ブランドの知覚品質を向上させる21の手法」と題して、ブランディングにおける「知覚品質」の重要性と、知覚品質を向上させる上で有効な21の手法について事例付きで解説する。

特に「品質の違いが失われつつある業界」や「品質の違いがわかりずらくなっている業界」には有効だ。

この解説を最後まで読んでいただければ「ブランドの知覚品質」を考える上で必要な視点や、その有用性が理解できるようになる。そして「知覚品質」を高める手法をあなたのブランドチームと共有できるようになる。

その結果、ブランドロイヤリティの獲得やライバルブランドとの差別化に向けて、適切なアクションが取れるようになるはずだ。

また、以下の参考記事を合わせてご覧いただければ、抽象的でわかりずらい「ブランディング」に関して、より体系的な理解が深まるはずだ。

 

知覚品質とは?知覚品質の意味

あなたは「品質」と「知覚品質」の違いをご存じだろうか?

知覚品質とは、ブランドに対して「生活者が認識している品質」のことであり、 単に製品の機能・性能だけでなく、信頼性やサービス、雰囲気なども含まれる。

つまり企業側が考える「事実としての品質」や「客観的に測定できる品質」とは異なり「顧客が主観的に(つまり勝手に)認識している品質」のことを指す。

あなたはこれまでに「芸能人格付けチェック」というTV番組をご覧になったことがあるだろうか?

芸能人が高級な食材(企業から見て品質が高い食材)と大衆的な食材を目隠しをして食べ比べ、どちらが高級食材かを当てる。そしてもし外れれば、その芸能人は一流→普通→二流→三流→そっくりさん→映す価値なし(実際に画面から消滅する)と格下げされていくバラエティ番組だ。

この番組で高級食材(企業から見て品質が高い食材)を全て当てられる芸能人はほとんどいない。いわば「企業側が定義する品質」と「生活者(この場合は芸能人)が感じ取る品質」との間に、いかに乖離があるかを示す典型例だ。

企業のマーケティング担当者は、優秀な人であればあるほど寝る間を惜しんでブランドのことを考えている。しかし一方で生活者側の立場に立つと、生活者にとって大切なのは「自分が理想とするライフスタイルの実現」であり、そのための手段でしかないブランドのことは、1日5分も考えていない。

この「企業側」と「生活者側」の立場の違いこそが「品質」と「知覚品質」の違いを生み出している。

例えば、メルセデス・ベンツについて例えてみよう。あなたは、メルセデス・ベンツの品質について、どのような認識を持っているだろうか?

メルセデス・ベンツは高級車であることから、多くの生活者は「高品質な車」という「知覚品質」を持っている。あなたも同じように「きっと品質は高いのだろう」という認識をお持ちに違いない。

しかし、あなたはメルセデス・ベンツの代表的な車種の排気量やエンジン性能、あるいは装備内容について正確に記憶しているだろうか?あなたがメルセデス・ベンツオーナーでない限り、ひとつも言えないのではないだろうか?

メルセデスベンツの具体的な品質については、ひとつも答えることができない。しかし「品質が高そうだ」という認識は持っている。これが「品質」と「知覚品質」の違いだ。

次に、あなたが担当しているブランドについて考えてみよう。

恐らく、あなたが担当しているブランドの「品質」は、それなりの水準であるはずだ。しかし、生活者側の認識である「知覚品質」はいかがだろうか?

例えあなたが「わが社のブランドの品質は高い!」と声高に叫んだところで、生活者側の知覚品質が低ければ、それが生活者にとっての真実となる。

そして事実としての品質はどうあれ、生活者は自分の認識が全てなのだから、生活者が感じとる知覚品質が低ければ、あなたのブランドは品質が低いとみなされ、購入されないことになる。

経営学者のR・バゼルとB・ゲイルらによる研究によれば、知覚品質で下位20%に属するビジネスは平均して約17%のROIしかないのに比べて、知覚品質が上位20%に属するビジネスでは、ほぼ2倍のROIが得られているという。

この研究結果は、ブランドの知覚品質が高いほど収益率が良くなることを示している。

知覚品質とは?ブランディングで知覚品質を向上させる21の手法

長らく、日本の企業は「事実としての品質の向上」に凌ぎを削ってきた。しかしそれを重視してきたがあまり「知覚品質」に目が向きずらかったことは否めない事実だ。

もちろん「事実としての品質の向上」がブランディングにとって必要不可欠であることは論を待たない。しかし生活者側の認識である「知覚品質」の向上は、ブランド力の向上やセールスに直結していくことから、これまで以上に意識しておきたい。

重要なことなので繰り返す。

生活者側から見れば「事実としての品質」はどうあれ、あなたのブランドを買うか買わないかは「生活者本人が認識している品質」で決める。

多くの企業では「顧客中心主義」が繰り返し叫ばれているはずだ。しかし、ことブランディングにおいて重要なのは「顧客中心主義」よりもう一歩踏み込んだ「顧客”認識"主義」だ。

もし、あなたの会社でも「顧客”認識"主義」が徹底されれば「事実としての品質」だけでなく「生活者側が認識する品質」にも目が向くようになり、本当の意味での顧客中心主義が社内に浸透していく。

その結果、ブランディングの取り組みも加速していくはずだ。

知覚品質を向上させる21のブランディング手法と事例

ここからは「知覚品質」を向上させていく上でヒントとなる21の手法について解説する。

残念ながら「弊社のブランドの品質は高いです!」と声高に叫んだところで、あなたのブランドの知覚品質は向上しない。その理由は2つだ。

1つ目の理由は、生活者側の意識だ。

生活者側からすれば、既に世の中に出ているブランドであれば「どれも、それなりの品質は持っているに違いない」「それなりの品質は持っていて当たり前」という認識を持っている。

生活者がそのような認識を持っている以上「弊社のブランドの品質は高いです!」と叫んでみても、それは生活者にとって当たり前のことであり、強いメッセージになり得ない。

2つ目の理由は、信憑性に乏しいからだ。

あなたの競合ブランドで「弊社のブランドの品質は低いです!」と謳っているブランドが存在するだろうか?恐らく皆無なはずだ。

だとすれば、あなたのブランドがいかに「品質が高いです!」と叫んだところで、その効果は限定的となる。なぜなら、生活者からみればそれは単なる「自画自賛」であり、「信憑性」を感じさせるに足る根拠が見いだせないからだ。結果「品質が高いです!」という主張はスルーされることになる。

ブランドの知覚品質を高めていくためには、競合ブランドと比べて「品質が高い」と信じてもらえるだけの「信憑性」がカギとなる。

以降、知覚品質の「信憑性創り」のヒントとなる21の手法を紹介するので、ぜひ参考にして欲しい。

知覚品質を向上させるブランディング手法1-「品質を実証する」

最もオーソドックスな方法は「品質を実証」することだ。

あなたは、ハウスメーカーのTVCMで耐震実験の映像をご覧になったことがあるはずだ。また別の事例で言えば、イギリスの家電メーカーであるダイソンのTVCMも、競合の掃除機との比較を通して高い性能を実証している。

また、P&Gも「チャレンジJOY」と銘打って、タレントが様々な家庭に出向いて、台所用洗剤の品質の高さを実証するTVCMを流しており、品質を実証している事例に当たる。

「百聞は一見にしかず」という言葉がある通り「実証」はブランドの知覚品質を高める上で効果的な手段だ。

知覚品質を向上させるブランディング手法2-「成分や原料のクオリティを打ち出す」

原料や成分を打ち出すのもまた、ブランドの知覚品質を高める上でよく使われる手法だ。

例えば富士フイルムのスキンケア商品である「アスタリフト」の事例では「アスタキサンチン」のほかに「ナノコラーゲン」という成分を打ち出して成功している。「ナノコラーゲン」とはコラーゲンをナノテクノロジーによって微粒子化し、肌への浸透力を高めたコラーゲンのことだ。

また、三ツ矢サイダーの事例では「水を磨く」というメッセージと通して、サイダーに使われる水の品質の高さを打ち出している。

これらのように、成分や原料のクオリティはブランドの知覚品質の信憑性を高めることにつながる。

知覚品質を向上させるブランディング手法3-「シズルを打ち出す」

「シズル」とは聞きなれないかもしれないが、広告業界でよく使われる用語で「リアルな感覚に訴える要素」という意味合いで使われることが多い。

例えはケチャップの事例で言えば、生活者は「水っぽいケチャップ」より「どろっとしたケチャップ」のほうが様々な栄養素やうまみ成分が凝縮されているような印象を受けるため、ブランドの知覚品質は高くなる。

また、アサヒビールの「スーパードライ」では、必ずTVCMに水しぶきのカットが入るが、これもまた「鮮度が良さそう」と生活者に感じさせ、ブランドの知覚品質を向上させるためのシズルの事例だ。

このように、ブランドの知覚品質は必ずしも理屈ではなく「感覚的な要素」で向上させることも可能だ。

知覚品質を向上させるブランディング手法4-「製造現場の取り組みを語る」

製品は製造現場で作られる。よって、製造現場での取り組みを語るのも、ブランドの知覚品質を向上させる上で有効な手法だ。

例えば再春館製薬は「消える製造ライン」というTVCMで「毎日4時間かけて工場を洗浄している」という取り組みを伝えている。

生活者から見れば「これだけ誠実な工場で作られている製品なら、その品質も高いに違いない」と認識し、その結果、ブランドの知覚品質は向上する。

生活者は「工場で誠実に作られている」「手間暇かけて作られている」ことがわかると、知覚品質を向上させやすいのだ。

知覚品質を向上させるブランディング手法5-「産地や場所を利用する」

 k_birdの勤務地である銀座には、多くのジュエリーショップが存在しているが、その中に「銀座ダイヤモンドシライシ」というジュエリーショップがある。

もし、この「銀座ダイヤモンドシライシ」が「錦糸町ダイヤモンドシライシ」だったら、あなたの中でブランドの知覚品質は大きく変わるはずだ(あなたがもし錦糸町にお住まいだったら大変申し訳ないが)。

このように、産地や場所をうまく利用することで、ブランドの知覚品質を向上させることも可能だ。

知覚品質を向上させるブランディング手法6-「製法を打ち出す」

製法を打ち出すのも、ブランドの知覚品質を向上させる上で有効な方法だ。

例えばコーヒーのブランドであるネスカフェでは、独自製法として「挽き豆包み製法」を打ち出している。これは丁寧に微粉砕した焙煎コーヒー豆をネスレ独自のコーヒー抽出液と混ぜ合わせて乾燥し、コーヒーの粉の中に封じ込める技術だ。

ネスレはこの技術によって「インスタントコーヒー」というジャンルの呼び名自体を「ソリュブルコーヒー」と変えブランディングを展開している。

もしかしたら、あなたのブランドも競合他社にはないユニークな製法を取り入れているかもしれない。もしそうなら、その製法にネーミングをつけロゴを開発し、独自製法として打ち出しみよう。あなたのブランドの知覚品質は上がるはずだ。

知覚品質を向上させるブランディング手法7-「テクノロジーを打ち出す」

「テクノロジー」もまた、知覚品質を向上させる要素だ。

例えば、ダイソンの「サイクロンテクノロジー」や、マツダの「スカイアクティブテクノロジー」などの事例がそれにあたる。

また、製造業でなくても、例えば英会話学校のベルリッツが打ち出している「ベルリッツメソッド」なども、方法論という意味で広義のテクノロジーあたるだろう。

こちらも「製法」と同様に「テクノロジー」や「方法論」そのものにネーミングをつけロゴを開発してみよう。それらを打ち出せば、あなたのブランドの知覚品質は上がるはずだ。

知覚品質を向上させるブランディング手法8-「デリバリー品質を打ち出す」

「デリバリー品質」とは、モノを生産してから生活者に届ける上での品質を指す。

たとえば、アサヒビールのスーパードライのTVCMで「原則製造後3日以内に工場から出荷」という内容のものをご覧になったことがあるはずだ。これは「3日以内」「工場直送」を謳うことで「鮮度が良い分、品質が高そうだ」という認識を創ることに成功した事例だ。

また、味の素のマヨネーズである「ピュアセレクト」もまた「とれて3日以内の新鮮たまごのみを使用」と打ち出すことでデリバリー品質を伝え、ブランドの知覚品質向上を促している。

知覚品質を向上させるブランディング手法9-「研究開発力を感じさせる」

生活者は「研究開発力が高い企業の製品・サービスなら、品質も高いに違いない」という認識を持つ。

例えば、Googleは研究開発力が高いイノベーション企業としての印象が持たれているが、そのGoogleが新たに開発したサービスは「きっとすごいに違いない」という期待を持って迎えられる。

また、BtoB企業であるIBMもまた、人工知能「ワトソン」の開発などを通して研究開発力が高い企業という印象を持たれており「IBMはソリューション品質が高そうだ」という高い知覚品質の獲得に成功している。

知覚品質を向上させるブランディング手法10-「希少性を感じさせる」

希少性もまた「この世にわずかしかないもの」という認識を通して、ブランドの知覚品質向上に貢献する。

例えば海外の高級ファッションブランドやジュエラーは、研究所や生産工場を「メゾン」と呼び、あたかも匠の職人やデザイナーが一つ一つ手間暇かけてクリエーションしているようなブランド連想を創っている。

その結果、高額であることも相まって「希少性が高そうだ」という認識を創ることに成功し、ブランドの知覚品質向上に成功している。

知覚品質を向上させるブランディング手法11-「伝統を打ち出す」

生活者は、伝統のあるブランドであればあるほど「品質が高そうだ」という認識を抱く。なぜなら伝統があるということは、時代を越えて愛されてきた証であり、時代を越えて生き残ったブランドなら、それは良いものに違いないというブランド連想を抱くからだ。

歴史の長いブランドは、そのまま放置しておくと「古臭い」という印象を持たれやすい。しかし逆転の発想で「長く愛されてきた」という文脈に変換することで、ブランドの知覚品質向上に寄与するはずだ。

 

知覚品質を向上させるブランディング手法12-「実績を示す」

実績は、どのような言葉にも勝る品質の証明だ。

例えばスマホアプリ業界では「ダウンロード数●千万人突破」などのメッセージをよく見かける。また、映画の世界でも「ハリウッドNo.1」や「国内観客動員数●●万人突破」などの広告をよく見かけることだろう。

生活者は「評価している人の数が多ければ多いほど、それは良いものに違いない」という認識を抱く。

もし、あなたのブランドに秀でた実績があるのなら、それは知覚品質を向上させる上で非常にパワフルな要素になる。

知覚品質を向上させるブランディング手法13-「社会的証明を利用する」

あなたも、広告やTVCMなどで「モンドセレクション金賞受賞!」「グッド・デザイン賞受賞!」などのメッセージをご覧になったことがあるはずだ。

企業が生活者に伝えようとするメッセージは、生活者からすれば自画自賛でしかなく信憑性に劣る。そこで「第三者からの評価」を示すことで品質に対する信憑性が増し、ブランドの知覚品質向上に寄与していくのだ。

知覚品質を向上させるブランディング手法14-「メディアや著名人を利用する」

あなたのブランドは、雑誌に取り上げられたり、著名人が使っていたりはしないだろうか?

あるスキンケアブランドは、積極的に自社商品をメディアやタレント事務所に売り込み、取り上げてもらえるごとにホームページで公開し「雑誌に取り上げられた回数」を更新し続けている。

多くの生活者から見れば、雑誌や著名人に取り上げられたブランドであるという事実は「トレンドを発信する側の先端層がその良さを認めた」と解釈する。

その結果、そのブランドの知覚品質は向上するのだ。

知覚品質を向上させるブランディング手法15-「用途のアナロジーを示す」

あるハウスメーカーでは、住宅展示場で窓ガラスフィルターを説明する際に「FBIでも使われているもの」という説明している。また、断熱材を販売しているある企業は、その断熱材を説明する際に「南極基地で使用されいるものと同じ素材」という説明をしている。

企業の立場からすると、どうしても品質を示す際には専門用語や数値比較を並べてしまいがちだ。しかし生活者はその道の研究者ではないのだから、専門用語や数値比較はよく理解できず、リアリティを感じないことも多い。

そのような際には「用途のアナロジー」を示すことが有効だ。

知覚品質を向上させるブランディング手法16-「ユーザーに語ってもらう」

生活者がモノを買おうとするとき、つい気になってしまうのが「実際に使用している人の満足度」だ。インターネット上で多くのユーザーレビューが参考にされているのも、その心理の表れといえる。

広告業界には「テスティモニアル広告」という手法がある。これは「ユーザーボイス広告」とも言われるもので、実際にユーザーに商品の良さを証言させる広告のことだ。

通信販売の世界では、この「ユーザーボイス」の有り無しで、レスポンス率は大きく変わることが実証されている。

自分と同じ等身大の利用者の証言は、その商品の良さに信憑性を与え、ブランドの知覚品質向上に貢献する。

知覚品質を向上させるブランディング手法17-「スポンサーシップを利用する」

これは、イベントにスポンサー協賛することでブランドの知覚品質を向上させる手法だ。

ある腕時計のメーカーは、F1レースにスポンサードし、F1の公式時計となることで知覚品質を向上させた。

ご存じの通り、F1レースは様々なテクノロジーが競い合い0.1秒を争う厳しい世界だ。そのようなレースで「公式時計」の役割を担うという事実は、それだけ精密で品質が高い時計である、という連想につながる。

また、あるアルコール飲料は、富裕層イベントや大使館イベントに協賛し、更にそのイベントに高級ファッション誌を招聘することで記事露出を果たす、というPRを続けている。

これらのPRを通して、生活者はそのアルコール飲料を「セレブの高級パーティ御用達」として認識するようになる。

一般論として、普通の生活者と比べて富裕層はモノやサービスに対する鑑識眼が高いとされている。そしてその鑑識眼の高い富裕層の人たちが、公式なパーティで選んでいるブランドである、という連想を創ることで、ブランドの知覚品質を向上させている。

知覚品質を向上させるブランディング手法18-「こだわりや哲学を語る」

あなたは過去、日産自動車が倒産しかけたことがあることをご存じだろうか?

結果、日産自動車はルノーに買収されカルロス・ゴーン氏が社長として派遣されたのだが、その再建を期して投入された車種の一つが、スポーツ車であるスカイラインだ。

当時から自動車業界の競争軸は「環境性能」に移りつつあり、そのような時期にスポーツ車を投入しても、大幅なセールス拡大が見込めないことは容易に想像できる。

それでもスカイラインの投入を決断したのは、日産自動車の本気を示すため立ったとされる。

倒産しかけた自動車メーカーの知覚品質は、ほぼゼロに等しい。そして、そのような車を買おうと考える生活者は、そう多くはなかったはずだ。

そのような苦境の中、日産自動車の技術のすべてを注ぎ込み、デザイナーのトップである中村史郎氏自らがTVCMに登場し「日産の真価を問う」というメッセージとともに投入されたのが「スカイライン」だ。

「日産は本気だ。」そう考えた生活者は、それ以降に市場投入される様々な車種に関しても「日産の本気」を感じとるようになる。その結果「ここまで本気でこだわった車なら、それは品質の良い車に違いない」という知覚品質の向上に成功した。

このような「こだわりや哲学を示す」ことが、その後のV字回復の起因の一つになったことは間違いない。

知覚品質を向上させるブランディング手法19-「専門性を示す」

化粧品のスキンケアブランドの一つに「ドクターシーラボ」というブランドがある。ドクターシーラボは、スキンケア市場の中で「ドクターズコスメ」という分野を切り拓いてきたブランドだ。

ドクターシーラボは、経営トップが皮膚科の医師であることを強みに「皮膚科学の専門家」という認識を形創ることで、スキンケア業界の後発企業であるにもかかわらず、高い知覚品質の獲得に成功した。

このように、ある専門分野を切り拓いてきたブランドは、その分野の専門家でありリーダーとして、高い知覚品質を獲得することができる。

これは、ブランディングの世界の用語で「ソート・リーダーシップ(Thought Rerdership)」と呼ばれ、ブランドの知覚品質向上に極めて有効な考え方だ。

知覚品質を向上させるブランディング手法20-「共同開発先のブランドを利用する」

共同開発先の名前を利用して知覚品質を向上させた代表例がユニクロだ。

ユニクロは、一時期「安かろう、悪かろう」の印象が染みつき、業績が低迷していた時期がある。この「安かろう、悪かろう」のイメージを打破したきっかけがヒートテックの投入だ。

ヒートテックは、ご存じの通り日本を代表する素材メーカーである東レとの共同開発商品だ。販売の際には「安かろう、悪かろう」のイメージが根強いユニクロに対して、共同開発先である東レのブランドで補完することでヒートテックの知覚品質向上を狙った。そしてその後ヒートテックは大ヒットし、現在ではユニクロの看板商品になっていることは、あなたもご存じの通りだ。

知覚品質を向上させるブランディング手法21-「広告やブランドコミュニケーションの質を上げる」

あなたは「ハロー効果」という心理学用語をご存じだろうか?

ハロー効果とは、ある対象を評価するときに、目立ちやすい特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象のことを指す。

あなたのブランドの品質がどれだけ高かったとしても、そのブランドの広告やコミュニケーションのクオリティが低ければハロー効果が働き、あなたのブランドの知覚品質は下がることになる。

逆を言えば、あなたのブランドの広告やコミュニケーションのクオリティが高ければ、やはりハロー効果が働いて、あなたのブランドの知覚品質は向上する。

 

終わりに

今回は「知覚品質とは?ブランドの知覚品質を向上させる21の手法」について事例付きで解説した。ぜひ、あなたのチームのブランドマーケティングにおいて、有益な示唆となれば幸いだ。

多くのお叱りを恐れずに言えば、この世の中に「事実」など存在しない。人ぞれぞれの「認識」が存在するだけであり、その「認識」こそが生活者本人にとっての「事実」となる。

そして多くの生活者は「自分が認識している事実」を手掛かりに、モノやサービスの購入を判断する。

ブランドで、低い品質を補うことは不可能だ。しかし品質が良いだけでは、強いブランドは生まれない。

今の日本には、品質が高い商品は数多く存在している。しかし例え品質が優れていたとしても売れていない商品もまた、山のように存在する。

多くの分野で製品の品質自体には大きな差がなくなってきているのが現実であり、企業側が認識するほど生活者はその違いを認識していない。

ここでポイントになるのが、売り手が認識する品質ではなくて、買い手が感じる品質、すなわち「知覚品質」だ。

もしあなたが真に強いブランドを築き上げていきたいのなら「事実としての品質」だけでなく、生活者の認識の内側にまで踏み込んだ「知覚品質」の向上は、非常に重要な取り組みとなる。

日本企業の製品は「世界一の品質」とされ、サービスもまた「世界一のおもてなし品質」と評される。

それらの強みを活かし切るためにも、ぜひ「事実としての品質」に磨きをかけるのと並行して「知覚品質」まで踏み込んだブランディングを加速させてほしい。

今後も、折に触れて「ロジカルで、かつ、直感的にわかるブランディングの解説」を続けていくつもりだ。(過去記事と今後の掲載予定はこちら

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